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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
個人的にヒッチコックで一番好き&最高傑作。 人によっては「サイコ」や「北北西に進路を取れ」といったアクションに比べると退屈する人もいるかも知れないが、俺はジェームズ・スチュワートが覗く窓で様々な“事件”が起こってくれるので一切退屈しなかった。 地味に様々な窓のドラマが進んでいくのが面白い。冒頭の写真と壊れたカメラだけでスチュワートが何者なのか“語る”演出も素晴らしい。 観客にとってはいきなりジミーと口づけを交わすグレース・ケリーの存在も事件です。 「君は誰だ」という一言はジミーにとっては冗談のつもり、観客にとっては一瞬ドキリとさせるセリフ。 あれだけ開放的という事はそれだけあの界隈で事件がなく平和だったという事だろう。ベランダで夫婦仲良く寝ている人間までいますし。 そこで後半に“事件”が人知れず、いや唯一目撃してしまう恐怖。 ヒッチコック映画で人や動物が死ぬのは最早お約束です。 劇中で窓を覗くスチュワートは、退屈を紛らわすように音に耳を傾け、窓を覗きまくる。住民もそれを“許容”するように窓を開け続ける。 コレが「北北西に進路を取れ」だとあのヘリがスチュワートに襲い掛かります(嘘) 後半の窓におけるやり取り。最愛の人が独りで犯人の下に潜り込むスリル、犯人が戻ってくるまでの緊張、それに怪我で何もしてやれないもどかしさ、穏やかな演奏に掻き消される悲痛な叫び。 それを見て逃げようと思えば逃げられたスチュワートもあえて逃げず、犯人との“一騎打ち”を選ぶ!記者として、男としての意地。犯人も警察が来たにも関わらず臆せずに目と目が合ったジミーの元に向う。 音、光、影が織り成す緊張、窓際での攻防、住民の動きをあえて早回しにする事でより緊張を高める。 片脚と引き換えに掛け替えの無いものをより深めたラストも良い。
[DVD(字幕)] 10点(2014-01-22 00:24:04)(良:1票)
2.  ウォレスとグルミット/チーズ・ホリデー 《ネタバレ》 
本、本、本。大量の旅行本。行き先が中々決まらない、空っぽの冷蔵庫、チーズ探して「そうだ、月面に行こう」。 その発想はなかった。 ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」にも通じる遊び心よ!ヘルメットも宇宙服すらない。コックピットにトースターww  ただチーズを食いに行きたいからという理由だけで危険な旅行計画を立ててしまう貪欲さ。食欲って凄いね。  設計図を描き、台にされ、ドリルに振り回されるグルミット。鋸を引いた後に釘を打つ絶妙なコンビネーション。 畑を真っ二つにして発進だ!しまった!クラッカーが無い!?そういう問題じゃねえっー!!勝手にスリリングにしてしまう発進直前のドタバタ。ネズミの一同もサングラスをして見送る。  先駆者が置いて行った月の番人との交流。コイン式、四次元ポケット、初めて芽生える憧れ。 番人「つれてってよ~」 ロボットおおおっ!  破片で月面スキー、めでたしめでたし(でいいのかなあ・・・)。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-04 21:04:18)
3.  ウォレスとグルミット、危機一髪! 《ネタバレ》 
羊のシルエット、バイク、チーズ、ナイフ、振動。 トラックを食い破って脱走する者、追おうとする者、それを止める者。  ウォレスたちの朝になってやっとかかるいつものBGM。 レバーひとつで落ちたりクリームまみれになったり。バイクに乗るためだけにこさえる秘密基地。 謎の切り口、かじられた跡の数々、脚の下に現れる侵入者。侵入者は“不慮の事故”で裸に剥かれてしまう。条件反射で腕をあげて服を着てしまうウォレスに爆笑。  窓拭きは女に会うための口実、下水の格子に梯子の先を引っかけ、棒高跳びの要領で高所にたどり着く。そこに現れる番犬の不気味さ。グルミットの細首に手をかける“御挨拶”。 その謎を知ってしまったグルミットの追跡、ドアにはさまれた羊の毛、屋根裏に隠された真実。  人間たちを翻弄する番犬の悪党振りが凄い。犬の看板は「ペンギンに気をつけろ」にも登場、羊の洪水、グルミットはいつも一人で奮戦、偽の写真に羊たちも号泣。何コレ可愛い。 ウォレスも独房に“メッセージ”を差し入れる。でも羊の絵は嫌がらせにしか思えないwww  クライマックスを飾る大追跡劇!羊とウォレスたちのアクロバットな曲芸、電線でもくたばらない恐怖、ネオンはSOS、サイドカーはプロペラ機にトランスフォーム、冒頭のクリームは機銃の弾丸となって撃ちまくられる、プロペラは風穴を空けるため、とどめのターザン!  “去勢”されてまで飼い殺しに遭う罰。それを下した人間として共に生き、共に去っていく悲しさ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-04 21:03:12)(良:1票)
4.  ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ! 《ネタバレ》 
ウォレスとグルミットの最高傑作はコレだと思う。30分弱にこの詰め込みよう、超高密度の傑作だ。 ヒッチコックタッチのサスペンスが展開される面白さ。 朝の朝食、家中に巡らされた線路、「キートンのかかし」を思い出すようなギミックにあふれた家。レバーひとつでなんでもできちゃう。 ベッドは跳ね上がり、穴に主人を落とし、ジャムは朝食となるパンに命中する。 自らおでましする“プレゼント”の恐怖演出。無表情の奥に隠された見えない恐怖が徐々に迫ってくる。グルミットはぞんざいな扱いに苛立ちを募らせ、嫉妬し、潔く諦め、反撃を開始する。 グルミットたちの耳は髪のようになびく。 良いも悪いもリモコン次第、散歩・掃除用ロボットに“追い出され”、他者によって犯罪に使われてしまう恐怖。ウォレスがグルミットにした仕打ちがそのまま返ってくる滑稽さ。 ロボットの上からズボンを履くなwww  “プレゼント”の行動はどんどんエスカレートしていく。 二人を翻弄し弄び、下調べをし、手を摺合せ、拳銃を備え、手袋を頭から被り鶏の様なトサカで“変装”する。  グルミットの追跡シーンのスリル。カフェにコインを投げ置く仕草とかにこだわりを感じられる。路地裏、ナイフは覗き穴を作るため、巻尺は上に上るロープ変わり、一瞬眼が合ってしまう瞬間の戦慄、“PUSH”の文字。 “プレゼント”も他者を利用するとはいえ命懸けだ。 侵入シーンは緊張の連続だ。展示される同胞、四次元ヘルメットから飛び出す“手”、汗を拭きだして操作を行う焦り、剥がれそうな天井、寝ているウォレスがいつ起きるか分からない恐怖。起きたらいきなりビルの断崖とか怖すぎる。  クライマックスを飾る幽閉からの脱出と反撃が凄い! 階段のスロープから猛スピードで走る列車上でのチェイス!室内&列車上という二重の密室、西部劇さながらのアクション、電燈は防弾ヘルメットに、道は自分で作る!  動物園の檻は監獄のように不気味だ。“脚”も用済みとなれば、夕陽を背に自分の“脚”で立ち去っていく。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-04 20:55:44)(良:1票)
5.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
靴、靴、靴。それに足を入れて走って走って走って大地を“蹴る”。 それがこの映画だ。  冒頭から「靴」の映画である。 壊れた靴を直してもらい、途中寄った店で靴が入っているとも知らずに持っていかれてしまう袋。それは妹の靴だった。ここから物語は始まる。 「9歳はもう子供じゃない」という生活を送るアリは、ノートによる“筆談”を経て妹ザーラに自分の靴を貸すハメになる。 妹も走って走って走り、履き替えた靴でアリもまた走って走って走って学校に行く。 たった二足の靴を兄妹で仲良く大切に洗うシーンは微笑ましい。同級生の靴を物欲しそうに見つめる妹が可愛いすぎて和む。「同情するなら靴をくれ」的な。 川に流れてしまった靴を懸命に追いかけるシーンの健気さ。 アリもまた家の手伝いや妹の靴の件もあって好きなサッカーも出来ない、家は貧乏&家賃滞納で大ピンチ、その鬱憤を学校への全力疾走にぶつけて彼は毎日市街を駆け抜ける。その走りの成果が役立つなどとアリもつゆ知らず。女子は午前で男子は午後の授業? あのお茶のポッドが欲しくなる。  父親の自転車が坂道で止まらなくなったり、用水路の予想外の水流の速さと、この映画はとにかく動いて動いて動き続ける。  アリはどんな困難も「妹の靴、そして妹のため」を思えばと乗り越える。 一等よりも三等の価値、終盤のラストスパート! スローモーションが焦らすに焦らす演出が良い。手に汗握る。  どんな結果でも、妹の喜ぶ顔が見れないと思うと哀しい表情をするアリ。  だが、アリの父ちゃんは二人を笑顔にする“とびっきりのもの”を自転車に乗せて帰ってくる。 アリの傷ついた足を水の中で優しく舐め迎え入れる金魚たちは、アリたちに訪れる幸福を予感させる。  こんな面白い映画、よく90分以内に収まったもんだ。傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 19:21:25)(良:2票)
6.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 
「タクシードライバー」や「グッドフェローズ」「キング・オブ・コメディ」と数々のブッ飛んだギャ(ン)グ映画を撮ってきたスコセッシだが、スコセッシ、いや映画史上に残るギャグ映画がここに誕生した。 「タイタニック」の頃は歩くだけで一面に薔薇が咲き誇るような美少年だった刑事プリオ。 そんなプリオも、今ではアヘ顔とドヤ顔入り混じる表情でマシンガン(ファ●キング)トークをぶちまけ、ウォール街を暴れまわるヤリ(チン)手の不良実業家となってしまった。 セールストークという名の株の陵辱プレイ、破廉恥な実業家がウォール街の頂点に絶頂するまでを描いた凄まじい映画だ。「鉄腕ジム」のような破壊的な爽快さ、「白熱(1949)」のような破滅的にブッ飛んだ内容。 これがほぼ実話何だからオーマイガ。 「暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド」よりもフルスロットルでストーリーは進む。 「暗黒街の顔役」における妹に欲情とかそんなレベルじゃねえ。 コイツは正に「ソドムとゴモラ」だ! 劇中のジョーダン・エロフォートは、鉄砲ではなく舌先で金を持って人々を(社会的に)ブッ殺したり犯しまくるマフィアよりもタチが悪いファ●ク野郎。 「タクシー・ドライバー」もここまで狂って無かったぜクソ●タレ。 つうかどんだけF●CK FU●K FUC●って言うんだよ。 「パルプ・フィクション」や「スカーフェイス」よりも●UCKがゲシュタルト崩壊していやがる。 いやいや、この作品に比べたら序の口レベルとしか思えないほどだ。 ディカプリオはヤクを吸ってはF●CKと吐きまくる。FU●Kのゲロ河。医者も黙って首を横に振るレベル。 ヤクでラリッたク●野郎共のハイテンションな下品さが、逆に心地良く感じられる領域に達してしまっている。 「タイタニック」のローズも、船の上でゲヒャヒャヒャヒャと笑うプリオを見たら速攻で彼を海に沈めるだろう。 コイツ…船の次は飛行機を墜落させる気か。 スコセッシは溜まりに溜まった映画魂を映画というマシンガンで全国のフ●ッキンクライストな観客共を狂気と笑いとFU●Kで孕ませて腹筋を破壊しなければならないようだ。 だが、スコセッシはけしてオ●ニー映画を撮らない。 そんな最高にクソ●タレなスコセッシよ、これからも頑張って最高にF●CKYOUな映画を撮り続けて欲しい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-01 18:36:00)(笑:1票)
7.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
やはり映画の本当の面白さというものは、一度だけでなく二度、三度見て初めて発見できるようだ。 最初余り惹かれなかったのに、どうしてこうも引き込まれる“何か”を感じるようになるのだろうか。 この映画を再評価するキッカケは何だったのか。そうだ、画面を支配する豊かな“黒”のコントラストだった。 フィルム・ノワールやジョンアルトンのキャメラ、クリント・イーストウッドの映画を思わせる暗黒の空間。 それに男達を破滅へと導く運命の女(ファム・ファタール)たち。 だが、この映画の題名が示す通り劇中の女達は彼らの“運命”とはならない。 恐ろしく平和なまま、ほぼ何も変わらないで終わるあっけなさ。 俳優たちの何処かそっけなく冷めた雰囲気も手伝い、余計にそんな印象を受ける。 「現金に体を張れ」や「パルプ・フィクション」といったジグソーパズルを組み上げていく流れだが、先達と比べると余りに物足りなく感じるだろう。俺も欲を言えばあと30分足して一発ブチかまして欲しいくらいだ。 その分、突拍子な脱線や意味もなく人を殺傷して台無しにするようなマズさも無い、その安心感が心地良い見事なシナリオで出来た傑作である。 マンション、ドアのポストに鍵を入れる女。 その女の語りから始まるファースト・シーン。 男に逃げられた女、女に逃げられたサラリーマン、探偵、ヤクザと様々な人物の視点が積み重ねられていく。 会話が多くを占めてはいるが、冒頭の鍵の場面や妙に印象的な探偵の黒衣、タクシーを追うスピード感、浮気調査を物語る写真の数々など映像で魅せるシーンも多い。 神田が探偵だったのは意外だった。まさか今までの流れでヤクザが出るなんて誰が想像できただろうか。いや、宮田のワケあり風な彼女の話からして気になってはいたけどさ。 神田のパートになると突然マフィア映画みたいな空気が流れはじめる。 かといって、神田が出会うヤクザたちは人殺しの集団というよりは、本当は気の良い不良という感じ。ボスがスゲーくだけています。 むしろ「殺すぞおっ!」と言っていたトラックのオッサンの方がヤクザみたいだった。 あれで本当に死んでたら完璧ギャグ。 最初は神田の良い奴ぶりに惚れ、何時の間にかボスのカッコ良さに惚れる映画です。 自ら組員のために危険を犯す行動的なボスとかマジ理想の上司。
[DVD(邦画)] 9点(2014-08-31 19:40:36)
8.  うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 《ネタバレ》 
子供の頃は、BSで昔懐かしのアニメを夢中になって見たものだ。 「ガンダム」や「機動警察パトレイバー」の劇場版で徹夜してしまった子供時代。私は子供の頃から再放送を含めて色んなアニメ・ドラマ・映画で育ってきました。多分、そういう今の時代には失われた何かに子供ながら魂を惹かれていたんだと思う。 このアニメも、夏の暑い夜に無我夢中で見たアニメの一つだった。 いえね、最初目に入った時は絵柄で距離を置いてしまったのだ。何かフワフワしているというか。そもそも下着姿でいつもうろつくという概念が子供心に理解できなかった。今はそのフワフワした柔らかい絵柄が好きだったりする。なんか和むと言うかね。あとメガネの存在が最高すぎる。 それでも、やっぱりラムはラフな格好よりも制服着てもらっている時の方が落ち着きつくし好きだ。 色気というものは隠せば隠すほど逆に出る筈(多分) 奇妙奇天烈な押井守のSFワールド。 高橋留美子の「るーみっく」と呼ばれるSFに似たようで、まったく違う不思議な世界観。 主人公のあたるたちはいつの間にか“夢”の中に閉じ込められてしまう。 夢の中は何でもやりたい放題、永遠に続くかのように楽園にいるような生活。夢が終われば心の楽園は消えてなくなってしまう。でも、夢から目覚めなければ学園祭はやれない、明日は来ない、次に進めない。  あたるたちは、自分のため、愛する人のため、そして明日のために夢から抜け出そうとアレコレ奔走する。謎は真相究明に向っているのか、それとも深まっているのか。 意外な依頼人の正体、そして永遠に「胡蝶の夢」が続いてしまうのか、終わりはあるのだろうか。 様々な映画作家や画家たちの世界観を引用して、ゴチャゴチャに混ぜて観客を揺さぶる無限の映像世界。虚構と現実が混ざり行き着く場所は何処なのか。  「うる星やつら」を知る人も、知らない初見の人もワケが解らなくなる前衛的な作品でもある。  だが、映像よりいつものあたるを取り巻く女性や野郎どもの会話を聞いているだけでも楽しくなってしまう。 こんなにも高橋留美子がブチ切れ、こんなにも飯が喰いたくなって2828(あたるとラム)してしまう映画はそうそうないよ。 あたるの何気ない一言が妙に残る。 「あれは夢だったんだよ」・・・まるで今は無き故人と夢の中で出会い、別れてきたように。
[DVD(邦画)] 9点(2014-08-19 14:49:45)
9.  浮草 《ネタバレ》 
再見。  「浮草物語」のセルフリメイクであり、江戸っ子時代の小津安二郎に再会するかのような作品でもある。俺の好きな小津の傑作の一つだ。  港の灯台と酒瓶が並び、蒸し暑い夏の季節を迎えた街では噂が流れ、旅人たちの乗った船が港に入って来る。船の中も熱そうに薄着でくつろぎ煙草を吹かしている。  チラシを配りながら良い女がいないかチェックしてまわり、群がる子供たちには一枚もやらない。姉がいても子供にゃ用はねえぜとスタコラサッサ。 初対面の女の子だろうが遠慮なくボディタッチ、そんな野郎にはもれなく剃刀をゴリゴリやする怖い母ちゃんが御持て成し。頬が物語る“お礼”の跡。  旅一座がどうこうとか、そんなもんは正直どうでもいい。方々を旅できる設定なら何でもいいのさ。何せ本題は“情事”をめぐる喧嘩だもんな。それが後半一気に加速する。  宮川一夫が捉える色彩豊かな風景や市街地、艶やかな着物の柄、肌の色、女性陣が華を添えながら。  「目的」に会うためやって来たと言ってもいい“伯父さん”、楽しそうに青空の下で釣りをする光景。芝居の出来なんて二の次、ただ一緒に語り合えればそれで良かった。  小津にとって「劇中劇」は関係を悪化させるためのキッカケに過ぎないのだろう。「晩春」で原節子が本性を剥き出しにした時のように。 この映画も京マチ子と若尾文子の色っポイ仕草やら何やらを存分に堪能できるのだから。  旅一座の女役者、年季の入った座長、明らかに年齢の離れたこの夫婦。 壇上の垂れ幕は真相を物陰から覗く装置として機能し、密告を聞いた女の視線は柱の前で笑う“浮気相手”を捉える。合ってるけど違うすれ違い・勘違いが引き起こす騒動の始まりだ。  「敵地」に乗り込み確認するもの、土砂降りの雨と道を挟んだ大喧嘩!轟音すら凌ぐ罵声の浴びせ合い!!  嫉妬が生む“謀”、自分でやらないのは手を汚したくないからじゃない。それでも愛しているからこそ自分の肉体を許さない、コッチに目を向けて欲しいがため。 室内から路上→本拠地の中にまで引き釣り込む“誘惑”、情事を始めるための接吻。いきなり三回もチューチューしちゃうほどの一目惚れ!ちょ、チョロすぎだろコイツ…  そうとも知らず“夫婦”水入らずで話し合う場面なんてちょっと可哀想になってくる。 帰り道で見てしまった路地裏の先で分かれる男女、驚く自分を抑えるように壁の影に慌てて隠れる様。待ち伏せ、容赦なく浴びせられる罵声・平手打ち!呼び出した奴にもブチかます怒り振り!「宗方姉妹」や「風の中の牝鷄」ほどじゃないが、回数が少ないからこそゾッとする暴力性。  事件を予告する酒場での話し合い、散乱するチラシと結ばれた風呂敷が物語る“崩壊”。 列車の噴き上げる蒸気が示す“事後”、帰って来た者の告白。誰も平手打ちに対して怒ろうとはしない。それだけの恩を感じているからだろうか。床に突き飛ばす理由は愛する人を傷つけられたからであり、今更“父親”面しようとする人間に失望したから。  何もかも失った男は、頬を叩いていた手で優しく腕を撫で、謝罪し、託して庭先から去っていく。カエルの子はカエルになるかどうか分からない。いくらでも変わっていける。でも流れ者をしてきた男は年月が経ちすぎたのかも知れない。 そんな男に、あの人は黙って煙草の火を差し出し隣に座ってくれた。大きな船に乗って来た旅人たちは、小さな列車に揺られ次の場所へと消えていく。
[DVD(邦画)] 9点(2014-05-23 18:58:25)
10.  ヴォイツェク 《ネタバレ》 
キンスキーの演技力の凄まじさをより味わう作品。 一兵卒に徹するキンスキーは、いつもの野獣のような獰猛さがこの作品には無い。 上官に踏みつけられるキンスキー。それでも彼は反抗しない。 あろうことかマッドサイエンティストのような軍医の実験材料にまでなって“小銭稼ぎ”だ。 ヴォイツェクは散々だ。それでも、この男はひたすら耐えて耐えて耐える。 その怒りを耐えているキンスキーの表情が凄い。  上官、軍医も、みんな噛み合わない意味不明なやり取りを繰り返している。  そんな彼らを、ヴォイツェクは人間の本質をツクように語る。 一見何の抵抗もしない、頭も空っぽではないのかという彼がだ。物事の考えを上手く表現する学もない、聞いてくれる友達もいない。 それを口に出せない苛立ちが積もり続ける。  そんあヴォイツェクの心を唯一和ませてくれる愛人のマリーと子供。 ヴォイツェクの笑顔がそれを語ってくれる。 マリーもまた、鏡に映る自分を見て残念そうなため息を付く。  それでもヴォイツェクを襲う悲劇。 堪忍袋も限界、ブチ切れたヴォイツェクはダムが決壊するように、獣が理性を失うように“ブッ壊れる”・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:30:30)
11.  牛泥棒 《ネタバレ》 
ウェルマンによる西部劇の傑作。冒頭から引き込まれる作品だ。 当時の赤狩りへの反論、西部開拓時代の歴史が詰まった作品でアルトマンの「ビッグ・アメリカン」とセットで見たい。 西部における牛の大切さを学べるぜ(ちょっと説教臭いところもあるけどな)。  ま、日本だと評価は低い。ウェルマンの評価がこれほど日本で低いのが謎だ。 でもこのサイトはこの映画が高評価で凄く嬉しい。もう何だよこのサイトは!たまに見直す。  だが、この映画が苦手という奴もいるだろう。そんな奴らも「女群西部へ!(フランク・キャプラ原案)」や「廃墟の群盗」「飢ゆるアメリカ」「無責任時代」「暗黒街の女」「スター誕生」「紅の翼」「ボー・ジェスト」辺りを見てからウェルマンを評価しても遅くないだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:54:08)
12.  ウンベルトD
あの犬はズルい。黒澤明の「生きる」と何となく似ている作品だけど、俺はコッチの方が好きかな。ヴィットリオ・デ・シーカ最高傑作の一つ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-15 17:23:27)
13.  ウエディング
アルトマン初心者にオススメ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-11 21:38:07)
14.  ウィンチェスター銃'73(1950)
西部劇においてリアリズムを追求した監督は誰か?   もちろん「真昼の決闘」なんてつまんねえ西部劇を撮ったフレッド・ジンネマン何ぞではない。 オールラウンダーな職人アンソニー・マンだ。 リアルタッチの演出はもちろん、独特な人間ドラマや風景の美しさ。失敗作も少なくないマンだが、反面全盛期の傑作群は今の時代にこそ再評価されるべき作品ばかりだ。  ヒューマンドラマ「グレン・ミラー物語」はもちろん、突出した戦争映画「最前線」や「雷鳴の湾」等優れた傑作が多い。 あの「スパルタカス」だって最初はマンが撮ってた。アレを全部マンが撮っていたらどうなっていたのだろうか。キューブリックに及ばないのか、それともそれに並ぶかそれ以上の作品になっていたのか。気になるぜ。 そんなマンが最も多く手掛けたのが西部劇。 本作「ウィンチェスター銃'73」はそんなマンの傑作の1つだし、保安官もの「胸に輝く星」やインディアンを友好的に描いた「流血の谷」といった諸作と共にもっと知られるべき代表作でもある。 この作品を見て“古臭い”なんて思う奴はこの映画の何を見たんだろうか。いや何も見てないね。  ストーリーは千丁に一丁と言われる名銃「ウィンチェスターM1873」を巡って様々な人間ドラマが交錯する。まるで山中貞雄の「丹下左膳 百萬両の壺」だ。 だがストーリーはシリアス一色、名銃探しはやがて奪い合い、殺し合い、そして壮絶な事件へと膨張していく。 たった一つの優れた“道具”が万の人間の命を奪える“人殺しの道具”になる過程。西部を征服した銃が今度は人の心を狂わせていく。怖い話だぜ。 どうでもいいけど、マンの映画って大抵主人公が“伏せる”よな。ステュアートどんだけ伏せんだよ。 馬上で睨みを効かせるステュアートも印象的。面白い作品でした。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-02 00:33:44)
15.  ウエスタン 《ネタバレ》 
再評価に到ったのは、二度目以降、いや見る度にどんどん魅せられる西部劇だという事に気付いたからだ。 冒頭の長く、長く、なっがああああああい回しで溜めに溜めて溜めて放つ一撃必殺の破壊力・・・! 他のレオーネ作品と比べると断トツに退屈で、ゆったりとした、そのバネが産み出す破壊力に魅せられる。 二回目以降は、退屈に感じない心地良さ、もしくわ退屈な空気を一気に張り詰めさせ、爆発させるような長回しに痺れている自分がいた。 ベルナルド・ベルトルッチの壮大なスケール感と“女”の匂い、 ダリオ・アルジェントの“血”の匂い、 トニーノ・デリ・コリの雄大さを感じさせるキャメラワーク、 そしてセルジオ・レオーネの破破壊力と“土”、“漢”の匂い。 「リオ・ブラボー」や「大砂塵」といった往年の西部劇に対するオマージュに溢れた原点回帰。 それに、西部開拓時代の無法者を現在的なギャングとして捉えた視点。 登場人物たちも善悪で片付けられる者ばかりでなく、時代の流れに翻弄されて荒れた複雑な人物も少なくない。 男だけでなく、クラウディア・カルディナーレ演じる未亡人ジル。 自立し気丈に生きる女の強さと弱さをレオーネは正面から描き出した。 マカロニウエスタンには無かった女っ気と母性。コレはカルディナーレの女性らしさ、そしてベルトルッチの原案も手伝って成し遂げた描写だと俺は思う。 「プロフェッショナル」もエロか(ry ドラマだけでなく、冒頭の銃撃をはじめ劇中のアクションは決まる度に痛快。 列車での工夫を凝らした銃撃戦、 クライマックスの一騎打ち、 クラウディア・カルディナーレが人の良いおじさんを誘惑している様にしか見えない絡みのシーン、 ラストの死に場所を求めてさ迷うそれぞれの顛末、やるせなさ、虚しさ。 ホークス、アルドリッチたちから受け継がれてきた破壊力、ジョン・フォードのドラマ性、アンソニー・マン等のリアリズム。 ジェイソン・ロバーズの人間臭さ、 チャールズ・ブロンソンの徐々に明かされる復讐劇、 悪役を貫いたヘンリー・フォンダも見事。 西部劇を飾ったヒーローが悪役として振舞う…しかし、その男も時代の流れに翻弄され荒れた一人の人間でしか無かった。 列車に始まり列車に終わる・・・ジョン・フォードの「リバティ・バランスを射った男」を思い出す締めくくりだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:55:29)(良:1票)
16.  ヴェラクルス 《ネタバレ》 
「Ulzana's Raid (ワイルド・アパッチ)」「アパッチ」に並ぶロバート・アルドリッチの傑作。 これでもかというくらい撃ちまくるガンファイト!血が騒ぐ1品です。 ひょんな事で出会った二人の男。利害関係か、あるいは本当に友情が芽生えかけていたのか・・・ラストの決闘で別れた二人の道。黒衣のバート・ランカスター、灰色のゲイリー・クーパー。まるで谷口千吉&黒澤明の「山小屋の三悪人」さながらに対照的な二人。志村喬と三船敏郎・・・白と黒!「リオ・ブラボー」で西部劇に目覚めて以来、私が求めていた西部劇がこういう熱い映画だったんですよ。私が西部劇の完全な虜になった思い出のある作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-29 15:36:39)(良:1票)
17.  ヴィンセント 《ネタバレ》 
「シザーハンズ」にも登場したヴィンセント・プライス、この頃からバートンワールド全開だ。  影、うねる木、猫、人形、ナレーション、服装が変わったり影に覆われたり、モンスター、ぶっとい母親、大釜で茹でる、実験、マッドスマイル、絵、本、後の「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」である、母親痩せた? 墓堀、、影、無数の腕、幻、悪夢、闇。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:29:41)
18.  宇宙飛行士の夢 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスの短編「月まで1メートル(宇宙飛行士の夢)」。  巨大な望遠鏡、勉強中の学者、そこに現れる悪魔と謎の女。現れたかと思うと消え、学者が黒板にメモを書くとそのメモにイタズラをし、地球と月をくっつけて「人」にして小馬鹿にする。  学者の道具は次々と消え去り、望遠鏡も巨大な月の顔に食われてしまう。傘を差したら吐く息に溶かされ、子供が二人飛び出すわ遠のいて箒をかわすわやりたい放題。 すると月が美女に変わって降りてくる、三日月の椅子、美女に振り回されてとうとう窓さえ消滅し閉じ込められ、謎の像が出現する。  突撃した爺さんは月に飲み込まれてバラバラ、そして女王の手によって蘇り、悪夢のようなひと時が終わる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-30 15:39:36)
19.  ウォレスとグルミットのおすすめ生活 《ネタバレ》 
1話2分、全10話で次から次へと繰り出されるオムニバス。  相変わらず扱き使われるロボット、転ぶわ爆発するわ、人選ミスだわチーズは自分で買いに行け。 にわとり、ペンギン、TVの逆襲、ゴミまみれ。 トラックに粉砕されるウォレス、クラッカーのホラー、グローブでぶっ飛ばされたり、掃除機の怪獣、下手すりゃ殺される全自動クッキング。 羊のコスプレ、サッカー、テニスと。誠に突っ込みが追いつかない内容となっています。
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-04 21:05:09)
20.  ヴェニスにおける子供自動車競走 《ネタバレ》 
「ヴェニスの子供自動車競走(ヴェニスにおける子供自動車競走)」。  チャップリンがいつもの山高帽、黒い紳士服、細いステッキの出で立ちで初めて登場した記念すべき作品。  小さい車でトコトコ走るレース会場。 煙草をふかせ、事あるごとに道の真ん中に出てくるチャップリン。 画面をさいぎられ、記録係りの男がキレてチャップリンと突き飛ばしまくる。チャップリンも何故か執拗に前に出てくる。邪魔www一体何がしたかったのか・・・。 加速用のランプ?と思わしき場所。  チャップリンは、こ五月蝿い役人がしきりにパレードの邪魔をしにキャメラの前に身を乗り出してくる光景を見て、この作品に取り入れたという。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-26 18:17:17)
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