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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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221.  無法松の一生(1943) 《ネタバレ》 
岩下俊作の小説「富島松五郎伝」を原作とする本作。 福岡県小倉の暴れ者「富島松五郎」こと「無法松」の顛末を描く人情もの。 街で大暴れするエネルギッシュな松五郎の身分を超えた情念を絡めた人生。 稲垣浩が魂を込めたこの映画だが、度重なる検閲で泣く泣くカットしてしまった部分も多く、今となっては不本意な出来となってしまっている。 松五郎が賭博に興じるシーン、良子に思いを打ち明ける場面などなど、重要な場面の多くが失われてしまった。 宮川一夫が収めたこの数々のシーンの一部が2007年に発見され、角川から出されたDVDで要約補完された。 ストーリー自体は後にリメイクで本懐を遂げたといえるが、本作で主演を務めた阪東妻三郎の素晴らしい演技が一部カットされた点は残念極まりない。 「雄呂血」の勇ましい二枚目が、この映画で見事に三枚目だが心の厚い熱血漢を演じる! 久世竜が代役を務めた雪のシーンですら、最初は自分の体で挑んで中耳炎を起こしていた。 サイレントからトーキーとなり、声の高さに一度は挫折したバンツマ。 それを声を出しまくった喉を潰し、ドスの効いた声に作り替える!役者魂ここに尽きる。 そして本作の一番の見所といえば、そんなバンツマのダイナミックな祇園太鼓。 監督の依頼を受けた太鼓打ち「田中伝次」が創作したオリジナルのものだったが、この映画がヒットした事で、松五郎の人物像とともにこの映画の太鼓打ちも全国、世界中に広まったという。 上記の太鼓を含め、宮川一夫の素晴らしいショットなどなど、見所も多い。 良子夫人を演じる園井恵子、結城重蔵を演じる月形龍之介の演技も素晴らしい。 特に園井恵子はこの「無法松」以外に映画には出ていない。彼女の最期を考えると、誠に残念でならない。 本作を見た方は是非とも三船敏郎主演のリメイクも見て欲しい。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 18:57:31)(良:1票)
222.  黄金(1948) 《ネタバレ》 
「グリード」を彷彿とさせるジョン・ヒューストンの初期&総合的な最高傑作の一つ。  序盤20分間の「下地」を終えてからの盛り上がりよう、ストーリーの巧さは惹き込まれる。 列車からの銃撃戦、山賊との攻防、味方同士で殺し合う人間不信と疑心暗鬼にかられる人間模様。  ハンフリー・ボガートが欲望に囚われていく男を演じた点が面白い。「カサブランカ」なんてキザッたらしく臭いメロドラマよりも遥かに惹かれる。 ボガートはワイルドな方がカッコイイし余計に魅力的だ。  ジョン・ヒューストンの実父でもある名優ウォルター・ヒューストンの演技も見所。裏主人公とも言える爺さんだ。   物語はメキシコ革命直後のメキシコ。 地方では山賊がはびこり、その山賊を一掃しようと武装した連邦警察が日夜活動していた。 そんな中で「山師」を生業とする主人公3人。 貧乏続きで金を恵んでもらって日々を暮らしいたダブズ、ダブズの貧乏仲間のカーティン、喰えない爺さんハワードは山奥に眠る「黄金」を求めて旅に出る。 一攫千金で楽をしたい願い、欲望が男たちの心を壊していく。 泥にまみれ、飯をくらい、邪に土を掘り続ける男たちの力強さ。 その落盤が崩れる瞬間、それが彼らの別れ道となる。 そのシーンでかかる「あざとい」BGMが、より一層彼らの行く末を皮肉っているのだ。 山賊に追われ明日も知れぬ身で、金を全て横取りしようと企む男、 純粋に仲間のために「黄金」を求め、裏切られながらも金よりも大切な事に気づく男、 金よりも大切な「絆」を手に入れた男、それぞれの顛末の凄まじさ。 そして風と共に消えていく野望の夢の跡・・・人間の心に迫った冒険西部劇。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 18:53:13)
223.  赤ちゃん教育 《ネタバレ》 
元祖?人類には早すぎる映画。 いつか誰かが言った。 「ホークスのコメディで笑える奴は、宇宙人だよ」と。  アメリカではホークスのコメディは大人気だそうだ。 何て事だ、我々にとっての宇宙人(アメリカ)はホークスの面白さを理解し、日本人は当時この作品の面白さを理解出来なかった人間以下とでも言いたげではないか!!  アメリカと日本は違う。  俺としても、ホークスのコメディは「教授と美女」や「ヒズ・ガール・フライデー」「コンドル」のような作品の方が好きだ・・・・・が・・・やはりこの作品も抱腹絶倒で呼吸困難を起こしてしまった。一体俺はどうすれば良いのだ。  インテリジェンスに溢れ教養豊かなキャサリン・ヘップバーンが、この作品では男勝りで男を頭から丸呑みしてしまいそうなほどパワフルな女性だ。やる事なす事すべて破壊に結びつく。ゴジラかおのれは。気品は相変わらずだが。 オマケに赤ん坊が猛獣だぜ?もうやだホークスのコメディ(褒めてる)。  ケイリー・グラントがネグリジェときやがる。  笑うしかねえだろ!!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:54:55)
224.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち 《ネタバレ》 
近年稀にみる作品となった海洋冒険ファンタジー映画。  粗が多いけどそこは「ファンタジー」。  1作目は続編の悪ノリがまだ無く、ジャックは良い塩梅にチョイ悪ワケ有り親父、 ウィル・ターナーは真面目な好青年、 スワンもビッチキャラになる前はこんなに凛々しく可愛かったし、 バルボッサ船長の死に様が素晴らしい(故に復活させやがった続編は全て蛇足)!!  この映画に求めるのはどこまでも単純明快な活劇精神と夢のあるファンタジーであり、  無駄に複雑な人間関係や無駄に乱発する海賊どもはいらんのだ。  シンプル・イズ・ベスト。 そんなワケでこの作品は唯一の傑作。  白骨姿で剣を打ち合うシーンとか、エリザベスが“ターナー”を名乗るシーンとか、たった二人で軍船をぶんどるシーンとか、クライマックスのジャックの脱出シーンとか冒険活劇のワクワクが詰まった作品です。CGの造詣もカッコイイですね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:50:41)
225.  突撃(1957) 《ネタバレ》 
第一次大戦の戦場を描いたキューブリックの傑作。 前半は戦場での死闘、後半は組織の腐敗や戦争そのものの不条理を描いていく。  冒頭は二人の将校の会話からはじまる。 そこから塹壕で戦う兵士を視察しに出掛ける。  「やあ、ドイツ兵を殺す覚悟はできているか兵士諸君?」 「椅子に座った奴などに戦いを理解できんよ。 “机上”で戦う奴にもだ」  言っている事はご立派、だが実際は現場の事情を知らずに味方を発砲しようとするようなクソ司令官だ。  突撃前の偵察任務。ピストル一つで敵が潜むかも知れない陣地に近づく緊張感みなぎる場面。照明弾の不気味さ、上官はビビッてトンズラ、味方に殺されるこの不条理よ!  さっきまで本音で口論していた二人、上官がきたら建前を通さなきゃならない。  突撃作戦時の戦慄。敵のアリ塚をブン奪るために今日も名も無き兵士が死んでいく。 カーク・ダグラス率いる部隊が突っ込んでいく姿は胸が躍る場面でもあるが、同時に事態は急変する。  それにしたってロジェのクソ野郎めっ! こういう奴ほど長生きしやがる。  裁くべき人間を間違えた軍法会議、くじびきで選ばれた“殺される”人間・・・余りに不当だ。 だいたい、どうして敵の陣地を奪ってもいないのに自分の兵士をむざむざ殺さねばならんのだ。  連帯責任の前に、本当の原因を何故追究しようとしないのだろうか。そんな世の中総ての理不尽さを見せ付けられているようだ。 組織が個人を殺す事の残酷さ。爆弾一つで何百人も殺すのと、違うとは言わせない。  死にゆく男たちは最後まで抵抗し、ハラを決めて散っていく。 やり場のない怒り・・・司令官の座を降ろされるくらいで済むと思うなよ。 だが、責任を擦り付け合う奴だけが軍隊じゃない。ルソー大尉みたいな“漢”たちも生き残り、また死んでいくのだ。  酒場で歌う女の歌が、彼らのせめてもの慰めなのだろう。  そして生き残った男たちはまた戦場へと進んでいく・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:47:32)
226.  ブレイブハート 《ネタバレ》 
メル・ギブソンの最高傑作は文句なしにこの「ブレイブ・ハート」。 史劇映画の傑作「スパルタカス」を思い出すような作品だ。 スコットランド独立のために戦った戦士たちを描く壮大な伝記映画。  冒頭は主人公ウィリアム・ウォレスの幼少時から始まる。 首吊り、家族の死・・・死してなお語りかける魂、ウォレスの運命と覚悟がここで決まる。  成長したウォレスは旅に出る。旅先で会得したフランス語は身を助ける。 岩投げはデカくなくても、急所を狙えば勝てる。 「“ココ(頭)”が大事だ」 頭脳と急所の二重の意味。  ウォレスは許されぬ恋を選ぶが、ソレはすぐさま悲劇へと繋がってしまう。  怒りと復讐心を力に変えた戦闘はド迫力だ。 手にした勝利、だが愛する者はもういない・・・生傷と心の傷は酒と共に流す。 勢いにのって次々と城を落としていく様子は血が騒ぐ。 イングランドVSスコットランドの死闘は軍VS軍のぶつかり合いへ。 チ●コの次はケツへのダイレクトアタック(弓矢)。本当にケツを刺されている馬鹿がいやがる! 敵の騎兵を槍で潰すシーンの爽快さといったら! うなるバスターソード、挟撃、連戦連勝。 「俺がいる限り征服はさせないっ!!」  敵もえげつない。アイルランド人を盾に来るが、そこで戦わず意気投合してしまう。何と言う人選ミス。 それでも乱戦の最中味方ごと撃ちやがる。 そして罪を感じる者が見る“夢”。ある者は正夢に。 負けても少数精鋭となってゲリラ戦で最後まで諦めない不屈さ。 しかし待ち受ける罠、それでもウォレスは諦めず最期までスコットランドの自由を叫んで戦いぬいた・・・。 ウォレスの意思は総てのスコットランド戦士たちが受け継いでいく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:43:49)
227.  トイ・ストーリー 《ネタバレ》 
俺は本当こういう映画が好きになってしまう性なんだろうな・・・魂の宿るはずのないものに魂が、心が宿るファンタジー。  「からくりサーカス」のフランシーヌ人形の笑みとか、 「ワンピース」のメリー号とかも大好きだけど、やっぱり使い込んだ道具に心が宿るって話は良いね。  おもちゃが人間と同じように生きているわけよ。  「ピノキオ」みたいに。  ただ「ピノキオ」は人間になれたけど、この世界のおもちゃたちは一生おもちゃ。  おもちゃは道具として、道化として人間と一緒に生活する。  しかし心が宿ったおもちゃにはそれが辛い。 会話をしたくとも出来ない辛さ、訴えたくとも訴えられない辛さ・・・アイコンタクトすら難しい。  母親に踏まれたあの兵隊人形たちだって、潰されても訴えられる相手がいない。  オマケに飽きられればすぐポイという世界。  一時の人気者、光と影、子供だからこそ見せておきたいその世界。  ウッディとバズがその壁を超えた友情を結び、また戻って来る。  それが良いんですよ。
[DVD(吹替)] 9点(2014-12-18 17:40:51)
228.  ルパン三世 風魔一族の陰謀<OVA> 《ネタバレ》 
声が違う?それがどうしたっ!! これぞルパンよ。 「1st」を意識した作画、 声は違えど確かな実力派キャストにより名演、 スリル満点のカーチェイス。 不二子を演じる小山さんの声がエロかった。   Wメガトロン(トランスフォーマー&ビーストウォーズ)を聞けるだけでも最高だと思うのだが。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 17:36:42)
229.  酔いどれ天使 《ネタバレ》 
日頃から札付きのチンピラみたいな顔の三船がヤクザの「松永」を好演。  デビュー作「銀嶺の果て」から既に雄の匂いがプンプンしていたが、この映画でそれが爆発。 演技は駆け出しホヤホヤのチグハグで、何を言ってるか訳わかめ。 字幕があっても声が聞き取れねえ。  ただこの男が醸し出すオーラ! 戦争の暗さを背負い、それに負けない笑顔と怒りに満ちた三船敏郎は演技を超えた凄みを感じる。 地のオーラと動きで魅せる。  マキノ雅弘の「抱擁」でスマートなヤクザを演じていたのとは対照的だ。  オマケに仲間のヤクザに裏切られようともまだ仁義があると頑なに信じる松永。何度裏切られようとも。 酔いどれの医者に気遣われた恩を忘れずに庇い、「こんな腐った泥の中にも、一輪の蓮の花が残ってるはずだ」と信じ続ける。泥の中に咲く蓮の花を・・・。 こんなヤクザに同情すんなって方が無理だよチクショウ。  最後までヤクザを貫く山本礼三郎の存在も圧倒的。機銃のようにギターを抱えていやがる。  千石規子と久我美子は最高の癒し。 「静かなる決闘」の千石規子も良かったぜ。久我美子の初々しさが「白痴」であそこまで変貌しようとは思わなんだ。  壮絶な決着の後に、静かな感動をもたらしてくれる。 ペンキ塗れの壮絶な散り様は「野良犬」のクライマックスで“色”がつくラストにも繋がっている。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:29:58)
230.  虎の尾を踏む男達 《ネタバレ》 
黒澤ファンには不評気味だけど、俺は「デルス・ウザーラ」と共に黒澤嫌い・ファンにもススメたい傑作の一つだと思っている。  何せ黒澤映画最短(オムニバス「夢」を除けば)となる1時間に凝縮されたエッセンス! 日本の伝統芸能、歌舞伎の代名詞の一つ「勧進帳」。 源義経と弁慶が箱根の関所を突破しようという一節だが、それをミュージカル風にやってしまおうというこの映画。 弁慶の鬼気迫る演技、そしてエノケンのひょうきんな役どころ! 特に終盤、弁慶と関所が繰り広げるやり取りを短いショットを交互に見せ緊張感を高めるッ場面!この場面だけは何度も見てしまう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 17:27:43)
231.  浪華悲歌 《ネタバレ》 
確かに溝口らしくない部分もあったけど、女が好き勝手やって自滅するという図式は溝口作品屈指の出来だと思うんだ。 ネオンが光る夜、朝には光が消えて静まり返るファースト・シーン、家族の食卓で始まるところ。漬物をポリポリ噛む音を楽しめるのはトーキーだからこそできるね。 時折ギラリと輝く父ちゃんのメガネで吹くわ。 ヒロインの綾子が夜遊びに進む過程。 良い歳した中年おやじが若い娘の胸元に名刺を差し込む辺り・・・溝口はこういうのが本当上手い。 ガラス越しの電信での会話、綾子の手紙の文字、戸をガラッ開けて“男”を見せつける場面と。 クローズアップも結構多く、要所要所の挿入は印象に残る。 山田五十鈴が若くてキレイだなー。 暗闇で家に入る人影、妹さんそんなところに「ぬうっ」といたらホラーだよ(演出が完全に怪談じみてた)。 遊び好きの活発な女性が男二人引っ掛けて、どちらとも「おまえはそんな女だったのか!」と失望されて家に帰ったら「そなアホな女家族や無い!出て行けや」と勘当。 あんなに笑った溝口映画は初めてだ。兄貴、妹の素っ気ない返事のワンツー・パンチがまたツボ。この殺伐とした空気が最高だぜ。オマケにあれだけ高慢なヒロインも流石に落ち込むだろ・・・と思ったらまったくヘコたれてない(爆)もう何なんだよこの女wwwwwwww「不良少女」どころじゃないよもう。 山田五十鈴の演技が最高すぎる。 梅村蓉子夫人とのやり取りも最高だった。人形浄瑠璃の劇場に不倫相手の男と一緒。 そこに嗅ぎつけた奥さんがズンズン乗り込んできて「何してんやアンタ!」と問い詰める。奥さんの剣幕に逃げ出す男どもがまた面白い。 そして地味に志村喬が出ていたり。この頃から刑事やってたんだなー志村さん。後ろ姿だけでもカッコ良いのは何故だ。  またラストシーンが良いねー。 例の名刺を川面に向って投げ捨てる。暗闇ながら水面の美しいこと。 過去との決別だね、ハッキリした女だ。 それで通りかかった男に「あたい“不良”ちゅうビョーキなんや。ねえ“お医者さん”、どないしたら治るやろか?」と聞く場面。 ただの通りがかりの男を医者と呼ぶこのセリフの面白さ、解ったもん勝ちだね。  「祇園の姉妹」は丁寧だったけど、パンチが足りなかった。この作品は少々荒いけど、パンチが効いてるからコッチの方が好み。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:34:43)
232.  山椒大夫 《ネタバレ》 
「雨月物語」よりも遥かに進化した溝口最高傑作の一つ。 本作は平安末期。 平安時代にキッチリした活字が合わないのは別として、生活を追われたある貴族一家の波乱に満ちた人生を描く。 主人公たちは今まで貴族という安全に浸かった生活を送ってきた。当然世の中に投げ出されれば、一人では生きていけないほど世間知らずでもある。そんな人々が狼や野盗、“偽り”の情けに騙されても文句が言えない過酷な世の中に放り出される。 主人公の兄妹。人買いの大主の山椒大夫(どんな美人の“太夫”かと思ったらオッサンの方の“大夫”かよ、チッ)にこき使われ、今までした事もない野良仕事に明け暮れ倒れそうになる日々。 そこに声をかけた男。 「辛かろうに負けるんじゃないぞ」 声をかけるくらいなら二人が成人するまで見守ってくれても良かろうに。ひやかしもいいところだ。為にならない情けは世の中いくらでもある。いや、俺がひねくれているだけなんだろうな。世の中、声すらかけてくれない奴が多すぎるもの。 妹はそんな男の言葉を支えに懸命に生きるが、兄は山椒大夫のやり方に染まり、山椒大夫がやった行いを同じ様に平気で行えるほど心が荒んでしまった。 国が乱れ、人買いや姥捨てが平気で跋扈する荒んだ世の中は、人の心も荒らす。 年月が経った兄の顔を見てみろよ。その面を、菩薩のような妹が少しずつ浄化していく。 妹は本当に健気で強い女だ。最後まで母親や父親の事を諦めなかったし、グレた兄の事も見捨てなかった。 それがあんな・・・溝口貴様あああっ(それと「山椒大夫」の原作者)! 兄は妹のためにも、何より家族のために一人で生き抜こうと抗う。荒んだ世の中が同時に彼の心も強くした。 そして父親は息子から離れても違う形で息子を助けてくれた。 兄は学を身に付け、官職になっていく。そして山椒大夫への逆襲。政治の攻防。 悪人は一掃されるが、主人公の運命には絶えず残酷な答えが待つ。 解放されて自由に歓喜する人々、ただ一人満たされない兄。それでも一縷の光が見える限り生き続けた。 終盤のあの池の畔に立ち尽くす、悲しみに満ちた場面。 それに全てが流されてしまった浜辺の村。あの黙々と海藻を整理する男が、それを物語っているのだ。 息子はまだいいさ。これからがある。だがもう一人は、“あの人”は最後の最後で救われたのだろうか
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:28:01)
233.  野良犬(1949) 《ネタバレ》 
ファーストシーンが最高にキマッてる映画は大抵傑作が多いが、この「野良犬」もそうだ。 オープニングの漆黒の犬! そこからまずインパクトがデカい。 ワクワクするね。  若い刑事が失態やらかしてそれを死にもの狂いで追っていく映画。 軍人だった三船にピッタリの役回りだ。 復員兵姿で闇市に潜入する場面なんか凄い様になってる。 若さと責任感に溢れる主人公だが、焦って間違いをおかしかねない危ない場面が続く。 真っ白白のスーツが印象的だ。 後編から現れるベテラン志村喬の刑事。 歴戦の勇士という感じで渋くてカッコイイ。 志村と共に事件を追っていく主人公。スーツも板に付いてきた。 そして犯人との一騎打ち。 仇の犯人を泥にまみれても捕らえる! その執念の様! スーツが黒く染まる姿が最高にカッコイイ! やっと新人刑事に「色」が付いて成長したわけだ。 新人刑事の悩みや犯人たちの苦悩。 戦争が犯罪も産んだ。 そんな様子が力強く描写されている。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:08:35)
234.  対馬丸 さようなら沖縄 《ネタバレ》 
後味の悪い話だ。 子供の頃、TVで見て以来トラウマだった。それを偶然BSの再放送で見た時は、トラウマが蘇るような感覚に襲われた。絵柄からは想像できないような哀しい哀しいアニメだったよ。  実際にあった対馬丸の沈没・・・いや撃沈事件。 本土から沖縄に疎開させ、子供達を安全な場所に運ぼうとする船。船の上で「もう安心だね」とばかりに談笑もし始める。だが、かすかな不安が画面を包んでいる。 アメリカの潜水艦が民間船を魚雷で攻撃し、船が沈んで人々がパニックになる瞬間。さっきまで喋っていた子供の一人が、船の揺れるショックで壁に後頭部を強打して、沈黙する場面。悲鳴をあげるでもなく、血が出るでもなく。一瞬にして奪われてしまう命。あの瞬間だけ妙に脳裏にこびりついているんだ。  その後も生き残った人々が筏に身を寄せて島を目指す。途中、鮫の餌食にされてしまう人や、子供を眠らせまいと手にナイフを刺す場面とか、怖かった。筏にからまった髪を切ったり、赤ん坊が寒さで死んだり・・・。 俺の記憶では、たどり着いた浜辺で遠く海の向こうを見つけるような光景で終わっていた。 が、本当はまだ続きがあったんだ。   この後を考えると、何処に逃げたって・・・そんな沈没後の悲劇も描かれる。  事件の事を憲兵に黙っていろと言われて、子供の母親にその子がどうなったのかも言えない苦しみ。押入れで黙って泣き、壁に「しんだ」と書く・・・。  その後も空襲で家を焼かれ、母親と逃げ延びた先にも火の粉。でも母親に「ほんとうはみんな死んじゃったんだ」と泣きながら叫ぶシーンのやるせなさ。本当に戦争は嫌だなあと思ったよ。ああ、何で2回も見てしまったんだろうか・・・。
[地上波(邦画)] 9点(2014-12-17 06:43:42)
235.  ある街角の物語 《ネタバレ》 
哀しい話だが、とても素敵な映画だ。セリフが一切ないのに、映像だけで総てが伝わってくる。 正直この作品を見るまで、手塚治虫をナメ腐っていた時期があった(中学生の頃)。だが、試しに見てみたこの作品で意識を改めた。漫画だけでなく、アニメでもこんな凄いのを残したのか・・・!と。やっぱり手塚治虫は凄い。この作品はもっと多くの人に見てもらいたい。  戦争の足音が迫るヨーロッパのとある街角。街灯が暗い路地を照らし、ポスターの中で静かな演奏を続けるヴァイオリニストとピアニストの淡い恋。空間で遮断された二人は、そこから抜け出して手を取り合うことも、愛し合う事もできない。 屋根裏部屋に住む女の子、その子が大事にしているクマのぬいぐるみは落ち、それをイタズラ好きのネズミが見つける。 恋人たちの穏やかな日々。直接手を取り合えなくとも、こうして見詰め合っているだけで、それだけで良かった。 それを引き裂くように戦争は激化していく。独裁者のポスターが嘲笑い、脅かす。  やがて戦火が街を包むが、皮肉にもその焔が恋人たちを結びつけ、空高く誘うのである。 
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 05:56:28)
236.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
今もヨーロッパに根強く残る移民問題をユーモアを交えて描いた作品。  フランスはのどかな町ル・アーヴルで元気に暮らす人々。 ビンボーで金も無い、でも心は誰よりも豊かという良い人ばかりだ。  住民がアレコレして少年を守ろうとする姿はとても楽しく、とても健気で泣けてくる。  病気を夫に隠す奥さんのセリフはさらに泣ける。  今の世の中、悪い事ばかりだ。でも、たまにはこういう良い人しか出て来ないような映画があっても良いじゃないか。  靴屋の店主が必要悪だと思うとまた泣ける。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 22:49:26)
237.  Shall we ダンス?(1995) 《ネタバレ》 
この映画は、西洋化の文化が進んだ現代の日本だからこそ撮れる人間ドラマのハートフルコメディ。 基本的には面白おかしく主人公たちの日常を描くんだけど、登場人物一人一人の丁寧な掘り下げ、趣味のダンスが生きがいになってしまった人達の喜びや哀しさを噛み締める映画なんだよな。 ダンスの生徒と教師、家族持ちの男と独身女性の不思議な関係・・・一線を越えずとも、ダンスを通じて心と体で交流する様々な人間模様を見せてくれる。 「日本人が社交ダンスだなんて・・・」というセリフからも解る通り、日本人は昔から亭主関白的な文化で“女性と手をつなぐ”なんて習慣は馴染みが薄い。 まして一緒に床は過ごしても手を取り合って踊るなんて風習は皆無に近かった。 明治維新後も「鹿鳴館」で社交辞令として踊るくらい。 西洋を見習って服装は変わっても、古くからの中身はほとんど変わらない時代が続いた。 軍隊だって基本的には男が主軸。女武将や女城主、女スパイは歴史上数あれどほんのひと握り。女性の自由も戦後になって開放的になったワケよ。 本作は戦後から50年以上たった節目とも言える頃に作られた。 まだまだ職業差別とかはあったけど、それでも男と女が面と向かって腰を据える時代になっていた。 洋服を着たり和洋折衷が当たり前の世の中で、社交ダンスも小学生や文化祭の頃にやるのが普通という子供も多かっただろうね。 しかしこの頃の社会人にとっては「社交ダンスなんてお年寄りかもの好きしかやらない古臭い趣味」なんてレッテルがあっただろう。 西洋で社交ダンスなんて当たり前、日本は身なりは西洋化しても心は昔の名残が残る・・・そんな情景を感じられる。 これは日本人なりにそのレッテルを破り、一人の人間として一歩を踏み出そうって勇気なのよ。 登場人物たちの心の殻と、当時の日本の風潮を重ねた二重の人間ドラマなのさ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-16 22:47:53)(良:1票)
238.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
確かに自業自得で死んだかも知れない、確かにほぼ毎年放送されて「うっかりチラ見してしまうだけで不眠症になるだろうがふざけんな日本TV」と思うかも知れない、確かに「トトロ」の後にこんな悲惨なもんを見せられて監督を殺したくなるかも知れない。  おばさんだって好きでいじめてるワケじゃないし、妹のために我慢出来なかった兄貴も悪いのかも知れない。働きもしないのだから怒られて当然・・・だが、だが、だが・・・あの子供は「恥をしのぐくらいなら死んだ方が良い」という戦争教育の犠牲者だったのではないか。 兄はその父親の教えに染まりすぎ、我慢も出来ずに勝手に戦い民間人が空襲で焼き殺されるのも“見殺し”にしやがった軍隊の、政府のクソ共の犠牲者なのかも知れない。ここまでくると、無残に転がる黒焦げの遺体になってしまった人が、そこに到るまでの事も考えてしまうんだ。「日本のいちばん長い日」みたいにな。  こんな点を付けるのも嫌になるくらい哀しい映画があっていいのだろうか。  戦争の悲惨さ、直接的な描写をしなくとも分厚い包帯と夥しい蠅と煙・・・これほどアニメから「死臭」を感じた事は無い。  小さい頃はよく解らずに見てたけど、大人になった今は逆に見るのが怖くなってしまった。 今だからこそ見なきゃなんないのにな。  だってよー節子がよー、節子がドロップとおはじきをよーうわああああっ!節子!それドロップちゃう!おはじきや!死ぬなーうわー!  高畑勲と宮崎駿が本気で殺しにかかった残酷さを感じた。 いつも夢と希望に溢れる現実逃避な作品が多いジブリだが、1本くらいこういう作品があっても良いと思うんだ。  そんなわけで「はだしのゲン」と双璧をなすこの作品、忘れちゃいけないね。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-16 22:39:07)(良:2票)
239.  水の中のナイフ 《ネタバレ》 
「ポランスキーの映画=血生臭い」というイメージがあると思うが、ポランスキーのデビューを飾った本作は鮮血を描かない。  プロットとしてはルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」に共通しているが、本作のサスペンスは一味違うのだ。    冒頭、車を飛ばす夫婦から映画は始まる。  車上で交わされる他愛の無い会話、そこに飛び込んでくる若者。  中年のエリート気取り、インテリぶった人妻(メガネ取ったら超美人)、背伸びする若者。  三人は世間話でしばらく時間を潰し、男が若者を船上に誘い込む。    若者の前で見栄を張ろうとする男、大人を演じようとする女、負けてたまるかと反抗的な青年。    ストーリーは至極単純、テンポものんびりしているが、独特の空気が中々退屈させてくれない。 “ナイフ”で指の間を刺す瞬間の緊張。  三人のやり取りが面白い(そして奥さんが無駄にエロイ。ちょっとズンドーだけど美人だから問題無し)。 もうこの頃からロマン・ポルノスキーの気が(ry   湖上でのやり取り、そこで起きる「事件」。    湖面に消える者、情事にふける者、岸辺に戻ってしまった者・・・彼は何者だったのだろう。 そして最終的にナイフと船じゃなくても別に問題無かったという。  あるいわ本当に幽霊だったのかも・・・そんな映画。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 22:09:14)
240.  グレート・ブルー 《ネタバレ》 
これこそリュック・ベッソンのオリジナル「グラン・ブルー(グレート・ブルー)」。 ベッソン最高の映画はコレだ。  ベッソンは「○○狂」という一つのテーマがある。 後の「TAXI」はスピード狂、 「レオン」は「グロリア」を骨子に殺しに取り憑かれた者たち、 そして「グラン・ブルー」は海に“魅せられて”しまった男たちを描いた。 ジャックとエンゾは対照的な人物だ。 劇中のマイヨールは“静”だが本当は“動”を求め、 劇中のエンゾは“動”だが本当は“静”を求めていた。 動=生、静=死・・・実在の二人は劇中と正反対の生き方をしたと言える。  この「グラン・ブルー」は海に魅せられた二人の男、それに惚れてしまった女性の葛藤を描いている。 何処までも蒼く澄んだ海、全てを飲み込みそうな深淵・・・母親のような海に育ち、その美しさに溺れたくなったのだ。  だが人間は人魚でもイルカでも無い、陸の上で生きることを宿命付けられた存在だ。 ダイバーたちの海への挑戦は、そんな「運命」に逆らおうとする行動なのかも知れない。  二人の男は幼いころから海に生き、海のためなら死んでもいいというほど海に惚れ込んでいた。 彼らの命懸けの行動。 それは青春であり、生きがいであり、母親であり、何より最愛の異性でもある“海”に「認めてもらいたい」という純粋な思いがあったのかもしれない。 まるで恋人を奪い合いうように記録に挑み続けた二人。  ジョアンナはそんな彼らを受け止めきれない。 自分よりもイルカと一晩中たわむれる男なんてそりゃ呆れるわ(ベッドも海もジャックの股間は絶好調)。 そんなひたむきな所を好きになってしまった母性、「あの女(海)からジャックの心を奪えるほどの魅力が自分には無いのでは」と悶えるジョアンナ。 何この三角関係。  ジャックの海への愛着は、ジョアンナには「狂気」に見えたのかも知れない。 水中でイルカと戯れるジャックの無垢な笑顔が何とも言えない・・・海行きたくなった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 21:50:50)
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