Menu
 > レビュワー
 > 目隠シスト さんの口コミ一覧
目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2259
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
おばあちゃんは電話を使って関係機関に働きかけ、被害拡大を食い止めました。夏希のピンチにはネットを通じ全世界から救いの手が差し伸べられた。通信手段こそ違えど、人と人との繋がりが力を生むことに変わりはありません。一人では不可能な事でも、大勢が集まれは成し遂げられる。瞬時に全世界と情報を共有できる現代は、それだけ莫大な力を生む環境が整っていると言えます。しかし“情報”そのものが力を持っている訳ではありません。情報はただの記号。「助けて欲しい」という記号も、相手の心に届かなければ意味がありません。記号に意味を与えるのも、実行力を伴わせるのも人間です。おばあちゃんの「あんたなら出来るよ」という励ましの言葉に、夏希たちの必死な姿に、人々が動かされたのは何故か。其処には人の心を動かす“確かなもの”が在ったのだと思います。人脈であり、人柄であり、熱意であり、花札の強さであり。「夏希が美人だからだよ」という軽口も、あながち間違ってはいません。全てひっくるめて人間力。祈るだけではダメ。想いをかたちに変える力が必要なのです。おばあちゃんの人脈は、おばあちゃん一人の手柄ではなく陣内家が膨大な労力を費やして培ってきたもの。夏希が勝負の舞台に立てたのも親族の総力の結晶。大きな事を成し遂げるには多くの助力が必要で、多くの助力を得るためには、それ相当の実力が要るということ。時代や場所が変わっても、その原理原則は変わらない。このテーマは全ての人に通じます。胸を打たれました。ちなみに一番気に入ったシーンは、夏希の吉祥天でも、キング・カズマのバトルでもありません。おばあちゃんが主人公と花札をして笑った場面でした。あの素敵な笑顔。おばあちゃんが慕われている理由がすっと理解できました。実は細田アニメの凄いところはココじゃないかと思うのです。物語に命を吹き込むのはキャラクター。線が細くクセの無い作画は、一見すると迫力に欠ける印象を受けますが、とんでもない。デフォルメされた崩れた顔、ただじっと見つめる瞳、どの表情からもその人物の気持ちが伝わってきました。このセンスと技術は高く評価されて然るべきと考えます。『時をかける少女』の次ですから相当なプレッシャーがあったことでしょう。にもかかわらずこんな素晴らしい作品を創り出すとは。心から敬意を表します。次作は劇場まで足を運ぶことを約束します。次も傑作よ「こいこい!」
[DVD(邦画)] 10点(2010-11-24 18:12:05)(良:1票)
2.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
本来あり得ない“本妻の娘と愛人の友情”が、これほど自然な形で成立したのは何故でしょう。もちろん薫が幼かったせいもあります。でもあれくらいの年頃でも、男女の機微は分かるもの。女の子なら尚更です。薫が愛人であるヨーコをすんなり受け入れたのは、彼女が無防備だったからだと思いました。まるで親戚のお姉さんが遊びに来たようなノリで、ヨーコは薫の懐に入ってきました。無防備な相手には、こちらも防御を解いてしまうものです。薫はヨーコを敵と認識する前に、彼女を認めてしまいました。好きになってしまったのです。決め手は、コーラを一緒に飲んだ時。大人の女性に「尊敬する」と言われたら、小学生くらいの娘だったらメロメロでしょう。おそらくヨーコは薫に気に入られようと計算をしていません。薫を所詮子供と侮ってもいません。きっと彼女は相手の肩書きに興味がないのです。大切なのは人格のみ。だからこそ不倫にも躊躇が無いとも言えます。彼女は彼女の基準で生きているということ。真っ直ぐに、ひたすら正直に人と向きあえるヨーコは、途方も無く魅力的だと思いました。その反面、怖いとも思いますが…。「サイドカーの犬」はパートナーに目的地まで連れてってもらう人。薫はそういうタイプだといいます。多分母親もそうなのでしょう。思い通りにならないけれど楽チン。一方ヨーコは自力で目的地へ向かうタイプ。薫にとっては新鮮な価値観でした。自力で漕ぐ自転車の心地よさを、薫はヨーコから教えてもらいました。その結果、今の彼女があるのです。ちょっと大変だけど、薫は自力で自らの人生を漕いでいます。彼女の中にある理想は、颯爽と風を切るヨーコの姿。憧れと共にキラキラと輝く。成長期の出会いは、その後の人生を左右します。正直、薫を羨ましいと思いました。
[DVD(邦画)] 9点(2008-08-27 21:42:06)
3.  ザ・ドア 交差する世界 《ネタバレ》 
(ネタバレあります。未見の方はご注意ください……)主人公が開けた扉は、過去に繋がるタイムトラベルロード(?)の入り口でした。ただし、誰でも通れるワケでは無さそうです。絶望した人限定。“過去に遡って人生をやり直したい人”のみに再チャレンジのチャンスが与えられました。ただし、代償は高く付きます。それは過去の自分を殺すこと。主人公は過失でしたが、時間を遡った者は皆一様に“自分殺し”を経験している様子。“自分を殺すのは入場料”とのアロハ親父の見立ては、強ち的外れでは無いと感じます。確かに“自分が2人存在する”状態は世の摂理に反しています。一人を消すのが道理。しかし、よく考えてみると、自分殺しとは単に自殺のこと。当然未来に自分が存在出来るはずがありません(だからアロハ親父曰く「こちら側がお前の世界だ」なのでしょう)。というより、自殺した人間が生きている事自体あり得ません。つまり、ドアの向こう5年前の世界は“死後の世界”と推測されます。主人公は雪道で滑って頭を打ち、亡くなったのが真相。扉を開けた者は全員が死者(又は予備軍)でした。主人公のように事故死者は過失で、自殺者は自らの手で、自分自身を殺害したと思われます(隣人夫婦は心中ですね)。彼らは生前の強い後悔の念ゆえ、現世そっくりの死後の世界に縛られているとも言えます。ですからレオニーは、現実には助かっていません。覆水盆に返らず。自身を殺めることなく元の世界に戻れた妻だけが(入れ替わっていはいるものの)、現世で一命を取り留めた結末と解します。解釈は以上です。なんと切ないお話でしょうか。ドアの向こうの世界は天国か地獄かと問われれば、間違いなく後者でしょう。幸せを守るための人殺しが日常茶飯事なんて、気が狂いそうです。そんな地獄でも、主人公にとっては希望に満ちた世界でした。だって、愛する娘が生きているのですから。しかし、主人公は自らの選択で幸せを手放しました。でもそれで正解。地獄に居続ける限り、娘の魂は生まれ変われません。結局、主人公の日常は何も変わらなかったと思います。失った娘を想う日々が続くのみ。それも今度は永遠に続くのです。ただ違うのは、娘の死を嘆き悲しむのではなく、人生を謳歌する娘の姿を思い浮かべられること。これが唯一の救い。それが幻だとしても、です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-24 20:56:39)(良:1票)
4.  ザ・ロード(2009) 《ネタバレ》 
終末世界の構築が見事でした。立ち枯れする木々。荒廃した街並み。人々は人肉を食らう。近作では『ドゥームズデイ』でも同様の描写がありますが、やけっぱちで喰らうのと、生きるために食すのとでは意味合いが違います。後者は、よりシリアスです。食料だから飼育する。衝撃でした。直接的な食肉シーンなど無くても、このリアリティは胸に刺さりました。明らかに私たちが知る道理が通じない。どう息子を育てたらいいのか。「人を食べたらいけないの?」そう子に問われたら、自分なら答えに窮したと思う。しかし、この父親は違いました。生きることが全てではなく、人として生きることに価値があると知っていた。尊厳の意味を忘れなかった。だから彼は息子に生きる術ではなく、死に方を教えたのです。普通では考えられない。でも世界がひっくり返ったのなら常識も覆る。その腹の括り方が、親の覚悟なのだと思います。戦うことはままならず、逃げることさえ容易ではない。子連れのストレスは尋常ではありません。こんなに苦しいのなら、最初から何も無いほうがマシ。そう考えるのも無理はないほど、子の命はかけがえが無いのです。自分の命より大切なものを得る代償に、それを失うかもしれない恐怖と不安を引き受ける。重圧に耐えられなかった母親は、自らの命を絶ちました。絶望しかない世界の歩き方。それは希望を見つけること。いや希望が無いなら作り出すこと。ウソでもクソでも構わなかった。南に進み、海を目指すこと。それがこの父親が“決めた”希望でした。立ち止まったら倒れてしまう。だから足を前に出す。自らの気力を奮い立たせるため、そして息子を生かすために。勝算など無い足掻きでした。でも足掻いたからこそ、本物の希望に出会えた。この父親は賭けに勝った。
[映画館(字幕)] 8点(2010-11-30 18:15:02)(良:1票)
5.  サンシャイン 2057 《ネタバレ》 
死に行く太陽に核爆弾を落すミッション。それは、地球の命運が掛けられた人類最後の賭け。筋立ては実にシンプルです。一つの計画変更から次々と歯車が狂っていく定番のパターン。これが実にいい。緊張感の途切れない展開でグイグイ物語に引き込まれました。テーマは神との語らい。海が母のイメージならば、太陽はもっと生命の根源に迫るもの。生を許さぬ灼熱の太陽の中に命を感じるのだから不思議です。陳腐な言い方ですが、生命はそれだけで奇跡だと痛感しました。生きるためにあまりにも多くのモノを必要とする人間。空気、水、食料、太陽。何が欠けても生きていられない。人間にとって太陽は何なのか?普段意識することすらありません。それほどに遠く、そして全てを超越した偉大な存在。その強大な力を目の当たりにしたイカロス1号のキャプテンが、錯乱したとしても全然オカシク無い。神に対する畏怖の念。それは生きるもの全てのDNAの中にも刷り込まれている“キマリ”だと思えます。ですから船長は殺人鬼でも怪物でもありません。彼の主張の方が正しいのかもしれない。ただ、神の前では“塵”に過ぎない無力な生き物だからこそ、生きるための抗いを許して欲しいと願います。哲学、宗教の要素を孕んだSFサスペンス。映像も美しい。
[DVD(字幕)] 8点(2008-01-01 11:29:59)(良:2票)
6.  サイレントヒル 《ネタバレ》 
物語開始早々、主人公はサイレントヒルに到着。実にあっけない。普通の映画なら、辿り着くまでにひと悶着ありそうなもの。サイレントヒルはゲームのフィールド。ここからが勝負だということ。手っ取り早く本題に入ります。話が早いのは観ていて楽です。ただしリスクはある。「ここから本番ですよ。」といきなり言われても戸惑ってしまいます。主人公に感情移入する暇もなければ、世界観を掴む余裕もありません。物語に厚みも出ない。そこで重要なのが“割り切ること”。原作ゲームのプレイ経験よりも、ゲーム慣れしていることが大事だと思いました。作り自体がゲーム。舞台は廃墟。雪の如く舞い落ちる灰。この世のモノとは思えぬ生き物たち。問答無用、視覚で圧倒されます。絶対にヤバイ。早く逃げたい。でもそうはいきません。娘を救い出さなくては!母の想いは一貫しています。手錠をしていようと関係ない。その覚悟の瞳に心を打たれます。さらに驚くべきは、子供と血が繋がっていないということ。その事実を知って感極まりました。母親とはそういうものなのか。もちろん主人公は、シャロンに魅入られていたという解釈が可能です。彼女がシャロンを引き取った時点から、復讐のシナリオは始まっていたと考えるほうが自然でしょう。でもどんな親も子に魅入られているようなもの。子供にとって母親が神であるなら、母にとって子は命そのもの。理屈ではなく共感できます。惜しいのは、クライマックス前に主人公が恐怖から開放されてしまうこと。事実上、彼女があの部屋に到着した時点でゲームクリア。恐怖の源である闇の力を我が身に宿してしまえば、もう怖れるものはありません。復讐の殺戮は、もうSHOWでしかない。オチには納得しました。ただ好みを言えば、もう少し希望を残して欲しかった。ゲーム原作の映画としては、破格の出来だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-18 18:25:15)(良:2票)
7.  殺人の追憶
韓国映画には独特の泥臭さ、生々しさがあり、自分には合わないかもという先入観がありました。たまたま観た『オールドボーイ』がまさしくそのイメージどおりで、面白いけど味が濃すぎて胸焼けしました。ところが『僕の彼女を紹介します』『猟奇的な彼女』が自分の中でスマッシュヒット。韓国映画をまた観てみようという気になり、本作鑑賞の運びとなりました。泥臭さ、生々しさはやはり感じましたが、作品が持つ“熱”といった表現のほうが適切だと感じました。そしてこの“熱”こそが、韓国映画最大の魅力。泥臭さ、生々しさはすなわち“人が生きている”ということ。人をこれだけ強烈に描ける作品が面白くないわけがないのです。なかでもソン・ガンホ。彼の人間味の濃さは凄い!さらに本作は演出的にも素晴らしく(とりわけ間の取り方は絶妙)、前述の熱と相まって半端でない緊張感がありました。ラストも味わい深く、この類のストーリーでありがちな消化不良や物足りなさは一切感じませんでした。サスペンスというよりヒューマンドラマ。韓国映画恐るべしです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-09-05 17:47:52)(良:2票)
8.  座頭市(2003)
北野作品は食わず嫌いというか、難しそうで敬遠していた部分があったのですが、本作は素直に面白かった!基本的な構成は実にオーソドックスで観ていて安心感がありました。さらにテクニカル。見せ方の上手さ、構図の美しさを随所に感じました。そしてなにより意外だったのは娯楽性の高さ。これほど観客を楽しませることを意識してつくられているとは思いませんでした。流れるような殺陣も見ごたえあり。また、時折挟み込まれるベタなギャグが、いいアクセントになっていました。さしずめ牛丼における紅しょうがのよう(違うかな?)です。有名なラストのタップダンスについては、それまでの伏線(というか軽い予行演習)など、作品に溶け込ませようという工夫が見えました。これはこれでアリだと思います。ただ、娯楽性を追及しすぎたためか、物語の展開に(テレビ時代劇でみられるような)ご都合主義を感じてしまったのは、ややマイナスでした。それでも自分がこれだけ北野作品を楽しめるとは、嬉しい誤算でした。続編をぜひ観たいです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-08-05 19:14:00)
9.  サマータイムマシン・ブルース
「バック・トュー・ザ・フューチャー」のコメディ色を強くし、スケールを大幅にダウンさせた感じの作品。ひたすらバカバカしい、軽いノリのお話です。ノリは軽いのですが、綿密に計算された展開はお見事。伏線を細部に渡り張り巡らし、次々と辻褄が合っていく様は観ていて心地よいです。季節を夏に設定したのが大正解!思考を停止させる真夏の暑さが、違和感ありありのタイムマシンをすんなり物語に溶け込ませます。それに、このバカさ加減が夏にこそピッタリです。汗のしたたる夏の空気が、この年頃特有の熱気と妙なハイテンションにマッチしています。メインの若者たちに嫌味がないのも良。ともすると、若者の軽薄なノリを不快に感じることがありますが、そのような感じが全くなく、観ているこっちまで元気になるようでした。みんなキャラがよく立っていましたし、上野樹里の普通っぽさも素敵でした。瑛太の最後の一言は名セリフ。オチとして秀逸だと思います。(エンドロールで役名が出てきたらなお良かった。)決して大作ではないですが、タイムトラベルものとしても、青春映画としても小気味のよい快作です。本作を観るならやっぱり夏。それも暑さ盛りのまっ昼間。クーラーを効かせた涼しい部屋で、コーラでも飲みながら観るのをお勧めします。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-07-03 18:26:28)
10.  30デイズ・ナイト 《ネタバレ》 
悲しくも美しいラストに尽きる一作。昇りくる太陽の彼方を、しかと見つめる彼女の姿が心に焼きつきます。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-10 19:51:48)
11.  魁!!男塾(2007) 《ネタバレ》 
週刊少年ジャンプ黄金期を支えた名作(迷作)漫画『魁!!男塾』。30代男性の認知度は相当高いと思われます。かくいう自分も直撃世代。しかし「あらすじ」はほとんど知りません。忘れたのではなく、最初から知りません。でも結構読んだ記憶はあるのです。待合室で、本屋の立ち読みで、時間潰しに最適な漫画でした。“読み切りでもないのに一見さん大歓迎”。これが原作漫画の特徴と考えます。画の迫力と勢いだけで読ませてしまうパワーがありました。本作はそんな原作の特性と魅力を、見事に再現していると感じます。主演も務める監督をはじめとした、演者の“理解”が素晴らしいのでしょう。世界観がブレません。大真面目にバカをやる清々しさ。ある意味、厳粛とも取れるバカワールドです。その結果、狙ったネタは全てスベっている(注:正確には作品世界に同化している)のですが、そうでない部分で爆笑しました(例:急にリアルファイト風に様変わりする桃VS伊達戦。一号生の中に混じっているオッサンとか)。松尾率いる一号生応援団。本格的な振り付けで見栄えがします。要所を締めているのも好印象でした。本気具合が伝わってくるから、茶番劇が格別なものに変わるのです。ただし、着ぐるみは本物の熊に変わりませんけども(笑)。軸となる極小路の成長や、桃太郎との友情ドラマの処理が上手ければ、もうワンランク上の娯楽作品に化けた気がします。でも十二分に及第点でしょう。続編を希望です。それにしてもホームチームと瞬間メタルの相方って、何処に出てたんでしょうか?
[DVD(邦画)] 7点(2008-12-20 18:44:06)
12.  13/ザメッティ 《ネタバレ》 
大金の賭かった危険なギャンブルに挑戦する主人公。何処かで見たようなシチュエーションだなと思ったら、福本伸行マンガの黄金パターンでした。好きな設定です。主人公がどう窮地を切り抜けるかが見所。でも起死回生のひらめきも、舌を巻く戦略も出番無し。あまりにも運否天賦の要素が大き過ぎます。主人公がタイマン勝負まで生き残ったのは単純にツイていたから。それに主役がラストまで生き残るのはお約束。イマイチ盛り上がりません。でも、最期の勝負は今までのゲームとは違いました。一応戦略が立てられる。ズバリ“相手よりも早く引き金を引くこと”。先に殺してしまえば、相手の銃に弾が入っていようがいまいが関係ありません。問われているのは運よりも、反射神経と、どれだけ腹を括れるかということ。前者は若い主人公に分がありそうですが、後者の要素は経験豊富な相手の方が一枚も二枚も上手。事実、最初の撃ち合いでは相手に先に引き金を引かれています。でも仕切り直しの勝負で先に撃ったのは主人公でした。精神力で相手を上回ったのが分かります。修羅場を潜り抜けたことで、彼は飛躍的に成長したと感じました。この後の主人公の行動の見事さと言ったら!もうパーフェクト。素晴らしい頭の冴えと、用心深さを見せ付けます。ロシアンルーレットよりも、よほど見応えがある。刑事の尋問に対する受け答えはお見事でした。彼は金を掴むべくして掴んだ。それだけにオチは残念でした。彼がサバイバーズギルトに近い感情を抱いていたのは納得できますが、何も無策のまま殺されなくてもいい。今の彼なら、いくらでも対策は講じられたでしょう。本作については、定石どおりの結末では勿体無いです。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-21 22:11:49)
13.   《ネタバレ》 
葉月に憑かれた者は、みな殺人者に。相手を海水で溺死させるという手口。それは彼女が病院で折檻されていた手法と同じ。主人公だけは、彼女の居場所を突き止めたので赦してもらえた。終盤、事態は飛躍的に悪化。葉月自ら殺人鬼と化し、世界は終焉へ向かう。これが物語の外郭です。でも真相については判然としない。ここをどう解釈するか。それが黒沢作品のお楽しみ。ではいつものように自分なりの解釈を。押さえておきたいのが、葉月の心情。彼女は一人で寂しかった。誰も私のことを気にかけない。絶望の中、残像が焼きつく程長い時間、彼女は外を眺め続けた。幽霊となった葉月は、船で見かけた人の夢(意識)の中へ潜り込んだ(オダギリ説)。“自分を相手にしなかった者を殺してやる。”それが彼女の復讐。葉月に感化された者は、大切な人を手にかけた。医者と奥貫はその心情を吐露。ロン毛男も婚約破棄されている。全員、強い孤独と疎外感を抱えています。「全てを無しにしたい。」葉月と同じ想い。そこに付け込まれた。勿論、これは役所にも当てはまる。小西の行動から、生前2人の関係は疎遠になっていたものと推測されます。そこで疑問。何故幽霊の小西は、あんなに役所と睦まじいのか?役所を怨んで当たり前。「(殺されて)仕方がなかったの」なんて言うはずがない。幽霊の小西は、生前の小西とは別人です。その正体は…。役所は2人の遺骨を同じカバンに詰めます。ラストカットは小西の叫び。それまで叫んでいたのは誰。似たようなワンピース。2人が同時に出現していないこと。これらから導かれるのは、小西=葉月。役所は葉月にとって特別な人。記憶の中に自分を留めていてくれた唯一の人。葉月は彼を愛していた。「叫」は恐怖に慄く悲鳴ではなく、孤独な魂救済の叫び。そして切ない恋の叫びでした。世界に終わりが訪れたのは、誰もが孤独を抱えているから。みんな葉月を受け入れてしまう。ロマンス的に解釈するなら、“あなた以外は何もいらない”ということ。以上です。本作では観客の“思い込み”を巧みに利用しています。特徴的な赤い服、男のロン毛、タイトル。前半大いに惑わされます。このあたりの仕掛けは流石に上手い。ただ残念だったのは、全然怖くなかったこと。『LOFT』より演出的に冴えていたものの、やはり有名女優の起用は難がある。本作は怖くなければ意味がありません。ホラー⇒ロマンスの転換に驚きが生まれないから。
[DVD(邦画)] 7点(2007-12-04 18:20:05)(良:2票)
14.  サイレン FORBIDDEN SIREN 《ネタバレ》 
タネが明かされた瞬間は、正直ガッカリしました。何だ、結局妄想オチかと。でもエンディングを見ているうちに、考え直しました。鉄塔から落ちるまでに市川が目にしていたものは、全て手帳に感化された妄想との解釈が可能です。だだし、4回目のサイレン後の行動は、それでは説明がつかない。彼女が手帳の続きを見ていない以上、殺戮を始める必然性がありません。別の要因があるはずです。目まぐるしいカット割りのエンドクレジット。その中で異質だったのが『人魚伝説』のくだり。島民が人魚を食べて不老不死になった御伽話が,再度強調されます。人魚は英語で「SIREN」。人魚伝説は本物だった。市川(阿部)は、殺された人魚に成り代って、島民(の末裔)に復讐を果たしたという見方が妥当でしょう。赤い衣をまとった高橋真唯は人魚の霊。彼女の姿を目にしているのは、島外者である森本と市川だけです。それなら辻褄が合う。ただ腑に落ちないのは、高橋に足があったこと。それは人間である証。では伝説はデタラメなのでしょうか。いや全てがウソとは思えません。島民が若い女性をなぶり殺しにした事実はあったのかもしれない。島には偶像崇拝の風習があります。流行り病が引き金となって、集団凶行に及んだのではないか。魔女狩りと同じです。鏡に映るとDOGはGOD、LIVEはEVILに見えるように、島民の目に彼女はどう映ったのか。自分たちの行動を正当化するために人魚伝説は生まれたのだと思います。惨劇は人魚の呪いではなく、少女の恨みによって引き起こされた。彼女にしてみれば、島民は全て化物に見えたでしょう。断末魔に耳にしたであろう“サイレン”は、民衆の狂気の叫び声か。終始物悲しい表情の彼女が一瞬だけ浮かべる笑みに、震えます。
[DVD(邦画)] 7点(2007-07-04 19:06:55)(良:1票)
15.  ザスーラ 《ネタバレ》 
ゲームの存在理由について、一切説明が無いのが凄い。もちろん『ジュマンジ』ありきという部分もあるのでしょうが、変に言い訳するよりも「世の中には不思議なことがある」で押し切る強引さが素敵です。テーマはベタ。エピソードも想定内とはいえ、ちゃんと伏線を張った展開に好感が持てました。宇宙飛行士の正体のサプライズも良。思っていた以上に楽しめました。映画館の大スクリーン向けの作品だと思います。ラストがやけにアッサリしていたので、もうひと押し欲しいところ。ザスーラを離婚した両親にやらせてみるとか、間違えてもう一回スタートボタンを押してしまうとか。それでも家族で安心して観られる娯楽SFとして、利用価値のある作品だと思いました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-26 17:51:36)
16.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 
不幸体質の女性の恋のお話。最初は、「そんなに辛い恋愛ならしなければいいのに」とか「この男、最低だな」とか思って観ていました。でも恋愛は理性でするものじゃない。そういうことを久しぶりに思い出しました。ゆうこからは、“理屈ではなく人を愛おしむ気持ち”を、ユタカからは‘人と深く交わることへの恐怖“”愛されることへの渇望と不安“が伝わってきました。2人とも器用に振る舞いながら、本当は不器用。それは理解できます。でも今2人の関係を”よし“としていいのか。今の状況からは光が見えません。やっぱり一歩前に踏み出すべき。自分はそう思います。「私を愛してよ」と本音を吐露したゆうこ。スナックを辞める決断をしたこと。頑なに拒んでいた歌を歌ったこと。満面の笑みで歌い踊るゆうこからは、恋する女性の切なさがにじみ出ていました。でも今の状況から踏み出す一歩、いや半歩も同時に見えた気がします。やっぱり女性は芯が強いのかもしれません。物語には痛々しいくらいのリアリティがありました。キャスティング的にはメインからスナックの客に至るまで良くはまっていたと思います。とくに星野真理は役を自分のものにしていたと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-03 17:57:29)(良:3票)
17.  サロゲート 《ネタバレ》 
不老不死は人間の究極の願い。とりわけ“不老”は魅力的です。10代、20代の若さを維持できるとしたらどんなに素晴らしいか。ですから、もしサロゲートが技術的に可能になったら、それを拒否できるほど人間は賢くない気がする。本体の健康管理や生殖活動、サロゲートの犯罪使用防止策等の諸問題がクリアされれば、人類総サロゲートもあながち在り得ない話ではない気がしてきました。ただし、自分だったら主人公のように若かりし頃の自分を模したサロゲートは使わない。日々衰えていく自分とのギャップに打ちのめされるだけだから。全く別人のイケメンを操作して、社交的で積極的な「もう一人の自分」の人生を楽しむでしょう。現実の自分とは正反対の。あれ、でもそうなると何処に自分のアイデンティティを置いたらいいのか判らなくなりますね。シュミレーションすればするほど、怖くなってきました。やっぱりサロゲートはいらないです。物語の方も、全世界のサロゲートが活動不能になり、人生の主権が人類の手に戻りハッピーエンド。でも一度取得したテクノロジーを破棄出来ないのが人間の性。いや業です。歴史が証明している。だから後味は良いようでほろ苦いのです。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-31 18:28:27)(良:1票)
18.  サラマンダー 《ネタバレ》 
設定や物語の合理性を問うと、正直厳しいです。でも、そこを曖昧にして気楽に観ればそんなに悪くないかと。サラマンダーの造型は悪くないし、困窮した人々の描写もきちんと出来ている。怪物討伐のスカイダイビングなんて破天荒具合もマル。それにサラマンダーを悪の枢軸国やテロリズムに置き換えてみるとなかなか面白いです。(以下余談)サラマンダーの繁殖について。ロンドン地下から出てきた最初の1匹から瞬く間に増えたという設定。ということは、1匹目は雄と雌、両方の役割を担っていたのではないかと推測されます。性変換するタイプの生物(魚に多い)の可能性がある。せっかく雄を殺した訳ですが、サラマンダーが再び繁殖するのは時間の問題では…。
[地上波(吹替)] 6点(2009-05-18 18:57:28)
19.  最終絶叫計画
本家の知名度。それがパロディ作品の成否(興行上の成功)に大きく関わってくると思います。主たる元ネタは『ラストサマー』と『スクリーム』。ホラー映画好きなら必須ですが、『13日の金曜日』や『ゾンビ』ほど、一般層に浸透している作品ではありません。つまり一般ではなく映画ファン、それも一部のホラーマニアを対象とした守備範囲の狭いパロディだと思いました。一般ウケはそもそも無理な話。でも『ラストサマー』を“楽しめた”人なら、本作も楽しめる可能性は大です。自分もそう。かの作品はこれっぽっちも面白いと思わないけど、“楽しめた”クチではあります。バカ映画が嫌いじゃなくて、下ネタを嫌悪しなければ本作も多分イケるでしょう。そもそも、エログロと笑いの関係は密接ですし。ただマニアックな作品ながらハマリ度はイマイチでした。元ネタにパワーが無いからかな。こればかりは如何ともし難い。最後に本編で出てきた名台詞を紹介しておきます。「小さなトンカチだって上手く使えば釘は打てるんだよ!」この言葉に感銘を受けた野郎にだけお薦めします(泣)。
[DVD(吹替)] 6点(2008-11-05 18:54:19)(笑:1票)
20.  THE 有頂天ホテル 《ネタバレ》 
キャストは豪華。エピソードも盛り沢山で飽きさせません。キーアイテムを介しながら、絶妙に各物語が絡み合っていく見事な脚本。さすが三谷幸喜。旺盛なサービス精神には頭が下がります。ただ思ったほど満足感が無いから不思議。まず思い当たるのが役者の問題。序盤からお馴染の俳優陣がぞくぞく登場。人気者の顔を拝めるだけでも有難い。でもメインディッシュばかりなので、気後れしてしまう。「そんなに沢山食べられないよ」と思ってしまう。食す前から胸がいっぱい。だから意外と箸が進まない。たまに知らない役者さんを見かけると、ホッとしてしまう。某プロ野球球団の話ではないけれど、やはり配役にもバランスが欲しい。無色で味のない役者さんの大切さを知りました。“自分らしく生きる”というテーマに沿ったエピソードの数々。奇跡に頼らない落としどころは自分の好み。個人的には松たか子の強さにグッと来ました。でも盛り上がりに欠ける。クライマックスのパーティ会場で、“締め”が欲しいと思いました。オダギリが書いた垂れ幕は、今宵の出来事全てを象徴する文字。これを効果的に使うのも手だったかと。画に魅力が出てくれば、三谷映画は鬼に金棒だと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2008-02-02 18:22:40)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS