301. The Harimaya Bridge はりまや橋
《ネタバレ》 なかなか骨太で見応えのある作品でした。 「人は理由を付け差別をする」というセリフが出てくるように、人種間、親子間の葛藤やさまざまな偏見がテーマとなっていて非常に興味深かったですね。 こういった葛藤や偏見といった問題に対しては、ついつい無関心を装ったり、いろいろと理由を探して正当化したりしてわが身から遠ざけたくなりますけど、やはり解決のためには例え傷つくことになるとしても直接それらの対象と触れあっていくことが必要なことであるのだなと痛感させられました。 監督も高知に住んでいたことがあるということで、日本の描き方もそれ程違和感は感じませんでした(misonoはちょっと浮いてましたが。)。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-15 00:54:38) |
302. ラスト サムライ
《ネタバレ》 武士道に憧れたアメリカ人がサムライアクションムービーを撮ってみましたといった感じですね。とにかくディテイル等滅茶苦茶で筋だけ追うと単なるトンデモ映画なんですが、キャスティングがしっかりしておりお金もかけているので意外にも見ごたえのある娯楽映画に仕上がっていて、「さすがハリウッド!」と言うしかありません。まあ、細かいディテールを気にせず、どっか別の惑星の物語とでも考えて観るのが良いかと思います。 渡辺謙の存在感のある演技が素晴らしく、完全にトム・クルーズを脇に追いやってしまっているのが一番の見どころです。 [地上波(吹替)] 8点(2010-01-06 09:28:56) |
303. 男はつらいよ 寅次郎春の夢
《ネタバレ》 この30年で日本人の国際感覚もだいぶ進歩したのだなと実感させられました。当時は大袈裟でなく外国=アメリカみたいな感じがありましたからね。でも、今のように進歩して本当に良かったのかどうかは何とも言えないですね・・・・・。 ハーブ・エデルマンもまるで「アメリカ版寅さん」という感じで中々面白かったです。 [ビデオ(邦画)] 8点(2010-01-04 23:17:04) |
304. トラ・トラ・トラ!
《ネタバレ》 真珠湾攻撃に至るまでの日米間の駆け引きやそれぞれの思惑や諸事情がしっかりと描かれていて見応えのある作品でした。日本が騙し討ちのように奇襲をかけた加害者で、アメリカが何も知らない加害者であるといったような単純化がされていないことも評価したいと思います。まあ、日本外交の詰めの甘さの酷さと第二次世界大戦に参戦するための大義名分が欲しいアメリカの思惑が重なってしまったということですね・・・・・・。 戦闘シーンもCGなど無くてもド迫力でしたね。また、真珠湾攻撃成功後の山本五十六の深刻な表情も非常に印象的でした。 しかし、この映画の後でなぜ「パール・ハーバー」のようなしょうもない作品が作られるのか、不思議でなりませんね。 [地上波(字幕)] 8点(2009-12-29 23:55:29) |
305. 隠された記憶
《ネタバレ》 すべてが綿密に計算されており、全く以って隙が無い映像を我々に提供(というか挑発)してくれるハネケ監督には感服するしかありませんね。そして、誰しもが抱えている問題(秘密や嘘そして罪)をサスペンスという緊張感に満ちた形式をとりながら突いてくるその嫌らしさは、まるで悪夢を見ているかのようでした(でも面白いからついつい見てしまうんですよね)。 何というか、何回も見返して、その緻密さを確認したくなるような映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-12-28 23:40:58) |
306. 13歳の夏に僕は生まれた
《ネタバレ》 何というか、感想を述べるのが非常に難しい作品ですね。生きていくために決して他人を信用することなく必死になって行動している不法移民の少年と妹(実際は兄妹かどうかもわからないが)、不法移民たちの乗った船に救われ本性を探ることもなく前記の兄妹を何とか救おうとする主人公の少年とその家族のどちらにも感情移入できるような、できないような微妙な感じで、本当に移民問題の難しさを痛感しましたね。 一番印象的だったのは音楽の使い方が非常に効果的だったことですね。オープニングのトム・ウェイツの「ルビーズ・アームズ」でぐっと心を掴まれましたし、クライマックスの場面でのエロス・ラマゾッティの曲の使い方が本当に巧みで何ともいえない切なさを見事に表現していましたね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-12-20 23:32:49) |
307. 船を降りたら彼女の島
《ネタバレ》 美しい瀬戸内海の風景とゆったりとした時間の流れに心が癒されましたね。そして、内容も自分が辿ってきた過去を思い起こし、自分を見つめ直していくという普遍的なもので非常に共感できました。 愛媛に旅をしに行きたくなる作品でした。また、押尾コータローの音楽も良かったです。 [DVD(邦画)] 8点(2009-12-19 00:12:00) |
308. 愛のむきだし
《ネタバレ》 ある意味、日本映画の到達点といっても過言ではない凄い作品です。とにかく、B級アクションと社会派ドラマ、恋愛ドラマ、家族ドラマ等々の要素が猥雑に入り混じっていて 237分という時間が短く感じられるほど密度が濃く、剥き出しの欲望が生み出すパワー溢れる映像がこれでもかと観ている我々に遅いかかってきました。ゆらゆら帝国の音楽も70年代後半の日本映画っぽくて最高でした。 まあ、アングラっぽさというか独特のクセのようなものがあるので好き嫌いは分かれるとは思いますが、今後日本映画を語る上で外すことのできない怪作となることは間違いないでしょうね。 [DVD(邦画)] 8点(2009-12-12 17:41:40) |
309. おくりびと
《ネタバレ》 映画の出来云々というよりも、このテーマを娯楽映画として成立させることができたことにとても意義があったと感じましたね。 死に「穢れ」を感じる日本人は少なくなく、死に触れることはタブー化されている中で、「死は終わりではなく新たな旅立ちなのだ」というメッセージを多くの人に伝えることが出来たのですから。 [地上波(邦画)] 8点(2009-12-12 11:57:07) |
310. 宵待草
《ネタバレ》 神代辰巳と長谷川和彦の黄金タッグによるジャパニーズ・ニュー・シネマです。正直粗は目立ちますけど、その粗の部分のしょうもなさも含めて、この作品に流れるユーモラスだけれども刹那的でやるせない雰囲気がとても好きです。画面的には暗い場所での場面が多かったので、ラストの夕陽がとても印象的でした(それとでんぐり返しも)。 細野晴臣の音楽も良かったです。 [ビデオ(邦画)] 8点(2009-12-08 00:17:19) |
311. フローズン・リバー
《ネタバレ》 女性版「グラン・トリノ」という印象を受けました。格差問題、人種問題、不法移民問題等々アメリカ社会の影の部分を鋭く描いています。作品全体を貫く緊張感に惹き込まれました。 凍結した川の荒涼とした風景が、まさに登場人物たちの状況を表しているかのようで非常に印象的でした。 [映画館(字幕)] 8点(2009-12-02 16:12:32)(良:1票) |
312. 明日の記憶
《ネタバレ》 主人公と同じサラリーマンの身としては、感動や感銘よりも恐怖心を強く感じてしまいましたね。何というか、他人事とは思えませんでした。 ただ、こういう事例を小説や映画という形で我々に提示してくれたことには感謝したいですね。人生何があるかわからない中で、予備知識があるかないかでは大きな違いがありますから。 暖かな雰囲気が、逆に悲劇性を強調していて非常に哀しい作品でした。まあ、大滝秀治じゃないですけど「生きてりゃいいんだよ!」というポジティブシンキングは大事だなと思いました。 [地上波(邦画)] 8点(2009-11-06 00:27:15) |
313. 灯台守の恋
《ネタバレ》 観終わった後、何度も思い返す度にじわじわと心に響いてくる作品ですね。荒れた海に聳え立つ灯台の姿、いろいろな意味で荒涼としたブルターニュの風景、いろいろな愛情の姿、アルジェリア戦争の傷跡・・・・いろいろな要素がさりげなくストーリーの中に置かれていて、それらがうまく混じりあって素晴らしい作品に仕上がっています。 ブルターニュ地方にケルト文化が息づいていることとか、灯台守の仕事の様子などいろいろ知ることができたのも良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-05 21:24:01)(良:2票) |
314. スコットランド・カップの奇跡/栄光のストライカー
《ネタバレ》 これは、贔屓のサッカーチーム(しかも強豪ではない)を持っている者にとってはたまらなく魅力的な映画ですね。元スター選手役を演じたアリー・マコイストは、実際にレンジャーズ等で活躍していたストライカーだけあって試合のシーンもリアルな感じでした。 小さなチームがジャイアントキリングを続けて遂にカップ戦の決勝まで・・・という流れは、どうしても自分の応援するチームと置き換わってしまうのか感情移入してしまいますね。話の締め方もイギリス映画らしく甘くはないのですが、心温まる感じで良かったです。 スコットランドのサッカー事情も垣間見れて興味深かったです。見る前にちょっとスコットランドサッカーについて予備知識を仕入れておくと良いかもしれません。 [地上波(字幕)] 8点(2009-11-03 21:39:29) |
315. ゼイリブ
《ネタバレ》 この発想力には脱帽ですね。現在の日本にもはびこっている商業主義、競争社会、経済格差等々の問題を見事に戯画化していて興味深く観ることができましたし、いろいろと考えさせられました。実際、広告なんて商品を購入させたいという目的に、われわれ消費者を従わせるための手段なわけですからね。 社会の中で当たり前のように為されていることに疑問を感じたり、変えようとすることは確かに面倒臭いし、抵抗感すら感じることかもしれませんが、ただ流されるばかりではいけないのだなと思ったりしました。 まあ、この作品の世界観も突き詰めていくと、ナチスのユダヤ人政策の根底にあった思想を思いおこさせるような面もあって危険さも感じましたので、あくまでも娯楽SF作品として楽しむのがいいのかもしれませんね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-13 23:57:44) |
316. 金日成のパレード ~東欧の見た"赤い王朝"~
《ネタバレ》 パレードやマスゲームのすさまじいまでの完成度、徹底的に神格化された個人崇拝の雨あられ・・・。これが独裁恐怖政治国家の完成系なのかと感心するとともに、こんな国家が日本のすぐ隣に存在することに恐ろしさを感じましたね。 [ビデオ(吹替)] 8点(2009-10-06 10:01:28) |
317. 空気人形
《ネタバレ》 非常にシュールで哲学的でいろいろと考えさせられる作品でした。 この作品における「空気人形」とは、社会の中での自分の立ち位置、ポジションに埋もれながら惰性で生きている空っぽな現代人の象徴ではないでしょうか。そして心を持った「空気人形」は、われわれにそういった空虚な人生からの脱却を呼びかけているように感じました。心を持つことによって辛く哀しい状況に出くわすこともあるかもしれない、しかしながらそれこそが人生なのである・・・・・ しかしながら、この作品はキャスティングが完璧でしたね。ペ・ドゥナの不思議な魅力が「空気人形」役にズバリとはまっていました。しかしまあ、韓国のトップ女優がよくぞこの難しい役を引き受けてくれたなと思いますね。この役は演技力のある人でないと下品な感じになってしまうでしょうから。 岩松了のいつもながらの本当にしょうもないおっさん役も見事でした。そして、板尾創路のあのキャラはまさに日本映画の宝であるといっても過言ではないですね。 はっきり言って、万人受けする映画ではありません。嫌悪感を抱く方も少なくないと思いますが、観ておいて損はない作品です(ただ、デートとかにはちょっと・・・・・)。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-27 00:32:05)(良:1票) |
318. 舞妓Haaaan!!!
《ネタバレ》 いやあ、本当に馬鹿馬鹿しい作品なんですけど、ここまで突き抜けてくれると逆に素晴らしいですね。最初は、阿部サダヲの演劇人独特のクセのあるハイテンションっぷりにちょっと引いてしまいましたけど・・・・・ 観終わった後芸者遊びを体験してみたくなりましたね。 [地上波(邦画)] 8点(2009-09-22 22:58:22) |
319. 太陽の帝国(1987)
《ネタバレ》 2時間半を超える長編ですが、型破りな主人公の少年役クリスチャン・ベールの素晴らしい演技を追っかけているだけであっという間に時間が過ぎていきました。 まあ、旧日本軍が出てくる外国映画ということで、その描かれ方に注目して観たのですが、主人公のスタンスが非常にニュートラルなこともあって変な偏りもそれほど無く上手く描かれていたように感じました(主人公の家から軍人が怪しげな格好で出てくるシーンは謎でしたが・・・)。 当時の上海や収容所の様子や戦闘の描き方も、リアルさと映像美が見事に融合したものとなっているところなんかはさすがスピルバーグです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-09-22 11:31:34) |
320. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 子供向けアニメと侮るなかれ。この合戦シーンの描写は中々リアルで見ごたえがありました。ストーリーも戦国時代の非情さを、ギャグを交えながら大人にも子供にも分かりやすく伝えるもので面白かったです。 [地上波(邦画)] 8点(2009-09-21 00:29:59) |