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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
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ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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201.  みなさん、さようなら(2003)
泣いた泣いた、もう思考停止状態です。一人の《進歩派左翼知識人》の死を通して、そのカテゴリに属した一群のサブカルチャーを「あなたたちはもう終わった人なんです」と優しく葬ってしまった怪作…なんだというのは教会の骨董品鑑定のシーンから明確だと思う(見終わった直後だからまだ自信はない)。リベラリストの象徴である父が、息子の莫大なカネの力を受け入れて個室に移り、麻薬を受け入れ、コテージに移動し…死期が迫るにつれ徐々に弱々しく周囲を受け入れていく姿が泣ける。まぁ日本の場合は、この手の人たちって割と早いうちに世間に迎合しちゃってて、こんな状況は成立しないと思われそうだが…実は強烈に我が父にダブったのだよ…あの超頑固な労組世代に…《あなたが父さんでよかった》。まだ健在ですが。(6/11 2点下げ)
[DVD(吹替)] 8点(2005-04-03 00:01:42)(良:1票)
202.  宇宙で最も複雑怪奇な交尾の儀式
ホント、安い造りの映画なんだよなあ。セットはショボいし、ライティングは平板だし、役者に知った顔がないし。オマケにストーリーはべったべたなアメリカン・ラブストーリー(…以下かもしれない)。しかーし。だからこそ人間はアタマを使わなきゃイケナイのだ。映画は客をいっぱい呼んで見てもらってナンボなのだ。このカビが生えちゃったようなハナシを、斬新な視点でナレーションすればいいのだ…プロデューサーの涙ぐましい努力が伺えます。個人的には「○○のターミネーター」が登場した時点で、何でも許してやれる大らかな気持ちになれました。この映画に携わったスタッフ達。彼らはきっと生まれや育ちはアメリカ人だろうが、ソウルは関西芸人に違いない。低予算にめげない前向き姿勢、あの手この手のサービスいっぱいなウケ狙いに、この点数を献上。
[DVD(字幕)] 8点(2005-01-28 03:48:08)
203.  ヘビー・メタル
正月からえらいモンに当たってしまったなあ。もちろんその存在は知ってた。だが見る気も起こらないで見てなかったのを、いま猛烈に後悔してます。「悪」の表現手法に、ロメロのリビングデッド・シリーズの影響があると思うんですが、この作品が他作へ及ぼした影響も凄いモノがあると言わなきゃならんです。ちょっと思いつくだけで、『風の谷のナウシカ』『フィフス・エレメント』『ゴースト・オブ・マーズ』…他にもいくつか。ルネ・ラルーの仏アニメ『ガンダーラ』も絵的に近いんだけど、オリジナルがコミックだからなあ(すごく複雑な経緯のリスペクトっぽい)。この映画が時代の一里塚、コミックからSF映画への橋渡しの役目をしたんですねえ。続編も見たいような…あろえりーなさんのレビューを見たら見ない方がいいような…微妙(笑)。 ●2007/12/31 点数調整で8点に…。
[DVD(字幕)] 8点(2005-01-02 03:23:46)
204.  蝿の王
ええっ、今年最後のレビューが『蝿の王』かよ…いや別に大昔に見た奴だから、今日レビューしなくてもいいんですが…2004年を総括する作品としてコレが適当かな、と。原作との違いが指摘される本作ですが、最大の違いは原作=「悪の自然発生」説/映画=「元々みんな性悪なんじゃ」説、っていう事になるのかな。原作の持っていた宗教的な構図を骨抜きにしてしまったせいで、オイラ的には原作よりずっと現代的解釈ができるようになったと思います。イラクの刑務所で起こった事がまさにコレですね。まあイラク以外でもあるかもしれんが。人道とか国際法とかは世界が長い歴史で学んだ財産なワケで、それを捨てれば身軽で自由になるけど、もう一度学び直さなけりゃならない。孤島で、そういう世界の「見えない財産」から切り離された子供達は、だから原作のように「悪」に染まっていくんじゃないんじゃないかと思うわけです。ただ、知恵を失っただけなんじゃないかと。血と痛みの記憶を捨てただけじゃないかと。2つの世界大戦の主要プレーヤーで本土の占領・地上戦を経験しなかったアメリカ・イギリス・日本に、いま「悪」の面影を見るのは難しい。だが心底の無邪気さ、その怖さは見える。この映画が強引に「悪」を外科切除したのは、案外21世紀的な描き方だったのかもしれないですねえ。
[ビデオ(字幕)] 8点(2004-12-31 11:26:31)
205.  豪勇ロイド(1922)
ぐるぐるさんの指摘はかなり当たってると思います。本作のロイドはまだのび太としては未定形としても、本作の恋敵のコワモテ男は(『要心無用』では救急隊員、『活動狂』ではハリウッド俳優をやってるロイド映画常連なんだけど名前がわから~ん!)明らかにジャイアンのプロトタイプです。風貌や行動パターンがソックリ。ミルドレッド=しずかちゃん…うーん、ソコはどうかな。そして重要なのはやっぱりオバーチャン=ドラえもん、そして「ズーマのお守り」という怪しげな(ある意味時空を越えた)アイテムの存在ですね。もちろんこういう「打ち出の小槌」的民話アイテムは通常のロイド世界には似合ってないんだけど、今回のロイドは特例的に南部の超田舎が舞台なのでよかったのです。 このほか本作について言いたい事は、サイレント末期の1922年という時点なのに、カメラワークが素晴らしくダイナミックである事。ラストの対決シーン、カメラが移動しながら退く、退く、どこまでも退きまくる(よく見ると地面に車輪の跡があるんだけど気にしな~い)。ズーマのお守りの力で攻勢に立ったロイドの迫力が伝わります。ロイド作品は同時期のチャップリン作品なんかに比べてずっとカメラワークと編集技術の探求に熱心だったと思います。そしてロイド映画が「都会的」と呼ばれて来た理由の大半は、こうした技術的な努力による「大胆な絵作りと無駄を排したスピーディな筋運び」にあったと思うんですね。 ストーリー的には、ロイド唯一の西部劇という事で銃撃戦とかカーチェイスとか派手目です。ミルドレッドと結ばれるずっこけラストショットは、現実に彼女との結婚を控えていたロイドの「照れ」が感じられて楽しい。健全志向でなければならなかったロイド映画がやれたギリギリの「濡れ場」、象徴的な性的表現なんでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2004-12-30 12:01:51)(良:1票)
206.  1984(1984)
あえて内容には触れません(一言で言えば「退屈だが素晴らしい」)。公開時、賛否両論で日本中を騒がせた問題作なんだけど、誰も覚えてないよなあ(苦笑)。日本国内で初めて…というか東京国際映画祭の招待作であるため、特例的に…ヘア解禁された作品。その後の日本の映像表現の展開を考えるに、この映画がかなり重要な転機だったのは間違いない。もはやその内容とは何の関係もなく、日本の映像文化を決定的に変えた歴史的作品という事になる。成人男性諸氏はこの映画に感謝しなければならないだろう。そしてその事に感謝しつつ、コンビニで配給されてるジンでも飲みながらイラク戦争のニュースを見るのもまた乙な味わいが…あるわけねーよな。いつの時代になっても何かしらの意味を持って、観る者に語りかけてくる「権力の業」の哀しい物語。
[ビデオ(字幕)] 8点(2004-12-25 17:01:59)
207.  天使ガブリエルと鵞鳥夫人
世に隠れなき艶笑古典、ボッカチオの『デカメロン』第2話「好色な修道士が天使になりすます悪事を働く話(ベネチアの物語)」の完全映像化。これを60年代という時期に人形アニメでやったというのは凄すぎです。まあ、チェコの人形劇文化は500年以上の歴史を誇る(子供向けというより、言葉が分断したボヘミアを文化的に繋ぐニュース番組的な役割を果たしたらしい)深い世界なので、《エロい人形劇》という芸能ジャンルがあっても全然フシギじゃないんですが…。しかしトルンカの描く上品なエロっぽさには参りますねえ。鵞鳥夫人、まるでカモがネギ背負って歩いてる状態だもんなア(゚ー゚;…。個人的には中盤のサスペンス、ベネチアならではの水路の逃避行が素晴らしかったです。ノンビリ歌いながら迫ってくる船頭さんとか、なかなかいい味が出てました。大人向けに製作された映画だけあって、一般の人たちの鑑賞に十二分に堪える良作。
8点(2004-12-19 22:09:24)
208.  ウォー・ゲーム(1983) 《ネタバレ》 
内容的には7点が妥当だと思うんですが。でも映画館で4回見ました。強烈なインパクトを植え付ける冒頭エピソード。贅肉を削いだ、恐ろしくシンプルなストーリー。それを支え、観客を引っ張り続けるだけの力を持った「核の恐怖」という屋台骨。それが少しづつアレンジされ、世界の命運を賭けた○×ゲームへ集約されていく展開(ってアレはサスガに「それはないべよ~」って醒めたけどさ)。序盤の豪快な掴みを除いて、ここにあるのは節約の魅力です。話に関係ない無駄なモノを排除して、グラマーな美女や無意味なアクションを排し、本当に物語の力だけで観客をエンドマークまで案内する事を目的に映画を作った時、どれほどのモノを生み出せるのか。ちなみにコンピュータ・ハッカーの出てくる作品はこの映画をさかのぼる事10年、『サンディエゴの12時間』『サルベージ1』(共にTVムービー)なので、特別な存在という訳じゃない。が、遊び半分の少年ハッカーのイメージ(これ絶対スティーブ・ジョブズがモデルだと思う!)を決定付けたのはこの映画でしょうね。この映画の後、同じ手口(公衆回線網からの軍用ネット侵入)が現実に発生してしまい、その経過はノンフィクション『カッコウはコンピュータに卵を生む』で詳しく書かれています。この映画は当時からかなり「侵入方法が現実的じゃない」と言われていたけど、現実の方がもっとズサンだったのダ。
8点(2004-11-13 13:39:22)
209.  キル・ビル Vol.2
うーむ。腹いっぱい四川風マカロニを食ってしまった。しかも味がね、辛かったり酸っぱかったり…タラ坊、どういう料理作りたかったんだよっ! とは言え満腹感では右に出る者のない映画でした。ごちそうさま。
8点(2004-11-03 08:12:10)
210.  アンブレイカブル
mhiro さんの票を見て、やっと誉める勇気が出ました(誉めたくてもビビってる作品、実はまだいっぱいある)。えーとね、「世の中では毎日、飛行機事故や列車事故で大量の人が死んでる。専業ヒーローにやれる意味ある仕事なんてあるのか」って問いかけが映画全体を覆ってるんだよね。この答えのない問いにラストで解答を出しちゃうのがこの映画の凄いとこで、ヒーローとはひとつの希望だという事。みんなの願いの象徴だという事。それを言っている。無残な事故で誰も生き延びられなかったとは思いたくないじゃないか。この世に溢れる不条理へ、誰にかに斬り込んでもらいたいじゃないか。そういう世間の想いがヒーローを存在させている。そこを考えるとこの話はもう一段深いレベルに行くわけで、製作の噂される第2部でもまだまだ哲学的な展開が広がっていくだろう。期待してるぜ、シャマラン。まあ、ブルース・ウィリスの史上最地味なヒーロー振りには笑い転げたけどね。次回は空飛ばしてください。
8点(2004-09-04 22:43:02)
211.  ペイチェック 消された記憶
ディック作品の重要なポイントとして「オモチャっぽさ」がある。世界全体がガチャガチャして深みがなく、ウソっぽくなければあの味は出ない。肩に力を入れて本気で未来のロスを描いたリドリー・スコットはそこんとこ、完全にワカってない(まあディックを離れて別風味になったとも言えるが…別にあの原作使わなくていいじゃん…)。今までではバーホーベンの造った火星世界が一番この『SF独特のウソっぽさ』に肉薄していたが、ついにチャンプの座を奪おうとする者が現れた。本作『ペイチェック』である(あー、トム&スピは論外)。パズル物に仕立てたのがまず正解。こんなにオモチャ感の漂うストーリーは珍しい。コミカルでアップテンポなのに不安を煽りまくる音楽もかなり「わかってる」。展開も押さえるべき部分をじっくりしっかり押さえながら、なかなかにスピーディ。やっぱり全体として、キレ味で勝負する頭脳派監督ウーちゃんの力量って事だろう。にしてもベン・アフレック! 俺なんだか見直しちゃったよ。主人公のIQメチャ高でないと成立しない設定なのに、あのバカ面がこんなにハマるとはねえ。『トータル・リコール』のシュワちゃんの例もあるんで、ディックはバカ面のできる俳優が似合うのかも知れない(いやマジよ)。ディックワールドはどのみち森羅万象のすべてがスラップスティックなんだから、「うひゃー」とか言いながら運命に弄ばれてる奴を笑って見るのもまた一興。そして見終わった後に何となく背中が薄ら寒くなるのも、彼の小説を読んだ時と同じ感触でした。うーん、ウッディ・アレン主演とかも観たいかも。あと、どーでもいいがあのオチは何だよ。ベッタベタベタベタベターじゃねーか! 2点減点だっ(苦笑)!
8点(2004-09-01 04:41:34)
212.  ザ・グラディエーターII ローマ帝国への逆襲
まずは、勘違いして買う人が出ないようにコメントは後回しで。B級帝王ロジャー・コーマンのプロデュースの低予算作品です。エロティックバイオレンスなジャンル。当然スコットの『グラディエーター』とは直接関係は (詳細はブログにて)
[DVD(字幕)] 8点(2004-08-30 09:01:23)
213.  2001年宇宙の旅
ホワイト・アングロサクソン・プロテスタントさん(とソビエト科学者)以外は宇宙に出られないという、往年のSF映画の世界観。この頂点に君臨する本作は、21世紀になった事もあって賞味期限的にはかなりヤバい状態にある。最近よく思う。ボーマン船長がデュリアからサミュエル・ジャクソン(でなくてもいいけどアフリカを感じさせる骨っぽい黒人俳優)に替わったらどんな映像になるかな…と。ただ、世界が圧倒的な冷戦(そして宇宙開発競争)のプレッシャーにさらされていた時代に作られた本作のメッセージは非常に明快で、ただひたすら人類文明の卑小さ・宇宙世界の壮大さ・次のステップへ登るための競争(=戦争)の不可避性を伝えようとしている。低得点の人たちのコメントを見ていて「このメッセージが伝わらなくなったのは、ある意味世界がそれだけ平和になったからか」と安心したりもした。個人的には映画音楽のあり方を決定的に変えた作品、という事で記憶に留めたい。ダブルシュトラウス、リゲティ…クラッシックに慣れ親しんだ耳には今なお「これほどの解釈ができるのか」という感慨が沸いてくる。科学技術の突き放した扱いに比べ、これら音楽たちの扱いの、なんと丁重で荘厳なこと! ロケットはいまだ旅行客を静止軌道上へ運んで行けてないけど、シュトラウスのワルツはそうしてくれている。リゲティなら木星の彼方まで連れて行ってくれる。この映画以後は、ね。そう考えると芸術の賞味期限は、再解釈でどこまでも延ばせるものなのかも知れない。
8点(2004-08-30 08:46:04)
214.  クロスロード(1986)
クラッシックファンなのでもちろん高得点(謎)。ウォルター・ヒルらしさって点からも高得点。「そんなんあるワケねーだろ!」的な裏ブルース界の描写と、極めつけの「ブルースの悪魔」の描写もナイス。旬の頃のラルフ・マッチオもいい演技してる。問題点は、あれから一向にビデオ屋で見かけない事だ…。
8点(2004-08-27 04:50:25)
215.  地獄甲子園
つけちゃるよ8点(笑)。投げやりの帝王・石井輝男節全壊ッ! これ以上何を望む? もちろん原作は好きだが、それ以前にオイラは(スーパージャイアンツの)石井信者なのだ。外道への逆襲以降が弱いのは否定できないから2点引くけどね。
8点(2004-08-13 17:29:30)
216.  ハヌッセン
なんと言っても超能力の描写が、超素晴らしい。株屋さんが預言者ハヌッセンに向かって、冗談で「来週の○○の相場はどうなると思います?」と聞く。先物取引の世界を知らない主人公は「じゃあ30(だったと記憶してるんだが…)」と答える。株屋は「まさか! 今の相場は○○です。それは絶対にありえない!」と一笑に付す。翌日、ハヌッセンが新聞を見ると、「アメリカで株価大暴落」の見出しが。そう、その日が有名なブラック・チューズデー、大恐慌時代の始まりだったのだ…。一事が万事だ。未来が見えても、世界全体が悪くなっていく予言しかできない史上最凶の超能力者ハヌッセン。やがて彼の力に気付いたナチスが、その能力を利用しようと暗躍し始める。時代が悪いのか。彼の能力が悪いのか。積み重なる不幸の運命は、やがて彼自身に矛先を向け始めたのだった…。あらゆる人が不幸へと突っ走って行った時代に、さらなる災厄・ナチスの萌芽を見抜いていた男の、静かで乾いた物語。地味だけど意味深でメカニカルなドイツ劇映画をじっくり堪能したい向きには超オススメの逸品。
8点(2004-07-28 02:53:26)
217.  マーラー
確かにイマジネーションの奔流のような作品ではあるなあ。冒頭、海辺で真っ白な繭を破り、世界と戯れる《音楽》(←っても、白いレオタード着たダンサーが演じてる)…もう何というか、ニーチェ+前衛劇のノリかも。マーラーは「この世にハーモニーはない」と言い切った音楽家(同時進行するメロディは存在するが、それが協調して和音を生み出す事はない、というコト。これはグレゴリオ聖歌の否定にもあたり、クラッシックの衰亡・ポップスオーケストラの繁栄を的確に予言していた)。当然、俺様監督のケン・ラッセルとは相性がいいのだ。キャラクターの織り成す様々な対立が、ヘンテコな客車のデザインとかの奇抜な構図で描かれるあたりに映像版「ハーモニーの否定」を感じる事ができる。ま、それでもケン・ラッセルの音楽性は『白蛇伝説』『ゴシック』でやってたロックの方だと思うけどね。鬼才×鬼才のコラボレーションは、やはりハーモニーを生み出さなかったような。あ、でもソレが狙いなんだからいいのか!(笑)  余談だけど、キューブリックは『2001年宇宙の旅』で前衛作曲家リゲティとの幸福なカップリングを実現した(冒頭のR.シュトラウスしか話題に上らないが、モノリスとコンタクトするシーンはリゲティの音楽)。同様に、マーラーにはケン。ワーグナーにはコッポラ。だが、キューブリック×リゲティ級の最大の魅力を感じさせる組み合わせはブルックナー×エメリッヒなんだよなあ…激しく見てみたい…怖いけど…。
8点(2004-07-20 01:12:53)(良:1票)
218.  都会の牙(1950)
うほっ! これが登録されてたのでちょっと嬉しくなりました。ハリウッド50年代、スタジオ撮りの小品ですが、もう何というか観客をグイグイグイグイ引っ張り続ける快作です。主人公があと1日しか生きられないってのが凄い。こういうネタ、普通ならファンタジーか感動ドラマにしちゃうはずですけど、この主人公は違う。「オレに毒を盛った奴ぁ一体誰だ!」と執念の素人探偵(本業・会計士)が開始されるわけです(すぐに警察に行けばいいのに…)。主人公の目が、だんだん鬼気迫る色合いを帯びていくあたりが凄まじいです。あ。いまスタッフを見たらなんと監督は…おーっと! ご存知映画の教科書『裁かるゝジャンヌ』を撮影したルドルフ・マテだ! 監督をやったら、こ、こんなピリリと辛い娯楽サスペンスを撮っちゃうだなんて…ありがたやありがたや(←なんか違う)。
8点(2004-07-12 08:10:51)(良:1票)
219.  ピンク・パンサー5/クルーゾーは二度死ぬ
セラーズの死後に作られたピンクパンサーおまけバージョン。なんというか、クルーゾー版『ムーミン谷の11月』と言ったら石が飛んでくるかな…? 実はシリーズ中で一番好き(殴)。誰もやろうと思わないような無声映画時代のギャグが頻出…とかいう言葉で不安になってる未見の皆さん。ご安心あれい! ちゃんとシリーズのファンへのサービスはある! だから下↓の方と同じアドバイスですが、ナニはなくとも上のキャスト一覧を見ないで退出するが吉(いやピーター・セラーズとは書いてないですが)。 でも一番笑ったのは、リオの裏路地で、至近距離から殺し屋にピストルで狙われた主人公が脱出したシーンだなあ。このギャグ、裸の銃シリーズが凡作に見えるくらい秀逸だった。今でもたまーに思い出し笑いする時があります。
8点(2004-07-04 07:10:20)
220.  バックドラフト
個人的に、強烈な寒気が記憶に残った映画。公開時に立川の映画館で見たんだけど、何を考えてか知らんが異常に冷房を効かせやがって寒いの何の…おかげで雪山にでも登ったような気分で鑑賞したもんです。作品が作品なんだから冷房切れよ(プンプン)。で、美味しい役が満載された映画でした。主役の二人、特にカート・ラッセルは完全にハマってた。デ・ニーロの登場も心憎い。そして中盤に登場する収監中の放火魔の演技がまた…。 だが、特撮にILMが噛んでいる時点で、映画が妙なベクトルを持ってしまっている(ま、監督の考え方なのかもしれないけど)。話の全体が、騎士物語の文法で綴られているのだ。火事場の火炎を竜と見ると(実際、バックドラフト現象はドラゴンの炎的な演出)、消防士たちは洞窟へ竜退治に赴く騎士に、手にする斧は剣に、火の特性を熟知した調査官デ・ニーロは魔術師に、と奇妙なほど演出の符合がある。 現代でトマホークを商売道具にしている職業は消防士くらいのもんだから、これは狙ってやっているのかもしれない。しれないが、シナリオが描く社会派ミステリとのギャップがどうしても埋められない。火事場を美しくエンターテインメント化した功罪がここにあるだろう。 ユニバーサルは本作のアトラクションで儲けてるんで疑問にも思ってないだろうが…ちょっと減点。
8点(2004-06-13 01:02:16)(良:1票)
071.09%
1162.48%
2223.42%
3324.97%
4456.99%
5558.54%
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713420.81%
811417.70%
98913.82%
10467.14%

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