21. チョコレート(2001)
看守、死刑執行とくるとグリーンマイルを思い出さずにはいられないが、この映画もまたハードな内容だ。のっけのセックス・シーンもこれは何だ、見る映画をまちがえたのかと思うほど。しかし考えてみれば、役目柄とは言え、死刑執行とは大変な仕事だ。正常な神経でできるものだろうか。原題の"Monster's Ball"もそこらあたりにあるようだ。それに対して邦題のチョコレートは好物として登場してくるが、何とも味気ない。もしかしたら、黒人のチョコレート色の肌の意味もあるのかな。 [DVD(字幕)] 6点(2013-05-25 20:04:50) |
22. 地球が静止する日
原作のメッセージが伝わってこないわけでもないが、オリジナルから60年経った今ではちぐはぐな面がたくさん感じられる。この映画で失望した人はぜひオリジナル映画を見てほしい。 [DVD(字幕)] 3点(2013-03-30 08:48:52) |
23. 地球の静止する日
宇宙人が地球にやって来たら、それは地球を征服するためであり、人類が迎え撃つといったSFとはまったく違う。むしろまったく逆の平和へのメッセージと警告が強い映画だ。この映画が作られたのが1951年、第2次世界大戦の終結とその後の冷戦へのまっただ中、原水爆の実験が次々と行われた時代。だが世界初の人工衛星が飛ぶ前の話であることに大きな驚きを覚える。映画はゆっくりとした動きだし、ゴートというロボットは命令されるまでは動きもしない。しかしそれが逆に緊迫感と重量感を増しているように思えるし、攻撃的な人々の愚かしささえも感じさせる。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-30 07:33:10) |
24. 痴人の愛(1967)
「氷点」のけなげな陽子がナオミという妖女に変身、その違いの大きさに戸惑う。しかしそれよりも大きかったのは、谷崎文学が増村映画になってしまったこと。大正の文学を昭和の映像にするとこうなるのかもしれないが、浪漫がエロティシズムになってしまった。これはこれでよいのだろうが、好き嫌いの問題なのかも・・・。譲治が磨いた女性像も浴室での肌の磨きになってしまった。 [映画館(邦画)] 4点(2013-03-07 21:03:45) |
25. 痴人の愛(1949)
「パパ、スクーター買ってよ」で始まったときは先が見えているようで、それだけの映画かと思ってたけど、最後はなかなか良かった。お互いが悪かったところを省みて幸せになってくれればと願う。それにしても終盤の佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」は意味深長だ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-03-06 21:29:46) |
26. チャイコフスキー
《ネタバレ》 ピアノの詩人ショパンがジョルジュ・サンドなしで語ることできないように、チャイコフスキーはフォン・メック夫人なしで語ることはできない。彼が経済的困窮に見舞われなかったのはひとえにメック夫人の援助の賜であり、彼女は夫の有り余る遺産をチャイコフスキーの音楽に注ぎ込んだのであった。映画はやはりこの二人を軸として流れていくが、直接会ったことは一度もなくそのすべてが文通であったことに驚く。だが13年も続いた関係がなぜ打ち切られたかは定かではなく、映画でも二人の行き違いとして扱われている。それにしても交響曲第4番の堂々たるオープニングから、さまざまの彼の作品を綴りながら、終焉となった第6番の悲愴交響曲まで、音楽はすばらしい。 [映画館(字幕)] 7点(2013-02-17 22:55:10) |
27. チルソクの夏
彼女たちの歌は決して上手くないし、台詞や演技についても素人をちょっと出たところか。だけとそれが自然で妙にすがすがしく感じられ、彼女たちの思いがストレートに伝わってくる。これぞ青春映画だっていう感じだ。 日本と韓国は近くて遠い隣国、交流を妨げる歴史的背景もあるだろうし、日本より厳しい韓国の受験競争や日本にはない韓国の兵役もある。文通だって思うままにならないし、会えるのは年1回の7月7日。この淡く切ないロマンスを描いた秀作だと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2012-08-20 22:45:20) |
28. 忠臣蔵外伝 四谷怪談
忠臣蔵と四谷怪談がほどよく重なりあう映画構成がすばらしい。特に中盤の「曾我兄弟仇討ち」を舞う赤穂浪士と伊右衛門の祝言で舞うお梅、そしてそれに毒を飲まされたお岩が舞い狂う。この3つの場面を琵琶の演奏でひとつにまとめあげたのは芸術的というほかない。顔の白塗りは最初気色悪かったが、古き時代を幻想的に仕上げるのに効果的で映画によく合っていたと思う。ただお岩さんの扱いがやや弱く怪談にしては物足りないかも、それに対して荻野目慶子のお梅の演技は目を見張るほど圧倒的。それにオルフの「カルミナ・ブラーナ」は効果的かもしれないが、マーラーの「巨人」はどうだろうか、映画と合っていないような気がする。 [DVD(邦画)] 7点(2012-08-20 17:37:51) |
29. 小さな唇
《ネタバレ》 ロリータというより、シベールの日曜日に近い設定だが、幻想を交え極めて静かに映画は進行する。会話が少なくまた過激なシーンもほとんどない。純粋無垢な心と官能への誘惑とが交差し、少女もまたあどけなさに大人びた面をちらつかせるあたりの描写は巧みであり、美しい情景や音楽を背に印象的だ。ただ映画としては少し物足りない感もある。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-20 06:16:34) |
30. チェンジリング(2008)
すごく心を揺さぶられる映画である。しかし初め見たときは、クリスティンが精神病院を出てからの展開が嘘っぽく思えて、嫌な感じがしていた。ところがこのレビューを書くにあたってもう一度見直してみると逆にそれが良かったように思えた。 ロス警察の腐敗ぶりや少年を誘拐した凶悪犯の残忍さは事実だろう。この事実は私たちが決して忘れてはならないことである。しかしこの映画の主題はそのどちらもでもなく、親と子の愛情だろうと思う。だからこそ、事件が解決した後でも、子どもが生きていると信じ探し続けたのだろうし、犯人にわざわざ会いにいったのだろうと思う。 それからクリスティンが精神病院に入れた場面では、「カッコーの巣の上で」を思い出してしまった。 [DVD(字幕)] 9点(2012-08-01 15:43:30) |
31. チェンジリング(1980)
ホラー映画は好きでないのでたくさん見ていないが、これは良作だと思う。子どものボール、メタル、車いすなどたくさんの小道具が出てくるが、それをうまく使って恐怖感を引き出している。目に見えないものが現れたり動いたりする。それが本来のホラーであり、血がとばっと飛び散ったりゾンビが出てきたりするのはただ単に怖がらせているだけで、それとは大きく異なる。静かな中にミステリアスで謎解きに始まる展開が良い。こんなに良い映画なのにDVDがないのは不思議だ。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-01 09:26:56) |
32. チャンプ(1979)
映画館で見たのは、もちろんこっちの方のチャンプ、あのときは素直に感動した。子役がとてもかわいかったし、ボクシングの試合もすごくリアルだった。何より父親と息子の関係が実に良い。後にオリジナルをDVDで見たけれど、内容的にもこっちが良い。 だけど、元ボクシングチャンピオンがけんかしたら駄目でしょう。素手も凶器なのだから・・・。ただフェイ・ダナウェイの母親がいまいち馴染めなかった。 [映画館(字幕)] 7点(2012-07-15 17:04:16) |
33. チャンプ(1931)
フランコ・ゼフィレッリのチャンプが良かったので、こちらも見たがいまいち。オリジナルの良さが見出せなかったし、チャンプという人間もあまり好きになれない。子役もこっちの方がちょっとませている。 [DVD(字幕)] 5点(2012-07-15 15:27:11) |
34. チャップリンのゴルフ狂時代
1910年代の短編時代と1930年代以降の長編時代の半ば、1920年代のチャップリン映画って結構おもしろいものが多いと思う。このゴルフ狂時代もそのひとつ。 スボンをはいていないのを隠すシーンやゴルフボールを打つシーンなど、数えだしたらきりがないがない。ほとんど笑いっぱなしだが、チャップリンの放浪紳士なところをちゃんと見せてくれる。 [DVD(字幕)] 8点(2012-07-09 20:03:58) |
35. チャップリンの伯爵
チャップリンにしては、さほどおもしろくない。伯爵にも見えないし、品がない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-07-08 13:52:58) |
36. 痴人の愛(1934)
とんでもない女に捕まってしまったと言えばそれまでだが、男と女、人間と人間の結びつきは理屈では計り知れないものがある。それが人間の絆というものだろうか。一度や二度でなく、三度も四度も・・・。心の底から私が悪かったと惚れた女性から謝られるとついつい・・・。端から見ればなぜ、どうしてと思うのが当然なのだが、人体の模型が恋する女性に見えるくらいなのだからどうしようもない。 この憎たらしい女性から、妖しげな女性、惨めな女性までを演じたベティ・デイヴィスの演技は神業か。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-07 15:58:19) |
37. チキ・チキ・バン・バン
「メリー・ポピンズ」を見た後はこれ「チキ・チキ・バンバン」! 夢があって楽しくっておもしろさ満点。明るく健全なホームコメディ・ミュージカル。子どもの心にもどって我を忘れて見た2時間余、テーマ曲の「チキ・チキ・バンバン」がいつまでも耳に残って、歌い出したくなる気分だった。 [映画館(字幕)] 8点(2012-05-25 06:03:51)(良:1票) |
38. 血と砂(1941)
《ネタバレ》 ルドルフ・ヴァレンティノ主演のサイレント映画「血と砂」は見たことがないので比べようがないが、これはこれで立派な映画である。タイロン・パワーが演じる闘牛士とその妻が若干17歳のリンダ・ダーネル、そして二人の仲を裂いた妖婦がリタ・ヘイワース、クラシック映画ファンにとってはまったくうらやましい限りの豪華なキャスト陣だ。おっと忘れてはならない主人公の母親アラ・ナジモヴァは、サイレント映画の女王だったそうな。 貧困・無学故の無鉄砲さなのか、映画は闘牛士の華やかさと哀愁を見事に描いている。非常に印象に残る映画だった。 なお、主人公がカルメンに愛を打ち明けるシーンで、ギターと歌で演奏されるのが「愛のロマンス」禁じられた遊びで一躍有名になった曲。しかしこの映画はその10年以上前なのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2012-03-08 23:06:29) |
39. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 初演の時、すでに教職に就いていたので、教師の目からのコメントですが・・・。 歴史の授業でウェリントンのイベリア作戦がテーマ、それを「STMTBMC」と覚えさせる試験のためだけの授業、それに対しオーンショーが「なぜスペインと戦ったのですか」と質問する。これはとても意味深なシーンだ。 子どもの純粋な疑問「なぜ」に正面からきちんと答えていかないと、大変なことになると思う。大人を信頼することなく、無知なままとんでもない方向へと発展してしまうのだ。 幼き少年少女の「結婚する」という宣言はまさにそれだった。結婚が何かを知らず、ただ一緒にいたいという願望だけだったのに・・・。 「オリバー」で主演したマーク・レスターだったが、3年たってもまだ幼さが残る。女の子メロディの方が年上に見えるくらいだった。 [映画館(字幕)] 6点(2012-02-28 21:38:46) |
40. チーム・バチスタの栄光
ジェネラル・ルージュより後で見てしまった。サスペンスとしての緊迫感、おもしろみはあるが、人間の命や医療が軽く扱われて嫌な感じ。視野が狭くなって手術に影響が出てくれば即刻やめるべきだし、交代した看護師も不手際が多すぎるし、犯人に至っては・・・。厚労省の役人の態度も横柄で好きでない。 [DVD(邦画)] 5点(2012-01-30 21:59:35) |