41. ションヤンの酒家(みせ)
《ネタバレ》 夜更けのスナックで訳ありな美人ママの身の上話を聴いているような気分に浸りながら観賞してました。 急激に経済成長していく中国の中で、さまざまなものが変わっていく中でたくましく生きていく主人公の姿に共感を覚えました。 鴨の首は一回食べてみたいですね。あと、重慶のロープウェイも一度乗ってみたいと思いました。 [地上波(吹替)] 7点(2009-10-26 23:48:56) |
42. SING FOR DARFUR
《ネタバレ》 非常に評価が難しい作品ですね。観終わった後は、「ナイト・オン・ザ・プラネット」のバルセロナバージョンみたいだなというのが率直な感想でした。リレー方式で主役が入れ替わっていく手法は中々面白い試みだと思いました。 ちょっと日本人夫婦の会話には違和感を感じましたが。 この作品が伝えようとするメッセージは、「ダルフール」の問題は対岸の火事ではなく人類として脅威となる問題なのだから関心を持ちましょうということだと思います。ただ、皆それぞれ何らかの問題を抱えていますからね・・・・生活に余裕のある人ならともかく、殆どの人はそこまで頭が回らないのは仕方ないでしょうね。まあ、それ故に人類は過ちを繰り返していると言われてしまうと何も言えませんが・・・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2009-10-07 17:40:00) |
43. 縞模様のパジャマの少年
《ネタバレ》 ネタバレになってしまうかもしれませんが、とりあえず頭をハンマーで殴られたかのような大きな衝撃を受けましたね。マーク・ハーマンが監督だとか、ポスターの雰囲気とかから、ちょっとビタースイートな少年映画かと思ってたのですが、まったく違いましたね。 この映画が伝えようとしているのは、ホロコーストはもちろんですが戦争という名の殺し合いの現実の中にファンタジーなんてものは全くもって存在しないということ、そしてその現実から目を背けても事態は決して良くはならないということではないかと感じましたね。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-23 00:12:03)(良:1票) |
44. ジェリーフィッシュ(2007)
《ネタバレ》 イスラエルの普通の人々の日常のドラマを、幻想的な映像を時折交えて詩的に温かく描いた良い映画でした。幻想と現実の場面の組み合わせ具合が非常に絶妙でしたね。脚本や映像の構成、出演者の演技も見事でした。 また、イスラエルがさまざまな国からのユダヤ人移住者によって成り立っていることや、フィリピンなどの海外出稼ぎ労働者が多く働いていることが描かれているのも興味深かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-10 09:37:57) |
45. 17歳の風景 少年は何を見たのか
《ネタバレ》 正直言って、そんなに面白くはなかったです。 永山則夫の見た風景をひたすら映し出していった「略称・連続射殺魔」の21世紀バージョンといった印象を受けました。永山にしてもこの作品の主人公にしても、その時代に対する不安や怒りが犯罪に結びついていったわけですが、永山の場合劣悪な家庭環境に育ち「無知」であったことが大きな要因であったのに対し、この主人公は逆に自分の未来図が大方見えてしまっていることが引き金になったであろうことが非常に興味深かったですし、今という時代の閉塞感を感じてしまいます。 [DVD(邦画)] 5点(2009-07-05 00:29:12) |
46. シベールの日曜日
《ネタバレ》 インドシナ戦争で現地の少女を殺してしまったかもしれないピエールと父親に捨てられたシベールが出会い、それぞれ失ってしまったものを補おうとするかのように親密になっていく様は仲の良い本当の親子のようで微笑ましくもありましたが、当然ながら世間の目はそこにある純粋さなど気付くことなどないんですよね・・・。非常に切ない物語なのですが、この破滅的な美しさには不思議と惹かれていきますね。パトリシア・ゴッジの演技の素晴らしさも印象的でした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-06-26 00:29:58) |
47. 下落合焼とりムービー
《ネタバレ》 所ジョージやアルフィーの坂崎幸之助、タモリといった芸能界の大御所たちの若かりし時代の姿を記録した貴重なフィルムではあります。 しかしながら、映画全編で繰り広げられるナンセンスな世界がどうも気持ち悪くて好きになれませんでした。なんなんだろう、下品なんだけどどこか上から目線なところがどうも合わないんですよね。 [DVD(邦画)] 2点(2009-06-23 18:41:46) |
48. シークレット・サンシャイン
《ネタバレ》 人間というものは不完全な生き物であり、神の恵みを受けることはできても神そのものになることはできない・・・・・。そんなことを考えさせる「神の不条理」を描いた作品でした。 チョン・ドヨンの迫真の演技が光ります。正直、観ていてひいてしまう程なのですが、それをソン・ガンホをはじめとする密陽の人たちのユーモアが中和してくれて非常にバランスの良い構成になっています。 しかし、このイ・チャンドンという監督は本当に凄いです。 [DVD(吹替)] 8点(2009-05-18 20:30:06) |
49. 十二人の怒れる男(1957)
《ネタバレ》 文部科学省は、この作品を民主主義の教材として子供たちに鑑賞を義務付けるべきではないでしょうか。 声のでかい奴の威圧的で一方的な意見や、人間誰しもが持っている偏見や差別感情に付け込んだ卑劣な「正論」に流されてしまうことがいかに愚かな行為であるかをこの作品は明確に示しています。そして、ヘンリー・フォンダが演じる陪審員のような勇気と冷静さは本当に見習わなければならないと思います。 しかし、今もなおこの作品が名作として人々に感動を与え続けているというのは、逆に考えると現実社会ではこの作品はまだまだ「理想」にすぎないということなんですよね・・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-04-27 19:27:43) |
50. 純喫茶磯辺
《ネタバレ》 何というか、喫茶店でまったりと時間を過ごしているときのような心地よさを感じましたね。こういう何気ない日々の姿をユーモアを交えて描く作品は大好きです。 キャスティングもばっちりはまっていましたね。 しかしまあ、麻生久美子の役柄のような普通のように見えて実は思いっきりズレてる人って結構いますよね。無意識のうちに人をイラつかせてしまうような感じの人。まあ。「カメレオン」読んでたのは笑えましたけど。 [DVD(邦画)] 8点(2009-04-15 12:37:05) |
51. シリアル・ママ
《ネタバレ》 観ている最中は大笑い、でも観終わった後はいろいろと考えさせられます。 理論武装して大義名分を掲げ自分の価値観やルールを他者に押し付ける人間や国家、そしてそれに対し理論で論破できず傍観せざるを得ない司法や周囲の人々・・・現代社会の問題点を鋭く皮肉った傑作コメディですね。 シリアル・ママは特別な事例でもなんでもなく、程度の差はあれども人間誰しもがその資質を持っているのではないですかね?(特にこの作品を観てスカッとした気分になった方はかなり危険度高いのでは?) [ビデオ(字幕)] 9点(2009-04-03 10:42:16) |
52. shane [シェイン] THE POGUES:堕ちた天使の詩
《ネタバレ》 ポーグスのフロントマンであり、愛すべき「酔いどれ天使」シェイン・マガウアンの魅力にあふれた作品です。あの独特の笑い方が耳に残って離れません。 アイルランド移民としてのアイデンティティがパンクと出会い、あのポーグスの音楽が生まれたんですね・・・・。 彼らの名曲もふんだんに使われていて本当にファン必見の作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2009-03-14 23:07:35) |
53. シティ・オブ・ゴッド
《ネタバレ》 テーマはひたすら重く暗く全く持って救いようが無いのに、サンバのリズムが不思議とマッチしてるし、時折陽気さすら感じるアクション映画(ブラジル版「仁義なき戦い」みたいな感じ)に仕上がっているんですよね・・・・。 これまで、いろんな国の映画を見てきましたが一番カルチャーショックを受けましたね。何というか自分のモノサシでは全くはかることの出来ない価値観と遭遇してしまった感じです。 ホント、世界は広いなという感想しか無いですね・・・・・。(あまりの救いようの無さにマイナス1点です) [DVD(吹替)] 9点(2008-10-14 18:16:40) |
54. 尋問
《ネタバレ》 「国家のため」に行なっていることが、本当に「国家のため」なのか?本当に「国家のため」になっているのか?人民と国家の関係とは「人民のための国家」なのか?「国家のための人民」なのか?難しいテーマをこの作品は、生々しい留置所内での出来事を通して問うています。 非常に痛々しい描写も多いですが、人間ドラマとしても良くできています。特にラストにいたる展開は見事で、悲惨な物語でありながら後味は悪くありませんでした。クリスティナ・ヤンダの演技は素晴らしく、厳しい拷問の中でも最後まで人間の尊厳を棄て去らなかった主人公を見事に演じています。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-09-09 18:23:37) |
55. 地獄に堕ちた勇者ども
《ネタバレ》 映像美・キャスト・ストーリー・音楽と全てが素晴らしくまさに一級品の総合芸術と言える作品ですね。それに加えて、高貴だけれども下卑た骨肉の争いの世界に、ナチスドイツ形成の史実が見事に絡まっていて歴史映画としても非常に見応えがあります。 倒錯的でグロいシーン(個人的には苦手です)もややありますが、映画好きなら一度は観て欲しい名作ですね。 [DVD(字幕)] 9点(2008-07-28 19:20:04) |
56. ジョン・レノンを撃った男
《ネタバレ》 ちょっとチャップマンを格好良く描きすぎですね(まるで、「タクシー・ドライバー」のデ・ニーロみたいですね・・・・)。正直、彼の心情なんかは結構わかる部分もあったりするのですが、その思いを実行に移した時点でもう同情の余地なしでしょう・・・・・。 まあ、ジョン・レノンの死の状況がリアルに描かれていて、ビートルズやジョンの音楽を愛する者としては非常に複雑な気持ちでした・・・・・。 [DVD(吹替)] 7点(2008-07-24 14:15:39) |
57. 就職戦線異状なし
《ネタバレ》 何というか今観ると、バブリーな浮かれっぷりや甘さ加減が非常に虚しく感じますね。女性陣のファッションも何だかなあという感じです・・・・。 それと、就職氷河期世代の人間としてはいろいろと腹立たしく思うところもあり、評価はほとんどできませんが、仙道敦子と「どんなときも」にそれぞれ1点ずつ献上します。 [ビデオ(邦画)] 2点(2008-06-24 09:47:27) |
58. 純愛物語
《ネタバレ》 何というか、リアリズムに彩られた社会派純愛映画という感じですかね(ラストも非常に物悲しいです・・・・・)。 とにかく、江原・中原コンビの甘ったるい恋愛劇という糖衣に包まれた厳しい現実描写が非常に印象に残ってしまいます。住む家すら無く犯罪で生計を立てている戦争孤児たち、ドヤ街の木賃宿、そして戦後10年たっても原爆の影響に怯える人々・・・・・・。特に病院での診察が淡々としたタッチで流されるシーンは恐ろしさを感じました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-15 19:27:01) |
59. しとやかな獣
《ネタバレ》 人間の欲深い醜悪な部分を、あるトンデモ家族を通して描いたブラックコメディの傑作です。 とにかく、登場人物が皆しょうも無い悪党ばかりで、もう滑稽すぎて笑うしかないです。 その中でも、伊藤雄之助と山岡久乃夫婦のすっとぼけたやり取りが最高にシュールで素晴らし過ぎます。 ラストも破滅を直接的に見せることなく、表情や雨に濡れるカバン等で表現していて巧さを感じましたね。 まあ昨今の「昭和ブーム」に乗って「三丁目の夕日」なんぞ観ながら、「ああ、あの時代は皆貧しかったけれども希望があったんだな!あの美しい夕日はその象徴だ!」なんてノスタルジーに浸ってしまった方に是非、この作品に出てくる夕日の破滅的な美しさを観てもらいたいですね。(誤解の無いように言うと、私は三丁目の夕日は2作とも金払って映画館で観ましたし、好きな作品です。) [DVD(邦画)] 8点(2008-02-18 19:26:36) |
60. 自虐の詩
《ネタバレ》 しかし、中谷美紀は「嫌われ松子の一生」(どうしても比較してしまいます)もそうでしたが、こういう幸薄い女性の役が本当にハマりますね。この作品でも見事な(?)薄幸ぶりを見せてくれています。 完成度の高さでは厭らしいほど緻密に作りこまれた「嫌われ松子の一生」には及びませんが、観終わった後に晴れやかな気分にさせてくれる作品でした(まさに松竹人情喜劇という感じですね)。 [映画館(邦画)] 8点(2008-01-26 21:09:06) |