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241.  男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋 《ネタバレ》 
シリーズ29作目。寅さんでスズメのアニメーション(白組作画!)が観られるとは。まるでメリー・ポピンズみたいになめらかな動き。 オープニングの歌の間に台詞のある本編ドラマが入っているのも新しい。 そして前作に引き続き、どこか哀愁のあるメロディ。う~ん、今回も悲しい終わり方するんだろうな。 片岡仁左衛門さんは歌舞伎役者か。映画主演作がほぼ無い中、劇中に馴染んだ演技を見せてくれる。貴重な茶碗をもらった寅の雑な扱いにワタワタする姿が面白い。寅が高齢になるにつれ、年齢の釣り合いの取れる(&お客さんの関心を集められる)マドンナとなると選択肢が減ってくるんだろうなって思う中、ゲストで豪華さを見せるのも上手いところ。 あといしだあゆみと吉岡秀隆の北の国から親子共演に思わずニヤニヤしてしまう。  そのマドンナいしだあゆみが、シリーズに異色な印象を見せる。顔より先にカメラが捉えるのは足。加納の家で寝込んで、朝方寅の寝室に入るかがりの足。丹後の実家で再会の時も、階段から降りてくるかがりの足から入る。寅とサシ飲みの俯瞰図もかがりの足がきれいに収まり、子供を寝かしつける時のふくらはぎは、寅でなくてもついドキッとしてしまう。そして階段を登る足。どうしちゃったんだろう?寅さんにこんなにエロ要素入れてくるなんて。 でもね、寅の寝室に入る時は意図的に足を映さないの。もう全身からフェロモン出てるから足は映さないの。寝たフリをしてやり過ごす寅。かがりが出ていく時にようやく足を映すのも上手い。徐々に盛り上がって、頂点迎えて取り逃して、クールダウン。ここで寅の恋は終わってます。  かがりから誘われたあじさい寺デートは、あまりに寅が可哀想な展開。そしてとらやの寅と旅先の寅の描き分けがハッキリしていて、一応旅先に含まれるあじさい寺に、とらやの満男を連れて行ったらどうなるかが初めて観られた。あぁ、こうなってしまうんだ。 そして、こうなることが解っていて、満男を連れて行ったのは、やっぱり丹後で燃え尽きていた自覚があったからなんだろうな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-12-02 10:56:58)
242.  カンフーハッスル 《ネタバレ》 
“功夫”『カンフー』。これは良いとして英題“Kung Fu Hustle”『カンフーぺてん師』??…ハスラーのハッスルだと思うんだけど、こんな訳で良いのかなぁ?まぁ、シンはハッタリだけのチンピラ。豚小屋砦の達人5人も正体を隠してた。最強の火雲邪神も奥の手はインチキ。シンに秘伝書を渡した仙人も…だからまぁ、これで良いのか。  少林サッカーが大好きなので、この作品も素直にハマれました。斧頭会に囲まれて絶体絶命の場面で3人の達人が立ち上がるシーンは鳥肌ものの格好良さ。DVDでここばかり何度もリピートしてしまいます。シンと相棒も安定の面白さ。痛面白いナイフ投げのシーン最高。アイス売りの娘から小銭を奪うところ、相棒がラムネを差し出すところで胸がジーンとなってしまう。 少林サッカーと比べ、序盤のボス殺害シーンがちょっと残酷で少々鼻に付いてしまうけど、琴の暗殺者が猫を切るシーンがまたセンス良くて、ここは良い意味で裏切られた気分。このシーンのミスリードのために序盤に残酷シーン入れてたのかなぁ?って思えるくらい。猫上手い。  漫画チックに脚をクルクルさせてのチェイス・シーンとかは、まぁ、私はあまり得意ではありません。気持ちがすとんと落ちたところで唇ブルブルのシン。こういうのも、ちょっと…達人3人のカンフーは素晴らしかったけど、それを凌駕する大家夫婦のカンフーが体技ではなくCGメインなのも、最初ちょっと残念に思ってたっけ。今ではそんなに嫌いじゃないけど。 火雲邪神は強敵感があっていい味出していたわ。シンとの対決もアツいものがあったけど、やっぱ最後はCG合戦かぁ。 シンは大家夫婦の死んだ息子。って訳じゃないんだよね?たぶん。  ただね、ツッコミどころはいっぱいあるけど、キラリと光るセンス。他の映画じゃやらないであろう、ウケるかスベるかギリギリのギャグ。観終わった後の満足感。笑いあり涙ありの99分間。少林サッカー同様、当時のチャウ・シンチー映画には不思議なパワーがあるんですよ。
[地上波(吹替)] 7点(2023-11-22 22:52:45)
243.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
“男勝りなお姫様”の元祖だろうか。そもそもの初登場が崖の上での仁王立ちである。 ただそっちの画より、湧き水のところで太平と又七が初めて雪姫に会うところ、こっちの画の方が黒沢監督が観せたかったんだと思う。太腿を観せてからの振り向きの構図。脚から胸、顎にかけての女性独特の美しい線とキリッとした顔。この構図一枚こそが“男勝りなお姫様”を表現する画なんだと思えた。宮崎駿監督の“男勝りなお姫様”でよく観た構図のモトは、この映画だったんだと思う。 一国のお姫様だから、その辺の女とは違い、高く綺麗な声質…なのに、男勝りなことを言う雪姫。彼女の独特な話し方は、恐らくそういう演出でしょう。上原美佐は経験不足ではあるけれど、決して実力不足ではないと思う。  一つ不思議に思ったのが、最後に本来の姫の姿の戻ったときの、画面一杯に寄った画が無いこと。落ち延びている最中のキリッとした眉の時とは違い、姫らしく眉や髪を整えた美しいお姫様の顔なのに、何故か寄って撮らない。ここは恐らく、太平と又七側から見た目線のためで、お姫様の顔を間近に観るなんて恐れ多い。という演出かもしれない。劇場の大画面で観ていたら、印象も違ったかもしれないけれど。  戦に間に合わなかった二人の百姓目線で進んでいく序盤はとてもわかり易く、展開も早い。秋月、山名、早川。聞いてるだけではこんがらがりそうだけど、砂に書いた丁寧な領地の説明。そこに放られる金塊。『七人の侍』の野武士の人数同様、解り易く胸躍る演出にグイグイ惹き付けられる。 題名にもなっている隠し砦が燃やされ、最後の抵抗をする秋月の老将らの最後はバッサリ割愛するのも、取捨選択が絶妙と言える。文句なしの前半。  ただ良くも悪くも百姓娘のその後なんかもバッサリ。というのは、少々味気なさを感じてしまった。太平と又七それぞれに金一枚づつあげれば良いのに。なんて思ったりも。いや、そういう予定調和にしない所もまた、黒澤映画の味わい深さなのかもしれない。 後半、三船の馬術の素晴らしさ、火祭りの躍動感に目を奪われつつも、『隠し砦の三悪人』という題名に少々違和感を感じてしまうのも事実。三悪人って誰のことだったんだろう? 普通に考えて太平と又七と真壁なんだろうけど、最後の雪姫・真壁・田所がズズイと寄ってくる場面を観ると、もっと別な解釈もあるような気がしてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2023-11-12 23:39:55)
244.  ガタカ 《ネタバレ》 
“Gattaca”劇中の宇宙局の名前。DNAの基本塩基の頭文字、G・A・T・Cを組み合わせた造語だそう。 核酸塩基には5番目の頭文字ウラシル (U)というのもあって、このUはDNAにはほとんど含まれず、RNAを構成(G・A・U・C)する基本塩基だそう。遺伝情報を永久保存するDNAと、一次保存するRNA…まぁあまり掘り下げてもだけど、不確定要素の話になっていきそうです。  '97年の映画だけど、登場する車が'60~'70年代くらいに作られた、当時考えられていた未来チックなデザインの車。ヘッドライトが何故か緑色。この映画公開時の時間軸の未来ではなく、'60年代くらいから観た未来の世界を、遡って表現したんだと思われる。 だから最後、リアリティある宇宙服でなく、空想科学SFの宇宙旅行らしくスーツで旅立つんでしょう。レトロフューチャー感が味わい深い。  アントンが遠泳で負けたのは、引き返すことを考えたから。そんな考えの「適正者」ばかりの世の中では、想像を超える世の中にはならないんだろうな。 エリートのヒューゴと、彼より年上の部下。彼は不適格者だろうな。だけどこの刑事の直感と執念で事件は解決する。 銀メダルで終わったジェロームの苦悩。適性者が買って当然の競技に、どうして順位を付ける必要があるのか。今思うと対戦相手は不適正者だったのかな。  生まれた瞬間にどんな病気の可能性があって、推定寿命まで伝えられる怖い未来。ビンセントにとって30歳が人生のゴール。 でも、だからこそ、どんな無茶をしても“土星のタイタンに行く”事をゴールに出来たんだろうね。帰ってくることを考える必要のない、片道切符の目標。 あまりお金掛かってないけど、ツッコミどころも探そうと思えばたくさんあるけど、人生が長いから忘れがちだけど、努力の瞬間の積み重ねが夢を叶えることを再認識させてくれる映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-11-05 16:12:48)
245.  男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 《ネタバレ》 
シリーズ25作目。ここらで半分折り返しです。オープニング、華麗な身のこなしをするねずみ小僧。寅の役をスタントマン(だよね?)が演じるのは本作が初じゃないだろうか? 前作でひっそりと初の海外ロケをした寅さんシリーズ。本作はいよいよ沖縄。飛行機嫌いの虎さんも沖縄は初上陸。まだ戦争の名残りが感じられる米軍基地と、チンプンカンプンな琉球語。日本であっても異国情緒が色濃く出た作品です。  ここ最近(個人的に)低空飛行だった寅さん。もしかしたら、この辺でシリーズをお終いにする考えがあったんじゃないでしょうか?そうなるともう、寅に一番近いマドンナ・リリーに再登場願うしかなかったのかなぁ?って。本作を含めてリリー3部作と呼ばれているそうですが、前作“相合い傘 ”で、十分綺麗にまとまっていたと思えます。 リリーとは、最北の北海道で出会い、最南の沖縄県で再会するのは上手な〆方です。またTVシリーズの最終回も沖縄だったとのことで、益々最終回感を強く感じます。寅と一番相性のいいリリー。夫婦のような同棲生活をするふたり。リゾート感満載の沖縄での生活は、まさに夢のようなひと時。現実世界では消して結ばれることのない、でも相思相愛のふたりにとって、本作自体が夢物語のようなポジション、リリー前後編の番外編ポジションのように思えます。  悲しいのは、この同棲の中でも、寅は一人でふらりと遊び歩く毎日。終いには些細なことで大喧嘩してしまいます。夢の世界でさえ上手く行かないふたり。当然、現実世界で上手くいく筈もありません。 「リリー、俺と所帯持つか?」寅がこれほどしっかりと、言葉に責任を持って、真剣に告白するのって、本シリーズ初じゃないでしょうか?冗談として返すリリーが“相合い傘”のアンサーにもなってますが、このシリーズ全体の寅次郎の結末にも思えます。 旅先のバス停。爽やかでカラッとした心地よい再会が、寅とリリーにとって結ばれる以上に幸せな関係に思えてしまう。 こんなの観せられると、これでシリーズが終わりだとすると「あぁ、綺麗に終わったなぁ」って思えたことでしょう。 だけどシリーズはもう半分続きます。そして私も観続けます。 数え間違いじゃなければ、本作まで観続けてるレビュワーさん、私含め16名。さぁこれからも楽しもう!
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-11-04 00:22:32)
246.  カサブランカ 《ネタバレ》 
“Casablanca”邦題まま。モロッコの大都市。当時はフランス領で、戦時中は仏が独に占領されたため、ヴィシー政権下。 学生時代、ハンフリー・ボガート(ボギー)って名前だけは結構知られていて、映画観たこともないのに、渋くてかっこいい男の代表みたい扱いだったわ。 名台詞『そんな昔のこと覚えていない』『そんな先のことは分からない』、そして『君の瞳に乾杯』は、40年以上経った日本の高校生でも知ってました。もちろん映画から直接でなく、バラエティ番組や漫画からとかだけど、それでも凄い浸透具合。 初見は割と最近。バーグマンとボガードではかなり年齢差を感じてしまったけど、ボギー当時まだ42歳か、あの渋さで私より年下か…  さて劇中4回も出てくる『君の瞳に乾杯』(※私が観たDVDでは1回めは『謎の美女に乾杯だ』だった)。“Here's looking at you, kid.”は「君のような可愛い子を見つめることが出来ることに(乾杯!)」みたいなセリフですね。つまり『君に逢えた(これから先の)俺は、なんて幸せなんだろう』って意味だと思いました。1度めは出会った時。2度めはパリを旅立ち結婚しようとした時。ともに回想シーンです。 3度めは現代のカサブランカで、ラズロとの間で揺れ動くイルザに言うセリフ。自分のもとに戻ってきたイルザに言うので、復縁の意味にとれますが、リックの表情を観ていると、前2回のように笑顔はありません。自分が今後どうするべきか、頭では解っていたんだと思います。 そして4度め、別れのシーン。パリの思い出を胸に生きていく事を決めたリック。イルザの居ないカサブランカで、ずっと時が止まっていたリックが、いよいよ、この狂った世界で自分がするべき事の為に立ち上がります。 “As Time Goes By”『時が経っても』イルザに逢えた幸せは失われない。という考えに至ったんでしょうね。  プロパガンダ映画として、自分の国土を守るためとか、直接的な利益が手に入らないながら、ヨーロッパでの戦争に参加するアメリカの立場として、正義という名の美学のための参戦というのが、イングリッドの次回作『誰がために鐘は鳴る』と被る部分だわ。 ドイツ軍人の合唱「ラインの守り」を打ち消すフランス人たちの「ラ・マルセイエーズ」の大合唱。シンプルながら自国を思う気持ちを高揚させる。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-23 23:50:03)
247.  男はつらいよ 噂の寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ22作目。寅がとらや以外の場所で家族と久しぶりの再会をするのは、今回が初じゃないだろうか? バスの中で博の父と再会するのも、いくら何でも偶然が過ぎる気がするけど、まぁマドンナ(&登)とは結構あるパターン。 今昔物語で自分の人生について考え込んでしまう寅が可愛い。人に聞いた良い話が寅が話すと別な話になるのが面白い。今回は怪談話か。思いっきり聞き入ってしまった。さくらの「あら虚無僧」で吹き出したわ。 仮病の寅が救急車で運ばれる。臨場感ある俯瞰図と困ってキョロキョロする寅がまたヒット。今回笑いのツボが私に合ってる。  大原麗子はCMなどで観るイメージ通りの大原麗子。まさに可愛い大人の女性。なのに男はつらいよの世界観から浮くことなく上手く馴染んでる。 お弁当食べて「あは…見ないで!」の色っぽさ。三角巾を結べず「寅さんあたし泣きそぉ…」のエロさ。帰ろうとして立ち上がりおばちゃん(!)に抱きしめられる躰の細さ。ぱっと見何でもないシーンなのに、これだけ伝わりやすい色気を感じさせる女優さんは他に居ないんじゃないだろうか?  ついでと言っちゃアレだけど泉ピン子も当時(渡鬼以前)のイメージ通りのピン子だったわ。最初だけ登場かと思ったら、また美味しいところで出してくる。 「離婚、離れる、切れる、別れる。この手の言葉は一切使わない…」このパターンも久しぶりな気がする。シリーズ初期を彷彿とさせる丁寧な出来。マンネリも適当に創れば適当な出来になるし、しっかり創ればしっかり面白くなるんだな。 久しぶりの飃一郎。博の家で居心地悪そうな空気なのに、寅が来ると知るとパァッと明るくなるのが可愛い。 添田の後を追うよう早苗を諭し「(話は)明日聞くよ」と言いつつ旅に出る寅の不器用な優しさがとても沁みる。寅さんスタンダードな作品にして、寅さんの魅力がギュッと詰まった作品。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-10-16 22:55:31)(良:1票)
248.  A.I. 《ネタバレ》 
“Artificial Intelligence”『人工知能』。今さらだけどそのまんまだったんだ。 スピルバーグの代表作“E.T.”を彷彿とさせるタイトルから、相当な意気込みで制作された作品だったんじゃないだろうか? キューブリック原案の作品とのことで、もしキューブリックが監督していたなら、ブルー・フェアリーに祈るデイビッドのその後がバッサリ無かったんじゃないか?とも言われているけど、もしかしたら常人には理解不能な2000年後が描写されて、頭ん中“???”状態のエンディングになってたかも? でもスピルバーグだから、常人が納得できる『めでたし、めでたし』なエンディングを用意出来たようにも思える。  食事中急にツボに入って大笑い。モニカをママと呼び方を変えたのに、ヘンリー(父)はヘンリーのまま。自分じゃ靴紐も結べない子供。純粋に母の愛情を求めるデイビッドって、もう人間の子供じゃないですか。ちなみに私は劇場で観た時、テディが髪の毛を一房出した時、ボロ泣きしてしまいました。 髪の毛に残るモニカ記憶は、まだデイビッドに危険を感じる前の記憶。だからモニカはデイビッドに無条件に優しかったんだと思う。  神が人間を造ったように、人間がロボットを造った。 未来のロボット(スペシャリストだって)は人間を観たことがなく、かつて人間と接していた最後のロボット=デイビッドを通して、初めて人間を観る。 人類はとっくに滅んでいるけど、クローン技術で人間を作り出すことは出来るけど、彼らスペシャリストにとっては、クローンよりデイビッドの記憶こそが、貴重な人類最後の足跡だったんだろう。 スピルバーグ作品だけに、クローンのT・レックスよりヴェロキラプトルの鉤爪の化石のほうに価値を感じる博士のよう。 クローンのモニカを眠らせ、デイビッドも人間として眠り、ここで人類の歴史が終わる。 この映画がどこか物悲しい最後なのは、この先、ロボット達からは何も産まれないからかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2023-10-16 21:59:50)
249.  愛しのローズマリー 《ネタバレ》 
“Shallow Hal”『薄っぺらい(=うわべだけの)ハル』。太った子が薄っぺらに見える。…なんて意味はないだろうけど。 ハルにとって初見の人“だけ”内面の美醜が外観に反映されるって設定が面白い。初めて会う社長夫人はスマートだから、ローズマリーは父親似だと思ったわ。催眠術を解かれてからの婦人はぽっちゃりしてて、あぁこの婦人の内面の綺麗さが遺伝したんだな(父親からは頭の良さを)。そして両親の遺伝子と、たぶん止める者の居ないハイカロリーな食生活(家政婦ヘルガさんも同じような体型)が、ローズマリーをあの体型にしてしまったんだろう。  恐らく催眠術中、内面がきれいな美女は美女のまま。内面が汚いブスはブスのまま。なんでしょうね?たぶん。 小児病棟の件。大人の女性と違い、少女は催眠術で美人にもブスにもならず(病棟には小太りの子も居たね)、ただ火傷が消えただけ。 前回と同じく接しようとするハル。少女の真実に驚きながらも、まっすぐ少女の目を見て話すハルに、何度観ても涙が出てきます。  ハルは心から美女だけを狙っていたわけではなく、父親の遺言『美女をモノにしろ』が強い暗示になっていたんだろうね。催眠術に掛かったハルにはローズマリーが『とびきりの美女』に見えていた。正直この段階で、内面の美しさは二の次だったようにも思う。彼女と一緒に居て楽しい。それだけだと。 催眠術が解かれた際に、『美女をモノにする』という父親からの呪縛も一緒に解けてたんでしょう。外見とか内面とかでなく“ただ愛する人とずっと一緒にいたい”という事に気がつく、良い終わり方でした。  表向きは太った女性がハルにだけ美人に見える、そのギャップを楽しむ単純なコメディ作品。この作品はほんの22年前なんだけど、最近は人の見た目を表立ってネタにするのがタブーな時代になってきた気がします。今はブスとかデブとか言うことに厳しい時代。美人とかカワイイとかは当時とほぼ一緒なのに。当時と今と、どっちが息苦しい時代なのか、ふと考えてしまいます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-09-27 21:48:14)
250.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
“The Imitation Game”『模倣ゲーム』。コンピューターに人間らしい回答をさせて、人間臭さの精度を見るテスト。って解釈かな?それで良いのかな?まぁまとにかく、主人公アランが嫌なヤツとして確立していて、この人を主人公にして感情移入できるのかなって不安になる出だし。 ギスギスしたチームにジョーンが加入、まさに人間関係の潤滑油。研究とは無関係な場所からヒントを得て(よくある展開といえばその通りだけど)の、困難を乗り越えての解析装置完成は、どんよりした空気が吹っ飛ぶカタルシスを感じました。 …まさかここからが真のドラマの始まりだったとは。  大局的な勝利のために助けられる味方を見殺しにする。神の目を持ちながら感情に流されず、必要最低限の情報利用に留まることは、どれだけ心身が疲労することだろうか。信頼できる仲間がスパイ。ナチスはいま戦っている敵だけど、将来はコミュニズムとも戦う時代が来る。敵にバレちゃ不味い機密情報を仮想敵のスパイが共同制作している。あぁこれこそ、タイトルの『イミテーション・ゲーム』だな。  可能性だけど、どこかの戦闘で暗号機と暗号解読員が奪取されて、ドイツ軍が“送った暗号が筒抜けになった可能性”を考えて、アランたちとは無関係に、新エニグマを開発する可能性もあっただろう。もしくはエニグマ解読を大々的に活用したとして、ドイツが次なる暗号機を、すぐに作ることが出来ただろうか?伸び切った各戦線に暗号機を配備して、誤用・誤解釈なく運用できただろうか? アランは青酸カリ入りのリンゴをかじって死んだそうな。彼の死から30年後にかじられたリンゴがトレードマークの『マッキントッシュ』が世に登場する。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-09-25 01:26:33)
251.  E.T. 20周年アニバーサリー特別版 《ネタバレ》 
~E.T.の続き~  DVD買ったらコレでした。特別版の存在自体知らなかったから、観てて徐々に違和感を感じました。なんか、E.T.表情豊かでない?アップのシーンで瞳孔が収縮するのが、コレ当時の技術で出来ないでしょ。って。 E.T.はパペットの創りものだけど、CGで上書き修正されたコレは創りものの造り物感が強い。E.T.の豊かすぎる表情が、公開当時の『何考えてるのか解らない感』が減ってしまっている。 自転車のシーンとかは今の技術で特撮ぽさを減らしたほうが良いかもだけど、E.T.の顔をいじっちゃダメだと思う。 オリジナルをもう何年も観てないけど、今観たらよりショボいんだろうか?それでも、本作に限ってはオリジナルを観た方が良いと思うなあ。  装置を作ってエリオットと一晩森で過ごし、どこかに消えてしまうE.T.の謎。特別編でバスタブに入るシーンが追加?されてるらしい(オリジナルではどうだったっけ?)けど、ここにヒントがあると思いました。 E.T.にとって水に浸かることは、一種の治療なんじゃないかな?地球の大気で体調を崩したE.T.は、治療のために水場を探し、浅い川を見つけて力尽きます。水では治らない病気(感染症だろう)だったんだろうね。 E.T.を治療する科学者たち。治療をしつつ、E.T.の言葉をマイクで録ってるのがリアル。一方で「少年は助かります。でもE.T.は絶望的です」科学者の女性の声だけど、宇宙人のことを、子供が名付けた“E.T.”って呼ぶところに、凄い思いやりを感じました。彼らは悪い人たちではない。でも宇宙服で家を取り囲んで、ママたちを怖がらせたのは、ハロウィンのジョークにしては、やりすぎだぞ。  一度死んで生き返る謎。地球に戻った母船から遠隔で治療を受けた。ってことになると思います。それか少年の…愛? 嘘だろ?リアリティ無いぞって思った。E.T.をトラクタービームで引っ張る技術もない宇宙人なのに。 でも近年の『置くだけで充電できるiPhone』の技術に、遠隔でエネルギーを送るくらいは出来そうだなって思うようになったわ。 そういやE.T.胸とか指が光るもんな。E.T.って、純粋な生命体でなく、宇宙人が創った調査ロボット、生体端末なんじゃないかな。バッテリー切れで動かなくなって、母船からの遠隔充電で復活…なんて夢がないかな。 最初置いてけぼりにされるE.T.。森の中を走って逃げるけど、そういやあなた飛べるでしょ。子供の乗った自転車5台も飛ばしたでしょ。その能力で母船までビューンと飛べば…これも夢がないかな。 エリオットが愛称に“イーティー”を採用した謎だけど、もしかしたらE.T.が発音しやすい言葉だからかも?彼らはテレパシーで話すから、言葉はカタコト。イーティーは比較的言い易いから、エリオットにそう呼ぶようテレパシーで…  銃を無線機に変えてたのは気が付かなかったわ。ここは銃でいいと思う。これまで宇宙人と言えば地球を侵略しに来るのが定番なんだし、警官たちは『捕まえた宇宙人が生き返って逃げた!』って情報しか無いだろうから、街を守るために銃を構えるのは仕方ないことなんだ。E.T.は友好的な宇宙人の代表で、“侵略しない宇宙人映画”の歴史的ターニング・ポイント作品。宇宙人への古い考えの象徴として、銃のままが正解だと思うなぁ。  父親が出ていった家庭の、エリオット少年の成長物語。兄のオマケ的な存在だったエリオットが、仲間を率いてE.T.を逃がす。E.T.は友達であり、父親代わりでもあったと思う。『イコウ』と誘われるエリオットの心に、メキシコに行った父と、隠れて涙を流す母が浮かんだんでしょう。 ガーティの「ここにいたわ!宇宙人よ、ママが殺しちゃった」ここメッチャ可愛くて大好き。そして死にかけたE.T.に電気ショックを与えるのを見て泣き出すガーティ。子供が“死”とはどういう事かがわかった瞬間。スピルバーグの夢と現実のさじ加減が絶妙です。
[DVD(字幕)] 7点(2023-09-09 11:22:54)
252.  インデペンデンス・デイ 《ネタバレ》 
“Independence Day”『独立記念日』。アメリカがイギリスから独立した記念日です。 宇宙人の地球侵略を、これでもか!ってくらいストレートに表現し、大迫力の都市破壊シーンを映像化した映画の元祖かもしれません。都市を飲み込む巨大な円盤。どう考えても勝てっこない相手に、現役のF/A-18が果敢にも戦ってます。 当時のCMを観て、劇場の大画面と大音響サラウンドで観てこそ、この映画の価値は最大限に活かされるであろうことは、想像するまでもないことでした。 うん、後日テレビ放送も観たけど、F/A-18が母船のバリアに突っ込んで爆発するシーンなんて、ハエが飛んでるくらい小さく観えたわ。  序盤は“もし、巨大なUFOが現れたら、政府はどうする?”を、結構リアルに表現できていたと思います。偵察機を飛ばしたり、ヘリで歓迎の意を示してみたり、UFOに発砲しないようニュースで呼びかけたり。民主主義国家は未曾有の出来事に対し後手後手に回ってしまうのは、先の震災でも体験したとおりです。だけどそこはアメリカ(製の映画)、一方的にやられてからの反撃の決断が早い。当時、それまで再現されたことのなかった物量攻撃。でも流石に最終手段の核を使うまでは悩むんだな。そして核さえ効かない絶望感。さぁどうなる? 初期のCGでスター・ウォーズ並みに迫力のドッグファイトを観せてくれるけど、都市破壊映像はミニチュアのビルの模型を使ってるのが凄い。ビルの砕け方とか、いまのCGじゃ再現できないハリウッド職人の技術を感じてしまう。 色々飛ばして大統領が「インデペンデンス・デイ!!」「うぉお~~~!!!」ってトコ大好きです。本作の『最終決戦。リーダーが演説で兵士たちの士気を高める』シーンの中で、この映画の右に出るものはないかもしれません。今でも娯楽番組で使われる劇中音楽も良いよね(大統領の紹介とかでよく掛かるイメージ)。そしてやっぱり親父の特攻はホロリと来てしまう。ここを観ないとこの映画は終われない。  テレビのUFO特番でよく聞いたエリア51とかロズウェル事件とかを“劇中ほんとにあった話”にしたのは斬新…というか、劇場で観ていた当時、まさかこの映画で矢追純一な設定持ってくるなんて思ってなかったわ。 まぁ一見陳腐な設定に思えたけど、変に新しい設定創って話を難しくするより、誰もが知ってるミステリーから引っ張ってきたほうが分かり易いよな。だって派手な破壊シーンを楽しむ映画なんだし。 エリア51のクリーンルーム。完全防備の研究員の奥からマスクすらしてない白衣の博士が…。デビッドが反撃を思いつてから、トントン拍子に一晩で色々諸々が完成。ウイルスが効くなんて敵の母船はマイクロソフト製か?小型UFO、宇宙人もテレパシーでなく手動で操縦してたの?研究施設なのにどうしてUFOの射出カタパルトみたいになってるの?大統領が戦闘機で出撃なんてブッ飛んでんなぁ… 敢えて残したと思えるくらいツッコミどころは多い。けど、面白かった。
[映画館(字幕)] 7点(2023-09-06 22:40:32)(良:2票)
253.  男はつらいよ 葛飾立志篇 《ネタバレ》 
シリーズ16作目。前作が名作とは言え、寅もリリーも可哀想で、心がヒリヒリとなる作品だったため、本作の“寅さんスタンダード”な明るさは、一服の清涼剤に思える。もっと言えば普段以上にとらやの修羅場が(極力)回避された回に思えた。 オープニングは前回同様凝った作りで、メキシコ風ウエスタン。寅の夢だからかな?さくらはいつも可愛く、タコ社長は何故か悪いやつの側で、社長なのにボスではない。さくら歌上手いなぁ。  順子の「たいてい500円ですけど」に「やっぱり寅ちゃんかねぇ?」で吹き出した。今思うと、500円札って惜しげなく出せる、気を使わないで受け取れるコミュツールとして優れていたなぁ。500円玉だと有り難みが落ちる。「お父さんなの?」でつい流れでうなずいてしまう寅も可愛い。 御前様の身内がとらやに下宿するのは2回目。どっちも勉学に励む人(甥の岡倉金之助は東大理学部助教授、親戚の筧礼子は東大考古学の助手)。で、岡倉役の米倉斉加年 が交番のお巡りさんで出てくる。後で知った「クッククック♪」のシーン、無かったと思うなぁ。版権の問題かな?(※BSテレ東)  やっぱりスポンサーしてたブルドックソース。四角いボトルのパッケージが約50年前の劇中と今と、ほとんど変わりないのが脅威(※と思ったら最近リニューアルしたらしい)タコ社長がとんかつソース舐めてたけど、私もやったなぁ。ママンに怒られたわ。 交番にチラッと写った指名手配犯『桐島聡』の写真。これも、今とぜんぜん変わらないなぁ。 小林桂樹が日本沈没と同じ田所って名前なのも嬉しいツボ。時代に合わせて新しい笑いを追求しつつ、悪ノリで基本路線を踏み外さないさじ加減が、男はつらいよは上手。  さて礼子先生はてっきり田所先生のプロポーズをウケたものだと思ったから、寅に話すとき、私も寅と同じ勘違いをしていたよ。観返すと「結婚を申し込まれたの」って。あぁ、人生の考え方に迷いが出たって話してるんだけど、“結婚”ってパワーワードでその先が頭に入ってなかったわ。あといつものパターンだなって思い込みを利用した、高等なトリックなのかも?頭真っ白でも寅が礼子先生に掛ける言葉の暖かさが素晴らしい。 『男はつらいよを数作品だけ観てみたい』って人に、自信を持って勧められそうな作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-09-03 15:20:53)
254.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 
“Butch Cassidy and the Sundance Kid”『ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』。どうしても『俺たちに明日はない』と比較してしまうし、邦題も意識して付けたと思われる。 観終わった後スカッとするでなく、ズウ~んと重たくなってしまうアメリカン・ニュー・シネマ。ベトナム戦争で世の中が暗くなってるから創られたというより、まだ全体的に明るい世の中に『一部暗い影も落ちてるんだよ。』って気付かせる目的の作品。言い換えればまだ世の中に“打たれ強さ”があるから創れた作品だったんだと思う。打ちのめされてたら、暗い結末の作品は敬遠するものね。  その日暮らしの強盗ブッチとサンダンス。どっちつかずなエッタとの関係。流行り物の自転車。将来に夢を抱けないアメリカの若者のような2人。追いかけるピンカートン探偵社。逃げても逃げても追ってくる彼らは、さしずめ当時の若者の、不安な未来の象徴だろうか。  夢のゴールドラッシュに湧くボリビア…とその前に最先端のニューヨークで遊ぶ3人を写真で見せる演出が見事。そして好き勝手やってきた若者が、現実から逃げて辿り着く先に相応しい極貧のボリビア。 結局はケチな強盗に逆戻りしてしまい、エッタも呆れて変える始末。より悪くなった状況に追い打ちをかけるような包囲網。こんな状況でも夢を語る2人に、当時どれだけの人が共感しただろうか?なんかこの2人から漂う「明日から本気出す」オーラが強い。  地元警察を相手に「レフォーズ保安官じゃないなら勝てる」「今度はオーストラリアに行こう」でも警察は軍隊を呼んでいた。飛び出した2人の静止画に、響き渡る多数の銃声。 容赦ない最後の姿を観せた『俺たちに…』に対し、観せなかった本作。まるで世間を知らない半人前(泳げなかったり、人を撃ったことがなかったり)の若者が、突っ走った挙げ句の最後、「カッコ悪い死に様だけは観ないでくれ」って叫びにも思えた。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-09-02 18:01:25)
255.  アビス(1989) 《ネタバレ》 
“THE ABYSS”『深淵』。底なしの海溝の底には何があるのか? この作品は、中学校の授業の一環で観ました。平日、学年全員で映画館に映画を観に行くなんて、ウチの学校だけだろうか?そういうイベント今でもやってるのかなぁ?先生は無難にBTTF2(前年末公開)にしようとしたそうだけど、人気作だったし観たい人はもう観てる状態。映画授業は2月末。そこで無理を言って、まだ公開前の本作を観せてもらいました。先生と劇場に感謝。 当時、深海/海洋映画が立て続けに公開されて、それがたまたま2作品続けてホラー映画。「また海洋モノか」って、食傷気味ではあったけど、そこはあのJキャメロン監督。しかも初のオリジナル超大作。期待が高まる。  ヘリから降りる軍用ブーツ、軍用ブーツ、軍用ブーツ、スト足パンプス。これだけで掴みは充分だ。そしてキャメロン監督らしく、しっかり“強い女”と“自己犠牲”を抑えています。 リンジーが自分を溺れさせて後に蘇生させる提案の奇抜なこと。それでいてあの状況で2人とも助かる可能性を考えると、最適解と思えること。かと言ってバッドにもリンジーにも辛い選択なこと。 延々と深い海中に沈んでいくバッド。信管解除から残り時間を見ての「片道切符は覚悟の上だった」。これを無機質なタイプ文字で観せる演出も見事。あれだけの人が見守ってるなら酸素残量がどこで半分になったかも解って当然だろうに、演出が上手い。 離婚寸前の夫婦、夫婦ともに死を体感するが、その過程もタイトルの『深淵』(夫婦の深淵、生命の深淵)に掛かっているのかも。  最新技術。先の海洋ホラー2作品に比べても海の中のシーンが多かったように思う。ディープコアに潜水艇、液体酸素と宇宙服のような最新潜水服といった、ちょっと未来の技術(現実にはあるのかなぁ?)が凄い。縦横無尽に動く潜水艇のチェイスは、海中だけにちょっとモタモタ感があるけど、なかなかの迫力。この撮影のために原発の廃炉で作った超特大プールを存分に活かした撮影は圧巻。 そしてヘビ状の水(みんな何て呼んでるの?)が人の顔にモーフィングするCG技術。メカ物以外でこれだけ自然なCGが映画で出たのは初めてだと思うし、この映画からT2が産まれ、この応用でジュラシックパークが産まれると思うとメチャクチャ胸熱。映画の新時代を体験出来た喜びが大きい。  唐突に姿を見せる深海生物。ここがどうにも処理しきれない。たしか当時は宇宙人と取れる訳し方をしていたはず。どうしてリンジーは海底で不思議な物体(小型偵察機っぽいのと飛行機っぽいの)を見たからって、即宇宙人に結びつけたのかが意味わかんなくて…素直に考えたら海底人じゃんって。 リンジー「Non-terrestrial Intelligence」を“地上(陸上)以外の知的生命体”と素直に訳してくれたら良かったけど、“地球のものではないわ”とか“エイリアン”とかって訳してた(と思ったうろ覚え)から、宇宙人が何でわざわざ海底に?ってなるよね~。でどうしてリンジーは突然宇宙人って力説してるの?って事になっちゃったんだと思うんだわ。英語圏ではこの混乱はなかったのかなぁ?  普通に海底サスペンス(地上からの孤立。減っていく酸素。SEALの暴走)で面白いのに、目的不明な深海生物。劇場版でバッドを助けたのは解るけど、その後母船でディープコアを地上まで持ち上げる“おせっかい”に、「おいおいやりすぎだろう」って思ってしまった。 そしてここでも“宇宙からの移住者だ”って字幕が。宇宙なんて言葉は出てこなくて“彼らは暫くここに滞在していたようだ”って言ってるだけなのに。 もうすこし現実的な解決策を観せてくれたら、作品の評価ももう少し上がったんじゃないかな?  ~続きは『アビス/完全版』に~
[試写会(字幕)] 7点(2023-08-28 22:48:29)
256.  アイ,ロボット 《ネタバレ》 
“I, Robot”『私、ロボット』。アシモフ博士の同名の短編『われはロボット』の原題まま。SF好きならちょくちょく耳にする『ロボット三原則』もこの作品から産まれた模様。原作はロボットに関するスーザン・カルヴィン博士の回顧録なんだって。面白そう。 ウィル・スミスのSFモノにしては結構シリアス路線。事故で女の子でなくスプーナーを救ったNS-4。あぁ、感情のないロボット君は現実的にそっちを選んでしまうのか。三原則ネタの一つとして、なるほど!って思えた。  NS-4は昔ながらの人間の役に立つロボットって感じで、無表情なのに温かみが感じられる。廃棄されて倉庫でじっとしてるNS-4の哀愁。襲われるスプーナーを助けようと新型に飛びかかる様子型がとっても健気。 でもNS-5は不気味だなぁ。どう考えても日本で売れるデザインじゃないなぁ。でもそんなデザインも、当時、新時代感を出すための工夫だったんだろう。 ストーリーはシンプルで、登場人物も少なくまとめられている。ロボット嫌いなスプーナーの奥の手、片腕サイボーグの出し方も上手い。何よりカメラワークもグルングルン動いたりする割に観やすい。余計な情報を入れすぎない作りに好感。  ヴィキのような中枢コンピュータって、大抵のSF映画で悪者になる。この大モトを倒さなきゃいけないんだけど、映画後半の人間 VS NS-5みたく、末端機械を相手に原始的に力で戦うんだよね。 この映画から19年。便利なロボットが街を歩く未来にはなってないけど、1人1台スマホを持って、そこから得られる検索結果やニュースを事実として信じる時代。なんか気が付かないうちにアッサリ支配されてそう。怖い怖い。
[地上波(邦画)] 7点(2023-08-27 17:22:31)
257.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 
日本でまとめたVol.1と、アメリカでまとめたVol.2。公開当時は雰囲気がガラッと変わった印象だったのと、1が予想外に観る人を選ぶ作品だったため、2観てないよって人も多かったと思う。日本が舞台じゃないのが大きいかな。私も2は観に行ってない。でも充分に面白かったわ。 ただ1で日本らしいアニメパートを入れる嬉しい力技があったのに対し、バイオレンスアクションも抑え気味で、正統派ハリウッド・アクション映画になってた印象。回想で中国が舞台だけど、中国らしいワイヤーアクションも1で出しちゃってるしなぁ。  序盤に観どころが集中していて、棺桶に閉じ込められるシーンは観ていて息が詰まる怖さを感じたわ。そして修行時代の回想に入ってからの脱出は、何故だろう涙が出そうになる。前作の病院からの脱出もそうだけど、彼女の過酷な修行と身体能力が、絶体絶命の状況から彼女を生かす。大袈裟に言うと命のしぶとさを観せてくれるから、なんか泣けてくるんだよね。 エル戦の格好良さ。狭い室内での半蔵の刀の斬り合いは大迫力。フィニッシュが中国拳法なのは、前作との棲み分けとして機能してたかな。  ここまでガンガン盛り上げて、さぁいよいよビル戦、どれほどの激しい戦いかと思いきや、アッサリ。五点掌爆心拳がそういうワザだからだけど、エル戦以降静かな展開だっただけに、静かなまま終わってしまった印象。ビルの過去を知るエステバンのパートの必要性がイマイチ解らず。妊娠した時に襲撃したキムはいい味出してたわ。 1本の映画を2本に別けたなら、せっかくだから後半にもうひと盛り上がりあってもなぁって思ってしまうけど、あったらあったでクドかったかも? つまり、これでいいんだわ。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-27 16:33:17)
258.  アウトブレイク 《ネタバレ》 
“Outbreak”『感染爆発』。新種のウイルスが街機能を崩壊させる映画(否ゾンビもの)として、真っ先に思い浮かぶのがこの映画です。いつもの街に細菌が蔓延して、見知った町の住人が次々と死んでいき、自分たちを守るべき軍隊には銃を向けられる。公開当時は今まで体験したことのない恐怖として、自分の街で起きたらどうなるだろうか?って、メチャクチャ怖くなりましたね。 映画の中の出来事が現実に起きるなんて。新型コロナウイルスがどんどん広がっていく過程は、この映画を追体験するような怖さを感じました。  '60年代、内戦激しいアフリカの奥地で発生したモターバ・ウイルス(やっぱ地名なんだな)。全身から出血した死体の痛々しいこと。それをハッキリ観せるのではなく、防護服のバイザー越しに観せるなど、見た目の怖さに頼らない工夫が上手い。ウイルスに対する血も涙もない解決方法もショッキング。 そして何より、30年近く前の、ザイールのモターバ川流域という、地球の裏側の生活に何の影響もない地域で起きたウイルスという設定が、感染の恐怖感を鈍らせる。国内の細菌は『安全レベル1~4』と完全隔離されているのも上手い観せ方。 あれよあれよとウイルスが国内に持ち込まれ、変異株化して広がっていく恐怖。後手後手の感染経路特定。気がつけば街を閉鎖するしか無く、気化爆弾で吹き飛ばすしか解決策もない。  政府の決断も怖いけど、イチ住民目線で体験する怖さが秀逸。感染して軍のジープで運ばれるお母さんとそれを見送る父と子のシーンは何とも痛ましい。コロナが大流行したときは、世界がこの映画みたいになるんじゃないか?って思ったわ。 宿主をサルに絞って、信憑性の低い視聴者情報からすごい確率でサルを発見、捕獲、血清作成、効いたー!!の流れは娯楽映画丸出しだけど、トータルでいい塩梅で楽しめました。爆撃担当パイロットの選択も粋だね。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-24 19:41:11)
259.  プレデター 《ネタバレ》 
“PREDATOR”『捕食者』これは良いタイトル。地球上の食物連鎖の頂点と言える人間。ただし道具(武器)を使うことが前提なんだけど、それを上回る地球外の知的生命体との戦い。 そして最後は人類最強の男(シュワルツェネッガー)と生身でぶつかり合う。アツい。夏向きのアクション映画ですね。  学生当時、友達の家の映画鑑賞会で観ました。みんなでワイワイ「シュワにアポロに安岡力也に宍戸錠。マルシアも出てくるぞ」なんて楽しんでましたよ。ただ対ゲリラ・パートは結構グロいんですよね。まだホラー耐性の弱い私は、最後まで観られるか、正直自信が無かったです。 で、最初にあのモザイク宇宙人を観た感想は『ショボ…』でした。でも今思うと、凄く良く出来てました。まだ攻殻の熱光学迷彩が世に出る前。しかもCG全盛になる前の時代。特撮であの光学迷彩を表現してたって思うと、時代を先取りしててスゴいの一言。 そして河童のようなアーマー姿に『・・・弱そう』。う~ん…当時のSFだから、こんなモンかって思ってました。で、マスクを取った姿に『ウゲッ!グロ!キモッ!!』って。 あのグロい顔の造形も素晴らしく、映画の宇宙人キャラの中でも、かなり知名度高いんじゃないかしら?エイリアンに匹敵する造形だと思います。  凄くシンプルなストーリーも好感度高いです。シンプルなんだけど、実は最初要人の救助のハズが、ゲリラ殲滅&機密情報の奪取になり、何故か謎の襲撃者からの脱出劇と2転3転してます。いま同じ内容で映画を作ると、回りくどい説明とか伏線とかが入ったりして上映時間が長くなりそうですね。 特殊部隊員はキン肉マンばっかり。ジャングルを行軍するにはカロリー消費量とスタミナ面が心配になるけど、冒頭のダッチとディロンのアツい握手でリアリティなんてアッサリ吹き飛びます。 「血が流れるなら殺せる」「銃を持ったものから先に殺す!」「(泥で)見えないんだ」こんなセリフからもシンプルに観せる工夫が感じられます。  ヘリでジャングルを後にするダッチのエンディング。アンナその後どうなった?とかプレデターの正体とか全無視のとってもシンプルな終わり方。これはオープニングで宇宙船からジャングルに射出されるプレデターと対になってます(※ダッチ達もOPで、ヘリでジャングルに来ますね)。ジャングルというリングで、勝者のみがリングを後にする。みたいな。 ほんとね、こういうので良いんだよって言いたくなるアクション映画。
[ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-02 23:18:39)
260.  遠い夜明け 《ネタバレ》 
“Cry Freedom”『自由を叫ぶ』。邦題も良いタイトルです。 社会科の授業で、アパルトヘイト政策なんてものが、この世の中にまだ存在していることに驚いたっけ。大学時代、ピーター・ガブリエルにハマり、ビコの存在を知ったんだわ。そしてこの映画の7年後に政策が撤廃されたのにも驚いたっけ。ただこの映画、私は相当怖い映画だと思っていました。実話系の人種差別モノ=人を人と思わない殺人描写がいっぱい。そんな先入観から、鑑賞したのは今回初です。  私はこの映画の、前段に興味が湧きました。貧しい家庭に産まれたビコが、如何にして反アパルトヘイトに目覚め、活動の中心人物になっていったのか。それとアパルトヘイト真っ只中の南アフリカ生まれのウッズが、如何にして黒人に対し中立なスタンスを取ることが出来たのか。人間は弱いもので、自分が優位な立場でいる以上、自分を貶めてまで他者を救う行動は取りにくい。まして差別対象の黒人に対し、白人のウッズはどうしてあそこまで戦えたのか。  前半のドキュメント映画な展開から、ビコが殺され、今度はウッズがビコと同じ監視される立場になります。後半は家族の脱出劇に変わります。原作の著者自身の物語だけに、映画的にスリリングな展開です。 時系列的に最初の方に出てくるべきソウェト蜂起は、映画の最後の方、ウッズの回想として出てきます。蜂起の映像にはビコもウッズも出てこないけど、映画的にはそれぞれの当時の感情や動きなどを描いてもらえると、2人の人物像がより解りやすかったかと思います。  この映画で妙に印象に残ったのがクルーガー長官の歴史の話。「1652年にこの地に白人が来て、荒れ地を耕し町を作った。この地を植民地にしたのではなく築き上げたんだ。それをビコは手放せという。」確かに、300年以上掛けて、白人が住みやすい街に作り上げたのが、今の南アフリカ。白人が1994年まで、時代錯誤なアパルトヘイト政策を続けた根深い理由が、そこにあるんだなぁ。 この映画を観て平等の大切さ、差別される側から観た人種差別の理不尽さを学ぶとともに、昨今の過剰なポリコレ風潮には嫌悪感を抱いてしまう私って、根底ではこの映画の時代の白人と大差無いのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-26 23:42:36)
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