41. ウィズネイルと僕
《ネタバレ》 鳴かず飛ばずの役者二人のうす汚い暮らしをイギリスの曇天が一層うすら寒くさせ目をそむけたくなる。髪を切った僕を観たとき ♪♪就職が決まって髪を切ってきた時、もう若くないさと君に言い訳したね♪♪ のフレーズが浮かび、初めて本作は青春映画なんだと実感。独り芝居をするウィズネイルのラストシーンはほろ苦い余韻を残す。 [DVD(字幕)] 7点(2017-01-03 19:22:44)(良:1票) |
42. 運命のボタン
《ネタバレ》 「あっ、もう押しちゃった」と口アングリ。その先も終わりまで口アングリ状態でした。製作者はハンディキャップや困窮に負けて他人を泣かせれば自分も泣くことになる事を言いたかったのか。火星人?一派のやり口は不可解且つ不快、国家権力の目的も不明。あれこれ伏線を張って盛り上げようとするものの空回りしている作品です。 [DVD(字幕)] 3点(2013-04-16 00:46:10)(良:1票) |
43. 裏切りのサーカス
《ネタバレ》 人物の分かり辛さ、テンポの悪さ、抑え過ぎる演出にしんどくなりながらも「もぐら」の正体知りたさに最後まで鑑賞。鑑賞後はしんどいと思った点が本作の味わいに思えました。原作があるそうで、もぐらになった動機やもぐらと同性愛者の関係、一度も顔を見せなかったカーラとアンなど掘り下げて欲しかった点を確かめたくなりました。 【2018.2.14追記】 原作を読みました。500㌻超、映画同様解り辛い内容で心踊らされる事のない文章を行きつ戻りつしながらで3日かかるも、先に映画を観ていたおかげで読み切れた。 内容が把握出来た状態で再度鑑賞。 エンドロール冒頭で撮影開始直前に他界したという脚本家ブリジット・オコナーに捧ぐとあるのが頷ける極限まで削ぎ落とし、新たに肉付けした脚本が実に見事。 諜報機関に身を置く者の生き様を見せられる。 全編を覆う忠誠心と裏切り プリドーが愛するヘイドンに落とし前をつける姿は前回鑑賞時で最も印章深かったが、状況が呑み込めた今回はプリドーの胸中がこの上なく切ない。 この二人を上回るのがスマイリーとカーラであって、スマイリーがギラムに語るカーラを西側へ寝返るよう説得した昔話が圧巻。 愛する人に「行かないで」と懇願するようでもあり、一言も発せずに「裏切るくらいなら死を選ぶ」と帰国したのを狂信者呼ばわりするものの己の浅はかさ小賢しさを恥じているようでもある大写しの表情に息を呑む。 いぶし銀英国男優ここにあり。ゲイリー・オールドマン、ジョン・ハート、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、トビー・ジョーンズ・トム・ハーディ。 私が一番惹かれたのは顔を見せなかったカーラ。演じられるのはポール・スコフィールドあたりなのだろうか。 クリスマス・パーティを回想する女々しさ溢れるスマイリーがラ・メールをバックに気骨ある亡きコントロールの席に就いたラストに拍手を送りたい。 一度の鑑賞で解らなかったので10点とは言えないが、手間暇かけて素晴らしさが解った稀有な作品に敬意を表して前回より3点を上積み。 [DVD(字幕)] 9点(2013-01-19 23:27:24)(良:1票) |
44. 浮雲(1955)
《ネタバレ》 初見。お上品に取り澄ましているものの気安く関わる女全てを不幸に突き落とす身勝手なカス男と好き勝手に振舞う女の斜に構えた会話が鬱陶しい。陳腐な音楽に辟易。腐れ縁をダラダラダラダラと垂れ流すだけ。陰気臭さがタマラナイ。結末はウスウス感じたそのまんま。これ以上ない安物のよろめきドラマ、メロドラマ。我慢を重ねて最後まで観てグッタリとなりました。 2022.6.25追記 森雅之さん目当てで再見 残念ながら酷評の訂正部分がありません。 [DVD(邦画)] 1点(2011-10-18 23:58:06)(良:2票) |
45. 噂の女
娘が母に代わって、店を切り盛りしている姿に、それまでの曲折を思い感慨深いものがありました。監督の女性に対する労わりと励ましが仄かに滲み出ている秀作。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-29 23:21:03) |
46. ウィスキー
ハコボにとってマルタは空気のような存在。その空気の微かな揺らぎを感じられない、若しくは感じまいとする事に対する代償。人は空気無しでは生きられないのに。鈍感は罪である事を実感させられます。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-05 01:09:13) |
47. 海の上のピアニスト
1900のタラップに佇む姿から、その世界に実際に身を置き味わう喜怒哀楽と頭の中で思い描く世界の喜怒哀楽は違う事を痛切に感じます。彼の決断に対し、非難はしませんが残念さで一杯です。他は、メリハリのない展開とジメッとした描写に物足りなさが募る作品。 [DVD(字幕)] 5点(2009-12-12 23:28:59) |
48. 失われた週末
《ネタバレ》 重苦しくヤキモキ、イライラさせられる作品です。彼女の献身的なところは映画ならではですね。自身の痛い、苦しいは、誰にも分かってもらえないばかりか、鼻で笑われるものなのです。ハッピーエンドにうそ臭さを感じます。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-11-18 01:55:02) |
49. 雨月物語
《ネタバレ》 御伽噺を思わせる内容の中で、幼子が食べる前に母の墓に供えて手を合わせるラストシーンにハッとさせられました。宮木への供養はその思いを汲み取って生涯を送る事であり、誰にもあてはまる事なのだと痛感させられます。映像と和楽によって、妖艶かつ物悲しい世界に惹き入れられます。ご参考までに、ビデオの台詞は幸いにしてクリアでした。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-14 18:42:32) |
50. ヴェニスの商人
《ネタバレ》 パチーノとアイアンズの共演。自分にとっては夢の共演です。圧倒的な存在感はさすがです。夢のひと時を堪能出来、大満足でした。興奮冷めやらずの状態で、今日の所は取り敢えずここまでで・・・・箱を選ぶ時の思慮深さにうっかり騙されそうですが、自堕落な生活を送るぼんくらバッサーニオの厚かましい願いを聞き入れ、借金を申し込み、常識外れの証文であっても、甘い見通しを根拠に応じたのはアントーニオであり、証文通りの要求をするシャイロックに非は無いのです。ユダヤ人であるというだけで、ゲットーに押し込め、蔑むという慈悲のかけらもない行為をしておきながら、その相手に慈悲を乞うとは何事かと思います。 シャイロックは、鬱積した怨念を晴らそうとしますが、証文の盲点を衝かれた途端、要求を取り下げてしまったのは、刺し違えても言うまでには至らなかったようで自分としては、残念に感じました。財産没収はまだしも、改宗を命じるとは、驕るのも大概にしろと言いたいです。指輪の件もぼんくら振りを心配しての事かも知れませんが、執拗過ぎて不愉快でした。パチーノのぶすぶす燻り続ける怨念が裁判で一気に燃え上がる様子、アイアンズの破滅を覚悟するも、命の炎が細くなって行く事を怯える様子、共に圧巻で絶妙なキャスティングです。原作を読んでいましたが、見ごたえのある作品でした。未読の方は、読む前に鑑賞される事をお薦めします。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-09 19:56:35) |
51. 運命の逆転
《ネタバレ》 クラウスの無表情な中に心の中の荒涼とした様子が表れていた。殺したのか否か、結局わからない。「弁護士はユダヤ人に限る」という台詞には大賛成。アイアンズはこの作品でオスカー受賞したけれど、自身「受賞はタイミングだ」と述べているように、自分としてもこの作品でオスカーというのは不思議だった。 6点(2004-01-27 01:16:33) |
52. 麗しのサブリナ
ボギーは渋くて、オードリーは可愛かった。サブリナの父親も印象深い人でした。ワイルダー監督だけに、一つ一つの会話がおしゃれです。カサをコートにチョイと引っ掛けるラストは素敵でした。ただ、ストーリーにもうひとひねりがあればと感じました。 7点(2003-11-28 18:23:16) |