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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  騎手物語 《ネタバレ》 
ジョン・フォード「香も高きケンタッキー」に匹敵する唯一の競馬…いや馬を撮った作品かも知れないボリス・バルネット「騎手物語(オールド・ジョッキー)」。とにかく愉快な映画だ。  フォード作品がジョージ・シュナイダーマンたちなら、バルネットはコンスタンチン・クズネツォフ(Константин Кузнецов)たちがあの素晴らしい撮影を手掛けたのである。 クズネツォフはレフ・クレショフ等と組んで「掟によって」や「偉大な慰め手」「ゴリゾント」「ドフンダ」「四十の心」「視力の奪取」を撮ったが、その実力はバルネットとの仕事でも存分に発揮された。   冒頭から馬、馬、馬が猛烈な速度で走って走って走る様をキャメラが喰らい付き追い続ける場面から始まる。サイレント映画のような早回しが凄まじい速度を引き出す。  古代の戦車のように巨大な車輪が付いた椅子に坐す繋駕(けいが)、それを引っ張り駆け続ける馬、吹き付ける風、なびくたてがみ、疾走を見守る競馬場の群衆。馬がゴールに近づこうというところで歓声が入り、1位の者に賞賛を、最下位には罵声を容赦なく浴びせる賭博者たち。てめえで賭けといて文句しか言えない連中に目の前で罵られるのだ。たまったもんじゃない。  回転扉は幾度も出入りする人々によって回されていく。主人公の老騎手、それのライバル的存在である黒いゴーグルをかけた老練騎手がカッコイイ。   勝負は競馬だけじゃない。腕相撲、祖父を思う孫娘がスカートのままパラシュートを付けて降下する時も群衆が取り囲んで見守る。このマリヤが元気で可愛い。   自転車乗りの少年はパンクしたタイヤの交換を手伝い(その直後に発進してまた事故るオバサンに爆笑)、床屋はバリカンで髪を刈り上げる(正面を捉えたキャメラがそのまま後退し鏡のように理髪師と客を画面に収める)。   列車に揺られて向かう街、子供だけが知っている落書きだらけの“抜け穴”、回転扉から飛び出した先で抱き留める再会、挨拶代わりに交わされる頬への口づけ、ミルク缶の一杯。  マリヤが興味あるのはお爺ちゃんのレースだけ、それまではレースにありったけのモンタージュを叩き込み素早く終わらせ、結果だけを映し賭博者たちを一喜一憂させる。  何も知らず美味しそうなスープとパンをムシャムシャ食べ、気づけば机の上は高そうな料理と酒瓶だらけ、相席になった女性に全部押し付けてトンズラする食い逃げ、注文を受けせっせと料理を運んできたウエイターはタオルを鞭のように叩き少女に迫る。それで食事代のために券を買って賭けてしまうのが面白い。  彼女の視点だからレースの始まりから終わりまでの過程をたっぷり見せつける。競走馬たちが一斉に振り返り、振り下ろされる旗とともに速度をあげてスタート。追い付き、抜かれ、また追い付きと横移動でひたすら捉え続ける手に汗握る瞬間。  思わず一緒になって拳を振り上げ、体を震わせ、ハラハラし、嬉しそうに向き合ってしまうウエイター。下げようとする酒を全部ミルク缶に入れて持って帰ろうとする彼女を手伝ってしまいサービス精神旺盛な良いオッチャンです。  ビリヤード場での休息と温度差、サングラスと手をあげて行方を教えてくれる紳士振り、哀しいパーティー、決意を覆す“出会い”。  馬が草をむしり家の中に朝日が差し込む湖水の夜明けの静けさ、起き上がり慌てて盗んだ馬車で走り出す激しさ。追う方も壁を乗り越え鶏を飼っている囲いの中に落ちながら塀を薙ぎ倒し川の中まで走って横断してしまう。   群を一斉に水辺へ走らせ、水を浴び、体を洗い、窓辺で馬を撫で、たてがみをとかし、ブラシをかける馬の世話ののどかさ。何度もやらかしたオバサンまで水をかけて餌を食べさせる世話をしてくれる微笑ましさよ。あまりにやらかすのでキャメラにすら呆れられたのか事故を映してもらえなくなる。トコトコ大きな馬の跡を付いていこうとして引き返す仔馬が可愛い。 へし折られる鞭と木の枝、乾杯。  馬車に揺られながら談笑し、馬が泥だらけのボロボロになる珍騒動、世代交代。   指を握り、蹄の音が轟き、影、暴走、卒倒、声援に応えるように猛然と追い上げるラストスパート!   花束を貰うのは勝利を祝うのではなく愛する人に捧げるため、扉が回転し続けるのは恋人たちを一緒にするため、サングラスを外すのは視線と言葉を交え握手をし健闘を称え合うために。
[映画館(字幕)] 10点(2016-11-19 01:40:17)
2.  キートンのカメラマン 《ネタバレ》 
キートンの傑作は数多くあるが、俺が一番好きなキートンはこの「カメラマン」! 他のアクションが凄い傑作群に比べると地味な印象を受ける人もいるだろう。でも俺は群衆に始まり群衆に終わるこの映画が大好きなんだ。 まずキートンの出で立ちからして面白い。ベレー帽を被り、使い古された三脚付きカメラをまるで機銃でも抱えるように持ち運ぶ。三脚は容赦なく人に襲い掛かるし事務所のガラスも割ってしまう凶器と化す。 それを支える可愛らしい二人の“相棒”とのやり取りも楽しくてしょうがない。 一人は冒頭偶然出会ったニュース班務めの美しい女性で、情報面から彼の孤独な闘いを支える。 もう一人は街中で偶然出会ったちっこくて素早い気の利く可愛い奴だ。傍らでここぞと言うときに助けてくれる頼れる存在。 冒頭出てくる戦場で命をかけるカメラマン、だが人の住む都会でニュースを追うカメラマンたちも命懸け。 何も無い広場をあっと言う間に埋め尽くす人の群れ!津波のように押し寄せるスペクタクル、そんな場所で出会った女性を追ってキートンは街角カメラマンからニュースを追う記者へと変わっていく。 彼女もまた彼の優しさに同情して良い情報を流してくれるが、失敗が続いて中々上手くいかない。それでも諦めず次に進もうとする無邪気さ。彼女とのデートはとにかく愉快だ。 バスに乗ろうとするが押しのけられ必死でバスの外にしがみ付く、落ちても全力で追いかけ飛びつく。 プールの脱衣所でおっさんと揉みくちゃになるシーンは爆笑。 マーセリン・デイの水着姿は可愛くて色っポイ。こりゃ男どもも群れを成すわな。 終盤のマフィア同士の熾烈な抗争を掻い潜り暗黒街を駆け抜けるシーンも凄い。 心強い“相棒”と共にカメラを回し続け、落としたナイフをもう一度握らせ殺し合わせたり柱が倒れようがマフィアに機銃やナイフで狙われようがそれを全力で回避しつつ撮影を続けるカメラマン魂。 それでも報われない努力、でも報われなくたっていい、惚れた女のために暴走した船が水上を裂くように走る現場に飛び込む勇気。 「蒸気船」の時といい、何も言わずにすぐさま他人のために行動できるキートンはカッコ良い。 その真実をスクープした“相棒”の存在!キートンが他者に助けられるという人間臭い一面も見せる面白さ。総ての真実が明かされた後、まるで二人を祝福するかのように現れる人々の群れ。
[DVD(字幕)] 10点(2014-03-13 00:24:29)
3.  96時間 《ネタバレ》 
この映画は、孤独な男が娘を見守り続ける平穏から始まる。  誕生日、ビデオ、母と娘を映す誰かの視点・暗い部屋で見つめる写真。 プレゼント、パーティー、抱擁、繰り返される撮影、馬、プレゼントの差。  扉を開けたら押しかける仲間たちの慰め、護衛仲間とトランプ 電話。   激しい戦いが起こるだろうと期待を抱かせるのは、10分を過ぎた辺り。 優しき父親は危機を察知すると仕事人の顔つきになり、キャメラも微かに揺れ出し不安を煽るようになり、押し寄せるファン、影に潜む刺客を取り押さえ守り抜くボディーガードの身のこなし。  一息、カフェで家族団欒…できない渡される紙とペン。  地図、別れの撮影、「電話してね」とお父さんは心配なのです。  ナンパ、観客に予告してしまうもの、「裏窓」さながらに窓の向こうで目撃するもの、嘆きを聞いて即座に行動に移るプロフェッショナリズム、アドバイス、ベッドからの視点・叫びだけが伝えるもの。  繰り返し聞いて得ようとする手掛かり、募らせる憎悪。  手掛かりを得るためなら壁を這いガラスをブチ破る! 残されたもの、推理、想像、情報収集、“鏡”に映っていたもの。  初対面に鉄拳浴びせまくる捜索者、巻き込みまくる大迷惑、狩人は車の中でとっ捕まえて殴りながら尋問、車を盗みまくる追跡、犯人も橋から飛び降りてまで必死、空回り。  女に執拗に絡むのは獲物を吊り上げ“信号”をつけるため。  腕に刺されたもの、布に覆われたもの。巻き込まれた女、女、女たちの顔、顔、顔。  斜面を敵の車ごとブッ転がしながら駆け下りるチェイス、窓に落ちるもの、壁だろうが建物ごとブチ破る。中指を立てる報告。 配線イジッてまた盗車。  ハンガーを折り曲げて吊るす治療、電話の行方。  手に刻まれた印、取り引き、声の“一致”。  机をひっくり返し、敵の得物で大暴れっ!!容赦なく拷問、膝にブッ刺す電気椅子、唾には電流でお返事、放置プレイ。  洗面所に隠していたもの、手から顔面に浴びせるもの、容赦なく引き金を引く覚悟、平手打ち。  オークション、窓の向こうで見たもの。  買い物、お約束…あるいは娘を救いたいがために信じられないパワーを発揮したのか、蒸気。  橋の上から船に飛び乗り、武器を手に入れ、扉の窓、扉越し、閉鎖空間における一騎打ち。  敏を割りまくり、足を引きずってでも迎えに行く!  締められる扉とともに終わる物語。  制作はあのリュック・ベッソンだ。 「レオン」で「リバティ・バランスを射った男」のクイズをジャン・レノに出題させたあのベッソンである。 ベッソンと監督のピエール・モレルはジョン・フォードの傑作「捜索者」も見ているに違いない。
[DVD(字幕)] 9点(2016-12-15 04:18:44)
4.  君の名は。(2016) 《ネタバレ》 
新海誠の映画で最もわかりやすく、血が騒ぐ傑作。  誰もが、何かしらの夢を見たことがあるのではないだろうか。まだ大人じゃない人も、大人になった人も。見て、抱いて、憧れて。  え?夢なんてもう見なくなった?抱く夢も憧れる夢も無くなってしまったって?  だったら夢を叶えて現実(本物)にしちまえばいい。ダメで元々、でも本気で叶えたくなったら…とにかく走ってしまえばいい!  この映画の少年少女は、流れ星を見てイチイチ願い事なんてしない。  手をつなぐだの、抱き合うだの、キスするだのそんなまだるっこしいことなんてしない。 なんせ目覚めた瞬間におっぱいを揉みまくるんだからな。 え?何を言っているか解らないって?俺だって最初ワケがわからなかったが、面白いんだからしょうがない。   冒頭、少年少女の語り、夜空から糸…いや光の線が水面に落ちるように雲を突き破り降り注ぐ。  夜空を奔る星を下から眺め想いを馳せる…そんな人々が“線”で突然結ばれてしまう。  結んでほどいてを繰り返す紐、地図に引かれる線、頬を流れ落ちる涙、襖が奔りまくる敷居、移動と出会いを繰り返す列車、指に嵌められた輪。  胸を揉みしだくのは、服を脱いで裸になるのは、股間に触れるのは、肉体にメッセージを残すのは自分の状況を確認するために。  がんじがらめの学生生活、嫌々の口噛み酒、たっきー「言い値で買おう」、早く大人になりたい、憧れの町に行きたい、自分を変えたい、男らしいイケメンになりたい…そんな少女に何処の誰だか知らねえが素敵な夢と変態生活がプレゼントされる。  大林宣彦「転校生」から受け継がれる奇妙だけど王道まっしぐらな物語。  何が何だかわからない、でも謎を解き明かすために行動していくしかないという強靭な意思。 スカートが切られたら素敵な刺繍をしてやればいい、カフェが無いなら作ってしまえばいい、好きになっちまった女の陰口には机を蹴飛ばして返答・見返してやりゃあいい。  頬の傷の理由が何となく解き明かされていく感じが良いな。アイツはそいう奴なのだ。 だがおっぱいは毎朝揉む。アイツに悪いかな(妹の眼前で揉み続ける)  日記を手紙のように託し合う日々、距離は縮まらなくても深まる気持ち、好きなクセに譲り合っちゃう女心、優しい先輩と親友(おホモだち)、絵や日記を書くのは忘れられないから・忘れないために、会いたくなったら会いに行っちまえばいい。  ルンルン気分の観客を石で殴りつけるような穴、穴、穴の出現、煙草でも吸わなきゃやってらんねえ。  内ヶ島氏「クソッたれがあっ!」  消えていく記録と記憶…いや、たとえ何もかも消え去ろうとも受け継がれるものは受け継がれ、届くものは届く。それを見つけ引き継いでいける人間の可能性は刻だって超えられる、運命だって変えられる!  無我夢中で斜面を登るのは、自転車をこぐのは、とにかく走って走って走りまくるのはただただ会いたいがために。  幾度も響く魂の叫び、共犯するのは友達を助けるため、穴の数が語る過去と未来、すれ違う想いをめぐり会わせる光と影。新海作品名物の風景描写も最高潮!  コケまみれだろうがおまえのだったらいくらでも飲んでやる! いくらでも揉んでやる!! いくらでも髪を結んでやる!!! 変態呼ばわりされたっていい、だから忘れないで、忘れてもいつか思い出してくれればいい…。  野郎オオオォォォ名前を言えっつってんだろうがアアアァァァッ!!!!!変なこと書きやがって…立ち上がってまた走り出してやんぞオラアアアッ  少女は、雄々しく走り続ける。最愛の人たちを救いたいから、何よりもう一度会いたい人がいるのだから。
[映画館(邦画)] 9点(2016-09-26 21:57:01)(良:2票)
5.  霧につつまれたハリネズミ 《ネタバレ》 
霧につつまれたハリネズミ(霧の中のハリネズミ)。ノルシュテインによる摩訶不思議な短編だ。  夜空を背にした黒いシルエット、野を歩いてくるハリネズミ。彼は時折上を見たり、辺りを見回したりしながら野を歩き続ける。 黒く染まった木々、ハリネズミが出会う蝶の群、巨大なフクロウ、水面に映る体躯、井戸?の底への挨拶、草木をかきわけるように進み、小高い丘の上で遭遇する白い馬、霧が拡がる空間に吸い込まれていく。  霧の中を手探りで進む好奇心と恐怖、恐怖を煽るヴァイオリンの旋律、不意に落ちてくる木の葉、遭遇するカタツムリ、象、馬、コウモリ、蝶、フクロウ、犬。 木の枝で探る正体、繰り返される叫び、荷物の行方、飛び回る光、迫り来るものが渡す贈り物、飛び込んだ先で拡がる波紋、川に運ばれながら眺める夜空、怖いけど頼もしい「背」との出会い。  待っていたもの、夢だったのか幻だったのかわからないものへの想いで頭がいっぱい、夜空を眺める二人の背中。
[DVD(字幕)] 9点(2016-09-04 05:37:18)
6.  キングスマン 《ネタバレ》 
ヘリの攻撃に始まり扉の開閉で締めくくられる死屍累々スパイ映画の快作。歴代のスパイものを彷彿とさせる遊び心と活劇性、そのエンターテインメントへの挑発もふんだんにブチ込む反骨精神。 「キック・アス」から本作でも描かれる親子・師弟関係・何処にも属さず己の道を突き進む強靭さ・復讐・乗り越えるものと受け継がれる意思。 ある者は自分を命懸けで救ってくれた者のために、ある者は自分に進むべき道を示してくれた恩師のために。  スパイという情報を集め、時に非情な選択を迫られる生きるか死ぬかの大仕事。どんな手段を使っても孤軍奮闘で目的を遂げようとするプロフェッショナリズムと魅力的な隠し武器たち。 洋服屋を重火器の詰まった秘密基地に、空を飛び交う飛行機が地上に留まり最前線基地に、酒を毒酒に、眼鏡を盗撮カメラに、傘を鈍器と射撃武器に、時計を麻酔に、指輪を電撃に、ライターを爆弾に、靴をナイフに、義足を刃に変えて全力で駆け抜けブッ殺し合う!  ダイナミックお邪魔します&いらっしゃいませ一刀両断、盗んだ車で逆走チェイス、屋根から屋根へ飛び乗る逃走劇、傘で不良軍団フルボッコ、命懸けのスパイ養成学校、突然襲い掛かる水水水、犬に厳しいスパイ業界、犬に優しく裏切者にゃ容赦なし、壇上に飾られた“相棒”が覚悟を物語る、車を操るのは無駄な争いをさせたくないから。 教会から全世界、全人類、全性別が人種や言葉の壁を越えて殴り合う大スペクタクル!腕があったら取っ組み合い、木材があれば打ち下ろし、刃物があればドアを破壊し投げつけ、頭の中に爆弾あったら大爆殺!!!一体何回爆発すりゃ気が済むんだこの映画はっ!?(褒め言葉) ダイナミック不謹慎花火大会で俺の腹筋も木っ端微塵になってしまった。 鏡も人工衛星もブッ飛ばし、美女の穴の中にも潜りこ(ry  「ジェームズ・ボンド?ジェイソン・ボーン?」 「ジャック・バウアーさ」  夢も希望もなく生きていた不良少年が、生きる道を見つけたスーツに身を包むエージェントになっていく成長振り。エグジーが覚悟を決めた瞬間だ。でも根っこが変わらないところがいい。 スーツに返り血を浴びた後にその場で酒瓶を掴み女をくどきに行っちまうんだからwwwロキシーとのフラグなんてなかった。 あと訓練から裏方、ライフル抱えて援護射撃までこなすマーリンの頼もしさ&気遣い振りに惚れる映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2016-05-07 01:44:54)(良:1票)
7.  彼奴(きやつ)は顔役だ! 《ネタバレ》 
「白熱」ほどの凄まじさとパワーは無いが、ラオール・ウォルシュ特有のスピーディーな展開とドラマで一気に引き込まれる。 中盤における倉庫襲撃シーンは豪快だし、レストランにおける流れるようなアクションも見事。 極悪人の筈のキャグニーが持つ銃はあくまで「脅し」であり、この頃冷酷な殺し屋だったボガートの持つ銃は「殺人の道具」だ。 この映画のキャグニーは正に「汚れた顔の天使」なんだよな。表向きは極悪人だけど、本当は誰よりも優しさを持っている。  そんな彼が倒れるラストシーンは、とても切なく哀しい。  マイケル・カーティス&ベン・ヘクトの「汚れた顔の天使」もメッチャ良いです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:48:40)
8.  銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲<オーヴァチュア> 《ネタバレ》 
OVA本編の1・2話+複数話に相当する部分。 本編がやや急ぎ足のダイジェスト風に対し、本作はヤン、ラップ、ジェシカ3人の徹底的な掘り下げをしてくれた。  OVAでいきなり死んだラップを知る者は、この映画を見ればラップとジェシカへの思い入れがさらに強まるだろう。  作画はOVAも後期に差し掛かっていた時期で、初期に比べると硬さが減りかなりソフトな仕上がりになっているが、その分絵、の柔らかさや温かみが増したとも言える。 それでも初期の作画を意識した描き込み振り。 パエッタ中将の安定感は異常。  それぞれの考えで「親友」を救いたいヤンとパエッタの考えはすれ違っていく。 その立場で無い者にしか解らない葛藤。  ラインハルト陣営も結構掘り下げ、メルカッツやファーレンハイトといった各提督の肉付け、OVA本編で活躍する他の人物も何名か登場している。 OVAファン向けのサービスが多い。  OVA本編でも最大の山場だった「指揮官の交代」。 敗北寸前まで追い込まれた自由惑星同盟の面々、 負傷者の救護と立て直し、 そして迎えるクライマックス・・・二人それぞれが迎えるラストへの流れ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-21 21:38:42)
9.  ギルダ 《ネタバレ》 
本作は恋愛映画とフィルム・ノワールの狭間で揺れるようなラブロマンス。 ナチスを絡めたストーリーは戦後のモダニズムを捉えていたりするから不思議。 本作はまた3人の男女を軸にストーリーは展開される。 細かいセットやギミックなど随所に凝られた演出、ベン・ヘクトの見事なシナリオはまったく飽きるという事をさせてくれない。 ジョニーの賭博から始まるファーストシーン、ジョニーの危機を颯爽と助けるベイリンの登場、そして妖艶な美女ギルダ。 男勝りで肉感のある女優リタ・ヘイワース、これほど彼女の個性と役柄がハマッた作品は無い。グレン・フォードの演技も最高。 過去に愛し合った男女二人。 別れてみればジョニーは賭博に明け暮れ、ギルダは危険な男と床を共にする生活を送っていた。 変わっていないのはギルダの美しい歌声と力強い踊りだけだ。 皮肉にもジョニーの命を救ったベイリン・マンスンはギルダの夫だった。 未練が残るジョニー。本当はギルダとよりでも戻そうかと積極的になりたいが、恩人のベイリンの手前未練をしまい込む。 ギルダもジョニーとまた一緒になろうかと思いつつ、ジョニーの気持ちを知ってか知らずか他人の男と一緒にいる光景をジョニーに見せつける。 それを黙って見つめるベイリンの不気味なこと不気味なこと。 ベイリンの右腕として頭角を表すジョニーだが、命懸けの日々からいつか抜け出してやろうと野心が芽生えてくる。 ギルダもジョニーに急接近し、ベイリンもまた自分の命を守るために逃げようとする。 様々なドラマが交錯し、3人は己の希望を満たす結果となった。 ただ心は満たされない。 ジョニーはよりを戻したとはいえ、恩人の元妻となったギルダに複雑な気持ちを抱く。 ギルダもまたそんなジョニーに対して申し訳なさそうな後ろめたさを感じさせる。 ギクシャクしながらも再び元の仲に戻ろうとする二人。しかしベイリン! この男もまたギルダを愛していたのだろう。 ラストはちょっとベイリンがマヌケすぎて何だか可哀想になってくるのだが、際立った演出はそれを感じさせない。 つうか帰ってくんなよ。一番未練タラタラだったのコイツじゃねえか。 「愚なる妻」のカラムジンかおのれは(ハゲ具合まで一緒)。 その後の刑事な粋な対応、ハッピーエンドなラストと中々の作品だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 22:13:19)
10.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
世界恐慌直後のアメリカ。 職にあぶれた人間でごった返す当時の情勢は、その後の第二次大戦の暗い影も見えてきそうだ。 冒頭こそ淡々としすぎる映像だが、島に入ってからその面白さは加速する。 怪しげな原住民の儀式、 巨大な砦、 そしてそこに君臨する巨獣キング・コング! ねんどや人形のコマ撮りで動かしているとは思えないほどの動きと迫力! コングに掴まれたり身ぐるみ剥がされたりで叫びまくる女優の演技もリアルで凄い。 子供の頃は「何でゴリラと恐竜が戦ってんだよ」と理解に苦しんでいたが、今見るとその細かい戦闘描写に見入ってしまう。 コングからヒロインを奪還すべく追う主人公たち、ヒロインを守るコング。 そして事もあろうに、何とコングは人間の手で島からニューヨークに連れていかれるのだ! 安易な思い込みが命取りとなる。 何と愚かな事だろう。 ヒロインを見つけて拘束具を安々と外し逃げ出すコング。 コングはヒロインに惚れてしまったのだ。 セルズニックの演出には常に「愛」が存在している。 後年の「レベッカ」、「風と共に去りぬ」、「白昼の決闘」、「第三の男」における三角関係・・・心が怪獣にはあった。 人間のような感情がコングにはあった。 人間と同じように、コングも赤い血の流れた生き物なのだ。 ただ、コングの純粋な恋心も、人間には恐ろしい化物が叫ぶようにしか見えないのだろう。 コングは戦った。たった一匹で勇敢に戦い、壮絶に散って行ったのだ。 コングの遺体の傍で、コングを捕らえた男が一言漏らす。 いつの時代も、一番の原因となった悪党が生き残るのが世の常だ。 本当に恐ろしいのは、こういう人間なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:06:44)(良:2票)
11.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 《ネタバレ》 
俺が子供の頃、猛烈に熱狂したのがこの「ガンダム」だった。 小2の頃にやったBSでの劇場版三部作再放送。BSは「パトレイバー」や「七人の侍」、チャップリンやヒッチコックにも出会えた感謝してもしきれないチャンネルだ。 俺にとっては劇場版のスピーディーな展開が「ガンダム」だったし、小5の頃に見たTV版の「ガンダム」はちょっと退屈してしまった(それでもグフ戦とかズゴック戦とかギャン戦とかスッゲーのよ!) 古ぼけた画面がかえって新鮮だったし、今見ると変テコリンな服装や髪型、モビルスーツのデザインも良い意味で“時代”を感じた。 デブのオッサンかと思ったリュウが誰よりも仲間思いで、チームを引っ張って、後輩のために死ぬ覚悟もある男の中の漢だったり、 ブライトが白目の無いクソ野郎かと思ったら、苦労を背負い込む本当は優しい大人だったり、 スレッガーの覚悟を決めたセリフと行動・・・・ガンダムからは色々学んだ。あの頃は。 ガンダムが起動するシーンは今見てもワクワクするよ。 ビームサーベルがザクの心臓部に深々と刺さっていく描写、テキサスコロニーでの一騎打ち、エルメス戦、ソロモンでの死闘の数々・・・そして倒れ様に敵を撃ち抜くガンキャノンのカッコ良さよぉ!! 「ラスト・シュート」が一番の名場面だけど、俺は心も体も成長したカイの奮闘が一番心に染みるぜ。 俺個人は富野の最高傑作は「イデオン 発動篇」だと思っているが、終わり方は「∀」や「ザブングル」と並んで一番好きだ。 ラストの曲は最高に卑怯だ。安彦の美しい絵も卑怯だ(80年代の安彦は神)。あと永井さんのナレーションも。合唱・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 19:01:26)
12.  銀河鉄道の夜(1985) 《ネタバレ》 
タイタニック号(細部は違うけど)から乗船してきたメンツ以外みんな猫になってしまったファンタジー。  ますむらひろしの可愛らしく躍動的なイメージの絵、細野晴臣の幻想的な音楽。  ストーリーは原作に沿っているが、あの宇宙空間に飲み込まれるような美しさ、絶望感、終盤の“別れ際”は或る意味原作以上のものがあるかも。この辺は映像で味わえる映画ならでは。 つうか船の件で乗ってきた女の子がスゲエ可愛い。  カンパネルラ~!
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:27:07)
13.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
日本映画の黎明期から活躍を続けた内田吐夢の傑作サスペンス。  マキノ省三が日本のD.W.グリフィス、 衣笠貞之助が日本のセシル・B・デミルなら、 内田吐夢は日本のキング・ヴィダー! どんな地味な題材でもスリルを帯させダイナミックに描いてしまうのだ。  「土」や「限りなき前進」なんか正に究極の地味映画。  本作は3時間という長さを感じないスリルに満ちたドラマ。  戦後の台風や火災から一つの殺人事件が浮かび上がってくる。  強盗事件が様々な人間や街一つを焼き尽くすほどに膨れ上がっていく。  だが一度強盗に手を染めた人間は何処まで行っても警察の影が付きまとう。  女を助けた男、愛されていると信じた女、それぞれの顛末。  「限りなき前進」「土」「大菩薩峠」と多くの名作を残した吐夢監督。  本作は邦画黄金期の終焉が迫った65年に制作された。  水上勉の原作を映画化した作品はこの後も多く作られたが、原作の緊迫感を如実に映像化した作品はこの内田吐夢の映画だけであろう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:10:59)
14.  銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 《ネタバレ》 
田中芳樹が描く壮大なSFバトルサーガ「銀河英雄伝説」。  100話を超えるOVA本編を前に、真っ先に観たいのが本作。  田中芳樹の原作はSFのクセにテキトーすぎる描写や設定が多く、宇宙なのに平面的な戦闘とツッコミどころ満載の作品だったが、それでも骨太の人間ドラマと戦闘の凄絶さが魅力。  それをこの映画は、不明瞭だった観戦の造形、空間戦闘、艦隊同士のぶつかり合いを最高最強の作画! 原作の想像を遥かに超えた迫力で描くのだ! 本編の初戦は恒星での息詰まる空中戦。 宇宙での上下空間を上手く利用した醍醐味がある。  登場人物も神がかった作画で描かれる(唇リアルすぎだろというツッコミはこの際ヤボだ)。 自由惑星同盟からは ハチャメチャな猛将パエッタ、 智将ヤン・ウェンリー、 愛弟子アッテンボロー(原作に先駆けてラオの代わりに登場)、 強運の憎めない艦長のニルソン。  それに対する銀河帝国。 知勇兼備の若き獅子ラインハルト、 それを支える超人キルヒアイス、 頼れる部下のロイエンタール、ミッターマイヤー、メックリンガー、艦長のシュタインメッツ。 土師メックリンガーも素晴らしいが、戸次メックリンガーも気品があって男らしい。  ミュッケンベルガー元帥も面白い役どころ。  これに続く戦いが「新たなる序曲」でも描かれるので、OVAシリーズの前にそちらも先に観て欲しい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 21:45:37)
15.  祇園の姉妹(1936) 《ネタバレ》 
溝口健二にしてはちょっと押しが弱いかなと思った。 ちょっと押しが弱い気がする。 他の作品に比べると(同時期なら「浪華悲歌」とか)キャラの印象を薄く感じる。 ただ、溝口健二の最盛期だった1920年代~1930年代(淀川長治いわく)の名に恥じない作品であるのは確か。 登場人物もそんな感じに抑圧されている印象が良かった。 人物のクローズアップが滅多に無いので、ロングショットの迫力と美しさはスクリーンで楽しみたいものだ。 特に本作は「唐人お吉」の梅村蓉子、山田五十鈴の若く美しい事だけでも楽しめるし、クローズアップされた山田五十鈴の笑みが良い。 若い二人の姉妹は芸妓と一見すると性を自由に謳歌するようなイメージがあるが、実情は幼い頃から芸妓として生きてきた抑圧された面を覗かせる。 普段は着物で“縛られ”、時折の洋服姿は解放された女性像を感じさせる。 この和服/洋服が最も共存し、女性が自由になろうと背伸びしていた戦前の日本。 貧しく辛い身の上、更には女性軽視(嫁が男を尻に敷いている家庭も結構あったけど)が当たり前の時代。女性は慎ましくも自由になろうと抗う強さと美しさを持っていた。 和服と洋服が共存するという映画は、日本じゃなきゃ撮れない独特の美意識を感じさせる。 そんな抑圧された女性ほど魅力的で怖い者は無い・・・! 本作は姉妹でそれぞれの男を取り合い決裂、男を振り回した女は仕返しを受けるし、男の方も手を出してタダでは済まない。 時代に押さえつけられた女の主張、男として何でも強く生きなきゃならない男の主張、どちらも意地の張り合い。 気持ちは解るがどっちもどっち、男も女も勝手だよと、そんな感じがよく出ている映画だねえ。本当溝口はこういうの描くのが上手い。 溝口独特の飽きそうで飽きさせない絶妙な“間”、 映像の切り替えが結構あるし、印象的な長屋のロングショット、美人二人に酌を受ける先生の満更でもない表情、酒に酔った先生が今で言う“逆ナン”的に誘拐されたり、終盤の車の窓越しの夜街のロケーション、直接的な描写を見せずとも伝わる袋叩きにされた娘の悲痛。 悲惨でもあるけど、「そうなってもしゃあないわ」と何処かユーモアすら感じてしまう。  仲違いしていた姉妹が結局仲直りする様子は微笑ましくもあり、「負けてたまるか」と叫ぶ妹の姿は痛々しくもあるし力強さも感じられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-15 23:07:11)
16.  CUBE 《ネタバレ》 
冒頭から胃を締め付けられるような作品だ。  彼らは何故ここにいるのか。 ここは何処なのか。 そしてこの「キューブ」は何なのか。  解らない事だらけの恐怖、飢えと焦り、疑心暗鬼、「間がさす」瞬間の恐怖・・・密室でこだまする人間の狂気をたっぷり味わえる。   キューブ内の様々な仕掛けで凄惨な最期を迎える人々。とにかく息苦しく油断ならない映画だ。疲労感がハンパ無い。 その謎のまま終わる恐怖を「キューブ ゼロ」で総て種明かししてしまうのは最悪と言っていい。こういうのは何も解らないからこそ面白いのに。 まして「ソウ」みたいに犯人がベラベラネタ晴らししてしまうのも台無しだ。その点では、ワケの解らないまま死の恐怖にさらされるこの映画の方が遥かに面白いのです。  DVDに収録された短編「Elevated」も怖かったっす。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-14 20:29:20)(良:1票)
17.  キートンのスケアクロウ(案山子) 《ネタバレ》 
キートンは短編でも「文化生活一週間」といった傑作群があるが、本作「案山子(The Scarecrow)」もアイデアに満ちたそんな傑作の一つ。  太陽が昇り、虫歯に悩むキートン、それを見つめる太目の相棒。 相棒はキートンの虫歯とドアノブを繋ぎ抜こうとするが・・・この変のやり取りからして面白い。  その後の“朝食”シーンは笑いよりもそのアイデアの豊富さに脱帽。  レコード盤は朝食を焼くガスになり、上からはティーバックや塩やこしょうのオプションが降り注ぎ、ベッドはピアノに、イスは農場への肥料や水を運ぶ注ぎ口となる。  バターといったものも専用の“車”に入れられ移動し、酒瓶もヒモによって宙を飛ぶ。 「海底王」でもこれに近いギミックが後半出て来た。やっぱりキートンのアイデアは面白いし、見ている方も凄い楽しい。  後半はそんな家のアイテムを活かすシーンが少ないのだが、それでも農園の娘をめぐる父親とのやり取り、“狂犬”との追いかけっこが父親やキートンの事を思っていた相棒すら敵に回して大騒動、娘さんのバレエの真似をする可愛らしさ、家の内部での騒動も激しい出入りで3回に別けて脱出口を開いたり、藁の山に揉みくちゃにされてシャツとパンツ一枚になるキートン、怪我が絶えず不憫な相棒、“案山子”になって追っ手を交わすやり取り(その案山子から酒を拝借)、逆立ちで河渡り、“馬乗り”失敗、盗んだバイクで走り出し神父もかっさらってウォータースライダー張りの飛び込みで求婚とジェットコースターみたいな詰め込まれ振り。 車が一瞬いなくなった瞬間をすり抜ける時のスリルも地味に怖い。  家でのやり取りをもっと見せて欲しかったが、それを抜きにしても充分すぎる傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 05:38:01)
18.  銀河鉄道999 《ネタバレ》 
松本零士の夢と希望が詰まった銀河鉄道999。 りんたろうの手腕、ネームバリューだけと言われるが市川崑もカットの繋ぎをテンポ良くしたり無駄なシーンを徹底的にカット等、りんたろう以上に編集をしたらしい。その結果かどうかは知らないが、本作の流れるようなストーリー展開は素晴らしい。  パラレルワールドであるが、原作よりもシリアス色の濃いストーリー、機械化の波に抗うため人間として生きるハーロック、エメラルダス、アンタレスたち。  遠く離れた仲間や家族に会いたいと願うトチローとメーテル。  機会に憧れる鉄郎の顔立ちも、幼い子供から成長した少年の表情となっている。  徹底的に無駄を削いだストーリー、次々と散って行く仲間たち。  それでも「引き金を引く覚悟」を決めた鉄郎に同調して散って行くのだ。 無駄死にでは、ない・・・!  ラストに流れるゴダイゴの「The Galaxy Express 999」。 全ての血を洗い流すように、穏やかにラストを締めくくる・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-07 20:18:01)
19.  ギルバート・グレイプ 《ネタバレ》 
ラッセ・ハルストレムの最高傑作は「HACHI 約束の犬」なのかも知れないが、やっぱりハルストレムはのどかな田舎で起こる騒動を描いた映画が一番落ち着く。「やかまし村のこどもたち」とか「ショコラ」「サイダーハウス・ルール」「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか。 冒頭に登場する長い道は、家族という“鎖”から解き放たれ、旅人が大地を歩みはじめる事を待っている。 知的障害の弟アーニー、夫の死のショックで肥満になってしまった母親、それの面倒を見なければならないギルバートたち兄妹。そのストレスを晴らそうと、不倫を受け入れるギルバート。 自分の母親を「鯨」呼ばわりする彼だが、本当は家族を守りたいと一生懸命。必死に自分を押し殺して生きようとしている。 そんな彼を解き放とうとする様々な出会いや事件。 アーニーの行動がギルバートの鬱憤を爆発させ、不動の母を大地に立たせ歩ませる。 妹の“中指”に車の“バック”で返事?するシーンは爆笑。危ねえなあもう。 首の無い状態で腰を振り続けるカマキリを想像してしまって泣いた。色んな意味でオスを「ごちそうさま」ですかそうですか。 男を喰らう母親もいれば、我が子のために死を選ぶ母親もいる。 グレイプを刺激するベッキー。 帽子を被った可憐な少女かと思えば、帽子を取ればボーイッシュで活発な女性に。 多くを語らないベッキーママも粋な事。 不倫に奔る母、 愛する子のために恥を捨てて行動する母、 娘を静かに見守る母・・・様々な母親がギルバートたちを囲む。 終始何処かコミカルだが、終盤はシリアス。 喧嘩と仲直り、別れの前の交わり、そして“火葬”・・・しがらみから解放されたギルバートたちは、愛する者と共に果てしなき大地へと旅立っていく。 メッチャ良い映画やんけ。 ダーレン・ケイツが幼い頃に体験した両親の離婚。家族が死ぬのと同じくらい彼女にはショックだったのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-21 21:22:01)(良:1票)
20.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 
壮大な鬼ごっこ映画「Catch me if you can(できるもんなら捕まえてみろ)」。 「007」が英国諜報員と犯罪組織の鬼ごっこ映画だった事を思うと、「インディ・ジョーンズ」シリーズも鬼が捕まえては逃げたりの繰り返しがあった。 今回は「インディ」みたいな「お約束」なんてない、実在したフランク・W・アバグネイル・Jrの事件を映像化したのだから。 「007」がシリアスとギャグの融合体だったように、この映画もレオナルド・ディカプリオがノリノリなコメディ映画だ。 オープニングのアニメーションから既に追いかけっこが始まり、クイズ番組のゲスト紹介みたいな映像が流れる。 航空副操縦士の“アバグネイル、”小児科医の“アバグネイル”、弁護士の“アバグネイル”・・・。様々な職に成りすまし、警察まで騙くらかして莫大な金を稼いでいく。父親譲りのアドリブやハッタリ・ジョークを駆使してどんな困難も掻い潜る。クリームがバターになるまで粘りに粘る。 総ては何もかも失った父のため、そして母のために・・・。最初は家族が元に戻りささやかな幸せを手に入れられればそれで良かったのだろう。 だが、知ってしまった金の味、女の味、愛情・・・家出少年の旅と犯行はどんどんエスカレートしていく。 「007」並のたらし&絶倫(ry サングラス付き眼鏡ってなんか良いよね。 親想いの手紙が仇になる瞬間、芽生えた愛情で女を置いていきたくないという葛藤・・・気が付けば、総てを失った自分がいた。 だが、ここで終わらないのがアバグネイルだ。 親を一目見ようとトイレから脱走してしまう凄さ。 騙す側から暴く側に変わっていく姿。 そこには良き友人を手に入れ精気が蘇った男はいても、総てを失い絶望に暮れる男の姿はもうなかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 23:47:42)(良:1票)
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