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コメント数 885
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1.  ブレードランナー
アジアンな喧騒に包まれながら、その内包するものはヨーロピアンな感覚の近未来LA。 映画の完成を見ずして逝ったP・K・ディックの原作をベースに、リドリー・スコットの世界が広がる。 リック・デッカード(ハリソン・フォード)が人間と感じられる劇場公開版は、ビデオの完全版とともに最もなじみのあるもので、最初に見たものから逃れえぬ観客もいる。 人間とレプリカントの闘争でなければ、ロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)の最期の輝きも生きてこず、レイチェル(ショーン・ヤング)との関わりも同類相憐れむようなものとなってしまうのではあるまいか。 説明過剰を好まず、デッカードをもレプリカントに転生させたい思いのあるスコットは、ボイス・オーバー(ナレーション)が気に入らずなくそうとしてきたが、あれがあっては到底そうは思えないというのもあるのだろう。(「別れた妻」がいるレプリなどいるだろうか?) 物憂げなモノローグは多少古風であっても、デッカードの内面や情報を伝えてくれるものだが。 キューブリックから譲られた美しい空撮を使ったエンディングも、閉塞感に支配される作品において唯一開放を感じさせるシーンであり、デッカードの台詞も味わいをもつ。 スコットがそれら嫌いな部分をそぎ落として磨きあげたファイナル・カットは素晴らしい出来だが、その二つを無意識のうちに脳内補完する自分もおり、物足りなさや喪失感を感ずることおびただしい。 監督の好みがかならずしも観客のそれと一致しない一例で、不本意な任地に赴いた父親の子供にとってはそこが故郷になるようなものか。 魅惑的なヴァンゲリスの音楽も、長らくサントラが出なかったせいでカヴァー盤の方に愛着があるという煩雑さ。 ジョン・アルヴィンによるオリジナル・ポスターは素朴だが味があり、このシアトリカル・カット同様今も愛されている。
[映画館(字幕)] 10点(2012-09-10 07:00:02)(良:1票)
2.  ブレードランナー/ファイナル・カット
25周年を機にお色直しをされたデジタル・リマスター版は、グラデーションが多くディテールに凝るBRでは絵画修復なみの威力を発揮する。 くすんでいた画面も彩度が上がって生気を取戻し、蔵出し映像や完全版のシーンも加えられながら時間は短縮され、音質もレンジが広がった。 見苦しかった箇所(初登場時のロイ・バティ(タイレルとのシーンのアウトテイクを流用?)の背景、アブドゥル・ハサンを詰問するデッカードの口の動き、ガラスを突き破るゾーラのスタントの頭部、スピナーを吊り下げるワイヤーなど)をいずれも抜かりなく修正してきているのも、納得のいくものを作りたいスコットの執念を感じさせる。 鳩のシーンだけは元の方がよく思え、雲の切れ目からのぞく青空に羽ばたく鳩が昇天するバティと感じられるのだ。 ディレクターズ・カットと同じく、ボイス・オーバーと旧エンディングがないことでピアノの上に飾られた写真の異質さが際立ち、スコットの意図どおり白いユニコーンとともにデッカードの出自の不確かさをほのめかすものとなった。 ドリュー・ストルーザンによるブルーを基調とした新しいポスターも新鮮な趣きをそえる。
[DVD(字幕)] 9点(2009-07-21 03:41:52)(良:1票)
3.  プリティ・ベビー
数年前ニューオーリンズが洪水に見舞われた時、実在のヴァイオレットがいた館も水に沈んだのだろうかとふと思った。 12才の少女と娼婦の写真を撮り続けた写真家ベロックを結びつけ物語を織り上げたのはルイ・マル、アメリカ映画ながらフランス映画の佇まい。 娼館にロートレックのような画家、そしてこのベロックのような写真家ら芸術家が入り込み、日々彼女らの姿を二次元に写しとる作業を行うと、そこは濃き香り漂う美的空間に変貌する。 「芸術家と女たち」はそれほどそれ自体が絵になるのだ。 スヴェン・ニクヴィストの撮るアンティークな色合いにブルック・シールズの子供と女が共存する美しさが映え、その母として遜色ない妖艶なスーザン・サランドンと陽気な娼婦たち。 マルはこの世界を悲惨なものとして描かなかった、こういう世界があったとだけ。 この少女は何も恐れない、新参者ベロックが自分を愛さぬこと以外は。 自分が値打ちのある商品であることに自負さえ持つ屈託なさ。 「教授」(「スタハチ」のアントニオ・ファーガス)がサロンで弾くピアノがメランコリックに流れ、彼が可愛がっていた彼女が水揚げされ、値をつけられていくのを聞きながら顔を歪める場面が印象的だ。 彼にどう出来よう? 彼女の稼ぎも彼の生活を支えるになくてはならぬものなのだ。 ヴァイオレットに近づきすぎたせいで破滅に陥るベロックのものとはまた違う、彼が小さなコケットに注ぐ眼差もこの作品中で忘れがたい。
[映画館(字幕)] 9点(2007-07-21 12:09:20)(良:1票)
4.  ブライト・スター/いちばん美しい恋の詩(うた)
夭折でありながらその才能がシェイクスピアとも並び称されたという、英国の詩人ジョン・キーツの恋を描き、たくさんの蝶が舞う部屋や青いブルーベルが群生する森でキーツの手紙に読みいるファニーなど、ポエティックなイメージが盛りこまれた美しい映画。 ジェーン・カンピオン作品にもかかわらずごく一部で公開され、国内盤ソフトも出ておらず、カンピオンにしては抑制されたマチュアな表現がアピールしないと思われたのか、主演のベン・ウィショーとアビー・コーニッシュの日本での知名度がいまひとつであるせいか。 キーツ本人よりも、詩人にインスピレーションを与えたミューズである隣家の娘ファニー・ブローンに重点が置かれているようで、裁縫を得意とするファニーの衣装がキーツと知り合ったことで微妙に変化していくのも見どころの一つ。 キーツもファニーの愛を得て、精神は高まりながら肉体は病に冒されていくのが皮肉で、ファニーの母親やキーツの友人ブラウンが彼らの交歓に投げかける視線もまた複雑なもの。 ファニーの母親は「エンジェル・アット・マイ・テーブル」のケリー・フォックス、恋人たちのそばをはなれない弟(トーマス・サングスター)や妹も強い印象を残しており、特におさない妹の存在感はカンピオンらしさがのぞいているようでした。 ブライト・スター(明るい星)とはキーツにとってのファニー、薄命の詩人には金星(ヴィーナス)のような存在であったのかもしれません。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2013-12-31 07:02:40)
5.  フレンチ・コネクション 《ネタバレ》 
ジーン・ハックマンが引退して10年近くになります。 レックス・ルーサーやスコット牧師も好きですが、代表作はやっぱりコレかな、刑事ポパイ。 仕事熱心なあまり時々無茶をやらかすポパイは、家ではデレッと寝ててもいざ仕事となると帽子・スカーフ・コートのアンサンブルがキマってたり。 相棒はロイ・シャイダー、主役じゃないのでチョロチョロしてる印象でも、組織の車からなかなか発見できないブツを見つけられたのは、ポパイだけではできなかった勘のよさ。 有名な高架下のカーチェイスとならんで緊迫するのは電車のプラットホームでの攻防、ギリギリのところでまんまと逃げおおすシャルニエ(フェルナンド・レイ)に屈辱的な「ニギニギ」を食らわされるポパイの憤懣やるかたない表情がリアル。 親玉をとり逃がしてしまうラストの意外性と虚脱感が独特ですが、続編が作られる余地ともなったよう。 70年代初めの大都市ニューヨークで、ポパイがそこから浮いてしまわずに、その一部となって動きまわるのがいい感じで、「ダーティハリー」より好みです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-05 07:00:02)
6.  ファントム・オブ・パラダイス
ウィンスロー、スワン、フェニックスってキャラの名前だけでもセンスある、ブライアン・デ・パルマの傑作ミュージカル。 サディスティックなまでに転落の人生を与えられたウィンスローの悲劇は、「オペラ座の怪人」のみならず「ダークマン」好きにも支持されそう。 見た目クイーンのロジャーっぽいポール・ウィリアムズは、カーペンターズに提供した「愛は夢の中に」のような美しい曲も書くのに、この映画の曲はザ・スミスなみに暗く絶望感に満ち、ドリアン・グレイ的な側面も持つ悪辣なプロデューサー役。(彼の会社デス・レコードの名は、同年設立されたツェッペリンのレーベルと同じスワン・ソングからの変更とか。 どちらも死のイメージがあり、スワンの名もあれからきていると思われ) 「サスペリア」のジェシカ・ハーパーは名声を夢みる女性歌手のうつろいやすい心を表現し、ソフトな歌声。 ビーフのシャワーシーンは、「殺しのドレス」同様「サイコ」への傾倒がうかがえる。 70年代的サイケデリズムに彩られた華やかさとは裏腹に、最後はあまりに哀しい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-09 07:00:03)
7.  フェーム
アラン・パーカーが描く青春群像は独自の味がある。アメリカの芸能学校が舞台でもベタでなく、かといってドライまでいかず彼らの4年間をスナップショットのように切りとりコラージュ。彼らが曲にのってストリートに踊り出る場面はNYらしい躍動感あふれる。「コーラスライン」の厳しい現実以前の温室のような世界にいても悩みはあり、彼らを見守る教師たちも人間。モンゴメリー(「ロボコップ」エミール、「ER」ロマノになるとはね!)のネオンサインが窓のすぐ外にある部屋は、安宿の象徴でもポエジーな赤に満たされる不思議な空間。ダンサーの天分がありながら文盲コンプレックスを抱くリロイ、ママの翼の下から飛び出したいドリス(モーリン・ティーフィはこれと「スーパーガール」でしか見かけない)。巣立つ日の晴れやかなコーラス「いつかみんながスターになる♪」ありえないことなんだけどね。スターになれる人はほんの一握り。それでも卒業式の彼らは夜空に散らした星のようだった。この映画からスターと呼べる人はでていないことも、陰影深い撮影とあいまってみずみずしい青春を真空パックしている気がする。2009年リメイク。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-03-10 07:35:11)
8.  フェイス/オフ 《ネタバレ》 
J・ウーの大仰な芝居っ気とSFマンガな設定が我慢できればこんなに面白い映画もそうなく、2×2=4人分のキャラクターが楽しめる。善→悪→善のトラボルタより悪→善のまま画面から消えるケイジの方が明らかにもうけ役で、この映画によってあまり女性に人気があったとはいえない彼の支持率も上がった気がする。「プラトーン」のW・デフォーのように悪人顔の役者がいい役だとガゼン魅力が増すのだ。妻に懸命に自分であることを訴えるトロイの顔のアーチャーに、ここぞというダメ押しの台詞で大量のライトがあたって瞳がキラキラ輝く。こんなクサイ演出でもついほだされてしまうほど、過酷な状況で必死にがんばるアーチャーは応援したくなった。アーチャーがO型、トロイがAB型というのもらしくて(自分はトロイと同じなんですが…)ラストしっかりO型の顔にもどってるトラボルタもイイ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-08 13:09:56)(良:1票)
9.  フル・モンティ
ロバート・カーライルなくしてはこの作品は成り立たないが、次いで印象的なのは1人だけ年長で元管理職のトム・ウィルキンソン。本作からの最大の出世株でもある彼の、他の者より年令を重ねているがゆえの哀愁をおびた演技は独自のポジションから映画を支える。貫禄ある風貌で最近は傲慢な特権階級やマフィアのボスもこなす彼だが、どんな役を演じていても壊れたノームを抱いて途方にくれた姿が思いだされる。ノームは失業の象徴でもあるかも知れない。今まで毎日当然のようにそこにあったものが、ある日突然壊れてしまう。砕かれた人生をいかに気持ちから立て直すか。ユーモアに溢れながら軽くないテーマを最後のステージが昇華する。華麗(?)な「帽子はそのままで」を「ナインハーフ」のキム・ベイシンガーのそれと見比べるのも一興。
[映画館(字幕)] 8点(2006-03-26 21:43:37)
10.  フリービーとビーン/大乱戦
これでA・アーキンのファンになった。とにかくハイテンションで押しまくる2人が可笑しくてならない。なかなか再放送しないのは、奥さんの浮気疑念の○○ネタがマズいのか?‘M・A・S・H’(TV)の熱い唇も出てたんですね! もう一度見たい。
[地上波(吹替)] 8点(2006-02-26 18:31:15)
11.  ブレードランナー/ディレクターズカット<最終版>
劇場公開版ではなく、こちらを先に見ていたらどうだったろうか?ボギー風のナレーションや楽観的な結末、美しいビスタは姿を消し、タイトに絞られたBR。そのかわりにデッカードの身上を仄めかすユニコーンが視界を駆け抜ける。H・フォードのモノローグは確かに洗練とは程遠いが、既にインプリントされた声を頭から消し去るのは難しい。あれを嫌っていた人間も情報だけはしっかり頂いているのだし。ラストの印象も全く違うので好みが分かれるところ。複雑な経緯があって世に出たコンクルージョンだが、自分にはBRヴァリエの一つでしかない。
[映画館(字幕)] 8点(2006-02-19 18:21:54)(良:1票)
12.  ブレードランナー/完全版
公開当時ヒットとはならず、ビデオもワーナーではなく子会社のエンバシーからリリースされるという継子扱いぶりだったBRのヴァイオレンス・バージョン。残酷シーンが増えただけでシアター版と大きな相違はない。暴力と血がレプリの心の闇をより深く見せる以外には。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-02-18 20:48:35)
13.  不思議の国のアリス/アリス・イン・ワンダーランド<TVM>
アリス役のティナ・マジョリーノは美少女とはいえないけれど、アリスらしい凛とした雰囲気は持ちあわせていて、青でなく黄色のドレスはカラー版「子供部屋のアリス」を踏襲した正統派。巨顔加工されたマッドハッター(マーティン・ショート)や衣装が見事なハートの女王(ミランダ・リチャードソン)のエキセントリックぶりもよいですが、一番魅力あるのはジェイソン・フレミングの倦怠ムード漂うハートのジャックかな?最初と最後にワンダーランドの住人を演じたスターたちの素顔が見られるのもいいし、ジム・ヘンソン工房のアニマトロニクスによるクリーチャーもあたたかみがあります。
[DVD(字幕)] 8点(2005-11-05 20:49:28)
14.  フレンチ・コネクション2 《ネタバレ》 
監督も舞台も変わり、ニューヨークから南仏マルセイユへ。 前作はラストの苦さまでふくめて一つの作品だと思いますが、続編を見ることで半月から満月になるように印象も変わってくるし、もう一度ポパイに会えるのはうれしい。 地中海に面した港湾都市マルセイユは、名は知られていても映画で見られる機会は少ないところ。 シャルニエを追って当地を訪れたポパイは、港で捜査中のここでの相棒となるバルテルミー刑事に声をかけますが、うまく発音できずに「バタミ」になってしまうのがユーモラス。(英語ではバーソロミュー) アジトであるホテルに火をつけていぶしだす暴挙も、彼ならではの豪胆さといえそう。 夜のマルセイユを散策し、酒場で若い女の子にちょっかいを出したり、堅物そうなバーテンに一杯おごって意気投合したりといった息抜きもありますが、最大のヤマ場は組織につかまりヤク漬けにされる彼と、そこからの再生か。 このどん底の日々を味わったことがポパイの執念をさらに岩のように固いものにし、長い長い走りっぱなしの追跡(ハックマンが細身の人じゃないので重みがあります)につながり、「ニギニギ」の返礼とあいなったのでしょうね。 前作ほどシャープではないけれど、最後スパッと終わるのはいいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-06 07:00:01)
15.  ブルーサンダー
硬派のヘリ映画☆ ロイ・シャイダー主演で信頼感はバツグン、彼が操るブルーサンダーは「アパッチ」と違って映画用のへリなので、機能の中でも「ウィスパー(囁き)モード」という架空の消音機能があるのがユニーク、優雅に飛んでみせます。 ストーリーも後発の「アパッチ」よりちゃんとしており、マルコム・マクダウェルが「時計じかけのオレンジ」に比べたらしごく正統的な悪役、金髪に染めたヘアをツンツンにして黒い革を着た大佐は当時のスティングっぽい。 現在は「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」のようにヘリ自体がCGで処理されることも多いですが、そういうもののない当時の技術は、ここぞという見せ場で下から上昇して姿を現すブルーサンダーを、望遠の圧縮効果で実際より大きく威圧的に見せる演出がエフェクティブで、次のシーンと比較するとその光学効果がわかります。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-03 07:00:03)
16.  プロメテウス 《ネタバレ》 
リドリー・スコットの30年ぶりのSF映画(しかも「エイリアン0」)。 どうかなぁ。 エイリアンと人類の起源を一本にというのは、贅沢とも欲ばりともとれる企画。 「エイリアン」がB級SFを映像と演出によって傑作に仕立てあげた作品なのを考えると、この壮大な逸話はいかにも後づけの感。 「2001年 宇宙の旅」もお好き(映像センスはあっても、キューブリックのような異才・鬼才とはちがってよくも悪くもノーマルな人だと思うので、ちょっとムリしてる感がなくもない)なので、あまり情報は入れずにミステリアスにしたいのだとは察しつつ、キャラクターの行動原理が不可解なのでフラストレーションがたまっても当然。 それに秘密が明かされると、スペース・ジョッキーのように神秘性は失われてしまうものですしね。 「エイリアン」のグロを見せるのは最小限だった編集に比べるとこれでもかってほどグロテスクで、そのあたりのセンスは退行してるのかと。 エレガンスも希薄になったし、(ゴールドスミスのワンフレーズ以外)音楽も普通。 でも鑑賞中は「気持ちわるう! 1回でいいっ」だったのが、再見したくなるような魔力を秘めてるのも事実で、リピーターを生むスコットSFは健在? メインの3人は今年他の映画でも見たキャスト、リプリーに似たキャラのエリザベス(ノオミ・ラパス、一番ドキドキなのは彼女の手術シーン)が、ファースト・チョイスのシャーリーズ・セロン(ヴィッカーズ)だったらまた全然ちがったはず、デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)は、彼が見ている「アラビアのロレンス」のオトゥールによく似たアンドロイド、アッシュよりHALに近い。 続編もあるようですが、弟トニーを亡くしたばかりで気落ちしてるだろうとか、一緒にやっていた制作会社スコット・フリーはどうなるのかとか考えると、何年も先になりそうです。
[映画館(字幕)] 7点(2012-09-09 07:00:02)
17.  ブロードキャスト・ニュース
前の方にある、トム(ウィリアム・ハート)が初めてアンカーをつとめるニュース番組の躍動感がすごく、ジェーン(ホリー・ハンター)の有能さもわかるし、ジョーン・キューザックがビデオテープを手に引き出しの下を滑りぬける場面は一秒を争うテレビ局のあわただしさを表現した名シーンで、ニュース映画としてのハイライトはここ。 あとはじっくりとタイプのちがう3人の男女のドラマを描く。 子供時代のプロローグと7年後のエピローグで構成も凝っています。 ホリー・ハンターはこれと「ピアノ・レッスン」が代表作でしょうけど、この映画では彼女の小柄さをハッキリと見せて(トムと一緒にいると「ミイ」みたい)、いわゆるセクシーなヒロインではなく、タクシーの運転手にも道順を細かく指示してしまうような女性。 ルックスがよく世渡り上手なトムと能力がありながら千載一隅のチャンスも生かせないアーロン(アルバート・ブルックス)がいて、一人の人間としてはアーロンと気があいながら、女としてはトムにひかれてしまうジェーンにはリアリティがあります。 ほろ苦いながらも、エピローグによって青春のひとコマになっているのがいい。 「あななたち、そうしてるとあの頃にかえったみたい」っていう感覚はどこの国でも同じ。
[DVD(字幕)] 7点(2012-09-06 07:00:04)
18.  ブラザー・サン シスター・ムーン 《ネタバレ》 
「ロミオとジュリエット」の成功で力を得たフランコ・ゼフィレッリの、次なる青春映画。 苦手な宗教が題材ではありますが、歴史物として見応えがあります。 キリスト教はその性質から天文学や自然科学と相容れない過去を持ちますが、ジョバンニ(グレアム・フォークナー)こと聖フランチェスコは自然にとけこみその中に神の存在を見出した人、フォーク歌手ドノヴァンの歌と美しいアッシジの風景で彼の自然派ぶりを強調。 前半は富裕な商人の父と、後半はきらびやかなローマ・カソリック教会との対比で若きフランチェスコの清貧さを際立たせ、美しい金髪を落として仲間となるクララ(ジュディ・バウカー)が彩りを添えます。 ローマ教皇インノケンティウス3世(アレック・ギネス)との謁見は、金銀宝石で飾られた豪華な法衣を脱ぎ捨て純白の衣でフランチェスコに歩みよる教皇が、一瞬権力を忘れ初心に立ち返ったかのような象徴的な場面ですが、まわりの枢機卿らに再び教皇としての権威で覆われるのが、組織としてのカソリック教会の強大さを感じさせます。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-04 07:00:04)(良:1票)
19.  プチ・ニコラ
50年前のパリ。 CGを使ってるのは現代風でも、今よりのんびりとしていた時代のノスタルジックな世界。 キッズ・ムービーは色がきれいなものだけど、ビビッドな色がアクセントに使われた映像もセンスよく、目をひく赤いベストのニコラは主人公。 スキッパのおじさん風なルックスがかわいいニコラが、妄想にとりつかれて珍騒動をまきおこす。 ニコラの両親にしては年令高いパパとママのキャラも面白く、友だちもいろんな子がいて、「できない子」あつかいのクロテールが河の名を思い出そうと、脳みそフル回転させる映像はジュネっぽい凝りよう。 ニコラのカン違いが結果的にパパに○○をもたらし、ニコラのふくれっつらがパパの×××をよび、ひいては△△△を生む要因となるのも、あくまでポジティヴ転換思考で気持ちのよい作品。 フランス人もシニカルぬきのしあわせが見たいのか。
[DVD(字幕)] 7点(2012-06-03 07:00:02)
20.  フィッシャー・キング
この映画のDJは、ロビン・ウィリアムズではなくてジェフ・ブリッジスの方。 リンチに「ストレイト・ストーリー」が、バートンに「ビッグ・フィッシュ」が、スコットに「プロヴァンスの贈りもの」があるように、ギリアムにはこれがある。 らしくないヒューマンもの。 その中にまかれたギリアム印は、バリーのオタク小屋だったり、ステーション・ダンスだったり、輝く騎士だったりだが、タランティーノが「イングロリアス・バスターズ」に置いてまわる自分の印より心地よいものだ。 風向きが変わった途端に世話になった女を捨てにかかる俗物ジャックと、聖人を絵にかいたようなバリーは対照的な人物に見えながらも、夜の公園で素っ裸で寝ころがると違いはぼやけていく、そんなに変わらないんじゃないかと。 ジャックに尽くすアンは、みじめったらしくなりそうな役なのに生きた女になっててうまいな~と思ったら、オスカーもらってるんだね。 彼女もよかった。 ギリアムって名前は聞くけどなんかコワそう、と思ってる人はこれから見たらいいのかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-08 06:59:57)
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