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1.  完全なる報復 《ネタバレ》 
クリント・イーストウッドの「ザ・シークレット」を思い出した。悪役が完全に主人公の能力を上回っている。あの映画もマルコビッチが最後までイーストウッドを圧倒していた。この手の映画はある種、一見勝ち目がない悪人をどう追い詰めるか?出し抜くかが爽快感へとつながるのだが、ときどき出し抜けないまま犯人自ら死を選んで決着させてしまう作品がある。本作もその要素が強い。それほどジェラルド・バトラーの存在感が大きい。ただ、少し趣が違うのは犯人にそれなりの理由があって復讐していること。妻子を殺された上に司法取引で釈放されてしまう殺人犯そして司法関係者を復讐するのは被害者としてわずかながらも映画的には同情の余地がある。覚悟し牢獄での爆発寸前に子供の遺品を手にするカットもそれを強調している。その意味からも勧善懲悪ものではなくアメリカの司法制度の危うさを下敷きにしている点がこの映画の魅力だ。ところが、ラストはみなさんのご指摘通り「?」である。子供を優しい眼差しで見つめる主人公では何も解決していないのだ。殺人犯を野放しにした責任は家族といる時でさえ脳裏にこびりついてこそ納得できるのではないだろうか。少なくともラストシーンまではそう描いていたのだから。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-15 01:22:20)(良:1票)
2.  カーズ
私は、かつてのディズニー短編アニメ「青いクーペのスージー」が大好きだった。この監督もそれが大好きだったらしい。私にとってここがツボだった。予想通りというか、なんとも懐かしいテイスト。普通は自動車の擬人化としてヘッドライトを「目」として表現するのがが主流だが、「スージー」もこの作品もフロントガラス全体が「目」になっている。そして個性あるキャラクターも絵本から抜け出したようなわかりやすさ。我が子と吹き替え版を見たが主役に芸能人を使わなかったことがさらに物語に集中できた。映画会社の宣伝目的に著名人を起用するが、役によほどぴったりであったり、アフレコの上手な人ならまだしも、下手な芸能人は最後まで本人の顔がちらついてしまう。その点この作品は皆うまい。芸能人として山口智充も参加しているが。正直エンドロールを見るまでは本人とは気づかないほどこの作品独特の声色を用いており見事。またレースシーンも素敵である。今までいかにCGで本物らしく見せるかがポイントであったが、この作品はさらに難度の高さを求められたはずだ。というのはプレステなどの家庭用ゲーム機でもリアリティある映像はすでに身近なものであるからだ。いかに迫力を持たせるか、どうやって感動的に見せるか、実によく描かれている。ラジエタースプリングスの美しさもいい。そしてなんといっても、作品テーマが素敵である。昔のアメリカならラストは優勝してしまうところだが、あえて先輩に敬意を表し、仲間の大切さを痛感するという勝利以上の何かを得るというストーリー。今の時代の子供へのメッセージに共感を覚える。デジタルではなくアナログの良さも見つめなおすところがすばらしい。CGというデジタルの手段をとりながら本来の人間味とは?というテーマでピクサーは多くのファンの心を捉えてきた。この作品も同じ、スタッフの心意気に拍手。
[映画館(吹替)] 9点(2008-04-29 02:48:34)
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