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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 542
性別 男性

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281.  バベル 《ネタバレ》 
この映画を観た聾唖者の人たちはどんな気持ちなんだろう。私は障害者ではないが、この映画に対してかなり不快に感じた。 愛情表現の方法は他にあったにもかかわらず敢えて低俗な方法を選択し、聾唖者をあそこまで惨めに撮ったこの監督を心から軽蔑する。言葉で気持ちを伝えることの出来ない人の愛情表現がこれである、とも受け取れよう。ハッキリ言って聾唖者を馬鹿にしているとしか思えない。 また、人間の隠すべき部分をわざわざ撮って映画をキタナイものにしているところにも言及しなければならない。 人が生きていく上で、排泄という行為は絶対に避けられない行為である。しかし、排泄というものはキレイなものではない。どちらかと言えば、キタナイもの、見たくないものであり、その行為を積極的に見たいと感じるものではないと思う。 考えてもみて欲しい。排泄行為をストーリーに組み込み、劇場で不特定多数の観客に見せることに一体どのような意味があるのだろうか。 他にもこの監督は、自慰やのぞきのような低俗なものまでも映画の中に組み込んでいるのだが、有能な監督ならば絶対にそのようなシーンは撮るはずもなく、そういう監督というのは、良く言えば、省くのが上手いのである(ここは私の「ショーシャンクの空に」レビュー参照)。 百歩譲って“排泄と同時にキス”というシーンを撮りたかったのかもしれない、と考えてみよう。もし仮にそうだとしてもやはりセンスに欠けていると感じるのが一般的な尺度だろう。アブノーマルすぎる。 このようなシーンの数々は、この映画の主題からフォーカスが遠ざかるという次元を超え、作品を壊すというくらいの次元にまで迫っているように思える。 また全体のストーリー構成を見ても、3つの場所で進んでいるそれぞれのストーリーの結びつきが非常に甘い。この類のオムニバス形式のストーリーが面白くなるためには、それぞれの登場人物全員が一つの場所に集結し、一つの物語を描いていかなければならない。または、モロッコ・メキシコ・日本の3つが全て繋がっていればまだ評価できたが、実際は、モロッコとメキシコ、モロッコと日本の2点でしか繋がっておらず、メキシコと日本では何の繋がりもないため、全体的なストーリーにおいても評価すべきポイントというのは、特にない。
[映画館(字幕)] 3点(2010-09-15 22:53:48)(良:4票)
282.  奇傑ゾロ 《ネタバレ》 
これはもはや、単なる勧善懲悪の活劇という代物ではないと言えるのではないでしょうか。 相手を“いなす”ようなソードアクションの格好良さは言うまでもなく、ちょっとした小物使いやラブシーンなど、至るところにおいても完成度の高さを感じさせる作品に仕上がっていると思います。 何よりも一番魅かれたのが、ロリータ嬢を間一髪で救うシーン。 好きでもない男に抱き寄せられ絶体絶命のピンチを救い出してくれ、しかもその男に謝らせて所持品ごと追い出してくれてしまったとなれば、これはもう女としては惚れないはずがないわけで、そして更に「危うく奪われるところだった私の唇は、もう貴方のものです」という、男なら卒倒必至の文句で応酬するこのシーンは自分映画史上3本の指に入るくらいの名ラブシーンです。 この映画の主役ダグラス・フェアバンクスは、サイレントで声が聞こえないにもかかわらず、喋り方をも演じ分けてしまうような超絶テクニックには脱帽ですし、また、「マスク・オブ・ゾロ」とか「レジェンド・オブ・ゾロ」もいいですが、印という意味の「Mark of Zorro」もまた、ストーリーを上手く汲んでいて格好良いタイトルだなぁと思いました。 ゾロの映画を観るのはこれが初ですが、後継作品にも是非トライしたいです。
[映画館(字幕)] 9点(2010-09-15 01:06:49)
283.  ミラノの奇蹟 《ネタバレ》 
何故か、吹替Ver.を観ました。ところが、吹替えや字幕もいらないくらいに映像がしっかりと物語を進めていってくれたので、すごく好感が持てました。 この映画は2部構成になっていて、前半は生い立ちから貧しい人たちと触れ合うまでが描かれており、後半はトトが鳩を授かって仲間の願いを叶えてあげるという内容ですが、前半はトトの優しさにとても感動して満足でしたが、後半での人間の欲の深さと、物欲が満たされることによって一時的に得る幸せの虚しさ、鳩のお陰でかえって不幸になってしまう人たち、そして争いのない平和な地を求めて旅立つラスト・・・と、どれもありきたりなテーマで斬新さに欠けているため、映画が最後に近づくにつれてトーンダウンしてしまいました。 普遍的なテーマが描かれている映画は好きなんですが、白い鳩というのもわかり易すぎますし、派手すぎる衣装や家に入らないくらいのタンスとか、ややストレートすぎるかなという感じもします。 一番印象に残ったのは、何と言っても、トトが小さい頃に煮物の吹きこぼれで床に川を作ったときのお婆ちゃんの対応なんですが、あのような育て方が心優しい人を育てるんだなぁと感心してしまいました。ま、うちの母親だったら往復ビンタは確実だろうなこりゃ(笑)。
[映画館(吹替)] 7点(2010-09-05 01:41:40)
284.  激突!<TVM> 《ネタバレ》 
切り裂くようなBGMと日常で起きてしまった恐怖、そして得体の知れないものに襲われる焦燥感・・・これはもう、ヒッチコックの影響を受けているのは明白でしょう。 ストーリーは単純でありながら斬新で、もし仮に名声を得たような映画監督がこのような低予算の映画を作ろうものならば、あらゆる方面からバッシングを受けることは容易に想像がつくだけに、出世作ならではの瑞々しさ溢れるストーリーだなぁと、そのアイディアに感心させられます。 更に凄いのは、駆け出しであるにもかかわらず、映像面では早くも熟練の技法をもってカメラを回していることでしょう。 普通、どんな映画監督でも初期の頃の作品を観ると、どこかしらに実験的な技法が用いられることが多く、試行錯誤だったりチャレンジしたりという形跡が見受けられたりして、それも映画を観る楽しみであったりするのですが、そのような箇所がほとんど見られないところが凄いと思いました。 恐らく、監督業を始めた今作の頃にはもう既にテクニックが確立されていて、自信を持って撮影に臨んだような印象を画面から感じ取りました。 本作の主題は、日常で起こりうる恐怖による不条理劇ですが、この類の映画が楽しめる(恐怖を感じられる)かどうかのポイントは、襲われる側と襲う側の人物像をどのように描くかで決まると思います。 襲われる方はしっかりと人物像と境遇を描いて人物描写をするのが重要であるという一方、襲う方は出来るだけ情報を与えずに“誰が襲うのか”と“なぜ襲うのか”を徹底的に見せないで物語を進めていくのがベター。まるで視界に入ったからというだけの理由で猛獣に追いかけられているかのような教科書通りの描き方が観ていて非常に心地良いです。 最後の方で、トラックが上り坂でスピードダウンしてせっかくの突き放すチャンスでありながら、同じタイミングで逃げる方の車もだんだん遅くなってしまうという、定番ではあるけども観る側をやきもきさせる演出なども観ていて面白く、ストーリー・カメラワーク・演出の全てに監督の力量を感じました。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-21 10:55:34)
285.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
映画というのは客からお金を取って成り立つ商売であって、例えば、ピカソのような芸術作品を美術館に行ってお金を払い鑑賞すると、その絵を理解して納得する人は少ないと思いますが、ほとんどの人は満足し、鑑賞に費やしたお金と時間を後悔する人はほとんどいないと思う。さて、この映画はどうでしょうか。 この映画の余りの異質さに、なんでこんな映画が世に出たんだろうと思った。 この原作を読んだりして、この世界を表現したいと考えたクリエイターは他にもいたかもしれませんが、実際にその方法と資金の両方を持ち得たのは世界でキューブリックただ1人だったということ。この世界を表現してしまったのが、趣味で映像を撮る個人作家やイラストレーターや漫画家ではなくキューブリックだったということでしょう。 映画を見た後に皆さんのレビューを拝見してみると、映画の中に出てきたあの石板の役割や意味が少し理解できたような気がしたので再度鑑賞してみましたが、特に印象は変わることはなかったです。 つまり、面白くないものはどう逆立ちしても面白くないわけであって、原作を読もうが色んな解釈を聞こうが「だから何だ」で終わってしまうことがほとんど。 この映画に限らず、「原作を読んで評価が上がりました」とか「理解できない人は原作を読んだ方がいい」というレビューがあちこちで見受けられますが、映画の評価はあくまでも映画そのもので評するべきだと思います。 この映画の決定的にダメなところが、機械が人間に危害を加えようとするところなんですが、機械に対する考察や知識に欠けていると言わざるを得ません。多くは語りませんが、キューブリックは「ロボット3原則」についてもう少し勉強してからこの映画を作るべきで、それを知っていればHALが人間を陥れようとするくだりはこの映画の中に組み込まれなかったと思いますし、この映画の中でも肝となる部分ですので、ここでのリアリティのない安易な未来観のせいか、どうしてもこの映画に対して安っぽさを感じてしまいます。 それと、細かいところですが、船員二人が球体の中で作戦会議をする時に、スイッチを順々に切るシーンがありましたが、あのスイッチがいかにもアナログ的で笑ってしまった。キューブリックも未来に対しての先見があるようでいて、こんな映画を作って格好つけてはいるけども、やっぱりアナログの時代の人なんだなぁと思ってしまいました。
[映画館(字幕)] 6点(2010-08-21 10:34:06)(笑:1票)
286.  海底王キートン 《ネタバレ》 
チャップリンの映画になくてキートンの映画にあるものと言えば、主演女優とのドタバタの連係プレーですが、この映画でも女優キャサリン・マクガイアとの共演により非常に完成度の高いコメディ作品に仕上がっていると思います。 いつもの事ながら、共演している女優がウッカリ者でおっちょこちょいで、キートンの足を引っ張ってばかりというお決まりの役柄なのですが、いつものようにこれがまた面白い。 ギャグの一つ一つも面白かったと思うのですが、それにも劣らず、序盤での二人の追いかけっこしているシーンとか、その少し前のお互いの存在を察知するくだりなんかは、ちょっとしたメロドラマなんかに出てきそうな演出で、コメディ以外の要素でも楽しめるポイントがあったと思います。 火のついた煙草で女は他に人がいることに気づき(煙草で連想されるのは男)、人を呼ぶ声で男はその存在を知る。何とお洒落なすれ違いだろう。 映画の後半は水中撮影を行ったり、人食い人種(何で見ただけでわかるんだ??)役の大勢のエキストラを使ったりと大変な労力を注いでいるところをみると、キートンの映画製作に対する情熱が伝わってくるような印象です。 最後、海の中に沈んでいってしまうのかと思いきや、潜水艦の上に乗っかって再び上がってくるというお決まりのパターンはこの映画がオリジナルだったりするのかも。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-17 23:45:06)
287.  キートンの大学生 《ネタバレ》 
一番面白かったのが、キートンが胴上げされるシーンだったのですが、傘をパラシュートのように使うと映像がスローモーションになるところが妙に可笑しく感じられてしまったんですけど、あれって何ででしょうかねぇ?? ストーリーの中の一つ一つのギャグはさほど面白いと感じられるものはないのですが、前半のあのダメっぷりは一体何だったんだと言わんばかりの後半のキレキレ具合は脱帽モノでしょう。 ギャグっていうのは、映画だろうと漫才だろうと何でも同じだと思うのですが、先に観客に読まれてはダメで、例えばこの映画に関して言えば、砲丸を持ったり助走をつけたりして、ここでギャグが出るんだろうなと先読みされるものばかり。だから笑いが生まれない。先読みされる可能性がある場合は、それを超えなければ面白さが出てこないということを作り手は知っていなければいけない。この映画の大半のギャグが観客が想定できる程度のものしか出てこなかった。 ところが、映画の最後の方で、監禁された恋人を助けに部屋に乗り込み格闘するシーンがありましたが、相手から物を投げてきてそれを棒をバットのようにして打ち返したところで場内みんな大爆笑だったのですが、このように観客が予測もつかないことをやるからこそ、そこに笑いが発生するのだと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2010-06-12 15:35:11)
288.  キートンの探偵学入門 《ネタバレ》 
コメディ映画でバナナの皮といえばこれはもう100%、ただの一つの例外もなく滑って転ぶ人がいて、今までに数多くの足を滑らす人を見てきましたが、あそこまで大胆に宙を舞う人もキートンくらいなもんです。ベタ過ぎるくらいベタなギャグですが、そのクオリティが非常に高い(笑)! また、現実から夢の世界へ入り込んで、その中で物語が繰り広げられるという映画もまた、今までにいくつも観てきましたが、夢の中で話が進んでいる事を忘れてしまったのは今回が初めてです。つまり、それほど面白かった。 一番好きなのが、キートンがシャーロック・ジュニアに扮するシークエンスで、ビリヤードのシーンにはハラハラドキドキさせられます。結局、ビリヤード台の上の13番は仕掛けのないただの13番で、拍子抜けさせられたと思った瞬間に斧がズバッと落ちてきたりする絶妙の間が最高。 後半のほうで、バイクに乗せてもらって逃げるシーンが出てきましたが、運転手を振り落としてそれに気づかず暴走してしまうのってよく考えたら凄くスリル満点のシーンの筈なのに、キートンがやると何故か安心して見れちゃうから凄い不思議。彼自身の芸のクオリティが上がれば上がるほどつまらなく見えてしまって、ちょっと可哀想ですよ。 他にも、行商のおばさんにかくまってもらったり、映画館のスクリーンの中に入って行ってしまったりと、思わず目を見張ってしまうシーンは他にもいろいろあって、全編通じて楽しめる作品だと思います。 あと、サイレント映画全盛期の映画館の雰囲気も見ることが出来たりと、結構貴重な映画ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-11 00:13:13)(良:3票)
289.  世界の心 《ネタバレ》 
全体の印象としては、後半のメインである戦争シーンにリリアン・ドロシー姉妹のサブストーリーを付け加えたような感じに思えました。 戦争シーンが凄くリアルであり、主役の男優の迫真の演技も見事で、ドロシーのお転婆振りもあり、リリアンの家族愛もあり、恋愛シーンもあり・・・ということで、細部に至るまで手を抜かずに作られたという感じにも捉えられそうですが、自分としては逆に話が散漫になってしまったという印象でした。 ゲリラ戦のシーンなんかを見ると、映画のロケという感じではなく、実際の戦争、もしくは実際の訓練や演習のシーンを撮ったのではないかというくらいのリアリティがあり、村が襲撃されるシーンも、セットを組んだ建物が壊れていくという感じではなく、本物の家の本物の壁が本当に崩れ落ちてきたりして、かなり見入ってしまいました。 子役の男の子も顔が砂まみれになっても笑顔を見せるという、こちらもまた迫真の演技(笑)。 自分も、英国政府のプロパガンダ映画という事は知っていましたが、もう少し人物描写があればもっと面白い映画になっただろうと思いました。 それにしても、「世界の心」とは、これまた随分と大胆なタイトルですね~。 〔桜井麻美さんの活弁付きで鑑賞〕
[映画館(吹替)] 6点(2010-06-05 17:00:04)
290.  つばさ 《ネタバレ》 
現代の映画はこの映画で見せた迫力を凌駕することが出来るのだろうか。 近年のアクション映画は全くと言っていいほど観ていませんが、この映画はとにかく空中撮影が凄い。本当に人がいるところに爆弾を投下したり、ミサイルを受けた飛行機が黒煙を上げて飛んでいたりといった、リアリティ溢れる映像には頭が下がります。1927年の当時にしては凄いというのではなく、CGもない当時だからこそ凄いのだと思います。麟歌さんの仰る通り、CGで編集が出来ない→本当にやるしかない→つまり、リアルという図式が成立。 また、人間関係を描いたストーリーに着目しても面白い。固い絆で結ばれた男たちの間に誤解が生じ、誤解が解けぬまま死別してしまうなんて、凄くありきたりで定番だけど解りやすくて好きだし、反戦のメッセージが込められているところなんかも感心してしまいます。 相手の飛行機を奪って自陣に帰還しようとしたら味方に追いかけられたなんてネタ、チャップリンがやったら大爆笑必至と思うけどなぁ~。 〔澤登翠さんの活弁&伴奏付きで鑑賞〕
[映画館(吹替)] 7点(2010-06-05 16:49:19)
291.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
冒頭のオープニングクレジットのセンスのなさから、この映画ダメだなとすぐにわかってしまいます。 変な例えですが、人を見てお洒落かどうかを見るのは靴を見れば分かるといいますが、この映画でいえば、オープニングが靴にあたるわけで。 オープニングの出来の悪さが、ここまで素直に映画全体の印象に正直に反映されているのも珍しい。 何がセンスがないかといえば、登場人物の映し方。 正面からのアップ、カメラが徐々に近づいていってのズームイン・・・この監督は役者の表情だけで映画が撮れると勘違いしているのではないでしょうか。 人物に迫ったり、またアップで映すことでどのような効果を出すことが出来るのか、何故このアングルで撮るのかとか、まるで考えてもいないのでは。 ストーリーもまた何とも安っぽい感じで、FBIの捜査官が手に負えない捜査を学生に任せて解決に結び付けようとするストーリー設定もお前はコナンかよとか突っ込みたくなるし、最後クラリスが一人でビルの家に突入したりといった現実ではあり得ない展開もこれまた安っぽさ全開で、映画全体を見渡しても見どころはほぼ皆無と言いたい。 ただ、捜査官が囚人に逆質問され、クラリスの深い心の傷を少しずつ紐解いていくというパイオニア的プロットは多くの人に評価されているようですが、これもあくまで原作に因るものであって、決してこの監督の力量によるものではない。原作を凌駕するにはもうひとつ他の事で勝負してほしかったが、この監督のセンスのなさを見ると到底無理なんだろう。 例えば、予めペンを持たせると危険な目に遭うということを観る側の人間に植え付けておき、後半辺りでレクターのすぐ近くにペンが置かれている状況を4カットくらい見せているにもかかわらず、結局そのペンを使った恐怖は何も起こらずにレクターが搬送されてしまう。要するに、観ている側は肩透かしを食らった形になり、こういうところでも監督のセンスのなさが露呈されている。 何度も言いますが、原作と役者の演技だけの映画であり、このジョナサン・デミという人は映画監督としてのセンスがないと断言できてしまいます。 唯一、トイプードルが可愛かったというところだけが評価できるかなと。これなら「羊たちの沈没」といい勝負。
[映画館(字幕)] 4点(2010-05-29 19:16:14)(笑:1票)
292.  私の殺した男 《ネタバレ》 
凄ぇ・・・としか言いようがない。言葉が出てきません。 自分のつたない文章でこの映画を語るのもおこがましいですので、気になった箇所を書くに留めますが、まず、登場人物の演技が素晴らしい。それぞれの感情表現の巧みさ、特に、感情を堪え忍ぶ様の描写テクニックが素晴らしい。他のルビッチの作品でも見られますが、抑えきれない感情を描くことに関してルビッチの右に出る者は恐らくいないのでは。 演技だけではない。例えば、墓地で鞄の中からハンカチを取り出す。もう、これだけで夫人の悲しみが伝わってくる。 冒頭の、失った片足の隙間から抜いた兵隊が行進するワンショットも同様。戦争の悲劇を何と雄弁に語ったひとコマだろう。 極めつけはラスト。鍵を使って鍵盤の蓋を開ける。これだけで、それまで癒えることのなかった心の傷の深さが非常によく分かる。 そのときの、二人の演奏を聴く老夫婦の幸せそうな表情といったらもう・・・。 一方のポールも、それで罪滅ぼしが出来るのだからきっとそれでいいのだと思う。 生涯をかけてエルザを愛しワルターの両親を守っていけばいい。 ワルターを死に追いやったのは全てポールのせいではないけども、嘘をついてそれを押し通し続けるのは心苦しいけども、こういう人生もあるのだという一つの御伽噺のような映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2010-05-29 18:59:57)
293.  永遠<とわ>の語らい 《ネタバレ》 
オリヴェイラ監督の映画は初めてではなかったので、映像の美しさもストーリーの緩やかさもある程度予想していた通りでしたが、最後の予想外の結末に衝撃を受けました。 世界各地で人類の歴史に触れながら最後は父親に会いに行くなんて、何と素敵な話だろう、父親はどんな人なんだろうと思っていると、そんな空想やそれまで築き上げてきた展開を一瞬で壊してしまってそこで終了・・・。観終わった直後は何が言いたいのかサッパリ分からなかった。船長がプレゼントした人形のせいであの母娘がテロに巻き込まれる皮肉にどんなメッセージがあるのか詮索しましたが、そういうことだったのですね。 自分が観たのは某名画座でのオリヴェイラの特集上映だったのですが、2001年の911のテロからだいぶ月日が経っていることもあって、こんな社会派映画だったとは皆さんのレビューを拝見するまで気づきませんでした。 後半の4人の語りの中でのバベルの塔のくだりから、世界平和に触れられているなぁという程度しか意識してませんでした。 なるほど、船が爆破されたのもアラブの海でしたものね。 油断なりませんな、このオリヴェイラという人は。
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-14 00:55:21)
294.  家路(2001) 《ネタバレ》 
“老い”を描くというこの手のストーリーは、いろんな映画作家によって作られていて、哀愁漂うものもあれば、コメディタッチに描かれたものもあったりと、とにかく色々あるのですが、まぁ、この映画が楽しめたかといえば、自分の年齢的なこともあってか、少なくとも共感の念は湧いてこなかったと思います。 ただ、この映画が他と違うのが、老いをテーマにしている他に、日常の繰り返しを多様な人物のケースで描いているところでしょうか。 例えば、馴染みのカフェの決まった席で飲むコーヒーだったり、一日の始まりのいつもの挨拶や抱擁だったりといったささやかな幸せがこの映画の中に出てきています。 また、その些細な幸せを奪い取る事も同時に描かれていて、主人公の老人に突然仕事が舞い込んできて平穏な日常を奪い取ってしまい、さらに、その孫である少年からも毎朝の挨拶を奪い取り、終いには、普段からラジコンで一緒に遊んでくれたりして友達みたいな感覚でいた祖父を抜け殻のようにしてしまうという、ちょっと残酷なラストで幕を閉じます。 ・・・と、ここまで書いてみて、老いを描いた映画とばかり思っていましたが、意外と日常の繰り返しからくる幸せの有難みやそれを失った時の失望感を描いた作品だったりするのかも。 全くもって油断なりませんな~、このオリヴェイラという人は。 
[映画館(字幕)] 7点(2010-04-14 00:50:31)
295.  8 1/2 《ネタバレ》 
冒頭の人間凧の映像の格好良さから、早くもテンションが上がってきたのですが、ストーリー全体を通して見てみると、自分の理解が及ばないところが多々あり、それが非常に残念、というか、悔しい。 けども、主人公の苦悩は十分に伝わってきて、その描き方が面白いと思いました。 自分の考えを理解してもらえない、周りの人間を信頼できないとかは、何か共感できてしまったり・・・少なくとも、嫌いではないですこの映画。 ただ、現実と幻想の境界を把握しきれないままだったので、再度機会があれば是非とも観てみたいと思いました。 
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-25 00:32:50)(良:1票)
296.  オーソン・ウェルズINストレンジャー 《ネタバレ》 
この映画が面白いのは、サスペンスの基本に忠実なところでしょうか。 追われる側は追う側の作戦を知らない状況で追われ、また、追う側は追われる側の打った手を知らない状況で追うという流れでストーリーが進行していくのですが、観ている側はその先々で起こりうる状況を前もって予測出来てしまうため、劇中の登場人物よりも先に危機を察してスリルを味わうことが出来てしまうわけで、この当たり前のような演出がとてもよく出来ていて非常に見応えがあります。 この映画の場合ですと、ウィルソンが殺人が起こることを予測しそれを阻止しようとするところとか、キンドラーが梯子の上の方で横の棒を鋸で切るところなどですが、“当たり前の演出”であったとしても難しいのは、やはりテクニックやセンスが絡んでくるから。 例えば、スプラッター系でよくあるような画面上に突然バーーーン!!と現れて驚かすのは簡単だけど、観る者がその先に起こりうる出来事を前もって予測できる状況で恐怖心を煽るのは、これは作家によって上手く出来る人とそうでない人とがいると思います。 また、映画の終盤で、死んだと思っていた妻が生きていたときの夫婦間の会話もゾクゾクしますし、最後の時計台のシーンは、オブジェの持っている剣に刺されて塔から落ちてしまうという、ちょっと古臭い演出ながらも非常に切迫感溢れる感じがあって、ここの迫力はお見事でした。 映画の中で終始聞こえてくる時計の鐘の音が観終わってからもずっと耳に残るほど印象的。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-14 11:04:12)
297.  キリマンジャロの雪(1952) 《ネタバレ》 
テクニカラーの映像は大好きで、この映画も一つ一つのショットがとても綺麗なくすみ具合と色あいを出していて、画面を見ているだけで気分が高揚してきてしまいます。 ただ、序盤の夕暮れ時のシーンの時、獣のざわめき(ロケ)と人間同士の会話(スタジオ)とのカットバックがお粗末なところがいただけない。撮影で使っているカメラが違うのは明らかで、更には、光の加減や空の青色の濃淡に全く配慮がなされていないのが凄く残念。 ストーリーに目を向けると、リアリティを欠く場面がいくつか見られ、気になる箇所があったのですが、マドリードにシンシアを探しに行った時、マドリードの街を探すのかと思いきや、行ったのは戦場で、しかもそこでシンシアを発見できてしまうという、ちょっと都合のいい展開であったり、最後の方でハリーの脚が痛み出して死んでしまうのかと思いきや、ヘレンの治療の甲斐あって、というか素人の治療で見事に回復してしまうという、これもまた強引に幕を引くような感じがあり、どうしても物語の進行や演出に難があったと言わざるを得ません。 大まかなストーリーは、ハリーの女遍歴を語るだけの単調なストーリーなのですが、一番最初に出てきたシンシアの美しさは筆舌に尽くし難く、特筆すべきは、ストーリー序盤で二人がバーで出会い、外に出て愛を語り合いながら煙草の火をつけた時、二人の顔がマッチの火によって明るく照らし出された時の一瞬の美しさ。一瞬の輝きというのが、この二人の将来を暗示するものとして描いたのでしょうか。一方で、ストーリー後半でヘレンと夜に出会ったときにも全く同じシーンが出てきますが、こちらの方は顔があまり照らされない。この違いは、出会ったときの気持ちの盛り上がり方を意図的に暗示したものなのでしょうか。 美しさを追求しシーンに意味を持たせたりと巧みな演出を見せる一方で、明らかに手を抜いてしまっているような一面も出てしまい、何とも惜しい映画です。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-12 01:05:29)
298.  紐育の波止場 《ネタバレ》 
オープニングの雰囲気からして、きっと素敵なストーリーが待っているんだろうな~と、早くからそんな予感を感じさせてくれます。 ちょっと古臭い感じもありますが、こういう古典的な演出って実はわかりやすくて凄く好きです。 主演のジョージ・バンクロフトは初めて見ましたが、この人がもう最高にカッコイイ。 顔は勿論のこと、酒場での言動や立ち振る舞い、船の中でのちょっとコ汚い感じ、結婚式の最中に牧師の話をロクに聞いてないところとか、結婚式の翌朝「昨日は昨日、今日は今日」と良いながらも彼女の部屋で騒ぎがあるとすぐに駆けつけて抱き締めてあげたりと、全ての行動がみんなカッコイイ。 極めつけは、出港してしまった船から飛び降りて海を泳いで愛する人のもとへ行ってしまうというような、サイレントの時代の映画でしかお目にかかれないんじゃないかってくらいの男気で、これは男の自分でも惚れてしまいそうな程です。 その愛に応えたヒロインも、徐々に心を開いていく感じが良くて、こちらもまた好演。 最後の別れのシーンはちょっと寂しい感じもありますが、“海の男”的な別れ方で、とてもお洒落な締め方ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-07 14:22:31)
299.  フィールド・オブ・ドリームス 《ネタバレ》 
感動はなかったけど、話には入り込むことができ、素直に面白く感じられました。 正直のところ、アメリカ映画臭がする映画はそれだけで避けていたのですが、これはドンパチ系でもなく星条旗バンザイ系でもなさそうだったので観てみましたが、こんな“アメリカ映画”もあったかと軽く驚いた気がします。 映画には万国共通の未来永劫に通ずる普遍性が必要と考える自分にとって、アメリカ野球界の八百長事件という限られた地域の限られた時代の人にしか知られていない事を題材にしたりするところなどが減点材料になってしまいます。 映画のコンセプト的には、野球を題材にする必要は特になくて、また、スポーツである必要すらなく、要は世代を越えて永遠に愛されるもの、それは音楽だったり芸術だったり何かのコレクションとかでもいい訳です。勿論、映画でも。 映画大国アメリカで最も人気のあるスポーツがたまたま野球だった。もしくは、野球が最も盛んな国アメリカが、たまたま映画製作においても大国であったという事なのでしょうかね。 一番感動したと言われているキャッチボールのシーンですが、父親が生きているところがストーリーに出てくればラストシーンでも感動できたのかもしれませんが、ナレーションや会話の一環で語られるだけなので、出てきたときの妙な違和感があります。思い出のような無形のものを形あるものとして映像に出すことの難しさがあり、原作を映画化したときの違和感とかと同じ感覚ではないでしょうか。後光を当てるとかで、父親の表情をハッキリ出さない方が良かったのでは・・・。 このキャッチボールという動作は、言葉を用いることなく出来るコミュニケーション手段であるため、一見説明不足で不親切かもしれませんが、その分おのおのが自由な気持ちで鑑賞でき、結果として多くの人に感動を与えるのだと思います。 子供でもできるシンプルさがあり、お互いの顔を見ながらできるので、何とも絵になるコミュニケーションですね~。
[映画館(字幕)] 6点(2010-02-22 01:42:19)
300.  キートンの大列車追跡 《ネタバレ》 
これに比べたら「バック・トゥ・ザ・フューチャーPart3」なんて屁みたいなもん。 走っている汽車を真横から映す疾走感、そして何と言っても体の張り方がハンパでない!一歩ミスったら死ぬんじゃないかってくらいの大胆なアクション。 恋人を追いかけているとき、線路に落ちている材木を、最初に拾った材木を投げつけることによって線路の外側にのけたりするアイディアには脱帽します。 久し振りにサイレントを観ましたが、セリフの本当に必要な部分だけをスポークンタイトルにして、あとの残りのしゃべりの部分はそのままっていうのが、無駄がなくていいですね。 恋人を追っている間、汽車を降りて辿り着いたのが敵の参謀本部だったというのは、クリスチャン・ジャックのあの映画のオリジナルかな? と思ったら、某大手家電量販店のCM曲も流れていましたね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-02-22 01:25:55)
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120.37%
230.55%
391.66%
4295.35%
58515.68%
614426.57%
716630.63%
87313.47%
9234.24%
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