41. 懺悔
《ネタバレ》 「社会のためになることは全て道徳的である」というセリフがこの映画のテーマを象徴していると思いました。このような論理はソ連に限らず、さまざまな国家や組織において見られるものですが、そこで挙げられている「社会」の捉え方が問題なのではないでしょうか。 この作品の社会は、その「社会」の意味が極端に言えば「社会を掌握している権力・権力者にとって都合の良い社会」なんですよね。そして、権力のそういった思考を多くの人々が恐怖に屈服し「沈黙」という形で受け入れてしまったことが大きな悲劇を生んでしまったことを、この映画は観客である我々に強く訴えかけているように感じました。この作品がソ連崩壊を招いた映画といわれるのも頷けましたね。 本当に「社会」のためになることを為すためには、権力・権力者が無私であることが求められると思うのですが、欲望の生き物である人間が権力を持ちながら無私になることは中々難しいわけで・・・・・。それだからこそ、民主的な国家や会社はチェック・牽制機関を設けて何とか権力の暴走を食い止めようとしているわけなんですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-12-14 00:30:02) |
42. ザ・カップ 夢のアンテナ
《ネタバレ》 観ていて「この先生や僧院長の演技は凄く味があって素晴らしいな」と思ったのですが、実は出演者が皆本職の方々と聞いて納得しました。やはり皆さん聖職に身を捧げているだけあって、観ていて心が安らかになりましたね。そんな中にも、現在も続くチベット問題がところどころに影を落としているのが重いですね・・・・。 [DVD(吹替)] 7点(2009-02-19 19:19:22) |
43. サン★ロレンツォの夜
《ネタバレ》 非常に悲惨で哀しい出来事なんですが、どこか幻想的で、また大らかさすら感じさせる描写にイタリアらしさを感じましたね。美しさの中に重いテーマが包み込まれていて、観終わった後も深く心に残る映画でした。 考える時間を殆ど与えられずに、殺して生きるか殺されて死ぬかの2者択一を選択させられる戦争の恐ろしさ、馬鹿馬鹿しさを思い知らされる作品です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-02-06 19:46:50) |
44. 櫻の園 -さくらのその- (2008)
《ネタバレ》 まあ、某大手芸能プロダクション製作ということで、所属タレント達を魅力的に映し出して商品価値を高めていくことが主たる目的の一つでしょうから中味が殆ど学芸会化してしまっているのは仕方ないんでしょうね・・・・・。正直、途中まではこの作品に「櫻の園」のタイトルをつけるのは詐欺ではないかと怒りすら感じながら観ていました。 しかしながら、この「オ○カープロモーション学芸会」が徐々に「櫻の園」とシンクロしていき、エンドロールが流れる頃にはすっかり新しい「櫻の園」として爽やかな感動を呼び起こしてくれるんですから、中原監督の手腕は大したものです(まあ、旧作に思い入れのある方だと拒否反応を起こす人もいると思いますけど)。 [映画館(邦画)] 7点(2008-11-11 17:55:39) |
45. サルバドールの朝
《ネタバレ》 重苦しいストーリーを淡々と描いておりやや地味な映画ではありますが、独裁政権により「合法的に」残酷な手法で殺された青年がいたという事実を映像作品として後世に残す事は非常に意義のあることだと思います。 [DVD(吹替)] 7点(2008-06-21 23:00:10) |
46. 再会の街で
《ネタバレ》 原題の「Reign Over Me」は、私の大好きなTHE WHOの超名作「QUADROPHENIA」の最後の曲である「Love, Reign O'er Me」(Pearl Jamバージョンも格好良いです!)からとられているんですよね。まあ、ロックファンじゃないと知らない人も多いでしょうから、「再会の街で」という邦題を付けるのも致し方ないと思いますけど。 「9.11」が強調されているきらいもありますが、テーマ自体は「喪失感からの再生」という極めて普遍的なものです。そして、そのテーマをアダム・サンドラーとドン・チードルがシリアスになり過ぎず、時にはユーモラスに演じきっています。とにかく、どんなに辛いことがあっても決して心を閉ざしちゃ駄目だというメッセージが伝わってくる作品でした。 [映画館(字幕)] 7点(2007-11-14 18:02:17) |
47. サンキュー・スモーキング
《ネタバレ》 金と口にものを言わせた情報操作をユーモアを交えて描いている、なかなか風刺が効いていて面白い作品でした(Mod特捜隊は中々笑えます。)。 まあ、アメリカは自由競争の国ですから、自分たちの収益の為なら何でもありなのかなという印象を受けましたね。何というか、すべてが「金」のために動いているように見えて嫌な感じですね(まあ、日本も段々そうなってきていますけど・・・・・)。 [DVD(字幕)] 7点(2007-11-04 20:04:32) |
48. 三月のライオン
《ネタバレ》 不思議な雰囲気の作品です。上手く表現できないのですが、何と言うか写真集を見ているような、そんな感じの映画です。とにかく、各シーンの構図や小物、背景のセレクト等非常に精緻で 、見事としかいいようのない美しい映像をつくりこんでいます。 この作品はストーリーやセリフを追うのではなく、映像を堪能する作品だと言えます。 個人的には、ラストは散髪の場面で良かったんですけどね。その後のシーンは、物語を無理やり完結させるために追加したような感じがして、ちょっと蛇足のような気がしましたね。 しかし、趙方豪の早逝はつくづく惜しいですね・・・・・。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-06-20 17:59:26) |
49. THE 有頂天ホテル
《ネタバレ》 これだけの錚々たるキャストを集めて、まるで舞台劇のようなコメディを作るという非常に贅沢な作品ですね。正直、内容は薄いんですけどそれが逆にそれぞれの役者の良さを引き出していて、とても楽しい時間を過ごせました。 個人的には、「スイート・チャリティ」の曲(If My Friends Could See Me Now!)がツボに来ましたね。 [地上波(邦画)] 7点(2007-02-13 19:51:32) |
50. ザ・ブレイブ・ウォー 第442部隊
《ネタバレ》 ハワイ組と本土組の対立など442部隊の置かれた状況が良くわかる作品でした。まあ、見た目は我々と同じなのに、中味は当然ながらアメリカナイズされているのでどうしても違和感は感じてしまいましたが・・・・。 あの「プライベート・ライアン」の作戦を実際に日系人部隊が行っていたことには感銘を受けました。 見る前に442部隊について予習をしておいた方が良いと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2011-06-16 00:28:29) |
51. 魚からダイオキシン!!
《ネタバレ》 前半は内田裕也の都知事選挑戦のドキュメンタリー、後半は1979年の「餌食」のリメイクとなっています。相変わらず内田裕也のロケンロールな姿は格好良すぎますね。 ただ都知事選のドキュメンタリーは非常に面白かったんですが、後半のリメイクがちょっといマイチでしたね・・・・。やはり「餌食」のあのラストを見てしまうと、このリメイク版はどうしても霞んでしまいます。あと、音楽については1979年だからこそレゲエの衝撃や「アイドルズ」へのアンチテーゼが説得力を持つのであって、この作品のクルド音楽と「アイドルズ」の設定はやや無理があるような気がします。 まあ、当時の旬の人たちが多数出てきて非常に懐かしかったですね・・・(長渕似の男には笑ってしまいました)。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-02-08 18:10:27) |
52. 再会(1975)
《ネタバレ》 身寄りもなく厳しい環境下で支え合って育った姉弟の別離の切なさは上手く描かれていると思います。 ただ、「約束」のように男女の恋愛が絡まない設定なので、1時間30分強の映画にするために、やや物語の幅を無理に広げているような印象を受けました(飲み屋の話や少女との話等)。 [DVD(邦画)] 5点(2014-06-01 23:22:25) |
53. さくらん
《ネタバレ》 さすが監督が写真家だけあって映像は中々美しいと思いましたけど、何かそれだけというか、遊郭の雰囲気だけ頂戴してセンスの良い洒落た映画を作っちゃいましたという感じを受けました。椎名林檎の音楽が流れる度にストーリーが喰われてしまいPV化してしまうのも何だかなあと思いましたね。 最初土屋アンナが主役と聞いて、「原作のイメージに合ってるな」と期待したんですが、実際観てみるとやや微妙でした。むしろ、菅野美穂の方がはまってたんじゃないかと個人的には感じましたね。 結構原作は好きだったので、やや残念な映画化でした。 [地上波(邦画)] 5点(2008-05-12 19:16:06) |
54. さよならミス・ワイコフ
非常に難しい問題を取り上げてる作品ですね。ただ、この作品では問題提起はしているけど、結局何も解決していないし、その方向性も示していないような気がします。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-04-16 21:28:12) |
55. さよならみどりちゃん
《ネタバレ》 星野真里の演技はとても良かったし、ストーリーも悪くはない・・・・。でも、やはり男の私としてはここまでしょうもない男連中の生態を延々と見せられるのは苦痛以外の何物でもありませんでした。特に西島秀俊が演じる男のスッとぼけた態度が腹立たしくて・・・・。 まあ、一言で言えば「合わなかった」映画でした。 [DVD(邦画)] 3点(2008-02-24 21:21:16) |
56. ザ・コーヴ
《ネタバレ》 日本に住む者でも殆ど知らないイルカ漁の映像は非常に興味深いものではありました。ただ、文化・風習の違いを受け入れず、ひたすら自分たちの考えを正とし目的達成のために手段を選ばない方法はいかがなものかと思います。法を犯して秘密裡に行われているわけでもなく、日本の法令で認められているわけですからね。 問題にするのであれば、イルカ漁を認めている日本政府に対しその是非を問うべきで、法で認められた正当な漁業権を行使しているだけの漁師の活動をテロリストまがいのやり方で妨害するのは絶対に間違っていると思いますね。 「イルカは可愛くて頭がいいから殺してはいけない」なんて活動家たちが堂々と語っているのを観て、心の底から嫌悪感を感じましたね。自然界のバランスが崩れ問題が起こるとか種の存続が危機にさらされているというのならともかく、知性や見た目で選別をするのは余りにも傲慢ではないでしょうか・・・・。 まあ、アメリカ的思考が具現化されているといってしまえばそれまでなんですけどね。こういう作品にアカデミー賞を与えてしまうアメリカという国に恐ろしさを感じてしまいました。 [DVD(字幕)] 1点(2011-04-17 15:49:39)(良:2票) |