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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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181.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 
正直イングリッド・バーグマンは余り好きじゃなかった。  恐らく「カサブランカ」などというアホくさい恋愛ドラマを先に見てしまったせいだろう。   ところが「ガス燈」のバーグマンは見直した・・・いや惚れた!  あの心を吸い寄せられるような目の演技。  家族を殺され、愛していた筈の男に騙され、ノイローゼになって追い詰められていく様・・・彼女の目は光を失っていく。  だが真実を知った時の彼女の燃えるような瞳。  「あの野郎よくも・・・今に見てなさい・・・!」復讐心ではなく、冷ややかな眼と口舌でグレゴリーを罵るポーラの凄さ。目!眼だよ眼!!  グレゴリーの不気味な優越感に浸ったあの黒目が、唖然として丸くなっていくあの時の目。 「やられた!」というグレゴリーの眼。 そしてポーラの「ざまあみさらせ」という最高に冷たい視線・・・勃起したわ。    ラストシーンの「おや、まあ」には不覚にも笑ってしまった。あの瞬間に解放される感じが良かった。 ジョージ・キューカーは女を撮らせたら世界一ですね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 21:41:35)
182.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 
相撲を愚弄している(いいぞもっとやれ)。 常識とは破壊されるために存在する。 日本の伝統である相撲も、今の世の中気軽に楽しめる「スポーツ」に進化しなけりゃならない。 伝統は大事だ。 古から受け継がれてきた技術、思想。 ただその素晴らしい伝統も、新しい時代のパワーと結びつかなければ何も生みだせない。 それを描いていく作品がこの「シコふんじゃった。」である。 周防監督は「Shall we ダンス?」でも戦後日本の複雑さをダンスを通じて描いたが、「シコふんじゃった。」は純粋な青春映画でもあり、スポーツを通して日本文化へのアンチテーゼも描こうとしたと思う。 どっちもコメディタッチの軽さ、そして一人一人の心の成長を描いた熱いドラマがある。 土着も日本人だからこそ描ける内容だ。 主人公は相撲に興味すらなかった今時の学生。 相撲=単位として受け止めていた。 当然練習も満足にせず大会に出され、ボロ負け。 勝ち負けもどうでもいい、悔しさも無い。 そこに相撲に本気で取り組む人間からの厳しい反発。 「相撲を何だと思ってやがる!!!」 「別にどうも」 「てめえらみたいなオカマ野郎は恥さらしだ!!」 てめえ「ら」。てめえ「ら」と来たもんだ。 自分だけならいざ知らず、仲間や教師まで罵られて黙っていられる主人公では無かった。 「相撲が何だ!勝ちゃいいんだろ勝ちゃ!!見返してやるよバカヤロウ!!!」 悔しさ、憤り、勝ちたいという気持ちの芽生え・・・男たちは徐々に変わっていく。 教師もそんな彼らを見るうちに、錆び付いた魂が蘇る・・・! 心と心の本気のぶつかり合い、経験の差は技術で補え。 幾らなんでもたった数ヶ月で数年以上鍛えてきた奴らと互角に戦えるのか・・・そこは娯楽映画、ご愛嬌といこう。 何しろ主人公たちの面付きが別人だもの。 成長を「面付き」で納得させてしまうこの王道。 単純明快な王道と爽やかな青春。 汗だく筋肉燃焼の相撲をここまで爽やかに、かつ力強く描いた映画は他に無いのかも知れない。 終盤の「試合」の二段構え。 実にドラマティックだ。 シコ、ふんじゃおうかな・・・そんな映画。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 21:36:56)(良:1票)
183.  ルパン三世 DEAD OR ALIVE 《ネタバレ》 
これもまたルパン。 つうかこれこそ?ルパン。 山田康雄ルパンの最高が「カリオストロの城」や「複製(クローン)人間」といった諸作なら、栗田貫一ルパンの最高は本作と「ワルサーP38」で決まり!  でも原作よりイケメンすぎ(ry ハードな作風も相まってクリカンの演技も重きを置いた感じでgood.  冒頭の変装を解き煙の中から現れるルパンが最高にカッコイイし、野性的な不二子のファイティング、など文字通り“生死を問わない”激しいバトルの数々。  凝りに凝った演出で最後まで見てしまった。ルパンの変装も今回はかなり凝ってます。  敵の正体もマモーとかあの変の変態(褒めてる)共の事を考えるとOKすぎる。  クライマックス、柱にねじこまれた弾丸を“放つ”瞬間が最高!  俺のマイ・フェイバリット・ルパンの1本。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 21:34:14)
184.  鶴八鶴次郎(1938) 《ネタバレ》 
芸道に生きる男女を鋭く描いた成瀬巳喜男の作品。  歌い手の「鶴次郎」と三味線女房「鶴八」。 二人は喧嘩するほど仲の良い鴛鴦夫婦、本当の夫婦のように幸せそうだが、あくまで二人は「芸人」としてのコンビ。 幼い頃から兄弟のように過ごしてきた二人。 鈍い鶴次郎、女として答えを待ち望む鶴八。  冒頭からサイレント映画さながらに見せる映像。 幸せそうなふたりの姿から物語は始まるが、紆余曲折を経て二人は亀裂が入り別れてしまう。  結婚して本当に女房になった鶴八、一人やせ我慢して芸道に生きる鶴次郎。  二羽あっての「鶴八鶴次郎」、一羽欠ければ魅力も半減してしまう。 打ちひしがれる鶴次郎、いつも隣にいたからこそ気付けなかった「かけがえの無い存在」・・・。  そんな鶴次郎を見かねて鶴八は戻ってくる。 喧嘩別れした二人だが、お互いに謝りすぐ打ち解けられるふたりの仲睦まじさを物語る。  だが鶴次郎も男だ。 本当の女房になって幸せそうにしている鶴八を観て、鶴次郎は辛い決意をする。  家庭での幸せを願った鶴次郎だが、果たして鶴八も同じ気持ちだったのだろうか?  何も語らない鶴八、涙を酒とともに飲み干す鶴次郎・・・切ない幕切れだが、とても良い映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 21:19:35)
185.  コマンドー 《ネタバレ》 
ネタバレ:シュワちゃんが大暴れする(\デエエエェェェェエエエエエンッ/)  コンボイ司令官で楽しむか、桜ひろしで楽しむか。それが問題だが、だったら両方見ればいいだろっ!!!  この映画を5行でまとめると・・・        野郎オブクラッシャーアアアァァァツ!!!
[DVD(吹替)] 9点(2014-12-20 21:17:20)
186.  紅の豚 《ネタバレ》 
ハワード・ホークスの豪快で楽しい航空映画を思い出す傑作!  橋がいくつもかかる川から飛行艇をブチ上げる! アニメーションだからこそできる無茶なシーンだ。 縦横無尽に駆け抜ける飛行艇。 陸の上や船乗りには無い「男の戦い」がそこにはあった。  舞台は第一次大戦直後のイタリア。 空を飛び交う戦闘機乗りたちがプライドと命を賭けてドッグファイトを繰り広げる。 そこに「魔法で豚になっちゃた」というファンタジーをねじ込む! だのにちっとも違和感が無いのは何故だろう? 先に散っていった仲間たち。 一人だけ生き残ってしまった自分を恥じ、人間の「マルコ」を自分の中で殺し、「豚」として生まれ変わった「ポルコ」。 「戦争は人間同士でやりな」はポルコにしか言えないセリフだ。 こんなにカッコイイ豚がいてたまるか。 ストーリーは血潮が飛び交うような殺伐としたものは少なく、ポルコ(マルコ・パゴット)と空賊たちの微笑ましい「大喧嘩」。 だって空賊が子供誘拐すんのに「はぐれたら可哀想だろ!!」なんて言うんだぜ? 人質も盾にする気無し。 賊やるよりも保育園開業した方が長生きしそうな奴ばっかりだ。 オマケにポルコとフィオとジーナとカーチスの四角関係ときたもんだ。 何? 弾が切れた? そんな時はレンチとクロスカウンターよぉ! 顔をデコボコにして殴り合う! 「おっさん」と「じいさん」と「未亡人」と「女の子」しかいない映画。 そこがいい。 森山周一郎の渋みのある演技も味わいがある。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 20:24:44)
187.  SUPER8/スーパーエイト(2011) 《ネタバレ》 
J・J・エイブラムスは「スタートレック」シリーズが今のところ最高の映画だと思うけど、この映画も大好きだ。 葬式の場面から始まるファースト・シーン。 母親らしき人、駆けつける男、それを怒りながら止める男。ここから既に伏線が張られていた。人が死んだ話をしながら平気で食事をする子供たち。 俺も今は抵抗が無くなってきているが、子供でその領域はどんだけ修羅場くぐったんすか君たち。流石アメリカ、銃社会だけあるわ(物凄く不謹慎な発言)。 数年後、成長した子供達は映画祭に出てホラー映画を撮るという。 監督を目指すチャールズは面白い奴だ。 「クオリティ」とかおめえは何処のオーソン・ウェルズだよ。体系まで後期型のウェルズだ(初期のウェルズはスマート)。 見た目は重量、しかし映画造りへの情熱と行動力は最高にスマートな少年だぜ。 70年代のポピュラーミュージックが彩りを添える(特に「マイ・シャローナ」と「おしゃれフリーク」は最高!)映画を見終えた後のあの心地良さはなんなのだろうか。 文字通り主演女優のアリスが可愛い&カッコイイ。 序盤は映画の撮影をめぐる冒険ドラマ、列車の事故が起きる辺りからSF映画に。 大惨事にも関わらず、妙にリアリティが無いのはCGによる演出のせいか。 惨事後の散らばった列車の破片が実物だっただけに、余計にCGが目立ってしまっている。 それ以外は特に不満な点は無い。 フィルムを見ただけで感情移入してしまう少年の強さ(流石警官の息子)、“先生”が傷だらけでベッドに横たわり蝿が飛んでいる妙な生々しさ、回り続けるビデオカメラが捉えたもの、謎のキューブ(ルービックキューブは1980年代に発売)、次々に起こる怪奇現象、電気が消える中影響を受けないウォークマン?、医療行為による“殺人”、「出てけ!」→マジで出て行く→本当に出て行くとは思わず慌てて娘を追う→「俺が悪かった!」→事故る→うめいている間に娘誘拐。言っちゃ悪いけどこれ何てギャグ? ラストであえて手を離す“過去との決別”シーンも良い。久々に楽しめる映画だった。 女性の会話も面白い。 「アメリカはお先真っ暗よ!」→「真っ暗は黒人」→「人種差別!」 バロス。 エンディングのチャールズによるゾンビ映画も必見。 流石に事故の音がセルフってのはどうなのよ(狙ってやったかヤケクry)。 しかし本当に怖いもの知らずだなコイツら。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:22:11)(良:1票)
188.  ゾディアック(2007) 《ネタバレ》 
デヴィッド・フィンチャーで何が一番好きかといえば、この「ゾディアック」。  60年代・70年代テイストのこの映画は、車上のカップルがいきなり射殺されてしまうファースト・シーンにはじまり、ゾディアックは次々に人を殺していく。 目撃はされても大きな証拠を得られない、何故連続殺人を続けるのか、総てが謎のまま終わってしまうのか。 劇場型犯罪によって警察、マスコミといったあらゆる人間が巻き込まれ、疑われる。  プロセスとしては「セブン」に何処か似ている。 説教めいた事を言うのも共通している。 ただ、決定的に違うのは犯人が解らないまま終わってしまうということであり、むしろゾディアックが自首する話が「セブン」なのである。  「殺人鬼は誰か?」ではなく「殺人鬼を付き止めるようとする人々」を焦点にしている点も注目だ。 得たいの知れない恐怖に挑み続け、事件を風化させないために戦い続けた人々の物語。何故彼等は同僚や家族を失ってまで事件を追い続けたのか。  まるで歴史の真相を暴こうとする歴史学者やマスコミのように諦めようとせず、どんどん狂っていく。 それは「何故俺はこんな事をしているんだ」という己の存在意義を見出すための孤独な闘いでもある。 時が流れ人々が忘れ去ろうとも、彼等は忘れる事を止めなかった。 彼らを突き動かすのは、ゾディアックの残した膨大な手がかりと情報だ。 「もしかしたら事件を解決できるかも知れない」という淡い希望。  ただ、「セブン」の「安心して子供を産める社会」のためにとか、他人のための意思とは少し違う。 謎を追うのはマスコミや漫画家といった人間がゲーム感覚で参加しているようにも思える。 マスコミは特ダネを掴んで出世するためだったし、漫画家は本を執筆するために。 警察が協力してくれたのも、真相を解明する手掛かりになるのではと利害が一致したに過ぎない。   それにしたって、あのハンバーガーの美味そうな食い方は何なのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:15:52)(良:1票)
189.  HANA-BI 《ネタバレ》 
北野武の映画は、北野が出ない「キッズ・リターン」とか「あの夏、一番静かな海」みたいな映画の方が好きなんだけど、北野が監督・主演で唯一好きなのがこの「HANA-BI」だ。  北野のファンの中には「“ソナチネ”のような鋭利なものが無くなり、優しさばかり溢れている」という人もいる事だろう。  だが、俺は優しさと冷たい暴力が共存するようなこの映画が好きだ。  「ソナチネ」や「あの夏、一番静かな海」の蒼き海の美しさ、「その男、凶暴につき」の孤独な警官の物語。  まず、武が多くを語らないのが良い。  劇中で咲き乱れる花、花、花。 火花のように散る血、血、血。 少しかすめただけでも噴出すような真っ赤な血液。 特に劇中の北野が演じる警官は、すぐに爆発して散ってしまいそうな存在だ。 夜空に打ち上げられ、一瞬美しく咲き乱れ、消えていく花火のように。  子も失い病の妻を気遣う警官。 妻が死んだら自分はどうするか。生き続けるか、それとも・・・。 そんな時に、同僚が撃たれ彼は部下と共に犯人を追う。  駅の売店で犯人を見つけ、捕まえようとする北野。 揉み合いになり、犯人が放つ拳は爆弾の起爆剤を押すように口から血を噴出させる。  たけしだったら自分の足ごと犯人を撃ち抜いていただろう。静かな怒りが主人公を動かす。  警官をやめ、ヤクザのような黒装束とサングラスで身を包む北野。 「銀行強盗やろうと思ってよ」なんて嘘か本当か解らないジョークを飛ばす。これが有言実行なんだから恐ろしい。 “ナイフ”の場面でアクションを影だけで演出するのが面白い。 そのナイフを相手がパッと両手で受け取るのなんか思わず笑ってしまった。  妻の治療費のため、そして残された部下のためにヤクザ相手に独りで立ち回るのだ。  終盤の怒涛の如き流れも、静かな空気が肌を刺す。  偶然出会った少女に、主人公は亡き子供の面影を見たのだろうか。 胴体だけ先に行き、残った両手もまた後を追う・・・。  ラストの海を見ながら「ごめんね」と呟く妻と静かに過ごすシーンが印象的だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 20:14:27)(良:1票)
190.  トレマーズ 《ネタバレ》 
これぞB級馬鹿映画の傑作。 町に嫌気がさして出て行こうと思った矢先に得たいの知れない巨大オナホールの地下生物と戦う事になってしまうという映画。 金が無いのでありとあらゆる箇所が計算尽くで作られた緻密性、あまりに上手すぎてシリアスな笑いが溢れる領域だ。 製作に「ターミネーター」や「エイリアン2」「ウォーキング・デッド」の製作を指揮したゲイル・アン・ハード女史!計算された演出は彼女の力もデカい。 襲い来る化物に「何て名前付けようかな」なんて言っている場合じゃない。 化物が床板をパタタタタとさせて迫るシーンの恐怖! 殺る気満々のバート&フェザー夫妻が頼もしすぎて爆笑。死亡フラグブレイカーすぎる。 「倒したぞ!」じゃねーよwww 象殺しの銃(ホーランド&ホーランド)がある時点でギャグです。 ケヴィン・ベーコンは最高に笑える&カッコイイ。 「飛べるもんなら飛んで見ろ化け物ー!」あれで空飛んでたらアカデミー賞あげてしまいたい。 「2」のシュリーカーは可愛い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:12:22)(良:1票)
191.  プラトーン 《ネタバレ》 
再見。 ロバート・アルドリッチ「攻撃」よろしく、本当の敵は無能な上司だということが刻まれた密林での殺し合い。  黄塵が吹く中をジープが、飛行機が滑走路を走ってくる。 輸送機から降りてくる若き兵士たち、傍らでは車が遺体を運搬している光景、先に戦っていた仲間たちの表情に刻まれたものは何か、疲労、憎悪。 やがて薄暗い密林を突き進み戦場へと近づいていく。いつ何処から敵が現れるか分からない緊張に包まれる。 蛇にも御用心、切り開いて進む、不気味な静けさ、仲間の無線は命綱、熱、嘔吐、肉体をかきむしる虫の侵入。歯を磨いたり朝ションをする平和な一時。  闇夜で炸裂し飛び交う閃光、生き延びるために必死に眼を見開き応戦する兵士たち。撤退、上官に殺意を抱く事件の発生、ヘリの視点で捉えられる地上を駆け抜ける者が撃たれ倒れていく姿。  主人公にとって“最後”の戦い。鋭い閃光が飛び交って暗闇を照らし、男たちは地獄を生き延びるために必死に戦い、走る走る走る。 復讐者は死闘の中でそれを待ち続ける。遺体は隠れ蓑に、味方ごと吹き飛ばす“援護”。  消耗しきった男を立ち上がらせるものは何なのか。仲間の生存?いいや復讐対象の生死を確認するために! ここは戦場だからな。バレなきゃ犯罪じゃないんだぜ?すべてを包み隠す密林…。  ブルドーザーで遺体の山を運ぶ光景はアラン・レネ「夜と霧」を思い出す。  主人公の戦いは終わったが、仲間たちの戦いや死はこれからも続いていく。空から見下ろす穴、穴、穴、人、人、人の群。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:10:01)
192.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
世界恐慌直後のアメリカ。 職にあぶれた人間でごった返す当時の情勢は、その後の第二次大戦の暗い影も見えてきそうだ。 冒頭こそ淡々としすぎる映像だが、島に入ってからその面白さは加速する。 怪しげな原住民の儀式、 巨大な砦、 そしてそこに君臨する巨獣キング・コング! ねんどや人形のコマ撮りで動かしているとは思えないほどの動きと迫力! コングに掴まれたり身ぐるみ剥がされたりで叫びまくる女優の演技もリアルで凄い。 子供の頃は「何でゴリラと恐竜が戦ってんだよ」と理解に苦しんでいたが、今見るとその細かい戦闘描写に見入ってしまう。 コングからヒロインを奪還すべく追う主人公たち、ヒロインを守るコング。 そして事もあろうに、何とコングは人間の手で島からニューヨークに連れていかれるのだ! 安易な思い込みが命取りとなる。 何と愚かな事だろう。 ヒロインを見つけて拘束具を安々と外し逃げ出すコング。 コングはヒロインに惚れてしまったのだ。 セルズニックの演出には常に「愛」が存在している。 後年の「レベッカ」、「風と共に去りぬ」、「白昼の決闘」、「第三の男」における三角関係・・・心が怪獣にはあった。 人間のような感情がコングにはあった。 人間と同じように、コングも赤い血の流れた生き物なのだ。 ただ、コングの純粋な恋心も、人間には恐ろしい化物が叫ぶようにしか見えないのだろう。 コングは戦った。たった一匹で勇敢に戦い、壮絶に散って行ったのだ。 コングの遺体の傍で、コングを捕らえた男が一言漏らす。 いつの時代も、一番の原因となった悪党が生き残るのが世の常だ。 本当に恐ろしいのは、こういう人間なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:06:44)(良:2票)
193.  Mr.インクレディブル 《ネタバレ》 
後の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」にも繋がる豊かなガジェットとスリリングなアクション描いたブラッド・バードの最高傑作。 製作にジョン・ラセターなど面白くならないワケがない。 CGとは思えない服や髪、筋肉のうねり、うねり、うねり。それを二次元の世界で無限に広がるようなパワーで描く。 主人公たちの八面六臂の大活躍ぶりは現実離れした奇想天外なものだが、家族問題や悪党の散り様は妙に現実的。 とにかく人間の死傷率がディズニーにあるまじきレベル(褒めてる)。 前はヒーローで大活躍、今は法律でヒーローが“縛られる”。 その理由も、マントが引き起こした“悲劇”が重なり命の恩人を“守る”ためだったのだろう。だが、それが結果的に彼等を殺す結果に繋がる悲劇。 「バッドマン」ですら法律だろうが知ったこっちゃねえという状況だったのに、まるで軍隊か警察のようにヒーローという偶像が描かれるのだ。 戦場が日常だった者にとって、一般社会の“日常”は非日常の牢獄。子供にまで抑圧されたストレスは伝播。家の中でも家が壊れるから能力は厳禁。こりゃ子供達も引っ込み思案になるわ。正義感は燻らなくとも肉体は火が入れば燻製にでもなりそうなブヨブヨ。 たまりかねたストレスで上司がふっ飛んで落ちれば、お父さんも再びヒーローとして飛んだかと思うと落ちる。 奥さんも長男も長女も赤ちゃんもお父さんの親友も入り乱れて暴れまくり。 捌け口を求めていたエネルギーのほとばしり、それと同時に心も体も開いて前進する家族たち。 ありがとうシンドローム。おかげで家族は変われた。お礼にバードストライクをプレゼント。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:04:38)
194.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 《ネタバレ》 
俺が子供の頃、猛烈に熱狂したのがこの「ガンダム」だった。 小2の頃にやったBSでの劇場版三部作再放送。BSは「パトレイバー」や「七人の侍」、チャップリンやヒッチコックにも出会えた感謝してもしきれないチャンネルだ。 俺にとっては劇場版のスピーディーな展開が「ガンダム」だったし、小5の頃に見たTV版の「ガンダム」はちょっと退屈してしまった(それでもグフ戦とかズゴック戦とかギャン戦とかスッゲーのよ!) 古ぼけた画面がかえって新鮮だったし、今見ると変テコリンな服装や髪型、モビルスーツのデザインも良い意味で“時代”を感じた。 デブのオッサンかと思ったリュウが誰よりも仲間思いで、チームを引っ張って、後輩のために死ぬ覚悟もある男の中の漢だったり、 ブライトが白目の無いクソ野郎かと思ったら、苦労を背負い込む本当は優しい大人だったり、 スレッガーの覚悟を決めたセリフと行動・・・・ガンダムからは色々学んだ。あの頃は。 ガンダムが起動するシーンは今見てもワクワクするよ。 ビームサーベルがザクの心臓部に深々と刺さっていく描写、テキサスコロニーでの一騎打ち、エルメス戦、ソロモンでの死闘の数々・・・そして倒れ様に敵を撃ち抜くガンキャノンのカッコ良さよぉ!! 「ラスト・シュート」が一番の名場面だけど、俺は心も体も成長したカイの奮闘が一番心に染みるぜ。 俺個人は富野の最高傑作は「イデオン 発動篇」だと思っているが、終わり方は「∀」や「ザブングル」と並んで一番好きだ。 ラストの曲は最高に卑怯だ。安彦の美しい絵も卑怯だ(80年代の安彦は神)。あと永井さんのナレーションも。合唱・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 19:01:26)
195.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 
筒井康隆のSF小説をアニメで復活させた。 長馴染みの男女3人。 他愛の無い青春を送る彼らだが、ヒロインは突然「時を超える」能力に目覚める。 何も起こらず退屈な日々を送っていたヒロインにとって、突然の「能力の目覚め」は彼女を虜にした。  過去を行き来して夢のような毎日を送るヒロイン。 だが能力は次第に「ひずみ」を産んでいき、友達の身も危険にさらしてしまう。  目覚めた「異質の能力」、そして大切な友人との別れ。 だがそれは元の「つまらない毎日」に戻るワケではない。  いつか「友人」と再び巡り合う事を信じて・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 21:18:25)
196.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
前2作と比べると見劣りするかも知れないが、意外にも他と比べて最短となる2時間40分余。その“たった”2時間40分もしないで「ゴッドファーザー」は完結していく。 ヴァチカンが裏社会で闇に染まっている描写にまずビックリするし、ジョーイ・ザザの予想外の逆襲、ヴィンセントの予想以上の活躍、ソフィア・コッポラが予想以上に大根(後に監督として大活躍するとは思えない)で度肝を抜かれるシーンばかり。 相変わらず美味そうにパスタを喰う面々、その直後に「フレドお゛お゛お゛っ」と絶叫するアル・パチーノの哀しみ。老けメイクが凄い。 吹き替えだと長年担当した野沢那智の演技の変化にも注目です。 マイケルがいくら変わってもそれを狙う者は“以前のマイケル”しか知らない。負の連鎖は続く。 バチカンとの全面戦争・・・その果てに待つ悲劇に次ぐ悲劇・・・勝利を得ても、愛する隣人がそこにいなければ何の意味もない。 懐かしい音楽で思い出す、愛しき人の幻想。 最後の絶叫、そして何も言わず力なく眠るマイケルの姿・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 20:36:46)
197.  猿の惑星 《ネタバレ》 
ピエール・ブールの原作を元にした映画。  「ウラシマ効果」による老化、 未知の惑星における受難、 文字通り言葉を失う主人公。  ブール自身の戦時中の受難、日本軍への怒り、戦争そのものに対する憎悪。 それをSFの世界に持ち込み、人間の誤ちと尊厳、魂に訴えかける力強い作品となった。  惑星を支配していた猿たちは「人間が進化させた結果」である。  第二次世界大戦の狂気を人間が作り出し自らの兵器で焼かれたように、人間の恐ろしさと愚かさを擬人化した存在なのだ。  本物の猿のような精巧なメイキャップ。 「2001年宇宙の旅」に出てきた類人猿に負けず劣らずのリアリティが凄い。  原作の星はベテルギウス星系の惑星らしいが、本作はそれを変更したことで衝撃的なメッセージを産みだす事になった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 20:21:24)
198.  フランケンシュタイン(1931) 《ネタバレ》 
「フランケンシュタイン」以前にも活躍してきたカーロフだが、少なくとも「フランケンシュタイン」でトップスターの仲間入りをした事は決定的だ。 吸血鬼と言えばベラ・ルゴシ、そしてフランケンシュタイン博士のモンスターと言えばボリス・カーロフ。 そんなカーロフの凶暴さと哀愁を帯びた演技、フランケンシュタイン博士のモンスターのイメージを決定づけたジェイムズ・ホエールの傑作。 メアリー・シェリーの原作小説をベースに、ヴィクター・フランケンシュタインを大学生から完全な博士に変え、モンスターも原作には無かった「ツギハギの肉体」と「知能の低い化物」というイメージを作り上げた。 原作では知性を持ち、人間と同じように物を考えられるのに人間になれないという葛藤が主軸だった。 本作の「怪物」は言葉も知性も無い。いや本当は言葉を発せられないだけで知性があったのかも知れない。 冒頭の遺体と脳の収集。丁寧に組み立てていくストーリー、そして実験所における人造人間の「誕生」。電流をバチバチ鳴らし怪物を創造していく場面。 博士の「息子」そのものは29分してようやく登場するのだが、セリフもシーンも中々テンポが良いので飽きない。 だが誕生した人造人間は「息子」であり同時に「殺人兵器」となっていく。 息子の脳を支配するのは殺人鬼の記憶。 殺しの記憶と凶暴な肉体が結びつく時。息子は「化物」になってしまう。 そんな手の付けられなくなった息子を医者に押し付ける様子は育児放棄した父親にしか見えない。フランケンシュタインと妻の間に本当の子はまだいない。彼は実験の成果よりも子供が欲しかったのだろう。妻のため?自分のため?それは解らない。 そんな息子は少女と出会う。 少女は息子を「化物」ではなく同じ「人間」?として接しようとする。 少女の無垢な心、それに応えてしまった「息子」の純粋な「記憶」。「息子」に葛藤は無かった。それは心が無いからなのか。 「息子」は街を彷徨う、人々は「殺人鬼」を殺すために群れとなって殺人鬼を追う。 そこに父親の姿もあった。一応産みの親としての責任はあるようだ。 父親と「息子」の対面。二人は最後まで相容れない水と油として別れていった。 つうか頑丈すぎるだろフランケンシュタイン博士。 燃え盛る風車と息子・・・博士は何を思ったのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 20:02:48)
199.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
題名通り「夏休みのとんでもないひととき」に巻き込まれるストーリー。 「ぼくらのウォーゲーム」を拡張したような世界観で、さらに複雑に入り組んだ展開である。 何がしたいのかよく解らないヒロイン夏希にいざなわれる主人公の健二。 一貫性が無くて飽きやすい性格、自分のやりたい事がハッキリしないグラグラのヒロインを、一本筋が通った健二が支えていく。 理想を具現化したような大家族に囲まれながら、今の世の中には無くなってしまった懐かしさも感じられる。 大家族のほとんどがネットゲームやアバターに興じるというところは現代的だが、全員が戦力になり得るというのはちょっと疑問。 だが、事件は世界中のネットで突然起こり、主戦場は片田舎である。 「ラブマシーン」と呼ばれる凶悪なウイルスに食い荒らされるネット空間。 何でもかんでもデータにして情報を統一しようという「OZ」の危うさと人間の限界を語りかける。「OZ」を破壊されれば、それが管理する医療機器に繋がれた命も危ない。 栄ばあちゃんもそれが原因で助けが間に合わなかった。 最悪「ラブマシーン」に侵食された軍事システムが街を焼き払うだろう。  仇討合戦誰がやる? 誰もやらなきゃ誰がやる? 俺たちがやってやる! 今作の“戦”は刀や槍ではなく、それぞれの知恵と能力を武器にして立ち向かう。 「いくら大家族とはいえ戦力揃いすぎバロス」というツッコミはこの際ヤボだ。  数学に強い学生健二、 ネットゲームのチャンピオン佳主馬、 生まれた時代を間違えたネトゲーじいさん万助、 自衛隊の理一、 オーバースペックな電気屋である太助、 戦う覚悟を決めた夏希、 そして曲者の侘助。 41歳にしては若すぎる(伊丹十三モデル)容姿だが、そこにはラブマシーンの開発者として責任を払おうという覚悟が芽生えていく。 そして夏希の家族たち。 ひと時の夏に全てをかけた老若男女の男女たちの映画。 TV版では夏希と侘助が花札に興じる場面がカットされていたり、最終決戦の重要な伏線が削られてしまっていた。今度TVでやる時は是非ともフルで鑑賞したいものだ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-19 19:54:40)(良:2票)
200.  TAXi 《ネタバレ》 
DICK DALE & his DEL TONESの「MISIRLOU」は最高の波乗りBGM。  それを冒頭、フランスの市街をバイクで駆け抜けるシーンに使った! タランティーノはコレをオープニングで使っておきながら、またかったるい会話を始めやがってテンションを下げるという“無駄遣い”をやらかしてくれた。 別にタランティーノが嫌いとかそういうものではない。 ただ単にこの映画みたいに初っ端からブチかまして欲しかっただけなんです。 そんなワケで、この冒頭部分だけはジェラール・ピレスとリュック・ベッソンを支持したい。   本作は中身投げ捨て、ひたすら車で走りまくるカーアクションムービー。 CGエフェクトがかかっているだなんて信じられない中々の迫力。  純然たるフランス映画よ。 シャレオツ(死後)な若者、性欲に走る上品なエロ、それをアメリカナイズなアクションでブッ壊すベッソン。 でもいきなりキスして胸を揉むのはNGな。  気軽に楽しめる快作。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:49:45)
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