181. 大統領の陰謀
《ネタバレ》 ダスティン・ホフマン、ロバート・レッドフォードという当時の2枚看板が全く色恋沙汰なしの硬派な新聞記者として大統領のスキャンダルを暴露していくストーリーを演じる。子供のころに、これをみて新聞記者になろうと思った人は多いのではないか。私もそのひとり。でも、結局ならなかった。それでよかったかもしれない。日本の新聞社には、こんなに肚のすわったトップがいそうもないものね。 6点(2003-12-07 16:30:23) |
182. 最後の億萬長者
モナコ公国がモデルとなっているのだろうか。非常な財政危機に陥っているカジノリアという王国が打ち出した財政再建策のてんやわんやの騒動を描いている。今の感覚からすると相当にテンポがゆっくりのため、乗りが悪い。また、また、昔は電話が交換手を通してつながれていたという知識がないと画面上で何が行われているのかわからない恐れがあるギャグなどがあり、古臭いという感じがしてしまうのがいたしかたない作品のように思う。一人当たりにならしてウン百万の公債残高のある国の一員としては、一向に財政が好転しないストーリーなので、映画を観ながらもついつい現実の無気力な政治状況を思い出してしまい、なかなか辛いものがあった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-06-18 00:47:46) |
183. ローマで起った奇妙な出来事
落語の廓噺のような出だしではじまるローマ時代を背景とした史劇もどきのドタバタコメディ。きちんとした時代考証を踏まえてつくった可能性は限りなくゼロに近いと思う。ブロードウェイミュージカルの映画化というが、歌や踊りの場面が少なく、俄かには信じられない。ただ、馬がたくさん出てきてからのアクションシーンはジェットコースタームービーのようなおもむきがあり、好きな人間にはこたえられないクラシック映画の名シーンのパロディもあって笑わせる。端役で出ているキートンの遺作でもあるらしいのだが、キートンは最後の最後までキートンらしかったのを観られる作品でもある。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-05-10 12:30:27) |
184. おかしなおかしな訪問者
現在と自分の親が子供の頃という短い期間をタイムスリップさせた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に対して、俺たちフランスには長い歴史があるんだ。逆立ちしたって、中世騎士物語の時代と現代というような長い期間をまたぐ映画は作れないだろう、というハリウッドに対するコンプレックスの裏返しの優越意識が垣間見えるような気がするのがなかなか可笑しい。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-04-28 16:39:49) |
185. 鳥(1963)
ヒッチコックの作品に出てくる男女の関係は、恋仲にせよ、夫婦にせよ、既に与件として定まっているか、でなくとも、序盤早々にあっさりと関係を構築させてしまうものが多い。つまり、そのプロセスを描いて観客を魅了するのではなく、別のところで大いに見せ場を用意する人なのである。ところが、この作品では、なまじ男女の出会いから恋仲に至るまでのプロセスを描こうとしてしまったために、人間を描けない彼の欠点がかなり目立ってしまっている。また、脇役の設定もかなり強引で、別れた男への未練から都会から引っ越してきて彼とつかず離れずの距離の場所に住んでいる学校の先生(しかも彼女は貸し家業も営んでいる)とか、田舎の港町のバー・レストランに年老いた女性の鳥類学者が居合わせたりとか、聖書を暗記している時代がかった男が昼さなかから飲んだくれていたりとか、都合のいい偶然が多すぎる。有り得ない設定は、鳥が人間を襲う、その一点に絞るべきだったと思う。有り得なさの焦点が定まっていないために、私にとって普通は気にならない特撮の古さが妙に気になった。しかしながら、主演女優ばかりか、ジェシカ・タンディにも車を運転させているところなど、女の車の運転シーンへのこだわりは健在だし、その合成の仕方も9年前の「泥棒成金」と変わっていないところなど、職人の頑固さが感じられたのは微笑ましかった。 5点(2005-01-29 12:18:18)(良:2票) |
186. 王子と乞食(1977)
日本では玩具屋の例が有名だが、男性の子役は大人になると大成しないというのは、日本だけのことではないようだ。マーク・トウェイン原作の入れ替わりもの傑作古典の映画化だが、子役として全世界に名をとどろかせたマーク・レスターがどうにもこの作品では中途半端で浮いているようにみえる(背が不必要に高く、脚が不必要に長すぎる。ま、本人の責任ではないが)。脇を固めているのが、チャールトン・ヘストン、オリバー・リード、アーネスト・ボーグナインらのベテラン勢で皆さすがの貫禄を示していただけにひときわ目立つ。本物の屋敷を使ったらしい王宮の中のシーンがそれらしい雰囲気を醸しだしてくれていたのがせめてもの救いか。 5点(2004-09-23 10:41:59)(良:1票) |
187. 自由の幻想
山田太一原作のドラマで話が合った高校の同級生が、これは面白いぞ、 と薦めてくれた映画。以来、気にはなっていたもののずっと観る機会 を得ずに宿題になっていたが、昨日ようやく探し当てた。だが、正直 にいってさっぱりわからなかった。細かいエピソードをつぎはぎでつ なげていく手法を受け入れられるほどこちらの感受性がもう柔軟では ないのかもしれない。ネタとしては、学校で一時行方不明になった娘 を警察が手配するくだりなどはシュールで面白かったのだが、全体を 通してとなると、やはり、高校生か、大学生のときに観ておくべき映 画だったのだろう。確か「アラビアのロレンス」にダチョウに乗って 走るシーンがあったように思うが、ダチョウの印象深さという点では、 この映画はそれをはるかに凌いでいる。 5点(2004-09-11 11:14:44)(良:1票) |
188. フラッシュダンス
ジェニファー・ビールスが自転車に乗って颯爽と走るシーンは好き。18歳の主人公が一皮むけるまでを描いているが、退屈そうな審査員の表情があっという間に掘り出し物を見つけたような表情に変わるところがあまりにも荒技過ぎてついていけない。また、多分、製作年当時の流行だったと思うのだが、筋肉美を前面におし出したダンスシーンが今となってはあまり魅力的に感じられない。 5点(2004-05-27 22:26:28) |
189. ラジオ・デイズ
《ネタバレ》 AMラジオについては、欽ドンと深夜放送、TV中継終了後の野球中継しか思い出のない私には、よその国の話だし、ひとつひとつの米国ラジオ史上のエピソードをほとんど知らないので観ていてあまりはいりこめなかった。あるソフィストケイテッドコメディのワンシーンがはいったり、いいところで告げられる戦争の報せのシーン、子供たちが双眼鏡を回しっこしながら覗き見をするシーンなど、監督が昔のどんなコメディを意識しているのかが窺われる部分は楽しめたが、ナレーションを中心にした運び方が、今ひとつ乗り切れるものでなかった。 5点(2004-05-24 00:43:55) |
190. 逃走迷路
悪役の脇が甘すぎるので物足りなく感じてしまう。手錠の切り方、映画館の中で発砲音をダブらせる逃走シーン、最後のクライマックスシーンなどの名場面は鑑賞に堪えるが、みどころがあるのは場面だけで、ストーリーは買えない。 5点(2004-04-13 17:29:47) |
191. フィラデルフィア物語
ケーリー・グラントとジェームズ・スチュワートが共演しているのが珍しい。キャサリン・ヘップバーンは若い頃から演技がうまかったのもわかる。ただ、この脚本、最初は舞台で当たりをとり、映画も当たったようなのだが、どこがそんなに当時の観客を惹きつけたのか全くピンとこない。ヒロインが、翌日記憶が飛ぶほどまで酔っ払ってしまう話は、好みでない。 5点(2004-03-24 19:01:27) |
192. ゴシカ
幽霊モノとしては、結構オーソドックス(怨みを晴らすために幽霊が出てくる、という意味)な展開なので、思っていたよりも見られる映画だった。しかし、幽霊が出てくる場所やタイミングの必然性が全くといっていいほど考えられていないのが、潔いといえば潔いのだが、やっぱりもうちょっと考えて作ってほしい。女の人が車を運転するシーンが妙に記憶に焼きついてしまう私としては今日からしばらく寝床でうなされて、観たのを後悔することになるかもしれない。 5点(2004-03-23 19:33:09) |
193. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
《ネタバレ》 特にこのシリーズには思い入れもなく、優待券を使わないと損だからという理由だけで昨日消化試合的態度で鑑賞。大団円に向っているのは、始まる前からばればれなので、どんなにフロドが危機的な状況に陥ってもどうせ助かるのだろうなという冷めた目でみておりました。ちょっと見せ所がたくさんありすぎるのですね、この映画は。それでこちらの感覚が麻痺して、却ってストーリーが平板に感じられてしまう。ま、フロドが指輪を最後どうするかの場面は思いっきり星飛雄馬になっていたし(なかなか投げない、眼の光りがコワイ、周りで火が燃えている)、ドリンク剤のCM「ファイト、一発」な場面も見せてくれたし、戦闘シーンまっただなかで、「人間(man)には俺は倒せない」「アタシは男(man)ではない」などという超ベタな駄洒落の仕込みをさせてもくれたので、収穫が全くなかったわけではありません。 5点(2004-02-24 06:23:27)(良:1票) |
194. ファインディング・ニモ
間違える人はいないと思うが、けっして消息不明になったNemo船長を深海へ探しにいく話ではないので念のため。キャラがたっているのは、ペリカンを例外として平均的なアメリカ人の食卓にのらない海の生き物ばかり。そのペリカンも魚を食べない。魚断ちをするサメといい、漁船の網から逃げ出すシーンといい、「野生の魚を獲って食べるのはいけないこと」という刷り込みの意図が感じられるといったら考えすぎだろうか。マグロを好む者として、この映画が妙な運動に加担するものではないことを切に祈る。 5点(2003-12-30 10:43:29)(良:1票) |
195. ナック
ロンドンの観光映画にもなっているなんとなく不可思議な映像。普通は男二人と女一人の三角関係で進んでいくはずのストーリーが、男三人と女一人の四角関係になっているところが変わっているのだろうか。モッズについての知識の乏しい私には観るのがつらい映画だった。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-05-03 11:33:21) |
196. ミスター・グッドバーを探して
飲むのが好きなので、タイトルに bar が入っている作品を、という軽いノリで、出ている役者の名前だけ確かめて借りてしまったのが運の尽き。日本のようにラブホテルという便利なインフラが整っていない国では、ゆきずりの関係でも、家にあげないといけないというのが決定的に不便だな、そうするといきなり自宅を知られてしまって、一晩かぎりと思っても、ストーカーされやすくもなるだろうな、など、どうでもいい感想しか持てず、本当は、もっと別のところを観ないといけないとは思いつつ、流し台で油虫がわくまでほったらかしにされていた皿につい目がいってしまい、あれをそのままにして男を家にあげてしまう神経ってどうなんだろうという方向にしか思考回路がまわらない。ま、そこまですさんでいるというところを描きたいというのはわかるのだが、どうにも相性があわない作品だ。 4点(2005-02-19 00:02:46) |
197. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
《ネタバレ》 冒険活劇は、主役・敵役を問わず、はっきりとしたキャラクターが縦横無尽に活躍するのが好みである。この作品では主役と敵役がともに一種山師的な考古学者であり、正義の味方か否かをわかつものは、単に彼らを雇う政府の違いだけなので、いわば、どっちもどっちであり、また、お宝がどちらの手に落ちても、学問的な解明はなされるような設定なので、インディ・ジョーンズ側に素直に肩入れさせてくれないのが痛い。その上、刀しか持っていない相手に拳銃を抜いたり、強そうな相手は結局自分で倒さずプロペラのお世話になったりするところが、私の持つ「正義の味方」像からは少々離れている。かといって弱いのかというと、トラックのシーンでは超人的な強さを見せるので、どういうキャラクターなのかがとてもつかみにくい。「蛇は嫌いだ」といっておきながら、うわばみとくっついてしまうところも言行不一致である。アクション映画でありながら、最大の見せ場で、主人公二人が動けずに目をつぶっているだけというのは一体どうしたことだろうか。演技を見る楽しみとは煎じ詰めれば役者の目を見ることである。その楽しみを土壇場で奪ってしまったこの作品は、私にとって、冒険活劇とは似て非なる出来損ないのオカルト映画になってしまった。 4点(2005-02-05 17:56:01)(良:1票) |
198. 散歩する惑星
傑作と評する人が海外に多いこの作品、私には合わなかった。「自由の幻想」を観たときの感じを思い出した。ねずみが飛び出すシーンと、最後、ものすごくいっぱいの人(亡霊か)がいたのにびっくりさせられた。ゲーリングの名前を100歳の元軍人が口にしたのもびっくりだった。 4点(2005-01-16 16:36:16) |
199. ストーリーテリング
IMDBの平均点がそれなりに高いので自分にセンスがないのかとちょっと鬱屈した気分になったが、これは面白くなかった。個々のネタは凝ったつくりで狙いはわかるが、毒ばっかりで、暖かみが感じられない。深夜放送か何かで、耳だけで聞けばまだ受け付けられるのかもしれない。フィクションの作家が、自分の体験しか書けないのに、ノンフィクションの映像作家が全く自分で思いもしなかったものすごいドキュメンタリーをモノにしてしまう皮肉が描かれているんだけど、どうもねェ。 4点(2005-01-16 12:29:50) |
200. 王様と私(1956)
観直してみて、こんなストーリーだったかなと思った作品。教師役がスーパーレディすぎる、王の側近の役回りが中途半端、結婚前の男友達の登場による三角関係の緊張も尻すぼみ、ビルマからの貢ぎ物の女にまつわるエピソードの扱いもあっさりしすぎ、また、リンカーンへの手紙のエピソードも尻切れトンボに終わるなど、どうにも話にしまりがない。だいたいにして、この登場人物の設定で世継ぎ争いなしというのはあまりに牧歌的に思えてしまう。ところどころに笑える台詞のやりとりがあり、ラストはなかなかよいとは思うが、ミュージカルを観たんだ、という開放感はあまり残らなかった。 4点(2004-05-17 16:02:16) |