Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧。7ページ目
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2389
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123456789
投稿日付順123456789
変更日付順123456789
>> カレンダー表示
>> 通常表示
121.  死ぬにはまだ早い 《ネタバレ》 
情事を終えた元レーサーと人妻。女を車で送りに行くが、街道では殺人犯を追っている警察が検問をしている。夜11時、喉が渇いたので山小屋風のドライブインに二人は入る。店内には新婚カップル、常連の医者、おつむの軽い若い娘ふたり、タクシー運転手、そしてカウンターの隅っこで黙々とマッチを積み重ねる陰気な男などの客がいた。そこに拳銃を持った男が乱入してくる… ここでネタばらしちゃいますけど、実は本作は64年製作の『恐怖の時間』を翻案した映画なのです。原作は菊村至の『閉じ込められて』という小説なんだそうですが、原作自体が『恐怖の時間』をネタにしたということなんでしょうか。 『恐怖の時間』と違ってこちらは男が立てこもってからは完全に密室、誰も入ってきません。客たちのエゴはだんだんむき出しになってきて、自分だけは助かろうとして醜い行動をする奴も出てきます。黒沢年男が演じる立てこもり犯は、浮気した恋人を射殺しその浮気相手を殺すために店に来たのですが、いきなり見回りの警官を射殺する凶暴な奴です。こいつは『恐怖の時間』の山崎勉とは違って鬼畜のような男で、医者に新婚の女をレイプさせようとしたり緑魔子には裸になることを強要したりでやりたい放題です。この頃の黒沢年男はこういう激情に駆られて身体を動かすキャラをやらせたらピカイチですよね、セリフは聞き取りにくいけど。 低予算ながらもほぼドライブイン店内だけで繰り広げられる密室劇としてはかなり濃度が高いと言えます。ジュークボックスがあって、そこから森進一の『花と蝶』やザ・タイガースの『青い鳥』なんかを聞かせるところなど独特のテイストに満ちています、この映画は。ラストにちょっとしたオチがあるのですが、『恐怖の時間』と比べても毒味がはるかに利いています(基本的には同じオチなんですけどね)。 こんな映画がソフト化されていないのは実に不思議。この映画の内容が、後におこった三菱銀行北畠支店の有名な事件に似ているからというあまり説得力のない説もありますが、真相はどうなんでしょうね。監督の西村潔には、ほかにも完成したのにお蔵入りさせられて観た人がほとんど皆無の『夕映えに明日は消えた』という正真正銘の幻の映画があり、まあ不運な人だったみたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-08 14:33:41)
122.  ジャッキー・ブラウン
近年になって評価が上がってきた様な気がしますが、タラ映画の中でも最も不評な一篇みたいですね。初見の時から気にいった自分としては、どうしてそんなに評判悪いか判りませーん。 ムダ噺や時系列をいじくった演出がほとんど見られないなど、世間がタランティーノに期待しているところを見事に裏切ってくれたせいでしょうか。でもP・グリアやR・フォスターの絶妙な演技を観ていると、タランティーノは普通に映画を撮っても超絶的な技巧を持っていることは良く判ります。この映画ではとくに長回しが多くて、そうなると俳優の演技力の優劣が観客に良く判り、監督にとっても腕に自信がなくちゃチャレンジしたくないものです。 タランティーノはこの映画では真横からP・グリアを撮ったショットがやたら多いんです。確かに横から見ると彼女の黒人離れした堀の深い顔がとても美しく、タランティーの彼女に対するリスペクトが窺えます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-10-04 22:32:50)
123.  地獄(1960) 《ネタバレ》 
肝心の地獄よりも、天地茂たち主要な登場人物がほとんど死に絶える現生の方が、不気味なんです。上から見おろす、下から見上げる、そんなとてもシュールで居心地の悪いショットが一時間の現生編の半分は占めているような気がします。何度も挿入される走る蒸気機関車や線路のカットがどんどん鬱な気分にしてくれます。 しかし新東宝でも屈指のカルトにこの映画を押し上げたのは沼田曜一のそりゃ鬼気迫る怪演に違いなく、この演技を説明するには適切な言葉が思いつかないぐらいです。彼が悪魔なのか天地茂のダーク・ハーフとして出現したのか、けっきょく最後までよく判らんところがまた良いですね。 地獄で苦しめられる天地茂に何か光明がさしてくるような雰囲気もあり、まさか夢オチの最悪なハッピー・エンドかと危惧させられるも、あまりに無常なラスト・ショットで締めてくるとはさすが中川信夫です。 この映画、未成年とお迎えが近い老人は、決して観てはいけません!!
[DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 20:04:12)
124.  白い巨塔 《ネタバレ》 
タイトルバックが実際に開腹手術をしているところを撮っているのにはびっくりです。この映画はその他の手術シーンも実写でカメラに収めていて、現代では絶対に不可能なことでしょう。モノクロだからまだましですが、けっこうグロいです。78年のTV版に衝撃を受けた年代ですので、「あれ、財前五郎はガンで死ぬんじゃなかったっけ?」と拍子抜けしましたが、本作は原作の正編だけの映画化だったんですね。 とは言え、上映時間2時間半でもかなり駆け足で物語を進行させていると言う印象はぬぐえないかな。それでも、田宮二郎のド迫力には終始圧倒されてしまいました。 でもやはりTV版をもう一度観たくなりました、ビデオ屋で探してみよう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-07-28 23:07:37)
125.  ジャズ大名 《ネタバレ》 
まさに岡本喜八と筒井康隆、夢のコラボレーションですな。この時期岡本喜八は映画がなかなか撮れない苦境の時期だったけど、初期の喜八映画に立ち返った様なアヴァンギャルドぶりはファンとしてはもう感涙です。おかげで数ある喜八ムーヴィーの中でもとびっきりのカルトとしてその名を轟かせています。 いつもの富士御殿場でロケしているのが見え見えの脱走黒人たちの珍道中パートはちょっとモタモタしているのですが、あのウナギの寝床みたいなお城で殿様に楽器を教え始めると、もうストーリーなんてどっかにぶっ飛んでしまい、後は狂乱のジャズ・セッションが延々と続くんですから観ている方も頭の中トランス状態ですよ。ブレイク前のタモリを始め当時のサブカル界から大挙出演者を引っ張ってきてるのは壮観でもあります。 ちょっと毛色の変わった映画をお探しのあなた、ぜひ一度ご覧あれ!
[ビデオ(邦画)] 7点(2012-05-22 00:07:27)
126.  銃殺(1964・英) 《ネタバレ》 
キューブリックの『突撃』のプロットを英軍に置き換えた様な感じですが、もとは舞台劇だったそうで、戦場の廃墟が軍事法廷となりあと映されるのはハンプ二等兵が監禁されている室内だけでほとんど密室劇の様な展開です。弁護人のハーグリーブスをダーク・ボガードが演じているので、『突撃』のカーク・ダグラスとは打って変わってポーカーフェイスでお行儀のよい弁護を展開しますが、その冷淡な弁論に徐々に感情がこもってゆく演技が秀逸です。ハンプ二等兵は個性がない平凡そうな男で、その当り前さが戦場にいる普通の兵士たちを代表している様な演出です。 弁護は成功したかの様に見えましたが、「攻撃前に士気を高める必要がある」という将軍からのお達しで判決はあえなく有罪・銃殺。なんの救いもない結末ですが、「彼にはなんの軍功もない、ただ生き残ってきただけの臆病ものだ」「生き残ることが罪だとおっしゃるのですか?」、このやり取りに重い反戦のメッセージが込められていました。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-09 22:25:03)
127.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 
初っ端に女性が犠牲になって喰われる、町はイベントやお祭りの真最中で責任者が危険を無視する、最後は爆発によって退治される、とまあ数えてみれば同種の映画でこれほど模倣されている映画もちょっと珍しい。 “動物パニック映画は駄作だらけ”という定説を唯一くつがえしただけでも大したものです。原作小説もベスト・セラーなんだけど、フーバーとブロディの奥さんが不倫してたりなどけっこう緩い部分が多く、スピルバーグが書きなおさせた脚本の方がはるかにイイです、無駄がひとつもありません。 しかしけっこうjawsという英単語がサメという意味だと思っている人が多いんですよね、これもこの映画の偉大な影響ですか(jawは“あご”です)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-07 00:45:12)(良:1票)
128.  ショーガール 《ネタバレ》 
下品、低能、おバカと普通の映画監督なら舌を噛み切って自殺しかねないぐらい世間から酷評されていますが、正直に言っちゃうと、自分はけっこう好きですね。最後まで成長しないビッチを絵に描いた様なヒロインとゲップどころか戻しそうなぐらい出てくるハダカのせいもあるけど、ストーリー自体はよく言えば普遍的、まあありきたりってわけで良くあるスポ根ものや不倫もの映画と大差はありません。そりゃヴァーホーヴェンは確信犯で、ベガスのショーに競争社会で勝者がすべてのアメリカを投影させているわけで、ひょっとして彼なりの女性賛美映画なのかもしれませんよ(ちょっと褒めすぎか)。この映画に出てくる男はどいつもこいつも爬虫類顔したお下劣な奴ばかりですけど、そんな中でロバート・ダヴィがけっこう爽やかな印象を残していたのが意外でした。 まあラジー賞総舐めというのは、私たちがある種のリスペクトを込めて『死霊の盆踊り』に0点をつけるのと同じ様なもんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-25 23:13:07)(良:1票)
129.  G.I.ジェーン 《ネタバレ》 
リドリー・スコットが撮る現代ものアクション映画はみんな同じに観えるので困っちゃうのですが、その“リドリー・スコット節”の原点はこの映画なんでしょうね。まるで第三次世界大戦が始まるかのような大げさな音楽と緊迫感をあおる映像のオープニング、たかが女性士官が特殊部隊の訓練を受けるお話しなのに、そんなに力まなくても… これはリドリー・スコットの映画に共通することですが、彼の作品には驚くほどユーモア的要素がないんです。またこの映画に登場する上院議員やレズの女性士官が男性陣と比べて露骨に陰険でネガティヴなキャラなのを見ても、実は本作は反フェミニズム映画みたいな印象が残りました。まあスコットとデミ・ムーアも、そこら辺は深く考えないでこの映画に関わったと思いますがね(笑)。 軍隊の中であっても女性の能力はもっと別な分野で有効活用されるべきで、人殺しは男に任せておきなさい、というのがこの映画の教訓でした。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-10 19:38:35)
130.  白い刻印 《ネタバレ》 
人生がドツボにはまった男のあまりに暗く陰惨な物語で、ある意味、ここまで夢も希望もないストーリーを、ポール・シュレイダーよくぞ考えついたなと感心してしまいました。ニック・ノルティは“雪原のトラヴィス”というよりは、ただひたすら粗暴でイタイ性格の男でしかなく、そしてなかなか見事なバカっぷりです。なんせ人から聞いた話をすぐ信じ込んで自分の苦境を癒す妄想に走ってしまうんだから始末に負えない。そのきっかけは弟のウィレム・デフォーが造った様なもんだから、考えてみればこいつも罪な男です。ただどう考えてもデフォーのキャラはこの映画の脚本の大きな欠点ではないでしょうか。最初はモノローグだけで一時間もたたないと画面には登場しないし、なんか不必要な登場人物の様な気がしてなりません。子供のころの回想シーンで登場する弟がデフォーではなかったと判ったら、ますますこのシナリオに?が加わりました。ジェームズ・コバーンはこの映画でオスカー獲ったのですが、これは演技に対してというより功労賞的な意味あいが強いみたいですね。 まあとにかく、とても後味が悪い映画です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2012-02-20 18:25:48)
131.  娼婦ベロニカ 《ネタバレ》 
“ベネティア版花魁一代記”といった風情ですが、国の権力者だけでなくフランス国王まで骨抜きにしちゃうところはさすがスケールがでかい。ベネティアの明るく陽気な娼婦文化は江戸時代の吉原に共通するところがあって興味深いところです。キャサリン・マコーマック、知性はともかく高級娼婦としての妖艶さには欠けるのでイマイチなのですが、かつての我がミューズ、ジャクリーン・ビゼットが母親役で久々の登場なのでそこは大満足です。ビゼットが娼婦の手ほどきをするシーンは、『プリティ・プリンセス』みたいで苦笑です。“永遠の恋人”はルーファス・シーウェルですが、この人が悪役じゃないなんて実に珍しいことです。彼の奥さんがナオミ・ワッツだけど、ちょっと観には彼女と判らないほどのブス・メイクは凄かったです。全体的に『プリティ・プリンセス』娼婦版みたいな軽い撮り方ですけど、ラストの裁判とその結末はなかなかイイ話しでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-12 18:41:24)
132.  主人公は僕だった 《ネタバレ》 
神さまエマ・トンプソンは最近スランプに陥っている。自らの創造物であるウィル・フェレルの人生を、どうやって華々しく終わらせようかと試行錯誤の日々である。神のライバルである悪魔クイーン・ラティファは、フェレルの死後の魂が欲しいので、ここはグッとこらえて神さまに協力している。トンプソンとの関係がギクシャクしている天使ダスティン・ホフマンは、フェレルを助けて“神のみ業”を妨害しようとしている。 と、いう様なプロットだと私は思うんですよね、この映画は。ラストで“神のみ業”の出来栄えに恐れ入った天使がフェレルを見捨てちゃうのに、悪魔が逆に情にほだされてハッピー・エンドになるのに力を貸すというところが皮肉になっているんですよね。かなりシュールなお話を、ここまでふつうの出来事みたいに淡々と語るストーリー・テリングは、けっこう新鮮でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-13 00:33:19)
133.  ジョン・レノンの僕の戦争 《ネタバレ》 
ジョン・レノンはいちおう出てますけど、あまり目立たない役です。この映画の出演のために切ったそうですが、それでも彼の短めのマッシュルーム・カットは周囲からは浮いてましたねー。レノンより遥かに存在感を見せてたのはジャック・マッゴーラン(『エクソシスト』でリーガンにぶっ殺される映画監督です)で、ほとんど彼の独演会みたいな印象でした。この映画、まるでキャロル・リードの『最後の突撃』を思いっきり茶化してパロディにした様な内容で、まあ、無能な上官のせいで兵士がバタバタ死んでゆくという本作のプロットの方が現実に近いというのが強烈な皮肉です。「戦場にクリケット場を造れ!」なんて不条理な設定は非常にシュールで面白いのですが、戦場が北アフリカからヨーロッパに移ってからは普通の戦争映画みたいになっちゃって、どうせなら「クリケット場を造って転戦してるうちに戦争に勝っちゃった」というストーリーの方がはるかに良かったと思います。笑いのセンスは実にベタで、悪い意味での英国調なのですが、監督のリチャード・レスターは生粋のアメリカ人というのは実に不思議です。
[ビデオ(字幕)] 4点(2011-10-28 18:35:50)
134.  JFK 《ネタバレ》 
自分は俗に言う「陰謀史観」というやつは鼻から相手にしないのですが、ケネディ暗殺だけはどう考えてもウォーレン委員会の公式発表はおかしいと思っています。オリヴァー・ストーンは「ケネディ暗殺が自分の青春を狂わせた」と信じているお方ですから、そりゃ私の様な半可通でもなっとくさせてくれる構成力というか力技で暗殺の陰謀を再現してくれました。でもその「虚実織り交ぜて」というのが曲者で、どこまでが事実でどこからがフィクションなのか判りにくいある意味「危ないプロパガンダ映画」としての側面も持っているのも事実です。ストーリーは後半クレイ・ショーという男の裁判が焦点になるんですが、こんな小物が有罪になってもどうケネディ暗殺の陰謀を暴くことになったのかが非常に判りにくい。もっともこの裁判シークエンスでのケヴィン・コスナーの論告は映画史に残る様な屈指の迫力で、最後の方なんかコスナーの声が喋り過ぎでかすれてくるぐらいですから。ストーンはこのシークエンスが撮りたいがために三時間もの長さの映画を製作した様なもんですけど、正直ぐいぐい引き込まれちゃって長さはあまり気になりませんでした。ラスト、ギャリソン親子三人が肩を並べて裁判所を出てゆくところをロングで捉えたショットは、『アンタッチャブル』を思い出させてくれました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-07-24 00:23:15)
135.  地獄へ秒読み 《ネタバレ》 
第二次世界大戦で敗戦直後のベルリンで、不発弾の処理を仕事とした6人の男たちを描く『ハートロッカー』をはるかに先取りした様なプロットです。でもこの6人は占領軍にとっては単なる復員してきた元ドイツ軍兵士で、任務に失敗して死んでしまっても構わないいわば捨て駒なのが現実。不発弾処理も爆弾一発につきひとりしか割り当てられず、装備もつなぎの作業服だけでヘルメットぐらい被らせろよと言いたくなるぐらいの軽装備です。監督がロバート・アルドリッチですからこの不発弾処理の過程を手に汗握るサスペンスとして見せてくれると当然期待するわけですが、それがこの映画、肝心のハラハラドキドキが全然ダメなんですよ。それはマルティーヌ・キャロルをフューチャーしてるので無理やりジャック・パランスとのメロドラマにしようとして見事に失敗しちゃったせいもあります。男くさい映画を撮らせたら天下一品のアルドリッチも、さすがにメロドラマっぽいお話しでは単なるヘボ監督だったんだと思いしらされました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2011-05-26 23:02:51)
136.  邪魔者は殺せ 《ネタバレ》 
なんでも英国映画で初めてIRAの活動が描かれた作品なんだそうです。冒頭に「この映画は組織の活動を描いたものではない」という曖昧なテロップが出るところを見ると、まだ遠慮というか配慮があるみたいですね。舞台が北アイルランドのベルファストなのでIRA活動家と敵対しているプロテスタントの住民たちも多く強盗に失敗したジョニーは逃げ回ることになるわけですが、『第三の男』の原型とも言える陰影が深いモノクロ映像は一見の価値ありです。ラストのジェームズ・メイスンとフェイ・コンプトンの死の場面は、まるで浄瑠璃の心中物でおなじみの“道行き”の様で、英国製フィルム・ノワール史屈指の名シーンです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-27 00:34:24)
137.  心中天網島 《ネタバレ》 
「日本のシェイクスピア」近松門左衛門の名作をモダニズムの極致とも言える演出で堪能させてくれます。自分は篠田正浩は好みではないですが、本作だけは別格。前衛的ながらオリジナルの基本的なところはきっちりと造っているのが良い。紙屋治兵衛がまた観てて情けなくなるダメ男で、名優中村吉右衛門がさすがの演技で唸らされます。 私の中では戦後日本映画界でもっとも妖艶な女優は岩下志麻だということになっています。若い人たちは『極妻』シリーズのイメージしかないでしょうけど、この人の60年代70年代の作品をぜひ観てください。その美しさ・色っぽさには眼が釘付けになりますよ。
[DVD(字幕)] 9点(2011-01-07 02:31:03)(良:1票)
138.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
大統領選挙の仕組みと並んで自分には理解しがたいのが、アメリカ人の養子に対する感覚である。この映画を見る限り、ハリウッドセレブだけの流行りでではなく庶民にもあまり抵抗がないみたいですね。生むの生まないのという話になるとすぐ神様がお出ましになる国ですから、里子に出すという方法は重要と供給のバランスを保つアメリカらしい合理的な解決なんでしょうね。 この監督は『サンキュー・スモーキング』を観たときからただ者じゃないぞと感じてました。全篇に漂う力を抜いたペーソスとユーモアが良いですね~。エレン・ページはこの若さでこれだけの表現力を身につけているとは大したものです。『ゴーストワールド』のイーニドみたいなキャラですが、ソーラ・バーチよりページの方が格段に上手い演技です。お父さんとお母さんも人間味あふれていて良かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-06 22:45:20)(良:1票)
139.  シン・シティ 《ネタバレ》 
アメコミのことは良く知らない自分でして、フランク・ミラーのことは本作で初めて知りました。まあちょっと大げさに言えば、ここ10年でもっともショックを受けた映画のひとつですね。原作を読んでなくても、どのカットもたぶん原作のコマ割りを忠実に再現したんだろうなと判ります。ミッキー・ロークはメイクが凄すぎて、最初観たときはてっきり「カーク・ダグラスが若づくりして出てるな、でもあの人もうすげー歳なのに?」とマジで思ってました(笑)。映像とその世界観のダークさには麻薬の様な危なさがあって癖になるのですが、三人のヒーローのモノローグを通じて語られるミラーの“美学”はどこか暴走族やチンピラのいきがりみたいに安っぽく感じてちょっと引きます。ミラーという人はコミックを描いてなければただの“危ないおっさん”なのではと思わされます。彼のコミックを石原都知事が読んだらなんと言うか想像するだけでも面白いです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-27 22:55:20)
140.  シャドー・メーカーズ 《ネタバレ》 
原題の“Fat Man”と“Little Boy”は長崎と広島に落とされた原子爆弾のコードネームです。この映画は原爆開発プロジェクト“マンハッタン計画”を指揮したグローブ将軍とオッペンハイマー博士の確執を軸にしていますが、原爆を落とされた側としては決して愉快なお話しではありません。もっともハリウッドでもこのテーマの映画は皆無に等しく、ローランド・ジョフィの様な英国人だから撮れたとも言えるでしょう。 まずポール・ニューマンですが、コチコチの軍人ながら有能で野心に燃えるグローブス将軍を余裕で好演しています。ニューマンのガラガラ声が傲慢で頑固一徹な将軍にはピッタリですが、体型が実在のグローブス将軍より相当スリムなのはまあ眼をつぶりましょう。対するオッペンハイマー博士も、史実通り科学者らしからぬ政治手腕を持ち私生活では不倫に悩む俗っぽい人間として描かれています。でもこの二人ではそりゃニューマンの存在感の方が圧倒的で、それなのにどちらにも焦点を絞らない脚本なのでとっても散漫な映画になってしまいました。こんな撮り方では劇映画にする必要はなく、記録ドキュメンタリーとして実写を映した方が良かったぐらいです。後半では原爆を使いたくてしょうがないグローブス将軍とだんだんビビって来たオッペンハイマー博士が描かれるのですが、実験が成功したところで物語を終わらせちゃうのはちょっとずるいし結局この映画が何を訴えたかったのかも曖昧になってしまいました。ジョン・キューザックが実験直前に臨界事故で放射能を浴びてボコボコになって死ぬ科学者を演じていますが、この映画で「原子力」で死ぬのは彼だけ、この後に何十万人もの死者が出ることには触れないというのは、ほんといかがなものでしょうか。
[DVD(字幕)] 4点(2010-12-19 12:54:10)
030.13%
1110.46%
2351.47%
31275.32%
42048.54%
535915.03%
644218.50%
761425.70%
842717.87%
91375.73%
10301.26%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS