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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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21.  傷物語Ⅱ 熱血篇 《ネタバレ》 
 『帰ってきたウルトラマン』にウルトラマンが怪獣にバラバラにされるエピソードがありまして、ウルトラマンの大きな生首がドーンと堕ちてくる、って画に驚愕し、しばらくトラウマ状態に陥ったものでした。以降もウルトラシリーズはウルトラ兄弟の首が飛んだり、四肢バラバラにされたりと子供にとってはあまりに残虐なエピソードが唐突に登場し、現在に至るまでウルトラシリーズは自分にとって忌避すべきものとなりました(初代ウルトラマンは大好きなのですが)。後々判った事ですが、それらのエピソードは一人の脚本家特有のもので、つまり子供にそういう残虐なモノを見せたがったのは、その人の趣味以外の何物でもなかったんじゃないの?と。   そんな事を、この映画のヒロインの腸が飛び出す描写を見ながら思い出していたのでした。コレも監督の趣味なんだろうかねぇ?みたいな。映画にとって腸が飛び出る必然性など微塵もありません、っていうかその後の治癒描写では腸の存在が物理的にジャマで矛盾しちゃってるんじゃないかと。  人にトラウマを植え付けたいという悪意からならともかく、純粋にそう描きたいっていう願望からそうなってるとすれば、結構病んでない?  っていうか、この監督も庵野監督同様、私と同世代だったりしますが、この監督も庵野監督もああいうウルトラシリーズ見てトラウマになるより何かに目覚めちゃった系かしら? やーね。   さて、映画は相変わらず自己欺瞞的ですが、状況説明のみでプッツリ終わった前作に比べたら今回は物語が存在しているだけ幾らかマシです。ただしダラダラしていた前作と違って、もの凄いダイジェスト。前作で勿体つけた3人の吸血鬼ハンターとの戦いを、簡単にどんどんと消化してゆきます。3人目なんかあまりに唐突に描写が飛びまくるので次回予告かと思いましたわ。でもそれも、結局はどのあたりを気取ってるのかがありありと見えて、恥ずかしい感じで。   作品から演出家のカオが見え過ぎちゃうのって見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうので、自己欺瞞とか自己顕示欲とか自意識過剰とかの「自分自分自分!」って状態は幾分抑えて頂きたいもので。
[映画館(邦画)] 3点(2016-09-13 22:17:23)
22.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
 車の窓越しのルーニー・マーラの表情から始まるこの映画、全編象徴的に世界を隔てるものが登場します。窓、車、家、部屋、扉、そしてカメラのファインダー。その内側の繊細で壊れ易い女達の世界と、外側から無神経に境界を踏み荒らし侵害する男という性と。   我がケイト・ブランシェット姐さま、瞳の演技だけで堂々の存在感。だけど視線の演技はルーニー・マーラも負けておりません。二人の揺らぐ視線がその儚げな愛を切なく綴ってゆきます。   ラスト、窓の奥の世界から飛び出したルーニーは男達に囲まれた世界で何も通さず真っ直ぐケイトを見つめます。真っ直ぐ見つめ返すケイト。そこにあるのは全てのフィルターを取り払った真実の愛なのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-08 20:05:56)
23.  傷物語Ⅰ 鉄血篇 《ネタバレ》 
 前半、様々なイメージがコラージュされてゆく部分は、それによってモザイク状に作品を構成してゆくのかと思わせましたが、あくまでとっ散らかったままで、後半になると今の日本のアニメの悪癖である声優の長セリフで世界を説明するという毎度のパターンによってあっさりと覆されてしまいます。  となるとそのコラージュはただの独りよがりな遊び程度のものなのかと。それとて前世紀末の『エヴァ』とか『serial experiments lain』とかを思わせるばかりで。赤塚不二夫風や『鉄人28号』もただのパロディ以上のものではないようで。   キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのキャラは面白いと思います。四肢を切断されて瀕死状態でありながらあくまで高ビー(死語)、だけど実は脆い、って。最初の姿はあまり見られないままにすぐ縮んじゃいますが。   さて、最大の問題は映画として成立していない点。主人公が自分の命を捨てる覚悟をしてまでヴァンパイアを救う事によって始まる物語は、ヴァンパイアの手足を奪った存在について語り始め、ダラダラとテンポダウンして退屈になってきた、と思ったところでぷっつりと終わります。起承転結の承の途中でなんの盛り上がりも起伏もないところで唐突に切れて終了となります。あとは続編を見ろ、と。  これで映画として成立する、お金を取っていい商品だと思った人間は馬鹿というか自己欺瞞の世界に陥ってませんかね?  上映時間64分、特別料金1500円。これまでもシリーズものの、1作では完結しない短めアニメを劇場で公開するパターンはありました。でもそれらは一応1作でも見られる程度にはまとめられていました。これはそこまで到達していません。見どころらしい見どころも殆どなく、物語の流れもなく、映画として〆るための工夫すらなく、ぷっつりと。  それ、なんかカッコいいとか、オレってスゲーとか思いながらやったんですかねぇ。お金払って見てる側からすると何かとっても、みっともない映画っていう感じで。点数なんかあげられるシロモノじゃありません。   アニメファンはいつまでもこういうアニメを認めてちゃダメなんじゃないでしょうか。お金を取る以上、ちゃんとした勝負をしましょうよ、って。入場者特典で釣れば中身なんてどんなモンでも構わないなんて思うような連中をこれ以上増長させちゃいけません。色々な人が不幸になるだけ。
[映画館(邦画)] 0点(2016-01-25 20:56:20)
24.  岸辺の旅 《ネタバレ》 
 予告編は黒沢清監督らしからぬハートウォーミング夫婦モノ路線風なイメージを漂わせていて、ここに至って一体どうしたの?って思っちゃいましたが、フタを開けてみれば『回路』の姉妹編と言ってもいいような紛うことき黒沢清作品でした。  死と孤独に囚われ続けた作品群の系譜から見てこれは必然と言っていいような到達点にも思えます。   ボンヤリとした、表情のハッキリとしない、何を考えているのか判らない恐ろしさ、それはこれまであちら側の存在に現れていたのですが、この作品ではそれが曖昧になっています。表情を持ったあちら側と表情のボヤけたこちら側があり、明確な意志を持ったあちら側と意志のハッキリしないこちら側があり、あちら側とこちら側とで光と影が移ろいゆき、その曖昧な境界線が生む空気が独特の匂いを生みます。   シネスコ画面の片側に寄った被写体と、反対側に空いた空間に存在する空気。窓、カーテン、風、そこに居る何か、居ない何か。不安や緊張を煽る筈のそれが、でも今作に至って、もはや心地良さすら感じるのは何故でしょう? そして逆にいつもは癒しのイコンのような蒼井優が、自己の生を主張するかのような彼女が不安で不気味な存在と感じるのは何故でしょう? それは死の孤独を越えた世界が見えるから? 或いは生の中の絶望的な断絶が見えるから? それとも孤独を中心に据えた概念の中では生も死も大きな差のないフィールド上に存在しているから?   旅の終わりは海。道の途切れるところ。その狭い入り江が決して「解放」ではないその先の世界を示すようで寂寥感を漂わせます。   黒沢清監督の創造する美を表現する言葉が思いつきませんが(「頽廃的」っていうのもなんか陳腐で違うかなぁ)、その沈んだ空気に身を委ねるのが心地良い一編でした。って、心地良い黒沢清監督作品っていうのは、ちょっとやっぱりこれまでと違うのかな?
[映画館(邦画)] 8点(2015-10-05 22:17:16)(良:1票)
25.  キングスマン 《ネタバレ》 
 コリン・ファースの退場の仕方、あんなんで良かったと思います? あれ、納得できます?   どうにも面白いと言ってしまえないひっかかりどころが結構あって。  マイケル・ケインは頭部爆発の原因が判明して以降も普通に傷晒していて結果的にどんだけ大穴よ?ってくらいの墓穴掘るし。  サミュエル・L・ジャクソンの思想と計画のオリジナリティの無さ(それは作品全体を貫くモノのオリジナリティの無さに直結します)、その軽薄な描かれ方には悪意を感じるし。  アクションシーンは例によってコマ切れで見づらく。   でも、それらよりも個人的にはせっかくのスタイリッシュなスパイアクション映画がグロテスクな映像とグロテスクな精神で汚されている感じがとても嫌で。  教会のシーンと『威風堂々』のシーンには嫌悪感しか湧きません。アレを笑って見られる神経が私の中にはありません。  007や『それゆけスマート』『おしゃれマル秘探偵』(あるいはそのリメイクの『アベンジャーズ』・・・マーベルのでなくレイフ・ファインズとユマ・サーマンのアレ)などのオマージュのようでありながら、それらが築いた伝統をも汚してしまっているような感覚を受けてしまって。   キングスマンの基本設定は良いのにそれをわざわざバカ映画にしてしまった感じでガッカリでした。
[映画館(字幕)] 4点(2015-09-16 22:23:38)(良:1票)
26.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
 テーマやメッセージは良かったと思います。人間こそが力で全てを支配する、恐ろしい、地球に寄生する害獣ではないのか?という視点と、人間だからこそ他者に対する愛情、優しさを持ち得る、という視点。そのどちらの極に作用するのもエゴイズムであるという点では同じ。映画を見ていて人間という生物について考えさせられました。   だけど、その描き方がなんだか音痴な気がして。  構成が悪いのか、物語がちゃんした流れになっていないように思いました。寄生生物の侵略が広がるのかと思いきや、内紛で尻すぼみな感じになってゆきますし、ラストは蛇足感が漂います。  寄生生物と人間と、どちらが本当の化け物だっていうの?っていう、その皮肉とも言える対比があんまり上手くいっていないような気がするんですよね。染谷くんが中立な立場と言うよりは優柔不断でどっちつかずでフラフラしているように見えるからでしょうか。   あと、テクニック的に問題がある箇所があって。  市役所の看板を何故ああも何度も何度も見せなければならなかったのでしょう? 一度見せたらそれで判る画作りを出来ていない状態。  それから昭和臭漂う濡れ場の恥ずかしさ。翌朝の画なんか、なんかのパロディ?みたいな、それ、フツーは絶対撮りたくない画じゃないかなぁ?とか思ったり。  パロディと言えば『ターミネーター』『2』からの影響があまりにあからさまなのも気になりました。   そんな中、深津絵里は良かったです。人間を理解しようとし、最後には母として散ってゆく不自然な生物、その儚さ、脆さを上手く表現していました。   前作の正義と悪が闘うアクションもの的な判りやすさから一転して、今作では一体どちらが悪魔なのか?何が正しいのか?を問う内容になったら、力量不足が目立ってしまいました、という感じ。   っていうか、ラストで刃物男と喉を切られた男の存在が全く無かったかのように二人で完結しちゃってるのですが、あれは一体何? そんな事してる場合?って不安で仕方なかったんですが。実はあそこで二人とも死んでて、お空に昇っていったのでした、とか解釈しちゃうよ?
[映画館(邦画)] 6点(2015-05-01 22:33:56)
27.  君が生きた証 《ネタバレ》 
 息子を亡くしてなかなか立ち直れなかった父が、息子の遺した歌を通して人と触れあい、人間性を取り戻してゆく、そんな感動的なお話しだと思っていたら。   途中でこれ見よがしではなく、さりげなく入ってくる1カットで、それまでの思い込みが根底からひっくり返されます。それまでに心の中にイメージした、死んだ息子や遺された父母のそこに至る経緯、背景、心境に大幅な修正が必要になる、頭の中にそれまで刻んだこの映画の姿を1から書き換えてゆかなければならなくなる、上下動の激しいジェットコースター人間ドラマ。  その構造はその事実に触れた登場人物達の心境にもシンクロします。  人生を狂わされるとはどういうものなのか、そして自分の人生を生きるとはどういうものなのか。他者の影響と自我と。  真実に翻弄される登場人物同様、見ている側も人の生について向き合う事になる、そんな仕掛けを持った作品。   ウィリアム・H・メイシーはこの素材を時にユーモラスに、時にシリアスに、でも決して大仰に盛り上げるような事はせずに誠実に描いていて、ゆえに後半からラストはじわじわと切なく染みてきます。   感動しました、であっさりと終わらせる事のできない、後に様々な思いを残す、一筋縄ではいかない映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-04-06 22:56:57)
28.  96時間 レクイエム 《ネタバレ》 
 『96時間』の新作が見たかったのであって『逃亡者』モドキを見たかったわけじゃないのよ?みたいな。   「元妻が殺され、その殺害容疑をかけられた男が警察から逃げながら真犯人に迫ってゆく」って、ほぼ『逃亡者』な話なわけで、これまでに比べるとブライアンが受けから攻めに転じる転換点がとっても後の方になってるんですね。おいおい、いつになったら悪いヤツをボコりまくるんだよ!ってストレス溜まります。  その構成のために敵の描写がとても浅く、これまでで最も小物な敵になっていて。その上、更なる真相が、みたいなのも、ねえ。  とりあえず、ここ一番ってとこで白ブリーフはないよねぇ。もう全部白ブリーフに持っていかれちゃうもん。後の印象が「白ブリーフの映画」になっちゃう。   リーアム兄さん安定のアクション映画ではあるんですが、コレ!って個性は薄いところが残念。いや、そのバカっパパぶりは健在だったので、その点ではステキ。  マギー・グレイスをいつまでも「可愛い娘」として引っ張るには少々無理がありますが・・・
[映画館(字幕)] 6点(2015-01-25 21:00:17)
29.  近キョリ恋愛(2014) 《ネタバレ》 
 「女子生徒に手を出す高校教師のお話」という、もう基本中の基本が絶対的にダメダメな物語なのですが、その基本が腐ってるような設定を元にして、いかにちゃんとした恋愛映画に昇華してみせるか、というところに腐心している感じで。結果的には意外と良かったという印象。   これもまたマンガが原作のシネスコサイズ恋愛映画ですが、こちらはフレームの切り取り方、ライティング、色彩、どれもキレイにまとまっています。タイトルが出てくる画面の構成なんか、上手いなぁ、って。   物語は少女マンガらしいおなじみ「すれ違いの物語」。でも、本音をぶつけ合うのではなく、各キャラクターがお互い常に相手の事を思って本音を現さない、行動に出ないゆえのすれ違いという点で共感を得やすい感じがします。   映画は表情の無い、感情を表さない主人公ゆにの心の揺らぎに寄り添い、その内面の大きな変化の波をすくい取ってゆきます。ゆにの無意識な仕草による感情表現の多くは初期にセリフによって説明されているので判りやすい、単純な記号と化しているようにも思えます。だけど言葉や表情ではない、その仕草がゆにというキャラクターに魅力を与えているように思えます。  全編に渡って繰り返される、ぎゅっとスカートを握りしめるゆにの手のアップ、これがラストシーンで解き放たれた時、それがベタであると判っていながら感動してしまう、それは仕草の描写の積み重ねがあればこそ。あの描写こそは他のどのキャラクターでもない、ゆにのみに与えられた独自の解放の表現であるのです。   櫻井は教師という大前提がある以上、ダメな大人。嫉妬する幼なじみの教師も、ゆにを預かり腫れ物のように扱う教師も、同様にダメな大人。そのダメさ弱さをダメなりに見つめているように感じました。   肝心のクライマックスで大学生になったゆにの微妙なメイクや服装、そして不自然さ丸出しの夕陽の合成によってハリボテ感が出てしまったのが残念ですが、小松菜奈の魅力を上手く捉えた、爽やかな一編になっていました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-14 22:44:20)
30.  寄生獣 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭で鑑賞。   退屈せず面白く見られました。ミギー可愛いし。ちゃんと血みどろバラバラなグロだし。  だけど、この映画ならでは!っていう絶対的な個性が無かったなぁ、と。もっとカッコいいとか恐ろしいとかアガるとか燃えるとか切ないとかあっていいと思うんですけれど、良くも悪くも山崎貴監督、ソツなく仕上がってます、という感じ。   ボディースナッチャーものとしての面白さは大きくスポイルされちゃってます。何故ならミギーの能力によって誰が乗っ取られてるかは全て最初からハッキリしているので。  で、その代わりに生まれるモノの面白さという点について、今一つな感じがするんですよね。  体を乗っ取る事によって人間を理解してゆく、人間に寄ってゆく侵略者、それに対比されるべき人間側の描写が薄いと思います。主人公とミギーは一体化する事によって人間と侵略者の間の立場で世界を見る事になるのですから、そこは人間側もちゃんと描かないと。主人公とお母さんのドラマだけでそれを成立させられるとは思えません。というかお母さんとのドラマはもっともっと濃厚な、強いアクセントにして良かったと思うのですが。   登場する役者さん達にも意外性がなくて(橋本愛の女子高生、余貴美子のお母さん、國村隼の刑事、北村一輝のいかにも何かありそうな胡散臭そうな人・・・)、今の日本映画の土壌で作るとしたらこういう映画になりますよ、というモノをそのまま見ているような感じ。   東出くんが学校で暴れるシーンなどは展開の運び方も悪く、続編に繋ぐラストだって引っ張り過ぎで、そういうもったいつけた感じよりは、もっともっと尖がった何かを、と物足りなさを抱きました。   山崎監督の色の無さは、この世界にはちょっと味気なかったかな。
[試写会(邦画)] 6点(2014-11-02 14:51:34)(良:1票)
31.  キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー 《ネタバレ》 
 「いい加減アメコミ映画見るのやめちゃえよ!」ってくらいに毎回見に行っちゃ文句タレてばかりなのですが(いや、昔から娯楽大作好きで公開されるものは必ず押さえるって感じなんですが、最近のハリウッド映画の娯楽大作がアメコミものばっかりなモンで)、今回のコレは結構楽しめました。   アベンジャーズメンバーの中でもかなり地味~な存在のキャプテンですが、今回はそれが逆にプラスに転じている感じ。  超人的なパワーがあってそれに見合う敵を設定しなくちゃならないためにどんどん荒唐無稽なあり得ないファンタジーワールドに突入してっちゃうって感じのアメコミものですが、彼はその地味な能力ゆえ、話も敵もそんなには荒唐無稽にならず、カーチェイスや肉弾戦、銃撃戦が主体のアクションを繰り広げてゆく、孤軍奮闘でなくチームプレイとなる事で人間中心のドラマになる、って感じで。   また、キャプテンは正義ってモンに対して一本筋が通ってますからヘンな迷いとかないですからね。そこからぐなぐなと苦悩したりとかってヘンな脇道に入っていかないの。   それになんと言ってもスカヨハのブラック・ウィドウの出番いっぱいですしね。   クライマックスではSHIELD内の大規模な戦いになってゆくのですが、正しい事をしようとする側の人々の描写が結局は殆どおざなりになっちゃうのが残念。もっとみんなが頑張りました、って描写が欲しかったですし、あのデカいヘリにどれだけの人が乗っていたのかもスルーされちゃって。3つとも落ちて大惨事状態になっていた筈ですが。  つーか、仲間いるのに砲撃したとかしてない? ちゃんと降りてた?   前作や『アベンジャーズ』を見ていないと話にならないっていう点では大いに難がありますし、ラストの二度に渡る「まだまだ続きがありますよ」って毎度のパターンにはいい加減ウンザリさせられますが(冒頭に「エンディング後も映像があるので最後まで見てね」ってテロップ出るけど大半が一度目を見て帰っちゃいますな)、主人公の性格を反映してまっすぐな物語でまっすぐな娯楽映画だったのは良かったと思います。   にしてもレッドフォード老けましたねぇ・・・
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-24 21:38:30)(良:1票)
32.  銀の匙 Silver Spoon 《ネタバレ》 
 とてもまっすぐ、真面目に作られた青春映画で非常に好感が持てました。   酪農を通して人間的な成長を描く作品、家庭の問題や友人関係、将来の不安等、等身大の若さを生きる姿がストレートに心に響いてきます。   個人的な話ですが、2匹のネコを宝物のように大切に育てながら、一方で毎日仕事で十数頭分の豚のモツを捌いている、その「生命」に対して日頃自分なりに向き合っている意識、そこが描かれている事に多大な共感を抱きました。   映画としては地味だと思います。題材が農業高校で酪農を学ぶ事ですし、恋愛要素はほぼ無し、現在の酪農の抱える問題や挫折など、苦い部分が描かれていて、単純に気持ち良さを味わえる映画ではありません。  でも、だからこそ心に響いてくるもの沢山があって。   脇のキャスティングにちょっと疑問が湧いたりしましたが(ヒロインの家族を哀川翔、竹内力、石橋蓮司にした事なんて、映画ファンウケを狙ったような感じで映画の内容に対しての必然性は感じられません)、自分を持たなかった主人公が高校生活を通して自我を獲得してゆく姿に、素直に感動したのでした。
[映画館(邦画)] 9点(2014-03-31 22:25:16)(良:1票)
33.  キック・アス ジャスティス・フォーエバー 《ネタバレ》 
 前作に比べるとヌルくてフツー。   だけど神格化された存在である前作の、流行りの血みどろバイオレンス描写とメタヒーローもの状態(メタだらけになったらそっちが主流になってしまうという矛盾を生むのよね・・・)がちっとも好きでない私にとってはむしろ今回の方がまだマシ、って感じで。   キックアスよりもヒットガールの方が扱いが大きいんじゃない?って感じは、前作で評判だった部分を拡大しちゃう続編モノ、っていう安易な流れを踏襲してたりしますが、ヒットガール好き的にはそれはそれでいいんじゃない?って。バンでの逆襲シーンは単純に燃えますしね。  今回はヒットガールと普通の女子高生との間の揺らぎが存在していて、前作の「まるで嗜虐的に悪人をどんどん殺しているように見えてドン引き」って部分が抑え気味になってますし。   一方のキックアスに関しては凡人と言うより常識人化していて、言動も、与えられたドラマもフツーで(『バットマン』か?『スパイダーマン』か?)つまんないキャラに磨きをかけているようで、キックアスという看板はそろそろ終了かなぁ、って感じがしないでもなく。   だけど「個人的には前作よりはマシ」なだけで、今回は傑作!とかいう訳ではなく(ゲロゲリ棒なんて小学生並みのネタを見て喜べる訳もなく)、クライマックスの乱闘の凡庸な感じも含めて(あれ、もっと犠牲者が出ないと全体の流れから言って不自然)、決して好きではないです。   まあ、「美しい映画」が見たいと思ったらそもそもこれは選ばないでしょうけど。美しい『キック・アス』が見たい、なんて言うのは絶対にあり得ないわがままなのかな。世の中には美しい血みどろ映画もあったりするんですが。
[映画館(字幕)] 6点(2014-02-23 21:25:10)
34.  清須会議 《ネタバレ》 
 多分、歴史上の人物にそれなりの知識があれば楽しめるのだと思います。大して知識のない、そして登場する人物に全く自分なりのイメージを持っていない浅学な私にとってこれはテンポの悪い間延びした退屈な会話劇。   役者に頼り過ぎなのではないかなぁ、とは思います。三谷作品お馴染みのメンバーが醸す(ハズの)独特の「味」に期待し過ぎちゃいませんか、って。  タイトル以前の、戦についてはひたすら絵巻で見せる部分以外は特に魅せる映像があるわけではありませんし、軽妙にも重厚にも寄らずになんだか中途半端な状態が続くような感じ。   大体、それぞれの役者さん達の面白味は、それぞれいつもの人物というかキャラが出たところで醸されるような気がして、映画上の人物像を創造しているというよりは、その人が演じている事による面白味を味わう、つまりかくし芸大会みたいな印象があります。  場内が最もウケたところはゲスト的に他映画のキャラが登場したところなわけで、つまりはそういうオールスターかくし芸大会ノリを期待してたり、それを狙ってたりもするのかなぁ、って。まるで「コレ面白いでしょ?」ってノリで作ってるみたい。  私としてはここに登場する人物の誰にも心を寄せる事ができず、手前勝手な人々の混乱劇(まあ、三谷作品がいつもそうであるように)として最後まで流れに乗る事はできませんでした。   ただでさえヘボい映写のTOHOシネマズ渋谷で更に室内の暗い画面が多いために平板で見辛い映像の連続する状態で、たまに屋外の明るいシーンになると目と脳が安心するという、視覚的ストレスの多い映画でもあって。   人がいっぱい出てきてわーっと騒いで、っていつものパターンを、でもキレイにまとめてる感じは毎回しないんですよね。この人の作品って物語よりも細かい断片にこそ命があって、それを大量に網羅してこそ、って感じなのかな。それも今回は間延びした対話によってスポイルされているように思いましたが。   とにかくこの人の映画、毎度長過ぎ。映画ってお芝居みたいに舞台と客席とが同じ時間を共有して緊張感を保ってる状態とは違いますからねぇ。今日、上映中に30人くらいトイレに立ってましたよ・・・
[映画館(邦画)] 4点(2013-11-12 20:35:14)(良:1票)
35.  キャリー(2013) 《ネタバレ》 
 監督はデ・パルマ版よりもキングの原作に近いと言っておりましたが、実際には原作の再映画化ではなくてデ・パルマ版のリメイクですね。  原作は今の流行りをずっと昔に先取りしたかのようなモキュメンタリー風の構成なのですが映画の構成はデ・パルマ版まんまですし、名前はあくまでキャリエッタではなくキャリーですし。   となると旧作との比較という感じになってしまって(間違い探し程度の差という状態)、ごくごく一部を除くと旧作に遙かに及ばないリメイクといった状態。  旧作より良かった点は、1つはスーの改心の過程。旧作はスーの心が掴めず、キャリーにプロムを譲るまでの流れが唐突な感じだったのに対して、今作ではもう少しスーに寄る事で過程が見えています。  もう1つはいじめっ子カップルの車との対決シーン。旧作は唐突に対決シーンが始まりますが(前のシーンからの繋がりが不自然)、今作では二人とキャリーとの行動の流れを追った上での対決となります。   で、評価できる点はその程度。  演出はデ・パルマのような個性を望むべくもなく、クロエは最初からプロムまで見た目の印象が特に変わりません。生徒の多くが旧作に比べて劣化状態、音楽も旧作のような美しい旋律を聴く事はできません。   と、どうしても旧作との比較状態になってしまうのですが、今作の価値というのが感じられないのがつらいのですよね。元が元なだけにそれでもそこそこ見られる映画になっているものの、あえてリメイクしただけの価値あるモノが見当たらないんですよね。  旧作は怖くない、むしろ切なく哀しいホラーでしたが、これはそこも薄味になっちゃった感じ。   っていうか、クロエは肩幅広くて、肩とか二の腕とか逞しくて、超能力なんて使わなくても腕力でいじめっ子に十分勝てそうな感じなんですけど。
[試写会(字幕)] 5点(2013-10-23 23:23:29)
36.  キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK- 《ネタバレ》 
 脚本が駄目です。  ハーロックが『逆襲のシャア』の「地球にアクシズ落としちゃうけど地球は大切にね」ってシャアの二番煎じみたいな訳の判らないキャラ。それに『火の鳥2772』をブレンドしたような、何をゴチャゴチャぬかしてんねん!と言いたくなるような話。  主人公の青年は行動に一貫性が無くコロコロと自分の立場を変えて物語をひたすら引っ掻き回すばかりの存在だし。  登場人物の言動に全く同感できる部分がないままに映画が進んでゆくっていうのはつらいです。  だけど元々の原作マンガやらテレビシリーズ版やら『わが青春のアルカディア』やらからして、マトモに完結してなくて結局ハーロックってなんだったんだ?っていうとよく判らん、っていういい加減な状態なんで、ある意味忠実なのかもしれませんが。  トチローとコンピュータの件なんてこの映画じゃよく判らないわけですが、原作やアニメあたりでも「友よ~!」って言ってるばかりでよく判らなくて、答えは劇場版『銀河鉄道999』にあるあたり、まあ、この原作者の作る物語は元から断片を繋ぎ合わせて理解するしかないわけです。この映画は殆ど別物なのでそれでも理解できませんけど。   で、ビジュアルは思ってたよりはいいです。  モクモクと黒い雲からズドーンと髑髏の艦首を突き出してくるアルカディア号の迫力とか、未来世界の美術やガジェットのデザインとか。  ミーメはそのビジュアルと蒼井優の実力ある声とが相まってステキですわぁ。  全体的にキャラはゲームのムービーみたいな感じでしたが。  国産CGモノによくある白人コンプレックスっぷり、有紀螢まで白人顔っていうのはどうなのよ?日本映画なのにそこまで東洋人顔が嫌いか!とも思いましたが、これも原作者の描く女性がそもそも、ねぇ。   なんかカッコつけてるわりには情けなかったりバカっぽかったり、脚本の人の中にあるハーロック像ってこんなモンで良かったの?とは思う映画ではありました。
[映画館(邦画)] 4点(2013-09-20 21:22:44)
37.  奇跡のリンゴ 《ネタバレ》 
 近所のベンガル一家が「何か」を発見して呆然とする訳ですよ。そこで「リンゴの花が咲いたんだな」と判るのですね。そこにやってきた池内がさらに「何か」(花だろ)を見て呆然として夫婦の元へ駆けつけます。池内は「何か」(花ですね)について一切語らずに夫婦を急き立て、夫婦はバイクに乗って延々と山道を「何か」(花ね)に向かって移動してゆきます。やっと辿り着いたかと思うと二人は「何か」(花だって)を見るのが怖くて小屋の陰に隠れます。先に「何か」(花だ)をやっと見た菅野が驚いてみせて、そして阿部の番になってネットリと阿部の驚いた顔を見せた後にやっとやっと「花」が画面に登場。  馬鹿? 失笑と言うより腹立たしいくらいで。そこまで引っ張ってタメて「ほーら」ってやってみせなければダメなの?  まあ全編こんな調子。勿体付けてタメてゆくカットとベターっと表情を捉えた映像、久石譲のベタベタと甘いメロディに乗せて、家族の貧乏で大変な苦労話が展開する、カビの生えた邦画の見本みたい。   冒頭でバイクが爆走したりアンプ爆発ですっ飛んだりってバカ映画タッチが登場するものの、本編は全くタッチが異なり、かなりの部分が陰鬱な苦労話。その繋がりの悪さが全体の印象をおかしなものにしているような気がして。  阿部の人間性を面白おかしく描いた事が、結果的に特異な、異常な人間として映り、多くを犠牲にしてまで無農薬リンゴの栽培に執着してゆく姿に感動すると言うよりも「こいつおかしいだろ」と感じてしまい。  家庭を犠牲にし、自分だけではなく義父の身をも削り、様々な事が破綻し、その上で自殺という自己完結の道を辿ろうとする、それを「イイ話」として受け止めるのは、私には無理。だけど映画はあくまで「これは感動的なイイ話なんですよ」ってスタンスを崩そうとはしません。   村八分だとか出稼ぎに出て都会の若者に金を取られたりとかいう類型的な「イヤな事」も含めて、苦労から感動に至る道筋をギュウギュウと押し付けてくるような作り方は普遍的ではなくて単に古臭いだけだと思います。   離婚話を持ち出された菅野美穂が泣きながらご飯を食べるシーンなどいい味が出ているのですから、そういう素の人間臭さで占められていれば良かったのですが、常識外れのヘンな人間を韓流映画みたいなベタベタな感動タッチで彩った、実話を元にしながら作り物めいた一編という印象でした。
[映画館(邦画)] 4点(2013-06-20 16:16:06)(笑:1票) (良:1票)
38.  キャビン 《ネタバレ》 
 最近はどうも映画の煽り文句が大袈裟でねぇ。それに釣られる方も釣られる方ですけれども。   何か凝った、あるいは緻密な脚本で楽しませてくれる映画なのかと思ったんですよね。でもホラー映画の王道な人物配置と意味ありげな組織の存在が対比されて描かれてゆく序盤はワクワクして見られたのですが、それは配置された様々なキーアイテムに大ウケな地下室での「選択」までで。  以降、選択によって始まる「ソレ」に依存するような形でオリジナルな面白さを失ってしまう感じ。今更延々そんなベタな映像を見せられても(しかもドカン!って演出に関してはやたら凡庸)って思ってしまって。   クライマックスは急展開をしますが、その惨劇はドタバタコメディみたいだし、登場する黒幕は「またお前かー!」って状態だし(あれってネタとして有効なのは一度だけだと思うんですけど)、あのオチは物語としていちばん簡単な落とし方だし。「まーたセカイ系かよ!」って。最後まで見て結局バカ映画でした、って状態。  ここを楽しめないとかなりキツいなぁ、って。私は楽しめなかったんですよね。   これ、閉じてます。何か新しいモノを見せてくれるのではなくて、これまでホラーをいっぱい見てきた人に対して「ほら、こんなん面白いでしょ?」って内輪ウケみたいなネタを仕込んでばかりな感じ。それはそれで楽しかったりもするのですが、ホラーってジャンルは特に好きモノの間ばかりで閉塞してきちゃってる気がするんですよね。   『宇宙人ポール』は許せるのにこれには批判的って、矛盾してない?って感じですけど、あとはもう好みの問題(笑)
[映画館(字幕)] 5点(2013-05-03 17:12:58)(良:1票)
39.  巨神兵東京に現わる 劇場版 《ネタバレ》 
 ネットでの不評っぷり(要らない、ジャマ、その分ヱヴァに回せ、あの犬はないわ、アレのせいでもう一度見にいくのがツラい)が、業界が危惧するよりも早く既にその時が来ていたという残酷な現実を示しているようで。   3.11後の黙示録的な映画とも言えますが、むしろコレってミニチュア特撮の終焉を危惧している映画だと思うのですね。特番でこのままだとミニチュア特撮は終わってしまうという事が語られていましたし。  そこで「でも今、我々のウデをもってすればこれだけのモノができるんだよ」っていうのを示せていたのかっていうと、うーん・・・むしろ随分後ろ向きなモノを感じてしまって。  『のぼうの城』もこれも、樋口監督の中にある昭和版『日本沈没』への信奉ばかりが画面から迸っているようで、マンション倒壊を執拗に捉えた画などはひたすら過去の再現への拘りという感じ。   ミニチュア特撮における見立てや伝統や様式美やノスタルジーが今も通用する人というのはほんのひと握り。「メイキングを見なければこの素晴らしさは伝わらない」なんて後ろ向きまっしぐらな擁護意見まであって(映画は出来上がった作品が全てです)、この作品がその意志に反して逆効果と言うかハッキリと浮き彫りにしてしまった「ミニチュア特撮はもはや博物館行きな世界」という現実。  私自身は幼い頃に怪獣映画の洗礼を受けているのでミニチュア特撮が大好きで(『大地震』や『タワーリング・インフェルノ』『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』といった洋モノに走りましたが)、今回は『ゴジラ』『ガメラ』無き時代にあって久しぶりの特撮を楽しめました(だけどあの中二病クサいナレーションと文字は全く要らないと思います)。でも、その映像を見ていてやはり苦しいというか切ないというか「ああ、時代は移ったんだなぁ」という感傷が大きくて。   ハリウッドではミニチュア特撮とデジタルの融合が当然のように行われていて、日本のミニチュア特撮もそこへと至るのだ思うのですが(CGの方がよっぽどお金かかる場合も多い訳で)、邦画界は意外と応用力や柔軟性に欠ける嫌いがあるのは何故なのでしょう?  過去への拘りの一編でなくデジタル技術を加味した今日的『巨神兵』ならば、もう少しアピールできたような気もしますが。どうもその意地は『ヱヴァ』を見に来た層には通用しなかったように思えるのですよ。うーん。
[映画館(邦画)] 6点(2012-11-22 17:31:26)(良:3票)
40.  北のカナリアたち 《ネタバレ》 
 ひとつの事件をきっかけに孤独を抱え込んだ人々の物語。冬の北海道の美しくも冷たい風景を全編に散りばめ、過去と現在とを細かく切り取りコラージュしてゆく構成がじわりじわりと少しずつドラマを沁み込ませてきます。  ところが、やがて作品の骨子が明らかにされてゆくと共に、どんどんと疑問符が浮かんでくるような感じで。正直に言ってしまえば「え~、そんな話なの~?なんだかなぁ」っていう状態。  んー、どうなんだろう、最初に真相を隠して少しずつディティールを見せる事で徐々に全体が見えてくるという構成が、生徒達の抱えた孤独、罪の意識、心の痛みを明らかにしてゆくのには有効なのだけれども、先生の真実についてはむしろ逆効果な感じがして。  先生が酷く無責任な人に思えて仕方ないんですよ。夫や警官に対する感情が、その描写が少ないためにあまり伝わって来なくて、生徒達を放り出して逃げ出したという部分ばかりがしっかりと焼き付いているような感じで。そのための贖罪の旅の映画であるとも言えるのですが、むしろ彼女自身の解放の面が強い気もしますし。  あの警官の存在が及ぼした影響の大きさに比べてあまりに警官そのものが曖昧な、影の薄い描かれ方をしているというのもドラマを描く上でバランスを欠く要因になっている気がします。ミステリアスである事を優先したのでしょうけれど。   吉永小百合の意外なまでの無理の無さ(20年前の過去シーンなんか普通は無理がありそうなものですが)も去る事ながら、若手実力派の面々が競いあうような存在感で魅せてくれます。それに比べて『あぶない刑事』の二人の冴えなさっぷりったら。役柄ゆえに仕方ないのかもしれませんが。   風景映像が素晴らしいし、ラストは感動的ですが(ちょっと強引ではあるものの)、そんなキレイなパッケージにくるまれた中身はそのドラマを納得させるだけの説得力に欠けるものだったように思いました。
[映画館(邦画)] 6点(2012-11-12 06:39:18)
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