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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2008
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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21.  4デイズ 《ネタバレ》 
鑑賞後たっぷり一日半は考え込んでしまった。 突き付けられたのは悪魔の質問。「目の前の子どもを殺すか それとも何万もの人命を犠牲にするか」 悲劇の規模を考えれば、理性的な選択はS・L・ジャクソンの言う通りでしょう。しかしわたし含め多くの人はキャリー・アン・モスなのではなかろうか。とてもじゃないが幼子の血で手を汚した後に正気で生きられるとは思えない。だからこそ、サミュエルはすでに狂気の人なのですが。 わたしは逃げるな・・。そして吹っ飛ぶな。周囲の人もろとも。申し訳ない。そんな訳なので私をFBI主任捜査官に据えないでください。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-13 14:56:57)
22.  ブラック・スネーク・モーン 《ネタバレ》 
黒人の男がセックス依存症の白人の女の子を鎖で監禁、ていう目線で宣伝を打つから誤解を招くんだよ。どんなエグイ出来やらと思ったら、むしろハートウォーミング系のお話。映画会社には少し反省してもらいたい。 身も心もボロボロの、見るからに痛々しい女の子をS・L・ジャクソン扮するブルースシンガーが懐の大きさで癒してゆく、まあ人生やり直しドラマ(ふれあい型)のど定番です。 半裸も厭わないC・リッチの文字通り体を張った仕事は立派だし、サミュエルの良すぎる歌声は魅力的なのですが、いかんせんシナリオが凡庸で依存症や入隊した彼氏の不安症候群など難しい心の問題の克服を簡単に扱いすぎでした。役者の力量におもね過ぎの感があります。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-15 21:49:45)
23.  フライト 《ネタバレ》 
アルコール依存症の男が立ち直るまでの軌跡が本筋なのですが、前半の飛行機事故描写があまりにリアルで緊迫感を伴っているためその出来の良さが作品全体のバランスをむしろ崩している感じです。 事故原因と機長の瑕疵との因果関係を追及された「ハドソン川の奇跡」が被り、観てるこちらは主人公がドン・チードル弁護士と共に運輸安全委員会に対して共闘する図式を予測していたのですが、全然違うんだなこれが。ドン・チードル弁護士なんかほぼチョイ出。委員会のメリッサ・レオはもっとガヤ扱い。話の七割で延々デンゼルの酒に吞まれる様を見せられるとは。 D・ワシントン上手いですけどね。なぜそんな情けないことになっちまってるのか脚本が説明していないので、ウィップという人物に対して興味が今一つ持てずじまいでした。もう少し彼の人間性を描写してくれていたら、ラストで「死者に罪をかぶせる」ほど堕ちてはいなかった彼の精神性にもっと感動できたのにな、とは思います。 いやーそれにしても酒瓶一本の画をあれだけ緊張感をもって見つめたのは初めての経験でしたよほんと。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-11 23:21:54)(良:1票)
24.  プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 《ネタバレ》 
悪くないんですけども。三世代ものドラマを描こうとするにはやっぱり尺がたりないですし、各パートの出来不出来が一本の映画作品の中にできてしまっては座りが悪くなります。 収まりが一番良かったのは一番手ライアン・ゴズリング編。ダメ父の悲哀を短い時間の中できっちり見せ切ったゴズリングの技量は大きいです。 2番手B・クーパーは脚本で割を食ってしまっています。生来の生真面目くんが狡猾に立ち回る政治人間になってゆく流れなど、30分やそこらで描き切れるわけないのです。だもんで、まあクーパーのキャラ変化が忙しい。おまけにこういう挿入話的なすき間にレイ・リオッタなんて特大級存在感の悪顔役者を投入すべきではありません。レイ・リオッタだよ?全部持って行かれたではないか。 3パート目のデイン・デハーンが輝きを放ったので、なんとか最後盛り返しました。良い血筋もそうでないのも三代は続かない、ということですかねえ。 タイトルは地名まんまだそうな。松林の向こうへと巣立つデインはかつて父親が居た世界で何を見るのでしょう。若者が旅立つ姿ってほんとに良いなあ、とラストシーンはなかなかにじーんときました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-04-04 23:09:24)(良:1票)
25.  ブレードランナー/ファイナル・カット
オリジナルを観た時の心の震えは色褪せる事無く。今また新しい技術を施された鮮やかな未来世界に再び陶然となりました。 いつも暗くて猥雑な下界に降りしきる酸性雨。 巨大な広告船に映る日本髪の女、奇妙な文字。 内も外もメタリックに輝くタイレル社。 からくり人形が占める技術者の部屋。白いダリル・ハンナ。 髪形も肩パットも押しの強いショーン・ヤング。 もう少し色気の欲しいハリソン・フォード。 レプリカントの哀切、悲恋。音楽の残す余韻。 全てが濃く強く、あの紺色の世界の中に刻印されていて美しい。 何度観ても心惹かれる名作、監督の意匠が一番反映されているこの‶ファイナル・カット”が一番好き。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-03-08 23:52:19)
26.  フォー・ハンズ 《ネタバレ》 
小説だと、「読み手が視覚を使えない」ことを利用してミスリードする手法がありますね。この映画はその逆で、「見える」から真実の逆へと連れて行かれる。上手いなあと思いました。 観ている間は語り手の言を信用して話を追います。そしてオチがついた後に思い返してみてもあそこはズルイよ、となるところが無く着地の仕方も妥当な線に収まっていると思います。わたしは素直にびっくりしました。 オチとしては単純でそのネタ晴らしだけに向かって展開し、事件がほかに広がりを見せず狭いお話にとどまっているのが巷の評価がやや低い一因かもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-01-09 14:26:11)
27.  ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 《ネタバレ》 
んー、シリーズものの谷間の位置にあるのでやや説明的だし、人物いっぱい出てくるけど「その人重要?」と見極める前に話が終わってしまいました。急に全員墓地に集合しているあたり、尺に収める脚本家の苦労が目に見えるようです。 でもまあ、2作目以降も律義についてくるのはファンが大方でありましょうから一定数の数字を取れることは間違いなし。実際、映像技術に手抜きは無く、圧倒的な魔法世界が展開されます。 なじみのキャラクターに会えるという安心感もシリーズものの強みです。わたしは二フラーが相変わらず可愛かったので満足です。年齢のせいかメイクのせいか、女性陣が前作より器量が落ちたように感じるのが気がかりです。 重要どころのジョニデが降板となるのは痛手だなあ、顔を白塗りして片目にカラコン入れときゃグリンデルバルドの出来上がりというモンでもないでしょうからねえ・・と思っていたところ代役が発表されましたね。マッツ・ミケルソンとはナイスな選択、いやベストじゃないかなとテンションが上がった今日この頃でありました。
[地上波(字幕)] 6点(2020-12-27 23:14:15)
28.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
プロットの全容、登場人物のキャラ立ち度、散りばめられた実に多くのレッドへリングをキレイに回収して一点に着地させる脚本力。こんなに完成度の高いサスペンスに出会うのは「羊」の後「セブン」以来。久々に唸りました。2時間半あっという間です。 娘の誘拐犯と対峙したらどうするか。犯人と思しき男に関わる三名の被害者家族の心情に少しづつ温度差があって考えさせられます。娘のために行き過ぎの暴行も辞さないと腹をくくったヒュー父。ヒュー父のやり方に懐疑的ながら、消極的に手を貸す友人。そしてヒュー父に暴行をさせるに任せて、実利は得ようとする友人妻。それぞれの気持ちが正直全部分かるんですよ・・。ほんと困ってしまいました。アレックスが受けているのは酷い暴力に違いないのだけど、こいつが本当に小児性愛者だったら?と思うとヒュー父を咎める気持ちも揺らいでしまうしで。 タイトルのプリズナーズは複数形。攫われたたくさんの子どもらのことでもありましょうし、別の視点では宗教に囚われた者たち、とも考えられます。劇中何度も語られる聖書の一節。主にヒュー父が暴力を行う際に神に許しを請う時ですね。犯人は信仰心をねじ曲がった方へこじらせて事件を起こします。神が介在するために極端に走る人らの一方で、比較的冷静に事件と向き合い理屈と証拠を元に解決へ向かう刑事が非キリスト教徒(ぽい)のは何かの象徴なのでしょうか。 役者全員の仕事がもうすんばらしいの一言です。熱量の高さときたら口角泡飛ばすその唾までこちらに届きそうです。直情型アメリカン親父のヒュー・ジャックマンとプロフェッショナルの姿勢を崩さないジェイク・ギレンホール。この二人のキャスティング、逆にしてもうまく行くと思うんですよ。ジェイク・ギレンホールが目を剥いてキレる様子も、困惑顔で困難に立ち向かうヒュー・ジャックマンも容易に想像つくでしょ?見てみたいなあ。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2020-12-09 00:46:38)(良:1票)
29.  ファースター 怒りの銃弾 《ネタバレ》 
D・ジョンソンが銃をぶっ放して復讐に邁進するドンパチものとイメージしていたら、意外や意外これがどちらかというとハードボイルドテイストでした。 登場人物は主に三人。それぞれが影を背負って渋くてイイ感じなのです。ええ、ロック様もきっちりと渋いです。 「怒っている」から復讐へ向かうのですけど、D・ジョンソンの元からの‶ちょっと困ったような顔”が今作の役柄になにやら奥行きをもたらす効果アリなのでした。今や聖職者になっているターゲットとの向かい合わせのやりとりは緊迫感でいっぱいです。元来悪人ではないドウェイン、‶神のしもべ”に切々と「許し」の大切さを説かれて例の困惑顔を浮かべつつ、引き金を引くべきか否かあり余った筋肉がふるふる震えるのでした。やめろ、やめておけドウェイン、な? ビリー・ボブはもちろん言わずともベテラン演技巧者らしく正体不明などっちつかずさを見せます。子どもとの会話もシーンは短いけれど気持ちが伝わる描写で、こんなささいな場面にも気を使っているステキな脚本でした。 惜しいのはキラーの彼。彼のみ掘り下げ不足な感もあり、割を食ってますがまあ次回ガンバレ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-10 23:15:54)(良:1票)
30.  フリック・ストーリー 《ネタバレ》 
70年代の映画の良いところが全部詰まってる一本。生活感と建築美の合わさったパリの小路がくすんだ色味に沈み、その中に置かれた演者らの陰影深い佇まい。80年バブルに入って一掃されてしまうこれらの情感が隅々まで漂っていて、陶然とします。 男たちが渋いもんね。モスグリーンのトレンチを着たアラン・ドロンはヘビー・スモーカー。官僚的な上司に意見しつつ参考人らには硬軟取り混ぜて証言を引き出す、絵になる男。やっぱりかっこいいなー。ところがジャン・ルイ・トランティニヤンの露出が多くなるにつれ、さしものドロンが食われてゆくのです。 ジャン・ルイ・トランティニヤン!「男と女」での印象薄とは打って変わって、映画史に残る冷酷な殺人者ぶりでした。 薄青の瞳は常に座っていて、一切躊躇せず引き金を引き、出過ぎた小娘は横っ面を張り倒す。彼とドロンがついに邂逅する食堂のクライマックスの緊張感ときたら。何度もトランティニヤンの目線をカメラが捉えるんですよね。考えが読めないその瞳に、バレたのかしら?と冷や冷やさせられる名場面です。 この頃の映画は煙草が本当に粋な小道具として機能しているなあ、と強く思わされる作品でもあります。格好良い俳優は皆タバコを手にしていた。火を点ける仕草も口にくわえた姿も素敵に超がつくほどで、彼らのタバコの吸い方は世の男性諸氏のお手本だったのですけどねえ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-03 22:29:10)
31.  フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 《ネタバレ》 
フロリダのディズニーワールドの近隣に暮らすムーニーは6才の女の子。パープル色の大きなアパートの一室にママと二人暮らし。いろんな棟に友だちがいる。引っ越していってしまう子も多いけど、また新しい友だちが越してくる。管理人のおじさんはいつも小言が多いけど良い人で好き。毎日友だちと遊びに行くんだ。近所にはイタズラし放題の空き家があったり、本物の牛が放牧されてたり冒険がいっぱい。近くの大人に頼めば、アイスも手に入る。友だちみんなで一個を分けっこだけど。友だちのママが食べ物をくれるし週に一度は赤い車がパンを持ってきてくれる。ママのことは大好き。若くて髪の色がキレイなママ。 。。ムーニーは幸せだ。だってまだ6才だから。6才の目から見るフロリダは陽の降り注ぐ中にパステルカラーの建物の並ぶファンタジックな街。でも私たちは知っている。ムーニーの無邪気な日々、それはぎりぎりの綱渡りの生活の上にあることを。ムーニーたちの家はアパートじゃなくモーテルで、住んではいけないのだけどボビーが黙認してくれているのだということを。住処も、食料も他者の温情で繋いでいるということを。そしてヘイリーもムーニーも教育が足りていないということも。 ムーニーは勘の鋭い子。ついに6才の幸せな時が終わることを大人のうそ笑顔の裏に見抜いて、友と逃げ出す。逃げる先はシンデレラ城。夢の世界の本丸だもの、ここを目指せば幸福の中に居続けることができそうだものね・・。 映画はここでエンディング。しかし我々はまた容易に想像がつく。ムーニー、無理なんだよ。そこはお金のある人にしか夢を見せてくれない。なんてことだろう。欺瞞の夢世界は6才の子の望みを打ち砕く。 そもそも、ヘイリーたちのような生活困窮者らを生んだのが、ディズニーワールドのフロリダ建設計画「フロリダプロジェクト」。土地や賃料が高騰し、まともな住居の保証料を払えなくなった人々が発生したのだとか。 貧困のすぐそばで永遠の夢の国を謳うディズニーランド。このグロテスクなこと。 真正面から問題提起するという形でなく、最弱者である子どもの目線が交じることでこの社会問題の残酷さがよりはっきりあぶり出されています。 ブルックリン・キンバリー・プリンスの天才的な演技、W・デフォーの情感溢れる存在が心に残ります。強烈な一撃のような作品ですが、これがアメリカの「現在」なのですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-09 21:04:07)(良:1票)
32.  ブレーキ・ダウン 《ネタバレ》 
90分間ノンストップのサスペンス。難アリの邦題からは予想もつかないほどのスピーディな展開は目が離せません。カート・ラッセルの強さが超人的なのがちょっとアレだけど。 「激突!」を思わせる難癖つけられトラブルの恐怖→妻の失踪謎解きサスペンス→銀行での静かなる精神駆け引き→素人犯人らの意外なまでの凶悪ぶりにビビる、と怖がらせの種類が豊富なのです。いろんなタイプの緊張詰め合わせ。合間にハラハラカーアクションや肉弾戦、とサービスも満点。 犯人役のJ・T・ウォルシュの老獪な悪辣ぶりが嫌らしいほどにハマり、かなりの強敵なのですがそこはカート・ラッセル主演作ですから、ハラハラしつつも「ラッセルがやられるわけねえ」と絶大な信頼を置いて観られるのも心地良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-27 23:55:38)
33.  舞踏会の手帖 《ネタバレ》 
同窓会になんか行きたくない人ってけっこういると思うんですよ。ところが同窓の方からいきなり来られる、という考え方によってははた迷惑なお話。ヒロインが皆のアイドルだったから許されたでしょうか? 「思い出は美化される」とは執事氏の言。まさにこの台詞が物語の全てで、どの再会もクリスティーヌの抱いていたノスタルジーの甘やかさとは程遠い。30過ぎて見る「舞踏会」の現実に幻滅するクリスティーヌとは対照的に16歳の女の子は目をキラキラさせて「舞踏会ってなんて素敵」とはしゃぐ。彼女はかつてのクリスティーヌ。きっと16の夜の思い出は彼女の心にもずっと美しいまま保存されるのでしょう。 美しい思い出は美しいままに留めておきましょう。過去を掘り返したとて、前に進む糧とはならないのです。・・というテーマの話だと思っていたのだけど。なんとクリスティーヌは過去の続きから生き甲斐をゲットするというオチでした。いや、なんかずいぶんヒロインに甘い戦前の映画だなあとびっくりです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-05 17:17:04)(良:1票)
34.  ファイティング・ダディ 怒りの除雪車 《ネタバレ》 
いやあー何これ面白い!二回続けて観ちゃった。二度観てわかったけど、これ笑っていいやつだった。同系のキレるオヤジもの「96時間」がマジ物件なのと違ってコメディなんだね。ちなみにリメイク版はやっぱりL・ニーソンだとか。 テンポが素晴らしいじゃありませんか。わかりきった説明は一切省き、どんどん進む。さくさく悪い奴が死ぬ。死人が出るたび、ぽっと表示される墓標。宗教によって十字架等の種類もちゃんと変えている凝りよう。クールだなあ。 話はガンガン進むのに、末端キャラに至るまでなんでかやけにしっかり存在感がある。おかげで全員の顔が覚えられます。ノルウェー組織の構成員が「福祉国家は寒い国ばかり」と”福祉か日差しか”と社会福祉論に切り込んでみせたかと思うと、セルビアギャングはノルウェーの刑務所における人権意識の高さに国民性の違いを見るのであった。なにこの描写。「無駄話」がこんなに活きているのはタランティーノ以来の衝撃。 あまりに早い日系殺し屋の退場っぷり、ドライすぎる中国人の嫁、雪ではしゃいでしまうセルビア人、等ふふっと笑わせたかと思えば「重機カタログの本読み」で爆笑させられたり。 ニルス、ウィングマン、ブルーノ・ガンツら渋い顔のオヤジ(じいさん)らがやたらかっこ良い。 息子を殺された同士ゆえか、なぜか心通じ銃を収めるラストシーン。ぐっときそうになったところへ、まさかあんなトコからもう一人分十字架追加とは(!) いやあ参った。シュールでありつつ、脚本は良く整理されているし。桁違いに大量の雪景色と巨大重機の画にも圧倒されるしで。おそるべき珠玉の北欧映画であります。 オリジナルタイトルはスウェーデン語で「大馬鹿野郎」だそうで、いや馬鹿はたくさん出てくるのですが。やはり親の家督を継いだだけのボンボン、器の小さいこと、判断の正しくないこと、部下に売られる末路、と伯爵こそがタイトルにふさわしい馬鹿ですね。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2020-03-26 16:42:28)(良:2票)
35.  ブラジルから来た少年 《ネタバレ》 
これは、大変戦慄を覚えました。序盤のうちにポリス・アカデミー出身S・グッテンバーグが早々と死んでしまう。彼が主役となって話を回してゆくのだろうと思っていた私は度肝を抜かれました。世界中の94人の公務員の男を殺せという指令の意味不明なことや、世界のあちこちに見つけられたそっくりの男の子等、謎の提示とその解明が予測もつかないし、判って震えるしでサスペンスの一級品と思います。 個人の感想ですけどこの年代の作品て、共通して淡々としたところがあって、今作は人の死ぬ場面がどれも恐ろしい。「ああー、逃げないと殺されちゃうよ!」と思っていたら本当に殺されちゃう。カメラはあまり動かず騒がず、すっ、と殺っちゃうんだ。あまりの生々しさにいちいち「ひっ」とビビります。ダムなんかトラウマになりそうだ。 整形かメイクか、顔に違和感のG・ペックの怪演や、クローンアドルフの男の子ともに不気味でいっぱい。遺伝子と環境の二つを揃えてやればもしかして、と思えなくもない現状も怖い。特に21世紀の今なんか欧州各国で極右政党が台頭してますから、メンゲレ博士の狙いも実現しやすい土壌は十分ですし。怖い。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-15 00:11:38)
36.  フリービーとビーン/大乱戦 《ネタバレ》 
荒っぽい刑事コンビがカークラッシュを誘発させながらのカーチェイス、法規無視の銃乱射がお約束の”バディ・ムービー”のハシリなんだそうで、なるほどこれは当時リアルタイムで観たかったなあ。 時代ズレを起こしてしまうのはどの先駆作品にとっても宿命で、その当時の空気を共有していないとノレない。ほんと不公平と思うけど、後発作品を何十本と観てからだと今作も野暮ったさが気になってしまいました。 カーチェイスのスピードは普通運転並みだし、パレードのチアが車を囲んで抗議する場面がとても記号的だったり、刑事のヨメの浮気嫌疑が晴れるシーンもくどくてテンポ悪い。なにしろスピードがどんどん上がっているのですよね何事も現代は。 ユーモアのセンスは今でも通用するキレの良さでした。高級シャツを買うときのへりくつとか、ヨメの浮気を疑って落ち込む相方にかけるヒドイ台詞とかは笑えましたし。つくづく封切り時に楽しく観たかった作品です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-14 16:08:23)
37.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
おお、暗い。湿度も高い。いいですね。これぞブレードランナーの世界観。続編を作るのなら、この雰囲気は絶対に死守してくれないと。もちろんヴィルヌーヴ監督はちゃんと心得ているうえ、彼の暗いけれど粒子の細かい画のセンスはブレードランナーと相性が良かった。僥倖なことであります。 力の入りまくった隙の無いSF世界は初めて見る光景。現代の映像技術の最高峰を堪能できます。 美術は満点ですがやはり偉大な前作を越えるのは難しい。「自己とは何か」という問いを美しいレプリカント達の苦悩に変換した前作にあふれていた情緒が、なんだかとても薄い。ライアン・ゴズリングも悪くはないけれど、彼のつるっとした顔はどことなく無痛気味。”記憶は他者のもの”という事実を前に落胆して机を殴るライアンより、静かにうつむき写真を破り捨てたショーン・ヤングの後姿の方がより強く悲哀が伝わる気がする。事実40年経った今でも忘れられない場面の一つであります。 あとはねえ、細かい諸々への不満。ハリソンが死ぬわけないと分かっている海面不時着時の戦闘が長い。レプリカントレジスタンス達の登場もとってつけた感。口頭説明が長いのも辟易しました。一作目のファンてウルサイなあ我ながら。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-10 16:49:11)
38.  ファンタズム(1979) 《ネタバレ》 
心理系オカルトかと思いきや、肉体的苦痛のスプラッタ要素もあるし、SF風味もぶっこんでるしでジャンル分け不可のごった煮ホラーですな。なかなか独特の味わいはありますが監督が思うところの「怖い画」をずらずらと並べて喜んでいる感じで、今の時代ではシュールという表現がもっとも当てはまるのでは。 序盤の墓地までは不気味な雰囲気に多いに期待したんだけど、そこからがねえ。友人の祖母が占い師やってる館では箱が現われたり消えたり(何の意味が?)、フォーク内蔵の銀球がひゅーと飛んできたり(普通に危ない)、古い写真の男がこっち見たり(誰)、なんのこっちゃ、と思います。 ラストもなあ。監督のどや顔が見えるようなまさかの夢オチ。うーん怖くない。古くても73年のエクソシストは今でもちゃんと怖いんだけどねえ。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-08-13 23:24:36)
39.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
*ネタばれしてます。未見の方は御注意。や、あまりに予測不可な話だったので、もっと説明がほしくて「えっこれで終わり?」とエンドロールを眺めながらうろたえた。でも録画していたのを幸いに何度か観返してみるとちゃんと全部言い尽くしているんですよね。伏線もすっかり回収してて謎を残さない。 ぐるぐると還って始まりも終わりもない物語を巧みに整理できている構成力は満点です。 ちょっと物足りないのは仕組みの説明に終始していてドラマとしての広がりが無いこと。タイム・パラドックス系の他作品に見られるような、他者(両親とか殺し屋とか)が関わってきてそこから事件スタート、という展開じゃないので「ああ、そういうことだったんだ」で感想が終わっちゃう。登場人物がほぼ一人の話なのでそれも仕方ないのですが。 あとねえ、個人的に腑に落ちないのが「自分」に恋するかなあ~というところ。子供まで作るかなあ。わが身に置き換えるとどうにもキモチ悪くてちょっとそこはノレなかったです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-07-26 00:15:26)(笑:1票) (良:2票)
40.  ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ハリーポッターのスピンオフ的なイメージを抱いてましたが、新作としてとても楽しかったです。 魔法世界を描くCG技術には今さら驚嘆すべきものはないけれど、舞台となる1920年代のニューヨークは落ち着いた色彩で纏められており、この雰囲気がまず良かった。 主人公と逃げた魔法動物の追いかけっこを本筋として、街で連続する不可解かつ物騒な事件を横糸に絡ませたストーリーはきちんと謎解きになっていて面白く出来ていると思います。もっとも、真相から目を逸らせるミスリードのプロットはハリーポッターシリーズと同じじゃん、という指摘もありましょうが。 そしてこの映画の一番の功労者はエディ・レッド・メインでしょうな。彼が与えたニュートの造形すなわち動物オタクの優男キャラは100%完璧で、彼以外の配役はもはや考えられない。ハリポタシリーズ後半ではおじさんぽくなってしまって高校生に見えづらかったダニエル・ラドクリフよりも物語の主人公への理解度が高いと思われます。 エディの繊細なことと、魔法動物の奇想天外なことに心掴まれたワタシはそういえばかつてポッタリアンだったのでした。魔法の世界観にノレるタイプには楽しみなシリーズができました。ニフラーにプラス1点。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-07-04 17:10:22)
030.15%
1120.60%
2261.29%
3693.44%
41406.97%
528314.09%
653826.79%
752726.25%
827013.45%
9944.68%
10462.29%

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