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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
動から始まる「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」、静から始まる「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。 「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」に対してアクションは少ないが、多彩な登場人物の魅力と突然襲い掛かる恐怖はコチラの方が上かも知れない(もちろん撃ちまくる「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」も大好きです)。  一本の道を走ってくる一台の車、不気味な音楽。  車は道から墓場で止まる、男と女の会話、ラジオ、ドアを開けて一人ずつ車から降りていく。不気味に拡がる木の枝、葉。  白黒の簡素さが余計に恐怖を増大させる、墓参り、雷、くもり空。   6分を過ぎた辺りから恐怖は加速する。 ゾンビのように突然現れ襲い掛かる謎の男、走る走る走る!   倒れざまに墓に頭を打ち付けられる、他に誰もいない墓場での追いかけっこ、車にこもる、女は運転の仕方を知らないか単にパニックに陥っているのか、窓を割り伸びる手。  入口が木によって塞がれる、車を捨てて全速力で駆け出す、最寄の建物を探してまた走る走る走る、密室に逃げ込む、部屋には誰もいない、不気味な剥製。  陽が落ちる外、ぞろぞろと同類が集まってくる、とっさに掴むナイフ、階段を上った先で見た絶望、扉の先で出会った希望。滴り落ちる血、遺体を幾度も引きづる事になる地獄。  ライトを割る、何度もバールを打ち付ける、突き刺す、何かに引き寄せられるように次々と家の中に入ってくる群集の恐怖、遺体は火をつける事で壁になり、ゾンビは火に弱いらしい事がアクションだけで説明される。  バリケード、電気はまだ通っている=まだ人類は生き残っているという淡い希望、家の中から武器を探す、女も恐怖に抗うための戦いを始めていく、外から入ってくる情報によって彼らの籠城戦はより深刻なものになっていく。   落ち着いて互いの事を話し合う平穏、家族の死が信じられずに泣き叫ぶ、気を失った彼女をソファに寝かせ窮屈そうなコートをはだけさせる優しさ。  ラジオを聞きながら黙々と要塞にしていく、救助を信じて灯す暖炉、予想だにしないドアの発見、ドアから見つける武器。   扉に隠されていたものの“登場”によって、警戒心がとけはじめた事を物語る。同じ人間すら信じきれない恐怖。 窓から突然現れる恐怖、撃たれたゾンビの反応が物語る彼らにとっての急所、ゾンビは何でもかんでも貪る。  非常時とはいえ自分の家をメチャクチャにされてご立腹、ラジオ→テレビ。 脱出するための作戦開始!火を投げ込み、隙をついて奪取、行き先を見守る視点。心を失ったが故に手ごわいゾンビ、心があるが故にもろい人間。 アクシデント、燃料、焼けただれた遺体からすら肉を探して食べる、狂気も正気もないあるのはただ「食う」という本能。  電気が消える事で外との繋がりが絶たれた事を物語る、燃え尽きた遺体、極限状態で破滅へと向かっていく人間たち。自分の命欲しさ故に。   かぎ爪という人として扱われない衝撃的な結末。写真と火葬が語るのみ・・・。 
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:35:33)(良:1票)
2.  南極料理人 《ネタバレ》 
猛吹雪の雪原、建物らしき黒い影。その中を駆け抜ける3人の男たち、倒れて揉み合う。逃げ場のない氷原、生きるために仲間を励ます。 「遊星からの物体X」みたいなサバイバルアクションでも始まるのかな?と思ったらぬくぬくとした部屋で麻雀始めちゃうんだもんなー。 撮影は「トウキョウソナタ」といった黒沢清作品でも腕を振るう芦澤明子。冒頭シーンの凍りつく画面、その後の居心地が良い画面が素晴らしい。  麻雀、漫画、ビデオ、音楽、ボウリングでストライク、カクテルとバー、卓球。極寒の密室、その極限状態に耐えるための娯楽、美味い飯!  命懸けで仕事に挑む人間たちが、飯を美味そうに食っているシーンの多さ。なんて腹の減る映画なんだ。心は満腹になるけどね。 飯を食いながら登場人物の紹介、好き嫌い、トマトに悪戦苦闘、丹精込めた料理に調味料をかけられすぎるのは料理人のプライドが見過ごせない。  空が晴れると白い建物。太陽が遮られた時はあれほど黒く見えたのに。  朝、ドアをめぐるやり取り、ラジオ体操と“目の保養”、落花生の箸置き、仕事内容の確認。  1年だけの付き合い、1年も務めなければならない厳しさ。  意気揚々と仕事にかかるプロフェッショナルたち、掲げられる旗、旗、旗。風の強さをストレートに教えてくれるし、時には誕生日といっためでたい日を祝う。   ボーリング調査といった仕事。 天然の冷蔵庫から材料を運び入れ、一品一品真剣な眼差しで作っていく。  サングラスをして何かを待つ男たち。「ワルキューレ騎行」と共に自転車に乗ってやってくる飯時。 飯めがけて全力で駆け、転ぶ。  読書中の主任に弁当の配達、積み重ねられ始める不平不満。基地のアチコチに張られた異性のポスター、受話器の向うの甘い声、家族の写真や宝物。すべてはホームシックの叫びを抑えるために。  雪を掘って水作り。他の面々も生きるために食飲み食いするものを作る。8人にとって無限に等しい原料。伊勢海老につられてくる面々、エビフライコール。  回想、揺れる船、帰りを待つ家族、胃がもたれる嫁の手料理は母の味。文句を言いながら食う食卓の団欒。 願った人間に訪れる事故、願わなかった人間に降りかかる仕事。 「家族と相談させて下さい」 「おめでとう」 「家族と相談・・・」 「行ってらっしゃいお元気で」 ああ殴りたいあの笑顔。  節分のお面、裸の鬼を締め出す・・・て殺す気かwww 劇中の面々は度々裸になって氷点下を満喫する。記念撮影もトライアスロンの特訓もパンツ一丁。 時間の限られた電話、砂時計、天然の氷で乾杯。  夜食を目の当たりにして「もう勝手にしろよ・・・」とドアを閉じる。人が何のために丹精込めて飯を作っているんだよと。 でも食う本人たちもそれはそれ、これはこれ。  凍傷への対応で怒る男たち。真剣な者と嫌々でやっている者たちの対立。  でっかい肉を外で火をつけて肉を振り回すシーンの面白いさこと。 「楽しいwww」  巻き込まれる主任、誕生日ケーキと肉のステーキでパーティー、料理人を支える娘の歯。  いちごの原液をかける天然のかき氷、原液はそのまま野球のベースラインに。  太陽を拝めない日々の鬱屈とした様子。 誰のための正装か解らない祭、凍傷が治った手と伸びた髪が物語る日数。  料理人もお母さん状態。 「あ~ぐ~ら」  ラーメン中毒者とバター中毒者が出てくる状況。重症です。  さあクソ主任との対決だ!後ろから迫る怒り、料理人も有無を言わさず蹴る、フラれたショックで自殺行為、医者「はい凍傷ね」  そして娘の分身に等しかった歯ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!! 精神的にグロッキー。  胃にもたれる母の味が料理人に涙と活力を与える。仕事仲間たちが、家族たちが食べさせてくれていた愛情。お母さんと娘の計らい。  本土との通信。 「可愛い動物は~?」 こんなに可愛いおっちゃんたちがいっぱいいるじゃありませんか。おっさんは非売品。   “冠水”作り、ラーメン>>>>>>>>>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>>>>>>>>>>>オーロラ。  いつもの朝食風景が、食卓を囲む人々が消えていく瞬間の何ともいえない寂しさ。  再会、そして出会う人々。“声”だけで出会った恋人たち。  成長した子供たち、氷原と灼熱のアスファルトを駆け抜ける男の生き様。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-11 23:36:31)(良:1票)
3.  浪華悲歌 《ネタバレ》 
確かに溝口らしくない部分もあったけど、女が好き勝手やって自滅するという図式は溝口作品屈指の出来だと思うんだ。 ネオンが光る夜、朝には光が消えて静まり返るファースト・シーン、家族の食卓で始まるところ。漬物をポリポリ噛む音を楽しめるのはトーキーだからこそできるね。 時折ギラリと輝く父ちゃんのメガネで吹くわ。 ヒロインの綾子が夜遊びに進む過程。 良い歳した中年おやじが若い娘の胸元に名刺を差し込む辺り・・・溝口はこういうのが本当上手い。 ガラス越しの電信での会話、綾子の手紙の文字、戸をガラッ開けて“男”を見せつける場面と。 クローズアップも結構多く、要所要所の挿入は印象に残る。 山田五十鈴が若くてキレイだなー。 暗闇で家に入る人影、妹さんそんなところに「ぬうっ」といたらホラーだよ(演出が完全に怪談じみてた)。 遊び好きの活発な女性が男二人引っ掛けて、どちらとも「おまえはそんな女だったのか!」と失望されて家に帰ったら「そなアホな女家族や無い!出て行けや」と勘当。 あんなに笑った溝口映画は初めてだ。兄貴、妹の素っ気ない返事のワンツー・パンチがまたツボ。この殺伐とした空気が最高だぜ。オマケにあれだけ高慢なヒロインも流石に落ち込むだろ・・・と思ったらまったくヘコたれてない(爆)もう何なんだよこの女wwwwwwww「不良少女」どころじゃないよもう。 山田五十鈴の演技が最高すぎる。 梅村蓉子夫人とのやり取りも最高だった。人形浄瑠璃の劇場に不倫相手の男と一緒。 そこに嗅ぎつけた奥さんがズンズン乗り込んできて「何してんやアンタ!」と問い詰める。奥さんの剣幕に逃げ出す男どもがまた面白い。 そして地味に志村喬が出ていたり。この頃から刑事やってたんだなー志村さん。後ろ姿だけでもカッコ良いのは何故だ。  またラストシーンが良いねー。 例の名刺を川面に向って投げ捨てる。暗闇ながら水面の美しいこと。 過去との決別だね、ハッキリした女だ。 それで通りかかった男に「あたい“不良”ちゅうビョーキなんや。ねえ“お医者さん”、どないしたら治るやろか?」と聞く場面。 ただの通りがかりの男を医者と呼ぶこのセリフの面白さ、解ったもん勝ちだね。  「祇園の姉妹」は丁寧だったけど、パンチが足りなかった。この作品は少々荒いけど、パンチが効いてるからコッチの方が好み。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:34:43)
4.  ナサリン 《ネタバレ》 
ブニュエルの映画は不条理な作品が多いが、この作品はある意味「忘れられた人々」よりも虚しさに襲われる映画だ。 神父以外みんな疲れた顔をしている。貧しさに疲れ果て、心も卑しさに満ちていた。 首吊り自殺に失敗する女性もいれば、女同士の取っ組み合いも日常茶飯事。 そんな汚濁のようなこの街に、馬鹿正直で理想を失わない男がまだいた。 ナサリン神父は、殺人を犯してしまった娼婦を救おうと懸命に努力をしたが、結局家に火を付けられてしまう。 挙句には娼婦との肉体関係を疑われ、神父としての資格まで奪われてしまうのだ。 いくら神父が熱弁を振るおうとも、娼婦にはキリストの絵がこちらを嘲笑しているようにしか見えなかったのである。 過去の男の思い出で狂ったように笑う女。 ナサリンは、いつか解ってくれる人がいる、救える人がいる筈だと巡礼の旅に出た。 だが労働場でも後ろから石を投げられる始末。 「やったらやり返す」・・・ナサリンは手を出さなかったが、他の不満を持つ男達が怒りを爆発させる。 銃を抜いて殴ったら、その後ろから男からシャベルで一撃。鳴り響く銃声・・・。 蹴り→棒切れ→蹴り。 警官たちも喧嘩っ早い。そのクセ、人が倒れていても放っておくのだ。 ナサリンの旅は続く。途中で出会った、男に裏切られた母親とその娘。 彼女の甥の病気を直したことでようやく明るい兆しが見え始める。 ナサリンは親娘に慕われる。 3人は疫病の蔓延する村で献身的な努力をするが、無駄に終わってしまう。 子のために狂ったように祈る女が忘れられない。 だが、ナサリンたちは確実に何かが変わり始めていた。 これから希望に向って進もう・・という時にナサリンたちを再び不幸が襲う。 母親はともかく、娘が一番不幸ではないだろうか。 母親の前から何の挨拶もできず連れ去られる娘・・・男のやらしい手つきが、娘が男から離れた理由を語るようだ。 徐々に女らしく、自分を取り戻してキレイになってきた彼女が、偶然にも昔の男に“惚れ直されて”しまう悲劇。愛していない男にだ。しかも、心は別の男に移っていた時に・・・。 冒頭の笑うキリストは、将軍の肖像に変わりナサリンを睨む。 娘とナサリンがすれ違うラストシーンが強烈。 ラストで鳴り響くドラムロールは、ナサリンの力強い前身を物語るのか。それとも、より過酷な試練を予告しているのか・・・それは解らない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 13:06:50)
5.  ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 《ネタバレ》 
子供の頃はちょっと怖かった(サリーがバラバラになりすぎて)けど、見直してみるとこんな素晴らしい映画だったのか~。   時期的には冬(クリスマス)や秋(ハロウィン)に見る心温まる話だけど、ヘンリー・セリック&ティム・バートンの不思議な世界観は夏のほてりきった体もひんやり癒してくれる。怖くて、楽しいミュージカル。   滑らかなストップ・モーションは「キングコング」のウィリス・オブライエンや「アルゴ探検隊の大冒険」のレイ・ハリーハウゼンの流れから進化し続けた技術を感じさせる。  バートンを笑う事は今までの歴史を笑うことに等しい。いや、そのユーモラスで素晴らしい映像世界は笑いながら拍手喝采を送るしかないっ!!   物語は「ハロウィンで人々を脅かす事」だけが生きがいであるハロウィン・タウンの住人たちの狂騒から始まる。   ハロウィン・タウンの王として君臨(といってもみんなが一番偉い人と勝手に祭り上げているだけなのだけれど)するジャック。   彼だけが“ハロウィン”だけにとらわれる事の虚しさを知り、何か変化を起こしたい、どうにかしたいと悩んでいた。   ふとした事で知る“クリスマス”という楽しさ、暖かさ。   ジャックはハロウィンタウンの人々を変えようとするが、誤解が誤解を生みどんどんおかしな方向へと話が進んでいく。  その様子が本当におかしいのなんのって。  ここの住人どんだけ発想物騒なんだよ。誰が生首を喜んで受け取るんだオイ。  あの赤い服は返り血じゃないってば(笑)  サンディ・クローズ(返り血サンタ)、サタン・クルス。  ジャックのアジで大爆笑。バートンのブラックユーモアがノリノリすぎて最高ですハイ。   しかし、狂騒の果てにジャックは自らが招いた過ちに絶望するが、失ったもののために彼は自分の使命を果たそうと奔走。   ウギー・ブギーとのやり取りはハラハラ、つうかサリーが身を挺しすぎて笑うに笑えなくなってきた。どんだけ四肢吹っ飛ぶのアンタ。死屍じゃなくて四肢累々。休んでいいよサリー。バラバラ系女子(ry   ラストの雪世界で二人が結ばれるシーンがとにかく美しい。  ジャックが孤独に昇った丘は、まるで二人の永遠の愛を祝福するように月明かりと雪で白く輝いているのだから。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 22:03:29)(笑:1票) (良:1票)
6.  流れる 《ネタバレ》 
川がその流れを止めないように、時代はどんどん流れ続ける。傾いた芸者置屋も華やかな花柳界も、女も男もいずれは流されてしまう。 だが、それでも流れない奴は流れない。そんな人々の日々を淡々と綴った映画だが、淡々と言っても女達が口舌の刃でジャジャンガジャンと踊り毒づきド突き合うようなドロッとした話なんですけどね。 何せ初っ端から必死に稽古をする少女が去った後、彼女たちは挨拶でも交わすように罵り合いを始めるのである。 本当に肉厚というか、豪華すぎて信じられないくらいの面子だ。 田中絹代は歳相応で抑え気味の演技が素晴らしいし(溝口健二作品の絹代も凄いけど無理のない演技と高感度はこの映画がダントツ)、 山田五十鈴と杉村春子も妙な美しさ感じられる。 それに栗島すみ子の存在感(若い時の彼女は是非とも「夜ごとの夢」「淑女は何を忘れたか」等を御覧下さい)! 若い高峰秀子と岡田茉莉子の対比も効いている。とにかくこの映画、女、女、女の映画である。 花柳界の春真っ盛りといった具合の光よう。通りを歩く女性達の足取りも何処か楽しげ。一方、借金踏み倒しで傾きかけた芸者置屋はから元気というか、何処か暗い影が差す。取立人を酒で酔わせて“逃げる”日々も限界が近い。 芸者の世界は30過ぎたらBBAというほど選手生命短し恋せよ乙女。「君と別れて」といい、この辺の描写の生々しさよ。 それをせせら笑うように自由な猫は家と外を出入りする。 「人間よりも猫の方が大事」・・・今の時代はちょっと洒落にならんセリフになってしまった。 そこに家政婦はミタじゃないけど女中のお春さんこと山中リカがやって来る。最初この女性が田中絹代とは気付かなかった。 彼女は女達の様々な噂を耳にするが、彼女の心がそれで流れる事はない。それを観客同様に傍観するのかと思えば、彼女の存在が芸者たちを引っ掻き回したりもする。かといって狂言回しという役割でもないし、不思議な存在だ。 子供も大人も怖いもんは怖い注射。それを「針が折れたらもっと大変よ」なんて黙らせてしまうお春さんは賢い。 もっとも、一番女達を振り回すのはタチの悪い男ばっかり何ですがね。男という濁流に流され翻弄される女たち。 満たされない女達は踊り、嘲笑い、哀しみ、怒り、憎しみをブチまけていく。 空も「稲妻」を鳴らして泣きじゃくる。
[DVD(邦画)] 9点(2014-08-26 16:59:53)
7.  何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 
ロバート・アルドリッチの“漢”を描いた最高傑作が「キッスで殺せ」や「特攻大作戦」「ロンゲスト・ヤード」辺りだとすれば、“女”を描いた最高傑作は「カリフォルニア・ドールズ」とこの「何がジェーンに起ったか?」。 これほど強烈かつ、狂気&ホラー地味たタッチで女を描いた映画は中々ない。 ベティ・デイヴィスにとっても「イヴの総て」「情熱の航路」に並ぶ、 ジョーン・クロフォードにとっても「ミルドレッド・ピアース」「ザ・ウィメン」「知られぬ人」に並ぶかそれ以上の傑作。 冒頭の可憐に踊るジェーン少女と、裏でジェーンを羨ましそうに見つめる妹のブランチ。 成長してジェーンの人気が無くなった変わりに、ブランチは女優として羽ばたこうとする。映画にも幾つか出演し、栄光を掴もうというところまでいく。 しかし“事件”は起きてしまう。 歳を取り、ジェーンとブランチは老後を二人っきりで暮らす毎日。二人の孤独を埋めるのは、雇われた家政婦とご近所に住む親娘だけ。 ジェーンは事故で足の動かなくなったブランチの世話、歳の違いではなくジェーンの方が介護で疲れている感じ。老いた顔に金髪は白髪みたいで余計に歳を取って見える。 ブランチは過去を捨てた、ジェーンは過去を捨てられず縛られている女。自分の若い頃の生き写しと言える気味の悪い人形を持ち続け可愛がるほどだ。 ジェーンは自分より動けないクセにまだ若々しい容姿を保つブランチに嫉妬していた。 ジェーンは次第にブランチに嫌がらせをするようになり、行動は徐々にエスカレート。 ブランチが悲鳴をあげるのを聴くと嬉しそう高笑いをするシーン、ブチ切れてブランチの腹を蹴りまくるシーンは戦慄する。 仕舞いには人気の絶頂だった少女の格好をして歌いだす始末。 それに対して髪をおろした様子がちょっと色っぽいクロフォード。 終盤の浜辺で太陽の日差しが照る中で笑うデイヴィスは本当に幼い少女みたいで一瞬ドキッとしてしまった。 どんどん壊れ幼児退行のようになっていくジェーン、そしてある“告白”をするブランチ。ブランチがその“告白”を今までしなかったのも、姉に苦労をかけてきた罪悪感というよりはメンツやプライドの問題だったのかも。 浜辺で人々に囲まれ、ステージに立っていたあの頃のように踊るジェーンの姿。何ともいえないラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-21 18:34:22)
8.  ナポレオン(1927) 《ネタバレ》 
こりゃ驚いた。 サッシャ・ギトリの「ナポレオン」とタメを張れる・・・いやそれ以上の傑作だ。カーマインの音楽も素晴らしい。 フランス革命後の波に載って皇帝にまで上り詰めたナポレオン。 前半部分のナポレオンは差別や嫉妬、上司とのトラブル等に耐え、自己研鑽を続ける若き士官として描かれる。 この頃は野心に満ち好機を待ち続けた“兵士”だった。  嵐を乗り越え、議会の混乱を乗り越え、ギロチンに消える貴族たちを眼に焼き付けて・・・。  それが後半になると、様々な政治的困難に直面する“政治家”としての側面も見せてくる。革命で暴徒と化し自由を求めて歩む民衆を見て、ナポレオンは嬉しそうに笑みを浮かべる。 下積み時代の自分と民衆を何処か重ねてみているようだ。  そんな男が民衆の頂点に立ったと思ったら、最終的には民衆から命を狙われるようになってしまう・・・皮肉なものだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:16:44)
9.  南部の人 《ネタバレ》 
キング・ヴィダーの「麦秋」を思い出す開墾映画の傑作。  ルノワール特有の幻想的な自然の風景には、フランスの香りが漂う。時たま我々を楽しませてくれるコメディ演出。 そこにアメリカ特有の音楽、自然に潜む幻想的な美しさ・悪夢のような厳しさ。  酷暑で倒れる老人、幼児を蝕む病、嵐で氾濫する河、泥のように人の歩みを拒む土、積み重なった災難は人の心もきしませる。 疑心暗鬼、殴り合い、殺し合いとエスカレートする狂気。狂気を抑えるのは利害一致の“宝”の存在。 飢えが人の心も大地も渇かす。  逆にある程度の飢えは人間を強くする。雨で河が溢れ、何もかも押し流してしまう恐怖。「スワンプ・ウォーター」ではより凶暴に河を描いていた。本当にルノワールは“水”の使い方が凄い。  畑が河に押し流されようと、一匹でも牛がいればまた立て直せる。たとえいなくても、人の手がある限り、何度でも耕してやる。そんな人間たちの力強いドラマが面白い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-27 00:50:53)
10.  なつかしの顔 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。 オープニングは出征していく兵士や万歳をする子供たちの絵を背景にして始まる。 空を飛びまわる飛行機の模型、子供たちはそれを追う。「腰弁頑張れ」を思い出す。 ラッパの音で集まり駆け出す子供たち、行進に追いついて一緒に歩いていく。羨望のまなざし。  泣く子供を見て動く叔父さん。一方、木の上を見つめる子供たち、上って取ろうとする子供、列車の疾走、汽車の風、子供たちの疾走が事故の発生を物語る。 “名誉の負傷”、バス、徒歩、馬車に乗せてもらう移動、今度は本物の飛行機が上空を飛んでいく。家族の前で痩せ我慢、店先に並ぶ飛行機の模型。 見舞いに来る子供たち、置いてあるイモをめぐる会話が面白い。「食べなさい」とすすめても遠慮する姿が可愛い。良い子たちだ。 上演前もイモをパクパクつまむイモ好きの女性。 映画館のニュース、アメリカにいる同胞の話、戦争の様子を見て表情を曇らせる「あの人は無事だろうか・・・」思わず泣いてしまう。 お目当てのものが見れるか見れないか、期待と不安。遠く離れた人が映るのは手紙をもらうのと似たようなものだろうか。文面で姿を思い浮かべる手紙、一瞬の映像で他に映らないものや言葉を想像させる映画。  バスに揺られて眠る外では兵士たちが戦闘訓練に励む、送られた写真は見たのか見てないのか。観客の目に映されないのがその疑惑を生じさせる。 飛行機の土産、嘘を知っている人々、「広い畑みたいなところ」、「何とか」、真実を知ってしまったショックが怪我をした子供を突き動かす。 飛行機よりも真実を言って欲しい、一瞬映る川の様子、今度はもう見る事を避けない、逃げない。
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-30 15:48:06)
11.  なまくら刀 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  別名「塙凹内名刀之巻(はなわへこないめいとうのまき)」。 舞台は江戸時代、買ったばかりの刀で試し切りをしようと座頭に後ろから声をかける。それを馬が脚蹴を食らわすように侍を蹴り飛ばす。 飛び散る☆といった表現。表情の変化も豊かだ。  この後も侍は散々な目に遭い、肝心の刀も実は・・・という見事なオチ。  90年以上前の日本で、既にこれほど豊かな表現に満ちたアニメが生まれていた事に感動した。
[映画館(邦画)] 8点(2015-06-10 18:27:07)
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