121. フライトナイト/恐怖の夜
《ネタバレ》 この手のB級ホラー映画って、脚本のアラだとか設定のおかしなところなんか(たとえばどうして家が火事になってて、後続の車でやって来たおっさんが死んでるのに警察は重要参考人と思しき主人公を簡単に釈放してしまう!とか)を、勢いとノリで強引に突破していかなければならないのに、この映画はどうにもそれが弱い。コリン・ファレルとかは良かったけれど、やっぱりあのヴァンパイア俳優がもっとぶっ壊れてても良かったのに。あいつが、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」くらいイカれたキャラならもっと楽しく観れたんだけど。惜しい映画でした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-13 13:08:46) |
122. ファニーゲーム U.S.A.
《ネタバレ》 奇をてらった映画というだけで、ほとんど評価に値しない。なぜなら、延々と繰り返されるこの暴力描写にいっさい思想が感じられないからだ。世の中には、もっとこのような救いのない暴力は確実に存在するし、もっと酷い現実だってある。それを確認したいならドキュメンタリーを観ればいいだけの話。少なくとも、人間の主観で作られる映画という表現方法を採るのであれば、そこには監督がどうしても観客に伝えたい思想がなければならないはず。この監督は、そんな基本的なこともわきまえずに、ただ「どう、こんな暴力的な映像撮ってみましたけど」と、『時計仕掛けのオレンジ』のように思想的な素晴らしい映画の、劣悪なイミテーションを見せられてもこちらとしては失笑するしかない。 [DVD(字幕)] 2点(2012-12-18 22:34:50) |
123. フローズン・リバー
《ネタバレ》 どうしようもない貧困の世界を生きる人々をひたすら淡々と描く作品。そんな映画が確かにあっても、もちろん十分にいいのだけれど、でもさすがにこの作品は映画としては拙すぎる。これならドキュメンタリーを撮ればいいじゃんと言いたくなってしまう。映画なのだから、もっと観客のことも考えて作って欲しかった。ただ、極限状況のなかで最後に主人公たちがそれでも友情を選んだところは好感がもてたのでこの点数。 [DVD(字幕)] 5点(2012-12-02 21:25:42)(良:1票) |
124. 5デイズ
《ネタバレ》 社会派戦争ドラマにしたいのか、それともエンタメアクション映画にしたかったのか、軸がぶれぶれではっきり言ってつまらない。実話を基にして戦場の真実を描くのであれば、ミサイルで崩壊するビルをバックに堂々と歩き続ける主人公という一昔まえのアクション映画のようなベタな画は使っちゃ駄目でしょう。それに主要登場人物がみんなちゃっかり都合よく生き残るのも、実際に戦場にいた人々からしたら噴飯ものだろうし。そして、何よりも最後実際に戦場を生き延びてきた人々のインタヴューが延々と流されるのも、なんだか批判かわしの言い訳のように思えてならない。 [DVD(字幕)] 4点(2012-09-23 15:36:35) |
125. 4デイズ
《ネタバレ》 ついレニー・ハーリンの撮った映画だと勘違いして観ていたのだけど、途中からその重厚な人間ドラマに、自分の勘違いだったとすぐに気づいた。この映画、そうとうに深く面白い。正義とはなにか? 多くの人の命を救うためなら子供を拷問にかけても良いのか? そんな深甚なテーマを客観的に扱いながら、あくまでエンターテイメントとして枠組みを外していないのは相当な技量だと思う。ずっと密室のなかだけで続く話なだけに、役者陣にも相当の演技力が必要とされるが、みんなその要求に応える素晴らしい力演だった。本当に拾い物。次作が待たれる期待の新鋭監督に出会えた。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-09 20:08:12) |
126. プリースト
《ネタバレ》 まぁ、これくらいの出来だろうと自分のなかで勝手にハードルを下げて観たせいか、そこそこ楽しめた。色んな映画(ブレードランナーやらアンダーワールドやら)の良いところをどうにかこうにか繋ぎ合わせて無難な出来に仕上がっている。後で知ったことだけど、監督は『レギオン』を撮った人だった。そのデビュー作では、人類の存亡を賭けた戦いが、最後まで田舎のレストランで繰り広げられるというお馬鹿な設定だったけど、今作ではそこまで破綻した設定は出てこなかったように思う(勝手にハードルを下げて観たせいかもですけどね)。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-27 19:04:01) |
127. プレステージ(2006)
《ネタバレ》 うーん、なんだか設定に無理があるような……。瞬間移動のマジックをやりたいがためにノーベル賞級の発明をした主人公に、そのライバルの種は「実は双子でした」ってのはどうなんでしょうか?? [DVD(字幕)] 6点(2012-07-07 22:23:14) |
128. ファンタスティック Mr.FOX
《ネタバレ》 全体を覆う雰囲気は良いのだけど、展開が幾分か単調なため少々退屈な映画になってしまっている。それと暖かみのあるクレイアニメーションとシュールな世界観がいまいちマッチしていないような印象もあって、それほど乗り切れなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-07-04 04:30:07) |
129. プラトーン
《ネタバレ》 初めて観たのは、実は小学生高学年のころ。完璧にトラウマです。足元に銃弾を打ち込まれながらダンスを踊るベトナム人が、最後は銃床で頭蓋骨を割られて脳味噌を撒き散らすなんて、もう絶対に戦争なんかに行かないぞって子供心に思ったものだった。でも、大人になって普通に鑑賞してみると、これは普遍的な青春映画として秀作だった 。誰でも十代の頃は、世の不条理に反発したり順応したりするものだけど、その背景として戦争があるだけで、ここまで殺伐としたものになるのかというとても深いテーマを持った作品。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 23:46:58) |
130. ブラッド・ダイヤモンド
《ネタバレ》 世界の片隅で皆から忘れ去られたようにひっそりと存在する小さな国・シレラレオネ。そこに住む人間以外、ほとんど誰も知らないまま、ダイアモンドを巡る内戦が激化していた。ディカプリオ演じる主人公のアーチャーは、とある希少なダイアモンドを求めて子供をさらわれた黒人と共に内戦下の危険な世界を疾走していく。とても重たい社会的テーマを扱いながら、エンタメ映画として充分な面白さをも兼ね備えた稀有な作品。リアリティ溢れる世界に展開される、徐々に疾走感を増していくストーリー、ダイアモンドを巡る国際的な血生臭い真実。「ダイアで済んで良かった。石油だともっと人が死んでいた」という老人の言葉が重い。俳優としてどんどんと実績を積み、確実にキャリアアップしていくディカプリオの男臭い演技も見応え充分。私たちが知らない間にいったい世界で何が起こっているのかを知らせてくれる、良質のエンタメ映画だ。余談だけど、映画館で一緒に観た人の一人がたまたま結婚を控えた若い女性だった。もちろん、彼女の左手の薬指には彼氏から貰った婚約指輪が…。見事に立ち直れないくらいへこんでました(笑)。ごめんね、こんな内容だとは知らなかったんだ。 [映画館(字幕)] 9点(2012-05-20 21:14:23)(良:1票) |
131. ブラック・スワン
《ネタバレ》 これは凄い作品です。こんなにまで、自分の好みと見事に合致した作品は初めて。クラシックバレエの世界で頂点を目指すある一人の内向的な少女を主人公に、そのとてつもない重圧とストレスのせいで次第に狂気に捉われながら、なにもかもを失ってでもそれでも完璧な演技を追及する彼女の姿は圧巻です(ナタリー・ポートマンの熱演が凄い!)。現実と妄想が渾然一体となった、まるでガラス細工のような彼女の精神世界が加速度的に崩壊していく映像の美しさは見事としか言いようがない。嫉妬と重圧とエロスによって自分の正気の壁を致命的なまでに決壊させ、そして溢れ出した狂気の濁流にとうとう命までをも呑み込まれながら、最期に掴んだ儚くも精巧で完璧な美の世界……。僕がいままで観てきた数ある映画のなかでも、最高に美しいラストだ。哀切な余韻がいつまでも残る傑作と言っていい。 [DVD(字幕)] 10点(2012-05-14 01:48:24) |
132. PLANET OF THE APES/猿の惑星
《ネタバレ》 どうしてティム・バートンが、あの過去の超有名な大作映画をリメイク?しかも彼とはまったく作風の違う映画じゃん。と不思議に思って観たのだけれど、残念ながら、僕の懸念は見事に当たってしまった。まったく彼の才能が活かされておらず、凡庸なSFアクション映画に終わってしまっている。そしてあの有名なラストをどう料理するのかと思ったら、なんとも取ってつけたようなオチになっていてどうしようもない。ティム・バートンが低迷していた時代を象徴するような作品。 [DVD(字幕)] 3点(2012-05-01 12:53:29) |
133. ファーゴ
《ネタバレ》 とある地方都市で起こった、矮小で碌でもない人間たちが巻き起こす本当に下らない事件が次から次へと連鎖的に広がっていって、最後はもっとも醜悪な現実へと辿り着く。最後、生まれてくる子供が希望なんだろけど、僕にはそれが言い訳がましく思えてしまった。こういう厭世的な作風はあまり好きではないけれど、ブシェミとストーメアの駄目コンビはやはり見応えがある。なによりその二人と一夜を供にした、地方の醜い女の顔がリアルで嫌だった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-04-29 22:45:56) |
134. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 保守的なアメリカの田舎町で、ゲイであることをひた隠しにして生きる二人の男の深い愛情を切なく描いた作品。特に、ゲイ特有の心理(女性とセックスするのはまったく何とも思わないのに、男とのそれには激しくジェラシーを抱くだとか)はとても興味深く観れました。確かに、家族もいる家で我慢できずに思わず抱擁し男とキスをしてしまう夫だとか、妻視点で見れば遣り切れないだろうとは思うけれど、そんな全てのタブーや社会性から自由になれたのが、あの山での月日だったというのが、やっぱり切ない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-25 23:28:18) |