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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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201.  浮雲(1955) 《ネタバレ》 
成瀬巳喜男の最高傑作をめぐって、様々な意見があると思う。「流れる」「乱れる」「驟雨」「稲妻」等々。 この作品も成瀬の映画だから退屈はしなかったし、面白いシーンも多いし、照明に限って言えば最強だと思う。ただ、自分は他の作品ほどこの映画に惹かれなかった。  だが、だがである。 とにかくディープな、本物の恋愛映画を見たければこの「浮雲」は外せないだろう。ドロドロになっていく男に弄ばれる女たち、女を振り回す男たち。   戦後に復員船で引き上げる顔ぶれの中に高峰秀子。一人歩き、一軒の家に辿り着く。窓ガラスにはまだ飛散防止のためのテープの跡が。  玄関で出迎える人妻の微妙な表情、部屋の奥から出てきた男と女の関係が表情で語られる。それをハッキリと捉える照明の素晴らしさ。  知り合いの男と話しながら街中を歩く。ひもじい現在と闇市、華やかな過去、現在の会話と過去の華やかな会話の対比。  異国での出会い、下着の上は布一枚、時折透けて見える下着、密林は二人の情事を隠すように拡がる、密林の口づけが現在の密室の口づけにつながる。 長年待っていた妻、命からがら逃げてきた浮気相手、心も肉体も疲れ切った二人。  ラーメンを食べるもう一人の男 暗闇で飯をむさぼるように襲い掛かる過去。   アメリカ人のナンパ、何時の間にか娼婦にまで身を堕とす、愛していた筈の男も既に過去の存在、男にバレないように複数の男たちと交流する。  蝋燭が灯す微妙な表情の変化、出て行った男を思わず追ってしまう未練。  旅館、心中、死ぬ死なない、風呂場で混浴。 「妻よ薔薇のやうに(妻よ薔薇のように)」は女同士で男を追う途上を、この映画では混浴で二人の関係を強調するために挿入される。  時計も何もかも売っぱらって金にする、店先の若くて美人な女と人目がいなくなるや肩を抱いて見つめ合う。ま た 混 浴 か  イチイチ階段を上ったり降りたりして風呂場へ、スリップ姿で男の服をチェック、スカートのチャックを引き上げる女の仕草、敗北感をさとる表情は、中々以前の情熱を自分に向けてくれない男への苛立ちでもある。  明日は右と左、思わぬ再会、ドロドロの大人の世界も子供たちには別世界、言い訳を重ねる男、女も男を振り向かせるために真実を告げる、居座る理由欲しさに子供を要求する。女ではなく女の子供にだ。産んだ方が幸せなのか不幸だったのか。 寒気がするのは子供を殺してしまった事にか、男の言うとおりになってしまった自分が悲しかったのか。どっちみち自分の子供を殺さなければならない苦しみは計り知れない。新聞に見覚えのある表情を見る衝撃。   謎の宗教、馬鹿馬鹿しさに笑いをこらえながら集金箱に眼をやる視線、火鉢で煙草を呑み油断を誘う。     後半はとにかく殺しまくる脚本。 ままごとの偽りの方が真剣で幸せそう、電報、土砂降りの雨、荷物の中にしまわれていた札束の山。  高峰秀子の浴衣姿が超いろっぽい。男の態度に泣き出してしまう、電車で一緒に逃避行、男も女のしつこさに疲れてくる。 看病で再び縮まる仲、雨の中身を寄せ合う・・・あんなに合っていた筈なのに。  何度も心配そうに頭をたれる医者、延々と雨が降り続ける空が晴れて・・・冗談でも言ってはいけない一言、見てしまった葉書、窓の扉、猛烈な嵐。  別れの化粧、いなくなってはじめてわかる存在の大きさ・・・。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-14 13:42:09)(良:1票)
202.  ロイドの化物屋敷 《ネタバレ》 
「ロイドの化物屋敷(化物退治)」。 ハロルド・ロイド主演の愉快な短編。屋敷、ホール、使用人、鳥や子豚といった動物と戯れる少女、ところ変わってテニス場、イスに座っていた女性が立つとそこにロイドが登場www唖然とするロイド。その面をしたいのは俺らだw 男とロイドによる女性の奪い合い、足をつまづかせたり髪を引っ張ったりひっぱたいたり、それを宥める女性。 分かれ道で再びめぐり合い、競争、一声であふれ出てくる使用人たち、あっという間に担ぎ上げて部屋から流されていく、机や人を飛び越えるアクロバティックさ!  意地でも自殺したいロイドの思惑は相次ぐ奇跡によって阻止される。 剣を持った男がいるわ、拳銃が落ちているわ、こめかみに銃を撃とうとするわ、迫る路面電車の前に立ち「僕は死にまシェーン」状態だわ、電車の神回避、水中自殺もできない浅さ、飛び込もうとする男を止める煙草の火を要求したり時間を聞いたりする男たち、落ちた先に船が通りかかる、車の神停車。  急に走り出して人を轢きそうになる車、本当に危ねえなーこの映画(褒め言葉)。鶏につつかれるので餌をやって自分も食べる、今度はアヒルがつついてくるので荷物でガード。いいから前見て走れ!鳥も神回避。  16分を過ぎてやっと「HAUNTED SPOOKS」らしい雰囲気に。ドタバタが楽しい。 屋敷を覆う暗闇、雷鳴、使用人たちも何か楽しそう、ガクブルの脚、脚、脚、階段を上る白い何か!震えすぎて踊っているようにしか見えない。 布をかぶった何かが一人でに動く、子供が可愛い、猫に驚かされて子供が粉入れに突っ込んでしまって真っ白に、みんな狂ったように驚いて隠れる。 点滅する電気、ちょくちょく現れる白い何か、影のシルエットが悪魔のよう、似たものどうしが驚きあう、剣を抜いて痛みでぎゃー、ロイドまでド髪天!
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:39:49)
203.  ダイナマイトどんどん 《ネタバレ》 
個人的に喜八映画で一番好きな作品。 終戦から5年後の夏。汗だくの男たちが、何かを合図に支度をすませる。トラックを待ち受け、店に隠された銃を、刀を抜き放って襲い掛かる!ジープを奪って挑発。 市場を破壊する追走劇、待ち伏せ、機銃、花火、ダイナマイトでホームランじゃあっー! ドッカーン!    ヤクザ同士の会合、組長の翻訳、市街地でおにごっこ、股間に何かを隠す、場数踏んでそうな女主人、塩まいて、指でテクテクカウンターの上を歩く仕草が可愛い。    非合法な殺し合いの場が合法な野球の場に、婦人野球(パンパン)、元野球選手の鬼コーチ、命(タマ)の取り合いから球の取り合い&金玉の潰し合い、だが体を張ってボールを受け止める命がけ。何事も本気でやれば最高の仕事にしてしまうプロフェッショナル魂。  歌で士気をあげる、本当に暴れだす、掛け声で士気をあげろ!「ダイナマイツ~ どん どん」 先攻後攻が丁で決定。  旦那と対峙、ナイフ投げ、裏では博徒、泥酔ピッチャー、ひらがなや漢字、数字が混ざる背番号、思わぬ再会、挑発しまくって真意を確かめる、指の使い方、監督の手の古傷、ピッチャーの指が示す過去、それぞれの心に刻まれた傷跡。   練習投球から試合へ、今までの仕返しにボッコボコ、ツンデレ。  「原爆ピッチャー」って不謹慎にもほどがあるわwww NGワード:指  雨の中の死闘、シャベルや鍬をとっての殴り合い、さりげなく傘をやる任侠。  野球で命の賭け合いに、敵球団のスカウト。  こしらえた着物、唐突に現れる母ちゃんの遺影、殴り込みに行く馬鹿2人・・・おい野球しろよ。 ※ご覧の映画は「ダイナマイトどんどん」です  ダイナミック不祥事!その格好で銃を持つなwww あくまで野球で蹴りをつけてやるぜという心意気。もしくは単なるご都合主義(ry   扉が思いきっりオープン、着物をそっと肩にかけ、電気を消して去っていく。肩の刺青が物語る愛情。   デッドボールの応酬、ボールを持って殴り合い、乱闘寸前、「ばかもん!」「ばけもん!」複数のルールブック、アンパイア死亡、銀次なりの償い、守備妨害。  ヌードになる必要はあるのだろうか、ベースは盾、MPもブチギレ、修羅場に慣れてきた審判。  打球が、バットが、グローブが、血潮が、ありとあらゆるものが宙を舞う大乱闘!その後に両雄が再び顔を合わせるクライマックスが良い。
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-14 13:37:32)(良:1票)
204.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
動から始まる「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」、静から始まる「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。 「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」に対してアクションは少ないが、多彩な登場人物の魅力と突然襲い掛かる恐怖はコチラの方が上かも知れない(もちろん撃ちまくる「ドーン・オブ・ザ・デッド(ゾンビ)」も大好きです)。  一本の道を走ってくる一台の車、不気味な音楽。  車は道から墓場で止まる、男と女の会話、ラジオ、ドアを開けて一人ずつ車から降りていく。不気味に拡がる木の枝、葉。  白黒の簡素さが余計に恐怖を増大させる、墓参り、雷、くもり空。   6分を過ぎた辺りから恐怖は加速する。 ゾンビのように突然現れ襲い掛かる謎の男、走る走る走る!   倒れざまに墓に頭を打ち付けられる、他に誰もいない墓場での追いかけっこ、車にこもる、女は運転の仕方を知らないか単にパニックに陥っているのか、窓を割り伸びる手。  入口が木によって塞がれる、車を捨てて全速力で駆け出す、最寄の建物を探してまた走る走る走る、密室に逃げ込む、部屋には誰もいない、不気味な剥製。  陽が落ちる外、ぞろぞろと同類が集まってくる、とっさに掴むナイフ、階段を上った先で見た絶望、扉の先で出会った希望。滴り落ちる血、遺体を幾度も引きづる事になる地獄。  ライトを割る、何度もバールを打ち付ける、突き刺す、何かに引き寄せられるように次々と家の中に入ってくる群集の恐怖、遺体は火をつける事で壁になり、ゾンビは火に弱いらしい事がアクションだけで説明される。  バリケード、電気はまだ通っている=まだ人類は生き残っているという淡い希望、家の中から武器を探す、女も恐怖に抗うための戦いを始めていく、外から入ってくる情報によって彼らの籠城戦はより深刻なものになっていく。   落ち着いて互いの事を話し合う平穏、家族の死が信じられずに泣き叫ぶ、気を失った彼女をソファに寝かせ窮屈そうなコートをはだけさせる優しさ。  ラジオを聞きながら黙々と要塞にしていく、救助を信じて灯す暖炉、予想だにしないドアの発見、ドアから見つける武器。   扉に隠されていたものの“登場”によって、警戒心がとけはじめた事を物語る。同じ人間すら信じきれない恐怖。 窓から突然現れる恐怖、撃たれたゾンビの反応が物語る彼らにとっての急所、ゾンビは何でもかんでも貪る。  非常時とはいえ自分の家をメチャクチャにされてご立腹、ラジオ→テレビ。 脱出するための作戦開始!火を投げ込み、隙をついて奪取、行き先を見守る視点。心を失ったが故に手ごわいゾンビ、心があるが故にもろい人間。 アクシデント、燃料、焼けただれた遺体からすら肉を探して食べる、狂気も正気もないあるのはただ「食う」という本能。  電気が消える事で外との繋がりが絶たれた事を物語る、燃え尽きた遺体、極限状態で破滅へと向かっていく人間たち。自分の命欲しさ故に。   かぎ爪という人として扱われない衝撃的な結末。写真と火葬が語るのみ・・・。 
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:35:33)(良:1票)
205.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 
「深夜の銃声」または「偽りの結婚」の題でも知られるフィルム・ノワールロマンス。 カーティスの最高傑作は「カサブランカ」なんて退屈なメロドラマじゃない。 高密度でフルスピードの本作こそ、そしてジョーン・クロフォードにとっても最高の1本! これが本当にあの臭い映画を監督した人間が撮った映画なのだろうか。信じられないくらい面白いのである。何故こんな傑作が日本ではVHSどころかDVDもまともな形でリリースされていないのだ!これほど頭にくる事はないぞ!  まず波と共に現れ波にさらわれていくオープニングクレジットからして面白い。  この映画は鏡の映画だ。 年頃の娘が見つめる鏡、下から女の表情を鏡のように映すもの、弾痕が刻まれる鏡、遊んだ後に結ばれた髪をほどく女を映す鏡。   摩天楼、銃撃からはじまるファースト・シーンの衝撃!女の名前を一言もらす最期、鏡に刻まれた弾痕。 走り去る車、波止場、橋の上を歩く女の悲しき表情、ミンクのコートは遠出を予定している証。  手すりを叩く音、窓を叩いて女を呼び止める男。   机の下に放置される男、乾杯、男のコップを叩き落として口づけをことわる、、螺旋階段、ドアを閉めて男を密室に閉じ込め“擦り付ける”、倒れた電燈によって発見される遺体、自ら電話線すら絶ってしまう。    実に鮮やかな、見事なスタートダッシュから始まった12分間。  そこから警察署でめぐりあう知り合い、取り調べ、焦り 新たな男の登場と動揺。    20分を境に始まるミルドレッドの回想。  初っ端から険悪な雰囲気、子供たちとのやり取り、写真、引き出しにしまわれた凶器。  肉欲を求める野蛮な訪問者、ローブの紐をやらしい手つきで触ったり引っ張る素振り。女はそれを嫌そうな表情で払いのける。口づけ、肩を撫で回す。    二階には幼い娘と年頃の娘が二人、娘の尻を優しく叩く時の愛情とは大違い。     娘たちのために仕事につく母親の姿、着替える仕草、胸元がちょっとはだけているだけなのにあんなにも色っぽい。クロフォードの素晴らしい演技。  「風と共に去りぬ」やジョージ・キューカーの「ザ・ウィメン」でも見たことのあるような黒人の女中(バタフライ・マックイーン(Butterfly Mcqueen)の方。ハティ・マクダニエルじゃなくて)。   スカートで膝を隠す一瞬、何度も交わされる口づけ、家族がいない間の情事、水着で他の男と泳ぐ、謎の音、男が見てしまった女の帰り際。  浮気の時に起こった悲劇、メーターが物語る命が消える瞬間。  女は悲しみを忘れるために前にも増して働く、プレゼントをゴミ箱に捨ててしまう野蛮人、注文で敷き詰められた回転からメモがなくなりお開き、見てしまったカウンターでの口づけ、何度も叩き落とされるグラス。   30分後には再び現代に戻ってくる。 また語られる過去、車、娘もどんどん破滅へと向かって歩みを加速させる、狂っていく娘の活き活きとした表情よ!  黒衣、女が破り捨てれば娘が頬をひっぱたく、亀裂の入る瞬間、列車、舞台の上で踊る目を疑う光景。  幼い娘の写真、一時の安息、誕生パーティーの裏で行われる蠢く黒い影、電話と決意・裏切りへの銃撃。家族を救うための身代わり、受話器の前でのやり取り・・・何もかも素晴らしい。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-07-14 13:31:23)(良:1票)
206.  新米雑役夫 《ネタバレ》 
「新米雑役夫(新米用務員)」。 掃除を頼まれ箒を持ってエレベーターに乗ろうとするが、先に行かれてしまいしかたなく階段をトボトボと上る。 ゴミ箱をひっくり返して散らかしてしまったり、落ちた本をゴミと間違えて入れてしまったり。 箒で尻を撫でる電話交換手への新手のセクハラ、窓に座ろうとしてあやうく落ちかける、窓の下に広がる高さ、上から降りてくる窓に落とされかける。 雑巾を絞れば女性にかかり、バケツを落とせばおっさんにぶっかかる。怒りにきたおっさんの剣幕にモップでコケる、バケツで転ぶ。  人がいない間に金庫の書類を探す、閉められたカーテン、物陰で現場を目撃してしまう、口を封じようと襲いかかる、抜かれる拳銃。 ふいに部屋に入ってきてケツを蹴り、杖で銃を払い、股の下から銃をつきつける!発砲した弾丸が下の警官に知らせる。珍しく?綺麗な終わり方。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 13:28:30)
207.  ビッグ・パレード 《ネタバレ》 
反戦のメッセージを込めた戦争映画の傑作であり、前半1時間はヴィダーらしいメロドラマとして面白おかしく過ぎていく。後半1時間は戦場における殺し合いへ。 ラオール・ウォルシュの「栄光」も女を取り合う軽妙な光景から殺伐とした戦争の光景へと切り替わっていた。  町、工場、溶鉱炉、ビルの建設現場。この何気ない風景が後の「摩天楼」へ、髭を剃る黒人の姿が「ハレルヤ」へと繋がっていくのだろうか。    煙を噴き上げる音、煙、煙、煙の噴出と新聞が知らせる戦争の足音。玄関先での別れの挨拶、戦場に行く人々を見送るパレードはお祭り騒ぎ。  入隊したての行進が戦場への行進へ。行進を見送る群衆、油断すればすぐ泥の中、穴掘り、穴倉作り、婦人とのやり取り、女目当てでやる気UPは良いが上官に土をブチまける勢いはやりすぎw  送られてきた食い物、雑にちぎりながら仲良く食べ合う、川で洗濯子供たちと空の樽を追いかけて遊ぶ、樽をかぶっての運命の出会い。  穴から覗いて挨拶、ほどけたゲートルが語るもの、川から水を組んでシャワーにデート、次々とナンパしにくる仲間たちは食事のラッパの音で慌てて戻っていく。そりゃあんな魅力的な谷間の女性(ry   チューインガム、兵士たちの余興、酔っ払い、靴を磨いていたら藁が山のように落ちてくるシーンに爆笑、サーベルを振り回す元気な爺さん。  酒蔵に侵入して飲みまくる仲間、揉みくちゃ、犯人に間違えられ大慌て、酔いすぎて船で逃げるフリ。そこは土の上だぜ酔っ払いども、大騒動に乗じて逃げる若き恋人たち。   故郷からの手紙、写真、間違えて上官を蹴ってしまうやり取り、階級章、違う手紙、お礼言われちゃったよ・・・。    ジープが知らせる風雲急・蝋燭を消し町の人々との別れを惜しみながら去っていく、群衆が流れていく最後の口づけ。  「必ず生きて帰る!忘れないよ!」足にしがみついてまで惜しむ、鎖、靴や時計を投げ残す、ジープが延々と連なるスペクタクル!   いよいよ戦場だ。 前線へ!前線へ!軍用機たちが空を駆け抜ける!  行進中の兵士たちに襲い掛かる機銃掃射、地上からも応戦、負傷して脱落できた奴らはまだ幸せさ。   銃剣をつけて敵が待ち構えるであろう森を突き進む。道を駆け抜けるバイク、地面に転がる死体、後ろで静かに散っていく仲間たち、狙撃の恐怖。   機関銃が淡々と殺していく、手榴弾、砲弾が飛び交い森が消し飛んだ最前線、ガスの気配に気づいて急いでガスマスクをするスリル。  戦車、見えてきた塹壕、夜中に複葉機が飛ぶ恐怖、挑発、砲撃に怯えながら塹壕で食事をする最後の団欒、銃剣で的を作って的当て、“死番”。  照明弾が照らす黒い影、奇襲、仲間の死が恐怖を打ち消す、死への直行、絶叫、暗闇で表情を見て殺せなくなる、灯りが見えないように煙草の火をつける。   闇の中への突撃、砲弾の雨、激しい閃光・・・まるで悪夢から目が覚めるように目覚める。蠅が顔を覆い、隣には怪我に苦しむ戦友たち。   町を去っていく人々、廃墟になった市街地で叫んでも返ってこない愛する人の声、そこになだれ込む軍隊、砲撃、過去の思い出。  畑仕事、残していったチューインガム・・・残った思いでもやがて口の中に溶けて消えていく。山の上に現れた人影、胸のざわめきで思わず駆け出す姿・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-14 13:26:53)(良:1票)
208.  水の話 《ネタバレ》 
トリュフォーとゴダールが組んでマック・セネットに捧げた作品・・・という事をナレーションで御丁寧に説明する作品。 のりのりの音楽とともに始まる市街を流れる川、洪水、水の中を突き進む人々。まるでジャン・ルノワールの映画のように水、水、水が広がる。 橋を渡して歩く、空からの空撮で洪水の規模を幾度も見せ付ける、音楽もドンコドンドコ盛り上げる。 まるで幼い女の子のように長靴をはいてちゃぷちゃぷ歩いていく。お次は船に乗って「冒険の旅」へ。ヒッチハイク、林道もみずびたし、ぬかるみ、水にタイヤをとられた進めなくなる。 ジャン=ポール・ベルモンド(CV:ジャン=リュック・ゴダール)。 突っ走る車、プールも道を見分けがつかない状態、車がダメなら脚で土地を歩き駆け抜けそして情事に突入! 仕 事 に 行 け  行くまでの過程を楽しみはじめる二人、おっかけっこ、ダンス。  この頃から「昔はよかった」なんて言ってたのか。いつの時代も変わらないね。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 13:22:54)
209.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
ウディ・アレンが「探偵学入門」へのオマージュを捧げた作品。 俺は「カメレオンマン」や「ハンナとその姉妹」ほど惹かれなかったが、日本ではこの作品が最も評価されているウディ・アレンの映画だそうだ。 そんなに良いですかねえ。「探偵学入門」の独創的な面白さには届いていないと思うのだけど。俺が単にキートンのアクション映画の方が退屈しなかったというだけなのかも知れないが。  逆にアメリカでは「アニー・ホール」とかあの辺が絶賛されているそうだ。俺には理解できない。「カメレオンマン」とかが好きな俺はそれが悔しくてしょうがない。ミア・ファローが好きだから余計に(「ハンナとその姉妹」もミア目当てで見たらハマッてしまったクチなんです)。  映画館のポスターを見つめる女性、夢見心地の彼女を空き缶の音が現実に引き戻す。現実はろくでもない夫との生活。職場でも失敗ばかり、映画だけが楽しみだ。  人々がにぎわう映画館お雰囲気が良い。 「カイロの紫のバラ」というトーキー映画。どうでもいいけど胸揺れすぎだろwwwジーン・ハーロウだってここまでデカくねえぞww  黒人のメイド、エジプトのカイロの遺跡?を探検、ホールで美しい歌声を響かせる女性。好きな映画は何度でも見に行ってしまうものだ。    益々現実の夫に失望、髪型がそっくりの同僚、辛いことがあっても映画が忘れさせてくれる。  そんなある日、映画の人物が突然話しかけてくる。映画から人間が飛び出し、次元の壁を通り抜ける!共演者たちと観客もおまえら普通に会話すんなよwww  「探偵学入門」ではキートンみずからスクリーンに飛び込んでしまう。夢が本物となって目の前に現れるファンタジックな展開。  映画の中のヒーローと楽しい一時を過ごす、廃墟で語り合う、影の表現、ホールでゆったりと踊る、レストランで食事、車に乗ってドライブ(未遂)、教会に行ったり、教会で殴り合ったり、キスまでしちゃって彼女も映画の中に連れて行ってしまうのだから歌姫も気絶。共演者「早く戻れ(憤慨)」 人物が戻ってくるまでソファでくつろいだり酒をのんだりと過ごす共演者たち。取材陣まで押し掛け観客も律儀に待ち続ける。その前にフィルムが焼けちまうぞ・・・w   本物の役者と映画の中でしか生きられないキャラクターの出会い。ミアは本物とも楽器を弾いたり歌ったりと夢の一時。だが同じ人間でも中身はまったく違う。彼女にとっては浮気してしまったようなものだろうか。同じ人間とした事なのに罪悪感が伴ってしまう。   夫からの卒業、そして夢との卒業。彼女が最後に見る映画はフレッド・アステア主演の「トップ・ハット」なのだから。
[DVD(字幕)] 8点(2015-07-14 13:20:43)(良:1票)
210.  番場の忠太郎 瞼の母 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  長谷川伸もの。「番場の忠太郎 瞼の母」。瞼(まぶた)の母。 宿場町、鶏、娘の髪を結ぶ母親、息子を思い出し泣き出す母親、夜、三度笠で男を担いで歩く男、障子を叩き去っていく。 水車→風車、転がる鞠を拾う追ってたち、手紙、手紙を持った瞬間に火花が散るような演出、男は手紙の内容を知っている、負傷した片腕。 刀を持って戦いに行こうとする男、それを必死に止める妹、男の勢いを止める母親の涙。  犬と戯れようとする男、半次の知り合いだという忠太郎の登場。 襖の影でじっと耐える半次の葛藤、脚の動きだけで距離感を感じさせる追跡、徐々に速度が速くなる。  抜刀直前、斬りかかり即座に逃げ去る回想、家族を振り払い切りかかる・・・その時に「こっちを向けい!」 16分して戦闘開始、土手を駆け、刀が宙を舞い、刃を投擲!背中に突き刺さる刃。 「ボケ茄子」「グレた」・・・昔からこういう言葉があったんだねえ。  忠太郎も母親を探し求めて放浪する。   字が分からないのでお母さんに手を握ってもらって書こうとする、ダチの親とはいえ母親のぬくもりで震える表情。  脚は道から道をかけ続ける、街中の賑わいを映すショット。  三味線を弾く眼の見えない老婆、料亭にたむろするヤクザたち、駆けだす女性にちょっかいを出す、逃げた先での出会い、切れる鼻緒。  しかし活弁トーキー版のオッサンのナレーションが面白い。山田五十鈴は役者の名前だwww  夜鷹のおばさん、小さな墓の前で夜鷹の事情を目撃する、墓参り、節分、料亭、何処の誰だろうが一度は面と向かって話し合う心意気、取り敢えずその刀をしまえ。  忠太郎という名前にキセルを落とす、母はわざと冷たくする、母のための大金、その裏で男を引っ捕まえようと準備にかかる男衆、長年求めた者から聞きたくなかった言葉ばかりで打ちのめされる。  息子ではなくヤクザ者として去っていく悲しき表情。男衆は慌てて身を引き、忠太郎は吹雪く闇夜を足早に去っていく。  道で待ち伏せる男二人、風が吹き荒れる中で対峙、それを必死に追う籠と提灯、仰々しい構えで一刀のもとに斬り捨てる、家族の呼び声をむしろの影で聞く辛さ。 抜き放った瞬間に男を斬り倒す、両の瞼を閉じる、思い出の中の母、現実の母、打ち捨てられた長ドス、抱き合う家族。
[映画館(邦画)] 8点(2015-07-14 13:18:12)
211.  ハナ子さん 《ネタバレ》 
フィルムセンターで鑑賞。  序盤は「撃ちてし止まむ」の文字が戦中を感じさせるのみ。 東宝舞踊隊による円を組んでの華やかな演目、上からの視点で花のように目まぐるしく運動を続けるのはバーレスク映画の流れを組むリズミカルな演出。 そして浮かぶ「ハナコサン」の文字。  ミュージカルコメディの要領で家族紹介、当時連載していた漫画が原作だから余計にコミカルだ。  軍歌や戦時歌謡が面白おかしく替え歌にされてしまう。 漫画?戦意高揚?銃後?隣組?こんな楽しい映画じゃ戦争で人殺す気なくなるわwww焦げた釜を持ってきて指示を仰ぐシーンに爆笑。  犬をしっし、子供たちの合唱、道を自転車で駆け抜けながら歌いながら空襲前の街並みを駆け抜ける、馬の調教場、夫婦でブランコならぬ懸垂でブラブラ、リンゴを投げてキャッキャッウフフ。これ本当に戦前ですか。冗談キツイですぜ(褒め言葉)。   マキノが撮っていた戦争映画の数々も良い意味で馬鹿馬鹿しいのが多い。戦時下でも明るい映画で少しでも人々を元気にしてやりたい。それがマキノの心意気だった。 ただ、俺はこの映画のラスト10分に暗い戦争の足音を感じてならない。   ススキが茂る原っぱで歌う、家族の団欒、人々が見守る二人のデュエット、電話の会話、「おめでとう~」  早く結婚させたい家族、ラジオ体操、人々が行き交う、まだスカートや洋服の人も多かった光景が興味深い。  お灸責めで攻撃(物理)!クソワロタwwwお父さん涙目。 音楽に合わせてムシャムシャ食べるのは「弥次喜多道中記」や「鴛鴦歌合戦」から続く見事さ。時計までwww音楽に合わせて料理、体操の要領で掃除と楽しくてしょうがない。  轟夕起子の「ねーねー」が何か可愛い。顔を覆って嬉しそうに「きゃっ!」 「限りなき前進」の頃と比べると可憐というほどにはいかないが、このはつらつとした演技!「姿三四郎」とはまるで別人だ。流石正博の嫁。「續清水港(清水港代参夢道中)」の夕起子も良かった。若き高峰秀子も可憐です。  帰った矢先にかくれんぼと出くわす、謎貯金システム、「赤ちゃん生まれないの?」「まーだだよ」「おかしいわ」この流れ最高。ごっちゃ混ぜの面白さ。  犬をどかっと置く感じが良い、みんなでハイキング、この後嫌でも痩せたであろうデブの父さん、「グー」じゃねえよwww  再び舞踊隊の華麗な演目、そして衣装とはいえこの時期に短いスカートで踊りまくる(要はパンチラ)シーンがあるなんてビックリ。何度でも言ってやるぞ戦前なんて信じらんねえ!   そして50分経ってようやく国民服姿に。いよいよ戦争の足音が近づく。月月火水木金金、この頃は三国同盟って言ったら楽観視できただろうね、防火訓練が愉快な音楽とともに馬鹿馬鹿しく描かれるのは後の惨状を考えるとあまりに滑稽に見える。  高射砲、空襲、おもちゃの戦車、ラスト10分の暗さ。遠くで爆音が響き笑うに笑えなくなる。人々が大勢死に行くであろうご時世に赤ん坊の誕生をみんなで祝うなんて何かせつない。  さっきの舞踏隊が階段を降りたり舞台を行進していく。いよいよ出兵か。兵隊たちのパレード。 飛行機の模型、まるで旅行に出るかのように明るく見送るしかない、おかめのお面。検閲が入る前は面をつけた彼女が泣くというシーンだったとか(仮面の下の涙をぬぐえ)。検閲官の悪魔めがっ!!!!! この事に関してはマキノの自伝「映画渡世 地の巻」が詳しいです。 空を飛んでいく飛行機たち、戦場に行く前の最後の団欒、息子と戯れるシーンの静けさ。  でんぐり返しであっかんべえ、仮面を頭の後ろにつけて笑顔で踊る姿も何処か悲しい、音楽も悲しげに響く、ススキの茂る中に消えていく人々・・・。
[映画館(邦画)] 9点(2015-07-14 13:15:41)
212.  婦系図(1942) 《ネタバレ》 
「婦系圖(婦系図)」。フィルムセンターで鑑賞。 マキノ正博(雅弘)の失われたメロドラマの傑作「白蘭の饗宴」。それに続くとされる恋愛映画の逸品。 文芸映画でセリフもやたら多いが、流石マキノの演出は退屈させてくれず総集編でもところどころの演出に恐れ入る。とにかく男と女の情景の凄味!そして謎のスパイ映画要素。 古川碌波と長谷川一夫の共演は「家光と彦左」も面白かった。  夜空の花火、祭りのにぎわい、響く花火の音、料理屋。 劇中で繰り返される火のイメージ。線香花火、煙草の火。  冒頭の軽快な会話、祭りの席で話す髭面の精悍な男。 男どもにからまれる女、腕を少し捻っただけで「あ痛い!」と本音がポロリ、荒々しさを見せる女の知り合いらしき。 一度は受け取るが、知り合いから慰めの金はいらない、自分で奪ってやる!と走り出す。  祭りでにぎわう町、仲間がリキに標的を教え、ゆっくりと近づき、「とん」、とぶつかり「気をつけろい!」と去ろうとしたら腕を掴んで捕縛。すった手をそのまま差し出させて「払っとけ」。男は一瞬解放されたようで、でっちの小僧さんと勘違いされて逃げるに逃げられないのだ。   植木を持ってきた駄賃の“お礼”に、逃げ場を失った男をあえて弟子にしてしまう、荒んだ心を優しく迎え入れてしまう、財布じゃなくて味噌でもすれとススメてしまう豪快さ。 奥さんは普通の客だと思って優しく御持て成し、男の告白、窓の手すりを掴んで煮るなり焼くなり好きにしやがれという諦めの態度。 事情が判明しても夫が連れてきた男なら大丈夫だろうと飯をススめる。飯を受け取り承知。  しかしところどころセリフのやり取りが面白い 「やい、殴るぞ」「逃げるわよ」の返し、5年前の出来事をまるで赤の他人のように語るやり取り、「未来で会え 未来で会ったら一生懸命縋り付いて離れるな 俺のような邪魔者に入られないように用心しろ」等々。  いつの間にか5年、料亭での思わぬ再会、襖で顔を隠す演出、手を掴んでうなだれ男泣き?する二人。 電灯を消した中で燃え尽きる線香花火の儚き一瞬の輝き、部屋に散乱したゴミが仕事の長さを物語る。  てい(鯛)の差し入れ、髪をリボンで結んだ女、結婚を隠さなければならない苦しみ、湯気の出る風呂場が物語る伏線。これらを盛り上げるであろうシーンがいくつかカットされていて飛び飛びなのが惜しい。 綺麗になった部屋、風呂をわかしていたのは・・・「もういい」。 散らかしておく方も悪いし、勝手に捨ててしまうのも悪い。昨日燃やして見せてくれた線香花火の印象の方が強い彼女。  奥さんがこしらえた座布団、弟分だった男にかつての自分を見て思わず殴ってしまう。 新しいタンスと茶碗、月夜、花が咲き誇る木々、散歩道での“おねだり”、蕎麦屋で食べる最初で最後の外食。この蕎麦屋は再び別れの前に過ごす場所として登場する。 黙って聞いていた男が「ぬうっ」と出てくる後姿よ・・・!  別れの列車、人込みを掻き分けて追うショットが繰り返される事でスピード感を出す。  後半42分の追い込み。 いつも芸者にうつつを抜かす男に酔って一言言いに行く男気、黙ってそれを聞き続ける男の真意とは。 髪結い、忘れられない男の花火を胸元に、闇夜につける線香花火、鏡に見る表情への反応が何とも言えない、それを見て髪結いを手伝う“母親”の表情、無意識の親孝行。  あの椅子に座って別れた日と男を思いだしもがき苦しむ、空風が悲しげに吹きすさぶ演出が凄い。  会話だけで語られ迫りくる病はちょっと違和感。倒れる描写もないし、なんかまだ元気に見えるんだよなあ。弱々しい声で喋るシーンは凄かったけどさ。  「行ってやれよ!」と叫びたくなるラスト。ふと聞こえてくる女の声、男の後ろでつぶやく幻、振り返ってももう・・・室内の電気も消える、かつて花を一緒に見た散歩道・・・。
[映画館(邦画)] 9点(2015-07-12 14:04:39)
213.   《ネタバレ》 
「簪(かんざし)」。題名にもそう書いてあるのに肝心の“簪”はまったく映されない。 「按摩と女」を思い出す部分が多い。林道を歩くシーンからはじまりとにかくテンポが良いし面白い。夏に見たくなる傑作だ。特にスリリングなリハビリ風景は見物だ。  芸人?たちがズンチャカズンチャカ賑やかに歩いてくる。ロングショットで捉える視線、日差しが照りつける真夏の暑さ、林道の日陰の涼しそうな様子。  宿についてマッサージをしてくれる按摩目当てで人々もお祭り騒ぎ。きゃっきゃっきゃっきゃとうるせえww そういえば冒頭で語り合う二人というのも「按摩と女」だった。あの映画は按摩の男が二人、この映画は普通の女性が二人で、按摩は完全な脇役だ。 せっかく静かに本を読んでたのに騒ぎで怒るお父さん。 他の人は「賑やか」「五月蠅い」「景気が良い」「派手」と様々な捉え方、このやり取りを何回もやるのが笑える。「また怒られちゃった」    何度もかけられる電話、届く手紙、リハビリ風景。  フロントへの電話、女たちに独占されてやって来ない按摩さん、男どもの風呂浴びは水浴びのようにも見える(しかし野郎の入浴シーンばっかりだ)、「情緒が足の裏に突き刺さる」怪我。 「退屈しのぎに喋りたい」とはまさにこの映画を表すような一言。何かと五月蠅い父親。  簪の主から手紙、パーマに簪とかww まだ見ぬ女性に期待を寄せる男ども、なんつーデリカシーの欠片もない会話。よくもまあ奥さんがいる前でこんな会話をできるなコイツらわ。しかも美人の嫁の前で。 情緒的イリュージョンw  笠智衆と田中絹代の演技が本当に良い。嫌味ったらしくないというか、くどくないというか。清水宏の映画は良いなあ。「みかえりの塔」の笠智衆も良かった。  なんだか見合いでもさせるような雰囲気、足をひきずる男を手を取ってエスコート、服の違いで時間の経過を伝える。 リハビリに付き合う女性、木を目指す男を傘をさして不安そうに見守る女の視点。子供たちの声援、音楽までムードを引き立て無駄にサスペンスフル。松葉杖を置くのはどれくらい歩けたかを一目で判断するため。  子供たちの嫉妬が可愛い。木登りで距離を置く子供たちの主張をしっかり聞いてやるのが良い。男の姿がないので杖はしっかりと渡したらしい。 静かに囲碁をたしなむ、絶対に来ない按摩、幾度も書かれる手紙、いびきの競争とか五月蠅いことこの上ない。それを応援すんなww  「いびきかぁ五月蠅いなあ」 おまえが言うな。  朝の河原で体操、洗濯、水浴び、リハビリ再び。怪我でまだまっすぐに出来ないが、力強く大地を踏みしめる脚!   後半は戦争の足音が近づいているのが会話で語られる。 髪を下して涼む姿がちょっと色っポイ。こうして見るとおばさんてほど老けてないんだよね。まだ若々しさのある女性って感じ。  傘をさして原っぱで会話、日陰、「日に焼けた」と差し出す腕、何処か不安げな横顔は彼女を追うという男がここに来ないかどうか感じているのだろうか。 河に駆けられたまがりくねる橋、おじさんのリハビリを実況、意外と速い流れの上で必死にバランスを取る、見守る方も駆け寄りたいのを我慢する。どうしてこんなにもスリリングなリハビリ描写なんだろう。  男を女がおぶる力持ち、不安定な岩場を歩く脚。余計にスリリングだ。按摩にまで実況せんでいい! 隣の部屋では別の女性がすやすや寝ている、待ちくたびれた友人の艶かしさ。どうして着物はこんなに色っポイんだろう。  洗濯ものを取り込みかがんで泣き出してしまう、涙は顔を洗って拭う、冒頭の騒いでた娘たちが隣の部屋にまで来て「うるさあいっ!」お父さんのいびきもうるさあいっ!! 小声で「えい」と可愛い脅かし方。  クライマックスを飾る階段でのリハビリ。時間経過、一段一段確実に上っていく脚、大分まっすぐになってきた、リハビリの終わりは彼女との時間の終わりでもある。階段を一緒に上らず見守ってしまった心の距離。  一人寂しく男がリハビリをした道を歩いていく後姿・・・。 
[DVD(邦画)] 9点(2015-07-12 14:01:53)
214.  家光と彦左 《ネタバレ》 
「長谷川・ロッパの家光と彦左」。フィルムセンターで鑑賞。 古川碌波と長谷川一夫の共演。この二人は「婦系圖(婦系図)」でも共演していたね。 いきなり将軍?を抱えて歩く彦左、時は戦国時代、爆発の中を人馬が駆け抜ける文字通りのスタートダッシュの素晴らしさ!  打ち捨てられた旗、ところ変わって江戸の城。 元気に遊ぶ子供たち、天高く舞う鞠、転んで泣いた友を励ます姿を見て「これが将軍争いをするのか」とでも思ったか哀しげな表情を見せる母親。 将軍争いの議論中の場にドカドカと現れ堅苦しさをブッ壊すように座る彦左。  目の前で切腹をしようと着物を脱ぎ始める。皮肉たっぷりの会話が面白い。振り返って遺言、命がけの進言、さっきまで生きるか死ぬだったのにすぐに馬になって遊びに付き合う切り替えの早さ!  時は流れて成長した家光。 田園風景の穏やかさと正反対な室内の暗さと重苦しさ、まさかの伊達正宗、かっぷくの良い正宗さんですこと。 彦左が現れると共に急に明るくなる室内。まるで灯でも灯したように。乱世の暴れ者は太平時の骨董品。上様も名君すぎて何か味気ない。  しばらくはこの静寂が続く。骨董品として静かに余生を過ごそうとしていた彦左のように。 本多忠勝をはじめ、平和になった時代に静かに亡くなっていった猛将も多かった。彦左もまたその一人に過ぎないのだろう。 仕事中の若を見守り「自分は邪魔かな」とでも言うように静かに去っていく孤独さが背中から滲み出る。 まるで孫の祖父と孫の母親のように茶を愉しみ話し合う。  30分を過ぎた辺りから物語は再び加速していく。ダダをこねた子供のように若に迫る爺や、それに「馬鹿!バカ!ばか!」と死んで欲しくないからこその「ばか」呼ばわり。爺やと若殿様のやり取りに和む。  そして爺やを元気にするための「茶番劇」のはじまりはじまり。 大広場の壇上で華麗な舞踊を披露する余興、身分なぞ知らんという具合に一緒に踊るのが良い。  ひょっとこお面を付けて踊り明かす、爺やも呆れながら踊りに巻き込まれ元気になっていく。お茶目な殿様は舌をだしながら「文武の道に励むであろう(嘘乙)」 襖の話を立ち聞きして彦左も段々と乗り気に。抜刀して手打ちという場面で「御随意に」の一言で本気じゃない事が解る表情をする。  斬られそうになる人涙目。コイツらゲラゲラ笑いやがってwwwwww   日光にお参りからは結構シリアスに。 闇夜に燃える提灯、嬉しくて嬉しくてしょうがない爺や。 そこに反旗をうかがう男たちの将軍争いは続く。彼らの「馬鹿」は家光たちの「ばか」とはちょっと違う、灯りでかろうじて照らせるような途方もない闇。それが広がる空間が素晴らしい。  地獄へお供いたします、闇の中に見えてくる希望の光。  行列に狙いをつけるように聳える城、日光での舞踊、合図と共に閉まってしまう重厚な扉、光も遮断する密室に変わる。もう本当に完全な暗闇で何が起きているのか解らない恐怖、かろうじて照らし出す強調する蝋燭の閃光。   これも「例のアレ」だと思ってしまう彦左。命がけの強硬手段も「良い芝居するなあ」くらいにしか思ってないんだろうな・・・w 本当にヤバイと思っている人と本気で芝居だと思っている人の温度差。武者姿の舞はブラフ、ギシギシと音を立てる屋根の不気味さ、蝋燭切ったら大爆破! 国を裏切れないが主君も裏切れない苦しみ。  思い出す戦国の修羅場、冒頭とは打って変わって今度は爺やの手を引いて歩く将軍。立派な真の名君へとなっていた。 「許しも待たず死ぬでないぞ」、田園に消えていく行列。
[映画館(邦画)] 9点(2015-07-12 13:57:50)
215.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
「だだっ広い砂漠をハイテンションで走ってブッ殺し合う」という光景が99%続くというだけでも最高に頭がおかしい(褒め言葉)のに、残り1%に凝縮されたドラマの輝きも眩しいったらありゃしない。  砂漠に一台の車、その横で黄昏る毛むくじゃらの男。男は何かに気付いたのか荷物を放り込んで乗り込み、砂漠を走り出す。口にサソリをほおばりながら!  それを追う雲霞の如きヒャッハーども、ひっくり返った車から這い出る男の脳裏に浮かぶ光景、女が車に追われる記憶がフラッシュバックし、男は狩りの得物として連行されていく。 髪を刈られ、ゴテゴテしたマスクを付けられ、肉体に文字を刻まれ、焼き鏝で“奴隷”にされかけ、ふざけんなと言わんばかりに野郎どもをブッ飛ばし、観客もこのワケの解らない状況からマックスが脱出してくれる事を祈りながら見届けるしかないのである。断崖に刻まれた巨大な髑髏の印を・・・。  ヒャッハーどもが巣食う砦を支配する狂気120%の王国。 頭をスキンヘッドにして濃いアイシャドウ(メイクは頭の上まで染まる者も)をほどこし、異様に白い肌をした兵士たち。それを指揮する者は髪もフサフサで格好も自由自在。彼らは強烈な個性によって同一化した集団を統率する。 その上に立つイモータン・ジョーはもっと異様だ。全身真っ白で長髪、腐敗していく肉体を隠すようにガラスの鎧と勲章、マスクで着飾る。彼等は肉体的障害を克服するために自らを狂気で駆り立てる。 砦の中ももの凄い。人間の母乳を集める搾乳機械、地下農園、戦車やバギーといった重武装のイカつい車両が走り回り、人々を狂気に駆り立てる太鼓やロックといった激しい音楽が響き、叫び続ける。  最下層で生きる人々は泥だらけになり、髑髏のマークを象った司令塔から一時的に放出される滝のような水でどうにか生きているようだ。一度の放出量は多いが、人々にとっては奪い合わなければならない一滴一滴。 マックスから抜かれる血も、マックスにとっては生きるか死ぬかの量だが、それを求める人々にはあまりに少ない量なのだろう。 首の後ろやトラックにまでびっしり刻まれた髑髏のマーク。たとえくたばって骨だけになっても彼等はこのマークから逃れられない。冗談じゃねえっ、何がなんでも生きてやらあ、逃げらんねえならソイツをブッ殺して自由をブン奪ってやらあっ!  大砂漠で幾度も繰り返される凄まじいカーチェイス、クラッシュ、大爆発! ジョン・フォードの「駅馬車」を思い出す爆走とアクロバティックさ、バスター・キートンの「セブン・チャンス」や「探偵学入門」を思い出すような素晴らしきクレイジー振り。 自然の渓谷は巨大な要塞や迷路となり、人々は音楽を大音量で奏で、顔にメイクを施して己を奮い立たせる。恐怖をブッ殺すために! ブービートラップ、一瞬の判断、夥しい車両が連なるスペクタクル、ハリネズミのような車や馬のように飛び跳ねるバイク、車両はぐしゃぐしゃに砕け散り、人間は投げ出され叩きつけられ落ちまくり、チェーンソーを振り回し、槍をブッ刺し、火炎放射器や火炎瓶や銃弾をブッ放しまくり、殴り蹴り合い、棒高跳びみたいな「何か」で飛び乗って大暴れ、散々殺りたい放題殺って、超巨大な砂嵐に大激突してくたばりまくる。 馬鹿デカい「エンブレム」と化したマックスは観客と一緒にひたすら地獄を見守りチャンスを待ち続ける。いや、ニュークスに選ばれた時点でマックスの運命は決まっていたのだろう。  砂嵐がマックスたちに与えるチャンスと出会いと殴り合い。謎の花嫁軍団、スポーツ刈りのイカしたトラックの姉ちゃん、ニュークスのように何処か憎めないヒャッハー軍団との楽しい楽しい鬼ごっこ、マックスたちを助けるバイクの似合う黒髪姉ちゃんと婆ちゃんズ。  遠くに見える都市の光景が、マックスたちに追っ手が迫る緊張を持続させる。 彼女たちを縛っていた奴隷の紋章を足蹴にし、鎖を何度も切断し、マスクを投げ捨て、車の中に隠してあった武器を片っ端から集めて撃って刺してブッ放す。奴隷から“人間”になるために。 一人の女性を、一人の赤ん坊の命を巡って繰り広げられる利害の一致と団結、殺し合い。体を張って自ら盾となる命懸けの戦い。 女たちは仲間や子供のために男どもをぶん殴り、子供をあやす母親のように励ます。男たちもそれに応えて命を賭ける。  星空が闇夜を青く染める不気味さ、雨でぬかるんだ大地が何度もトラックを止めるスリル、「007 ロシアより愛をこめて」を思い出す肩越しの狙撃、霧の向こうの爆発が物語る決着。砂漠の海原に消えていく叫び、星空と流れ星が戦士たちの心を潤す。  最後の最後までこの映画は全力で駆け続け、再び戻ってくる。そして男はまたあてのない荒野へと去っていく・・・。
[映画館(字幕)] 9点(2015-07-06 23:58:49)(良:1票)
216.  ブルジョワジーの秘かな愉しみ 《ネタバレ》 
コメディ版「皆殺しの天使」。   パーティーに招かれる人々。彼らはひたすら「食事をするため」にいつまでも歩き続ける。  ただ「食う」というために諦めず延々と歩いて歩いて歩き続けるのである。それが面白い。 何処までも馬鹿馬鹿しいやり取りも楽しい。時折出てくる血まみれの人間すらギャグに見えてくる。   招いておいて性交初めてとんずら、 銃を隠し持つ変態紳士(ボディチェックは確実におっぱいも触る)、 鳴り響く謎の爆音、 とりあえず射殺、 とりあえず皆殺し、 そして夢オチのオンパレード・・・本当にやりたい放題だ(褒め言葉)
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-02 17:53:03)
217.  新幹線大爆破 《ネタバレ》 
和製パニック映画の傑作。 後にヤン・デ・ポンが「スピード」という共通点の多い映画を撮ったが、あの映画で失われてしまった“スピード”の恐怖がこの映画にはある。スピードによって狂う人々の、速度を落としすぎれば木端微塵に吹っ飛ぶというスリルが! それにスピードが速まっていく恐怖。車両だけでなく導火線やガスの音までそのスリルを醸し出す。  冒頭からシークエンスを重ねていく様子がスリリングで面白い。 夜、煙草を吸い、人目のなくなった列車の下に何かをゴソゴソと仕掛ける男。 仕事を終えた男は、仲間らしき男に電話をかける。公衆電話が時代を感じさせるが、10円を入れ続けなければ電話が切れてしまう・中断してしまうという緊張。  決行当日の朝。階段ですれ違う男との無言のやり取り、列車に乗り込んでいく人質たちの会話が、後の緊張を盛り上げる。男たちの計画に参加する者の不穏な空気。  そして1本の電話によってテロ事件が、オープニングが、この映画が動き出す。  爆弾が何処に・何個あるのか解らない恐怖。客がそれを知ればパニックに、機関車乗りたちの決死の行動が示す爆弾の恐ろしさ、猛スピードで走る新幹線で同じ脱出はできない、密室状態(回送)で徐々にパニックになっていく人々、時計代わりのストップウォッチ、迫る列車によって決断を迫られる人々、安全装置や別の車両が爆弾の「起爆装置」になりかねない恐怖、分岐点でのすれ違い、スピードを殺せない状況でのブレーキの使い方・・・1分1分が濃い。  犯人の要求の仕方が面白い。円ではなくドルという単位の真意、「千数百人の乗客の命代に比べたら、遥かに安い要求じゃないか」の言葉。 日本政府を相手にたった数人の連携で戦いに挑むのだ。犯人たちの素性が明らかになるにつれて、観客は犯人たちに感情移入していく。あの回想は卑怯だ。自分の目の前で・・・。  犯人、鉄道員、警察どうしの葛藤も面白い。恐慌状態が人間の醜さを炙り出す。募る苛立ち、ある赤ん坊を抱えた妊婦は我が子を思うばかりにパニックに陥る。女を殴るのは母親と赤ん坊の命を死なせたくないから。それに比べて仕事命で他人どころじゃない人々、ジャーナルストは興味本位で、犯人は人々が慌てる様子を楽しんで見守る。 パニックが1本のアナウンスで収まる内はまだいい。緊急停止装置をめぐる恐怖、チャンスを待つ犯人、車掌の対応も時間の問題だ。  船上という密室、それを追跡する複数の視点。受取人が金を落とさないか、思わぬ援軍、バイクとパトカーの追跡、市街地での追跡。やっと掴んだ手掛かりは同時に人質や警察の首も絞めにかかる。バイクに乗るのは複数の公衆電話で尻尾を掴ませないため。ビル、橋の上、路上と視点がどんどん低くなっていく駆け引き。  “忘れ物”による攪乱、仲間の後退を確認して情報を地獄まで持っていく散り様、パスポートと死者への手向け。  密室から密室への受け渡し、迫る障害物、車両下での作業・・・1500人の、小さな命の、一人一人の命の重さがのしかかる。たとえ最後の一人になろうとも・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-26 22:23:23)
218.  Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 
北野武のヤクザ映画は余り好きじゃないけど、「あの夏、一番静かな海」と「キッズ・リターン」は大好き。  少年から青年になっていく子供たちの多感な時期を描いた青春ドラマ。  この映画には色んな「あの頃の自分」がいるんだよな。  授業サボッてた奴、 真面目だった奴、 カツアゲされた奴、 されなかった奴、 見て見ぬフリをしていた奴、 スポーツやってた奴、 恋をする奴、 学校辞めた奴・・・色んな「自分」が見え隠れしている。  登場人物は一目見ただけじゃ印象に残らない奴も多い。 それを毎日会って話している内に馴染みになるように、じんわりと染み込ませてくれる。  大人になろうと一生懸命背伸びして、馬鹿やって、何をやっても長続きしない。 ただ、報われないだけが人生じゃない。 失敗から学んで別の成功をする奴だっているし、努力を続けて報われる奴だっている。  時折出てくるあの漫才コンビは良い例だね。 馬鹿にされてもプラス思考でコツコツ頑張り、夢を叶えた。 自分のために、誰かの夢になるために。 この漫才コンビはたけし自身を表現したものだと思う。  この話の下敷きは漫才師になった「たけし」自身と、 たけしが以前ボクシングに打ち込み始めた頃に東洋フェザー級チャンピオンとして活躍していた「関 徳光」のエピソード。  漫才師になった自分と、ボクシングに打ち込んだ関光徳。  そっからこんな爽やかな良い映画が生まれた。  「もう終わっちまったのかなぁ?」   「バカヤロウ、まだ 始まってねぇよ!」
[DVD(邦画)] 9点(2015-06-25 17:48:05)(良:2票)
219.  鴛鴦歌合戦 《ネタバレ》 
「弥次喜多道中記」に並ぶオペレッタ時代劇の傑作。前者が歌と股旅映画が融合した作品ならば、この作品はミュージカルとしてより洗練された楽しさ。歌いっぱなしの「鴛鴦歌合戦」、歌ありアクションあり何でもござれの「弥次喜多道中記」。どちらも大好きな映画だ。  正月特番で作られた1時間映画だが、みんな「演じている」という堅苦しさが無い。量産性・劇団のような俳優陣の共通は何百回と稽古を積み上げた迫力を味わえる。みんな活き活きとした表情で元気に歌いあっている。当たり前だがみんな歌が絶品。ディック峰、志村喬と歌も演技も最高の面々が揃っている。  ストーリーそのものは典型的な時代劇だが、殿様見物、微妙な三角関係、価値観の崩壊(骨董収集がガラクタの山と化す志村喬)、金か愛か、ラストの踊る様な立ち回りなど見所が多い。  特に終盤の殺陣は面白い。無駄なチャンバラはせず、身のこなしだけで刀を避け敵を投げ飛ばす。  死人が出ない喜劇タッチの面白さ。  でもちょっとは斬り込めよディックさん・・・(笑) その辺ひっくるめて誠に愛らしい存在です。  ラストの展開は多少強引かなと思ったが、エンディングのカーテンコールの見事さに唸りっぱなし。   俺にとって作品の面白さに時代は関係ないんだな・・・という事を痛感させられた映画の一つです。
[DVD(邦画)] 10点(2015-06-25 17:45:38)(良:2票)
220.  二十四時間の情事 《ネタバレ》 
「ヒロシマ・モナムール(広島、我が愛)」。  「君は何も見ていない」という言葉は、アラン・レネ自身の自問自答がこの映画に刻まれているのではないだろうか。 「夜と霧」がそうであったように、人が殺された“跡”とそれを記録したフィルムを通して見たにすぎない。直接あの惨状を見てはいないのだ、と。 レネが冒頭で原爆の惨状を伝えるフィルムとして関川秀雄の「ひろしま」を選らんだのも、あの日を経験した・あの日に家族や友人を失った者が大勢参加したフィルムだったからだろうか。岡田英次も「ひろしま」に出ていたのだから。  原爆資料館、被爆者を治療する映像、それを再現した映画が重なり、2人の男女が情事にふけながら広島の話をするのである。いや、話すのは広島にとって外部の人間であるエマニュエル・リヴァ。岡田英次はそれを黙って聞くように彼女の体を抱き続ける。人の死が刻まれた映像と共に二人は新しい生命が生まれる勢いで性交を続けるのである。 「夜と霧」が「死」だけの描かれたドキュメンタリーとして終わったならば、この映画は「死」の次にある「生」を交えながら描こうとしたのだろうか。 さすがにあれだけズッコンバッコンされると平手打ちどころじゃないけど。岡田英次もちょっと殴りたくなったわ。  2人の男女は心の中に戦争の傷跡、見えない傷が刻まれている。家族を失った男、最愛の恋人を失った女。2人は共通の痛みで接近するし、また完全な理解者にはなれないだろうという心の距離も置いている。自分の故郷にいる岡田英次は尚更だ。それは英次にとってもリヴァの過去を知らないという問題が出てくる。  リヴァもまた自分の愛した軍人と、軍人として生きていた英次の境遇を重ねているだけ。同情?興味本位?疑問が浮かぶ関係の二人は心の底から愛し合っていない。冒頭で二人の肌を覆う灰?のような粉が消えていくのは表面上の事に過ぎない。  広島のデモ行進で呼び起される彼女の記憶・「手」に刻まれた忘れることのできない記憶。冒頭シーンからして手、手、手が映される。 広島が変わりゆく街並みの中で「あの日の惨劇を絶対に忘れるものか」といたるところで叫ぶように(デモのプラカード、写真や絵まで混ざる遺影の生々しさ、被爆した人間のようなメイクを施して祭りを見物する人々、メイクで背中の火傷を再現する描写など)、女も英次に恋人の面影を狂ったように求め始める。  リヴァが悩んだ次は英次が悩む。英次はリヴァの記憶を直接見ることは出来ないのだから。リヴァが思い浮かべる故郷ヌヴェールの姿も英次は恐らく知らない。この瞬間に2人の男女の間に決定的な心の壁が生まれる。 英次がストーカーまがいの行為までして彼女を追うのも、それが悔しくてしょうがなかったのだろうか。自分も彼女も何も知る事が出来ないという点じゃ一緒だ、と。  その見えない壁は、ラストでそれぞれの故郷の名で異性を呼び合う瞬間まで存在していたのではないだろうか。何て事を思ってしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-20 00:02:07)
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