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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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281.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
 昔から庶民の視点で描かれた怪獣映画が好きで、政治家や役人や自衛官や専門家が右往左往するようなのは好きじゃないのですが、コレがそうだからと言って悪く言うつもりはありません。  ゴジラがむしろアチラのモンスター風になっちゃった、ってのも、CGが期待したほどではなくて舟だの車だの列車だのが重量感もなくパタパタ舞ってるなんてのも、まあ些細な事。人物シーンのライティングはもう少しどうにかなんなかったのか?とは思いますが。   私がひっかかって仕方ないのはゴジラを「戦後日本の亡霊」として登場させた部分で。   空回りする会議と会話を繰り広げるばかりで決断力と実行力が欠ける連中には途中で退場願って、異端であろうが傍流であろうがゴジラの暴走を止めるという共通の目的を果たすためにプロフェッショナルがその仕事を果たす、って点は良いと思います。ですが、それがいつまでも変わらない「戦後」に対する呪詛を基にしているようで、それは前向きと言えるのかどうか。  終戦直前から現代に至るまでの(原爆投下から東日本大震災による被害と、福島第一原発のメルトダウンによる被害と)この国家を襲った災厄に対して、それでも「頑張ろう日本」と言いたい映画、でも安保やら核やら、終戦から今の日本に変わらぬ重圧を与え続けている「戦後」に恨み節のひとつもヒネリたい、みたいな映画で。  両監督と同世代なので判らないではないんですよ、団塊に蹂躙された後の世界を生きてきた世代な訳ですし(笑) だけど、映画に漂う旧『日本沈没』と旧『日本のいちばん長い日』の影響が、まるでそこに留まる事に対する自虐的な言い訳のようにも思えて。  ナショナリズムをシニカルに捉えつつ(でも実際にそこに陥っているような感想がネット上に大量に見られるという)、それが自嘲、自虐の域から出ていない、その先の示すべき道を語ってくれていない気がするんですよね。まるで「仕方ないけど頑張ろう」みたいな。   怪獣映画における不可侵領域である皇居に言及しない今作には、もちろんそうする事の意味があるのでしょうが(東京駅と皇居はさほど遠くないのであの作戦をあの場所で展開するというのは国家的にかなり問題な訳で、即ちこの作品世界に皇居は存在しない)東京の中心に鎮座する事となるゴジラにそれが象徴されちゃってるとすれば、それはそれで、ねぇ。   個人的にポイントが高い点はご贔屓、市川実日子嬢がひたすらヘンなキャラだった石原さとみ嬢よりよっぽど良い扱いだったところ。彼女目的に見に行ったと言っても過言じゃないです。
[映画館(邦画)] 5点(2016-08-02 17:21:29)(良:3票)
282.  クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃 《ネタバレ》 
 少女の心の傷を優しく癒してゆくラストシーンはとても良かったと思います。が、そこまでは必ずしも褒められるものでは・・・。   『パプリカ』と『インセプション』と『ロスト・チルドレン』が混じったようなその題材のオリジナリティの無さはともかく、まず、夢が「睡眠中に見る夢」と「胸に抱く夢」とでごっちゃ。夢をコントロール可能な領域とコントロール不可な悪夢領域とが意図的に与えられていた、として「いい夢=本人の願望」っていうほぼ覚醒状態な思考パターンで構築された世界なわけで、それを大人数で空間として共有していて相互に干渉可能となると、それってもはや「夢」じゃないんじゃね?っていう。異世界ファンタジーですね。少女の悪夢から組み立てていった世界設定であろう事は容易に想像できて、そのための無理があるかなぁ。  それにそのビジュアルはいかにもオトナのアタマで創った子供の夢の世界なんですよね。   カスカベ防衛隊の団結力や活躍、ひろしとみさえのコンビネーションは好調、この辺はいつもの『クレしん』の楽しさを存分に味わえます。   バクを探しに出てからは物語の進行が停滞して、みさえとひろしは延々父親と戦ってるし、カスカベ防衛隊は迷走してるし。大和田獏ネタとか大人が見てもクドくて笑えないんですが、子供はそもそも大和田獏が判るんか?っていう。  クライマックスのボスのビジュアルはヘタなホラーより恐ろしく、よく出来てるんですが、その正体が怖すぎ。トラウマものですね。展開の結果よりも過程のインパクトがデカくてヤバいっていう。アレ、感動よりも恐怖が先行しちゃうんじゃないかと。  みさえの母性が少女を救済する展開自体は感動的なんですけどねぇ。   子供には判らないとは言いませんが、やや大人向きなんじゃない?っていうのが今年の『クレしん』の印象でした。
[映画館(邦画)] 6点(2016-05-05 20:57:57)
283.  テラフォーマーズ 《ネタバレ》 
 なんでしょうねぇ、このつまらなさ。設定や物語にも映像にもちっともノレてゆけない感じ。パロディを笑えばいいんでしょうかねぇ? 『ブレードランナー』まんま持ってきました的な街の姿をどう楽しめっていうんでしょ? 看板のちょっとした書き文字を笑えって?   キャラに魅力がありません。そこにあるのは人間のドラマじゃないんですよね。与えられた設定を説明する人々。そんな看板を首からぶら下げたような人々がどんどんと殺されてゆく状態に心が動かされる何かがある訳もなくて。せっかくの役者をさっさと退場させて勿体ない使い方しちゃってるなぁ、って感想くらいしか出てきやしません。   どこかで見た、読んだようなモノがずーっと続いてゆくだけで、脳がちっとも刺激されやしません。新しいモノが何かあったかなぁ、って考えても、せいぜいゴキブリの顔が独特って事くらい。三池崇史的記号はあちこちに刻まれてますから、それを楽しめ、って感じ? それ、狭い、狭いよ。   変身シーンで細かいカット割で変化を見せてゆくあたりを見ても、変身モノの特撮・アニメ番組的なるものを狙っているのは判ります。でもそれが主旋律になってちゃダメなんじゃないかと。そんなの本来せいぜいお遊び程度のもので。  体内を変身物質がぐわーって流れてゆくCGとか触角がにょこにょこ生えてくる画とか、繰り返し過ぎでゲンナリ。バッタくんの顔が最期に仮面ライダーそっくりになるあたりのオマージュっていうかお遊びっていうかパロディっていうか、そういうとこより他にもっとやる事あったんじゃない?って。   いっその事、笑わせて貰えるほどのデビルパワーがあれば、それはそれで楽しめたのでしょうけれど、ヘンにマトモなのが余計に退屈さを招いてしまうのでした。
[映画館(邦画)] 3点(2016-05-05 19:53:30)
284.  ちはやふる 下の句 《ネタバレ》 
 前作の、続きがあるゆえに上がりきらない感じは今回更にエピソードを重ねる事で幾らか解消されたかな。このテの映画なら一作でメンバー全員を愛おしく感じるくらいで当然、みたいに思ってるので、前作だけではメンバーに愛着を抱ききれなかった事が不満だった訳ですが、今回の最後まで見て愛着を抱けましたからね。   今回描かれる個人と集団についての物語はその心情やテーマそのものをセリフで説明し過ぎとは言え、青春映画としてあるべき爽やかさやひたむきさ、その短い時間の大切さが伝わってきました。   ただ、今回(前回もそうだったかなぁ?)異様にウザい程に全編映像がハイキーな状態で、画が平板になってしまっていて。陰影を極端に無くす事でマンガ的なるものをわざと映像に求めたとでも言うんでしょうかねぇ? にしてもラストの方で眠る広瀬すずのアゴのラインを消してしまうほどのコントラストの無さは可哀想ですよ、あれ。全体的にコントラストを作らな過ぎな印象で、その意図を掴み兼ねてしまいます。   クイーンはなかなかに魅力的なキャラではあるのですが、あの私服のセンスはマンガではお馴染みの世界で(ほら『監獄学園』の裏生徒会長とか)、ああいうのを実写にするとやり過ぎ感が出ちゃいますね。   マンガ的なるもの、マンガ記号的表現と映画表現との差異、そこら辺に留意した映像を更なる続きには期待したいところです。
[映画館(邦画)] 7点(2016-05-05 19:19:23)
285.  スポットライト 世紀のスクープ 《ネタバレ》 
 1本でも多くの映画を真剣に真面目に見る、よりは好きになった映画をいっぱい愛する方がいいと最近思うのですね。そんな事を書くのはツイッターでこの映画を「教会ってモノにピンと来ないから楽しめなかった」って感想に対して「積極的に映画を理解しようとしないのは勿体ない」って批判する意見を見かけたので。   この映画、キリスト教圏の国に向けて作られてます。教会とかキリスト教の信仰の実態とかをキリスト教圏以外の人間に判りやすく解説するとかいう事は一切していません。描かれるのは教会で行われた複数の神父による複数の児童虐待事件に対する記者達の取材、その奮闘ぶりで、その外側は全く描かない、何が起きたのかを映像で説明したりしません。全ては事後の取材の姿のみで構成される映画。なので事件の当事者すら取材対象としてほんの少し登場するだけ。  そこからこの事件の恐ろしさを実感し、記者達の挑戦の困難さを理解できるのは実際にキリスト教圏に暮らし、日常の中に教会が存在している人だと思うんですよね。万物に神が宿る八百万の神の国、お寺や神社に年に何度かお世話になる程度の国、神様も仏様もごっちゃであちこちのお祭りにでかけたり参拝したりする国の人間がピンと来ないのは当たり前で。そこで何もアカデミー作品賞の映画だからって必死に理解する必要なんてあるのかいな?みたいな。それよりは好きな映画を愛した方がよっぽど映画と人にとって幸せなんじゃないかな?   さて、正直眠い映画でした。ピンと来ないってトコだけじゃなくて、テクニック面に面白さを感じられなくて。このテの社会派映画の持つパワーっていうのがこの映画は希薄なんじゃないかって。ワリと「劇映画」のセオリー通りの画で構成されていて、記者が取材で街を歩くシーンが重ねられる部分での振り付けっぽさ(背景のエキストラの動きまで含めて)とか、ああ、作られた画だねぇ、って。  編集部の縦の構図なんかは面白いのですが、ならばもっと徹底されてたりする方がいいのに、みたいな。  『大統領の陰謀』や『ザ・ペーパー』のようなパワーある作りではなくて、良い言い方をすれば実直な作りなのですが、悪い言い方をすれば平凡。   アカデミー賞はタブーに挑戦した映画としての評価なのかな、って感じですが、まあ、そこら辺を無理矢理理解しようとする時間があるのなら自分の好きな映画を探す作業に移った方が有意義かと。
[映画館(字幕)] 6点(2016-05-04 22:01:09)(良:1票)
286.  フィフス・ウェイブ 《ネタバレ》 
 もういい加減大風呂敷広げておいて「僕たちの戦いはこれからだ」で終わる宇宙人侵略映画出してくるのやめて欲しいもので。   冒頭のスペクタクル映像こそお金かかってるぞ、って感じで大変な状況を見せつけてきますが、それは本当に最初だけ。以降は生き延びたヒロインのパーソナルな物語と基地に連れてゆかれた子供達の物語が交互に延々と続いてゆくだけです。『トワイライト・サーガ』ノリのヌルいロマンスと『エンダーのゲーム』的な兵士としての訓練を続ける子供達と。一向に侵略者の脅威には話が向かってゆかず、なんでそんなに退屈なモノを見せられ続けてるの?って状態。  クライマックスで双方の物語が1つになるのですが、特にその大きな状況に何らかの解決が与えられる訳ではなく、1つのパーソナルな目的(弟と再会する)が達成されただけで映画は終了になります。   要はアメリカの若い人向けの小説の映画化にありがちな、大状況に対してごくごく狭い範囲の物語に終始するアレです。それらがグダグダ3~4作かけて薄いドラマを展開させる(1作で済みそうな内容なのに)パターンが多い中、この作品はテレビシリーズのファーストシーズンの第一話程度のモノしか見せてくれません。異星人?に侵略され、人類が滅亡の危機に瀕しているって設定に対する物語のパワーは大変に弱いです。幾らでもダラダラと続ける事が出来てしまうような、勝負を避け続けるような。そんなモノにつきあって時間を浪費するのは大変に勿体ないですね。   ヒロインが恐怖心から人を殺してしまう事、子供達が人を殺す訓練を受ける事を通して銃社会アメリカの病巣を批判している、ようにも思えますが、一方で子供達の武装蜂起を喚起させるようなラストシーンだったりもして、マジメに映画を作ってるのかいな?と思ってしまい。   それにしても、画面にSONYのスマホしか出せないくらいなら、いっそスマホ映さない方がいいんじゃないスか?
[映画館(字幕)] 3点(2016-05-04 21:07:20)
287.  IAM A HERO アイアムアヒーロー 《ネタバレ》 
ツイッターの映画クラスタの間で評価が高かったので期待し過ぎちゃった。   ベースは『ゾンビ』そのものなわけで、話の中心がショッピングモールでの籠城戦で生き残った人間同士のゴタゴタがドラマになってます、なんてところはなんのヒネリも無し。今から40年近く前に作られた映画にやっと近付きました(越えてはいません)ってそれって誉められる事なのかなぁ。このジャンルって低予算のしょーもないデキのものが大量にありますから、元々ハードルは低めだったりするのでしょうけれど。  それでも邦画としては頑張ってるその映像は、舞台を日本に見立てての大々的な韓国ロケで実現した映像なわけで、つまり国内だけじゃこのレベルに到達するのは無理です、っていうのが実情なんでしょうね。   この映画のオリジナリティは主人公が何者にもなれないヘタレで、極限状態でも変われず、それでも、ってところですが、んー、ダレ気味。森に入って以降クライマックスまでテンポが悪くて、そのワリに濃密なドラマが描かれている訳でもないので『晴天の霹靂』とちょっとキャラカブってる大泉洋の苦悩演技をご覧くださいって状態がシンドいなぁ、って。有村架純と長澤まさみって花を両手にしながらなおヘタレ続けるので温度低めな時間がずっと続いて。  避難民を支配している男とその手下って、お約束の展開に「あーこの流れかぁ」ってウンザリさせられつつ、ヘタレの覚醒を待たなくちゃならないのは結構苦痛。  で、やっと覚醒したと思ったら最早それドーピング脚本だろって状態で。ライフルの弾、一体何発持ってるのよ?ってくらいに全部ライフルで片付けちゃうのでライフルVSゾンビの映画になっちゃうんですよね。ライフル最強!で終わっちゃう。英雄は本当に英雄になれたのか? うーん。   グロっぷりハンパない、よくぞここまで、みたいに言われてますが、殆どヘッドショットでブシャブシャ頭が破裂するばかりなので、激しい人体破壊っぷりを期待すると、こんなモンかあ、くらいのモノです。そんなモノ一切期待しない、ホラーもスプラッタもゾンビものも苦手な私でも「なんだぁ」って思う程度。   そして、有村架純は良かったです。
[映画館(邦画)] 6点(2016-04-29 22:44:37)
288.  シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 《ネタバレ》 
 アクションシーンがカメラ動かし過ぎで見辛くて仕方ないのですが(視界いっぱいのIMAX3Dじゃ頭クラクラ来ます)、ダレ場少な目で冒頭からラストまで突っ走ってて楽しめるのはとてもいいと思います。もはや『アベンジャーズ』を超えてるのではないか、ってくらいに豪華メンバーが次々と登場して楽しみどころいっぱいですし。  脚本的には、もう少し発展的なお話の方が良かったかな、と。ほぼ内輪モメというか内紛に終始して、それもスッキリと片付くような話にはならない状態で。   で、あとは見る側のメンバーの好みの問題かなぁ。これまで私はキャプテンの言動とか性格とかあんまり好きじゃなかったんですよね。スターク社長の方が好きで。今回の映画でキャプテンの事がハッキリと嫌いになっちゃいました。社長寄りで見てるとどうにもストレス溜まる話で。だからアントマンをそっち側にするなよ、とかブラック・ウィドウまで嫌いにさせる気か、とかイライラする要素満載で、社長派にとっては胃に悪い映画。  キャプテンは正義とか真実とかのためなら多少の犠牲も厭わないって状態を暴走させ過ぎだと思うんですよ。かつての仲間相手にもう命取りに来てるんじゃないかくらいの戦いっぷりですし、最後の刑務所だって罪のない刑務官達をみんな倒しちゃってたわけですし(まさか死んじゃいないんでしょうけれど)。結局は彼の言動もまたエゴなんですよね。そういうキャプテンのエゴイストっぷり、独善っぷりがどうにもこうにもイヤで、主役なのに自分の目には悪党にしか映らないっていう。  同調しちゃう仲間も含めて、そこら辺、上手く納得させるだけの脚本にはなってなかったと思います。人物関係のゴチャゴチャっぷりを整理しきれてませんでしたしね。   前作『ウィンターソルジャー』にもスッキリしない点はありましたが、今回は数々のわだかまりを残しちゃった感じで、コレで平然と『アベンジャーズ3』出してこられるんかいな?ってちょっと心配になっちゃいました。   ちなみにマーベル映画お得意のエンドクレジット中~後の映像は今回も2回なので1回目で席を立っちゃうと損しちゃいます。
[映画館(字幕)] 6点(2016-04-29 22:24:53)
289.  ズートピア 《ネタバレ》 
 「みなさん、ディズニーはここまで来ましたよ」って感じ。   ジュディがとっても可愛くて。もふもふで、表情豊かで、鼻をヒクヒクさせるところなんか本当に愛らしく。CGでここまで生命を与えられるんだねぇ、ってその技術力に感服。もうジュディ眺めてるだけで満足な映画。   ・・・なのですが、ちゃんと映画としてしっかり作られています。物語は新人警官と詐欺師のバディもの。お互いに騙し騙されながら連続失踪事件の謎に迫ってゆく、その意外なまでにちゃんとした(子供向けになんとなくお茶を濁しました的な安直さのない)面白さ。幾つもの伏線がきっちりと回収されてゆく脚本が気持ち良いです。   そして、その根底に流れるシリアスなテーマ。差別が生まれる背景が描かれ、差別意識を植え付ける事で危機感を煽り世論をコントロールする危うさが描かれ、それを乗り越えてゆく道までもが示されて。これは社会派ディズニーアニメーションなのです。   だけど、難解な部分は何も無くて。そこに描かれるのは小さな子供でも存分に楽しめる、夢とワクワクに溢れた世界。『シュガー・ラッシュ』や『ベイマックス』同様、スクリーンの端から端まで意匠が凝らされ、その色彩、情報量に目が回ります。登場する動物達の個性、動物達の暮らす世界の独創性、映画の中に入り込んで魅了されるひとときが過ごせます。   一方で、もちろん映画やディズニーの過去作品にうるさい人達向けのネタも多数仕込んであって。   全ての世代を楽しませる映画。矛盾だらけになりそうなこの難題を圧倒的な数の創造力によってクリアしてみせる、今のディズニーにはそれだけのパワーが溢れているという事を実感させてくれます。  作品に流れる膨大なクリエイターの血、その力には頭が下がる思いです。
[映画館(吹替)] 10点(2016-04-24 23:24:55)(良:4票)
290.  グラスホッパー 《ネタバレ》 
 ハチ公前のスクランブル交差点は109前のスクランブル交差点と信号機の灯火パターンが完全に一致しているので、現実にはあの車はハチ公前に到達する以前に109前で人を撥ねるか、信号待ちの車列に突っ込んでますな。   それはともかく、なんかもっとヒネリのある、展開や構成で楽しませてもらえる映画なのかと期待していたのですが、あちこちひっかかってしまうところだらけで。   主人公が能動的に動いているように見えて、実は操られているだけ、狂言回しで結局物語を動かしてゆく立場にはないっていうのは別にいいとして、その作品世界を構成する人々にまるで気持ちが乗ってゆかない状態。二人の殺し屋に妙に入れ込んでいる感じがしますが、二人とも魅力的な個性、人間性の持ち主とは言い難く、ただの悪人ですよねぇ。それは岩西も同様。  一方、槿もまた目的のためなら手段を選んでいない訳で、寺原Jrを轢いた車のドライバーが殺される事まで当然想定していたと考えると、ラストに至ってこの人に何らかの「感動的な何か」を抱けって言われても無理な訳で。  メッシュの女のいかにもウラがありそうな存在の仕方、寺原会長や比与子の単純な存在の仕方も「なんだかなぁ」って感じで(毎度の石橋蓮司のヤクザの親分のステレオタイプっぷりは、ギャグか何かなんでしょうか?)。  一体この物語の何処に楽しむべき要素があるのか教えて貰いたいもので。不快感で構成してみました、みたいな?  「お前が人がどんどん死んでゆく物語を楽しめないだけだ」って事なんですかねぇ?
[映画館(邦画)] 4点(2016-04-18 21:15:22)
291.  ルーム 《ネタバレ》 
 見ていて思い出した映画は『エレファントマン』と『路』。   閉塞された部屋から解放された少年が初めて触れる世界と対話してゆく、世界は優しい、って希望に満ちた映画を期待していたら、なんかそういうのではなくて。解放された筈が、その世界もまた息苦しいところで、閉塞された部屋に充満していた母と子の愛はこの世界の中では儚いもので。  病室の無機的な世界、窓の外の人工的な世界、広い家の作り物めいた世界。部屋で本物と偽物の話をしていたけれど、本物は本当にその世界にあるの?って、描いている事はちょっと『リップヴァンウィンクルの花嫁』にも共通していたりしますね。   主人公の少年が卵の殻を割る映像が重ねられる事から判るように、映画は殻を破って外に出る、この世界に誕生する事を象徴しています。部屋に戻りたいと思う感情は胎内回帰願望ですね。  それでも少年は部屋=母胎に別れを告げ、この世界で生きてゆく事を決める、これは少年の自我の目覚めと自立の物語。象徴的に「父を殺し母を愛する」わけですから、なんていうか「フロイト先生、これどうですか?」みたいな作りの映画ではあります。   部屋のロック解除は電子音からしてどうも4桁っぽく、1万通り試せば開くんじゃね?ほんの数日から数週間で脱出できるんじゃね?みたいに思いましたが、それでは話が成立しないので細かい事は気にするなと。   母親と再会するシーンが映画的高揚の頂点で、あとは社会と個人の関係性をめぐる話になるのでちょっと温度は低めかな、って感じなのですが、少年の瞳に色々と教えられる映画なのでした。
[映画館(字幕)] 7点(2016-04-18 20:39:47)(良:1票)
292.  アーロと少年 《ネタバレ》 
 大自然という名の神の下で剥き出しの生と死の闘争を繰り広げる生命達のお話。って、つい最近、他の映画にも同じ文章を書いた気もしますが。   『インサイド・ヘッド』同様、ディズニー・ピクサー作品って事で油断してると痛いメに遭う作品。幼い心にトラウマを植え付ける事必至?みたいな。  話のベースはピクサーお得意のバディもので行きて帰りし物語(『トイ・ストーリー』『ファインディング・ニモ』『カールじいさんの空飛ぶ家』『インサイド・ヘッド』と)。超リアルに大自然を表現したCGの世界で展開するのは終始死の匂いがつきまとう冒険の旅。自然現象によって与えられる容赦ない死と、動物の本能による容赦ない死。アーロとスポットの旅は楽しさに溢れながら、一方でずっと死の不安を抱かせ、ディズニー作品に限ってそんな展開はあり得ないだろうと思いつつも、もしかしたらという不安がずっと影を落とし続けるという。  腐敗・発酵した果物を食べてぶっ飛んでしまうシーンや、プテラノドン達の狂気の表現はザラザラした異質な感じで、心地良い子供向けアニメとは明らかに違うモノが印象に残ります。   映画を見る前に『ヒックとドラゴン』の立場が逆転したような映画?って思いましたが、その通りでもあり(『2』まで含めた状態)、まだまだ公開は先の『3』の内容までも示唆しているようでもあり。   スポットのキャラが楽しく可愛らしく、ペット的だけれどもやはり人間らしい自我を持っているあたり、とても魅力的。一方でアーロはキャラ的にもうひと工夫あれば、と思いました。アーロはその単純化されたデザインと共に意外とクるモノが無いんですよね。   進化したテクノロジーはどんどんアナログを志向してゆく、その1つの到達点を見られる作品であり、ピクサーとアメリカのアニメーションの進歩を見られる作品でもあり、だけど映画としてアニメーションとして、かなり歪な感じがするのですよね。その歪さはピクサーの個性となってゆくのか、それは他との差別化を明確にしたいがためなのか、それとも迷走なのか。ピクサーの志向は子供向けアニメーションの枠の限界にぶち当たりつつあるのかもしれません。
[映画館(吹替)] 7点(2016-04-13 21:35:11)
293.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
 主役二人の演技は良くて、でもレッドメインは『博士と彼女のセオリー』同様、自慢の芸をどうよとばかりに見せられてる感じかな。アリシア・ヴィキャンデルは最初は美人な奥さんなのに最後には男前なヒロインになっておりました。  かなり使っているであろう筈だけど殆どCG臭のしない20世紀初頭のヨーロッパの風景も味わい深い世界でした。   さて、私は幸か不幸かアイナー&リリーの心理は理解できる側の人間なので(あ、別にカミングアウトしてる訳じゃなくてアッチの方はあくまでノーマルなのですが)、中盤までは楽しめました。自分の中にあるその存在を意識する、その存在が大きくなってゆく、その葛藤の描写が重ねられて。   でも、後半で性転換手術の話になると内的な発展性が無くなって単純に二極の話になっていってしまうので(男と女と、っていう)ちょっと白けてしまった感じで。ラストにわざわざ字幕で念押しまでちゃってくれちゃって、これは性同一性障害の話ですよ、ジェンダーの話ですよ、っていう明確化されたモノへと結論付けられてしまって、いやそこはもう少し優しく繊細に丁寧にそして曖昧に描いておいてくださいよ、って。ソレをワリと通俗的に単純化されちゃったなぁ、という感じ。   結局はソレを外側の(ある種の好奇や憐みの)視点から描いた映画なんだなぁ、って。ここら辺が限界なのかなぁ。
[映画館(字幕)] 6点(2016-04-11 23:14:27)
294.  家族はつらいよ 《ネタバレ》 
 どうも山田洋次監督の作品ってあまり得意ではなく、これもまた昭和の古びた笑いを見せられるんだろうなぁ、って思っていましたが、考えてみれば私も昭和の人間でしたね。   橋爪功が笑える爺を好演して、とてもいいです。ロクでもない爺さんなんですが憎めない。この爺さんをめぐる人々のドタバタ喜劇、いや昭和の笑いだって悪くないよ、と。   『東京家族』とキャスト丸カブリってどうなの?って思いましたが、対を成すような作品でその違いを楽しむ作りになっていました。   とは言えあちこちに散りばめられた自作パロディや(本広克行作品か?っていう)、お年寄りに媚びてますってのが丸出しのネタ(正蔵が三平の「どうもすいません」をやってみせる、っていうね)なんか、それはどうなのよ?って。そもそも橋爪功と吉行和子の夫婦っていうのは元々和泉聖治作品の『お日柄もよくご愁傷さま』『大安に仏滅!?』っていうのがありますし、『おとうと』『東京家族』『母と暮せば』と最近の山田洋次作品はオマージュというか再生産というか、新しいものを立ち上げようって気は感じられないよねぇ、って思ってしまうのも正直なところで。  『東京家族』とこれと、妻夫木聡と蒼井優の二人に次代に繋がる希望を託している感じがありますが、ならばいっそ二人をメインに据えた作品を作ってもいいんじゃないかなぁ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-04-08 20:57:51)
295.  キャロル(2015) 《ネタバレ》 
 車の窓越しのルーニー・マーラの表情から始まるこの映画、全編象徴的に世界を隔てるものが登場します。窓、車、家、部屋、扉、そしてカメラのファインダー。その内側の繊細で壊れ易い女達の世界と、外側から無神経に境界を踏み荒らし侵害する男という性と。   我がケイト・ブランシェット姐さま、瞳の演技だけで堂々の存在感。だけど視線の演技はルーニー・マーラも負けておりません。二人の揺らぐ視線がその儚げな愛を切なく綴ってゆきます。   ラスト、窓の奥の世界から飛び出したルーニーは男達に囲まれた世界で何も通さず真っ直ぐケイトを見つめます。真っ直ぐ見つめ返すケイト。そこにあるのは全てのフィルターを取り払った真実の愛なのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-08 20:05:56)
296.  ヘイトフル・エイト 《ネタバレ》 
 ウルトラパナビジョン70撮影って言ったって、日本にゃ対応した上映環境が存在してないので、その効果を堪能する事なんてできやしません。シネスコサイズのスクリーンの上下に更に黒が入った超横長デジタル上映を眺めるしかない状態。左右カットして無理矢理シネスコサイズにしなかっただけでもマシですが。  だけどデジタル変換されてもとても美しい70mm撮影。映ってるモノは美しいとは言い難いモノがいっぱいでしたが・・・   どうせまたお得意のギトギトネトネトグチョグチョなんでしょ?って思ったらその通りで。タランティーノ映画の脂っこさったら胸焼けレベル。っていうか、なんかいい加減マンネリになってきてないですかねぇ。あのチャプターで区切った時系列を崩した構成、タランティーノ組とも言えるお馴染みの面々、長い会話シーン、血まみれ肉片まみれな爆発的暴力。  ミステリーとしての面白さみたいなのがあるのかと思ったのですが、床下に一人隠れてました、なんてそりゃミステリーとして成立してないじゃん、って状態で。  キャラ一人一人は面白いんですけれど、それだけ。わざと安っぽいキャラ造形で、この映画のためだけに生まれて、そして死んでゆくだけの存在。   ロクでもない連中が閉ざされた空間で殺し合いって物語に2時間48分。それだけの時間を消費してまで見る価値がある映画なのか?っていうと、トシとって最近はお金よりも時間がもったいないって感じるようになってる私には甚だ疑問なのでした。今年に入って2時間半超の映画は『ヘイトフル・エイト』『バットマンVSスーパーマン』『レヴェナント』『リップヴァンウィンクルの花嫁』と見ていますが、時間的価値を感じたのって『リップ~』だけでしたねぇ。
[映画館(字幕)] 6点(2016-04-07 23:15:19)
297.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
 よく言われる『ザ!鉄腕!DASH!!』よりも『いきなり!黄金伝説。』に近くない?とか思いましたが(ほら、あの番組は独りで生活するものが多いから)、それはともかく。   リドリー・スコット監督の抑えの利かない即物的表現はこういうポジティブな映画にこそ似合ってるんじゃない?と思いました。やっぱり死に向かう状況よりは生への執着を見せている状況の方を画として見たいですからねぇ。あくまで前向きに、ユーモアを交えて絶望的状況を乗り切ってゆくマット・デイモンの姿は大変にカッコイイのでした。   一方の地球側と彼を置いてきちゃった宇宙船側はあまり面白いところはなくて。宇宙船内の描写なんかは今から20年前くらいの映像技術程度じゃない?みたいなぎこちなさで。無重力空間での表現は『ゼログラビティ』まで行ってるのだから、ねぇ。   クライマックスの『ウォーリー』『ゼログラビティ』なんかでお馴染みのアレは(むしろ『アイアンマン』かな?)実際にはあさっての方向にすっ飛んで行っちゃうだろうなぁ、って思いましたが、そういうところも含めてあんまり細かいところは気にすんなって感じの映画で、程よい娯楽大作っぷりでございました。
[映画館(字幕)] 7点(2016-04-07 22:47:58)
298.  エベレスト 3D 《ネタバレ》 
 IMAX3Dでドーン!と立体感溢れる峰々が、って、どうして大ロングの景色に立体感付けちゃうとミニチュアにしか見えないってのが判らないかなぁ。遠くの景色ってのは左右の視差なんて殆ど生じないわさ。   映画自体は「撮るの大変でしたね」って状態は伝わってくるのですが、地理が明確じゃないの。一体それはどの部分なの?っていうのがまるで判らない、っていうかそもそも判るように描かれてないんです。  その上、みんな似たような風貌になっちゃうので「誰が誰やら」って事になって、エベレストのあちこちに大変な事になってる人が散りばめてあります、って状況ばかりがあって、物語としての流れは諦めちゃってる感じ。実際に何があったのかはネットで調べないとちゃんと見えてこないっていう。  災難に遭った人達に寄りそう事で「臨場感こそが大切、状況の把握なんて出来ないからこその恐怖なんです」とでも言いたいのかな? でも特定の人とポイントの間でシーンがポンポンと飛ぶのでエベレスト全体が大して広くも高くもない、ごくごく限定された空間に映ってしまって、それは大きな間違いなんじゃないかなぁ。  そこにある筈の大自然に対する畏怖とか人間の非力さとか、そういうのは案外伝わってこない、だけどそここそがこの映画では大切なんじゃない?   いや、最大の問題点は見終わって結局人は何故山に登るのか?って事に対してなんの答えも見いだせなかったところですか。利己的な人達が他人を巻き込んで自滅しました、っていう状況ばかりが見えてきて。それじゃ実際に亡くなった人達が浮かばれないわ。   それでも難波康子さんのエピソードはやはり日本人として胸に迫ってきました。でも、最終キャンプ地からわずか300メートルのところで亡くなったっていうのは映画じゃ判らないんですよね・・・。
[映画館(字幕)] 5点(2016-04-07 20:55:26)(良:1票)
299.  リップヴァンウィンクルの花嫁 《ネタバレ》 
 嘘とフェイクに溢れた世界でリアルな生を追い求める、けれどそれを求めている者自身が嘘とフェイクばかりで構成された存在なのかもしれず。   わりと最初の方、結婚式のシーンあたりから映画にのめり込んで、あっという間の3時間が駆け抜けてゆきました。  嘘とニセモノばかりで飾られ、組み立てられた結婚式、その切なさ、悲しさ。ジェットコースターのような展開の前半、騙され何もかも失ってしまうヒロインは、中身の無い、カラッポな存在。   黒木華がとてもいいです。自分というものがまるでなく、ホワホワとクラゲのように漂い、流され、無防備に堕ちてゆくその姿は、本来ならば「もう少ししっかりしろ!」とイライラしてきそうなキャラなのですが、儚げな佇まいで「そういう生き方になってしまうのも仕方のない、弱い女性」を完璧に創造しています。   その彼女がホンモノの存在へと変化してゆく、本物こそが生の実感を得られるのです、みたいな教訓めいた話ではなくて、映画の後半は本物でなければならない意味なんてない、嘘や偽物の中にも価値のあるもの、かけがえのないものがある事を優しく描いてゆきます。  ヒロインとは対照的に強烈な存在感のCoccoは何もかも嘘とフェイクで作られた世界のお城に住むお姫様。お金の力を借りたお伽話ごっこの中に存在する、かけがえのないもの。   見ていて、そうか、コレは自分が好きな「人間になりたい、なれないロボットの物語」なんだ、だからこんなに響いてくるんだ、って。岩井俊二版『オズの魔法使い』は、登場人物がブリキマンばかり。   世界と他人と自分の実体を見つけられない人々に「この世界は嘘とフェイクばかりだけれど、だからこそ素晴らしい世界なんだよ」と優しく語りかけてくる映画でした。そう、映画ってモノが嘘とフェイクばかりで作られていて、その中に世界があって心が宿るように。
[映画館(邦画)] 9点(2016-04-06 15:52:45)(良:1票)
300.  あやしい彼女(2016) 《ネタバレ》 
 これ以前に韓国版『怪しい彼女』と中国版『20歳よ、もう一度』を見ておりますので、どうしてもその2作との比較になってしまいます。   多部ちゃんはコメディエンヌとしての魅力を存分に発揮していて、多部ちゃん映画としてはポイント高い作品となっております。ただ、既存2作と比較してしまうと、どうにも弱い映画になっちゃったなぁ、と。   まず基本設定の変更、息子を娘にして登場人物を整理した事で生じた問題、嫁をいびり過ぎて病院送りにしちゃうクソババァが消滅して、ただのヘンなテンションの婆さんになっちゃいました。クソババァがキレイな娘さんに変身して、更に歌で人々を魅了する、オリジナルのその大きな振れ幅がこの日本版では小さな振れ幅になっちゃってます。多部ちゃんが倍賞さんの若い頃って言われれば納得できない事もなく、あの歌声にはインパクトがなく(最近の邦画で説得力のある歌声としては圧倒的に『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の大原櫻子さんを挙げたいですが、彼女と比較してしまうのはあまりに酷ですか)、その出だしの弱さのままにずっと映画が続いていってしまうのが厳しいです。基本設定に変更はあっても多くの部分が工夫無くオリジナルをなぞる事で作品が安易な流れの中に留まってしまっているような印象。   ドラマ的には娘に変更した事自体が大きな改悪になっているとは思いませんが(クソババァ度を極端に薄めてしまったとは言え)、じゃあそれが良い選択だったとも思えず、片親世帯にしたあたりが半島や大陸と違ってこの島国っぽさなのかいな、くらいの印象で。   ライブシーン、音楽絡みのシーンは総じて韓国版、中国版よりもダサくなってしまっていて、日本大丈夫か?って感じもしますが、これは国の問題っていうより邦画業界の問題と製作陣の問題ですかね。  韓国版での焦らしのシーンを中国版では更に焦らして、じゃあ日本版はどうなるのか?と思っていたらあっさりドッスンといって肩透かし食らわせるあたりは楽しかったですが、それは全部見てての限定されたお楽しみ。しかしあの娘はあれじゃ悪役状態なのだけど、そもそも存在の意味が判りません。  中国版では韓国版に敬意を表した部分が2カ所あったのですが、日本版にはそれが見当たらなかったのは残念。   オリジナルに対するリスペクトを大きく反映させるか(中国版はこちら)、さもなければ独自の魅力を研ぎ澄ませてゆくか、そのどちらにも寄れないハンパな作品になってしまった感じで、それでもオリジナルの良さゆえの魅力は残った感じでした。あと多部ちゃんの面白さと。この映画のヒロインとしては、ちょっと違うかな、って製作発表当時思った感覚のままではありましたが・・・
[映画館(邦画)] 6点(2016-04-04 22:08:08)
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