41. 刑事コロンボ/忘れられたスター<TVM>
《ネタバレ》 素晴らしいラストシーン、もはやこれは刑事ドラマを超えている。 私は刑事コロンボシリーズはたくさん見たと思うけど、ラストシーンではこれが一番良いと思う。 通常のコロンボは、犯人を追いつめラストに決定的な証拠を突きつけるのが普通だか、この映画ではそうはしなかった。忘れられた往年のスター、彼女は世間から忘れられたスターだったかもしれないが、自分でも今の自分のことを忘れてしまう重い脳障害にかかっていた・・・。 この映画に出てくる人物、殺された彼女の夫、昔の恋人であり共演者であったネッド、そして犯人を確信していたコロンボまでもが、彼女のためにという心遣い・・・。 彼女の夫は自分の病気(手術)は心配していなかった。彼女が芸能界復帰に反対していたのも、お金がかかるからではない、彼女の残された命の長さを知っていたからであろう。だから反対し、世界一周の旅を計画していたのであった。 昔の恋人ネッドはコロンボから真実を知らされた時、自分が身替わりになることを決心した。そして彼女の命が長くても2ヶ月であれば、その2ヶ月を身替わりで頑張ればいいと・・・。 そしてまたコロンボ、彼女を追いつめることなく、ネッドに真実を話してきかせると同時に、ネッドの提案に同意する・・・。 ジャネット・リーの代表作は「サイコ」だが、1949年版の若草物語では長女メグを演じた。またこの映画では「ウォーキング・マイ・べイビー」で、歌い踊る26歳の自分を見ている。 [地上波(吹替)] 8点(2011-03-12 14:17:04)(良:1票) |
42. 月光の夏
《ネタバレ》 佐賀で研究会があった折、ピアノの思い出にまつわる映画が近く公開されるので、ぜひ皆さんにその映画を見てほしいというお誘いがあった。えっ、音楽の研究会でもなかったのに、なぜピアノ?とその時は不思議に思ったのだが・・・。 映画を見ると、それは単なるピアノの思い出話や特攻隊の悲劇ではなく、戦争への怒りを込めたものだということがよくわかった。 特攻隊となって飛び立つ前に「ピアノを思う存分弾きたい・・・」。二人の若者がピアノを弾き、戦地へ飛び立つまでの話であれば、泣けるお話で終わってしまう。だがその後がこの映画のメインなのである。 ピアノを弾いた特攻隊員の一人は、実は飛行機の整備不良で基地へ戻ってくる。しかしたとえ整備不良であっても、当時の日本では、それは戦死した同胞に対して卑怯者・臆病者としか扱われず、許されないことであった。 この映画の中に「振武寮」というものが出てくる。当時は軍の重大秘密とされ、外部に漏らすことが絶対にできなかった恥部。その振武寮での扱いを映画にし、戦争の愚かさを訴えたのがこの映画なのだ。 映画の中にドキュメンタリー作家やラジオ局の記者らが出てくるが、いかに真実を聞き出すことが難しかったかがよくわかる。 [試写会(邦画)] 8点(2011-03-05 13:54:10) |
43. ケイン号の叛乱
《ネタバレ》 ハンフリー・ボガード出演の映画はたくさん見たが、どれもが格好いい役ばかりだった気がする。ところがこの映画の艦長役は格好悪いばかりでなく、部下から信頼されず、嵐の場面では精神錯乱になって艦長を解任されるというとんでもない役である。 その一筋ではいかない艦長役を実に見事に演じていたと思う。 さて映画だが、上官に逆らえないはずの軍隊で、信頼される艦長となるのは大変なことである。威張り散らしたり、無理難題の命令ばかり出していてはもちろん部下はついてこないが、部下に媚びていては士気を高めることはできない。 また逆に艦長の言動がおかしいと思っても、部下が勝手な行動をとるわけにもいかない。 この映画は戦艦が寄港した後、裁判になるのだが、実にいろいろな要素があって考えさせられる。簡単にこうだと決めつけられないところに、考えさせられるものがあると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2011-03-04 21:12:24) |
44. 激突!<TVM>
最初何気なくテレビで見た時は大変怖かった。映画の題名もわからず、しかも途中から見た映画だったのに、ずいぶん気になった。数年後またもテレビで同じ映画を偶然見て、「激突!」という映画だとわかった。 登場人物もきわめて少なく、とてもシンプルな映像だったのに、惹きつける魅力は何だったのだろう。 [地上波(字幕)] 6点(2011-03-02 06:10:09) |
45. 刑事コロンボ/別れのワイン<TVM>
《ネタバレ》 昔何度もテレビで放映され、その度見て好きになった映画だと思う。何度も見ることができたのは、ミステリーにありがちな謎解きがすべてではなく、見る者に深い感銘を与えるからであろう。 エイドリアンがワインを愛する心は尋常ではない。本当に愛して愛して、慈しむ心である。その心が故に、義弟の言動を許せなかったのだと思う。 またコロンボも彼を追いつめるのに、ワインの知識だけを学んだのではない。ワインを愛する心を身につけたからこそできたのだと思う。 結末はあざやかであり、爽やかである。欲得で結婚を迫る秘書を排し、友として心が通じたコロンボのもとへと従った。 [地上波(吹替)] 8点(2011-02-09 16:09:36)(良:2票) |