Menu
 > レビュワー
 > もっつぁれら さんの口コミ一覧。10ページ目
もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728
>> カレンダー表示
>> 通常表示
181.  狩人 《ネタバレ》 
雪原を歩く狩人たちが発見したもの。それは20年以上も前に起きた民主化運動の市民兵の死体。と言うよりは、彼らが“生み出した”といった方が正しいかもしれません。 何故、あんな所に死体が・・・?ズバリそれは彼らに過去を悔いる気持ちが残っていたからと言えるでしょう。 彼らは死体を持ち帰り、皆それぞれが過去を回想することで忌まわしい過去を清算する。清算という言葉が的確な表現かはわかりませんが、何かしらの気持ちの整理をつけたと解釈しました。 回顧シーンの驚くべき手際の良さ、時の流れを巧みに操るスムーズさにしばしば目を奪われます。皆で囲んで食事をしていた長卓がスッと画面から消え、全く同じ長卓が今度は死体を横たえた出で立ちで瞬く間に姿を現すシーンにゾクゾクさせられます。 極めつけは、パーティー会場の中に市民兵が乱入し、動かないはずの死体も起き上がり彼らを外に出し一列に並ばせるシーン。銃声と同時に倒れる狩人たち。これが彼らが生み出した悔悟の念の最たる部分であったのでは。 そして、懺悔を済ませた彼らは再び雪原に戻り死体を埋める。新年を迎えるべく栄光館に戻る後ろ姿。 何故、アンゲロプロスはこの映画をブルジョア側の視点で撮ったのだろう? 彼自身も狩人たち同様、悔悟の念を抱いていたのかも・・・。読み間違いをしているかもしれませんが。
[映画館(字幕)] 6点(2012-07-01 22:22:25)
182.  青春群像 《ネタバレ》 
自身、フェリーニ作品は過去6本観ているのですが、後の「崖」「甘い生活」への布石を見ることが出来たような気がします。(なので、これより先はその2作のネタバレあり!) ストーリーなんて、まさに「甘い~」のはしり。だらけた日常や途中で知り合った純粋な少年の存在など“まんま”と言っていいくらい。ただ一つ異なるのが、天使像を運ぶのを手伝わされたりして一番目立たなかった男が最後に旅立つシーンで終わる事。ここは「甘い~」とは違い、将来への希望を感じることができたような気がします。 また、最後の方で、ファウストが家に戻り子供を抱いた妻のもとに近づいていこうとした瞬間に父親のフルショットにパッと切り替わったそのワンカットで、父親の凄まじい怒りを感じたのですが、ここで自分は「崖」のラストがふと頭に浮かびました。 ところで、原題「I Vitelloni」は、フェリーニの生まれ故郷の俗語で「のらくら」の意だそうですが、Googleの自動翻訳にかけてみると、何故かゴッドファーザーと出ます(笑)。
[映画館(字幕)] 6点(2012-06-09 19:51:06)
183.  水の中のナイフ 《ネタバレ》 
「戦場のピアニスト」の後に本作を観ると、作風のあまりの違いに面食らうこと間違いなしでしょう。 こっちは、まるでアントニオーニの映画を観ているよう。 シャープなモノクロ映像の中で繰り広げられる卓越した人物描写。卓越し過ぎて置いて行かれることも・・・。 冒頭のキャスト&スタッフ紹介が終わった直後、フロントガラスに反射する木々の影が消え人物の表情が浮き出るという洒落た演出に早くも唸らされます。 また、画面の手前と奥に人物を配置した構図が幾度となく出てきていて、斬新な印象さえ受けます。 舞台となる湖というのが面白く、海とは違ってたまに遠くの方に小さく島が見えたりして、遠くから目撃者がいるんじゃないかと思わせるような程良い感じの密室感が作られていたような気がしますし、登場人物の三人以外には一人の人影も出さずにストーリーが進んでいく舞台設定も異様なほどの孤独感や切迫感が出ていて、他の映画では決して感じることのない独特の雰囲気が出ていたと思います。 男同士の心理戦が微妙すぎて難しいのですが、ヨットの上の状況を例えて言うならば、飛行機のコックピットの中に一人の狂人が入ってきたというような印象で、ナイフを持った狂人が癇癪を起こさないように事を穏便に収めておきたいような感じでしょうか。 しかしながら、恐怖心を余計に煽るような演出は本作の主題から外れるということもあってか、全編を通して一度もナイフに光を反射させずに通していて、それが一筋縄ではいかない心理戦の難しさを暗に示していたように感じました。
[映画館(字幕)] 6点(2012-06-09 18:26:57)
184.  アーティスト 《ネタバレ》 
3D全盛のこの時代に無声映画がオスカーを取ったという物珍しさもあって、興味半分で観に行ってきました。 本作は自分が大好きなフランス映画の筈でしたが、むしろハリウッド調の誇張されたストーリーや演出が数多く見受けられ、中でも、主人公の活躍したサイレント映画が廃れていき時代の流れに乗れずに絶望感に打ちひしがれる一連のプロットに、何もそこまでしなくても…というやや大袈裟な展開の連続がちょっと鼻につく感じがしました。 ハリウッドへのオマージュというのを考慮してもちょっと行き過ぎた感があり、またサイレントは表情やアクションのみで物語るところはあるにせよ、やや過剰な演出が出すぎていたように思えます。 ついでに、10~20年代の実際のサイレント映画を見ている時はちょうど良いタイミングで、つまり、どんな台詞を喋ってるのだろうと思ったところではしっかりとスポークンタイトルが出て会話の内容を提示してくれるので、それがとても心地よく感じられ、音声なんか必要ないんじゃないかとまで感じさせてくれることが多いのですが、本作の場合はそれが非常に少なく、また、ちょっと細かいところですが、スポークンタイトルの出るタイミングが一瞬遅い事が何度もあり(0.2秒くらい)、ちょっとイラッとすることがありました。 映画の中盤で、階段を昇る女優と降りる男優というメタファーを狙ったようなシーンが出てきましたが、あの突然の傍目ショットはメタファーを撮りたいがためだけに挿入されたとしか思えず、客観視する理由も見出せないため、妙に異質な雰囲気ばかり感じてしまいます。 また、犬を脇役に起用したことやBGMの音楽も、チャップリンの影響を受けているのは明白ですが、犬の演技に関してはしっかりと訓練を積んで演技をした本作よりも御本家の「犬の生活」の方が動物的で自然な振る舞いをしているように思えます。 ストーリーの最後は、新たな境地を開拓してハッピーエンドを装う感じで締められていますが、映画で勝負することから逃げているようなエンディングであるため、ここはまさにご都合主義としか言えないでしょう。 キャスティングについては、主演女優があまり美人ではないのが減点材料で、クラーク・ゲイブルに似た主人公がアステアばりのダンスを踊っていたのは、時代錯誤のような気が…。 ただ、今のこの時代にサイレントで勝負した心意気は買いたいと思うので、オマケしてこの点数。
[映画館(字幕)] 6点(2012-04-15 02:31:41)(良:2票)
185.  カリガリ博士
ストーリーは面白くない。というか、よくわからん。 印象に残ったのは、舞台となっているチープなセットなんですが、ダンボールに絵の具で絵を描いただけというようなお遊戯会レベルのセットで、褒めるつもりで言うならば、この映画の主題にとてもマッチしていて凄く雰囲気が出ていた、という感じでしょうか。 セットがチープ過ぎていたお陰でカメラの動きが制限されてしまっているどころか、一ヶ所に固定し定点からの視点にならざるを得ないという事態が起きてしまっているために、本当に客席から舞台を見ているような印象さえ受けとられるので、どうしても物足りなさが出てきてしまうのは否めません。 まぁ、映画黎明期の頃はカメラを動かそうという発想がまだなかったということもあり、この映画が作られた頃もそうだったかも知れないので、この点を追及するのはやや反則気味のような気もしますが。 セットの細部について言及しますと、自分は表現主義だとかそういったバックグラウンドの知識は持ち合わせておりませんが、異様な形の建物の様相を見るに、体験談を語るという主観的なスタンスで物語が進むわけですから、あのような非現実的な妖しい背景もアリなのかなという気がし、ここは斬新で自由な発想を感じ取る事が出来たと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2012-04-03 20:27:31)
186.  キートンの恋愛三代記 《ネタバレ》 
オープニングが面白かったのは現代編。「時は現代。speed,need,and greedの時代。」と洒落た説明のすぐ後、キートンが乗った車が溝にハマって大クラッシュ!彼女の家に着くと、どちらの男が娘の婿に相応しいかは預金の額で決めるという。恋敵の出した通帳がFirst National Bankだったのに対しキートンはLast National Bankと、数字を出さず尚且つ笑いも取るというこちらもまたお洒落な表現だなぁと、ここはキートンのアイディアに一本取られました。ちなみに、男が強かった石器時代とは異なり、妻の権限が大きくなっているのもポイント。 3つの時代それぞれに面白いシーンが沢山出てきましたが、やはり何と言ってもローマ時代のあの大掛かりなセットと、その中で行われるベン・ハーばりの馬車レースが自分の中ではこの映画一番のハイライトです。 この他にも、落とし穴に落とされたキートンがライオンと出会うシーンがありますが、今までのキートンの映画では本物の動物しか出てこなかっただけに、ネイルケアをしてもらった後に握手をしたり、キートンが上に引っ張り上げられる時には手を振って挨拶をしていたりして、一瞬自分の目を疑ってしまいました。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-18 01:56:13)
187.  素敵な歌と舟はゆく 《ネタバレ》 
ここまで面白さが感じられない群像劇は初めてかも。 それぞれの登場人物に関するエピソードにおいて興味を引かれる事が皆無で、またそれらの接点に関しても決してそこから話を広げていこうという意思も感じられないため、ただひたすら退屈で冗長な印象しか受けなかったです。 まず、登場人物の行動に不可解な点が存在していたと思うのですが、カフェの女店員が森の中に連れ込まれて襲われた後、その男が元カノにビンタされて大爆笑していたにもかかわらずデートの誘いを受けてしまう所とか、仕事でミスをした黒人の男が食事に手を付けなかったりした所など、他にも行動の動機が理解し辛い所がいくつか出てきていたのは、敢えてストーリーを構築するのを避けながら作ったからなのかもしれませんが、あまり面白いとは言えないと思います。 ただ、それぞれのストーリーに共通しているのが、仕事でミスをした黒人、皿洗いがテキトーでクビになったり盗みを働いて捕まった青年、屋敷の主人とイチャついてクビにされた使用人など、生きる上で何かと躓いている人たちばかりでしたが、彼らを皆救済しようという意思はないのか、ワイングラスを傾けながら楽しそうに歌を唄う二人だけがハッピーエンドを迎えてしまっているため、彼らの乗ったヨットのロングショットを見ても最後まで救われない人たちの事が気がかりで上手に締めくくっているとも思えず、結局最後まで良い所が見当たらない映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2012-02-05 00:20:59)
188.  最後の人 《ネタバレ》 
この映画のエピローグを見て、ふと思った。もしかしてこの映画、コメディなのでは・・・と。 付け加えられたエピローグがコメディタッチで描かれているからということもありますが、それよりも、エピローグに出てきたトイレのボーイを見てそう思いました。 やはり、ポーターにはホテルの顔としての対応が出来、荷物運びをするに相応しい人がやるべきであり、トイレのボーイもまた、同様の事が言えます。適材適所とはよく言ったものですが、この映画ではそれと全く反対の状況を作り出していると感じたとき、ふとこのような考えが浮かんできてしまったのです。 不幸のどん底にある老ドアマンが富豪に成り上がった経過も、到底起こり得ないようなシナリオですし、そもそも、ドアマンをやっていたくらいの迫力のある大柄な人間がトイレに異動させられる事自体ありえない話ですよね。あれだけの大男がタオルを渡している姿というのは哀れみというよりはむしろ、滑稽さの方がより強く感じられてしまうのです。 付け加えられたエピローグがそれまでの雰囲気とガラッと変わってコメディっぽくなったのは、ムルナウ自身原作にコメディの要素を感じていたからかもしれません。 ここまで推測を巡らしてみると、凄い迫力のドアマンの表情(特に目がスゴイ!)も後になって考えてみると、どことなく滑稽に思えてきてしまいます。 それと、既にたくさんの方が仰られている通り、会話などの字幕を一切排除して演技だけで映画を作り上げたというのは、やはり並大抵のことではありませんし、制服の入ったクローゼットの鍵を瞬時に抜き取るシーンのスリル感や噂が広まっていくシーン、また、辞令のyour old ageの文字の超ドアップなどの迫力に溢れたシーンもあり、細かい部分でも唸らされるところが多く存在しますので、シリアスものにしろコメディだとしても、いずれにしても良く出来た映画には違いありません。 ★通算100レビュー★
[映画館(字幕)] 8点(2012-01-26 00:48:18)
189.  モンパルナスの灯 《ネタバレ》 
ジェラール・フィリップ特集なる企画で本作品を観ました。それまでに観た彼の作品は女性を口説くシーン満載だったのに対し、この映画での彼はちょっと影がある役柄で新鮮な感じもあって(他の作品とは違い)最後まで飽きずに観れました。 この映画で好きなのは、主人公モジリアニの周りの人に対する誠実さでしょうか。 序盤のベアトリスに対しての暴力を見ると、一見悪い人間のようにも見えるかもしれませんが、ジャンヌに対しての思い遣る気持ち、自分自身が貧乏であるにもかかわらず道で通りかかったバイオリニストにお金を置いていくところ、花を二人分買ったりするところを見ると、実はすごく芯の通った人間なんだと思います。また、アメリカの富豪の所に絵を売りに行ったときに言ったゴッホの言葉を語るシーンなんかは、あぁやっぱりこの人は芸術家だなぁと思い、彼の芸術家としての信念を見ることができて感動しました。 当時のモジリアニの絵を高く評価する人は、アメリカの富豪のように芸術や芸術家を理解しない人だったり、モレノ画商のように非情な人物が多く、彼自身は不運な人生だったかもしれませんが、ジャンヌをはじめとする多くの人に支えられたのは幸せだと思います。 最後にモジリアニの絵を買ってくれて、笑みがこぼれたジャンヌですが、真相を知って自殺してしまったという事を聞くと、何ともやるせなさがこみ上げてきます。
[映画館(字幕)] 7点(2012-01-26 00:46:21)
190.  夜霧の恋人たち 《ネタバレ》 
邦題に騙された気がする。「夜霧」どころか「霧」すらもなかったし、「恋人たち」と謳っているのにラブストーリー的要素は二の次のような気がします。そのお陰で話が散漫に感じられてしまい、ほとんど物語に入っていけませんでした。 花瓶ではなく花を投げつけたり、入社試験の包装のテストなど、面白いところは他にもいくつかあったのですが、それはあくまで枝葉なこと。 けど、ラストで昔からの女友達と一緒になってエンディングを迎えられたのは良かった。ラストの朝食のシーンが愛に満ち溢れていて、これが凄くいい。こっちまで幸せな気分にさせられてしまいます。晴れた日の公園でシャンソンを背に、二人仲良く歩き始めてFINの文字。これで、終わり良ければすべて良し。このシリーズ初のハッピーエンドですね。 ★通算200レビュー★
[映画館(字幕)] 6点(2012-01-26 00:38:26)
191.  狩人の夜 《ネタバレ》 
人形の中に収まる程度のお金に何でそこまで必死になってんだろうと考えてしまうと、急激につまらなくなってくる。 それに、もともとはあのお金って銀行強盗してかっぱらって来たお金でしょ。劇中でも言われてる通り“汚れたお金”のはず。それを親子の絆とか男同士の約束といったもので本質を誤魔化して見せているところがあまり好きになれないです。 子供は好きですし、どんな子供でもかわいいと思うけど、いくら父親でも、いくら将来の子供の為だとしても、悪事に加担させて騙しちゃいけないでしょ。少なくとも、映画というメディアを通じて観客に見せちゃいけないと思う。 あと、マネキンを使って水死体を撮ったのは大幅減点。リアリティーを追求するのが困難なら他にも方法があった筈。 まぁ、モノクロ映像における水面の月の光の乱反射なんかはモノクロの長所を最大限引き出しているし、野生の動物たちの息吹を感じ取れたことだし、リリアン・ギッシュも綺麗に撮られていたし・・・・・ギリギリの及第点という事で、6点。
[映画館(字幕)] 6点(2012-01-26 00:29:40)
192.  たそがれの女心 《ネタバレ》 
先にレビューなされた方々も書かれていますが、踊るような流れるようなカメラワークに目を奪われます。 何と言っても、オープニングに出てきた挨拶代わりの流麗な長回しの連続! クローゼットの装飾品をたどる手先を追い、イヤリングを着けるダニエル・ダリューの表情を経て部屋を出るまでの一連の動作をワンショットで捉え、続けざまに教会で祈りを捧げるシーン、そして宝石店に入り螺旋を登るマダムをクレーンの垂直移動で追うしなやかで華麗なこなしは、マダムを取り巻く世界をより洗練に彩っているように思えます。 また、ベッドルームでの会話のシーンが特に好きなのですが、別々の部屋のそれぞれのベッドからお互いに相手の姿が見えるようなユニークな配置になっているのはもとより、蝋燭の火を一つずつ消していって最後にマダムの表情が暗みの中にフワッと浮かんで出てくる繊細な照明テクニックは、これはもう、お見事と言うしかありません(実際には、あのようにはなりませんからね)。 ストーリーをトータルで考えると、贅を尽くしてお金を浪費し宝飾品に目が眩んで自分を見失った有閑マダムを、夫の知性や寛大さを対照させることによって皮肉タップリに描いたような印象で、原題が示すように特定の人物を選んで描いたものではなくどこにでもいるようなごく普通の御婦人を描いたのですよという風に捉えさせていただきましたが、劇中ではルイーズと呼ばれていたりして、実際にはちゃんと名前が割り当てられていたのが少々解釈に迷うところです。 国境を越え様々な人の手を伝いながら方々を彷徨うイヤリングでしたが、最後はやはり大事にしてくれる持ち主を選んだということでしょう。
[映画館(字幕)] 8点(2012-01-26 00:28:57)
193.  フレンジー 《ネタバレ》 
これは良い意味で期待を裏切られた作品。 ヒッチコックの晩年の作品はあまり良いイメージがなく、主人公らしき人物には華がないばかりか、オープニングのテーマ曲もダメとくれば期待するものも全くないままで見たのですが、結婚相談所の殺害シーンをきっかけに見る目が変わっていったと思います。 主人公の友人ラスクが結婚相談所に来た時点では何の疑いも持たずに見ていたのですが、途中から徐々に様子がおかしくなり異常な性癖を現し始め、そしてついに正体を現したときの背筋が凍るような恐怖感。無意識から疑惑、確信へと移行する一連の流れが秀逸でした。 女友達のバーテンがラスクの家に入っていった時のカメラが後退していくシーンでは、「ロープ」(1948)をやっていましたが、実はその前に、ホテルで彼女が主人公と同じベッドで寝ているシーンでもその手法が使われているのを知った時には嬉しくなってしまいました。 最後は、主人公にあの刑事の奥さんの料理を食べさせてあげたかったですね。ムショ明けの人間には“スープ・ド・ポワゾン”はやはり美味しく感じられるのだろうか???(ポワゾン=poison←毒) [追記]ポワゾンはフランス語のpoisson(魚)で、“魚のスープ”ということ。毒などという意味じゃなかったです。失礼!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-26 00:26:52)(良:1票)
194.  赤い子馬 《ネタバレ》 
ロバート・ミッチャムは、自分の中ではLOVE&HATEのイメージだったので、この映画を観てガラッとイメージが変わりました。 また、子役のボー・ブリッジスは初めてですが、学校の友達にいじめられたりしているときも気丈に振る舞う姿を上手に演じていましたし、おじいちゃん子な可愛い一面を見せたりして、こちらも名演だったと思います。 そのロバートとボーの、親子とも見分けがつかないくらいの二人の関係が、馬を通して心を通じ合わせ、また紆余曲折を経ながらもとても丁寧に描かれていて好感が持てました。 一方で、夫婦役の二人は、夫が抱えている問題(兄の手伝いをするために土地を離れる云々)の掘り下げが弱かったり、また登場人物の中で夫が一番存在感が薄いような感じもして、やや手を抜いていた感が見え隠れしている気がします。 主に、人間関係がメインのストーリーでしたが、馬が出てくる事もあり、もう少し多く大自然の雄大さを描いたシーンが出てきてもいいのではと思いました。
[映画館(吹替)] 7点(2012-01-13 00:44:25)
195.  コンチネンタル 《ネタバレ》 
せっかく観た映画なのでレビューしてしまいますが、自分のタイプではなかったです。 他の映画のレビューでも書きましたが、大胆で大袈裟が過ぎるというか、わざとらしいくらいにド派手に演出されたミュージカルシーンがとにかく生理的に受け付ける事が出来ないのです。 極めつけと言っていいと思いますが、ラストの「コンチネンタル」もどんだけ裏でスタンバってたんだ?というくらいに大挙で踊りが繰り広げられていたりしますし、カメラワーク的にも前もって構えて待っているような撮り方が随所に見られ、「藁の中の針~」や「レッツノックザニーズ」の時点で既に必要以上に計算されすぎた演出が多く、鼻につく場面が本当に多く見られたのがダメでした。 ストーリー的にも、アステアが偶然同じ合言葉を言って思わぬ展開に発展してしまうんだろうなというのも予測できてしまいますし、それまでずっとアステアを避けていたロジャースが突然彼を受け入れてダンスを始めてしまうのも、面白いストーリーを作るためのご都合主義的な流れのように感じてしまいます。 自分にとっては、サンドリッチ映画にアステアが出ていたら要注意ですね(というか、そろそろアステアのダンスも見飽きてしまっている)。 平均点下げてしまいますが、あくまで好みの問題なのでどうかご容赦を。
[映画館(字幕)] 5点(2012-01-09 14:06:18)
196.  忘れられた人々 《ネタバレ》 
タイトルを自動翻訳にかけると「The Forgotten」と出た。要するに「忘れられた人々」というのは原題の直訳のようです。 最初は、社会水準の低さの犠牲者として、子供の辛さが描かれた映画なのかと思いながら観ていたのですが、観終わってみて「忘れられた子供たち」ではなく、やはり「~人々」でいいんだなと実感しました。 子供に対しての愛情がない親というのは初めて見ましたが、普通はどんなに辛く当たっても根底に存在する愛情が見えるおかげで温かみが感じられる事が多い中、とにかくこの映画におけるブニュエルの愛情のなさは強烈で、こういったところからも「子供たち」としてではなく、あくまで「人々」の中の一個人に過ぎないという表現をしているものとして捉えるべきなのでしょう。 この映画を語る上で欠かせないのが、ジャイボという感化院から脱走してきたという少年の存在だと思いますが、最初は貧しい生活に耐え切れずに盗みをしてしまって捕まったのだろうとか彼の背景を想像して情をもって見ていましたが、ペドロの母親と必要以上に仲良くなってしまったりと既に大人な一面を見せていたりして、映画の終盤でペドロに対して過度に干渉してくる頃になるとこっちまで情が薄れてしまうような気がしてきます。 エンディングを始めストーリーの部分部分にも一筋の光も見出す事が出来ず、イタリアのネオリアリズモをも上回るほどの冷徹な眼差しでストーリーが展開されるのは、都心部で普通に暮らしている人からはそれまでは目を向けられる事もなかった人々の過酷で貧しい生活振りを世の中に知らしめようというブニュエルの強い意思の表れであり、ペドロが感化院で仕事中に卵をこっちに向かって投げつけるのは、当時お金を払ってこの映画を見ている人たちに対して自分たちの方に気を向けて欲しいということかもしれませんね。 蛇足になりますが、登場人物は皆素人だと思われますが、全員も全員、演技の素晴らしさは目を見張るものがありました。
[映画館(字幕)] 7点(2012-01-09 04:17:09)
197.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
こんな静かなサスペンスドラマは久し振りに観た気がします。 原油溜まりを渡る時の目を瞑ってアクセルを踏むイヴ・モンタン。“行くしかねぇ!”という切迫感はもうハンパない! 切り返しに巨岩に原油溜まりと、待ってましたとばかりに難所が次々とやって来るのが作った感が出て少々あざとい感じもしますが、この3つの難所全てに突破まであともう少しというところでハプニングが発生したりして、非常にスリルのある見応え満載のシーンだったと思います。 また、先行するトラックの中で父親のエピソードを語りながら髭を剃っていた直後に爆発するという演出は個人的にかなり好きで、ラストのようにあからさまに危ない雰囲気を感じさせてから事故が起きるのも悪くはないのですが、前者のような微妙すぎるくらいの前触れはより高度で洒落ていて面白いと思います。 仲間同士で喧嘩するにも罵倒したりなどする事なく平手打ちを見舞うのみだったり、終盤にかけての盛り上がりがどこだったのかも分からないようなストーリー構成など、とても静かで落ち着いたフランス映画らしい一品でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-01-08 13:42:46)
198.  激斗の河 《ネタバレ》 
邦題2として登録させていただいたのですが、「戦う隊商」というのは原題の直訳ですね。自分が観た劇場ではこちらのタイトルでの上映でした。 アメリカの歴史については自分は余り詳しくはないのですが、幌馬車というのは線路が敷かれた後の時代には出てこないと思うので西部開拓時代の代名詞といえる題材だと思います。 自分が好きなのは、その幌馬車がアメリカの大自然の中を進むシーンなのですが、雪の中や森の中、山を下ったり、横に傾きながら進んだり、最後には川を突き進むシーンが出てきたりといったカリフォルニアに向かうまでの過酷さを描いたシーンの数々がとても印象に残りました。 また、モノクロ映画ではなかなか難しい夜のシーンですが、光の量や当て方が絶妙な匙加減で撮られていたのが、フィルムの保存状態による画面のノイズの多さや字幕が読みにくかったことに反して際立って良かったように思います。 また、ゲイリー・クーパーを半ば無理やり結婚させた二人組みのオヤジが良いコンビで、映画の終始に渡ってストーリーを面白くさせていたのも好印象。 しかし、ラストのインディアンとのバトルがイマイチで、インディアンが襲ってくる事に対しての恐怖感があまり出ていないように思えます。まず、襲う側と襲われる側の位置関係が分かりにくく(正面にいる筈のインディアンの撃った矢が背中に当たっていたりする)、別々に撮っている感がありありと出てしまっていたりするカット割りが決定的にダメ。撃ち合いの最中でも無駄に会話が多かったりして緊張感が出ていないと感じてしまいますし、馬車が走りながらの戦闘ではなく車輪の隙間から銃を撃つシーンばかりだった事もあるかもしれませんが、ここはどうしても「駅馬車」に及ばずと言ったところでしょうか。
[映画館(字幕)] 6点(2012-01-07 19:18:49)
199.  キートンの船出(漂流) 《ネタバレ》 
冒頭から、船に激しく揺られるキートン。 外に出てみると、子供二人に奥さんが。キートンもついに結婚して一家の主になったんだなぁとか思っていると、その主の手で自らのマイホームを全壊させてしまう。 このシーンをよく見ると、船体で壁を壊したところまでは家はそのままですが船が家から完全に出たところでガラガラドッシャーーン!!・・・と、何とも絶妙なタイミング(笑)で崩れ落ちる様はもはや職人芸。 船の作りも、橋をくぐるための工夫が施してあったりとなかなか面白く、また最初に橋をくぐるシーンなんかは橋脚が重なる角度でカメラが据えられているために、壁に激突するんじゃないかと思わせるように撮られていたりと、こちらも芸の細かさが見てとれます。 後半の荒波の場面では、ムルナウの某傑作には及ばないものの、荒波に揉まれながら奮闘するキートンは相変わらず面白いです。 最後、全く見知らぬ土地に上陸してしまい、「Where are we ?」と奥さんに聞かれ、「Damfino」と答えなかったのはエライ。一家の主としてそれはないか。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2011-12-31 11:40:51)
200.  君とひととき 《ネタバレ》 
アンドレがカメラに向かって話し掛けるのは、アンドレが観客を自らに感情移入させて味方につけ、アンドレがピンチの時も観客と一体となって一緒に同じ気持ちを体感させようという意図があると思うのですが、ラストでコレットが、実は私もアンドレとグルであなたたちを騙していたのですよというオチなのでしょうが、これが面白くない。 というか、この映画は初めの方から描き足りない感じや手抜きと思われるような箇所がいくつか存在していると思います。アドルフ教授とコレットの関係を見てみると、ファーストコンタクトが電話でロミオの衣装を着て行くつもりだとかいう内容で、どうみても初めて同士の会話とは思えず、更に食事の席には「ロミオ」と書かれた名札が置いてあったりするところから、ここは原作での二人の関係の描写やパーティーが始まるまでの過程を端折り過ぎた感が強く出てしまっている気がします。 そして、自分の読みが間違っていなかったとしたら、決定的にダメなのが、アドルフとミッチー夫妻がグルになってアンドレを利用して離婚するという裏ストーリー。 映画の冒頭からこの夫婦は冷めており、アンドレがミッチーに手を出してきた事を私立探偵に証明させてアンドレから慰謝料を請求しようとして、ミッチーがアンドレを罠にハメようと策を巡らしていたと読んだのですが、これを描いていたのが、アドルフの自宅に私立探偵を呼んでミッチーの部屋のすぐ手前で肩を並べて会話をしているわずか1シーンしかなく、ここは絶対的に描写不足であると言わざるを得ません。(もし、アドルフが探偵を雇った目的がミッチーの行動を探らせる事であるなら、探偵とミッチーが鉢合わせしてしまうリスクを避けるはずなので、自宅に呼ぶことは有り得ない。よって、夫婦で共同作業をしていると解釈。) タクシーの中の「ムッシュー」・「マダム」の掛け合いも面白いとは思えないですし、最後の方の、アナタもやってるんだからワタシだって負けないワ、これでおアイコよという、この世で最も非建設的な泥仕合を見せられた上で、とどめは上記のつまらないオチ。 これがルビッチの監督した映画だとは思いたくないです。
[映画館(字幕)] 5点(2011-12-30 22:51:04)
010.18%
120.37%
230.55%
391.66%
4295.35%
58515.68%
614426.57%
716630.63%
87313.47%
9234.24%
1071.29%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS