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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  近松物語 《ネタバレ》 
太鼓の連打で始まる冒頭、店先の混沌から始まる物語。それぞれの仕事に打ち込む男女、劇中人物にとって変わらない日常の風景。それが金をめぐり周辺人物を巻き込みんで人々の運命を狂わせていく。 京都御所の絵巻を任されるほどの大経師である以春。御所との違法な取引、若妻をはべらせ女中にまで手を出す。女の胸元ではなく袖の方から手を入れるエロ親父。 その以春に半ば強引な形で妻にされた女性おさん。 以春に次ぐ発言権を持つ彼女だが好きでもない男に芽生える筈も無い愛情、自分を嫁に出した家族への複雑な気持ちで満たされぬ日々。 うら若き彼女は以春の下で働く絵師である茂兵衛の若さに惹かれる。その茂兵衛は既にお玉という女性と婚約を誓う仲。 お玉と親しい間柄でもある彼女は二人を見守ろうと思いつつもどかしさに悶える。 中盤の逃走劇、逃げ出した後を物語る扉、闇夜の水面に浮かぶ船の中で激しく抱き合う二人。一度は覚悟した“死”を引き止める“言葉”。 「愛しています」・・・普通ならどうとない言葉、だが自分を立場でなく一人の人間として尽くす心を理解した女にとって何物にも代え難い生きた言葉となる。死ぬのは嫌だ生きていたいと揺れる船の上で激しく抱き合う二人。 「今更何をおっしゃいます」っておまえが「好き」だなんて言うからだろうがまったく。二人は絆を深めるように幾度となく抱き合う。髪を乱し、愛故に逃げる男を愛故に声をあげ追いかける女。心臓の鼓動の如く轟く太鼓。 だが愛していた筈の男からその言葉を聞けなかった女はただただ辛い。残され生きながらえるよりいっそ一緒に心中しようと言われた方がどんなに気が楽だったろう。 逃げた男の父親・女の母親も相当辛い。そんな二人を怒りながらも助けてしまう親心。だが逃げる男女二人も本気だ。 「もう“奉公人”やない!あたしの“旦那”さんや」 終盤の怒涛の追い込み、愛する女のために戻ってくる男、どうせ捕まるならテメエも道連れだ以春。冒頭の栄え具合と終盤の落ちぶれ振りの対比。 ラストで手を繋ぎ、幸せそうな顔で“あの場所”に向かう二人。どんな形であれ一緒に結ばれた事に満足した顔。本当は悲しいはずなんだが、この場面からは充足感が伝わって来る。上から罪人を見るように映されるロングショットは街の人々の視点、下から哀しき恋人たちを映すロングショットは店の仲間たちの視線。
[DVD(邦画)] 10点(2015-01-16 22:06:57)(良:1票)
2.  父、帰る 《ネタバレ》 
西部劇のテイストも感じさせる旅の物語。  冒頭、深海らしき場所に横たわる残骸の正体。そして、突然帰ってくる謎多き父親は一体何者なのか。父親の正体を知ることができるのか、できないのか。 劇中の水は、人々の不信を深めるかのように幾度も画面に現れる。海、水たまり、湖、嵐と繰り返される雨。  海に飛び込む勇気は無いが兄貴と取っ組み合う勇気はある高所恐怖症の弟。反抗的とも言える多感な時期、追いかけっこは母親に訴え出るため、予想外の帰還者との再会。  写真でしか知らない存在、母親もそんな夫の前で戸惑いを隠せない。視線の先にある何か。 なんせ布一枚かぶって裸で寝てたらビックリするぜ。父親にとっては懐かしの我が家、父を知らない子供にとっては突然現れた得体の知れない人物。子供たちはこの男に散々振り回されていくことになる。  きまずい空気が流れる食卓。淡々と酒を注ぐ夫、母親は子供に気を利かせて水で酒を薄める。劇中では親睦を深めようと度々食事をする場面が出てくるが、親密になるどころか増々警戒が強まる。 部屋の寝室やテントの中における相談、写真を撮るのも日記を書くのも遠くから双眼鏡で覗いて観察するように続けられる。  父親はどこまでも冷徹に振る舞い続ける。不器用という言葉では片づけきれないほど。 妻も女として男を迎えるが、男は黙って横で寝るだけ。それどころか、旅先で別の女の尻やスケスケで下着の見えるウエイトレスに目がいくばかり。  子供が不良に絡まれて財布を盗まれる瞬間。子供の危機よりも重要な受話器の向こう側の人物は誰なのか?盗人を冷静に追跡していく姿の不気味さ。 釣りの時も、橋に置き去りにする時も、泥から脱出する時も、ボートを漕ぐ時も、父親ではなくまるで指揮官のように淡々と指示を出す。時には壁に顔を打ち付ける。酒も冷えた体を暖めるためだと素直に言えばいいものを。ああじれったい。   母を愛している弟は、そんな奴に父親面されて説教されたり頭をなでられたくないと不信を強めていく。まして何度も置いてきぼりを喰らわされたら。 弟は、独り震えて待つ場所に駆けつけ、抱擁してくれる母親のような愛情を父に求めていた。兄もまた、父親の出現に喜んでいるようで約束を守らなかったり、行動にショックを受けたりと少しずつ意識が変わっていく。  島に眠る父親の目的、蘇るトラウマ。梯子を登らせるのは哀しみが恐怖を上回ったから。そうまでして聞きたかったもの。どうしていいか解らずに歪む表情。  謎が謎を呼ぶ“ぞっとする”ような写真の数々で物語は締めくくられる。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:47:13)
3.  チャップリンの消防夫 《ネタバレ》 
今回のチャップリンは結構体を張ったアクションに挑んでいる。といっても、それは終盤のお楽しみだが。  火事だというのに中々起きようとしないチャップリン、バックドロップでポールから落下、この時代の消防車は馬力、消防車がバックするシーンは前進している部分を逆回しにでもしているのか滑らか。アレを本当にやっているのならたまげたもんだ(消防署員もズッコケているし)。 そういや馬に乗ったままバックするという荒業を「エル・ドラド」でジョン・ウェインがやっていたねえ。大分後の話だけど。  さて話を「消防夫」に戻そう。 冒頭から火事が起きているのにのんびりバタバタやって早く来てくれ頼むから、とりあえず斧をハンマーのように振り回すな危ない(笑) 角に当たっただけでも大惨事になりそう。  食事用に消防車のタンクから水を抜くのはその水じゃねえww  スープもこぼしまくり、チェスをやりたいから火災警報まで止めちゃう、登ろうとして落ちまくる署長、火災現場で暴れるようにのたうつホース、保険金目当てで放火、クライマックスでチャップリンが窓づたいにグングン登っていく救出劇のシーンが凄い。キートンやハロルド・ロイドを思い出すぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-23 00:01:55)
4.  チャップリンの掃除夫 《ネタバレ》 
俺としてはチャップリンの短編の中では「犬の生活」や「偽牧師」辺りに匹敵する傑作の一つだと思う。  キーストンのドタバタ喜劇から、チャップリン特有の笑いに進化しつつあった転換点とも言える作品。  チャップリンが銀行に来ると、金庫を開けて取り出したのは何とバケツとモップ。船員の服装に着替えて銀行の掃除にあたる。船の舵みたいな金庫のハンドル。 それを意味ありげな無表情で黙々とやるんだから(キートンかおのれは)。 つうか金庫をロッカー代わりに使うなよ・・・安全だけどさ。この件だけでも大爆笑。  ビショビショのモップは鞭のように掃除夫仲間を襲う、ゴミの押し付け合い、殴り合い、プレス機?か何かで手を挟んでしまう、手紙が入らないから破って入れる(せめてハサミで切れよw)、つうか船員の格好をした意味は何なんだよ。  クライマックスで押し入った強盗と格闘・撃退してしまうチャップリン。この頃のチャップリンは戦闘能力が高い。 金庫に閉じ込めてしまう、エドナに言い寄っていた男は逃げ腰でだらしない、チャップリンに惚れ直すエドナ。この作品のエドナはいつもよりちょっと勝手な印象。 確かにいつものエドナに比べると可愛げがないけど、それでもこのエドナがブスだとほざく奴はテメエの見る眼の無い眼球をほじくり出した方が速い。  まあ、あの“オチ”の後にエドナを見るとちょっと殴りたくもなるけどさ・・・w
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-22 23:53:05)
5.  超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~ 《ネタバレ》 
ストーリーはTV版マクロスだが、いかんせん肝心の作画にムラ&作画が良くなっても27話以降は蛇足。むしろあのスタッフでTV版のリメイクでもしちゃえば良かったのに。 それでもTV版もマックスとミリアの激闘が凄い。特に18話。フォッカーの愛機を輝が受け継ぐ話とか、そこら辺はTV版に軍配をあげたい。  ただ、「愛・おぼえていますか」はストーリーはともかく作画が神。板野サーカスが入り乱れるドッグファイト、TV版より性格が丸くなって好印象&感情移入もしやすい、最終決戦前後のやり取りも断然劇場版。 フォッカーの散り様はともかくカムジンの出番が大幅カットで残念、でもミリアとマックスの一騎打ち(お見合い)の緊張感と作画はオーパーツ、柿崎イイイィィィ、何より輝がちゃんと主人公やってて泣いた。  とにかく凄すぎる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:34:30)
6.  忠魂義烈 実録忠臣蔵 《ネタバレ》 
「実録物」の元祖?とも言えるマキノ省三生誕50周年記念の作品。 生涯で実に400本以上映画を撮ったと言われるマキノ省三だが、残念な事に現存するフィルムは数本のみで、しかも1時間以上残るフィルムは「雄呂血(製作総指揮)」「忠魂義烈 実録忠臣蔵」と「百萬両秘聞」ぐらい。 息子の正博(雅弘)との共同作「浪人街」も総集編として1時間足らずのフィルムが残るのみだ。 幸いにも「百萬両秘聞」は前後半合わせて100分以上も現存する貴重なフィルム。コチラも是非とも見たい作品だ。 前・後編それぞれ1000円もしないので、とてもリーズナブルな値段で入手できる。 本作「忠魂義烈 実録忠臣蔵」は2時間以上にもなる当時としては大作だったらしいが、マキノ省三は作品の出来に不満を洩らしてらしく、フィルムも編集中の火災でネガの半分を失ってしまう。 残ったフィルムを何とか繋ぎ合わせ、終盤の討ち入りシーンも焼失したので急遽正博が撮影し直した。 そのため「忠臣蔵」の1時間ダイジェストという出来だが、終盤の迫力ある戦闘は凄まじいものだ。 出演に嵐長三郎、端役に月形龍之介や山本礼三郎など後の実力者たちも名を連ねている。 本作は古典的な「忠臣蔵」のストーリーを映画化。 大胆なカメラワークで迫力あるドラマを魅せる。 中盤の忠臣たちが一斉に抜刀して誓を立てる場面。 カメラでぐるりと収めるようなショットが面白い。 吉良を欺こうと女遊びにふける内蔵助。 女人衆が「うきまさ」または「うきはし」の文字を作る。 つまらなくもないし、特にこれといった突き抜けるほど面白いというワケではない。 ただ終盤の戦闘。 正博が撮り直した場面だが、吉良邸に押し入る浪士たちの群れ、一斉に白刃を抜き討ち入る迫力は凄い。サイレント特有の超高速戦闘。 目にも止まらぬ速さで刃を交わせ敵を斬り倒していく。 修羅場と化す吉良邸、偽装工作と動かざる「額の傷」。 ラストシーンはフィルムの都合もあると思うが、あえて橋の上を渡る浪士たちの後ろ姿で締めくくる場面が良い。 逃れられぬ死の運命・・・最後まで戦う事を選んだ男たちの“死の匂い”を感じた。 今でこそ「忠臣蔵」は史実より脚色された「虚構」であり「神話」状態だが、主君の無念に体を張って応えた義侠心は捨てがたい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-14 21:11:40)
7.  父の祈りを 《ネタバレ》 
英国の司法界史上最大の汚点とされるギルドフォード・パブ爆破事件と冤罪によって苦しめられた人々の姿を描いた作品。 刑務所と法廷劇が絡んだ作品といえばマーク・ロッコの「告発」もあるが、俺はこの作品の方が惹かれるものがあった。  爆破事故からはじまるこの物語は、1970年代の北アイルランドの騒動から幕を開ける。  定職にも付かず警察相手に挑発を繰り返す若者たち。 家族のために望んだ一時の天国、テロを疑われ一気に地獄へ。  IRA暫定派(アイルランド共和軍暫定派)は、イギリスにいまだ支配される北アイルランドを取り戻そうとテロを続ける。  標的な基本軍人だが、エスカレートするテロリズムは一般市民すら巻き込んでいく。  事件を何としても解決したい警察もまた、苛立ちや焦り、さらには事件を喰い止められない事によって世間の目が気になって気になってしょうがない。  焦りは冷静な判断を失わせ、狂気と化した警察は誤認逮捕が発覚しても隠蔽しようとする。 疑わしきは罰せよ・・・着せられた無実の罪。  世の中が腐れば、警察も腐る。その逆もしかりだ。  耳を引っ張るやつは凄い痛いんだよなあ。悲痛な表情が辛そうだ。 遂にはその家族にまで手をだし、マフィアのように「親を殺す」と脅迫までやってのける。 若者は「地獄に堕ちろ!」と哀しみと怒りをぶつけるが、届かない虚しさ。 やりもしない罪をでっちあげねばならない苦しみ、“妥協”が地獄から逃れる唯一の選択。だが、一度押された烙印は一生その人間を苦しめる。意思を貫くか、妥協するかは貴方しだいだ。  IRAのジョーの暴れ振りが凄まじい。火炎放射器まで作ってしまうのだから恐ろしい。そりゃ警察だってこんな奴いたらおかしくもなるわ。  彼らを救い出す騎兵隊は来なかったが、弁護士という名の救いの女神は彼らを見捨てなかった。 説得に次ぐ説得、迫る父の死期、父の息子や家族に対する祈り、「ゴッドファーザー」は父の死を暗示する、闘志が蘇る息子、法廷でまくしたてる迫力!  彼らはつい昨日の事のように過去を振り返るが、失われた時間と家族はけして戻ってこない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 11:32:28)
8.  チャップリンの醜女の深情け 《ネタバレ》 
もう100年も前の映画だが、この頃から現代の映画に繋がる洗練された笑いが完成されつつあったと・・・それを味わえるだけでも充分感動。 本作は「キーストン・コップス」物のドタバタ喜劇の傑作の一つだと思っている。  「醜女の深情」はチャップリンのために書き下ろされた作品ではあるが、チャップリンに完全な主導権はない。何処まで行ってもマック・セネットとキーストン・コップスの狂騒が待ち構えているのです。 ラストまで出番が無い「キーストン・コップス」の面々も暴れる瞬間を待ちに待っている。  本作に散りばめられたギャグは本当に下品なネタが多い(褒めてる)。 画面上で小刻みにギャグを挟んでくるやり取りはジワジワした笑いが来る。 終盤でコップスの面々が次々に海中に落ちる場面は笑いを通り越して彼らの安否を気遣ってしまうほどだ。サイレント映画の狂気地味たスピードよ!  チャップリンが太った彼女と美人の彼女の間でコロコロ揺れ動く様子が面白い。 初期のチャップリンは本当小悪党だな~。  キートン、チャップリン、ロイドを制覇する前に是非とも見ておきたい作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-07 16:16:25)
9.  誓いの休暇(1959) 《ネタバレ》 
延々と続く白い1本道、そこを一人歩く黒いスカーフの女性。ナレーションによって女性と、その女性が待ち続ける“男”の話が語られはじめる。 この映画、水がところどころで印象的に映される。 川の水際で進軍する兵士たち、旅人たちを癒す水道水、行き先を阻む水溜り、ぬかるんだ泥水、列車の蒸気、人の汗、そして流される涙、涙、涙・・・。 舞台はナチスとソ連軍が死闘を繰り広げる戦場へと映り、アリョーシャという名の一人の兵士が戦車に追われる場面となる。まるで怪物のようにアリョーシャを追いかける戦車。モチロン操縦者の顔は映されず、アリョーシャは偶然にも拾った武器によって“英雄”になってしまう。余りに出来すぎた戦果が、後の悲劇をより際立たせる。 思わぬ幸運がくれた休暇。だが、日数は少ない。アリョーシャは無事母の元に行けるのだろうか。タイムリミットが刻々と迫る。 この映画は、戦場の恐怖を描く映画からロードムービーに切り替わっていくが、それでも戦火はアリョーシャの故郷にまで拡がっていくのだ。 旅先での出会いと別れも印象的だ。 列車で交わされる談笑、片脚を失った夫を迎え入れる妻、貨物列車での出会い。 絶えず運動を続け行き先への距離を縮める列車は、男女の距離も縮めて行く。そんな二人も、別れを惜しんで旅を続ける。列車の看視兵との“取引”も面白い。 行き先々の街も空襲で廃墟と化し、列車を運ぶ橋すら人々から奪い取る。重傷を負っても生き延びる人もいるし、キレイな顔のまま死にゆく人々もいる。 アリョーシャの心に“折れる”名も無き車の姿、音楽の畳み掛けが卑怯すぎんだろチクショウ。 母親が駆け、それに気付いたアリョーシャも車から降りて駆けより、熱い抱擁を交わす・・・ああ、再会するという事がこんなにも嬉しい事だとは。 だが、戦争という見えない糸が、アリョーシャを再び戦場に連れて行ってしまう。それでも、アリョーシャは誓い、母は待ち続けるのだろう。たとえ二度と戻らないとしても・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-30 09:42:53)(良:1票)
10.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
物語は終始特に盛り上がるでもなく淡々と語られていく。 アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティンは時々怒りで叫んだりするが、基本的には劇中の黒のハイコントラストのような重々しい沈黙を選択する事が多い。 それはありのままを見せるドキュメンタリーといった記録がそうであるように、イーストウッドもあくまで実際の事件の再現に務めている。 真の対象は、事件そのものではなく事件によって人生を狂わされた人々の、怒りを抑圧する事を迫られる苦痛だ。 実際に起きた警察の不祥事、事件ごと揉み消されそうになる人間の実在、そして明かされる連続殺人の影・・・次々に真相が解明されていく瞬間の一瞬“ゾッ”とする感じがたまらない。 クリスティンが子供を捜してもらおうと電話する場面。こっちは急いでいるのに「24時間待って下さい」と言われる瞬間の焦り、恐怖、苛立ち。 誰よりも子供の肌に触れてきた母親が記録や記憶によって疑念が確信に変わる瞬間。 アメリカで“割礼”が拡く普及するのは第二次大戦後の1945年。 息子の捜索はやがて警察との全面対決へと変わっていく。 息子を見つけるため、何より母親としての自分や他人を否定した総てのものを許さないために。 クリスティンを助けてくれたキャロルの辛い過去もまた、彼女に戦わせる力を与えただろう。 今まで消極的な部分が多かったクリスティンに闘志が宿る。電気椅子なんざもう怖くない。 また、クリスティンのために粘り続けたブリーグレブ神父、それに警察として己の正義を貫くヤバラ刑事! 警察の腐敗した部分だけでなく、責任を果たそうとする人間など多面的な部分も描かれていて良い。 ゴードンもまた、自分が“くびり殺される”事など考えていない男だった。 警察も何度サンドバックにされようと歪みがない。 「ミスの批判よりも解決した事を評価して欲しい」じゃあ肝心のミスとやらを失くしてみろよファ●キュー。 論点をすり替え続けた警察がそうであったように、この映画は「自分がそうされたらどうしよう」なんて考える奴はほとんどいない。みんな自分が可愛くて、他人に睨まれるのが怖くて何も言えなくなってしまう。クリスティンは、そんな社会から逃げる事をやめた人間の一人だ。 神父は「神の力だ」とクリスティンに語るが、本当は神とか愛する我が子を心の支えにして戦い抜いた人間の奇跡なんです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-11 01:25:28)(良:1票)
11.  父親たちの星条旗 《ネタバレ》 
「硫黄島からの手紙」が戦場中心に描いたのに対し、この映画は主人公が硫黄島での激戦と星条旗を掲げた者たちの戦後を描いていく。俺はコッチの戦後に焦点を当てたドラマの方が好きかな。 星条旗の裏にある真実と現実。 表向きの希望、その理想の裏でプロパガンダとして消えていった男たち。戦争に国も人も関係ない。 それぞれにしか解らない苦しみを抱えてみな生き、死んでいく。 英雄になったから何なのだろうと。そんな虚しさがこの映画から伝わってくる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:18:15)
12.  血煙高田の馬場(1937) 《ネタバレ》 
忠臣蔵といえば堀部安兵衛。 堀部安兵衛と言えば高田馬場の決闘!  坂東妻三郎主演「血煙高田の馬場(決闘高田馬場)」。  正月番組の一言で片すには惜しい密度を誇る、傑作娯楽時代劇だ。  40数分の短縮版とはいえ、テンポ良く歯切れの良いストーリーと4回もスピーディーな斬り合いを楽しめる。 ほとんど鍔迫り合わずに、しかも音もなく敵を切り倒していくその速さは息を呑む。  しゃがれ声のバンツマの切れ味、女相棒の原駒子に名優・志村喬の手堅いメンツ。  バンツマが「叔父さん」のモノマネを長々とする場面はクスッと笑ってしまう。  ファースト・シーンからお祭り騒ぎ、度肝を抜かれるシーンだったぜ。 喧嘩の仲裁どころか「俺様も混ぜやがれ」という三度の飯より喧嘩好き。 弱いものを虐げる野郎は許さねえ、この義侠心。  斬り倒した男たちを「星」にしてしまう洒落も粋だ。  ラスト6分間のダイナミックな展開は圧巻だが、幕切れは少し唐突に感じた。  だが、とにかく時間を忘れて楽しめる快作!   以前見た伊藤大輔の「決闘高田の馬場」の断片とは微妙に違うんだよな。 伊藤大輔版は大河内傳次郎主演。真上から撮影された人の群れを突き破るように猛烈に走り去る場面、決闘場面もクローズアップとロングショットを交互に組み合わせた場面だった。いずれも凄い迫力だ。  マキノ版のバンツマを真横から捉えたフルスピード、ロングショットで捉えられたラストバトルも迫力満点だったぜ。   「鴛鴦歌合戦」や「弥次喜多道中記」もDVD化したんだから、この作品も早くDVD化してくれないだろうか。
[ビデオ(邦画)] 9点(2014-08-31 02:32:44)
13.  忠次旅日記 《ネタバレ》 
「長恨(断片フィルム有り)」で力演した大河内傳次郎と伊藤大輔がコンビを組んだ最高傑作の1本とされる作品。  現在は多くのフィルムが散逸してしまい、その真髄の一部を拝めるのが第2部「信州血笑篇」の一部と第3部「御用篇」の大部分。 拝めるとはいえ細かい箇所が欠損しており、ストーリーの繋がりがやや分り難くなってしまっている。それでも、大河内傅次郎の鬼気迫る演技を含め一見の価値しかない。  例えば、編み笠を被り道を駆け抜ける忠次、それを猛然と追いかける御用提灯の津波津波津波。 敵を流し目で睨みつけ、橋の上で捕り手たちに一太刀を浴びせ、骨太の腕で刃を突き付けて周囲を睨みつける。取り囲む捕り手たちをくるりと回って瞬く間に3人を薙ぎ払う上空からの視点。 この上空からの視点は「決闘高田馬場」の断片で猛然と決闘場に向かうシーンでも拝む事が出来る。  また街中で複数の男たちと高速で斬り結び、信頼を寄せる忠次を裏切った者たちへの絶望を叫ぶ老人、斬られたのか力なく壁に寄りかかり倒れる仲間、それを見やりながら敵中を突破しようとして太刀をゆっくりと傾け構える男。 忠次もまた子供を抱えて密室で複数の男たちと斬り結び、睨み付ける視線の強烈さ。  そんな剣客としても強者だった忠次が、病によって徐々に立ち上がる事もできないほど衰弱していく様子。 彼を慕って最後の最後まで付き従ってくれる仲間たち。捕り手たちから忠次を守ろうと奮戦し、血まみれになりながら次々と捕縛されていく。開けられそうになる扉を何度も何度も閉じる仲間の散り様、それを助けられず黙って見守る事しか出来ない悔しさ、己の無力さを嘆く悲痛な表情。手に持つ刀すら抜きたいのに抜く力すら残っていない。 その腕を掴む忠次を慕う女の耐え忍ぶような表情。 扉をこじ開けて雪崩れ込む捕り手たち、それを睨みつけ、懐の鉄砲をぬうっと突き付けて最後の抵抗を示す女の眼差し。忠次は最後の力を振り絞って抜刀して戦うのか、戦かはないのか・・・とクライマックスまで息もつかせぬ怒涛のシーンの連続なのです。それをサイレント映画の早回しを逆手にとった超高速戦闘で存分に味わえる。
[映画館(邦画)] 9点(2014-01-10 21:01:03)
14.  チャップリンの黄金狂時代 《ネタバレ》 
もう密度が半端ないですね。 最初30分だけの短編にしても面白いですし、ラスト1時間も最後まで飽きずに見てしまいました。 雪山で出会った男が伏線だったり、二段構えとも言うべき傑作です。 また単なるコメディで終わらない所がいいですね。 実はこの作品は「偽牧師」と共に西部劇としての一面があるんですよ(まあ作品を見た方なら既にご存知だと思いますが)。 ゴールドラッシュで沸き立つ街、一山当てようと死に物狂いで山に挑む人間たち。 ある者は富を築きますが、その多くが飢えや殺し合いの中で消えていきます・・・事に本作は飢えの恐怖。 チャップリンなんか靴まで食べてしまうし、隣の大男は腹が減りすぎてチャップリンが巨大なターキーに見えてしまう・・・ちょっとオーバーかなとも思いましたが、飢えた人間たちが略奪や殺し合いに発展する様は恐ろしいです。 山での死闘、そして下山した街で巻き起こる騒動・・・クリスマスのシーンは笑いを通り越して涙が出てしまいます。 それでも最後まで彼女のために奮闘する健気さ。山小屋が雪山を滑り落ちるシーンなんか口あんぐりでした。 貧乏を経験したチャップリンだからこそ描ける凄い映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-29 15:19:16)(良:2票)
15.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
「生きるべきか死ぬべきか」や「我輩はカモである」に続く反ナチスコメディの大傑作。 警官だろうが突撃隊だろうがヒトラーだろうが、煙に巻いて徹底的に笑い飛ばす。 オマケに当時タブーだったユダヤ人に対する描写も余裕でタブー破り。 コレはエルンスト・ルビッチの「生きるべきか死ぬべきか」でもユダヤ人の悲劇を笑いかつ哀しみをふんだんに込めて描写していたっけか。 「公債」で嫌々やったプロパガンダだが、この作品はそういうものを一切感じさせずヒトラーをDisってDisりまくり。 物語は第一次世界大戦とナチスの政策を極限までパロディにした話。 冒頭の第一次大戦の戦場は「担え銃」を思い出す光景。あの作品は塹壕が主な舞台だったが、コッチは砲塔。砲台に振り回され、不発弾までグルグル回って兵士を翻弄する。 偶然助けた兵士と飛行機で脱出、逆さまになり水が落ちる場面をまるで水が天に吸われていくように映す。 チャップリンはいつも通りおどけて見せるが、時折見せる怒りの表情、さらっと流される死人の続出などブラック・ジョークも抜群。 「モダン・タイムス」でも共演したポーレット・ゴダードはいつ見ても可愛い。 それにしても随分好色なヒトラーだこと。 女好きはどう考えてもチャップリンの性癖な気が(ry  「サニーサイド」における床屋シーンのNGフィルムはこの作品で見事に“復活”。よりパワーアップし洗練された圧巻の場面。 ブラームスの「ハンガリー舞曲」の“演奏”!曲に合わせて高速で髪をカットしたり髭を剃っていく名人芸。  破裂されてまで拒まれる地球征服、床でいきなり滑ったり、手をかけそこねたりする場面は故意なのか事故なのか測りかねん。 不意打ちすぎて鼻水出たわ(笑) 絵や彫刻を創る側も対象がせわしなく動くのでイライラがピークに。 ムッソリーニとの食物ぶちまけケンカも死ぬかと思った(笑いすぎて)。 だがラストの演説は凄い。「ヒンケル」と「チャーリー」の演説! 入れ替わってしまうのは「替玉」以来だろうか。 最初の演説との違いはまるで「ボレロ」。積み重なった言葉の集約が「演説」にこめられている。 人間にアーリア人も白人もユダヤも黒人もいない・・・なんて「理屈」が一番伝えたいことじゃない。 ただ愛する女性、愛しい人へのメッセージ・・・「ハンナ」。 「ハンナ」は今作のヒロインの名前でもあるし、チャップリンの母親への手紙でもある。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-29 15:17:12)
16.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 
「殺人狂時代」はチャップリンが最後まで悪党として生をまっとうした久しぶりの作品だ。オーソン・ウェルズの原案というのも面白い。 実際はチャップリン自身が実在の殺人鬼アンリ・デジレ・ランドリューやウェインライトというモデルを参考にしたのだが、ウェルズの問いかけがなかったらこの作品は生まれなかったかも知れない。 金と命を奪って逃げての繰り返し、その過程にも限界が来てやがて大騒動になっていく。 ブラックユーモアに富んだギャグ、殺しの狂気に染まった男の闇の部分。 そんな殺人鬼にも魔が差したのか、偶然出会った女性の殺しをやめてしまった。 「逮捕されて夫も家族も失ったわ」同じ犯罪者としての同情か、己の運命を予期しての考えか。 実に四つの人間になって機関車で行き来する主人公アンリ・ヴェルド。嘘の上塗りと殺人、だがそんな生活にも限界。一度ほつれた糸はどんどんと崩壊していく。完璧な筈だった殺人計画は次々と失敗しオマケに世界恐慌にヒトラーまで出てきた! 「独裁者」でもヒトラーDisり足りないのねー。デジャブ? 新聞の記事を写すあたりなんか「独裁者」そのものだ。  全てを失い、そんな時に巡り合った「再会」・・・己の運命を受け入れるヴェルドゥ。  処刑前のセリフが考えさせられる。 「One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sanctify(一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が(殺人を)神聖化する)」・・・奴隷廃止を訴え続けたベイルビー・ポーテューズのセリフ。 小説や戯曲に精通したオーソン・ウェルズが取り上げ、チャップリンが言い放つ。 それを殺人をテーマとしたコメディ映画で言うというのが凄い。 虐殺によって帝王になったヒトラーを初めとする多くの英雄(殺人者)たち。 それに比べたら自分の殺しなど“アマチュア”に過ぎないと言う。 現実のチャップリンもまた、劇中のヴェルドゥのように多くのものを失っていた。 戦争に反対した姿勢は「赤狩り(レッド・パージ)」に弾圧され、苦楽を共にしたスタッフの多くも戦争を通して亡くなった人間が多い。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-29 14:21:50)
17.  散り行く花 《ネタバレ》 
「東への道」と真逆の空気が漂う映画。後年の「東への道」の主演陣が「散り行く花」と共通している。 スタートダッシュが素晴らしかった「「東への道」」と比べると、この作品は少し退屈だ。退屈だが、丁寧な人物紹介とシナリオの巧みさ、衝撃的なクライマックスに目を見張る傑作だ。 最初はイエローマンの登場。 とある中国、外国の水兵なども訪れる賑やかな街。修行を終えた一人の中国人(どう見ても中国人て顔じゃありません。本当にありがとうございます。もしかして混血児とか裏設定有り?)が、いま師の最後の教えを受けて旅立とうとしている。 異国への憧れ、夢や希望。水兵の喧嘩を仲裁する姿にはまだ希望が溢れている。 それを打ち砕く異国の地での生活。表情は光を失い、せまい部屋の中で阿片漬になっていた。演奏者たちの爪の不気味さ。様々な肌・顔立ちの人間が入り乱れる。  続いて登場するバトリング・バロウズ。 酒を飲みボクシングで憂さ晴らしをし、情夫にうつつを抜かすダメ親父。気に入らない奴は娘だろうが当り散らす。 阿片窟にいた女がバロウズとの接点を持つ。運命はイエローマンとバロウズたちをやがて引き合わす。  最後に登場するバロウズの娘。 帽子を被り、家に帰るのが嫌そうな暗い表情で座り込む。過去を回想し、唯一帰れる安らぎのない空間へと入っていく。 帰ってくるなり机を叩いてどなりつける父親。「笑ってみやがれっ!」の怒声に、口に指をあてて無理やりの、偽りの笑みを作ってみせる。泣きそうな表情で。彼女は笑う事を知らないのだ。彼女は何度も偽りの笑みを作らされる。  そんな彼女とイエローマンの邂逅。倒れた彼女を見て蘇る“以前の自分”、異国で初めて彼に訪れる“春”の花。彼女の表情からも初めて本物の笑みが浮かぶ。  そんな至福の一瞬が、無理解な父親の一撃で粉々に散ってしまう残酷さよ!すれ違う二人、悪魔の微笑み、恐怖で歪む表情、打ち砕かれる家具、剥ぎ取られ床に打ち捨てられる衣服、霧の街に消えていく叫び。 異変に気づき絶望に暮れる表情、ドアを閉めるが逃げ場のない密室、最後の望みをかけて拳銃を握り駆け出す男、扉を打ち砕く斧の恐怖、狂ったように叫ぶ女、砕かれる板、振り上げられる鞭・・・。 あの瞬間の表情が本当に綺麗でさあ。透明な眼差しというか、何とも言えない表情で・・・何度見ても泣いてしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-12-17 11:40:36)
18.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
霧、霧、霧である。 冒頭から行く先の見えない光景に遭遇し、霧が晴れたかと思えば、磔にする責め苦と説明過多のナレーションによる二重の拷問を観客は受けることになる。  主人公たちが乗る船は常に視界を阻まれるように霧が発生し続ける。スコセッシが敬愛する溝口健二「雨月物語」の船がそうであったように。 噂だけしか入ってこない先人たちの現状、この目で直接見なければ納得がいかない。霧をかき分け、海原を超えてでも真実を知りたい。時折上から見下ろされているような視点。まるで神が見守っていてくれているとでも思いたげな。 自らも小高い丘から見守ることしかできない苦しみを味わうなんて知らずに。  信用できない水先案内人、洞窟に取り残される不安、松明を掲げる者が静かに十字を切ることでようやく表情が緩む。  日本側の容赦の無い隠れキリシタン狩り、弾圧の様子。 村を材木が散乱し野生の猫が跋扈する無人地帯にし、押し寄せる波に晒し、抜刀して首を跳ね飛ばし、簀巻きにして海の中に沈め、血を垂らしながら逆さまに吊るす“見せしめ”の数々。  壁に刻まれた母国語、再会させるのは、目の前で処刑を行うのは、踏みにじらせるのは異邦人の信仰心をへし折るために。  スコセッシが今までの作品で描いてきた死にたくても死ねない生き地獄。床や水面に見る“幻”、主の声(幻聴)、幾度も気が狂ったように自分自身を嗤う。生きる恥をさらし続けてまで生き延びる意味を探しながら。  家財道具に刻まれた無言(沈黙)の抵抗。 何度も何度も許しを請い逃げて来た男が首にぶら下げる「逃げるのをやめた」証。   遠藤周作の原作との決定的な違いは、「夜明け」という希望の灯が昇らない点にある。闇の中で蝉の鳴き声だけが響き続けるのだから。  その代わりに燃え盛る焔、掌の中で鈍く輝く“尊厳”が無言(沈黙)の抵抗を示すのだ。  かつてイエス・キリストを題材に「最後の誘惑」を撮ったスコセッシだ。この映画もまた、こんなご時世だからこそ存分に“挑発”し、問いかけるような作品だ。
[映画館(邦画)] 8点(2017-02-09 09:31:59)(良:2票)
19.  中国の魔法使い 《ネタバレ》 
中国風の門を背景に、中国人の格好をした胡散臭い男が登場する。  傘を振り回し 傘で隠した部分から椅子を左右に一つずつ出現させる。男は傘を放り投げて扇子を傘に変えたりと、傘から次々とアイテムを出す。  一つずつ出した三つの提灯を犬に変えたり、犬を可愛がっていたと思ったら今度は化粧の濃い女性になる(戻して)、お次は傘とマスクで頭を覆った男を召喚。彼は魔法使いの助手となって魔法使いのマジックを手伝う。文字が書かれた2つの四角いものを一緒に運び、突き破る瞬間移動。  残りの紙を破り、木の枠組みだけになったものを転送装置のように使うアイデア、女性を担いで布に包んだかと思えば瞬時に複数の鶏と入れ替わる。  最後はアシスタントと女性と共に別れのご挨拶。アシスタントの布が首にからまってしまうギャグで締めくくる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-07-28 17:10:03)
20.  チャップリンのゴルフ狂時代 《ネタバレ》 
「のらくら」または「ゴルフ狂時代」。 汽車を待つ人々、降りてくるゴルフ狂たち、夫人の脚、荷物入れから出てくるチャップリン。何と言う無賃容赦。 車の後ろに座るが振り落とされる。 今回のチャップリンは放浪者と同時に身奇麗な紳士も演じる。ちょっと抜けたね。 ズボンの短さに不意打ちってパンツかよwwww新聞で隠してしゃがんで移動。 泣いてんのかと思ったらカクテルをシェイク。サイレント映画ならではのギャグ。  芝生をズカズカ歩き、ゴルフボールを気づかぬ内に蹴って運んでしまう。  正しい土の使い方、不憫すぎるオッサンの連鎖、チャップリン気づけよ、腹を踏むと次から次へとボールが出てくる昼寝中のオジサン。よく窒息しなかったなこの人・・・。  馬、乗馬する女性、ロバで追跡、自力で追うスピードの速さ!と出来たらいいな。  酒瓶を狙い撃ったようにしか見えないナイスショット、殴られ腫れ上がった面で再び現れるオッサンの受難、太めのオッサンも災難続きで帽子を踏む追い打ちまでされる。  人違い、地面かと思ったら沼にドボン、チャップリンと出会うゴルフ狂はみんな災難が降りかかります。  仮装パーティー、騎士に扮装する紳士、鉄仮面が取れなくなるパニック。  スリに間違われ警察とのおにごっこ、チケット、逃げた先で警察かと思ったらそれの仮装。  懐中時計をくるくる回しながらしまう、デブのオッサン相手に後の「猪木アリ状態」?、御夫人のスカートに失礼。 バグパイプ奏者、嬉しくないパンチラ、缶切り?で鉄仮面を切り開く一変する空気。 追いかけて交わす握手・・・を文字通り一蹴するのがチャップリン。「今更遅いわ!」
[DVD(字幕)] 8点(2015-06-11 23:41:24)
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