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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  黒猫・白猫 《ネタバレ》 
『黒猫・白猫』とは、『失敗と成功』『不運と幸運』『死と生』等に同じ。禍福は糾える縄の如し。だから2匹の猫はいつも一緒。選り好みなんて出来ないし、そもそも雁字搦めだし。それでも全部ひっくるめて『人生を楽しもうじゃないか!』それが本作のメッセージです。情報過多で、のべつ幕無し冗談だらけ。ややもするとごちゃごちゃした印象を受ける物語ですが、張り巡らされた伏線の多さや、(悪ふざけが過ぎるものの)含蓄ある表現に溢れており、反芻すればするほど、その完成度の高さに唸らされます。散々無茶苦茶やっておきながら『ハッピーエンド』の一言で片づけてしまう力業にも痺れました。ケツで釘を抜く歌手の美声と恍惚の表情もたまりませんが、やっぱり一番好きなシーンは『クソまみれの体をガチョウで拭く』ところ。じゃあ、冒頭からずーっと走り回っていた大群はトイレットペーパーだったのかと。動物愛護団体から猛抗議されそうな不謹慎ぶりや出鱈目さが、本作の真骨頂であります。正直言いますと、初回鑑賞時は終始呆気に取られてしまったのですが、2回目の鑑賞はニヤニヤが止まらない始末。中毒性がヤバいです。単純に『コメディ』では片づけられない奥深い映画と考えますが、もっともらしく分析するのも違う気がします。『よく分からんけどスゲー楽しかった』が個人的に一番しっくりくる感想。文章力、語彙力が無くてホント申し訳ないですが、これは『傑作』で間違いありません。死にかけ(失礼)爺さん2人が途方もなく魅力的。どんな人生を歩んだら、あんな『素敵な顔』になれるのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2020-06-25 21:52:57)(良:1票)
2.  グランド・ブダペスト・ホテル 《ネタバレ》 
美しく、それでいて心に残る構図。俯瞰で覗き見るイメージのロングショット。其処はまるでお伽噺の世界でした。独特のセンスで彩られる映像美に、まずは魅了されます。どこまでもファンタジックでマンガチックな装いの中には、思わず笑みがこぼれてしまう滑稽さと、人の温かみと、予想外の猛毒と、そして現実の痛みが隠されていました。感情の4原色“喜怒哀楽”の何処に当てはめたらいいのか、自分自身見当がつきません。どうぞ映画の流れに沿って、気持ちを迷子にしてみることをお勧めします。“言葉で言い表せない、べらぼうに美味い極上の一皿”。それがウェス・アンダーソン映画と考えます。一度ハマったらもう抜け出せませんよ。天才コンシェルジュ・グスタヴ・Hと新米ロビーボーイ・ゼロの、信頼と友情の冒険譚は、人生の醍醐味という名の味付けが施されています。まさに人生万事塞翁が馬。作家に語らずにはいられない生き方が出来たのなら、今生を味わい尽くしたと胸を張ってよいでしょう。主人公が得た財産は、紛れも無く、金ではなく“記憶”です。
[DVD(吹替)] 9点(2016-04-25 20:29:31)
3.  クリスマスドラマ 天使とジャンプ<TVM> 《ネタバレ》 
センターメンバー脱退をうけ、残された4人はアイドルグループTwinkle5の解散を選択しました。それもあっけなく。いや「覚悟なく」でしょうか。其処にはアイドル活動に対する彼女らの姿勢が垣間見えます。与えられた目標、敷かれたレール、その中での役割分担。目標が消え、レールが取り除かれた今、彼女たちが立ち止まるのは必然でした。そんな時、4人の目の前に謎の少女カナエが現れます。彼女は問いかけました「このまま終わっていいの?」と。カナエはそれぞれのイメージカラーを纏っていた事から、カナエとメンバーの対話は、自分自身への問いかけと見て取れます。「私たちは、クリスマスライブがしたい!」自身の思いと向き合うこと。自分の頭で考えること、自発的に行動すること。大人への一歩を彼女らは踏み出せたようです。新しいセンター・カナエは、4人の中に芽生えた自立心の象徴。彼女たちはまだ雛鳥ですから飛べません。だから跳ぶのです。全力で……。本作は2013年12月24日・25日とNHKで放送されました。2度目の紅白歌合戦出場直前のタイミング。その時点でもモノノフ(ももクロファン)向けの仕掛けが嬉しい内容でしたが(「この手離さないよ」とか、あーりんロボ的受け答えとか)、国立競技場大会2日目、夏菜子聖火台での言葉「もう悪い大人たちは私たちの前に壁をつくってくれない」を受けて、本作は一段と価値のある作品となりました。どのメンバーも『ももドラ』より演技面で上達したと思えるのは、ファンの贔屓眼かもしれません。スタジオ別録音ではなく、現場生歌録音の『JUMP!!!!!』が、ももクロ史上屈指の良曲と感じるのも、私がモノノフだからでしょう。ですから今回の採点は無視してください。
[地上波(邦画)] 9点(2014-08-30 17:29:26)(良:1票)
4.  クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》 
五木ひろしサイドの許可と、特に今旬なタレントでもないコロッケの奇天烈キャスティングが生んだ、巨大五木ひろしロボはシリーズ最強クラスのシュールギャグでした。子供の観客は勿論、大人の観客も完全に置いてけぼり。こぶしビームを浴びて瞬時に五木顔に変わるキャラクターたち。ホントに、いったい、誰向けのギャグなんだと。さらにちちゆれ。いやーこのワルノリ大好きです。こんなオフザケに『オトナ』『戦国』に匹敵する感動がプラスされるのですから、これほど贅沢な映画もないでしょう。きゃりーぱみゅぱみゅのエンディングテーマもストーリーにマッチしていて、ほのぼのしました。(以下映画とはあまり関係ない、自分語りの感想です。正しい映画批評は優秀な他のレビュワー様にお任せしますので、お暇な方のみお付き合いいただけたら幸いです) 私は長女が生まれた時に“これで安心して死ねる”と思いました。この世に自分の分身を残した安堵感からそのように感じたのです。時は流れ、今や娘3人の父親。死ねるどころか、バリバリ稼いで子供たちにご飯を食べさせなくてはいけません。それに一分一秒でも長く娘たちの姿を観ていたいと願うようになりました。お気楽に死んでいる場合じゃありません(苦笑)。そこでラストの腕相撲。かつての私がロボとーちゃん、そして今の私がひろしに重なりました。どちらが強いかは言わずもがな。込み上げてくるものが止められませんでした。劇場の暗闇に紛れて、こっそりポロポロ泣きました。娘たちよ、おとうさんは頑張るからな。そう改めて誓ったのでした。だからお前たちを置いて、時々ももクロちゃん出張に出掛けても許しておくれ。子供向け映画なのにお父さん一人で劇場鑑賞してしまった事も許しておくれ。いつもは旧作になるまで我慢だけど、今回は新作のうちに借りてくるから。
[映画館(邦画)] 9点(2014-04-27 19:59:05)(良:2票)
5.  靴をなくした天使 《ネタバレ》 
嘘つきでコソ泥の主人公の身になって、胸を痛めている自分に驚きました。現実に彼と出会っていたら、たぶん軽蔑しているでしょう。でも感情移入してしまうのは、少なからず自身の中にもバーニーが居る証拠。言い訳ばかりで自分勝手。そんなダメ男が数多くの人命を救います。もっとも今までの悪行を考えたなら、これでチャラにしようなんて虫がいい話。彼が順当に富と名声を手にしていたらいい気はしません。しかし貧乏くじを引くのも可哀相に思える。結局はバランスの問題です。良くも悪くも報われたい。平等に。それがこの世の仕組みに対するささやかな願い。男の子の父親を助けようとしたバーニーの気持ちは純粋だった。この1点において、彼は報われて欲しい。一方、偽者ババーはどうか。後ろめたさ故の善行とはいえ、病床の少年を救ったのは事実。彼が責めを負うべきは、ヒーローに成りすました1点のみです。バーニーの命を救ったことで嘘を真に変えたババー。彼の心もまた救われました。皮肉たっぷりのひねた御伽噺。でも根っ子に在るのは、人間に対する信頼と優しさ。そして見事に調整された「因果応報」の原則でした。印象的なバーニーの台詞について。「この世はウソばかりだ。だから自分の好きなウソを信じればいい」。例えば三角錐を考えてみます。上から見たら円。横から見たら三角。どちらもウソではありません。それにもし(運よく)三角錐を認識できたとしても、それがどれほど価値を持つのか。色は?匂いは?味は?質感は?「真実」は限りなく多面的です。マスコミに至っては、意図的に情報を歪めることさえある。バーニーが息子に語る真実も、鼓笛隊に掻き消されます。手にした真実は何と危ういのか。ならば目の前にある都合の良いウソを信じておく方が幸せだろう。言いたい事は分ります。ただし、それが彼の本心とは思えません。じゃなきゃ、オフレコでも女性キャスターに真実を明かしたりしない。それに彼は言ってる事とやっている事がいつも違う皮肉屋ですし。幸か不幸か、バーニーにも嘘を真に変えるチャンスが与えられました。彼は本物のジャングルの王者から子供を救い出せるでしょうか。自分は、本作の神様なら「納得の結末」を用意してくれると信じています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-06-26 18:42:19)
6.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
役者は芸達者揃いですが、中でも2人の俳優が抜群です。一人はマイケル・クラーク・ダンカン。心根のまっすぐな朴訥とした男を好演しています。ベストキャスティングでした。そして主演のトム・ハンクス。演技の上手さは折紙付きですが、それでも感服しました。トム演じる看守・ポールの人物造形がしっくりきます。看守としての職務を踏まえつつ、精一杯“人間として”正しい選択をしようとしている。その真摯な姿に心打たれます。神の与え給うた奇跡を、自らの手で殺めることの是非。彼が心を振り絞って出した答えが、コフィーへの“問いかけ”でした。「自分にして欲しいことは何かないか」。もしコフィーが命乞いをしたなら、迷わず逃がしたでしょう。その覚悟は出来ていたと思う。でも反面、コフィーが決してそれを望まないであろうことも承知していたと思います。本当にコフィーを助けたいなら、黙って逃がせばいい。でもそんなに簡単な問題じゃない。社会秩序を守ることの意義と、人としての良心。どちらが重いのか。どちらを優先されるべきか。それにコフィーを逃がすことは今まで自分が築いてきた全てを失うことでもある。主人公が守らなくてはいけないモノは何か。選択に正解があるとは限りません。それでも選ばなければならない時もある。自分の心に一番「言い訳」ができる選択。それがコフィーへの“問いかけ”だったのだと思います。カッコ悪いしズルイのかもしれない。でもそれが生きていくための知恵です。人はそうやって、なんとか生きている弱い生き物だと思います。結果、ポールはコフィーの命の十字架を背負う羽目になりました。いつ終えるとも分からない贖罪の日々が続く。彼は自分のグリーンマイルは長すぎると言います。それでも歩き続けるしかない。人生は理不尽なで儘ならぬ事ばかりです。だから価値がある。
[地上波(吹替)] 9点(2008-06-08 22:21:07)(良:1票)
7.  クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡
“普通に”面白かったです。まずクレしんらしいお笑い満載なのが嬉しかった。定番のギャグも健在でしたし、劇画調?転換シーンは爆笑しました(公共交通機関を使っていても急ぐ必死さが伝わる!)。アクションシーンも好調。さらに家族愛にホロリとさせられます。つまり、笑えて泣けて楽しめる、期待どおりの娯楽作品であったわけです。“普通に”面白いということは、本当は凄いことだと思います。本作は傑作というほどの出来ではないかもしれません。でも確実に、観客の求めるものを提供していると思いました。確かな技術とシリーズ作品に対する深い理解がなせる業だと感じます。私事で恐縮ですが、本作の制作(下請け)に妹が携わっております。一応スタッフロールにも名前が載っているのですが、本人はそのことに気づいていませんでした。陽の当たらぬ、数多くの縁の下の力持ちの努力なくして作品は生まれません。東京で頑張る彼女に敬意を表して+1点とさせてください。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-23 18:37:33)(良:1票)
8.  グロリア(1980)
ギャングの裏金を横領した父。組織の制裁を恐れた母は親友のグロリアに息子ジャックを託します。殺される家族。ジャックの手には裏金の証拠となる手帳。2人の逃亡が始まります。グロリアにしてみれば、ジャックはただの厄介者。助けても何の得にもなりません。何故彼女は自分の命を危険に晒してまで子供を助けたのでしょうか。背負うものが無い人生。それはとても気が楽です。しかし同時に孤独と物足りなさがあります。彼女の中に、人を愛し、愛されたい、誰かの支えになりたいという気持ちが潜んでいたのではないでしょうか。それを「母性」と呼ぶのかもしれません。最初はお互いに接し方がわからず、喧嘩したり、別れたり、上手くいきません。しかし次第に芽生える絆。それが「家族」の始まりなのです。厚化粧のおばちゃんが素晴らしく格好よく、派手なシャツの子供が小生意気だが愛らしく感じます。派手なシーンはありませんが、全編見事にハードボイルド。エンディングと共に流れる音楽に言い表せない気持ちになる心に刻まれる作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2006-05-09 17:52:29)
9.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
昭和のおもちゃ、レトロ家電、映画3丁目の夕日など、今「懐かしもの」ブームのようです。過去を振り返り「あの頃は良かった」と思いを馳せる。現実が厳しければ厳しいほどそれは心地よい行為です。現代人にとっては必要不可欠なのかもしれません。そして本作も「懐かしさ」がキーワードとなっています。登場する悪役は「古き良き昭和の時代」に世の中を戻そうと巧妙な手口を使って大人たちを誘惑します。心奪われるひろしやみさえ達大人。とうちゃんとかあちゃんを取り戻す、しんのすけ達のたたかいが始まります。昔を懐かしむことは決して悪いことだとは思いません。しかしそのベクトルが後ろを向いていることも忘れてはいけません。「昔は確かに良かったけれど、今だってそんなに悪くないよ」野原一家がそう教えてくれます。もしこの作品が実写だったら、気恥ずかしくて見ていられないかもしれません。「クレヨンしんちゃん」だからこそ素直に心に響いてくるような気がします。子供から大人までお勧めですが、これから親になる方(小さい子供をお持ちの方)には、何としても観ていただきたい、家族の絆に心打たれる傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-21 23:55:39)(良:4票)
10.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
このサイトであまりに評価が高いので観ることにした作品です。いやー驚きました。もともと初期の宮崎駿作品や劇場版ドラえもんの質の高さは知っていたので、アニメに対する偏見はなかったつもりですが、劇場版のクレしんがまさかこれほど素晴らしいとは。笑いあり涙ありの感動作で大人の鑑賞に十二分に堪えます。さらに驚かされるのはその時代考証の精密さ。下手な時代ものを遥かに凌駕するものでした。たぶん本来のクレしん映画からは外れる(ルパンシリーズにおけるカリオストロのようなもの)のかもしれませんが、こういう一般大衆を引き付ける作品がシリーズに1本あるだけで、他の作品を芋づる式に鑑賞する観客もいることを考えると、クレしんシリーズ作品としても非常に価値が高いと思います。自分にとってはこの作品をきっかけに映画だけでなくクレしんを観るようになった非常に大切な作品です。
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-18 18:26:51)
11.  クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦
この作品に高得点を付けていらっしゃる多くの方と同じように、自分もぶりぶりざえもんの大ファンです。救いのヒーローなのに強きを助け弱きをくじき、腕っぷしは無いけど結構器用で、法外な報酬を要求するけど結局は金ぬきで人助けをしてしまうぶりぶりざえもん。とても人間くさい愛すべきぶたです。正直、ぶりぶりざえもんが活躍してくれるだけで自分は満足なのですが、全編を通じて描いている「親子の愛」や下手な実写より数段上のアクションシーンなど一作品としても非常に素晴らしい出来だと思います。クレヨンしんちゃんは「食わず嫌い」な方が沢山いると思いますが、映画のクレしんを観ないのは本当にもったいないです。最後に、ぶりぶりざえもんの魅力を余すとこなく表現された声優の塩沢兼人さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
[DVD(邦画)] 9点(2006-04-15 10:26:00)(良:2票)
12.  クロール -凶暴領域- 《ネタバレ》 
冷静になってみると『ワニ甘噛みばかりだな』とか、『ワニ狂暴過ぎない?』等疑問が湧くものの、『自然災害』『親父重傷』『逃げ道なし援護なし』の危機的状況設定の上手さと、時間制限ありのスリリングな展開により、些細な粗に目を向ける暇がありません。人間VSワニの異種格闘技戦におけるルール設定(狭所、水中、2人VS大群、満足な武器なし)も見事。これぞ理想的なアニマルパニック映画の様式だと思いました。中弛みなく一気にクライマックスまで駆け上ります。いや、泳ぎ切ります。挫折と妥協ばかりの人生を送ってきた私にしてみれば、『意図した形ではないが努力が報われる』結末は感涙ものであり、ラストカットの主人公の雄姿に勇気を貰えました。その一方、倫理的に厳しい見方をするなら、避難命令に逆らった主人公の行動が遠因となって、死者が出ている点が引っ掛かるところ。おそらく彼女の行動に対して、観客が満足する丁寧な言い訳を用意することも出来たと思いますが、“正しい選択(非難されない選択)”よりも“後悔しない選択”を選んだ主人公を責めるのも酷という気がします。最善を目指した末の“過ち”は許されて欲しいと願います。 個人的見解では、『ワニ映画』の中では本作の方が『マンイーター』よりも評価は高く、『100日間生きたワニ』は観ていないので分かりません。あれ、まだ公開もしていないや。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-06-02 19:45:30)(良:2票)
13.  グッド・ネイバー 《ネタバレ》 
いきなりネタバレしております。未見の方はご注意ください。なお本作は予備知識なし、予断を持たずに鑑賞される事をおススメします。  ホラー映画の様式に基づく『観客の先入観』をミスリードに使い、裏に悲しきヒューマンドラマを配しながら、その実は極めてシリアスな問題を扱った社会派映画でありました。タイトルも意味深長で、物語の奥深さたるや見事なものです。 メインテーマは犯罪に対する量刑の意味と捉えます。刑法の目的は、罪を犯した者に適正な量の罰を与え更生を促し、社会復帰させること。ポイントは『適正』の部分。しかしながら本作で加害者に科された刑罰はあまりに軽いものでした。判決が出た瞬間、加害者及びその家族は安堵したように見受けられましたが、現実は甘くありません。法が機能していないとコミュニティが見なした場合、『善き隣人』が足りない分の罰を自主的に科すことになります。いうならば集団の自浄作用。それは時に、いや往々にして、適正な量を上回る熾烈なものとなり、加害者の再起は極めて困難となるでしょう。法の機能不全は、社会にとってのシステムエラー。言い方は変ですが、裁判で適正な量刑を受けられなかった罪人もまた不幸かもしれません。 人は過ちを犯します。自身が被告人とならない確約など誰にもありません。観客は、被害者ではなく加害者側に自身を当てはめ、物語と対峙するよう促されています。そこで生半可なホラーより遥かに恐ろしい『法の落とし穴』に気づかされるという仕掛け。『赦し』とは、与えられた刑に服する事にあらず。被害者に、そしてコミュニティに、贖罪を認めてもらうこと。裁判所の外の世界は、必要な罰を受けられなかった罪人にとって『地獄』そのものです。 (以下余談)『寄生獣』で田村玲子は、『人間は何十、何百、何万、何十万と集まってひとつの生き物である』みたいな主張をしていたと思います。これは言い得て妙で、私たちは個人の考えとは別に『集団の意思』に気を配りながら日々過ごしています。ここでいう『意思』とは、法律等で規定される厳格な枠組から、漠然とした『社会の空気』をも含む広義なもの。特に『社会の空気』は、漠然としている分移り気なのに、多大な影響力を有します。不倫した芸能人が赦しを乞う『世間様』もこの仲間。他者を思いやる『共感』が集団の意思を生み、我々を助けることもあれば、挫くこともあると。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-01-15 19:23:14)
14.  クロノス(1992) 《ネタバレ》 
ゴシックホラーの風合ですが舞台は現代。『吸血鬼もの』にも関わらず、コウモリに変化もしなければ、人を襲ったりもしません。お約束の美女を吸血するシーンすらなし。私たちが思い描く『吸血鬼もの』とは一線を画していました。一般的なホラーというジャンルにも当てはまらない気がします。それでいて紛うことなく『吸血鬼もの』の趣。それは吸血鬼映画特有の美しさ(芸術性)が、ギレルモ・デル・トロ監督によって見事に担保されていたからだと思います。さて本作では、錬金術で生み出された『クロノス』という昆虫型機械がドラキュラ伯爵の代わりを務めました。機械内部にはグロテスクな生物の姿。コイツがクロノスのカラクリを使って人を吸血し快楽でその者を支配すると共に、人を不死の生物に変化させる仕組みです。魅入られた美女がドラキュラ伯爵に身を捧げるのとシステム的には大差ありません。効能、常習性、それに伴う代償。機械針で吸血という手法も含め、ドラッグに溺れる中毒患者を彷彿とさせます。一度そう認識してしまうと、もう『麻薬中毒者の末路』を比喩した映画としか見えなくなります。果たして主人公に与えられた選択肢とは、モンスターとして生きるか、人として死ぬかの二択。結末に救いを感じるのは、私たちが人間だからに他なりません。 素晴らしきはギレルモ・デル・トロ監督の映像作家としての実力です。聞けば本作が長編デビュー作との事ですが、どの画の端々にも監督のサインがみて取れるよう。並の監督でないのは一目瞭然でした。物語の骨子は『ドラキュラ』ですが、主人公の姿は『フランケンシュタイン』を模していました。本作のテーマ『人が人たる条件とは何か』を語る上で、人造人間もまた欠かせぬモチーフだったのでしょう。愛する人がいるからこそ、人は人でいられる。それはすなわち、人は一人では生きられないというメッセージと考えます。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-10-20 15:28:59)
15.  来る 《ネタバレ》 
極端な物言いをするなら、本作の是非を決定付ける分かれ目は、松たか子さんのキャラクターに魅力を感じるか否かに尽きると考えます。完全無欠のプロフェッショナルとして、ある種の冷酷さを漂わせていたスーパー除霊師が、最終決戦で露にした”愛“や”情“すなわち”人であるが故の弱さ“に価値を見出だせるかどうかが鍵。(ちなみに、“何か”が姿を現したシーンの衝撃は絶大でした。絶望は美しいです)あれ?この感想って中島監督の『告白』の時と同じですね。やっぱり中島監督は、松たか子さんの使い方がお上手なようで。そして終わり良ければ全て良しと(ハッピーエンドという意味ではなく)。王道のオカルトでありながら、ホラーを観ている感覚はありません。これまた不思議な味わい。怖いというより、面白い、興味深いとの印象です。ちなみに”何か“は、難病や麻薬中毒なんかと置き換えても成立するでしょう。恐ろしい敵と対峙したとき、人の値打ちが明かされます。
[映画館(邦画)] 8点(2019-01-12 17:37:14)(良:1票)
16.  クワイエット・プレイス 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。ご注意ください)・・・   昨日レイトショー鑑賞。本日昼間の仕事を終え、さて、感想でも書こうかと反芻してみたのですが、考えれは考えるほど、そんなワケねえだろう、いやいや待てよ、と当初から印象が変化するのです。例えばラスト。一応はハッピーエンド(希望の持てる結末)と受け取りましたが、多分そんなに甘いはずが無いんですよね。あの方法で、駆逐出来るほど敵の数が少数ならば、そもそも人類は絶滅の危機を迎えるはずもなく。重火器を有する軍隊が太刀打ちできなかったくらい、怪物の数は膨大だと考えるのが普通でしょう。ライフルの弾が果たして足りるのかと。また、父の娘への愛が、本来意図したかたちかではなかったにせよ、結果的に娘を救った点も、これをもって親の愛万歳とするのも実は違うのかなと思ったり。多分父は、娘の人口中耳作製で、少しでも希望が欲しかったのだと思います。あるいは現実逃避。耳が不自由というのは、あの世界を生き抜くにあたり、途方もないハンディキャップです。でも、娘にしてみれば父の執拗な人口中耳へのチャレンジは、自身の存在価値を否定されていると感じさせる部分もあったでしょう。弟の一件も合わさり、本当に辛い思いをしたに違いありません。“娘を思ってこそ“という父の気持ちを否定する気は毛頭ありませんが、無条件で称賛するのも同じように、してはいけない気がします。だって、毒親も似たような思考回路だったりしますし。父がまず取るべき行動は、希望探し(あるいは現実逃避)ではなく、息子が指摘したように、娘に心から愛していると伝えること(=存在を絶対的に肯定すること)であったと考えます。本当の意味で“子供を守る“とは、あるいは“親の使命“とは、こういうことかと。あの顛末(怪物の弱点発見)は、親子愛というセンチメンタリズムで処理するよりも、冷静に“試行錯誤は意外な幸運を呼ぶことがあるので価値がある“程度に受け止めるのがよろしいかと。設定は刺激的なれど、あまりに嘘くさい。だけど畳み掛け方が上手いオマケに、みんな大好き家族愛で感動不可避!多少の粗は不問にしましょうというサスペンス。余計な考察などせずに、素直に騙されておくのが一番なのかなあと思います。実際、否定的ともとれる見方を示しましたが、私はこの映画、全然嫌いじゃありませんから。
[映画館(字幕)] 8点(2018-09-30 17:54:59)
17.  クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱 《ネタバレ》 
クレしん映画を劇場で観るのは『ロボとーちゃん』以来。基本的に好きなシリーズではありますが、欠かさず鑑賞するファンやマニアではありません。そのような立場での感想です。総体的な感想は「凄くちゃんとしてる!」。ぷにぷに拳の設定、見応えあるカンフーアクション、往年のジャッキー・チェン映画を下敷きとした起承転結ある筋立て。全くもって高クオリティで、大人も普通に楽しめます。まさにこれが劇場版クレしんの長所ではあるのですが、もっと無茶苦茶やってもいい気もしました。オチこそ誰向けかわからないナンセンスギャグで締めてくれましたが、とてもバランス感覚の良い、ある意味真面目な映画との印象です。であるが故に、メッセージがいささか説教臭く感じてしまったのだと思います。きちんとつくって苦情なんて酷い話ですが、クレしん映画の持つ自由さは、それだけ価値が高いと考えます。エンドクレジットを観るまで関根勤さんに気付かず。お見事な声優ぶりでした。モノノフは、エンドロールを観るためだけに劇場へ足をお運びください。※4月29日追記。GWに二女(8)と三女(5)を連れて劇場再鑑賞。二女の感想は「修行のシーンが面白かった」三女は「どこということはないが面白かった」そして父(45)の再感想は「しんちゃんのボケに漏らすことなくツッコむ風間君が面白かった」。初見で変に理屈っぽい見方をしてしまったことをお詫びします。劇場内の他のお子さんのウケも上々でしたし(前回は平日の昼間で観客は私ひとりのみ!)、子どもが楽しめているのなら、無問題。親子が同じ目線で楽しめる貴重な映画シリーズが、どうか末永く続きますように。
[映画館(邦画)] 8点(2018-04-20 12:54:20)(良:1票)
18.  クリーピー 偽りの隣人 《ネタバレ》 
『これがあんたの落とし穴だ』高倉が西野(仮)に吐き捨てた最後の言葉は、鈍痛を伴い胸に響きました。そう、それは高倉自身に向けられた台詞でもあったことでしょう。犯罪心理学を学んでいたが故の慢心が、墓穴を掘る形となった1年前の出来事。そして今一度、最愛の妻をも巻き込んで同じ轍を踏んでしまった愚かな自分。“サイコパスとはこういうもの”そんな決めつけ、思い込みが、最も危険だというのに。講義で学生に「参考にならない」そう自ら口にしていたはずなのに。医者の不養生。幸いにも(?)、西野(仮)もまた今までの獲物と高倉を“同質”と“決めつけた”おかげで、主人公は命拾いしたワケですが。数多く過ちを犯した者が勝利した結末とも言えます。夫の胸で号哭する妻の声は、魔界から現世に戻ってきた証。それはまるで産み落とされた赤子の鳴き声のようでもありました。漆黒の中の救い、と受け取りたいと思います。黒沢清監督の映画にしては、筋立ては明快。お馴染み難解ミステリーを予想していた身としては若干物足りなくも。ただし、監督のもう一つの顔“ホラー上手”の面は、如何なくなく発揮されていました。映像面では、光と影の使い方、画における間の取り方。極め付けは“スタジオ撮り乗用車シーン”でしょうか。ツクリモノ丸出しの感じが、異世界を進む西野(仮)ファミリーの地獄道をよく表していたと思います。また、脚本面では、早紀の身の上に起きた6年前の事象を、西野娘の姿を通じて間接的に知らしめる手法が技ありで、得も言われぬ恐怖と不快感を創出していたと思います。黒沢ホラー、ここに在り、です。今回のMVPは勿論香川照之。怪演でしたが、同じくらい西島の体温低い単調な演技も(氏の平常運転ですが)見事だったと思います。願わくば、手品(人心掌握)のタネは、クスリではなく純粋に西野(仮)の人間力であって欲しかったところです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-25 18:29:46)(良:1票)
19.  くちびるに歌を 《ネタバレ》 
心に傷を負ったピアニストが、島の子供たちとの交流を通じて、再びスタートラインに立つ勇気を手にした物語。これを表のテーマとするならば、裏テーマは自閉症の兄を持つ少年の救済物語と考えます。彼は未来の自分に宛てた手紙の中で、心の内を吐露しています。自分は兄の介護をするために生まれてきた存在であると。もちろんこれは誤りです。良い子ゆえの思い込み。もし本当に両親が弟を人身御供にするつもりなら、兄に社会順化訓練などさせませんし、少年の部活を許したりしないでしょう。彼の勘違いは、通常なら心身の成長と共に昇華される思春期思想。放っておいて問題ありません。しかし、です。あの微笑みは、気になります。ただの心の流行風邪。そう決め付けて大丈夫でしょうか。おそらく少年の告白を受けた主人公も同じ不安を抱いたと推測します。彼に優しい言葉を掛けるのは簡単なことです。でも自身に対する気遣いさえも、更なる呪縛に変えてしまうのが、自己犠牲の厄介なところ。それに、彼の考える自身の「宿命」は、一面の真理を捉えています。現に、搾取や介護目的で、子をもうける親も実在するのですから。そこで主人公は、少年の自主性に任せる選択をしました。遠回りなようで、一番適切な、そして確実な治療法だったと思います。自分を救えるのは、自分だけ。その厳しさは良薬でした。さらに部活は対症療法も兼ねていました。合唱は究極のチームプレー。各々がパートを受け持ち、力を出し合う事で生まれる美しいハーモニー。一人が頑張ればいい、犠牲になればいい、そんな考えとは正反対に位置するものでした。大会終了後、会場内多くの人を巻き込んでの大合唱。たった一人のために、これほど多くの人が心を寄り添ってくれること。助け合うこと、協力することの素晴らしさを湛えた音色は、きっと少年の心に届いたはずです。出発の汽笛は、全ての若人の上に、平等に響いています。(以下余談)ももクロ主演『幕が上がる』と同日公開の本作。巷では部活対決と呼ばれていたようですが、『幕が上がる』が王道アイドル映画として、青春の“表面”を正攻法で描いたのに対し、本作は青春の“裏面”を、奥ゆかしくも丁寧に見せてくれた印象を受けます。どちらも素敵な青春映画でした。勝手に姉妹映画だと思っています。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-05 10:29:29)
20.  くそガキの告白 《ネタバレ》 
「キングオブコメディが痴漢で捕まった」衝撃のニュースが飛び込んできた時、大多数の人がブサイク顔の今野を思い浮かべたはずです(注:逮捕されたのは高橋の方。後に冤罪確定。本人の名誉のため念を押しておきます)。この件に限らずとも、見た目で不利益を被ってしまうのがブ男です。明らかなハンディキャップ。馬場のように負のスパイラルに陥ってしまう人間は、現実に掃いて捨てる程いるでしょう。そんな男にだって夢はありました。映画監督デビュー。しかし彼は映画研究会に所属していたにも関わらず、自主映画を一本も撮っていないのです。同窓会で「撮りたい映画なんて無いんだろ」と指摘され、激怒したのは図星だから。いや本人に自覚はないのかもしれません。都合の悪い現実には目を瞑る方針ですから。馬場は正真正銘の駄目人間でした。そんな彼に訪れた転機は、新人女優への密かな恋心。恋は人を変えるのに、十分な理由と成り得ます。しかし、悲しいかな彼女には意中の人が。戦う前から玉砕し、彼は逆ギレという大失態を犯します(好きな娘にビッチと罵るなんて超ド級の馬鹿者です)。さあ、ここからの人生の逆転劇はあるのでしょうか。答えは否。“馬鹿は死ななきゃ治らない”だから彼は一度死んだのです。生まれ変わった主人公は、遂に人生初の監督作品を創り上げました。でもプロデューサーの発注からは、かけ離れた代物。イケメン監督処女作の模倣品。馬鹿は死んでもやっぱり馬鹿なんですね。でも女優の素敵な表情を引き出したのは、監督の手柄でしょう。主演女優よりも大きくクレジットされた「監督馬場大輔」の文字は誇りの表れ。恋が成就した訳ではありませんが(彼女は女優として監督の要望に応えただけ)、これを切欠にコイツは変われるかもしれない。いや多分変わらない。でも、ひょっとしたら…。細やかな希望ですが無いよりはマシ。やっと手に入れた僅かな自信を携えて、くそガキよ、早く大人になりやがれ!!脚本の出来だけなら6点くらい。でも本作には、大きな大きなアドバンテージがありました。それはヒロイン接吻後の表情。あんなに美しい、そして魅力的な田代さやかを見たことがありません。全盛期のオードリー・ヘップバーンにも負けていません。いやマジで。たったワンカットが持つ破壊力。恐れ入りました。田代さやかファンなら、彼女のイメージDVDを全て売り払ってでも、本作のDVDを手にいれるべきだと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2014-07-06 21:41:59)(良:2票)
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