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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1275
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  日本で一番悪い奴ら 《ネタバレ》 
綾野剛がとにかく素晴らしく、日本映画界にはこれだけ出来る役者がいるのかと驚かされました。脳筋風からチンピラ風、大物ヤクザ風、しがないおじさん風と絶え間なく姿を変えながらも、純粋無垢な彼の根本部分は常に同一であるということを見事に表現できています。また、笑わせる間の取り方のうまいこと。中村獅童演じる黒岩とのファーストコンタクト。詫びに来いと言われ内心はビクビクしながらヤクザの事務所に入り、案の定、黒岩に怒鳴られて困った諸星。何やら口をもにょもにょ動かし始めて何をするのかと思いきや、次の瞬間「かー、ぺっ」と痰を吐き、黒岩に負けじとあることないこと大声で叫び始める場面には涙が出るほど笑わされました。それに続き、黒「お前が気に入った!この鮫エキス食ってみろ!」、諸「おお!(瓶一本分の鮫エキスを全部口に入れる)」、諸「まずい!」、黒「そうだろ!全然売れねぇんだ!」。まったく理解不能ですが、初対面でさっきまで対立していた二人が、次の瞬間にはとても気が合うベストパートナーになったということが一発で分かる見事な掛け合いでした。 演出のテンションも絶好調。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『グッドフェローズ』などのスコセッシ作品とよく似た作風となっているのですが、本家スコセッシと比較しても遜色ないほどのエネルギーに溢れており、やや長めの上映時間中にもダレ場は一切なし。その絶倫ぶりには恐れ入りました。 気になったのはタイトルであり、「日本で一番悪い奴」ではなく「日本で一番悪い奴”ら”」なんですね。複数形。すなわちこのタイトルは諸星ではなく、諸星に不正をやらせていた北海道警を指したものだと考えられます。ものすごく間違った成果至上主義が敷かれており、「俺のだぁ!」と言いながら犯人を刑事同士で取り合う、拳銃の押収件数を増やしたいのでヤクザから拳銃を買ってくる、それでもノルマを達成できなければロシアにまで銃を買いに行かせる、さらには拳銃の密輸ルートを作るなど、そもそも論を無視した行為を組織ぐるみでやっているのです。上司:「諸星、今月の数字何とかならんか?」、諸星「はい、何丁か買ってきます」、こんなやりとりをしているのです。これには驚かされましたが、本作は諸星のモチーフとなった稲葉圭昭氏自身による著作を原作としており、かつ、捜査や裁判過程でその内容の一部は裏づけられていることから、これは実際にあった話。さすがに驚きました。しかも諸星に指示を出していた上層部はお咎めを受けておらず、それどころか出世した人間までいるようであり、まさに「日本で一番悪い奴ら」。こんな面白い話をなぜ他のクリエイター達やジャーナリストは放置してきたのだろうかと不思議になったほどです。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2017-01-14 15:50:17)
2.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 
太平洋戦争を描いた戦争映画として見ると不満が出るようですが、政治劇としてこれを見ると、なかなかの完成度で満足させられます。本物志向のセット、質の高い演技、時系列に沿って丁寧にまとめられた脚本と、映画としてよくできているのです。本物志向すぎて一部よく分からないセリフがあり、私はブルーレイで日本語字幕を表示しての鑑賞としたのですが、そのような難解なセリフは本編における重要性の低い部分に集まっており、肝心な部分でははっきりと聞き取れる言葉が選択されているという配慮もありました。実に丁寧に作られた作品なのです。 本編中、もっとも感情的となるであろう阿南の自害場面においても大袈裟な音楽などは流さず、また、その死に際して部下にも家族にも感傷的なことを言わせず、全員が涙も流さずに死を受けいれた辺りに、本作の姿勢がよく表れています。戦争もの、特に太平洋戦争を扱った作品では情緒を全面に出したものが多い邦画界において、ここまで淡々と事実(と思われる事項)の描写に特化した作品は稀少であり、その点は非常に高く評価できます。 結論は明らかであるが、実行者がいない。本作は意思決定のプロセスを描いた映画でもあります。満身創痍の海軍は一刻も早い終戦を望むが、一方で本土決戦用に温存されていた一部の陸軍将校達は、自分たちだけが無傷であることへの負い目もあってか、本土決戦を主張します。しかし、本土決戦をやったところで戦況は好転せず死者が増えるだけであることは誰の目にも明らかであり、こうした一部の過激派の暴発を抑えながら、どうやってあるべき結論にまで辿りつくかが作品の焦点となります。毎日大勢の死者が出ている中で、意思決定機関は何を悠長なことをやって時間をムダにしていたんだと虚しくなりますが、日本人の国民性って、結構こんなもんだったりします。冷静な判断が必要な局面に限って、精神論を唱える一部のグループの意見が優先され、あるべき結論が遠のいていく。仕事で自分自身が出席している会議等に置き換えて本作を鑑賞すると、果たして自分は鈴木貫太郎や阿南惟幾のような立場をとれるだろうかと不安になります。 以上、基本的にはよくできた作品なのですが、不満を挙げるならば、陸軍将校によるクーデターの経過が分かりづらかったという点でしょうか。陸軍将校達は首都圏に所在している様々な軍にクーデターへの参加を求めますが、軍同士の力関係や、それぞれの組織が誰に意思決定を支配されているのかという説明、陸軍将校達がどの軍を味方に引き入れればクーデターの目的が達成されるのかといった成功ラインの提示がなかったため、ラスト30分は劇中で何が起こっているのかを掴み損ねました。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2016-01-12 20:21:36)
3.  21グラム 《ネタバレ》 
原因と結論がバラバラに切り離され、何が起こっているのか分からない前半部分の引きの強さは素晴らしいと感じました。特に私は一切の予備知識なしで鑑賞したため(心臓移植の話だということすら知らずに見ました)、一見すると無関係な登場人物達のドラマがどうやって収斂していくのかも分からず、このパートは食い入るように見ていられるほどの面白さがありました。観客の興味を引くように、かつ、その理解力と記憶力をギリギリ超えないように調整された情報量、このサジ加減が本当に絶妙であり、この監督はタダモノではないということがよくわかりました。。。 しかし問題は、ドラマの全体像が掴めた途端に映画がつまらなくなってしまうということ。ドラマの核心部分は意外と雑で、各登場人物の行動原理がよく分からないのです。心臓移植により生きる道を得たポールが、なぜジャックへの制裁に固執したのか?他人の不幸を糧にして自分が生きながらえたということへの後ろめたさ故なのか、それともクリスティーナへの愛が高じたものなのか。いずれにしても、一度は命を失いかけて生の有り難みを実感した者とは思えないほどの軽率さで、感情移入のしようがありませんでした。ジャックはジャックで、信仰の力によって犯罪者から家庭人へと生まれ変わった彼が、不幸な事故によって信仰への疑念を抱くようになる。この構図自体は興味深いのですが、彼が信仰というものに対して下した結論部分はすっ飛ばされてしまうため、結局のところ、彼が何を考えているのかがよくわかりません。さらには、クリスティーナがポールに対して抱く複雑な感情もうまく表現されていないため、二人が深い関係になるという点にも少なからず違和感を覚えました。。。 映画全体を振り替えると、この主題にこれだけ複雑な構成を加えること自体に意味があったのかが疑問です。監督の次回作『バベル』にも言えることなのですが、本来は大したことのない話を、抜群の構成力で誤魔化しているだけのような気がします。なまじ見てくれが良くて期待を煽るだけに、見終わった後の脱力感も大きく感じられます。
[DVD(吹替)] 4点(2014-09-17 00:33:51)
4.  ニューヨーク1997
ジョン・カーペンターの才能のひとつとして、大きなバックグラウンドを持った小さな物語を描くことが抜群に巧いという点が挙げられます。『遊星からの物体X』も『パラダイム』も『ゼイリブ』もそう、彼がインディーズ出身でありながら息の長いキャリアを形成できたのは、物語にハッタリを利かせる能力がズバ抜けて高く、予算の少なさを演出力で補うことで大作に負けないボリュームを持つ娯楽作を撮ることができたためだと思います(逆に、潤沢な資金を与えられると迷走してしまうのが御大の悲しいところ)。本作についてもその才能は活かされており、荒唐無稽な設定を観客に受け入れさせることに見事成功しています。また、スネーク・プリスケンのかっこよさも悶絶級であり、舞台・ヒーローともによく作りこまれた理想的なB級映画として仕上がっています。さらには、ホラー映画界に長くいた経験からかショック演出もお手のもので、物陰から何が飛び出してくるか分からないという緊張感が前半パートを大いに盛り上げています。。。 ただし、本作についてはカーペンターの悪いところもドバっと出ています。タイムリミットサスペンスとしても、ミッションもののアクションとしても洗練されておらず、畳み掛けるべき後半パートが妙にチンタラしているのです。犯罪者の巣窟と化したNYの恐ろしさも、伝説的アウトロー・スネーク・プリスケンの魅力も、ネタふりこそ上々だったが肝心の本編にはうまく活かせておらず、結局は雰囲気ものの域を出ていないという点が残念でした。監督自身による安っぽいテーマ曲も活劇の勢いを削ぐという方向で機能しており、せめて音楽だけでも他人に任せて欲しいと思いました。。。 なお、本作の続編でありリメイクである『エスケープ・フロム・LA』は、個人的にはとっても大事にしたい傑作として仕上がっています。カーペンターが自身の弱点を認識したのか、アクションの勢いやスリルを追い求めるという方向性を完全に切り捨て、キャラものに特化したことで、スネークのかっこよさだけで100分を楽しめてしまう映画として仕上がっているのです。
[DVD(字幕)] 6点(2013-12-28 01:50:42)
5.  ニュースの天才 《ネタバレ》 
面白かったです。この題材であれば「ジャーナリズムとは何ぞや」を説く小難しい社会派映画になるのだろうと思っていたのですが、そんな予想に反し、本編は部下との信頼関係を作り損ねた上司の物語という普遍的な切り口で作られていたため、非常に感情移入して観ることができました。。。 コミュニケーション不足が原因で一方的に嫌っていた上司が、実は自分を守るために陰で戦ってくれていたということは、社会人をやっていると一度は経験するものです。本作でピーター・サースガードが演じる編集長は、就任のタイミングのマズさや淡々とした仕事ぶりから「人情派の前編集長を蹴落とした冷徹な新編集長」と勘違いされ、現場からの総スカンを喰らいます。しかし、記事の捏造をした部下が他社の追跡取材によって丸裸にされそうになった時、その部下の将来をもっとも案じ、最善の着地点を探そうと奔走したのは彼でした。もし、上司と部下との間に信頼関係が築けていれば、困った時に泣きついていける間柄であれば、外圧よりも先に対応策を打って傷を最小限に出来たかもしれなかったのですが、悲しいかなこの部下は最後まで上司を信用せず、嘘を嘘で隠そうとするうちに時間切れを迎えます。自分に係る誤解を早期に解き、良好な職場環境を作る努力を怠った編集長にも問題があるのですが、そうとは切って捨てられない難しさがあるのも確か。これは多くの組織に存在する問題であり、それを突いたという点で、この企画は非常に鋭いと感じました。。。 ヘイデン・クリステンセンは『スター・ウォーズ』に続き、何でも上司のせいにする青二才を熱演しています。人当たりは良いのだが、点数稼ぎとも受け取れる小手先の親切ばかりでホンネが見えてこないヤツ、こういう人っていますよね。人を騙して利益を得てやろうという意思があるわけでもないのに、まったく必要のないウソをつくヤツ、こういう人もいますよね。主人公を特殊な人格ではなく、誰にでも心当たりのある人物像に設定した点でも、この脚本は巧いと感じました。この主人公にあったのは虚栄心でも功名心でもなく、コミュニケーションの手段として自然についてきたウソが、いつの間にか巨大化して収拾がつかなくなってしまったという程度のものなのです。社会派映画を期待して本作を鑑賞された方にとってはガックリきた結論かもしれませんが、私は事実の一側面を的確に切り取っていると感じました。
[DVD(吹替)] 8点(2013-03-05 01:10:29)(良:2票)
6.  26世紀青年
『MIB3』が奇跡的な仕上がりだったことから同作の脚本家であるイータン・コーエンに関心を持ち、TSUTAYAの棚に埋もれかけていた本作に辿り着きました。本国においては完成後1年も塩漬けにされた挙句にロクな宣伝もなく捨てるように限定公開され、日本に至っては劇場公開すらなくひっそりとDVDリリース。さらには悪名高きフォックスジャパンによって安っぽい邦題を付けられるというあまりに不遇な扱いを受けた本作ですが、内容は非常にしっかりしていて驚きました。下品なギャグで息ができなくなるほど笑える一方で、その基礎はしっかりとした知性によって支えられているという、理想的なコメディ映画となっているのです。本作が興行的に惨敗したにも関わらず、コーエンは直後に『トロピック・サンダー』の脚本家に抜擢されるという異例の大出世を果たしましたが、確かにこれは評価されて当然の仕事だったと思います。。。 バカしか生き残っていない未来というアホな話なのですが、結婚や育児に慎重すぎるインテリ層が必然的に人数を減らし、一方で無計画にボコボコと子供を作りまくるDQN層が多数派をとり、結果として上記の社会が出来上がったという設定には大いに納得させられました。この映画、細部に至るまで手抜きがなく、とにかくよく考えられています。未来のアメリカでは白人が減って有色人種ばかりになっていたり、アホな政府が金融政策を行ったためにハイパーインフレとなっていたりと、バカバカしい設定をうまく現実世界とリンクさせているのです。愚かな娯楽と扇情的な報道によって国民を総白痴化させるメディアと、そんなメディアが垂れ流す情報を鵜呑みにする国民という関係も現実世界を映し出したものであり、社会のために尽力したはずの主人公が、目先の結果のみを求めるメディアと国民からの猛バッシングを受け権力の座から引きずり降ろされるという展開などは、我が国でも思い当たるフシがあります。バカバカしい電解質問答にしても、電解質をコラーゲンやヒアルロン酸に置き換えれば、身につまされる方も多いのではないでしょうか(ありがたがって服用されている方が多くいますが、どちらも経口摂取ではほとんど意味がありません。念のため追記)。「もっと自分の頭で考えろ」、非常にシンプルなメッセージですが、多くの社会で切実に当てはまる問題だと言えます。
[DVD(吹替)] 9点(2013-01-21 01:21:04)
7.  ニクソン
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』に『フロスト×ニクソン』、果ては『ウォッチメン』に至るまで、アメリカ人にとってニクソンとは気になって気になって仕方のない特別な政治家であるようですが、そんな数あるニクソンものの中でも本作は決定版とも言える堂々たる仕上がりとなっています。3時間超えという上映時間にも関わらず一瞬たりともダレることはなく、ムダな場面、ムダなセリフは一切なし。大変に見応えのある作品でした。。。 本作で意外に感じたのは、ハリウッドきってのリベラリストであるストーンが、ニクソンに対して非常に同情的な目を向けているという点です。金なしコネなし学歴なし(ハーバード大には合格していたものの、実家が貧しく東部で下宿する費用を捻出できなかったため、仕方なく地元の大学に進学した)の状態から人並み外れた努力によって大統領にまで登り詰めたものの、マスコミから嫌われたために国全体から悪意を向けられ続け、最終的には唾を吐かれながら大統領の座を失った悲しい男の物語として本作は製作されています。政治面では並みの大統領数人分に匹敵する実績を残したにも関わらず、その功績はほとんど評価されず、外交面での目覚ましい成果に至っては部下だったキッシンジャーの手柄にされてしまったという彼のあんまりな人生が、かなりフェアな目線で描かれているのです。ベトナムから撤退した際に「国民やマスコミが望んだ通りにしたのに、なぜ俺が叩かれるんだ」と嘆いた場面などは、特に気の毒に感じました。本作を観れば、ニクソンに対する評価が大きく変わるはずです。。。 一方で問題に感じたのは、客層があまりに限定されすぎているという点です。60年代から70年代のアメリカ社会や世界情勢についての知識を持っていることは当然、ウォーターゲート事件に至っては、リアルタイムで事件を見ていた世代でなければわからない程の不親切な描写となっており、80年代以降に生まれた私のような世代にとっては、かなり厳しい内容となっています。誰でも理解できるように作られていた『JFK』と比較すると、ちょいと不親切過ぎではないでしょうか。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-17 01:57:16)
8.  ニュートン・ボーイズ
登場人物に魅力がないし、目を見張るような見せ場もない。本作は完全な失敗作だと思います。才能あるリチャード・リンクレーターが監督を引き受けながら、メジャースタジオとの初仕事にあたってその個性を封印し、普通の映画作りをしたことが敗因だったと思います。それなりのキャストは揃っていたのだから、監督が腹を据えていればそれなりの映画にはなったはずです。
[DVD(吹替)] 3点(2012-06-10 02:22:52)(良:1票)
9.  2012(2009) 《ネタバレ》 
21世紀のジョン・ギラーミンことローランド・エメリッヒが放つ、映画史に残る大バカ超大作でした。これまでもエメさんは大風呂敷広げまくりのバカ映画を作ってきましたが、今回はバカの度合いが桁外れ。合衆国大統領が娘にまで隠している国家機密を、なぜかド田舎でDJやってるキ○ガイが事細かに知っているという不思議。超極秘とされている箱舟建造場所まで知っているのはナゼなんだ。その箱舟は全長が数キロにも及ぶ巨大船であるにも関わらず、工具がたったひとつ挟まっただけで動かなくなるというハリボテ仕様。「ドアが完全に閉じないとエンジンが動かない」って、一体どんな設計してるんだ(笑)。主人公は自分達が助かりさえすれば良いと思っている超絶ワガママ人間で、眼下で数千万の人間が死んでいても冗談を言えるタフな心を持っています。彼らが乗る巨大輸送機を使えば数百人の命を救えたにも関わらず、10人程度の身内・知り合いだけを乗せて火事場から飛び立つという倫理観の欠落ぶりには呆れました。合衆国大統領、輸送機のパイロットら、勇気を出して自己犠牲を買って出た人間は必ず死ぬという暴虐ぶりで、生き残った人間達はその自己犠牲について省みることもなく「俺が俺が」と言い続ける有様。ラストでは、家族の絆を取り戻したんで邪魔になってきた再婚相手が、実に調度良いタイミングで死んでくれるというハイパーご都合主義が炸裂します。生き残ったファミリーは、彼らの生存のためにあれこれ頑張ってくれた再婚相手のことを微塵も思い出すことなく、「俺ら生き残って良かったよねぇ」と新天地への希望を膨らませるのでした。。。なんだこの映画は(笑)。もしこれらすべてが計算のうちで、アメリカ人の貪欲さを描く壮大なブラックコメディであったとしたら、この映画は世紀の大傑作であると思います。ただし、ヘルムズリー博士がたまに英雄的な行動をとったり、家族愛で泣かせようとするくだりがいくつか挿入されている点から判断すると、エメさんはこの映画を大真面目に作ってるっぽいんですよね。その頓珍漢ぶりがなんともカックンなのですが、映画史上最大の破壊が繰り広げられる前半の素晴らしさに免じて5点とします。
[DVD(吹替)] 5点(2011-12-06 20:20:06)(笑:2票)
10.  ニンジャ・アサシン
「こんなに楽しめるクソ映画は久しぶり!」というのが率直な感想です。殺人マシーンが人間性に目覚めて組織を裏切るという凡庸な題材をとり、さらには脚本に何の捻りもないため話は全然面白くありません。主人公の生い立ちが描かれる前半のつまらなさには筆舌に難いものがあり、見るのが苦痛で仕方ないほどでした。しかしこの映画、中盤の大乱闘から突如息を吹き返します。ライブアクションとCGを巧みに使い分けたカッコいい見せ場の連続には目が釘付けになりました。ニンジャ軍団がベラボーに強いことにも燃えましたとも。前半では脚本を追うだけだった演出も中盤以降はノリノリで、主人公が武器を鎖鎌から日本刀に持ち換えた瞬間に音楽が変わり、スピーディな早回しからスローモーションに転換する場面には、あまりのカッコよさに鳥肌が立ちました。完全武装の特殊部隊vsニンジャ軍団という世界中の男子が妄想した見せ場もばっちりモノにしており、ハリウッド製ニンジャ映画に求められるものはきちんと詰め込まれています。高いレイティングにも関わらず北米だけで製作費の元をとるほどのヒットになったのも、男の子が喜ぶものを漏れなく詰め込んだおかげでしょう。主演のRainも素晴らしい熱演を披露しています。ニンジャ映画の主演に韓国人俳優が起用されたことには不満もあったのですが、本編を見ればこのキャスティングに納得できます。これほどのアクションをこなせて、おまけに英語を話せる若手俳優は、残念ながら今の日本では見当たらないのです。また、Rainはイケメンではないものの不思議な色気が漂っている点でもミステリアスな主人公にふさわしい空気を持っていました。こちらもまた、薄味のイケメンが多い日本芸能界にはない魅力です。
[DVD(吹替)] 7点(2011-09-24 20:16:36)(良:2票)
11.  28日後... 《ネタバレ》 
ボイル&ガーランドは超凡作「ザ・ビーチ」のコンビだったので不安があったのですが、本作は見違えるような素晴らしい仕上がりとなっています。終末ものの映画としては、傑作に加えてもよいほど。本作はロメロによるゾンビサーガを忠実に作り直したものなのですが、そのロメロ愛は非常に深く、本家の正式リメイクである「ドーン・オブ・ザ・デッド」やロメロ自身による続編「ランド・オブ・ザ・デッド」以上にサーガに近い仕上がりとなっています。。。本作が他のゾンビ映画よりも決定的に優れていること、それは破滅後の世界を徹底的に構築したことにあります。ロメロはゾンビを通して人間社会を描こうとしていましたが、78年の「ゾンビ」以降に製作された多数のエピゴーネンは同作の強烈なスプラッターのみに注目し、ロメロが重視していた社会性は引き継がれていませんでした。しかし唯一本作だけは、「世界がメチャクチャになった後、その中に取り残された人々はどう生きるのか?」「社会という枷が外された時、人間性はどのような形で残るのか?」というテーマを中心に据えています。破滅後の世界に生きる人々の生活は理詰めで考えられていて大いに説得力があり、そうやって世界観が丹念に作られているからこそ、その上のドラマも活きてきます。下劣な軍隊と主人公達との殺し合いがはじまる後半は見ていて気持ちの良いものではないし、またこの展開については「人間同士の殺し合いになったんじゃ、ゾンビが関係なくなるじゃないか」という批判もありますが、剥き出しになった欲望の衝突こそがロメロゾンビの真髄。これをクライマックスに持ってきたダニー・ボイルは、よく分かっている男なのです。。。さらに、本作はビジュアル面でも見どころの多い作品となっています。ダニー・ボイルはロメロよりも引き出しの多い監督なので、映像的にはオリジナルよりも本作の方が勝っています。無人となったロンドンの描写は絶望感と開放感の両方を味わわせるし、ゾンビに襲われる場面での恐怖演出も見事なものです。走るゾンビは本作が初登場となりますが、監督のビジュアルセンスに支えられてこれがインパクト大。並みの監督が撮っていれば、「これのどこがゾンビなんだよ。どう見ても人間だろ」と思われたところですが、これをきちんと「かつて人間であったが、今は人間ではないもの」として描写できています。
[映画館(字幕)] 8点(2010-09-11 16:23:44)(良:1票)
12.  2010年 《ネタバレ》 
これはすごいです。誰がやっても文句の付く企画を本当に引き受けてしまったという、ピーター・ハイアムズの根性が。絶対に危ない企画とあってはスタッフも及び腰で、結果ハイアムズは製作・撮影・脚本・監督のなんと4役もやってしまっています。なぜここまで入れ込んだのでしょうか?「2001年宇宙の旅」のレビューでキューブリックは根性の据わったクリエイターだと評価しましたが、こっちはこっちですごい根性だと思います。まず間違いなく飛んでくるであろう評論家からの批判や、偉大なるキューブリック先輩の怒る顔が怖くなかったんでしょうか。作品のアプローチにしても、前作のやり方を完全に無視してやりたい放題。この方針変更はエイリアン1→2をも超えています。徹底して言葉を使わず映像で見せることにこだわり抜いた前作から一転、本作はしゃべるしゃべる。異様なまでに説明的なセリフの上にさらにナレーションまで加わり、すべてのことをご丁寧に説明してくれます。しまいにはモノリスもメッセージをくれます。しかもその内容が「人類はケンカせずに仲良くしなさいよ。土星に弟も出来たんだし」。さすがにこれには腰が砕けそうになりました。モノリスは人智を超えた存在じゃないといけないだろと。米ソのケンカにコメントしてどうすんだと。さらに驚いたのがボーマンの扱いで、前作のテーマは人類の進化であり、彼が人類のあらたな段階へ到達したことで映画は終わりました。しかし今回登場するボーマンは完全に幽霊扱い。進化した人類ではなく、デミ・ムーアにお節介を焼きたがるパトリック・スウェイジみたいになってます。スターチャイルドは一瞬しか登場せず、基本的には進化前の格好でうろうろします。地球に残した奥さんやお母さんにも会いに行ってしまいます。宇宙の誕生から現在に至る歴史をモノリスに教わり、既存の人類を超越した存在へと生まれ変わった前作の後半は一体何だったんでしょうか?HAL9000ともあっさり和解し、レオノフ号のクルーの安全を確認すると「じゃ、俺は天国に帰るわ」と言わんばかりの爽やかさで退場。他にも、前作が大事にしていた科学考証を台無しにしてしまったり(宇宙空間で音が…)、滅多にないほど無神経な映画でした。最初と最後に流れる「ツァラトゥストラはかく語りき」すら前作への冒涜に感じさせてしまうのですから。
[DVD(字幕)] 1点(2009-09-28 00:47:17)(良:1票)
13.  ニューオーリンズ・トライアル 《ネタバレ》 
知的なのだけど分かりやすく、言葉のやりとりにアクション映画のようなキレがあり、また観客が集中力を維持できる程度に上映時間が抑えられていたりと、レベルの高い娯楽作となっています。ほんの僅かな登場ながら銃撃の被害者となった証券マンに感情移入させたり、それなりに人数のいる陪審員たちの個性や背景を短時間で描いていたり、多くの思惑が絡む話ながら交通整理がうまくなされています。法廷サスペンスという括りながら、フィッチのチームが活動する際にはブラッカイマー作品のような編集がなされていて、これにより単調になりかねない法廷ものののビジュアルが面白いものとなっています。残念なのはキューザックの家が荒されるなど直接的な暴力が描かれた点で、百戦錬磨の法律家が捕まったらおしまいの愚かな戦い方はしないでしょう。また、ダスティン・ホフマンの助手や盲目の陪審員など、せっかくの前振りはあったのに本筋に絡まない登場人物が多く存在することも残念でした。上映時間を抑えるために割愛されたのでしょうが、動かせば面白くなりそうなキャラもいただけに、余計なアクションを入れるくらいならこちらに時間を割くべきでした。極端なフィクションとはいえ、この映画を見るとアメリカの裁判制度はガタガタであることを実感します。裁判とは、審議している案件が法律に違反するか否かを吟味する場であるはずなのに、どのような嗜好を持った陪審員が選ばれるか、口のうまい弁護士やフィクサーがこの陪審員をどう誘導するかで結論が変わってしまうのは裁判と言えるのか。銃メーカーが悪い、タバコメーカーが悪いと、善意ある商売とは言えなくとも、ともかく法律に違反しているわけではない企業を訴える消費者がいて、時にバカな訴訟にも付き合う弁護士がいて、彼らの要求する法外な賠償金を認める法廷がある。銃が簡単に手に入る社会を容認してきた国民側の責任はないのか、体に悪いことを知りながら喫煙をやめない自分に責任はないのか、そのような当然の理屈をすっ飛ばし、「かわいそうな被害者がいるから」で陪審員の同情を買って合法的な企業が悪者にされるおそれがあります。となると企業側が過剰な自己防衛に走り、フィッチのような人物が現れるのも理解できます。そして彼らが裁判に勝つため汚い手を使い、本当に裁きの必要な案件まで握りつぶしてしまうという悪循環が発生し、評決は金で買うものとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2009-07-04 09:48:43)(良:1票)
14.  日本沈没(2006)
炎に囲まれ絶対絶命の少女、草彅剛は間に合わない!ああ、もうダメなのか。その瞬間、炎の中からレスキューヘリが飛来、ロープにぶら下がった柴崎コウが危機一髪で少女を救助!…この冒頭で「この映画はダメだ」と覚悟を決めました。これは恐ろしくセンスのない人たちが作った映画だなと。本作のようなシュミレーション映画には、何でもできるスーパーマンは絶対に出てきてはいけないはず。そんな人物が出てきた途端に日本沈没の危機感が大きく失われてしまうのに、ド頭でこれをやってくるのは相当なもの。最後まで見ましたが、冒頭で感じた予感は残念ながら的中しました。それなりに見せ場があるにも関わらず、2時間をここまで退屈にさせるのは凄いことです。この映画は企画意図そのものに問題があったのではないでしょうか。CGでそれなりの映像を作れるようになったし、若い客が喜ぶデカイ企画をやろう。女性ウケは大事だから、アイドルの恋愛要素は必須で。往年の作品のリメイクなら中高年の動員も見込める。そんな足し算の論理で考えられた企画のように思います。しかし出来上がった映画は、結果的に引き算の積み重ねになっているのが面白いところ。シミュレーション映画としての完成度を追えばある程度のグロテスクな展開や描写は避けられないし(惨い場面をひとつも入れずに危機感を煽ることのできる監督は日本にはいません)、恋愛要素を描ききろうとすればアクションのテンポを奪ってしまうし、年齢層の高い客層は知的好奇心を満足させる内容でなければ退屈します。しかし方向性を決めずにすべてのターゲットを狙いにいった結果、作品の質を決定する要素をすべて切ってしまっているのです。何味にするのか考えず、とりあえず喜ばれそうな食材だけ放り込んだ料理。砂糖も塩も入れてないので物凄くマズくなってます。こういう映画はよろしくないですね。あらゆる層にアピールしてとりあえず映画館に来てもらうけど、関心があるのは入場料払うまで。映画館に来たお客さんを入場料分きっちり楽しませることの努力は特にしていないという。最近では大コケする邦画も出てきていますが、それは本作などが適当な商売した結果、観客が学習した結果だと思います。1点は本作で唯一プロの仕事をしていた特撮パートに。さすがは大量破壊描写について世界随一の伝統を持つ日本特撮界だけあって、対費用効果ではハリウッドより良い仕事してます。
[DVD(邦画)] 1点(2008-06-29 06:27:43)(良:2票)
15.  ニック・オブ・タイム 《ネタバレ》 
なんとなく面白い映画でした。劇場で見ればいろいろと不満も出るでしょうけど、日曜洋画劇場なら「昨日のあれ見た?」って話題になった映画だと思います。みなさんが指摘する「自分で殺せよ」問題ですが、クリストファー・ウォーケンの目的はあくまでジョニー・デップを暗殺犯に仕立て上げることであって、本当に殺すことは期待していなかったように思います。その証拠に、クライマックスではウォーケン本人が銃をかまえてたでしょ。殺しはウォーケンが確実に行い、その罪をデップに着せるハラだったと考えられます。それでもウォーケン軍団のヌルさ加減はヒドイものでしたけど。「ここで撃て」ではなく「1時半までに殺せ」ですからね。そんなアバウトな命令があるかって思いました。そんな中、何度か巡ってくるチャンスに発砲を躊躇するデップ、「お前、さっきチャンスだったじゃねぇか」と怒るウォーケン。「勇気出して告白しろよ」「でもまだ決心がつかないよ」って校門の前で揉める男子中学生じゃないんだから。そしてラスト、なにがなんでもデップの娘を殺そうとするウォーケンさんたちですが、暗殺が失敗した今となってはそんなことはまったく重要ではないと思うんですけど。そんな感じでツッコミどころ満載ですが、90分に満たない上映時間のおかげできちんと緊迫感を維持できていたと思います。これは一風変わったワンアイデアと、それをギリギリ維持できるラインの中でうまく引き上げた構成の勝利ですね。
6点(2004-09-06 00:39:19)(笑:1票) (良:1票)
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