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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1882
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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21.  ハッピーボイス・キラー 《ネタバレ》 
地方の小さな工場で整備士として働く冴えない青年、ジェリー。独り身で古いアパートに独り暮らしをしている彼には、ある秘密があった。それは過去に起こった悲惨な出来事のせいで、精神科医が処方してくれた薬を呑まないとある〝声〟が聞こえてきてしまうこと。だが、長く続く孤独な生活に耐えられなくなった彼は、いつしか薬を呑むのを止めてしまうのだった――。その日を境に何故か突然しゃべり始めたペットの犬や猫とともに、それなりに楽しい生活を過ごしていたジェリー。やがて彼は、自らが想いを寄せる同僚の女性をひょんなことから殺してしまい、その死体をアパートへと持ち帰って来る。追い詰められた彼は死体をバラバラに解体して捨てると、残った生首だけを冷蔵庫へと仕舞いこむ。しばらくすると、冷蔵庫の中から死んだはずの彼女の生首がジェリーに話し掛けてくるのだった。そうして始まった、一人と二匹と一首の奇妙な共同生活。やがて、ひまを持て余した生首が友達が欲しいと言いはじめ……。キケンな妄想に囚われたある一人のシリアルキラーのおかしな生活をコメディタッチで綴ったサイコ・サスペンス。主演を務めるのは、今を時めく人気若手俳優、ライアン・レイノルズやアナ・ケンドリック。まあやりたいことは分かるんですけど、僕は最後までさっぱり嵌まれませんでした、これ。いや、アイデアは凄く良いと思うんですよ。自分にだけ話し掛けてくる犬や猫、そして自分が殺した女の生首と暮らす主人公なんてなんともブラックでシニカル。そんなぶっ飛びまくりの設定なのに、残酷さを微塵も感じさせないのはこの監督のポップでラディカルなセンスのなせる技なのでしょう。ただ敢えて苦言を呈してもらうと、そこで描かれるエピソードの数々がなんとも凡庸なのです。こういう荒唐無稽な設定なら、それを活かすためのさらにぶっ飛んだネタの数々を用意しないとダメでしょう。犬や猫もただ喋ってるだけでなんとも魅力に乏しい。こいつらと生首が言い争いやらどんちゃん騒ぎやらで主人公が追い詰められ、どんどん暴走しちゃうみたいな内容を期待していた自分としてはなんとも肩透かし。これでは、コメデイとしてもサイコ・スリラーとしても中途半端と言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 4点(2020-08-03 02:35:40)
22.  ハーフネルソン 《ネタバレ》 
地方の中学校に歴史教師として勤務している、ダン・デューン。若くてイケメンでお洒落で、しかも授業内容も楽しく生徒の面倒見もいい彼は、クラスの誰からも慕われていた。だが、彼は誰にも知られていない秘密があった。それは夜な夜なコカインを喫うのを止められないこと――。嫌なことがあると、ダンはどうしても薬に手が伸びてしまうのだ。元カノとのいざこざを抱えたダンは、その日、どうしても我慢できずに学校のトイレでドラッグを喫ってしまい酩酊状態となってしまう。そこに偶然やって来た貧しい母子家庭に育つ女子生徒ドレイに、その姿を見られてしまうのだった。そうして始まった二人の関係。かたやドラッグ中毒の中学教師、かたや麻薬の売人の兄を持つ貧しい女生徒。恋とも友情とも違う二人の淡い関係はやがて……。若き日のライアン・ゴズリングが主演を務めたという本作、これが丁寧な演出の力が光るヒューマン・ドラマの佳品に仕上がっておりました。特にドラマティックな展開があるわけでもなく、最後まで淡々と進んでゆくのですが、これが何故か最後までずっと観ていられたのは彼らの等身大の魅力によるところが大きい。特にライアン・ゴズリングのダメ男っぶりが非常に嵌まっておりました。人当たりも良く生徒からも人気なのに、元カノのことが忘れられず未練たらたらでドラッグを止められない彼。でも今にも犯罪者の仲間入りしそうなドレイのために一肌脱ごうと決意するけれどそれも中途半端な形に……。いやー、こういうダメ男ってよくいますよね~。なんだか他人事とは思えず、見ていて痛々しかったですわ(笑)。対する12歳のドレイも、そんな彼にほのかな恋心?を抱きながらも特にアピールするわけでもない。この二人の微妙な距離感が最後までとても心地良い。やがてコカインのやり過ぎで授業中にしばしば鼻血が出るようになり、教師の職を辞さざるを得なくなるダン。そんな彼とそれまで通りの距離感で接するドレイ。この後、彼らに特別な何かが起こるわけでもない。でも、こうやって誰の人生もだいたい続いてゆく。普通の登場人物たちが織りなす、そんな〝普通〟のドラマがとても切なかったです。うん、なかなかの掘り出し物でした。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2020-08-02 00:31:30)
23.  ハロウィン(2018) 《ネタバレ》 
ハロウィンの夜に人知れずやって来ては人を殺しまくる猟奇殺人鬼〝ブギーマン〟の恐怖を描いたスプラッター・ホラー。B級映画界の巨匠ジョン・カーペンターが制作し、今やカルト的な作品として語られることが多い前作からなんと約40年ぶりに制作され、しかも主要キャストが前作と同じ役を演じていることでも話題となった本作、どんなもんじゃろと今回鑑賞してみました。ちなみに、僕自身はその前作は未見。率直な感想を述べさせてもらうと、まあなんと言うか、アカン映画でしたね、これ。何がアカンかって、まず主役が誰か分からないこと。前作ではヒロインだったジェイミー・リー・カーティスが今やお婆ちゃんとなって、彼女の娘やその孫まで登場するのですが、彼女たち三世代のいったい誰が軸となる主人公なのかが非常に曖昧なのです。なので、誰に感情移入して観ればいいのかさっぱり分からず、最後までなんとも盛り上がらないままダラダラと終わっちゃいました。続編のセオリー通りに作るなら、きっと孫娘がメインとなるはずなのに、完全にこのお婆ちゃんの方のキャラが立ち過ぎなんです。それならそれでこの〝ブギーマン〟が直接対決するのはこのお婆ちゃんであるべきなのに、こいつがなんか無関係の人間をひたすら殺しまくったうえに、何故か孫娘を執拗に追うという一貫性の無さ。要するに、登場人物の誰も彼もに核となる行動原理がない。これでは物語が盛り上がらなくて当然です。肝心の殺人シーンもどれもキレが悪く、センスと言うものが一切感じられません。残念ながら、なんとも退屈な時間を過ごしてしまいました。オリジナルもきっと観ることはないでしょうね。
[DVD(字幕)] 3点(2020-07-19 01:13:04)
24.  バイス 《ネタバレ》 
彼の名は、ディック・チェイニー。共和党ブッシュ政権下で副大統領を務めあげ、911同時多発テロを皮切りに始まったアメリカの対テロ戦争では主導的役割を果たし、いまだ賛否両論渦巻くイラク戦争開戦へと踏み切った男。彼はテロリストを撲滅した偉大な指導者なのか、それとも世界を大混乱へと陥れた稀代の悪徳政治家か。本作は、そんな毀誉褒貶の激しい政治家の半生を実話を基に描いた政治劇だ。特殊メイクや肉体改造を駆使し、実在の政治家をそっくりに演じた俳優陣には、クリスチャン・ベールやスティーブ・カレル、サム・ロックウェルと言った実力派の面々。監督は、難解な政治経済問題を分かりやすく描くことにかけては定評のあるアダム・マッケイ。個人的にこの監督の前作『マネー・ショート』が全く嵌まらなかったのであまり期待せずに今回鑑賞してみたのですが、意外にも今回はばっちり嵌まっちゃいました。僕がこの時代のアメリカの新保守主義、いわゆるネオ・コンと呼ばれる人たちに個人的にとても興味があったというのもあるんでしょうけど、この監督のシニカルな笑いを散りばめた演出が今回は非常に心地よかったです。例えば映画の中盤、政権交代が起こり、中枢から追われた彼らの「その後」をテロップで流した後、エンドロールが始まるという実話を基にした映画にありがちな演出を差し挟むとこ。なかなか皮肉が利いてて思わずニヤついちゃいました。うん、これで本当にドラマが終わったら何の問題もなかったんですけどね(笑)。その後、ブッシュ政権が始まり、911を経てからのイラク戦争へと雪崩れ込む展開は、余りにも無茶苦茶すぎてもはや笑うしかありません。でも、その陰には大量の戦死者やテロの犠牲者が居ると思うと背筋が寒くなりますね。監督はそんな彼をステレオタイプの悪徳政治家へと落とし込むことなく、あくまで家族思いの良きパパであり、どん底から這い上がった立身出世の鑑としても描いてゆく。結果はどうあれ、彼は非常に優秀な政治家であったことは揺らぎのない事実。民主主義の盲点を冷徹に見つめた、非常にフェアなスタンスだと思います。ここらへん、マイケル・ムーアとは全く違いますね。結論。なかなか見応えのある政治ドラマの良品でありました。7点!
[DVD(字幕)] 7点(2020-07-17 20:41:15)
25.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
最先端の医療技術「DCミニ」を使い、患者の夢の中に入り込んで治療を行うサイコセラピスト、パプリカ。ところがある日、その「DCミニ」が何者かによって奪われてしまう。そしてその日から、パプリカを取り巻く現実が歪み始めるのだった。彼女の顧客である刑事、天才科学者の同僚、彼女が所属する精神治療研究所の所長……、彼らの夢の世界がパプリカの現実へとどんどんと侵食し始め――。果たして「DCミニ」を奪ったのは誰なのか?人が見る夢をモチーフに、現実と空想との境界を行き来するサイコセラピストを描いたシュルレアリスムなアニメーション。僕のこよなく愛するクリストファー・ノーランの傑作『インセプション』に少なからぬ影響を与えたというのを聞いて今回鑑賞してみました。率直な感想を述べさせてもらうと、僕は全く合わなかったですね、これ。エキセントリックな世界観や想像力の極北を行く驚異の映像技術などは確かに凄いとは思うんですけど、肝心のストーリーの方がさっぱり嵌まれませんでした。すんごく独り善がりで観客に対して不親切すぎじゃないですか、これ。「分かる人にだけ分かってもらえればいいんだよ」みたいな唯我独尊ぶりに、見れば見るほど僕の心は離れてゆくばかり。映像も随所にかなりグロテスクなシーンがあったのも観ていて気持ちのいいもんじゃないですし、だいたい今観るとちょっと古臭い感じがするのは僕だけ?そう思うとやはり『インセプション』って偉大だなぁなんて再確認しちゃいました。
[インターネット(邦画)] 4点(2020-07-04 02:14:31)
26.  ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから 《ネタバレ》 
幼いころ、父とともに移民としてアメリカへやって来た17歳の女子高生、エリー・チュウ。貧しいながらも明晰な頭脳を持つ彼女は、クラスメイトの課題や宿題を代筆することで苦しい生活費の足しにしていた。そんなある日、エリーはアメフト部に所属する同級生のポールからある依頼を受ける。なんと彼が恋焦がれている女の子へのラブレターを代筆してほしいと言うのだ。「バカじゃないの!思いを伝えたいなら自分で書くべきよ」――。そう断ったエリーだったが、今月の生活費がピンチだということもあり、渋々引き受けることに。相手のことを調べ、彼女の気を惹くような手紙を書き上げたエリー。すぐにフラれると思っていたエリーだったが、思いがけず相手から返信が届くのだった。こうなったらとことんやってやる。ポールのふりをして何度も彼女とやり取りを重ねる中、エリーは自らの隠された思いに気付いてゆく……。お堅い地味系女子が、ろくに喋ったこともない女の子と恋文を交わすことで本当の自分を受け入れてゆく姿を瑞々しく描いた青春ラブストーリー。SNS全盛のこの現代に、まさかこんな古風な設定のラブストーリーが制作されるとは!でも、これが逆に新鮮でしかも意外に違和感なく最後まで観てられましたね。主人公が相手を代筆で落とすために手紙一辺倒ではなく、ちゃんとスマホやSNSも駆使しているところがミソ。この古風と最先端の使い分けが非常に絶妙で、しかもこの監督のポップな映像センスとも相俟ってなかなかキュートなお話になってたんじゃないでしょうか。例えば、ポールと相手の女の子が何とかデートへとこぎ着けるシーン。緊張していつまでも打ち解けられない二人を見かねた主人公が、お互いとそれぞれのスマホで連絡を取り合うなんて、ネタ自体はありがちなのに見せ方がすんごく新しい。ここらへん、監督のセンスが炸裂しています。そして、普通のベタな恋愛ものなら、この恋を成就させるために頑張っていた主人公と男の子がそのうち両想いになっちゃうみたいな展開になるんだろうけど、本作は違います。「え、まさかのそっち?」という意外な展開を見せるのも現代的で大変グッド。ラストが幾分か腰砕けちゃったところがいささか残念だったけど、アナログとデジタルを使い分けるこの監督のセンスの良さは充分堪能できました。あと、これは余談なんですけど、この作品を配信しているネットフリックスさん。その作品紹介で本作を「LGBTQ映画」と書くのは違うんちゃいまっか。それって、完全にネタバレですからーー(怒)。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-06-30 23:34:30)(良:1票)
27.  バスターのバラード 《ネタバレ》 
もはや誰がいつの時代に書いたのかも分からない一冊の短編集『バスターのバラード』。西部開拓時代を舞台にしたその古ぼけた本には、人生の深い哀感に満ちた六つの物語が収められている。それぞれのお話の冒頭には魅惑的な挿絵も施され、読む者の人生に一時の潤いを与えてくれることだろう。第一話『バスターのバラード』。お尋ね者のガンマンで陽気な歌い人でもあるバスター。ある日、彼がとある街の酒場でポーカーに参加したところ、ならず者に難癖をつけられる。だが、持ち前の減らず口と類稀なる銃の腕で難なく危機を乗り越えた彼だったが…。馬鹿々々しくも陽気なこのバスターの軽佻浮薄なキャラが楽しかった。最後、天に召されるまでその軽口を止めなかった彼に終始癒される。だが、ちょっとオチが弱いのが難点か。第二話『アルゴドネス付近』。いかにも襲ってくれと言わんばかりの郊外の銀行へと押し入ったならず者。簡単に大金が手に入ると思いきや、行員の老人に思いがけない反撃を喰らう。用心棒に引き渡され首吊りの刑にされようとした瞬間、今度はインディアンの襲撃に遭い…。何度も命の危機にさらされながら、その度に運よく生き延びる彼の悪運の強さには思わず笑ってしまった。ただ、強運も尽き果てたというオチは、本作でも弱い。第三話『食事券』。両手両足を失い介助なしでは生活できない青年が、生きるためにしていること。それは興行主である男の馬車で各地を旅し、その街々で魅力的な物語を語り聞かせることだった。各地で人気を得た彼の講演だったが、それも時代の波に流され、最後は暗算できるインチキ鶏にさえ負けてしまう…。人生の哀しみという点ではこの作品が一番優れている。彼を単なる食事券としか捉えていない男との関係性など、描かれない世界に思いを馳せるのもまた一興。だが、あまりにも淡々としているため物語としての面白みには乏しかった。第四話『金の谷』。ただひたすら金脈を求めて川を下る一人の老人。地道で苦難に満ちた作業の末、ようやくそのありかを発見するのだが、その背後には彼の手柄を横取りしようと付け狙う男が…。とにかく豊かな大自然の描写が素晴らしい。見ているだけで心が癒されるその風景の中で展開される、二人の男のひりひりとするやり取りは見応え充分。ただ、こちらも単純なお話のためいまいち印象に残りにくいのが難点。第五話『早とちりの娘』。幌馬車隊に乗せられ、兄とともに新天地に向けて旅していた世間知らずの娘。だが、途中で兄が病に倒れ亡くなってしまう。窮地に陥った彼女だったが、隊長の男に見染められ、何かと助けてくれることに。やがて彼と結婚することまで決意した彼女を悲劇が襲う…。個人的にはこれが一番面白かった。総じてオチが弱い本作品群の中では、一番しっかりとラストが決まっている。ただ、後味が悪すぎるのが残念。もう少し救いがあれば良かったのだが。第六話『遺骸』。乗合馬車に乗り合わせた五人の乗客たちの会話劇。最後を飾るにしてはいまいちパンチに欠ける印象。いかにもコーエン兄弟らしいペーソスとシニカルな笑いに満ちた、そんな六篇のオムニバス。どれも楽しく観ることが出来たが、そこまで心に刺さるものがなかったのが残念。総評としては、6点と言ったところか。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-01 13:30:17)
28.  バード・ボックス 《ネタバレ》 
それは本当に世界の終末なのか――。突如として全世界に拡がった謎の伝染病。その病気に感染した人々は急に狂いだし、自ら死を選ぶ衝動に駆られるようになるのだった。運転していた車のアクセルを限界まで踏み込み、手にしたハサミを自分の首元へと突き立て、自ら火の中へと飛び込む感染者たち。さらに恐るべきことには、その疾病は発病者の姿を〝見る〟ことによって感染するのだ。瞬く間に増殖する感染者によって、社会は暴力と死に支配された絶望的な世界へと変貌を遂げる。そんな破滅の淵に瀕する世界を生き延びるため、現在妊娠中のマロリーはある一軒の豪邸へと逃げ込むのだった。強固なセキュリティに守られたその家の中には、同じく逃げ延びた何人かの人々がすでに籠城していた。外には多くの感染者が徘徊し、しかも食料は残り僅か。マロリーとお腹の中の赤ちゃんは無事に生き延びることは出来るのか?恐ろしいディストピアと化した世界で、なんとしても生き延びようともがくそんな母子の姿を描いたサバイバル・スリラー。冒頭からいきなり始まるパンデミックの絶望的な描写に摑みはばっちり。死への衝動に駆られた感染者たちが、次々と自ら死を選ぶさまはかなり怖いです。物語はその後、一軒の豪邸内に籠城する彼女たちと、五年後、大きくなった二人の子供たちとともに河を下って脱出しようとする彼女の姿を交互に描いてゆきます。まあこういう不条理系パニック・スリラーの名作『ミスト』の一亜流と言ってしまえばそれまでですけど、この閉じ込められた人々の極限の心理劇はなかなか良く出来ている。感染者の姿を見てはいけないという設定も荒唐無稽ながらけっこう効いています。一時期大流行りした〇〇してはいけない系のはしりみたいな感じですね。目隠ししたまま幼い子供たちと貧弱なボートで激しい川を下ってゆくシーンは緊迫感もあって大変グッド。ただ、脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の惜しいところ。感染者たちが全員すぐに死を選ぶのかと言ったらそんなこともなく、何故か非感染者を襲う者も居るというのはおかしい。また姿を見ても感染しない人もいて、その人たちは心に闇を抱えているからという謎の説明だけで済ませちゃってるのも納得いきません。目指していた安全地帯が実は盲学校だったという最後のオチもいまいち腑に落ちない。目が見えない人たちはそもそも見ることが出来ないから感染しないというのであれば、全員そうじゃないとおかしいのですが、ちゃんと目が見える人もそこに混ざってますし。主人公親子も最後、生き延びるために自ら盲目になるくらいのオチがないと説得力がありませんって。前半はパニック・スリラーとしてはなかなか頑張っていただけに、ここら辺の詰めの甘さがなんとも残念。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-04-29 00:36:10)
29.  ハングマン(2017) 《ネタバレ》 
ある日、街の学校の敷地内で凄惨な猟奇殺人事件が発生。被害者は庭の大きな木に首を吊るされ、胸にはナイフでえぐられたとみられる「O」の文字。さらに遺体の近くには、絞首刑の絵と空白の文字列を示す白線が。そう、犯人は子供の定番ゲーム〝ハングマン〟をなぞり、警察へと挑戦状を叩きつけてきたのだ――。謎の犯人から警察のバッジ番号で名指しされた殺人課のルイニー刑事は、同じく名指しされたかつての相棒で今は定年退職したアーチャー元刑事とともに捜査に乗り出す。そこに彼らを取材する犯罪ジャーナリストのクリスティも加わり、懸命に捜査を続けるルイニーたち。だが、そんな彼らを嘲笑うかのように第二、第三の首吊り死体が発見される……。古典的な文字当てゲームをなぞり、次々と犯行を繰り返す猟奇殺人犯〝ハングマン〟と刑事たちとの息詰まるような攻防を描いたサイコ・サスペンス。名優アル・パチーノが主演を務めているということで今回鑑賞してみました。冒頭から、この分野の名作『セブン』を髣髴とさせるような(てか、そのまんまとも言えますが笑)重厚でおどろおどろしい世界観に摑みはばっちりでした。欧米では定番の文字当てゲーム〝ハングマン〟に見立てた首吊り殺人も大変グロテスクで、アル・パチーノの渋い魅力とも相俟って、「お、これはなかなか面白くなりそうじゃん!」と僕の期待は高まるばかり。でも…、そんな期待も虚しく中盤からものの見事に失速しちゃいましたね、これ。まさに、「ザ・竜頭蛇尾」。そもそもこんな大事件なのに、捜査してるのはほぼこの刑事二人のみで、しかも片方は定年でリタイアした今や普通の一般人ってのがおかし過ぎます。しかも取材してるだけの女性記者がばんばん犯行現場に付いてくるというのもあり得ません。対する犯人も何故にこんな面倒臭い方法で人を殺すのかも説得力に欠け、しかもわざわざ毎日11時ちょうどに首を吊るすという謎の自分ルール。肝心の犯人の正体なんて、「え、こいつ誰やねん」と思わず突っ込んじゃうほど、唐突感が半端ありません。文字当てゲームの回答も、「ここまで引っ張っといてそれかよ!!」と言うもので全く腑に落ちない。「犯行はまだまだ続く」と言わんばかりの最後のオチに至っては、蛇足以外の何者でもありません。あ、ここで訂正。「竜頭蛇尾」じゃなくて「竜頭蛇尾蛇足」な映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-04 01:04:59)(良:1票)
30.  パズル(2017) 《ネタバレ》 
切り裂きキャンプへようこそ――。それはお化け屋敷と謎解きゲームが一体化した体感型アトラクション。参加者は外部との接触を一切禁じられ、何処とも知れぬ暗い森の中に放置される。期限は、36時間。次々と訪れる危機にうまく対処し、無事に謎を解くことが出来れば多額の賞金を得ることが出来るのだ。今回、ゲームに参加するのは6人。破天荒なパンクロッカーカップル、熱心なホラー映画マニアであるデブ、無口な謎の男、介護士の青年とその彼女アレックス。誓約書を書かされ目隠しをされた彼らは、車で人里離れた山奥へと連れてこられる。それぞれ独自のアイテムが与えられ、さっそくゲームが開始されるのだった。次々と訪れる試練に当初はワクワクしながら挑戦していた彼らだったが、徐々に違和感を覚え始める。このゲーム、何かがおかしい――。すると、とうとう最初の犠牲者が!パニックへと陥る残りのメンバー。ヘロイン中毒と言う過去を持つアレックスにもまた、過酷な試練が課されるのだった…。果たして彼らは無事にこの〝殺人パズル〟を解くことが出来るのか?と言う、かつて大ヒットしたソリッド・シュチュエーション・スリラーの某有名作の影響をもろに受けちゃってる本作、違うのは被害者が強制的に参加させられていたあちらとは違い、こちらはあくまでメンバーが自主的に参加しているところ。でも、それが面白さに繋がっているかと言うと特にそんなわけもなく、むしろ設定のムリムリ感がたたってけっこう残念な結果になっちゃってます。それにとにかくテンポが悪い!こういうB級スリラーはもっとテンポよくやってくれないと。中盤、主人公が元カレの命か今カレの命かという究極の選択を迫られるというありがちな展開になるのだけど、これも森の中から海辺へと急に舞台が変わるものだから唐突感が半端ない。挙句、クライマックスはかなりのグダグダ具合でもはや痛々しいレベル。夢オチまがいのラストなんてあまりにもテキトー過ぎて怒りすら湧いてきちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作というほかありません。
[DVD(字幕)] 3点(2020-03-25 00:00:27)
31.  母なる証明 《ネタバレ》 
知的障害を持つ我が息子がある日、女子高生を殺害した罪で逮捕された。かなり深酒した息子が、夜道を歩いていた見ず知らずの少女を廃屋へと引きずり込み、暴行を加えようとしたが反撃された末の犯行だという。「こんなことあり得ない。あの子は虫も殺せないような優しい子なのよ」――。息子の潔白を信じて疑わない母親は、無罪を求めてそう世間に訴えかける。だが、出てくるのは息子に不利な証拠ばかり。警察も弁護士もマスコミもほとほと役に立たない。追い詰められた母親は、独自に調査を開始するのだった。泥酔しその夜の記憶が曖昧な息子、息子とは腐れ縁の地元のチンピラ、奔放な生活を送っていた被害少女、そして少女に弱みを握られていたという地元の有力者たち。少女を殺したのは、果たして誰なのか?事件に隠された深い闇へと踏み込んでいった母親は、やがて衝撃の真実を知ることに……。外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今、ノリにノッているポン・ジュノ監督の代表作と言えるそんな本作、今更ながら今回鑑賞してみました。終始陰鬱で観れば観るほど気が滅入るようなお話ながら、なかなか完成度の高いダークミステリーの逸品に仕上がっていましたね、これ。二転三転するストーリー展開、母親役を演じた女優のナチュラルな演技、回想シーンの中で妖艶な魅力を放つ被害少女と、監督の才気溢れる演出にラストまでまさに一気呵成。中盤以降、もはや誰もが怪しいとしか思えない中、最後に明らかにされる衝撃的な真実。後味は最悪ながら、かなり濃密で充実した映画体験をさせていただきました。自分の子供のために母親が本当になすべきこととは何なのか?貧困の負の連鎖は永遠に続くのか?誰もが何かしら思わずにはいられない極めて深いテーマを扱った、良質の社会派ミステリー。この監督の他の作品も観てみようと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2020-02-23 00:03:22)
32.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 
『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-17 23:10:59)
33.  ハッピー・デス・デイ 2U 《ネタバレ》 
謎の殺人鬼に何度も何度も殺されるという悪夢の無限ループへと陥ったビッチな女子大生、ツリー。彼女がその無限ループから抜け出すために、何度も殺されながら真相を探る姿を疾走感あふれる展開で描いた青春ホラー第二弾。前作の低予算ながらポップでキレのいい演出がけっこう面白かったので、続編となる本作も期待して今回鑑賞してみました。前作では謎のままだったタイムループ発生の原因が、本作で明らかにされたのは嬉しい展開。前作ではちょい役だったあの「メス犬とやったのか」でお馴染み(笑)の金髪アジア系男がまさかの張本人だったとは!冒頭、こいつが新たな無限ループに巻き込まれる展開に、「え、もしかして今回はこいつが主人公なん?!」とちょっと不安にもなりましたが、途中でちゃんとツリーの無限ループに戻ったのでホッとしました(彼女にとっては迷惑この上ないでしょうけど笑)。ただ、肝心のことの真相が実は幾つもの現実が併存する多元宇宙(パラレル・ワールド)だったというのは賛否が分かれるところ。僕はどちらかと言うと否の立場かなぁ。話が無駄にややこしくなって前作ほどのカタルシスを得られませんでしたわ。それに前作よりスラッシャー・ホラー要素が薄まったのもちょっと残念。まぁこればっかりは好みの問題なのでしょうけれど。それでも、相変わらず様々な死にざまを身体を張って魅せてくれたツリーの潔い死にっぷりには今回も楽しませてもらいました。ドライヤーで感電死したら次の瞬間髪の毛爆発してたりだとか、スカイダイビングに裸で挑んだりだとか、ゴミ収集車に頭からスライディング・ダイブだとか、前作以上の悪ノリっぷりに終始ニヤニヤが止まんなかったです。最後のオチもけっこう決まってましたしね。というわけで、前作ほどではないですが、今回もなかなか楽しませていただきました。でも、さすがにこれ、もう続編はないよね(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-02-09 23:50:59)
34.  ハッピー・デス・デイ 《ネタバレ》 
彼女の名は、ツリー。自他ともに認める下半身ゆるゆるの女子大生、いわゆる“ビッチ”だ。その日の朝も昨日の酒が残った状態で目覚めたツリーは、自分が見知らぬ同級生の部屋のベッドに寝ているのを発見する。「あっちゃー、またやっちゃった」。酷い二日酔いの頭でそう後悔しつつも彼女は、今夜のパーティーのためにすぐさま自分の学生寮へと急ぐ。何故なら今日は誕生日だから。今日こそ最高にハッピーな一日を過ごすため、ツリーは嫌みなルームメイトや不倫の関係にある大学教授たちをやり過ごし、約束のパーティー会場へと暗い夜道を歩いていた。すると、彼女の背後に忍び寄る不穏な影。不気味なマスクを被った謎の男に、ツリーは呆気なく殺されてしまうのだった――。だが、次の瞬間、ツリーはまた見知らぬ同級生の部屋のベッドに寝ている自分を発見する。見覚えのある人と見覚えのある会話。戸惑いつつもパーティー会場へと向かった彼女は、またしても謎の男に殺されることに。でも、次の瞬間、ツリーはまた見知らぬ同級生の……。原因不明のそんな悪夢の無限ループへと迷い込んだビッチは、果たして無事に誕生日を乗り越えることが出来るのか?最近流行りのループ物に青春ホラーをミックスしたというそんな本作、いやー、これがなかなか面白いじゃないですか!最初目覚めてから謎の男に殺されるまでの一回目が若干長くてループ物としてどうかと思ったんですが、二回目三回目とループが繰り返されるたびにどんどんとスピード感が増してゆくのが観ていて爽快。ツリーの殺され方も、ナイフで刺殺から割れたガラスで顔面串刺し、バッドで殴打、噴水で水死、バスで轢死、ガソリンで爆殺とバラエティに富んでるのも大変グッド!あまりに殺され過ぎて、もはや開き直ったツリーが裸で学内を歩いたりするシーンなんていかにもビッチでナイスでした(笑)。きっと原因は自分の自堕落な生活のせいだと思い込んだ彼女が、真人間になろうと努力する中盤の展開なんてすんごく薄っぺらいんですけど思わず応援しちゃってる自分が居ました。うん、頑張れ、ビッチ(笑)。そして真犯人が明らかにされるクライマックスもけっこう脚本が練られていて普通に面白い。ラストシーンなんてなかなか技ありで思わず拍手しそうになっちゃったし。いやー、この監督、けっこうセンスあるんじゃないですかね。このタイムループの原因をもう少し納得できる形で説明して欲しかった気がしなくもないですが、エンタメ映画として僕は充分楽しませていただきました。うん、8点!
[DVD(字幕)] 8点(2020-02-08 23:03:38)
35.  バーバラと心の巨人 《ネタバレ》 
信じられる?奴らは太陽も逃げ出すような恐ろしい存在よ――。彼女の名は、バーバラ。海沿いの寂れた田舎町で、まだ若い姉や兄とともに貧しい生活を送る彼女にはとある秘密があった。そう、この世の諸悪の根源である邪悪な〝巨人〟が森の奥深くに潜み、何も知らない人間どもを虎視眈々と狙っているということに、彼女だけが気付いてしまったのだ。いつも身に着けているポーチへと秘密の武器「雷神トールのハンマー」を潜ませ、巨人の大好物である甘い蜜や手作りの罠を森のあちこちに仕込み、いつでも巨人の動向を監視しているバーバラ。だが、巧妙な巨人たちは一向にその尻尾を彼女に摑ませることなく森の闇の中に蠢き続けるのだった――。でも、彼女の家族や学校の先生、そしてバーバラの同級生たちはその事実に全く気付くことなく、いつものような普通の日常生活を送っている。そんなことなど気にする様子もなく巨人の物語へとのめり込むバーバラ。周囲の人間との軋轢はどんどんと増すばかりで、彼女は次第に孤立を深めてゆくのだった。そんな彼女のことを心配する転校生のソフィアや学校のカウンセラーが、何とか彼女の孤独な心を開かせようとするのだったが……。妄想とも現実ともつかぬ世界へと迷い込んでしまった少女の孤独な闘いを幻想的に描いたダーク・ファンタジー。アメリカのグラフィック・ノベルを原作にしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。観終わってまず真っ先に思い浮かぶのは、J・A・バヨナが監督しリーアム・ニーソンが怪物の声をアフレコした某作品と設定やビジュアル・センスが丸かぶりしているところでしょう。巨人の脅威をフォークロアのように描いた幻想的なシーンなんて全くそのまんまなんですけど、これって大丈夫なんですかね?ただ、あちらの如何にもきかん坊な少年主人公に全く共感できなかった自分としては、こちらのメンヘラ女子の方にはまだ好感持てました。バーバラもその友達となる同級生もけっこう可愛かったってのもあるかもですけどね(笑)。とはいえ、だからと言って本作に嵌まったかと言えばそこまででもなく、終始辛気臭い展開に終盤はぐったりしてしまいました。もう少しファンタジー色強めでも良かったような気もしますし。ま、ぼちぼちってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-04 23:31:13)
36.  ハウス・ジャック・ビルト 《ネタバレ》 
この12年の間に起きた、5つの出来事で俺の人生を語ろう――。生まれついてのサイコパスにしてシリアルキラーでもあるジャック。分かっているだけで、幼い子供から年老いた老婆にいたるまで少なくとも60人以上を殺し、その死体を自身が所有する冷凍庫にコレクションしていた男。自らが無作為に選んだという5つの出来事が彼の狂気に満ちたモノローグとともに語られる。聞き手となるのは、ヴァージと名乗る謎の男性。道端で拾った高慢ちきな見知らぬ女、夫を亡くしささやかな年金で一人暮らしていた初老の未亡人、二人の息子とともに充実した日々を過ごしていた若い母親、ただ愛されることを望んでいた売春婦、そして何人ものどうでもいい男たち……。創造と破壊、欲望と理性、倫理と芸術、ジャックは自らの思想とともにヴァージに語り続けるのだった。何故彼は人を殺し続けたのか?そして二人はいったい何処へと向かうのか?デンマークの鬼才、ラース・フォン・トリアーの約5年ぶりとなる最新作は、そんないかにも彼らしい挑戦的で自虐に満ちた野心作でした。率直な感想を述べさせてもらうと、いやー、本当に変な映画でしたね、これ。カンヌでも途中退席者が続出したというだけあってかなり人を選ぶグロ描写が続出するのですが、なんだか全体的に変なユーモアがあるのが彼の鬼才たるゆえん。いかにも殺してくれと言わんばかりの高慢高飛車女をジャッキで殴り殺す冒頭のエピソード(ユマ・サーマンの無駄遣い!笑)から摑みはばっちりで、続く強迫性障害のせいで何度も殺害現場へと舞い戻ってしまうエピソードなんて思わず笑っちゃいました。母親の目の前で幼い子供を射殺するシーンなどはあまりにも倫理観を逸脱していて逆に清々しいくらい。おっぱいをえぐられちゃうジャックの彼女?の話あたりまで来るとなんだか神経が麻痺しちゃいますね。合間に挟まれるジャックのフリップ芸なんて、あまりにもシュール過ぎてR‐1でも通用するかも?!そして辿り着く驚愕のエピローグ。もはやぶっ飛びすぎてて終始唖然(笑)。何ですか、あのルネッサンスの油絵みたいな変な世界観は。文字通り地獄に堕ちた彼へと、エンドロールで「もう帰って来るな!ジャック!」とノリノリの曲調で歌われた日にゃもはや笑うしかなかったです。鬱病を患っていたころの陰鬱で重苦しい作風から抜け出し、前作辺りからトリアーはこんなヘンテコな世界へと辿り着いたのですね。うん、何処までも付いていきます!9点!!
[DVD(字幕)] 9点(2020-02-02 23:44:03)(良:1票)
37.  バレット・ヘッド 《ネタバレ》 
若造がへまをやらかし、誰も居ない寂れた廃工場へと命からがら逃げ込んだ三人の強盗たち。何とか大金の入った金庫だけは持ち出せたものの運び出すための車は事故で動かない。町には警察がうじゃうじゃ、連絡を取った仲間が助けに来てくれるのは日が暮れてからだ。三人は仕方なくこの工場で夜になるのを待つことに。だが、彼らはまだ知らなかった。その工場では夜な夜な違法な闘犬賭博が開催され、そこには殺処分される予定だったイカレタ殺人犬が居ることを――。突如として襲い掛かってきた血に飢えた闘犬と、三人のコソ泥たちの命を懸けた闘いが今、幕を開ける……。そんな明らかな低予算作品なのですが、エイドリアン・ブロディやジョン・マルコビッチ、アントニオ・バンデラスという渋めどころの役者陣共演に惹かれて今回鑑賞してみました。完全にタランティーノの出世作『レザボア・ドッグス』を意識して撮られたであろう本作、確かにこの殺伐とした空気感や主人公たちの哀愁漂うキャラクター設定などは良かったとは思うんですけど、なんだろう、この最後まで付きまとう、腑に落ちなさは。やはり、あれですね。いくら血に飢えた狂犬とはいえ、大の男が三人も居るんだから、頑張ったら何とかなるっしょというところですかね。ヤクチュウと老いぼれとひょろひょろというへっぽこ三人組だとはいえ、みんなで力を合わせたらあんな小さな犬っころぐらい何とか押さえつけられるだろうに。そこのところがどうにも説得力に欠けて、僕はいまいち物語に入り込めませんでした。随所に挿入されるそれぞれのキャラクターたちの犬にまつわるエピソードの見せ方や、何度も繰り返される犬目線の映像などはけっこう撮り方も凝っていて面白かったんですけどね。うーん、全体的にあと一歩足りない印象の作品でございました。
[DVD(字幕)] 5点(2019-12-12 00:47:50)
38.  ハンターキラー 潜航せよ 《ネタバレ》 
ロシア国内で突如としてクーデターが勃発!異変を察知したアメリカ政府は第三次世界大戦の危機を阻止するため、陸軍特殊部隊及び偶然近くに停泊していた原子力潜水艦アーカンソーに秘密指令を下す。それは、反乱軍によって監禁されたロシア大統領を生きたまま救出することだった――。おおよそ不可能とも思われるそんな困難な任務に赴くことになった攻撃型原潜、その名もハンターキラー。彼らのロシア近海への決死の侵入をスリル満点の展開で魅せるポリティカル・アクション。前評判通り、なかなか面白いじゃないですか、これ。まあ、ベタっちゃあベタですけど緻密に考えられたであろう脚本はけっこうな完成度。ロシア近海に潜む原子力潜水艦と、かの国の基地に潜り込んだ特殊部隊員、そしてアメリカ本国で指揮を執る制服組との息詰まるようなやり取りはリアリティがあって見応え充分でした。潜水艦でのお約束の展開もちゃんとツボを押さえられていて(あの音を出せない状況で危うくスパナを落としそうになるとこなんて心臓に悪すぎ!!)、終始ハラハラドキドキ。ジェラルド・バトラー演じるアメリカ人艦長と、本来は敵同士であるはずのロシア人艦長とのただお互い船乗りとしてのプライドから結ばれる友情なんて熱い熱い。陸上で孤立無援の戦いを強いられる特殊部隊たちのドラマもそれに負けず劣らずよく出来ており、ともすれば一本調子になりそうなストーリーにいい緩急を与えています。クライマックス、ロシアの猛攻撃を受けながら決死の脱出を図るハンターキラー内での緊迫感に満ちた攻防もかなりの迫力。損傷した艦内にどんどんと海水が入り込んでくるシーンは、こういう映画で何度も見ているとはいえやはり息が詰まりそうになりますね。いやー、何度生まれ変わっても潜水艦乗りにだけは絶対なりたくない(笑)。最後の展開が若干ご都合主義に流れすぎな感もありますが、エンタメ映画として僕は充分楽しませていただきました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2019-11-14 23:08:04)
39.  運び屋 《ネタバレ》 
90歳にしてアメリカ最大の麻薬密売組織の運び屋となった男を実話を基にして描くクライム・サスペンス。監督・主演を務めるのは、もはやハリウッドの生ける伝説と言っても過言ではない御大、クリント・イーストウッド。名作『グラン・トリノ』で名実ともに俳優業からは引退と思っていましたが、まさかこんな役でカムバックするとは嬉しい驚きですね。沢山の家族に囲まれ枯れた余生を謳歌するような幸せな老人ではなく、ひりひりするような綱渡り生活を続ける麻薬の運び屋役というのがまた彼らしい。ストーリー自体は極めてシンプル。でも、無駄を削ぎ落したその物語はとてもサスペンスフルで最後まで引き込まれて観ることが出来ました。ここらへんは長年の経験がなせるベテランの技なのでしょう。いつ、この爺さんが事故っちゃわないか、いつ警察にバレて窮地に陥ってしまわないか、あるいはいつヘマをして麻薬組織から酷い目に遭わされはしまいかと終始ハラハラしっぱなしでした。その中で、最初は反発し合っていた監視役のチンピラと、何気なく一緒にポークサンドを喰ったことでほのかな友情が芽生えるというエピソードはなかなか微笑ましい。そして終盤、長年連れ添った元妻の危篤を知った主人公が葛藤の末に取った行動には、本当に胸が締め付けられる思いでした。ここには90年がむしゃらに生きてきた老人の生き様がしっかりと詰まっている。ブラットリー・クーパーやアンディ・ガルシアといった、油の乗った俳優たちも彼の前では単なる引き立て役になっていたのも凄いことだと思います。人生の深い哀歓を感じさせる、渋みに満ちた人間ドラマの佳品でありました。
[DVD(字幕)] 8点(2019-09-25 21:52:15)
40.  バトル・オブ・ザ・セクシーズ 《ネタバレ》 
男女差別が公然とまかり通っていた時代に、それぞれの立場を代表して一大試合を決行した世界トップクラスのテニス選手の男女。自らの信念を守るために男と女の垣根を越えて戦った彼らの生き様を実話を基にして描いた社会派スポーツ・ドラマ。うーん、なんか個人的に合わない作品でしたね、これ。そう思ってこの監督の過去の作品を調べてみて納得。僕の大嫌いな『リトル・ミス・サンシャイン』の監督の作品だったのですね。この人のまるで道徳の教科書のような枠に嵌まった倫理観が僕は昔からどうにも苦手で、今回も全く受け入れられませんでした。「男女差別は止めましょう」「社会的弱者をいたわりましょう」「お互いの個性を尊重しましょう」みたいな、そんな当たり前の薄っぺらい価値基準をこうまで正々堂々と押し付けてくるこの人たちの作風が、本当に嫌い。これはもう好みの問題なので如何ともしがたい。
[DVD(字幕)] 4点(2019-09-02 14:24:43)
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