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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  東への道 《ネタバレ》 
再見。 グリフィスで一番好きな映画はコレだ。「スージーの真心」とともに最もリリアン・ギッシュが可憐で、儚く、美しい。  のどかな田舎町で母と二人暮らしの少女。柄を持ちうつむき、眼差しを動かし何かを想う姿。手や瓶で口元を隠す仕草からして可愛い。 マッチの火でランプを灯し、帽子を被りオシャレな服に着替え、抱擁を交わし、トコトコ付いてきてスカートにくっつく犬を抱きかかえ家に戻し、街に出掛けていく。 所々見られるコミカルな場面は、田舎の安らぎと人々の優しさが散りばめられている。  暖かい日差しが照らし風が自然を揺らす故郷の居心地の良さ、未知の世界である街と華やかに着飾った人々の中に入っていく緊張。 嫌らしい笑みを浮かべポーカーに興じる男、平気で人を騙す毒牙が待ち受けるとも知らずに荷物を抱えやって来てしまった少女。開かれる扉、扉、再会。 入り口の影で獲物を見つけた男、見つかってしまった少女。初めて座るソファで不安そうに座って待つ。鶏や牛、猫といった動物とともに暮らす優しい青年もまた、誰かにめぐり逢うのを待ち続けていたのかも知れない。  ドレスのチェック、開かれた胸元を恥ずかしそうに手で覆い、手を引かれながら降りていく新しい世界。その姿を一目見て固まり群がる紳士たちの誘惑、語り聞かせる御伽噺の中の美女。服で口元を隠すのは、自分に優しくしてくれる異性にドキドキしているから。  そんな彼女を陥れる“嘘”、映される胸元と脚が語る性、群がる女たちを選ぶ「裏切り」、踏みにじられる待ち続けた女の想い。  愛した男は腹を痛めて産んだ子供にも、それに命をかけた女にも会ってくれない。それは暗い影を落とし、同時に一人で赤ん坊を育てようとする強さも与える。一本道を歩いていくしかない後ろ姿…。  歩みを止める見つめ合いと出会い、隣に座り迎え入れようとする好意、それを拒んでしまう過去の傷。やがて暖かい自然と水辺は、彼女の心の様に雪が降り積もり凍り付く。 農村の人々は雪も溶かす勢いで歌いながらぎゅうぎゅう詰めの馬車で雪道を駆けていく。愉快なバートレット家のやり取りで溶けかかる心の壁、それを破壊するかのように再び現れた悪魔が知らせる真実。  拒まれ、のうのうと目の前に現れた悪魔に爆発させる怒り、どうしようもなくなり扉を開き嵐の中に飛び出していく哀しみ、それでも受け入れランプ片手に呼びかけ追い続ける者の愛情。  冷たい風が吹き荒ぶ極寒の中を揺らめき彷徨い、砕ける灯、馬から千切れるように落とされる乗り手、扉を開き鉢合わせ、殴り取っ組み合い、凍り付きそうな哀しき表情、殴り飛ばして続行される追跡と叫び、目の前に拡がる氷の大地。  力尽き川辺に倒れる肉体、投げ出される腕と髪、雲が覆う空で薄っすらと輝く太陽、激流が予告する“崩壊”、流れ始める氷、氷、氷上の命。 砕け、千切れ、沈み、接近し、駆け抜けようとする命を呑み込もうとするうねり、落ちていたもの、見つめる先にいた者めがけ飛びながら駆け寄り、抱きかかえ迫り来る死から遠ざけるように走り続ける“命”。 冷たくなった手を握り、そっと頬に手をあて、暖かく迎えられ、手を差し伸べられる命。顔を背ける別れ、祝福される結婚、結婚、結婚。手袋が落ち、抱擁と口づけを交わしまくる祝福。  「散り行く花」を見た後だと、より一層この幸福に満ちた映画に出会えたことに感謝したくなる。
[DVD(字幕)] 10点(2014-03-20 01:20:35)(良:2票)
2.  美女と野獣(2017) 《ネタバレ》 
ビル・コンドンたちが「美女と野獣」にありったけの想いを注いだ力作。 コンドンが愛するジャン・コクトー版は一輪の薔薇による“呪文”から始まったが、本作も観客を一気に引き連り込む“呪文”から幕を開ける。  冒頭から純白のドレスに身を纏う黒と白のコントラスト・豪華絢爛な舞踏会。それを破壊するように雷鳴とともに現れるドス黒いクソビッ…ウィッチ(魔女)の恐ろしい魔法が人々に降り注ぐ。  ...まあ、改めて思うけどさ..。ちょっとやりすぎなんじゃないんですかね。王子は一体どんだけのことをしたんだよ。まああんだけケバいメイクしてたらそりゃ色々してきたんだろうけど(偏見)。ただ、そのちょっと濃い目のメイクが後々キいてくる。  雪が注ぎ続け春の訪れない、呪いによって身も心も閉ざされた城。片や新しい発想を異端視する村。それぞれの場所で思い悩む孤独な男女、二人を結びつける馬車の疾走、大悪党の御登場。  迷い込むのは、バラを掴んでしまうのは、泥水を撥ね飛ばし、女性のスカートを掴みながら迫り、酒場の人々の人心を掌握する大演説&剣戟をかますのは引き裂かれた人々をもう一度めぐり逢わせるために!  バラが司る運命の悪戯、それを変えるために城中を動き続ける“召使い”たちの健闘。見るがいい食卓の上で大量の食器が渦を巻き迫り来る様を!必死すぎてそれだけでお腹いっぱいになるわ!プディング(食後のデザート)。  ロバが引き続ける“洗濯機”、狼の群が導く魔窟への侵入、灯を握りしめる石の腕、囁き蠢く家財道具、一人でに開閉する扉、お辞儀をする上着かけ、飛び跳ねながら紅茶を運んでくるティーカップ、人物や建物を映す鏡、行きたい所へ瞬時に連れて行ってくれる魔法の地図、飛びかかり脅迫する黒い影と角の恐怖、それに屈することを知らない“自己犠牲”。  コクトー及びゲーリー・トゥルースデイル&カーク・ワイズ版「美女と野獣」、さらにはジェームズ・ホエール「フランケンシュタインの花嫁」といったロマン溢れる作品群へのリスペクト精神、同性愛を思わせる描写もねじ込むこだわり。コクトーもコンドンも心は乙女だしな。  ホモは嘘つき、下敷きになった友人も冷たい一言を浴びせバッサリだ。そんな野郎に嘘を付くのが嫌になったら、ティーポッド片手に熱湯を浴びせ皿の雨を降らせ運命に抗う最後の叛逆へ!家財道具…いや己の肉体・未来・魂・存在ごとぶつかっていく大抵抗!  馬で駆けまくり伝える想い、騒動の最中に乗り込む“目撃者”、城の屋根から屋根へ飛び交う跳躍、一騎打ち、明けない夜との・夢のような時間との“別れ”。  我が子の顔も見れず、行方も知れぬまま“奪われる”瞬間の哀しみといったら無い。それが“再会”する瞬間の感動に、思わず泣いてしまったワケですよ。ズルいぞコンチクショー!
[映画館(字幕)] 9点(2017-06-06 04:28:08)
3.  ピカドン 《ネタバレ》 
木下蓮二と木下小夜子夫妻による短編アニメ「ピカドン」。   原爆の惨禍をセリフを一切挿入せず、映像だけで語りつくした作品。  とにかくこの作品、原爆が落ちるまでの平和な日常からして不気味な静けさに包まれている。  刻々と「あの瞬間」まで時を刻んでいく時計、家から学校や仕事場に向かうため外に出て行く人々、紙飛行機で遊ぶ子供。   爆弾は横向きに音も無く落ちてくる。それをふと見上げた瞬間、一瞬強張ったり呆然とする顔、顔、顔をした人々を猛烈な閃光によってすべてを焼き尽くす。   熱線によって赤子に乳をやる母親が一瞬にしてドロドロになり、肉塊と化す瞬間。爆風によって髪は逆立ち、建物も人間も何もかも薙ぎ払う。   破壊された街を、皮膚がズルズルに溶けた人々が水を求めてさまよい、斃れ、次々に死んでいく様子の地獄絵図。  たった数分に凝縮されたあの日の地獄。これだけで戦争の恐怖は多大に伝わる。  この作品は、最後に高層ビル群が並ぶ「現代(1978~1979年当時)」を映し、雲の上から傍観するように飛ぶ紙飛行機を映して物語を締めくくる。あの紙飛行機は「誰」が飛ばしたものなのだろうね。  そこに絶望を見るか希望を見るかは貴方がた次第です。
[DVD(邦画)] 9点(2016-09-09 14:47:04)(良:1票)
4.  ビフォア・ミッドナイト 《ネタバレ》 
大人から親へ。  「サンセット」の続編だが前二作とはかなり違う部分が多い。海に出るように開放的だ。  前は街に既にいた、今度は旅の始まりからすべてが始まる。 歩く二人、前作と違って今度はちゃんと出て映されるものと映されないもの、、やはり喋って喋って喋りまくり、空港、抱擁、彼女に語ったことが大体合ってたことが解る。  別れ、車で待つもの、海沿いの道、後ろに乗るものが誰なのか、彼女と彼の関係はどうなったのか気になる。 動き続ける車で回り続ける舌、娘、車内でじゃれ合う、写真、食う、盗品を渡した上に黙認、やはり会話だけで過去が語られる。  くっちゃべる二人の挙動を楽しむ姿勢は貫かれる、そこに車に揺られるものの挙動が背景として加わる、喋り方の真似、やつれた男と少しふっくらした気がする女、久々に二人に話しかける存在、尻にタッチするのは将軍に「了解」の合図、店、子供たちとサッカー、海辺。  二人は別れて様々な人々とも語り合う。会話が途切れるシーンも多い。 腰かけて動きが少ないはずなのにキャメラは動きまわり、会話に参加する人も増える、水着、「波止場」の話は面白かった、時間、かじられるリンゴ、家族どうしのしゃべくり、男が食事中に下品な話をするのは若い二人を刺激するため、、悪態や三文芝居をするのも親しさから。  本作の性に対する踏み込み振りときたらどうだ。さり気なく腰に手をやり胸を揉みしだく。全二作ですら自分の脚にのっけたりくらいだったのに。 それをやっても許される仲ということか。スカート姿や胸が強調されるの母親ではなく異性としてか。  本当にヤギも登場、食卓を去った後は前作を思い出すようにまた二人だけでしゃべり続けながら歩き続ける、映画、ポンペイ、遺体、白黒、50年代、遺跡、蝋燭。 聖人一同「十字斬ったぐらいで許されると思うなよ」  指を舐める、海辺の椅子、沈む夕日は会話と運動を止める、秘密はまだ共有する仲、作家として本にサイン、宿。  前二作でけして映されることのなかった情事が映される。 意外と胸があったのか(ry どんどんとんでもないことを言い始める二人、拒んだら求め、下着、求めたら拒んだり、ズボン、それが思わぬ口喧嘩にまで発展してしまう。 “弦”、どんどん現実的に生々しく、それとも今までが御伽噺のように綺麗すぎたのか。あんなに離れたがらなかった二人が…。  ドアは終わりを告げるのではなく、休ませずに延長戦をさせるため。 それでもあの場所で待ち続け、あの場所へ行く。向かい合わせが不意に距離を詰め、言葉が途絶えた瞬間、キャメラは静かに去っていく…。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:22:36)(良:1票)
5.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 
ドイツ人が一人の人間としてのヒトラーと向き合った傑作。  「イングロリアス・バスターズ」といい、ナチスの問題に踏み込むことにNG気味な日本人には呆れ返る。  本作を支配する「滅び」の暗さ。 秘書候補、闇の中連れてこられる女性たち、彼らがウダウダやっている間に市民は次々に死んでいく。軍人の家族でさえ。 兵士、懐中電灯に照らされて、面接、ドアから出て丁寧に御挨拶、タイプライター。  冒頭のユニークさが嘘のように時は過ぎ去り戦場と化した市街地へ。 街への砲撃、ボロボロの鷲、総統も余裕がなくなってきている、痙攣でも起きているような腰の左手、大量の書類を焼き払う末期、滅びの足音、せわしく走り出す地下駐車場の車、都市計画、逃げていく市民、高射砲、土嚢、少年兵、少女兵、ナチに魅せられてしまった人々。  ギリギリとした上層部、こんな状況でも勲章授与、元気づけるためのパーティー、ドレス、彼女は黙ってとどまることを選ぶ。 気分を紛らわすための散歩、踊り、夢から覚ます一撃、悪夢へ逆戻り、散乱した書類と残るもの、機能しない師団、病院、山積みにされた遺体と病人、酒に溺れる者、情事に逃げる者。  積もり積もったものが爆発するかのような会議での激怒。左手は震えながら眼鏡を外し、腕を振り上げ罵詈雑言を浴びせるブチギレ総統…だがそこには疲れ切った中年の姿しかなかった。  明かりも水道も絶たれようとしている、束の間の一服、極限状態で味方同士でも殺し合いに、外も地下も地獄、市街戦の惨状、野戦病院と化す防空壕、子供たちの慰問、自殺の相談、手紙、別れの握手、砕けた肉片、へし折られる鉛筆、怒る気力もない、拒絶される握手、涙、帰りを待っていた者たち。  最後の立ち直り、手榴弾、狂乱、死に際に服を整え化粧をし貴重な弾丸を処刑に使う、遺書、結婚式、胸に手を当ててまで頼む、トイレに犬がいた理由、最後の最後まで飯を食らう、別れの挨拶、虚しく積み重ねられる死、死、死、それを覆う布。  処刑 、母親の苦渋の選択、足、足、足、さすがにソ連の強姦事件までは描かれなかったか、ハンナ・ライチュ、飛行士。  老後の秘書にインタビューする場面で物語は終幕する。
[DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:17:55)
6.  ビッグ・パレード 《ネタバレ》 
反戦のメッセージを込めた戦争映画の傑作であり、前半1時間はヴィダーらしいメロドラマとして面白おかしく過ぎていく。後半1時間は戦場における殺し合いへ。 ラオール・ウォルシュの「栄光」も女を取り合う軽妙な光景から殺伐とした戦争の光景へと切り替わっていた。  町、工場、溶鉱炉、ビルの建設現場。この何気ない風景が後の「摩天楼」へ、髭を剃る黒人の姿が「ハレルヤ」へと繋がっていくのだろうか。    煙を噴き上げる音、煙、煙、煙の噴出と新聞が知らせる戦争の足音。玄関先での別れの挨拶、戦場に行く人々を見送るパレードはお祭り騒ぎ。  入隊したての行進が戦場への行進へ。行進を見送る群衆、油断すればすぐ泥の中、穴掘り、穴倉作り、婦人とのやり取り、女目当てでやる気UPは良いが上官に土をブチまける勢いはやりすぎw  送られてきた食い物、雑にちぎりながら仲良く食べ合う、川で洗濯子供たちと空の樽を追いかけて遊ぶ、樽をかぶっての運命の出会い。  穴から覗いて挨拶、ほどけたゲートルが語るもの、川から水を組んでシャワーにデート、次々とナンパしにくる仲間たちは食事のラッパの音で慌てて戻っていく。そりゃあんな魅力的な谷間の女性(ry   チューインガム、兵士たちの余興、酔っ払い、靴を磨いていたら藁が山のように落ちてくるシーンに爆笑、サーベルを振り回す元気な爺さん。  酒蔵に侵入して飲みまくる仲間、揉みくちゃ、犯人に間違えられ大慌て、酔いすぎて船で逃げるフリ。そこは土の上だぜ酔っ払いども、大騒動に乗じて逃げる若き恋人たち。   故郷からの手紙、写真、間違えて上官を蹴ってしまうやり取り、階級章、違う手紙、お礼言われちゃったよ・・・。    ジープが知らせる風雲急・蝋燭を消し町の人々との別れを惜しみながら去っていく、群衆が流れていく最後の口づけ。  「必ず生きて帰る!忘れないよ!」足にしがみついてまで惜しむ、鎖、靴や時計を投げ残す、ジープが延々と連なるスペクタクル!   いよいよ戦場だ。 前線へ!前線へ!軍用機たちが空を駆け抜ける!  行進中の兵士たちに襲い掛かる機銃掃射、地上からも応戦、負傷して脱落できた奴らはまだ幸せさ。   銃剣をつけて敵が待ち構えるであろう森を突き進む。道を駆け抜けるバイク、地面に転がる死体、後ろで静かに散っていく仲間たち、狙撃の恐怖。   機関銃が淡々と殺していく、手榴弾、砲弾が飛び交い森が消し飛んだ最前線、ガスの気配に気づいて急いでガスマスクをするスリル。  戦車、見えてきた塹壕、夜中に複葉機が飛ぶ恐怖、挑発、砲撃に怯えながら塹壕で食事をする最後の団欒、銃剣で的を作って的当て、“死番”。  照明弾が照らす黒い影、奇襲、仲間の死が恐怖を打ち消す、死への直行、絶叫、暗闇で表情を見て殺せなくなる、灯りが見えないように煙草の火をつける。   闇の中への突撃、砲弾の雨、激しい閃光・・・まるで悪夢から目が覚めるように目覚める。蠅が顔を覆い、隣には怪我に苦しむ戦友たち。   町を去っていく人々、廃墟になった市街地で叫んでも返ってこない愛する人の声、そこになだれ込む軍隊、砲撃、過去の思い出。  畑仕事、残していったチューインガム・・・残った思いでもやがて口の中に溶けて消えていく。山の上に現れた人影、胸のざわめきで思わず駆け出す姿・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:26:53)(良:1票)
7.  美女と野獣(1991) 《ネタバレ》 
ジャン・コクトーの「美女と野獣」を思い出す幻想的な雰囲気。 ベルと野獣が踊るシーンはダイナミックで優雅だし、野獣が踊れば蝋燭といった家具や森の動物達も楽しげに歌い始める。命のない筈のものが笑ったり泣いたり、言葉が通じない筈の動物たちとも楽しく会話をし心が繋がる。冒頭からベルは人も動物も関係なく、楽しげに歌い合うのだから。コレがディズニーの良いところだね。夢があってさ。  野獣本人は人間として永遠に結ばれてハッピー、でも観客は人間に戻るシーンよりも素敵な野獣のままでいて欲しい・・・なんてケモナーに目覚めてしまうのです(多分)。
[地上波(吹替)] 9点(2014-12-29 19:26:13)
8.  ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》 
「大ボラ吹き」の意味合いを持つ「ビッグ・フィッシュ」。 この映画は奇想天外な物語と現実が交差する“嘘の様な本当の話”みたいな流れが好きだし、魚とか猫とか動物もいっぱい出てきて楽しい。 謎に満ちたドアを次から次へと明けまくり、運命を切り拓くような映画だ。 幻想的な回想や現代の時間の色合いやトーンの違いが、父の語る“夢”を強調する。 そりゃあ1000回も自分が脇役の話されたら誰だって嫌になるわい。 指輪で池の主を釣り、出世魚のようにどんどん成功を掴んでいった男の話。 父「俺の指輪を返せ!(怒)」 魚「その指輪を俺に喰らわせたのはテメえだろうが!!(憤慨)」 ダイナミック出産、運命を知る眼帯魔女。 自分の運命を素直に受け入れる潔さ。 プッチ神父「覚悟は幸福(ry」 手を触っただけでお腹の中の子が男の子か女の子か解る医者とかスゲえな。 謎の急成長、スポーツ、芝刈りだってスポーツだ、巨人との友情、幻の町でのニート生活、本当の父は牛乳屋?、サーカスでの出会いと「ザ・ワールド」&「メイドインヘブン」。 友人を救うべく愛してきた狼に銃を向ける道化師。見た目は道化でも、心の中は涙を流して躊躇を見せる暖かさ。 バートンのこういう演出が大好きだ。 狼は一匹狼じゃ生きられない。自分を受け入れてくれる存在が必要な、寂しがりやだったのさ。 フィアンセは奪うためにある(真顔)。 「運命で彼女と結婚する事になっているからっ!というか先にサーカスで出会ったの俺だしー、おまえ消えてー!」 何 た る ジ ャ イ ア ニ ズ ム。 ロマンチックだって? ドンが可哀想すぎて泣いたわ畜生! よりによってトイレでとか(´;ω;`)ブワッ ピエロすぎだろドン・・・。 花嫁を奪ったかと思いきや今度は戦争。 このタイミングはドンの呪いか? だが残念な事に相手は死亡フラグクラッシャーだ。 愛する女のために突撃一番、単騎特攻。 シャム双生児の女優の美声、暗視スコープで無敵。 サンタ「訴訟も辞さない」 詩人ラズロはニートをやめて強盗に転職。金をやるから実業家に転職してマジの天職に。 “夢”を買収する瞬間がこれほど暖かいのはこの映画くらいか。 何処までが嘘で、何処までが真実かは解らない。 だが、彼が辿った“人の緑”は夢を現実に変える力を持っていたのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-11 14:16:55)(良:1票)
9.  ビューティフル・マインド 《ネタバレ》 
実在した天才数学者・ジョン・ナッシュの生涯を描くこの作品だが、ジョン・ナッシュを知らない者はこの映画を「SFめいたサスペンス」と受け取り混乱をきたすが、ナッシュを知る者は「軍事施設に採用される」という事の馬鹿馬鹿しさを楽しみながら、恐怖が作り出した幻との、自分との孤独な闘いを安心して見守る事ができる。 だからナッシュの事を先に知ってしまった者は、この“二通り”の楽しみ方を出来ない人もいるワケだ。 モチロン普通の伝記映画として楽しむのも良いけど、この映画の面白いところはやはり“混乱”にある。 嘘のような本当の話・・・と思いきや、やはり・・・!みたいに観客はナッシュと共に“混乱”する。 「伝記なのか嘘なのかどっちだよ」と。逆に何もかも知らない方が、混乱を楽しむ方がこの映画の醍醐味ではないだろうか。 「数学ですべてを支配してやる」というまるで世界征服を目指すマッドサイエンティストのような自信と傲慢。 そんなナッシュは学生時代の初っ端から挫折を味わう。 だが彼には“心の友”とも言うべき友人が常にアドバイスをくれた。 己の才能に溺れ掛け、不安定な精神。机を窓から投げだしたかったのはナッシュ本人だった筈だ。 また、大声で喋るのが嫌いな彼は、大声で喋りたい時に喋るアリシアに惹かれていく。彼が惹かれるのは、常に自分とは違う人間ばかりだ。それだけ違う生き方が出来る他人に憧れたんだろうね。 ロン・ハワードの伝記映画は、アクション映画のような活劇で常に満ちている。 「数学者の人生」という一見恐ろしく地味な題材ですら、冷戦下における情報戦の中に投げ込むのだ。持ち前の頭脳と閃き、知識で闘い続けるコードブレイカーとして。 ソ連(ロシア)の計画を察知するための暗号解読の依頼。 まるでSFサスペンスのように展開されるスリリングな駆け引きが面白い。 彼を護ったり不安にしたりするエージェント。本当に車に乗って銃をブッ放したり派手なチェイスをしたかったのは、ナッシュ本人の筈だ。 「自分との戦い」で彼は何を得られたのだろうか。ノーベル賞?数学者の権威? いや、本当の自分と向き合って話し合える友人や家族だったのではないだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-10 19:21:56)(良:1票)
10.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
ジョナサン・デミによる傑作サイコ・サスペンス。 劇中のアンソニー・ホプキンスの狂気は「サイコ」のアンソニー・パーキンスを彷彿とさせる狂い振り。涼しい顔して何人も血まみれにしていく様子には戦慄する。「ハンニバル」は脳味噌ハンバーグというイカれポンチ振り(褒め言葉)。 その狂気の連続に襲われるこの作品は、最初女性が走ってくるシーンから始まる。整備された森林、女が人気の無い道を走ってくるという場面だけでもワクワクさせられる。汗ばみ息も荒ぎはじめる彼女にこれから何が起こるのか、あるいわ何も起こらないのか。そんな緊張が冒頭から生まれているのだ。 彼女が何者なにか判明するのは、クロフォード主任からの“任務”をスターリング実習生が知らされるシーンだ。 髪を結んでいる時は可愛い、下ろしている時はカッコ良い。見た目はキマッているが内心はまだ訓練を積む新人。 部屋に張られた夥しい“被害者”には慣れっこだが、厳重に管理された独房には身がすくみそう。一人だけ鉄格子でなくガラスの壁という時点で、ハンニバルがどれだけ危ない野郎なのか物語る。 ハンニバルとの会話は妙な緊張が持続し飽きない。スターリングは気丈に振舞うが、本当は囚人からの汚い“送りもの”に叫び声をあげてしまうほど。ハンニバルは彼女を冷静に分析する。内に秘めた狂気を時折覗かせて。 客人に対し“無礼”を働いた囚人仲間を言葉責めだけで追い詰めてしまうのはまさにそんな場面。 ハンニバルとスターリングの取引、乳首にピアスをする人間の気持ちは中々理解できないいやしたくない、スターリングを絵に描くほど“お気に召した”ハンニバルの殺戮ショー、現代アートのように処刑される“標本”。この映画はアチコチに“蝶”のイメージが出てくる。 ハンニバルが何処まで彼女を気に入ったかは知らないが、少なくとも鉄面皮のようで一番彼女を心配していたクロフォード主任は一番の勝ち組。 たった一人で果敢に乗り込むスターリングの覚悟。それを察知した犯人が自ら出向いて来るか待ち伏せるのか解らない緊張、閉鎖的空間のいつ何処から現れてもおかしくない恐怖。それを煽りたてる不協和音。一瞬の銃撃による決着! 教訓:撃鉄は得物を射程に捉える前に落とすべし。 ハンニバルは蝶のように飛び去り、蜂の様に今日も殺人を続けるのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-18 07:42:25)(良:1票)
11.  非情都市 《ネタバレ》 
鈴木英夫は堅物作品ばかりで敬遠していたが、この作品はすんなり楽しめた。 スクープを血眼になってまで追い求める新聞記者への皮肉がたっぷり効いた傑作。「危険な英雄」がよりパワーアップしたような内容で、狙撃されるはボコボコにされるは、何がそんなに好きで危ない橋を渡れるんだという馬鹿ブンヤを描き抜く。何もかも犠牲に出来る狂ったブンヤたちの姿をひたすら追い求めた怪作。 それにしても司葉子は魅力的だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-26 17:22:28)
12.  ヒズ・ガール・フライデー 《ネタバレ》 
ベン・ヘクト&チャールズ・マッカーシーの戯曲を映画化した作品では、最もアメリカで評価が高く成功した作品。 ルイス・マイルストンの「犯罪都市」、 ビリー・ワイルダーの「フロント・ページ」を含めると3回も映画化されている。その中で一番面白いと思ったのがこのホークス版。 マイルストン版は古臭くて演出過剰な上に退屈だった。 ワイルダー版も「教授と美女」でホークスと組んだだけあって悪くないと思うけど、もう一度見たいというほど惹かれなかった。 俺はホークス版の飾り気の無い感じが一番しっくりきたし、何より腹筋がヤバくなったのはホークス版だけだ。 ホークスのコメディは「教授と美女」が一番好きだけど、“破壊力”という点じゃ「ヒズ・ガール・フライデー」が最強。 最初は字幕で見ていたけど、字幕の速さが足りない!そもそも、原語のスピードに字幕が追いつけるワケないじゃないか。 クエンティン・タランティーノの映画といい、この手の作品は原語だけで見るのに限る。遅い字幕なんぞクソ喰らえ! 「赤ちゃん教育」は虎のようなキャサリン・ヘップバーンに追い回される狂気地味た内容だったが、この作品のヒロインは「赤ちゃん教育」よりは正気を保っている。 それでも瓶の中で爆竹を破裂させるような内容だ。 物語は女性記者のヒルディと前の夫だったウォルターが中心となって起こる騒動を描く。 明日再婚してしまうロザリンド・ラッセル、ケーリー・グラントは未練がましく彼女と別れるのが寂しい。 ウォルターは彼女に残ってもらうべく負かさなきゃならな、ヒルディもまた想うところがあるけどウォルターを負かしてやりたい。 かくしてここに90分に渡る嵐のような特ダネ合戦が幕を開ける。 密室において激しく繰り拡げられる男と女の言葉による“殴り合い”。 初っ端からまくし立て、どんどん加速するマシンガン・トークの凄まじさ。10分?5分の間違いじゃない? その後も一人が喋り終わらないうちにまた一人が喋りだしてカオスの坩堝。 銃で撃ち合うようなやり取り・・・そしたら本当に街中で銃撃戦をはじめやがった!ヒロインまでタックルを決めやがる。俺の腹筋を返してくれっ!! ラストスパートは機関砲を撃ちまくるようなスピードと破壊力。 激闘の果てに“降伏”するシーンは可愛い。この可愛らしさはパートナーが女性じゃないと味わえない面白味だね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-05-20 18:08:47)(良:1票)
13.  ビリディアナ 《ネタバレ》 
カトリックの最高峰ヴァチカンを「冒涜的だ!!!」とブチ切れさせた問題作。 ヴァチカンすら怒らせるブニュエルの変態振りに敬意すら覚える。  ヒロインは受難に次ぐ受難でどんどん堕落していく。 「誠意をもって接すれば、相手も必ず誠意をもって返してくれる」なんて幻想は微塵も無い。  ネグリジェ姿のビリディアナの艶かしさ。 「皆殺しの天使」や「砂漠のシモン」でも美しかったシルヴィア・ピナルが最高。 さらに亡き妻を偲ぶドン・ハイメがコルセットやハイヒールを付けている。シュールすぎる。どんだけだよ。ここまで来ると完全にイッてます。 無駄に美脚だし。 黒ストッキングを脱ぐビリディアナよりもキレイかも知れん。  ハイメがビリディアナを襲おうとする。 ウエディングドレス?に着替えさせ、接吻をし、胸のボタンを外して豊満なバストを視姦。 だが、もう一歩踏み出せないドン・ハイメ。夢心地でさまよう彼女の生脚を凝視しもしたが、中々彼女を本格的には襲わない。視姦だけで愉しんでいるのか、それとも亡き妻を偲びすぎて心も乙女になってしまったのか。 そんな現場を少女に見られた日にゃ・・・縄跳び少女は見た! それに対するビリディアナの最高に洒落た“ジョーク”で大爆笑。 変態武装で来るドン・ハイメ、しかし肝心のビリディアナは夢遊病&“灰”で返答(意訳:灰になって死ね)。 ドン・ハイメは絶望して、笑いながら遺書をしたため縄跳びでアボーン。 縄跳びは少女に与えていたもの。ハイメは縄跳びで飛ぶ少女を想い描きながら死んだのだろう。どんだけ脚フェチなんだよアンタ・・・。 あの終わり方は酷すぎる(褒めてる)。  そして欲望に任せて乱痴気騒ぎの「晩餐」をする乞食の姿の凄まじさ。 ソファ越しに交わろうとする様子も凄い。  「アンダルシアの犬」以来のシュールさ、そして「皆殺しの天使」で頂点を極めた意味不明さ加減が最悪に挑発的で最高に心地良い傑作。 中毒性がヤバイ。マジで危ない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 14:22:19)(良:1票)
14.  火の馬 《ネタバレ》 
短編「ピロスマニのアラベスク」といった作品が強烈な印象を残すパラジャーノフだが、パラジャーノフの最高傑作を1つあげるとなるとやはりこの作品になるだろう。 「ざくろの色」に比べるとややインパクトに欠けるかも知れないが、この作品は二人の男女の悲しき運命の果てを強烈なビジュアルで綴る映画だ。 劇中で度々画面をよぎる火の馬は、流される血のように紅く燃えている。 冒頭の雪が降り積もった森で、少女のようにあどけない男の子の顔が映される。 その幼い子供の父親に、無残にも倒木が襲い掛かる。木が上から倒れてくるカットが強烈。 死者の魂を高らかに送り出す奏者たちの音楽。死者を奉る場で新たな死者が出てしまう悲劇。 ウクライナのカルパチア山地、二つの氏族は何世代にも渡り争いが耐えなかった。子供たちも今は良き友人であったり愛し合っているが、大人になればやがて殺しあうような日がくるかも知れないのだ。葬式での悲劇は、そうやって何度も繰り返されてきた悲劇の一つに過ぎない。 女の裸体を徹底的に見せない拘りも良い。裸で戯れる少年と少女。 シャツを着たら次の瞬間には青年に成長しているイワンコ。マリチカもまた、立派な大人の女性へと姿を変えていた。 雨の中濡れる二人。しかし民謡がうるせえ。ポンとお腹に触る婆さんの心意気。 まるで狩人たちが女の命を狙うように迫るシーン 崖の上での悲劇。マリチカは断崖の子羊を救おうとして・・・。 揺れながら迫るカメラが、サスペンスを異常に盛り上げる。 木の間から女の表情を追うカメラがヤケにサスペンスフルだ。 終始異様なテンションが、亡き女性を忘れられない男の狂気を物語る。 新たな女性と首にかける梯子は、まるで首枷のよう。 女を忘れられない男は、いつも何処か余所余所しい。前の女に比べたら、他の女はみんな羊みたいなものか。そんなもん誰だって他の男に逃げたくもなるわ。 祈る新妻の姿は、裸で他の男を誘っている風にしか見えない。 窓から覗く子供たちの笑みが不気味に見える。 イワンコは、父親と同じ運命を歩んでしまう。 グルグルと人々の顔を映し狂騒を演出。葬式は盛大にかつ楽しく送られる。死体の前で次のカップルが愛し合い始めるんだもの。 葬式に始まり葬式に終わる。 さまよう魂は、真っ赤な木々の向こうで愛しき人と再会するのであった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 05:48:34)
15.  ヒート 《ネタバレ》 
この映画は恐らく1回見ただけでは余りピンと来ない人もいると思う。 確かに銃撃戦の鮮やかさには一発で魅せられ、3時間近い長さをまったく感じさせない演出には脱帽する。 が、肝心の登場人物たちの描き方は何処か軽薄なようにも感じる。 しかし軽薄が故に「何故彼らは銃を握るのか」という事を考えたくなる。 2度、3度見る事でどんどん深味を増す作品の一つと言えよう。 とにかくアル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロとか最高すぎる組み合わせ。 列車が駅に着き病院に行く男、工場で爆薬を買う男、そしてベットで朝の情事を愉しむ男。この映画の主人公たちが出揃い、物語は銀行襲撃までのシークエンスを積み重ねはじめる。 最初のトラックで警察車両を襲撃するまでのシークエンスが面白いし、その後も警察と強盗団の徐々にスリルを増す駆け引きで手に汗握る。 強盗たちを取り巻くそれぞれの女のドラマも見応えがある。夜景の美しさや、薬莢がカランカランと音を立てて転がる様子も気持ち良い。 アル・パチーノの狂気地味た尋問シーンは怖いっつうの。もう犯罪者に憎しみつのらせまくりというか、家庭環境が上手くいかない奴当た(ry 誰もが子供をめぐって解れ、一方で和解する。 駐車場での狙撃、物々交換、取引が命のやり取りに。 倉庫におけるやり取りも、一瞬鳴る“音”が総てをうち壊す緊張。 夜のハイウェイにおけるジリジリとした追跡、カフェでの会話も印象的だ。 いつも片方の顔だけがハッキリ映り、もう片方は後姿かボヤける奇妙なツーショット。 二人はあくまで敵と味方、水と油であり、二人揃って観客に挨拶を交わす“友人”にはなれない。 およそ10分に渡る銀行強盗から市街地における激しい銃撃戦。薬莢もガンガン排出される。 ロバート・デ・ニーロの仲間たちへの“弔い”。最後まで信頼してくれた者たちへの報恩、裏切った者たちへの報復。 女たちもまた、愛する者のためにあえて裏切りを選ぶ。ただ“立ち上がる”だけで居様な緊張が生まれる演出が凄い。 愛する女だからこそ、それを守るために“諦める”男たちの引き際。ある者は手の動きで察し、ある者は目の前に迫る宿敵によって。路上ですれ違う一瞬が忘れられない。 最後の最後、光と音、そして影のみで構成されるクライマックス。極限まで緊張が高められ、眩いばかりの閃光と共に決着は付く。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-17 00:17:24)(良:1票)
16.  100人の子供たちが列車を待っている
イグナシオ・アグロエによる心暖まるドキュメンタリー。  映画を製作する側から見せて、見終わった後に「ああ映画が好きで良かったな~」って元気になれる映画っていっぱいあるよな。 ティム・バートンの「サム・ウッド」とか、フランソワ・トリュフォーの「アメリカの夜」とかさ。 アグロエは、こんなにも素敵な良い映画を残してくれた。 リュミエール兄弟の「ラ・シオタ駅への到着」で衝撃を受けた当時の人々の興奮を、このアグロエの映画は感じさせ・・・いや“思い出させてくれる”。 会った事も無いのに、あたかも以前出会っているような・・・そんな感じ。 子供たちのキラキラ輝りだす瞳もキレイだが、子供たちに熱弁を振るう女性教師の瞳の燃えるような輝きも印象的だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-16 22:52:30)
17.  ピクニック(1936) 《ネタバレ》 
ジャン・ルノワールはこの「ピクニック」が初めてだった。これは俺が一番好きなルノワール作品。ルノワールは「ゲームの規則」や「大いなる幻影」よりもこういう小品の方がメチャクチャ面白い。 とても優しく切ない映画だが、ルノワール特有の水、水、水の描写が最も際立った映画だと思う。40分の短い時間にとても楽しく、とてつもなく悲しい恋の話が描かれていく。   短編映画の魅力が何なのかというと、時間に追われるスリル、時間と格闘するような緊張を味わえるところ。 それは中篇の犯罪映画「十字路の夜」における高密度のスリルにも言える。   この映画は川の流れの美しさで癒されるが、同時に許されぬ想いに身を焦がす男女の愛をサスペンスフルに描いている部分もある。「大いなる幻影」で銃に狙われる一瞬の緊張よりも、男女が一線を超えてしまう一瞬の方が緊張する。   緩やかな流れる川は、結ばれない男女を冷めた眼で見守る傍観者(監督のルノワール自身)でもあるようだ。 皆さんもポイ捨てだけは絶対しないように。物も女性も。   この映画では傍観者の川も、「南部の人」や「スワンプウォーター」では容赦なく人々に牙を向ける。  この作品の後に「ゲームの規則」とかを見るのがいつも楽しみです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-27 00:47:24)(良:1票)
18.  緋色の街/スカーレット・ストリート 《ネタバレ》 
「飾窓の女」のオチが気に入らない俺は断然「スカーレット・ストリート」。 序盤はラング得意のじっくりドラマを描く展開で見せ、徐々に複雑かつ深刻な状況に主人公を追い詰めてしまう。些細な出来事がどんどん膨れ上がる恐怖。 主人公が描いた美人画(どう見ても「メトロポリス」の雰囲気バリバリの絵です。本当に(ry)が強烈だ。  「飾窓の女」に出てきたショーウィンドウの絵よりも強烈だぜ。言っちゃ悪いが、アッチはキレイすぎて毒が無い。サスペンスはやっぱり猛毒が無いとな。悪夢が一生続くような毒がさ。 寝ても覚めても悪夢が主人公を蝕み続けるラストが素晴らしい!こういう「飾窓の女」が見たかったのよ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-26 14:40:22)(良:1票)
19.  ビッグ・トレイル(1930) 《ネタバレ》 
ジョン・ウェインのデビュー作という一括りで片付けるには勿体無いフロンティア精神に溢れた作品。 本作の内容は後の「小さな巨人」や「ソルジャーブルー」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に先駆けたテーマが描かれていた。  それはインディアンとの共存が可能か可能でないか。 幌馬車隊は道案内としてインディアンたちと交流を結ぶ。  他のインディアンのグループたちとも交渉し、絆が結ばれようとしていた。 正しそれは交流したグループだけの話であり、事情を知らない別のグループとの戦いを避けられるという保証は何処にも無い。 インディアンたちも、味方同士で殺し合わなければならないという理不尽さを目の当たりにする。  本作はジェームズ・クルーズの「幌馬車」さながらに西部開拓民たちの力強い生き様を雄大に描く。 壮大な幌馬車隊がくぐり抜ける大自然の猛威。 河を渡り、 森を切り開き、 砂漠を超え、 嵐を乗り切り、 雪原を突破していく。 さらにはインディアンの襲撃、組織内における対立など内と外での戦いも絡んでくるのだ。  最初40分は幌馬車隊の生活模様と出発をじっくりと描きやや退屈だが、 人々のコミカルなやりとり、 月下でのダンス。 幌馬車の群れを円形にしてグルリと囲んだ中での団欒。 40分目におけるバッファロー狩りの迫力。 命懸けの河渡り、押し流される人々の描写が怖い。 そこに戻って来たウェイン、幌馬車の渡河を手伝う。 さらっと戻ってくるウェインのカッコ良さはこの時から感じられる。 50分目におけるインディアン(シャイアン)との交渉。 あの時のウェインは尻を撫でているようにしか見えない(笑) 結婚式の直後に流れる不穏な空気もまた凄い。 幌馬車隊内におけるささやかな結婚式、裏では男たちの殺し合い。 この光と闇の描写。 終盤におけるインディアンとの戦闘の迫力。 危機を乗り越えた幌馬車隊だが、生き残った者と背後の簡素な墓標の対比。 犠牲を乗り越え、それでも人々は前へ前へと突き進む。 安住の地を目指して・・・。 そしてラストの一瞬の決闘。 「銃」ではなく「ナイフ」というのが憎い演出。 最初あれだけピカピカの服装だったウェインが、砂や雪にまみれてヨレヨレの格好になり、また戻ってくる。 何度でも戻ってくる男のカッコ良さ。 穏やかなエンディングが何とも言えない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 20:04:42)
20.  拾った女
反プロパガンダ映画の傑作フィルム・ノワール。 冒頭から一気に引き込まれる見事なファースト・シーン。 短いショットの積み重ねで我々を退屈させてくれない。ストーリーもスリからタレコミ、共産主義のスパイと複雑に絡み合う。 セルマ・リッターに女優賞を贈らなかったハリウッドの何たる見る目の無さよ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 00:12:17)(良:1票)
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