1. 家族はつらいよ
《ネタバレ》 こんな家族、今どきいないよ~、と思うのが大間違いであるのは、このサイト投稿者なら分かっているはず。山田監督は、今の映画監督とは違って、映画に求めるものが違うのだ。日本の悲惨な現状を問題提起する映画ばかり、評判が出るので、みんなもう映画など行きたくないと思う人が増えたのではないだろうか?山田監督は、映画はつらい現実を忘れさせてくれる、そんな世界をスクリーンの向こうに求めてる。山田監督が世の中分かってないわけではないことは、「学校Ⅲ」や「虹をつかむ男」を観れば、分かることだ。だが、しかし、2つの時代変化を山田監督は自分の中でどう消化されたのかが、僕は気になる。それは「いじめ」と「3.11」だ。この二つで日本社会はかなり変質してしまった。だから昔「男はつらいよ」を見てた頃のとらやの風景に感じていた心地よさが、もう感じられない。でも山田監督が自らの人生に終止符をうつべく、ここ何作か映画作りをしていることが分かっているので、もうそういうことはどうでもいいことなんだけどね。山田監督、本当にお疲れさまでした。あなたの映画でどれだけ、現実に向き合う勇気が与えられたことか。そう、本当はとても好きな映画なんだけど、そうも言えない世の中になってしまったなぁという感じです。ありがとう。さよならは言いたくありません。 [DVD(邦画)] 7点(2023-05-06 00:37:07)(良:2票) |
2. 神々と男たち
《ネタバレ》 ラストがいたたまれない。 信仰に身をささげて、潔く生きようと 村に残る決断をした7人の修道士たちと医者のあの夜の時間。 当然、軍は去る。 そして、テロリストに・・ 神は沈黙するかのように、ラストのエンドロールが寂しい。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-10 11:47:27) |
3. カセットテープ・ダイアリーズ
《ネタバレ》 面白かった♪内容も良かった。 白人のつくるアジアがらみの娯楽映画は、よく出来てるね。 「マダムインニューヨーク」もそうだし・・ あれもそうだけど、本作もスピーチで一気に話を絞める。 最初は、白人押し付けの夢追いドラマかと思ってた。 ところが政治が絡んだり、親父が失業したり・・ どんな話の落とし前をつけるかと思ったら、ラストのスピーチなんだね。 ブルースの曲の解釈をたどり、一気に感動のクライマックス。 もう号泣、号泣でした。 当たり前だけど、どこの国の人間も頭がいい。凄い!(この監督、女性なんだね) [DVD(字幕)] 9点(2021-09-19 02:07:22) |
4. 鵞鳥湖の夜
《ネタバレ》 「薄氷の殺人」に続く、ディアオイーナン待望の新作。 犯罪者が警官から逃げて、夜の街を謎めいた女性とさまよい歩き、ついに銃撃戦のあとに朽ちる。 いわゆるフィルムノアールというやつだ。 古くは「灰とダイヤモンド」「第三の男」から始まる、魅せる映画の一つの在り方だ。 ※ただし、フィルムノアールの定義は定かではないようです。 本作も、実に渋い。 前作同様、静かなキレのあるアクションシーンで締める。 ただ、アジア映画らしく、ドタくさいのだ。 主人公が、最後、中華麺を貪り食うとこなんか、アジアンノアールなんだね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-15 21:49:44) |
5. 家族を想うとき
《ネタバレ》 ケンローチの社会派。 2時間のなかでは、罪のない家族が、現実の社会の中で 破滅していくように描かれている。 そこにあるのは、今の社会の在り方への疑問である。 とくに配達業界のフランチャイズによる、巧妙な搾取の描かれ方がキツイ。 最後の「仕事」に向けて、出かける暴走した父親を見つめる 家族の呆然とした様子が切ない。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-19 21:53:37) |
6. カツベン!
《ネタバレ》 おそらく「舞妓はレディ」で、日本の映画職人のハートを掴んだんだろうね。 この映画は、映画職人の力なくしてはできない。 後半のドタバタは、007のような映画に慣れてる向きには冗漫と映るかもしれないが、 映画愛に満ちたシーンと捉えれば、微笑みすら出てくる。 実際、日本の昔の活劇は(語るにはまだあまり観てないが)、長いことドタバタが展開する。 そして、敵との攻防も押したり引いたりの繰り返しである。 さらには、絶体絶命の場面が次々続くとこもそう。 昔の映画へのノスタルジーだけでは、ここまでは引っ張れない。 そこを弁士として売れるまでの苦労など人生譚を重ねることで、 あの時代に引っ張り込まれる。 周防さん、ナイスジョブ! [DVD(邦画)] 7点(2020-09-12 23:18:42) |
7. 火口のふたり
《ネタバレ》 最初は???って感じだった。 いとこ同士のセックスシーンばっかり。 でもある時、はたと気がついた。 これは神話の世界なんじゃないかと・・ 近親相姦、地殻変動・・ 国づくり神話でもこんなんばっかりじゃないかと・・ (古事記とかよく知らないけど(笑)) そんなんで最後は富士山が噴火で納得のラスト・・て? でも日本的ですよね。 同じようなラブストーリーでも欧米のベルトルッチ「ドリーマーズ」やメルヴィル「恐るべき子供たち」は ちょっと違ったテイストだったもんねぇ。 追記)荒井さんは「身も心も」で柄本親子両方の濡れ場を描いちゃったことになる。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-13 14:13:12) |
8. 神々のたそがれ
《ネタバレ》 唾を吐きかけたい映画だった。 なんでこの映画が2015年のキネマ旬報ベストテンに入ってんだろ? とにかく苦痛でも最後まで観ないと映画の良し悪しは分からない。 我慢して観続けたが、それでもペレストロイカ以降、民主化、自由の意味をはき違えたロシア文化人の 世迷言のような映画としか思えなかった。 人間性のかけらもない映画。 異星の話というが、そのデザインはクリエイティブでも何でもない。 ホドロフスキーとか、ギレルモデルトロなどに憧れたんだろうか? ロシアSFでは「キンザザ」の不思議感はまだ面白いが・・ 思いっきり深読みして、大戦中カティンの森事件などを起こした ロシア・ソビエトの自国文化否定の意味があったのだろうか? それでもこんな映画を観せられるロシア人が気の毒だ。 [DVD(字幕)] 3点(2020-05-23 23:49:41) |
9. 家族の庭
《ネタバレ》 メアリーの浮いているところが寂しい。 思うに、彼女は男性関係でつまづいたのだろう。 そこが定住家族とのギャップだ。 奥さんを亡くした兄との間で少し友情めいたものがあるのが救いだった。 よくある話をすくいとり、2時間強のドラマに仕立て上げるとこが凄い。 [DVD(字幕)] 7点(2019-11-30 03:07:45) |
10. 駆込み女と駆出し男
《ネタバレ》 原田監督は、黒澤さんの首を狙っとう。 娯楽映画にして、このクオリティ。 訳あり女の裏には、一筋縄じゃない男ばかり。 時代劇版縁切り寺に来る女には、死に顔見せたくないために来た女だっている。 泣ける~もう! 大泉洋が女性に囲まれても、見事に魅力を発揮! 戯作者志望の医者見習いが最後に選んだ道とは! もう観終わって、すぐDVD買っちゃったよ♪ だって映像がきれいだし、見応えあるも~ん(笑) [DVD(邦画)] 10点(2019-06-01 23:10:21) |
11. カメラを止めるな!
《ネタバレ》 涙が出るくらい好き! 正直に言います。 DVDで鑑賞したので、最初の映画で、酔ってしまったところに、 現場の連中がまとまらず、好き勝手いうとこにブチ切れしてしまい、観るのを中断してしまいました。 船酔いで、自分が定まらない時に、あのような現場に出会い、怒り心頭になったからです。 なんでこの映画が高評価なんだろう?と思い、再度観始めたら、面白くて、最後はうるっと来てしまいました。 (正当な評価にならないですね、スイマセン・・) 映画愛がたっぷり入ってて、現場こそ映画じゃないか、と思ったんでしょうね。 フェリーニの「8・1/2」ですね。 でも映画愛のこんなにある人がゾンビを扱うなんて、ゾンビってそんなに面白いのかなぁ? 「桐島、部活」もそうだけど・・ 自分もゾンビ観てみます(笑) [DVD(邦画)] 10点(2018-12-17 01:30:12) |
12. 鍵泥棒のメソッド
《ネタバレ》 良質のエンターティメント。 相変わらずの内田けんじワールド。 お金をあまりかけずに2転3転していく映画の面白さを アイデアで引っ張る。 面白い。 [DVD(邦画)] 7点(2018-07-27 08:35:41) |
13. 彼女がその名を知らない鳥たち
《ネタバレ》 いやぁ、前半と後半では全く観方の変わるミステリー。 前知識なく観てたので、これがただのラブストーリーではないと気づいたときの 衝撃。久々のどんでん返し。 ちょっと生命力の弱そうな女性を蒼井ゆうが好演してる。 そして、怪しげな、でも愛すべき男性を阿部サダヲがまたいい演技してる。 もう阿部サダヲには負けたよ。 彼の純情さに、最後はもう涙腺開きっぱなし。 好青年の竹ノ内豊のクズっぶりが、新鮮だった。 [DVD(邦画)] 8点(2018-07-07 17:31:05) |
14. 紙の月
《ネタバレ》 銀行員の横領ってよくニュースで見るけど、痴情のもつれとかそういうのではなく、 正面切って、これをテーマにした日本映画は初めてではないか? 確かに一万円稼ぐのがどれだけ大変かを知らずに、毎日何十万、何百万の金を扱ってたら、 そりゃどこかでマヒしそうな気もする。 しかも彼女には子どもの頃の親から金を盗んで、貧しい子に寄付をして、そこに充実感を覚えてた 過去がある。 一旦火がつくと、止まらない。 犯罪をしてる時に、ウキウキするBGMが流れるのは、彼女が生きている実感を感じていたからだろう。 ラスト、ガラスを割って逃げるところに、自分を解き放ったすがすがしさが画面にほとばしってた。 彼女がどうなるかは、神のみぞ知る、か・・ [DVD(邦画)] 7点(2018-06-30 14:15:54)(良:2票) |
15. 彼女の人生は間違いじゃない
《ネタバレ》 彼女の生き方をどうこう言うことなどできない。 3.11を経験した地域でこのような悲鳴が聞こえているのだ。 彼女の傷ついた心と体は誰がケアするのか。 ただ悔しくてならない。 [DVD(邦画)] 7点(2018-05-26 19:12:59) |
16. 怪物はささやく
《ネタバレ》 感動した。 原作が市内の図書館で紹介されてたので、いいのだろうとは思ったけど・・ 自分の少年の頃とも重なり、もう感情移入バシバシ(感涙) このようなイチイの樹のような存在、欲しかったなぁ。 夢のシーンのアニメーションがかなり素敵で、実写とかわらぬ厚みのある映像。 これだけでもかなりポイント高し! [DVD(字幕)] 9点(2018-04-15 01:18:37) |
17. 彼らが本気で編むときは、
《ネタバレ》 皆さんの言われてる通り、確かに難しいテーマをさわやかにさらりと描いています。 荻上監督らしい一品だと思います。 昔から、ゲイの人たちと子どもの相性はいいみたいです。 そのような映画が多いですもんね。 始まりは「非バランス」あたりからでしょうか・・。 でも、リンコさんが引き取って子育てをしてみて、難しい年ごろになった時の女の子と格闘してみて、 本当の「母親」になるような映画も観てみたいです。 こうなるともうメルヘンではなく、人間を描いた大作ですね。 でも日本映画界に居並ぶ有能な女性監督たちに、是非挑んでいただきたい内容だと思ってます。 にしてもトモちゃん、いいですね~。 何かこの子役の俳優さん、将来、活躍してくれるんじゃないかって思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2018-02-03 19:27:54) |
18. KANO 1931海の向こうの甲子園
《ネタバレ》 この映画に政治的な意味を見つけるのはたやすいが、それをしなくても面白い映画だった。最後なんか、すっかり台湾側に同調して涙ぐんじゃったし・・。この映画に描かれている台湾のがむしゃらなとこは、最近の日本文化では見ないね。こういう若者が減ったのかな。 [DVD(字幕)] 7点(2016-06-11 22:03:26) |
19. かぐや姫の物語
《ネタバレ》 月に帰ることが分かってからの後半は、もう泣きっぱなし。ジブリにはいつもやられる。本当に日本のアニメの凄さは半端じゃない。いくらCGで本物らしい宇宙船を描いても、この作品に出てくる月からのお迎えに比べると、説得力ないだろう。いくらナタリーポートマン級の美女が演じても、この作品の描いてる女性と比べると、その表情のリアリティに敵わないだろう。いくら人情味たっぷりの俳優が演じても、この作品での翁とおばあちゃんの情の温かさを描くことは難しいだろう。日本のアニメはこのまま大事にしてほしい。3Dアニメ市場に無理に介入することないんじゃないかなぁ。リアルじゃないからこそ、伝わってくる感性ってあるよね。それを大事にこのまま育ててほしい。 [DVD(邦画)] 10点(2014-12-27 21:50:19) |
20. 風立ちぬ(2013)
《ネタバレ》 映画全編通して、何でこんなのんびりした国が戦争なんてと言わんばかりにきれいなこの国の風景が描かれる。主人公からこんな言葉が出る。「小さくてもカメになる道はないのかなぁ」。これは世界の中での日本のあり方への提言でもあり、デジタル全盛のアニメ業界の中にあって、手書きにこだわるジブリのあり方も言ってるのかもしれない。元々、世界に友人の多い宮崎さんには、技術や文化を通して、世界の人と友達になれるのに、どうして国というものがあり、戦争というものがあるのだろう?という疑問があるのだと思う。映画はまさしくそこを言っている。そして菜穂子との恋愛が丁寧に描かれる。これは人生で一番、大事なものって分かっているのに!という宮崎さんの言葉に思えた。でもね、監督、観客は作品どうこうよりも、あなたが好きだから、そんなあなたの映画が観たいとも思うもんなんですよ。これからは自分の人生を大事にしてください。でも僕は次回作、短編でも観たいなぁなんて思っちゃたりするんですけどね(笑) [映画館(邦画)] 8点(2013-08-17 00:59:45) |