Menu
 > レビュワー
 > anemone さんの口コミ一覧
anemoneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  フライト・オブ・フェニックス
1カット1カットに張り詰めた異様な緊迫感、極限状態を決してナメないシビアな展開、決して多くはない台詞に込められた凝縮された感情の数々。それだけに観客への要求度も比較的高い作品ではないかと思うが、いわゆるハリウッド映画に馴れ過ぎた感覚を一気に覚醒させるだけの力はある作品。墜落シーンの凄まじい迫力や、広大な砂漠で遭難者達に容赦なく襲いかかる大自然の脅威など、現代の技術ならではの見せ場もふんだんに用意され、そこで展開される「人間模様」もステレオタイプに走らず徹底的にリアルに迷走。諦めるな、努力しろ、というお約束のシンプル&ストレートなメッセージを骨にしながら、この手の遭難物にありがちな「保身に走り仲間を裏切る完全悪役」とか「自己犠牲の崇高な魂」のようなありきたりの展開に走らず、同じ方向を向いていてなお難しい結束力の維持や個々の抱える意地やプライド、刻々と変化して行くグループ内での役割分担など、人の心の機微を実にきめ細かに描いている。映像本位に捉えられがちだろうが、シナリオの完成度も決して見逃せない、傑作の域に加えて良い作品だろう。ジョバンニ・リビシは若手個性派の面目躍如、この人は過去に一度も期待を裏切らない最優良株の1人。あの「閉ざされた森」ですら、彼の熱演でサイテーの汚名を逃れた。彼を持って来た時点で秀作は手堅いと思っていたが、これまでの役柄の中でも筆頭に挙げたい好演でした。ハリウッドにもこんな監督が出て来るようになったんですね。物凄い完全主義者の匂いがして、一緒に働く人たちは大変でしょうが(笑)良い物を見せて戴きました。ありがとうと言いたいです。
[映画館(字幕)] 10点(2005-04-28 23:02:30)(良:1票)
2.  プレッジ
配役の上手さだけでも余裕で合格点の作品。実力のあるバイプレイヤーを集めて来て使い方にひとつの誤りもなく、それぞれが各自の持ち場をキチンと引き締めたこのバランスは見事。中西部独特の大自然に囲まれた町の持つ絶妙なスケール感と、刑事という仕事だけにアイデンティティを見出して来た男の孤独、その引退する最後の日に降って湧いた突然の「事件」に余生を引きずられて行く人間の危うさ。主観と客観との落差を調整するために必要不可欠な緩衝材としての「家族」を取り除かれた人間の孤独は、愛情さえも時として狂気にさえなり得ることを、観客の目にしか明かされない運命の皮肉という形であまりにも冷酷に描いた救いのない作品だが、逸脱した使命感を誰が何の権利を持って「異常」と決めつけるのか、その線引きの曖昧さ、難しさを描いた作品としてこれは明らかに傑作の域に達し得ていると思う。彼は本当に狂っているのか、あるいはどの時点からその心理状態は「狂気」と捉えて良いものなのか、物語はその経過を描きはするが結論は出していない。おそらく正常と狂気を見極める絶対的な価値観などは存在し得ず、万人が認めさえすれば愛情さえもその瞬間から狂気になるのだ。そして万人から認められた狂気はその瞬間から、人間を本物の狂気へと追い込んで行くのだろう。90年代以降、決して作品に恵まれて来たとは言えないジャック・ニコルソンが、老境に及んでなおその持ち味をいかんなく発揮できる作品に恵まれたことの意義は大きい。そしてその場を提供したジョーン・ペンこそ、実はニコルソンの最高のファンの一人と言えるのではないだろうか。
10点(2004-02-21 12:50:39)(良:2票)
3.  ファイト・クラブ
派手でなく、過激でもなく、ただ明と暗、陰と陽とのコントラストに執拗にこだわり続けるD.フィンチャーの絵画的センスがひとつの完成形を見た作品。暗く湿った夜の色彩を得意とする彼の映像の中で、絶妙なセンスで取り入れられるほの暗い「光」の存在に、あらためて映画が光で作られていることを実感させられる。男性の持つ根源的な闘争本能を真正面から捉えたこの作品でフィンチャーは、ネオナチを思わせる非合法の武装集団をモチーフに、現代社会で男たちがその喪失感にもがき続ける「男性」そのものを描いて見せる。小刻みに盛り込まれる自虐的なジョークの連打によって観客達を笑いの渦に巻き込むことで彼が笑おうとしているのは、現代社会の失った男性そのものと私には思えるのである。この映画に描かれている悲しい男たちを笑い飛ばすことのできるほど逞しい男性は残念ながら私の周辺にはいない。人はそれを狂気と呼ぶ。あくまでも本能に忠実な者をいつしかそういった境界線によって分け隔てようとしてきた文明はすでに、笑うことでしか憧憬を押し殺すことができない。映像の世紀と言われる20世紀の最後を飾るのに最もふさわしい作品がこれである。
10点(2003-12-21 01:52:13)(良:1票)
4.  ファイブ・イージー・ピーセス 《ネタバレ》 
「イージー・ライダー」を動とするなら、「ファイブ・イージー・ピーセス」は静である。エリート音楽一家に生まれ、将来を嘱望されながら石油採掘場で肉体労働に従事するボビーは、自由を求めてアメリカ中を旅するキャプテン・アメリカ&ビリーのコンビとは対照的な存在だ。彼らに共通しているものは唯一つ、現実からの逃避。混迷する時代の中で、将来への夢も目的も見失ったアメリカそのものの姿を象徴するかのように、その日暮らしを続けるボビーの日常。逃げることしか生き延びる道を知らないボビーの前に、言葉を失くした父は答える術を持たない。ただ無学であるがために、したたかに明日を生き抜いて行くであろうボビーの恋人レイの無垢な瞳だけがこの映画の救いだろう。ラストシーン、妊娠した恋人からも逃げ出したボビーの帰りを疑いもせず待ちながら、雨のしょぼ降るガソリンスタンドでコーヒーの紙コップをかじり続けるレイの無欲な眼差しこそ、精神の崇高な自由という幻想に追い詰められて行った60年代のアメリカが見落としていた真実そのものなのだ。逃げるアメリカ。汚辱にまみれたその魂の再生を予知するかのように、無知で愚かなレイはボビーが戻るのを待っている。おそらく彼女はその愚鈍さで、たくましく赤ん坊を産み育てて行くだろう。「イージー・ライダー」を編集段階まで監督しながら、ついにクレジットされることのなかった監督ボブ・ラフェルソンが、再びジャック・ニコルソンと組んで作り上げた、この作品はアメリカン・ニューシネマというムーヴメントに対する一つの答えでもある。
10点(2003-12-05 00:59:14)
5.  ブラッド・シンプル
これはいいですね。原点だからこそのシンプルさと、ストレートさがその後のコーエン兄弟の作風を端的に集約していると思います。たまたま運悪く、3つ重なってしまった偶然。夫の元を離れた妻は、愛人が夫を殺したと思い込み、愛人は彼女の仕業だと思い込む。たったこれだけのストーリーが、ちゃんとサスペンスになっていることに驚きます。整理されたシナリオ、個性豊かというにはクセの強すぎる登場人物たち、計算の行き届いた画面構成。夫が殺されるまでの成り行きを丁寧に描く前半と、勘違いからお互いに猜疑心をつのらせて行く後半のそれぞれが独自のサスペンスを持っていて、ほとんどスキらしいスキもないのは見事。斬新なように見えて、映画学校で基本中の基本として教えるセオリーを徹底的に踏襲し、手堅く真剣に作られた誠意溢れる作品だと思います。基本だって、やっぱり無視しちゃいけないのよ。教科書通りにきちんと作ったって、新しいものはできるのよ。という基本的すぎてもはや誰も振り向こうとしない根本的な2つの事実に、この作品はふと思いをよぎらせてくれます。傑作だと思います。
9点(2004-04-18 03:12:20)
6.  フライド・グリーン・トマト
いわゆるハートフル系だけど題材としてさりげなく人種差別や女性解放を扱っていて押し付けないところに好感が持てました。男性が観てどこまで理解できるのかな?という不安はありますが、少なくとも女性にとっては一度は観ておいて無駄ではない映画だと思います。歴史の中で女性達が歩いて来た道のりを泥くさすぎず、悲しすぎずに描き切れたのは、人生に感謝する良い年の取り方をしたジェシカ・タンディの存在感あってこそでしたね。話も良く出来ているし、しんみりと心に残る佳作だと思います。
9点(2004-01-04 12:08:53)
7.  フル・フロンタル
敢えて体制側に与せずというスティーブン・ソダーバーグの心意気には敬意を表するが、映画を見馴れていない観客にはキツいだろう。非常に実験的な要素が強く、ジュリア・ロバーツやブラッド・ピットというビッグネームを出演させたことによって間違えてマスを動員してしまいかねないリスクは大きいと思う。BGMの少ないハンディカメラの映像、散文的な展開、劇中劇とそれを製作中の俳優たち、オンとオフの切り分けの難しい不親切な構成は単調で退屈だが、ちゃんとそれに続く展開の面白さを予感させている点は素晴らしい。あくまでも物語の先行きに興味が持てるかどうかにかかって来る運びだが、それなりにニヤリと笑える仕掛けも爆笑モノのネタもあり、通好みの作品としては評価できる。オスカーWノミネなど華やかな経歴が記憶に新しいスダーバーグが、敢えて巨匠になろうとせずに貧しい映画小僧だった頃の「やりたかったこと」を忘れずにいること自体は、未だかつて誰も実行できなかった偉業であると言えるが、残念ながらビッグネームに騙されて足を運んだ一部の観客に対しては完全に失望させてしまったとしか思えないため手放しで誉めちぎれない悲しさはある。劇場で観る以上、楽しさは他の観客と共有できた方が嬉しい。やっぱり大物スター不在のちょっと極端な実験映画として公開した方が、みんなが幸せになれたような気はする。
9点(2004-01-01 11:41:19)
8.  ファーゴ
ちょっと小金を手に入れようと企んだ小悪党が、不幸な偶然から泥沼にはまり込んで行くストーリーは比較的ありがちで語り尽くされて来たテーマと言えるが、天性の悪党顔でどこまでも情けなく突っ走り抜いたスティーブ・ブシェミのカール役はこれまでのダメ男達の中でも一見に値する存在と言えるのではないか。犯罪者の生い立ちや背景まで持ち出して役柄に奥行きを持たせる方向へ逃げず、あくまでも事件の中で見せる表情ひとつで人間性まで浮かび上がらせてしまったブシェミの力量には頭の下がるものがある。金持ちの舅と嫁、女房殺し(ここでは誘拐だが)で遺産を手にしようとする夫というこれまた描き尽くされたキャラクターを泣きの演技で引っ張り続けたウィリアム・H・メイシーの底力も見事。ここに登場するのが妊娠8ヶ月、ベタベタのサウス・ダコタ訛りで「ヤー、ヤー」を連発する中年の婦人警官フランシス・マクドーマンドで話が一挙に新しくなった。こういうドス黒くも高尚な笑いはコーエン兄弟の得意とするところだが、笑いのツボを観客の選択に委ねたところにこの映画の評価の高さが納得できる。名声に頼らない実力ある演技者たちの個性のせめぎ合いが、一歩間違えば実録犯罪シリーズ的なチープな内容を独特のテンションにまで押し上げている。日ごろ抑えた脇役に回ることの多い役者たちの技量が冴え渡る佳作。もちろんコーエン兄弟のこだわりの演出も忘れてはならないところだが。唯一マイク・ヤナギタの登場が余計に思えたので減点、これさえなければ完璧だったのに。
9点(2003-12-31 12:22:16)(良:2票)
9.  フェーム
TVシリーズの映画化かと思っていたら逆だったんですね。NY市立芸術高校を舞台に、アーチストを目指す若者たちの青春を描いた佳作。クラシック音楽ばかりでなく、ダンスや演劇、歌やスタンダップコメディまで高校生に教えてしまおうという発想が当時日本の高校生だった私には非常に新鮮で、「絶対、NYに留学する」と言い張り親や親戚から真剣に説得されました。「名声」を夢見る若者たちを活き活きと描きながらも、決して夢と憧れだけではないシビアなエピソードも織り交ぜられ、青春映画としては非常に現実的な視点で描かれていたように思います。アラン・パーカーらしい粒子の粗い暗めの映像で、落ち着いた画像は案外年月を経ても古びないものですね。アイリーン・キャラの歌う主題歌の「いつか私を思い出して・・・」というフレーズがとても刹那的で好きでした。長く心に残る作品だったと思います。
9点(2003-12-21 02:10:15)
10.  ファインディング・ニモ
いやぁ~。これ、なんだってまたこんな真冬のド寒い時期に公開するんでしょうね?どう考えたって夏休み向けなのに。恥ずかしながら、ピクサーのアニメを観るのはこれが生まれて初めてなんですが、なんでみんながわざわざマンガを観に映画館まで足を運ぶのか、とっても納得できる作品でした。ヘタな実写よりおもしろかったですよ。何しろアニメだから不可能はないし、アニメだから不可能だと思われて来たことまでちゃんとやってくれちゃうし。キャラクターもなかなか可愛いですよね。もちろん私はギル役のウィレム・デフォー目当てで行ったんですけど、彼の役どころも実写作品でこれまで演じて来た役柄と全く違和感なくて笑えました。シナリオも良く出来てるし、伏線の張り方なんか良いシナリオのお手本みたいです。後半はちゃんとスペクタクルになるし、「へぇ~。いいじゃん」と素直に喜んで帰りました。童心に帰って浸るのが一番正しい楽しみ方だと思いますが、決して子供だけをターゲットに作られているものではないと思います。キャラクター作りは本当に上手いし、それぞれがキチンと個性を発揮していて存在感強いです。こういうのは劇場で観ないとダメでしょうね。ビデオでは、ほんとにただのマンガになってしまうような気がします。
9点(2003-12-14 02:31:01)
11.  フォーン・ブース
「オメェ、なんとかせんかいっ!」とハリセン持って駆けつけたくなる主人公泥沼系一人芝居。たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったら、電話の向こうから不気味な声が、「切ったら殺す」ですもんね。かような事情で公衆電話ボックスから出られなくなってしまった主人公が繰り広げる緊迫の81分。この短さ、メインキャラがたった1人の密室劇としてはギリギリのところだと思いますが、こういう映画をハリウッドで、しかも監督ジョエル・シューマカーでやっちゃう時代が遂に来たんだナ~と感動しました。無駄にスターが大勢出て来て無駄に爆薬がばんばん吹っ飛び、無駄に長い映画をさんざん見せられた後にこういう映画は新鮮です。面白いと思います。非常に実験的で、なんかやたらインディーズのニオイが漂うんですが監督はジョエル・シューマカーで主演はコリン・ファレルです。この組み合わせが新しいです。人間が集中していられるのは大脳生理学的に見てきっかり90分。だから昔の映画には傑作が多い。この映画は私のようなばかでもちゃんと集中して最後まで観れます。拍手喝采。願わくばディレクターズカット160分バージョンなんか公開されませんように。キチンと整理すれば短くできるのよ。誰とは言わないけど最近3時間以上の映画撮った監督たちはコレを観て思いっきり反省するべき。ビューティフル。
9点(2003-12-07 22:14:46)(良:2票)
12.  ファイナル・デスティネーション
80年代には既にコメディの一分野であると誰もが諦めたジュヴナイル・ホラーを、今さら真正直に、キチンと真剣に作ったという点で非常に評価できる作品。スター不在、低予算、見る前から概ね予測のついているストーリーという悪条件に屈せず、一つ一つの惨殺シーンを非常に丁寧に、テレもケレンもなく作り上げているあたりに作り手の誠意が感じられる。物語の引鉄となる空港での飛行機炎上シーンの迫力は、このスケールではちょっと予想外の出来にド肝を抜かれた。予算配分さえ間違えなければ、この程度の予算でも充分迫力のあるシーンは作れるという良い手本。スターかくし芸大会的な作品に無駄金を投じているハリウッドの製作陣は、思いっきり反省する必要があるだろう。ストーリーは、たまたま飛行機事故を予知してしまい、搭乗を拒否した高校生たちが、死の予定をキャンセルしてしまったために死神から一人ずつ命を狙われるというもの。ジェイソンやフレディによる虐殺劇の無意味さにかなりうんざりしていた観客にとって、いかにウソっぽかろうと、とりあえずお膳立てとしての「殺される理由」を与えてくれたところも生真面目な印象を与えるのに役立っている。やればできるじゃん、と思ったホラーファンは、案外少なくないのではないだろうか。
9点(2003-12-03 22:58:15)(良:2票)
13.  ブリジット・ジョーンズの日記 《ネタバレ》 
これはもう、素直に拍手喝采でしょう。レネー・ゼルヴィガーは体当たりの演技で光りまくり。この人は元々、体当たりで頑張るしかないってことを肌身に染みて知ってる人ですね。ダメダメなんだけど突き進んで行くしかない!っていう間抜けでひたむきなブリジット・ジョーンズ役を非常にひたむきに演じていました。ストーリー運びもテンポ良く、どう考えてもワルにしか見えないヒュー・グラントにメロメロになって行く下りなど、手に汗握ってハラハラさせられてしまいました。賞獲り合戦にコメディは弱いですが、これは是非彼女にオスカーを獲ってもらいたかったです。無念です。
9点(2003-11-22 17:18:00)(良:1票)
14.  PLANET OF THE APES/猿の惑星
前作の熱狂的な、おそらく生涯の大ファンである私が、そこまでではないが結構熱心なファンであるティム・バートンの「猿の惑星」を観ていったい何と言ったら良いのか。究極のジレンマな気もするが、こういうモノはとにかく前作と切り離すに限る。この作品にはもちろん、前作に色濃かった絶望的な未来感、壮絶な主従逆転の構図、といった趣はない。その代わりに、この作品には前作では技術的になし得なかった超越的な運動能力を誇る猿、スピード感溢れる演出、CGを駆使した圧倒的なスケール感がある。娯楽作品としてどちらが優れているかは自明の理であり、前作を支配していた世界観をそのまま引きずって低俗な二番煎じに落ち着けなかったという点で、全く別の現代の娯楽作品として正当に評価するべきだろう。ティム・バートンならではの茶目っけに溢れ、前作の時点で技術的に実現し得なかった部分については誠実にオマージュとしてやるべきことをやり、「ゴメンネ。」と観客に率直に頭を下げるエンディングは爽快。あくまでも前作に敬意を表しつつ、今どきの映画だったらこうなるんだよね、というところを無限のプレッシャーの下で上手く切り回したバートンには率直に拍手を贈りたい。残念ながら生涯に渡って愛し抜くほどの作品には至らなかったが、考えられるギリギリのバランスで上手くまとめられていると思う。この作品が前シリーズをどれだけ愛しているか、愛している者にはやっぱりわかると思うんだよね。どうしても誰かが作らなければならなかったんだとしたら、それがティム・バートンでやっぱり良かったと思う。一時はオリバー・ストーンまで名前が挙がっていたぐらいだし。被害は最小限に食い止められたんだと思いますよ、これ。
8点(2004-02-18 00:58:54)(良:4票)
15.  ふたりの男とひとりの女 《ネタバレ》 
ちょっとハートフル・コメディみたいな作品が続いて、ジム・キャリーってこのままロビン・ウィリアムスみたいな「幸せ配達人」になっちゃうの?という危機感を感じていた身としては、この映画のジム・キャリーには久々に彼の持ち味が感じられて嬉しかったです。レネーも可愛いし。ファレリー兄弟にしては毒気が抜け切っていてファンには物足りないところかも知れませんが、壁に飛び散るオシッコの微妙な色合いとかやっぱりすごいなぁと感じました。個人的にはこれまで観たファレリー兄弟の作品中では一番素直に笑うことが出来ましたので、やっと一般大衆とのバランスが取れて来たというところなのかな?という気がします。オチもお約束っぽいですがこれがなきゃ心暖まれないし、必要なオチだと感じました。ご家族で、というにはもう一つ毒気が抜け切らないですが、ジム・キャリーのファンにはお勧めできますね。
8点(2004-01-02 12:34:31)(良:1票)
16.  ブギーナイツ
「マグノリア」よりはるかにストーリーもまとまっており一貫したものが感じられたので頭の良くない私にもちゃんとついて行くことが出来た。やはり全体を締めているのはジュリアン・ムーアの異様な存在感。彼女が出て来ると映画が締まりますね。擬似家族の再生って良い表現ですね、その通りだと思います。単なる凸凹人生モノとしても、ドタバタやってて事件も起こるし、それなりに先へと観進んで行ける要素もあって、言いたいことがきちんと伝えられている上手さを感じました。佳作と言って良いと思います。
8点(2003-12-30 12:36:59)
17.  不滅の恋/ベートーヴェン
時々なんかアホくさいビッグバジェットばかり観ている自分にうんざりし、ちょっぴり高尚な気分に浸ってみたいんだもん。という時に手に取るには非常に手ごろな文芸作品。あまりにも高尚すぎて理解できないほどでは困るし、ほどほどに格調高くてほどほどにわかりやすく、観終わった後でなんか頭良くなったような気にさせてもらえる。そういう映画もたまには必要である。当然のことながらゲイリー・オールドマンは素晴らしい。テロリスト役や犯罪者役があまりにも目立ってしまう彼だけれども、実はこういう重厚な役だってちゃんとこなせる実力派なんである。上手いからこそ、クセのある役に手が出せるというものなのね。やっぱりゲイリー・オールドマンがやる以上、優等生的な役柄にはなり得ないんだけど、苦悩する魂をキワモノスレスレのところで演じられるっていうのはやっぱり上手いんだと思う。こういう演技バカな俳優って私は大好きだ。音楽家としてのベートーベンがどうの、と言えるほど私は音楽に詳しくないが、その程度の人間にでもちゃんとわかるように作ってくれたこういう映画は非常にありがたい。
8点(2003-12-21 02:32:49)
18.  復讐するは我にあり
緒方拳って、「私は、捨てない。スモーキン・クリーン」なんてニコニコ微笑んで人情おやじみたいになってちゃいけない人なんですよね。全盛期の彼って、本当にスクリーンの向こうからでも、ビリビリ来るような異様な迫力があった。決して暑苦しくない、ギラギラした感じがね。この頃の彼は凄かったですね。対する三國連太郎も、その前の世代のそういう存在でしたから、この組み合わせはクールでしたね。賠償美津子も強烈な存在感で、決して悪女とか濃いキャラではないんですが、何しろあのおっぱいでしょう。子供心に、なんて凄い女優さんなんだと思いました。ラストシーンでは涙が止まらなかったですね。決して泣かせるシーンではないはずなんですけど。この頃の日本映画って、角川映画ばっかりだと思われてるところあるんですけど、こういう作品がけっこうあなどれなかったりするんですよね。最近観てないけど、そろそろ観直してみたい頃かな。
8点(2003-12-21 02:20:14)
19.  プリティ・ベビー
世間がブルック・シールズばかりに注目してしまうのはもう仕方のないことなんだけど、私はこの映画で異常にイロっぽかった母親役のスーザン・サランドンに惚れた。とにかくもう、目の毒と言うのはこういうのを言うのね、と思うほどの淫らな感じ。この人の清潔なエロティシズムは、後に「さよならゲーム」や「イーストウィックの魔女たち」で思いっきり開花して行くのだが、この作品ではもう、やられました。残念ながらあまりにもブルック・シールズが美しすぎるためにストーリーが誰にもわかんなくなってしまったが、無知であり、美貌であることがどれほど罪なことなのか、っていう話なんですよね、たぶん。本来男性の側から描かれるべき物語を、単にブルッキーがさらってしまったという。でもまあ、過去最高に美しかった映画の1つではあります。監督ルイ・マルだし。私はこの映画大好き。
8点(2003-11-30 02:01:46)
20.  プライベート・ベンジャミン
不幸のどん底から這い上がるヒロインが、ちょっとおバカなのがいいじゃないですか。私はこの映画でゴールディ・ホーンにメロメロになりました。リアリティを無視するならこれぐらいやってくれた方がスッキリしますね。金髪でおツムの弱いヒロインが、軍隊で鍛えられてオトナの女に成長して行く、育てゲー系映画の傑作だと思います。人間、死ぬ気になれば何でも出来るサー、という実にありきたりなメッセージをシンプルに描いているところも好感大。ウラもなければ奥行きもない、ごくごく当たり前の映画ですし、「ゴールディ・ホーンのキュートな魅力炸裂!」という以外に何もウリもないと言うのが実際のところだけど、彼女のキャラクターに抵抗のない人にはお勧めできると思います。
8点(2003-11-30 01:10:45)
0121.86%
1121.86%
2172.63%
3264.02%
4304.64%
5517.89%
67611.76%
710416.10%
813120.28%
910115.63%
108613.31%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS