201. ラスト サムライ
よくぞやってくれた、という胸のすく思い。 確かにロケがほとんど海外だったから生えている植物がちょっと違和感あったり、史実上では正確でないと思われる部分も数々ある。しかしドキュメンタリーでもない映画に必ずしも史実に忠実に描く必要もなく、気が付くと全く違和感なく鑑賞している自分がいた。時代考証に労力を費やしただけあってかなり「凝って」描かれた明治初期の日本、従来のハリウッドが描いてきた日本の姿とは比較にならないほどスケールが大きく緻密。幕末から明治の日本、世界大戦後の日本のように、他の国の文化を受け入れることで自国のアイデンティティーが失われることを危惧したこんな人物や、こんな事件が実際に存在したのではないか、と思わず納得してしまうだけのリアリズムがある。あれだけの世界がハリウッドで再現され世界に発信されたことは、日本人としてなんだか誇らしい気持ちになった。 こんな現代のアメリカでも、他国の文化を理解しようと努め、なおかつ「滅び行く相手側の視点」に立って映画づくりができる人がいるのが嬉しかったが、これを観た外国人の人が、今までにない正確さで描かれた切腹や古い時代の日本人の美徳をどう思うか、大変興味がある。トム演じるネイサンはかつてのアメリカのインディアン侵攻に嫌悪感を露骨に持ち侍に共感するが、果たして現代のアメリカの人々は。アメリカは世界でみれば最も歴史の浅い国。古い他国の歴史や文化を重んじているこの作品、イラク問題まっただ中のアメリカの人々は、どう観るか?切腹という自殺を、「名誉ある死のかたち」というひとつの「文化」として認めることができるか?この映画を観た海外、特に我こそ正義のアメリカの人々がどんな感想を抱いたのか、是非感想が聞きたい。 渡辺謙や真田広之も、トム・クルーズに負けない名演技!物語がトムの独り舞台ではなく、渡辺謙演じる勝元や日本のサムライとのヒューマンドラマとして描かれているのがとてもいい。この映画を観る時代劇に慣れた日本人の視点は、当然ながらかなり時代考証的になってしまうであろうが、物語の構成自体も決してつまらなくない。シンプルな物語の中に日本人の良き姿を再現してくれたこの映画スタッフに感謝。 8点(2004-01-17 00:48:38)(良:1票) |
202. シカゴ(2002)
仕事で疲れて憂鬱になっていた気分が、レイトショーで一発で吹き飛んだ。歌は上手いんだかわからないが、それでも音楽にも大迫力のダンスにも大満足。あらゆるミュージカルの歌は出演者の言葉をより心象的に表現するものだが、この作品では舞台を映画にしたという利点をよく活かしていると思う。舞台ミュージカルと違い、場面によっては一瞬にして背景まるごと心象表現に切り替え、その相乗効果で歌やダンスが更に見事な表現手段となっている。特に新聞記者たちが文字どおりの「操り人形」になる場面は傑作。実際の舞台も見てみたい。 当時のシカゴに関する知識があったら、確かにもっと楽しめたかもしれない。あと、この出演交渉を蹴って後悔していたトラボルタがもしリチャードに変わって出演していたら、どんなものになっていたか大変興味深い。 8点(2004-01-17 00:43:17) |
203. マイ・フェア・レディ
「踊り明かそう」の歌がとてもいい。あと、発音の練習中に口に含んだビー玉を飲み込んでしまった瞬間のオードリーの顔は傑作。一瞬であるが、本当になんともいえない表情。 7点(2004-01-17 00:41:26) |
204. 紅の豚
一番最初に観たときは、あまり印象に残らなかった。しかし、何回観ても見飽きず、観るたびに心に染みる味が増してくる。古き良き時代のカッコイイ野郎ども、そしてたくましく強い女たち。宮崎作品にはムスカ以外に決定的な悪役がでてこないが、この映画も出て来るキャラの全てが魅力的。あのなんともいえないエンディング、流れる加藤登紀子さんの「時には昔の話を」・・・うーん、渋い、大人の映画だなぁ。 8点(2004-01-17 00:40:47) |
205. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
これぞディズニー・エンターテインメント、頭カラッポにして存分に楽しめる映画。何と言ってもジョニー・デップの演技、 ちょっとヒネててキレてて、それでいてダンディでクールなカッコイイ奇人、ジャック・スパロウ。まさに彼のために用意された役柄といっても過言ではない。あれだけのキャラをリアルに自分の中に作り上げるというのは本当にスゴイ。物語の冒頭、海から颯爽と登場するその姿にはシビレた。ストーリーも分かりやすく、音楽も大海原を駆ける自由な海賊を連想させて、映像と良くマッチしている。自由の象徴・海賊を舞台に笑いあり、スリルあり。まるでひとつのテーマパークにお金を払って入ったように、童心にかえって心から楽しめる映画だった。 8点(2004-01-17 00:39:21) |
206. レオン/完全版
ロリコンだと冷めた目で観るひともいるのも理解できるが、この物語は「大人になり損ねた危うい大人」と、背伸びすることによる「心の危うさを持った少女」でなければ成立しない。物語の核となっているふたりの、ちょっとしたなにかのきっかけで崩れそうな脆く不完全で危険な匂いが実に美しく描かれていると思う。その美しさが淡々と進むシンプルな物語をドラマチックに見せ、衝撃的な結末へと観る側を引き込む。この作品の良さ、人が魅かれる理由というのは、狂気の名脇役ゲイリー・オールドマンもさることながら、主役の二人の「美しい危うさ」に尽きる。この映画こそ真のバイオレンス。単なる凄惨な描写に留まらない、物語全般に散りばめられた美しく風流な危うさと暴力。そしてエンディングと共に胸を打つ、まるでこの映画の為に作詞作曲されたかのようなスティングの「Shape of my heart」。やっぱりこの映画は大好きである。 9点(2004-01-17 00:36:20) |
207. ファイト・クラブ
ハリウッドでこんな映画がつくられたこと自体が驚き。物欲主義への世の中への痛烈な批判、作品そのものはむしろブラックコメディーに近い。自分の病んだ心が病人達と泣くことで癒されるあたり、この作品は人の心の弱い部分の芯、本質を実によく取らえていると思う。舞台はアメリカなのにブラピ演じるタイラーの思想はどこか東洋的。まるで自分の弱い心を覗かれてるようでドキリとさせられた。ファイトクラブの連中がやっていることは無論メチャクチャだけれど、単なる世の中への甘えた反抗ではなく、なにか納得できるものがあるのは何故だろうと考えてしまう。 9点(2004-01-17 00:30:36)(良:1票) |
208. サウンド・オブ・ミュージック
音楽はもちろん、物語も美しい背景も非の打ちどころなし、ミュージカルではまさに最高傑作。あらゆる意味で「豊かな映画」と題するのにふさわしい映画といえるのではないか。厳格なカタブツだった大佐とマリア先生はじめ、人々が合唱するエーデルワイスは最高。映画全体が永遠に決して色あせることのない絵画のようである。人間愛に溢れたこの映画の美しさがいつまでも語り継がれて行ってほしい。 9点(2004-01-17 00:29:00) |
209. ザ・ロック
《ネタバレ》 息もつかせぬクライマックスの連続、そして要所で流れる大迫力のBGM。最初から最後まで手に汗握るのアクション映画の最高峰。救出に向かうのがスーパーマンの軍人でなく科学者と元脱獄諜報員というまるでダイ・ハードのような設定も良く、救出そのものだけでなく、ちゃんと伏線があるので物語も楽しめる。ショーン・コネリーを初め渋いキャスティングもバッチリ。それにしてもエド・ハリスって、こんな軍人の役柄似合うなぁ・・・・。 7点(2003-11-27 02:05:47) |
210. AKIRA(1988)
中学生の時に夢中になって、台詞を全て覚えるくらいに何回も観たっけ。原作のスケールには到底およばないけれど、印象的な音楽や映像、リアルな効果音は鮮烈な印象だった。オープニングから冒頭バイクチェイス、鉄雄の事故までのスピーディーなシーン展開は秀逸。あのバイク欲しかったなぁ・・・・。 8点(2003-11-07 00:06:26) |