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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  幌馬車(1950) 《ネタバレ》 
赤狩り(レッド・パージ)の嵐が吹き荒れた時代に反撥を示したジョン・フォードによる、自由を求めてひたすら大陸を旅する開拓劇。  初っ端から銃撃に始まり銃撃に終わる映画だが、とにかく地味で、のんびりゆったり、とにかく平和。音楽も旅人たちを称える歌が流れるくらいだ。 ジェームズ・クルーズの「幌馬車」やラオール・ウォルシュの「ビッグ・トレイル」のように吹雪を乗り越えたり、異文明との衝突もない。だが面白い。  強盗団が店に押し入っている最中からいきなり始まり、広大な河を渡っていく幌馬車…いや馬、馬、馬の群れ。馬の売買を生業にする牧童(カウボーイ)コンビとモルモン教徒たちの出会い。予告される彼等と強盗団たちの遭遇・何時出遭ってしまうのか分からない緊張。 保安官には口笛で暴走するような馬を売りつけたりする牧童たちだが、頼まれ引き受けた依頼は最後までやり遂げるプロフェッショナルだった。コラル(馬を囲う柵)の中でいななく馬たちを背にし、ナイフで木を削り話をまともに聞いていたのかも分からなかった二人がだ。  角笛のユニークな響きと共に出発し延々と連なる幌馬車隊を眺めているだけでも面白いが、ユーモア溢れるやり取りが程よく挿入され退屈しない。  芸人一座(三人)との出会い、何も言わずフラつく御婦人を支えに行くハリー・ケリーJr.の紳士振り、拾った酒瓶をはたき落しブッ倒れる気丈な女性、ほとんど喋らない赤毛の女性(是非ともカラーで見たかった)、尻を付き合い取っ組み合う喧嘩、水を勢いよくぶちまけ馬と観客をビックリさせる色っぽい場面、水場があると分かり銃声の音で猛烈に雪崩れ込む幌馬車の轟音、鞍を外して馬ごとつかる水浴び、罵声を浴びせても謝罪する馬にも何にでも優しい気遣い。  不穏な空気が流れるのは、モチロン例の強盗団が不意に現れる瞬間からだ。ライフルを構えたまま何時“しでかすか”分からない連中相手でも暖かく歓迎するワード・ボンド。彼は「作り話さ」とモルモン教…いや宗教そのものを小馬鹿にしたようなことも言うが、最後まで幌馬車隊のまとめ役を果たす男だった。  犠牲者を出さないために絶対無理をしない・出来ない、だから雪山も登らない、ナバホ族(自由を奪われた者同士の共鳴)と遭遇しても自ら武器を捨てて言葉を話せる人間を探し出して交渉。仲間たちもそれに応えるために“発見”したものを知らせるべく凄まじい速度で馬を飛ばして(しがみ付いたりして)引き返し、一緒に踊り、“しでかした”やつを車輪に縛り付け鞭を喰らわせ、隠し持った拳銃を受け渡し、インチキ役者とその嫁は勇気を振り絞り危険な岩肌を超える役を買って出たり、撃たれたら一瞬の銃撃戦ですべてを終わらせる。“蛇”がいなくなったら不要なものは投げ捨てててしまえばいい。 また同じような危険に遭遇するかも知れない。だが、男は旅をする仲間たちを信じているからこそ凶器を捨てることが出来るのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2016-11-07 13:42:23)(良:2票)
2.  炎628 《ネタバレ》 
冒頭の老人と子供の会話からして、既に何かに憑りつかれたかのような異様な緊張が画面を支配する。 古戦場で土に埋まったドイツ兵の武器を掘り出す子供たち。それを見守るかのように空を飛ぶ不気味な偵察機。重低音とエンジン音が重なり恐怖を煽る。 水を飲む音、シャッターを切る音、不協和音が混ざるラジオ、愉しげな人々の合唱、泣き声、笑い声、突如襲い掛かる空爆や銃撃音、天空で開く落下傘の音、地雷、蝿の羽音、雨の中のダンス・・・何もかも不気味に響く。 人々や動物の表情も怖い。牛が撃たれて死に絶えるまでの眼! ナチスたちも中々姿を見せない。落下傘や林の奥を不気味に行進する様子が一瞬映り、しばらくは音のみでその存在を誇示し続ける。それが霧が晴れるようにワラワラと姿を現し、雷鳴のような声で人々を嘲笑い村人を殺しまくる。人々は狂ったように阿鼻叫喚に叫び、物語は異常なテンションでサスペンスフルに展開される。 虐殺を敢行する彼らにとって、不慣れな道で“うっかり”踏んでしまった卵と一緒かそれ以下の存在。飯を食い呼吸をするように人を殺すのだから。 皮膚の焼けただれた老人や一瞬映る積み上げられた死体なぞ序の口。女を集団で犯し尽くすなんてまだまだまだまだ。 村人を小屋に押し込めて・・・オーバーキルなんてもんじゃねえ。敵同士で同じように祭りを楽しみ、同じように記念写真を撮る。あれに背筋がゾッとしない人間がいるのか? それを焼き付けやがった奴らをどうして擁護しなければならない? 貴様ら赤ん坊まで殺したではないか。自分も同じ目に遭ってもかまわんと思えなかったんだろうがよ。そんな奴らが今更命乞いなんかしてんじゃねえ。くたばれ。惨めに死んじまえ。てめえらなんぞ火葬する価値も無え、泥の中で死にやがれと、憎悪を吹き払うには憎悪しかなかった。そうやって己を駆り立てなければ自分を保てなかった。 じゃなきゃ家族の死を受け入れられず泥の中に体を埋めて死んでしまいたくだってなる。それこそ絶叫をあげ続けながら。 撃ち捨てられたヒトラーの顔面に鉛弾を撃ちこみまくる瞬間の強烈なモンタージュ! どんどん時間は遡り、独裁者も無垢な赤子に戻る。スターリンですら無垢な赤ん坊でしかなかった。それが成長してああなった。そりゃ種族根絶やしとかも考えたくなるわ。 松明を持った男の選択が、彼らと“同じ”になる事を否定するせめてもの選択だったのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-03-12 00:00:17)(良:1票)
3.  ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 
今となっては「オール・ユー・ニード・イズ・キル」がダグ・リーマンの最高傑作だと思うし、「ボーン」シリーズも「アルティメイタム」が頂点だがこの作品もかなり好き。  スリルとサスペンスに満ちた久々のスパイ・アクション映画。  子供の頃はモチロンこの映画を見たのだが、再見するまで内容をまったく覚えていなかった。 取り敢えず男が記憶失って暴れて逃げてリコールして・・・それ「トータル・リコール」じゃねえか。  そして再見してみた。 スゲー面白かった。 つうかこんな面白い映画を忘却していた俺の記憶力ふざけんじゃねえよ!  記憶=アイデンティティー(存在意義)を求めてひたすら彷徨うジェイソン・ボーン。  記憶は失っても体は「戦い」を覚えている。「体の記憶」と闘争本能が結びついていく様子が面白い。  次から次に謎と伏線がバラまかれる展開。 多彩な戦闘やド迫力のカーチェイスよりもそっちの方が気になってしまう。でも「スプレマシー」はカーチェイスの方が凄かったと思う。  謎を残したまま終わるラストも良かった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:30:50)
4.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
「アルティメイタム」ほどじゃないが、この作品もカーチェイスとかが凄い。「アイデンティティー」に比べるとカメラの揺れ具合が増して酔いそう。俺はこういう演出が大嫌いなのだが、何故だが「ボーン」シリーズだと許してしまえる不思議。 しかし感想は「アルティメイタム」と比べるとテキトーな殴り書きになる私です。  ノンストップ・スパイ・アクション「ボーン」シリーズ。 「俺の友達だが知らないか?不幸に見舞われてな」これからオメーが不幸にすんだろーが。 「選択の余地はあるわ」→水没 ヒロインの「例のアレ」は最早お約束。 ボーンは結局死神なのか? 過去との決別、思い出は写真一枚の中に・・・捨てきれぬ愛情がボーンの強みであり弱み。  「彼を拘束しろ!」→瞬殺→首になりたくなかったら頑張んなさい。 ボーン速すぎバロス。 手ブレも慣れてくると「ブレでごまかしてんじゃねえよ!」→「CG無しの迫力パネー」となる(筈) ナイフvs冊子! 冊子は導火線でもあるんだぜ?アクションもカーチェイスもやっぱり凄い。 もう怖いもの無し。余裕で顔見せ。 パメラ「ぐぬぬ」 次は笑顔でピースとかしそうな勢いだ。  ボーンも必死だ。 ニッキー&パメラ「マリーって誰だよ!!?」  「おまえに安住の地は無い!」 だったらテメエらの安住の地も無くしてやらあ!逃げるが勝ちじゃあああっ! 殺し屋がポリ公? ボーン「同じような髪型しやがって・・・被る」 事故は起こる。恐ロシア。  ボーン「君は疲れている」  物語は「アルティメイタム」に続く・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:26:37)
5.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
確かに自業自得で死んだかも知れない、確かにほぼ毎年放送されて「うっかりチラ見してしまうだけで不眠症になるだろうがふざけんな日本TV」と思うかも知れない、確かに「トトロ」の後にこんな悲惨なもんを見せられて監督を殺したくなるかも知れない。  おばさんだって好きでいじめてるワケじゃないし、妹のために我慢出来なかった兄貴も悪いのかも知れない。働きもしないのだから怒られて当然・・・だが、だが、だが・・・あの子供は「恥をしのぐくらいなら死んだ方が良い」という戦争教育の犠牲者だったのではないか。 兄はその父親の教えに染まりすぎ、我慢も出来ずに勝手に戦い民間人が空襲で焼き殺されるのも“見殺し”にしやがった軍隊の、政府のクソ共の犠牲者なのかも知れない。ここまでくると、無残に転がる黒焦げの遺体になってしまった人が、そこに到るまでの事も考えてしまうんだ。「日本のいちばん長い日」みたいにな。  こんな点を付けるのも嫌になるくらい哀しい映画があっていいのだろうか。  戦争の悲惨さ、直接的な描写をしなくとも分厚い包帯と夥しい蠅と煙・・・これほどアニメから「死臭」を感じた事は無い。  小さい頃はよく解らずに見てたけど、大人になった今は逆に見るのが怖くなってしまった。 今だからこそ見なきゃなんないのにな。  だってよー節子がよー、節子がドロップとおはじきをよーうわああああっ!節子!それドロップちゃう!おはじきや!死ぬなーうわー!  高畑勲と宮崎駿が本気で殺しにかかった残酷さを感じた。 いつも夢と希望に溢れる現実逃避な作品が多いジブリだが、1本くらいこういう作品があっても良いと思うんだ。  そんなわけで「はだしのゲン」と双璧をなすこの作品、忘れちゃいけないね。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-16 22:39:07)(良:2票)
6.  ホーム・アローン 《ネタバレ》 
この物語は、家を守るために鬼になって泥棒たちを殺す勢いでトラップ責めにした一人の少年と、 命がいくつあっても足りないトラップ地獄に挑み続けた二人のタフでクレイジーな男たちの物語である。  正直「ダイ・ハード」よりもハードです。マクレーンが1ダースくらいいないと攻略とか無理です。   大家族の末っ子のケビン。 兄弟からも「足を引っ張る」と邪険にされ、ある日の大喧嘩が元で一人家に閉じ込められる。密室の恐怖、「家族なんて無くなってしまえ」と世の中を恨む。  そしたら本当に家族が消えてしまった。前日から旅行を計画していたマカリスター家。 我が子と近所の子を間違えてしまったのだ。こんな酷い家族恨みたくもなるわ。自分の間違いによって息子一人を残してしまった事を悔いる母親。 ケビンも最初こそ殿様気分で自由を謳歌していたが、次第に寂しさで泣きたくなってくる。 そこに現れた愉快な強盗コンビハリーとマーブ。 ケビンは家を守るため、たった一人の孤独(ハリーとマーブとの愉快)な戦いに身を投じる。  「ダイ・ハード」は迎え撃つスリルと虎の穴に飛び込む緊張が同時進行するような映画だったが、この映画は砦に篭って迎え打って打って打ちのめしまくる。  ケビンと仲良くなるマーリーじいさんの協力を得て泥棒コンビをフルボッコ。 本編の遠因ともなったピザを運んできた配達員の悲惨さも、この映画から溢れ出るユーモラスな雰囲気に飲み込まれていく。  こんなにも痛そうだなと背筋が凍り、爆笑し、不覚にも泣いてしまった映画を俺は子供の頃から見させてもらっていたのか。ありがたい限りだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-15 21:49:00)
7.  放送 《ネタバレ》 
テオ・アンゲロプロスの数々の傑作の中で、「放送(Εκπομπή)」は最も活き活きとした、短くも中身の濃い映画である。 たった20分でアンゲロプロス特有のロングショットとクローズアップ、そしてオープニングからブッ飛ばすように流れる軽快な音楽のハーモニーがとても心地良い一篇である。 ラジオ局の人々のやり取りや街頭インタビューを通して当時のメディアのやり方、メディアが作る虚像を暴こうとする試みが面白い。 途中である男がスーツを着て街中の広い道をポツリポツリと歩いていく場面、浜辺のカップルが車の中に入っていく様子をロングショットで収めた場面に、既にアンゲロプロスが居るのだ。道を歩いていく本人には目的地が見えているが、それを見守る我々が感じる言い知れぬ不安。彼は無事に目的地にまで辿り付けるのか、付けないのか。そういう見る者の心をかきむしり、ワクワクさせる映像がこの映画には既に存在しているのだ。 クローズアップでたまに映るギリシャ美人が可愛い。 アンゲロプロス本人は「初期の作品は失敗作」と語るが、「失敗」は成功の元、むしろその「失敗」と言われる逸品に刻まれた面白さを発見するのがファンの役目ではないだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-15 11:03:19)
8.  襤褸と宝石 《ネタバレ》 
スクリュー・ボール・コメディの傑作。  もうね、最初から最後まで、何から何まで狂いに狂ったキチ●イどもが全力疾走するような映画です。  常識が最初からログアウト。最早“常識”なんてこの世に無いんじゃないかと思いたくなるような映画です。笑いすぎて死にそう(褒め)。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-21 18:38:51)
9.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 
ウェルマンによる戦争映画の傑作の一つ。 ウェルマンは「飢ゆるアメリカ」「紅の翼」等戦争映画の傑作が豊富だが、この作品はウェルマンの映画の中でもかなり楽しく、アクションとコメディ両方の面でとにかく面白い。 「つばさ」以来何度かウェルマン映画を飾るゲイリー・クーパーの存在も良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:12:46)
10.  暴力団(1955)
ジョン・アルトン&ルイスの最高傑作の一つ。 人によっては「拳銃魔」よりも好きと言う人もいるだろう。  フィルム・ノワールの魅力は「闇」が司るが、この作品の夜霧のシーンは神秘的であり、様々な人間の欲望が見え隠れする「闇」でもある。  ボスの手下のギャングたちもまた、闇が司る暗喩的な性の匂いを感じさせる。  ルイスの手掛けた傑作西部劇「テキサスの死闘」もまた、黒衣の殺し屋等フィルム・ノワール的なものを何処か感じさせる。「テキサスの死闘」は夜も煙草の煙もファム・ファタールと言える女性も登場しないが、殺し屋として自分の存在意義に悩みネドリック・ヤングの存在は何とも言えない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-06 18:15:27)
11.  ホンドー
「高原の疾走」に並ぶジョン・ファローの傑作。 「ラスト・シューティスト」の冒頭で引用された作品の一つだが、なるほど中々の作品だ。 ジョン・ウェインが荒野から一人でのしのしと現れる場面、インディアンとナイフで決闘に及ぶ場面など見所も多い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 18:19:44)
12.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 
CGも発達していない時代にこんな凄い映画を造りやがった!!  ポール・ギャリコの原作をここまでリアリティのある大作に仕上げた超A級のパニック映画。  「あんな沖にいて巨大な津波に襲われるのか?」という疑問を破壊してくれる造り込み。  いや、あの時代だからこそやる意義があったし、あの時代のうねりがこの映画を産み出せた。  舞台は大洋にポツリと浮かぶ豪華客船。 逃げ場の無い海上、「方舟」は一瞬にして巨大な「棺桶」と化す。 甲板が地獄で船底が天国という皮肉。 船を大津波でひっくり返すって発想が面白い。 実際こんな目に遭ったら「悪夢」だけど、映画としてならやってみたい魅力的な「夢」だ。 天地逆転した船の中でパニックに陥る乗客、冷静な判断で生き残っていく人々。 押し寄せる海水、爆発で揺れる巨船、そして試される人間の尊厳。 極限状態で生き残ろうと必死に抗う人々の力強さ、死。 生き残るはずだった者、死ぬ運命にあった者、その容赦の無さ。  撮影も命懸け、俳優陣も持てるポテンシャル全快で命懸けの熱演を魅せてくれた。  今でもジーン・ハックマン演じる牧師の名ゼリフが聞こえてくる。 「主よ、助けてくれとは申しません。どうか邪魔はしないで下さい・・・!」
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 01:53:21)(良:1票)
13.  北北西に進路を取れ 《ネタバレ》 
展開が早く緊張の連続でまったく飽きさせない、「三十九夜」のアメリカ版とも言うべきスパイ映画の傑作。  今見ても面白いヒッチコックの高いアクション性は見れば見るほどその面白さにハマる。  カッコイイOP、交差する線、ビルに映る車、人の群、バスに乗り損ねるヒッチコック、エレベーターから降りてくる人々、仕事の話、タクシーによる移動は「めまい」のジリジリとした追跡のスリルを思い出す。  5分を過ぎたところでケイリーを睨み付ける謎の男たちの登場、勘違い野郎ども、早回しによるスリルの倍増は「裏窓」のクライマックスから受け継がれる、当然ドアは開かない、謎の屋敷、見張り、身に覚えのない「罪状」が襲い掛かる恐怖、油断したところに恐怖が襲い掛かるスリルがヒッチコック映画の魅力。  眠らされて起きたら車が猛スピードで走ってて死にかけるとか(スクリーン・プロセスによる見え見えの合成なのが残念)、ふと横を向いたら飛行機がつっこんで来て殺されかけるとか、勝手に殺人犯にされたり、スパイにされたり、列車で謎のワケあり美女に出会ったり行く先々でトラブルが待ち受ける。  暗闇、崖、波しぶき、うつろな眼で暗闇を走り続ける、追突事故、撮られてしまった写真、警察、殺し、スパイ、二重三重に追われる、寝台、サングラスはかけててもあまり効果がないので砕け散る。  何もない平地、通り過ぎる車、砂埃、画面に奔る緊張、いつ何処から何が来るのか解らない恐怖が不気味な唸り声をあげて襲い掛かる! 安全地帯を探して走る走る走る、頭を抱えてやり過ごさねばならない、もうもうと吐き出される煙、トラックのオッサン涙目、野次馬は男の逃走手段を路上に止めに来る。  暗闇に映るかすかな明かり、たった一人で乗り込む緊張、音、銃、像、登る、血、ハンカチ、マッチに託すメッセージ、影、思わぬ「鏡」、出来る家政婦、銃撃! 閉所の緊張から断崖におけるスリルへ、巨大な像の群、小さな閃光の揺らめき、叫び、踏みにじられる手、人の命、断崖から“旅立ち”への生還!  最後まで気が抜けなかったぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-22 00:18:59)
14.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
アクション映画は本当大好きだ。   言葉なんかいらねえ、テーマなんかいらねえ、とにかく動い動いてブチのめせ!  けれども“ストーリー”という「骨」があるともっと面白い。   その「骨」こそ主人公のジェイソン・ボーン(Jason Bourne)。 もちろんスペルはまったく違う。 しかし音で聞けば誕生の「born」、骨の「bone」(発音違うけど)。   「自分は何者なのか?」というシンプルかつ究極の主題、見づらい手ブレ演出も慣れればCG無しの極限アクション、ガラスにダイブ、バイクやカーチェイス、ガンファイトと息もつかせぬアクションのオンパレード。 スゲー疲れるぜ(良い意味で)。   そんなボーンシリーズの終点「ボーン・アルティメイタム」。  最後通牒、ボーンへの、そして観客への最後通告。 己の正体、自分を追う敵、黒幕、そして協力者・・・全ての決着。  正体を知りたいから諦めない、 正体が解っても諦めない、 死んだ者のために諦めない、 何より「生きたい」から諦めない・・・! 「ここで全てが始まった。ここで終わらせる。」ケジメはしっかり付けて退場する。  水中を力強く泳ぐボーンには本当元気を貰える。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-01 17:25:21)(良:1票)
15.  ほしのこえ 《ネタバレ》 
日差しが注ぎ込む電車の窓、その窓辺で携帯を打ち続ける少女。 回想、階段、椅子が逆さまに置かれた机と教室、星を背にたたずむロボットの中でも、宇宙船の中でも頭の中は好きな男の子のことで溢れかえる。その気持ちを携帯電話のメールにしたため続ける。  ゲームオープニングの制作にも腕を振るってきた新海誠。この頃から異常なまでにリアルで美しい風景を楽しませてくれる。 雨を予感させる積乱雲、飛行機雲、ドアの向こうの夕暮れ(「彼女と彼女の猫」でもドアの開閉は印象的だった)、夕陽に染まる雲、星空、クレーターの中の市街地と水辺、桜の花びらを運ぶ風は寝ている者を揺り起こし、ミサイルから尾を引く雲、爆炎、宇宙空間に飛び散る鮮血、しぶきをあげるように星の海へ飛び出していく宇宙船、鳥の群、足跡はクレーターになり水たまりへ。 雨が降りしきるのは雨宿りさせ二人だけの時間を作るため。  メールのやり取りが断たれてしまう光景は「君の名は。」にも繋がる。  登場人物たちは漫画的な(眼がデカい)タッチ。 風景は二人の心情を表すように変化し続ける。汗と涙を落とし、開閉する遮断機の前、降り積もる雪の中、雲間から降り注ぐ木漏れ日の下で立ち尽くす。  傘を断るのは「あの人」に悪いと思うから。だからこそ待ち続け、返事が来るのを、帰って来ることを信じ続けたのだろう。  異文明との衝突、対話、ただ「会いたい」というエネルギーが彼女を動かし続ける。その果て…贈り続けたからこそ「文字」ではなくそこに込められたものが伝わったのだと思う。声に、言葉にならないような想いが。  切ない。実は生きてて再会できたとかないんですかねえ。もれなくタルシアンが地球にお礼参り(ry
[DVD(邦画)] 8点(2017-03-27 07:32:26)
16.  ボビーに首ったけ 《ネタバレ》 
実に興味深い映画だった。どうしてこれほどの作品がDVD化されないのだろう。誰か出してくんねえかな~。  霧の中で点滅する灯、それを頼りに疾走する車、轟音をあげるバイク。  ヘルメットをかぶり(それまでノーヘルだったのか…)、画面の奥から迫り来るように走り去っていく。そこからこの中編は始まる。  この作品は実験的趣向に溢れており、特に「光」やそれが強調する「黒い影」の動きが印象的だ。  女のモノローグ、机の上に置かれた「もの」によってそれが手紙の内容だということを観客はさとる。 シャッターを上げた先に拡がる空間に貼られたバイクの写真、ラジカセ、白い光の中から駆け寄る者。  黙々とバイクの整備を続ける黒いシルエット、その周りで舞い踊るように語り掛ける少女。男はそれに淡々とした喋りで応え続けるが、座席にベッタリ寝そべっても怒らないくらい親しい間柄なのだろう。  逆光、人形のようにギコチナイTVの中の人間たち、それを見つめる光の無い眼、視線も交えない冷えた親子の関係。  回想の中でページをめくる女の影、いくつもの写真が男の過去を語り、次の旅先を想い描く瞳。  どっかの漫画から切り抜いてきたかのような止め絵、止め絵、止め絵、行く先々で視線に飛び込む単車、単車、単車というロマンの塊。  雨にあたる銅像のように固まった肉体、干された片靴、TVを見続けるのは顔を背ける・向かい合えないからだろうか。それとも声だけが響き続ける手紙の差出人に夢中だから、それを見つけるため、現実から逃げるためにバイクに乗るのだろうか。「手紙」だけで繋がる、傘を楽しそうに回す「憧れ」を求めて…。  真後ろのナンバープレートから真上に移動して捉えられる疾走、振り払い詰め寄り平手打ちを浴びせるシルエット、その影から逃げ去るように旅立っていく。 闇の中を揺れ動く光、光、光、逃げ込む場所。その瞳は自由を得たように灯を帯びる。 バイト、労働、心地よい疲労、喜び。楽しそうに家族の近況と「あるもの」を届けに来てくれる妹。彼女がいるからこそ親を放って出ていけたのかも知れない。  友人が残した「家族」の世話をするためにも増々帰るに帰れない。 道の向こうから接近し、地面を削り取るように砂を撒き上げ見事なターンを決める黒いライダー。マスター渋すぎるぜ…。  その「誘い」に心を弾ませるようにバイクを飛ばして追いかける。照り付ける日差し、風に揺れる服と豊かな口髭、横切っていく影。  辿り着いた先で跳んで跳んで飛び交うバイクの群、土煙をあげ、土砂に身を投げ出しながら鎬を削り競い合うバイク乗りたちの集う場所。  声をかける店の常連・顔見知り。 瞳の輝きが増すのは「求めていた」ものの一つに巡り合えた嬉しさから。そして、交わし続けた「約束」を思い出したかのように瞳はさらに輝きながら眩い太陽を見つめる。  木漏れ日が差し込む木々、行く先を照らすように白く輝く道、流れ落ち降り注ぐ光の線、うねり、縫うように、抜け出すように、「色」が消え去り、風を切り、延々と走り続けた先…。  その後どうなってしまったのか、気になる終わり方だった。
[ビデオ(邦画)] 8点(2017-02-08 00:50:08)(良:1票)
17.  ボウリング・フォー・コロンバイン 《ネタバレ》 
マイケル・ムーアという映画監督は、ただありのままを映そうとするタイプのドキュメンタリーは撮らないらしい。 あの芝居がかった行動の数々で映画のようなやり取りを見せつけ、一つの事件を通してあらゆる要因を羅列し引きずり出して注目させようとする。今回は銃社会のアメリカに潜む問題のようだ。   自ら俳優のように出まくり映画を引っ張る肥えた肉体。 オーソン・ウェルズのように悪の権化としてずんぐりむっくりの体で威圧感を出すワケでもなく、西部劇で偉そうにのしとのしと歩く腹の出たガンマンの如くムーアは登場してくる。マイナスイメージをあえて前面に出すことそのものが壮大な“当てつけ”なのだ。当てつけしないと死んじゃう病なのかも知れない。だから意地でも痩せないんだと思う。 表情はコメディアンのようにどこか微笑みを称え、銀行で得たライフルを抱えて買い物を済ませる“日常の光景”を映す。 時にインタビュアーとして執拗に問い詰める時もあれば、手を肩にやって同情するような場面も物凄くわざとらしーく見せつけたりする。当事者の目の前でそれをやるのだからつくづく胆の座った奴だわ。  インタビューをした人々の顔もこれみよがしに見せる。銃に狂った老人のギラギラした眼、銃を握りしめ高々と掲げる演説者チャールトン・ヘストンの笑顔、無責任なマスゴミや報道陣の笑み、恐怖に怯える顔、失望と怒りの顔。  幼きムーア少年はおもちゃの拳銃の引き金を引きまくり、現在のムーアはけして銃弾を発射せず、銃を撃つ市民や銃弾を喰らう人々の姿を映しまくっていく。 映像が得られなかったものの代わりに何かを映し、得られた映像の使い方も強烈だ。  ボウリングのピンの件でハワード・ホークスの「暗黒街の顔役」についても語られるかと期待したがそんなことはなかった。あの映画のようにデカデカと書かれた文字が語る社会の矛盾、ピンと人が薙ぎ倒され横たわる光景が幾度も映される。  事件現場の校舎や街、弾痕、道、事件当時の一部始終を捉えた監視カメラ、殺人者と殺害者を明確に示すように光が人物を覆い、助けを求める悲痛な叫びは机の下に伏せる人々の叫びを聞かされるようだ。  「マトリックス」を守るエージェントの「Non!」、「駅馬車」やウィリアム・S・ハートといった西部劇、「國民の創生」の人種描写、「サウスパーク」の冬、企業コップのイメージに何コレ超見てえ、アニメーションで描かれるよくわかる人種差別&銃社会アメリカの歴史に爆笑、細い男の服の中から次々に銃が出てくる瞬間の戦慄。 様々な国で引き起こされた虐殺、銃のゲーム、まばゆい光の中に突っ込んでいく“買物”、当事者たちのすべてをぶつける闘い、ダイナミック営業妨害、毒には毒で、極端には極端で、メディアにはメディアで殴りつける。  右足をソファーに突き付けてインタビューに応えるマリリン・マンソンの職人意識。 彼が取材を受けるのはどんな時でも己を貫く姿勢を示すため。ムーアも黙ってそれを受け入れたのだろうし、一人去っていく者へ黙って写真だけでも置いて去っていく。それ以上の追及をあえてしないのだ。  アメリカとカナダの同じ銃社会でも意識の違いがハッキリしているのは興味深い。 日本も昔は日本刀だの槍だの鉄砲だの世界有数の銃社会だったからなあ。日本人も黙って見過ごせない問題ですよ。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-30 00:38:46)
18.  ホテル・シュヴァリエ 《ネタバレ》 
ウェス・アンダーソンの短編。 ホテルのロビー、部屋から電話で注文するバスローブ姿の男、女からの電話で風呂をため、音楽をかける準備をして待ちかねる。  服をローブから黒いスーツに着替え、音楽とともに女を出迎え、抱き合う。 剥製、オルゴール、絵といった男の趣味、カバンの中に何かを挟む、ホテルの・・・いや男が使ったであろう歯ブラシで歯を磨く。 男がチョコをつまむと女はベッドに寄り、一緒に寝転がる。食事を運ぶ従業員、それに合わせて上着を脱ぐ彼女、従業員が去ると情事の開始だ。ブーツをぬがし・・・その後は・・・。  裸の彼女にゆっくりとローブを着せていく。二人は「食事」を先にすませて続けて別の食事をするつもりなのか、それとも食事前の「前戯」だったのか。 窓辺からホテルの外を見る二人。向かい窓の人はそれを“目撃”していた可能性も・・・w
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 17:42:14)
19.  ボルケーノ 《ネタバレ》 
サンフランシスコの真ん中からマグマを噴き出そうって発想が好き。  サイエンス・フィクションの「もしも」なアイデアに溢れていて、ストーリーもシリアスだし説得力があるから見入っちゃうね。 色々ムチャクチャだけど。  とにかくトミーリー・ジョーンズを始めとするオッサンがみんなカッコイイ。 男の中の「漢」ばっかりだ。  警官、 不良少年、 ビル爆破の男たち等々・・・迫り来るマグマの描写も凄いけど、登場人物の男気が一番の見所だね。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-15 21:10:33)
20.  朗かに歩め 《ネタバレ》 
小津の暗黒街物の初めとされる作品。 ジョセフ・フォン・スタンバーグとかの「暗黒街」系列の影響が強く、「その夜の妻」ほど洗練された感じはしない。 それでも冒頭の「スリ」のやり取りや車の移動場面など晩年の小津には無い凝った演出が見られる。 この頃はまだ実験的な演出の域だろうか。 ストーリーそのものは与太者が犯罪を犯して徐々に改心に向かうというストーリー。 モダニズムの逸品として評価されているが、個人的には「その夜の妻」の方に強く惹かれる。 それでもよくまとまった小品。 「大学は出たけれど」にも出演した高田稔は中々様になっていたと思うんだけど(みんな学生のコスプレにしか見えんけど)。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-13 19:03:25)
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