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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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321.  ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》 
「大ボラ吹き」の意味合いを持つ「ビッグ・フィッシュ」。 この映画は奇想天外な物語と現実が交差する“嘘の様な本当の話”みたいな流れが好きだし、魚とか猫とか動物もいっぱい出てきて楽しい。 謎に満ちたドアを次から次へと明けまくり、運命を切り拓くような映画だ。 幻想的な回想や現代の時間の色合いやトーンの違いが、父の語る“夢”を強調する。 そりゃあ1000回も自分が脇役の話されたら誰だって嫌になるわい。 指輪で池の主を釣り、出世魚のようにどんどん成功を掴んでいった男の話。 父「俺の指輪を返せ!(怒)」 魚「その指輪を俺に喰らわせたのはテメえだろうが!!(憤慨)」 ダイナミック出産、運命を知る眼帯魔女。 自分の運命を素直に受け入れる潔さ。 プッチ神父「覚悟は幸福(ry」 手を触っただけでお腹の中の子が男の子か女の子か解る医者とかスゲえな。 謎の急成長、スポーツ、芝刈りだってスポーツだ、巨人との友情、幻の町でのニート生活、本当の父は牛乳屋?、サーカスでの出会いと「ザ・ワールド」&「メイドインヘブン」。 友人を救うべく愛してきた狼に銃を向ける道化師。見た目は道化でも、心の中は涙を流して躊躇を見せる暖かさ。 バートンのこういう演出が大好きだ。 狼は一匹狼じゃ生きられない。自分を受け入れてくれる存在が必要な、寂しがりやだったのさ。 フィアンセは奪うためにある(真顔)。 「運命で彼女と結婚する事になっているからっ!というか先にサーカスで出会ったの俺だしー、おまえ消えてー!」 何 た る ジ ャ イ ア ニ ズ ム。 ロマンチックだって? ドンが可哀想すぎて泣いたわ畜生! よりによってトイレでとか(´;ω;`)ブワッ ピエロすぎだろドン・・・。 花嫁を奪ったかと思いきや今度は戦争。 このタイミングはドンの呪いか? だが残念な事に相手は死亡フラグクラッシャーだ。 愛する女のために突撃一番、単騎特攻。 シャム双生児の女優の美声、暗視スコープで無敵。 サンタ「訴訟も辞さない」 詩人ラズロはニートをやめて強盗に転職。金をやるから実業家に転職してマジの天職に。 “夢”を買収する瞬間がこれほど暖かいのはこの映画くらいか。 何処までが嘘で、何処までが真実かは解らない。 だが、彼が辿った“人の緑”は夢を現実に変える力を持っていたのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-11 14:16:55)(良:1票)
322.  乱れる 《ネタバレ》 
この映画は「君と別れて」を思い出す。あの映画の水窪澄子のような眼差し、表情をする高峰秀子。二人の男女の距離と目的地への距離を縮めながら進む列車、それを支え道となる橋。 特に終盤、列車で徐々に距離を縮めていくシークエンスはドキドキさせられる。列車は絶えず動き続けるし、止まる駅でも乗客の乗り降りで運動は続く。 最初は他の客がいて弟が立ち続け、次第に背中越しに、やがて向かい合う。姉の横で転寝中のオジサンにヤキモチめいた気持ちを覗かせるのが面白い。 物語は軽トラックがスーパーの宣伝を高らかにする場面から始まる。新しい時代を象徴するスーパーの波、戦後のバラックから店を守り過去の亡霊に魂を繋がれたかのような人間たち。特に義姉のヒロインを演じる高峰秀子は。 義弟の加山雄三も出前のソバを食べても帰れば姉の手料理を食べたくなる。本当に食べたいもの、欲しいものはそれなのだから。 この頃からパチンコや麻雀だけで生計たてちゃう奴がいるのね。それすら出来なくなった人間は家族を残して簡単に首をくくってしまう。 冒頭で何かを心配そうに見つめていた義姉は、そんな義弟が無事に帰って来るのを毎日待ち続けているのだ。ちょっとくたびれた表情も見せる義姉。 義弟はそんな彼女を尻目に毎晩遊んだり警察の世話になっている。 後の若大将も劇中では筋金入りのニートな馬鹿大将。そんな男が、いつしか愛する義姉のため自分なりに働き始める。義弟を動かすのは家族を想う愛だけでなく、元々血の繋がらない“異性”に対する愛も強い。義姉も弟としてでなく、いつしか異性の“男”として心を許すべきかと悩みはじめる。前の夫の面影が、そんな彼女に中々ふんぎりを付けさせてくれない。 わざわざ寺に呼んでおいて「明日」などと言って焦らす。それを言うためだけに待ちつ待たせての寺での会話。 あれだけ焦らしておいて二人きりの旅館では「ああやっぱり」的な。霧の中を走る列車から、あえて時間のかかるバスや宿での宿泊を選んでおいてだ。 でも、その理由は弟が姉の本名ではなく最後まで“姉さん”と呼び続けたからでもあるのだろう。もし弟が姉を名前で呼び、彼女を本当に“女”として受け入れていたのなら・・・そんな事も考えてしまう。 諦める心、最後の電話、失って初めて“愛していた”と思い知らされる後悔。女はようやく愛しはじめた男を探しに駆けていく。身も心も、髪も乱して。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-11 01:52:11)
323.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
物語は終始特に盛り上がるでもなく淡々と語られていく。 アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティンは時々怒りで叫んだりするが、基本的には劇中の黒のハイコントラストのような重々しい沈黙を選択する事が多い。 それはありのままを見せるドキュメンタリーといった記録がそうであるように、イーストウッドもあくまで実際の事件の再現に務めている。 真の対象は、事件そのものではなく事件によって人生を狂わされた人々の、怒りを抑圧する事を迫られる苦痛だ。 実際に起きた警察の不祥事、事件ごと揉み消されそうになる人間の実在、そして明かされる連続殺人の影・・・次々に真相が解明されていく瞬間の一瞬“ゾッ”とする感じがたまらない。 クリスティンが子供を捜してもらおうと電話する場面。こっちは急いでいるのに「24時間待って下さい」と言われる瞬間の焦り、恐怖、苛立ち。 誰よりも子供の肌に触れてきた母親が記録や記憶によって疑念が確信に変わる瞬間。 アメリカで“割礼”が拡く普及するのは第二次大戦後の1945年。 息子の捜索はやがて警察との全面対決へと変わっていく。 息子を見つけるため、何より母親としての自分や他人を否定した総てのものを許さないために。 クリスティンを助けてくれたキャロルの辛い過去もまた、彼女に戦わせる力を与えただろう。 今まで消極的な部分が多かったクリスティンに闘志が宿る。電気椅子なんざもう怖くない。 また、クリスティンのために粘り続けたブリーグレブ神父、それに警察として己の正義を貫くヤバラ刑事! 警察の腐敗した部分だけでなく、責任を果たそうとする人間など多面的な部分も描かれていて良い。 ゴードンもまた、自分が“くびり殺される”事など考えていない男だった。 警察も何度サンドバックにされようと歪みがない。 「ミスの批判よりも解決した事を評価して欲しい」じゃあ肝心のミスとやらを失くしてみろよファ●キュー。 論点をすり替え続けた警察がそうであったように、この映画は「自分がそうされたらどうしよう」なんて考える奴はほとんどいない。みんな自分が可愛くて、他人に睨まれるのが怖くて何も言えなくなってしまう。クリスティンは、そんな社会から逃げる事をやめた人間の一人だ。 神父は「神の力だ」とクリスティンに語るが、本当は神とか愛する我が子を心の支えにして戦い抜いた人間の奇跡なんです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-11 01:25:28)(良:1票)
324.  ビューティフル・マインド 《ネタバレ》 
実在した天才数学者・ジョン・ナッシュの生涯を描くこの作品だが、ジョン・ナッシュを知らない者はこの映画を「SFめいたサスペンス」と受け取り混乱をきたすが、ナッシュを知る者は「軍事施設に採用される」という事の馬鹿馬鹿しさを楽しみながら、恐怖が作り出した幻との、自分との孤独な闘いを安心して見守る事ができる。 だからナッシュの事を先に知ってしまった者は、この“二通り”の楽しみ方を出来ない人もいるワケだ。 モチロン普通の伝記映画として楽しむのも良いけど、この映画の面白いところはやはり“混乱”にある。 嘘のような本当の話・・・と思いきや、やはり・・・!みたいに観客はナッシュと共に“混乱”する。 「伝記なのか嘘なのかどっちだよ」と。逆に何もかも知らない方が、混乱を楽しむ方がこの映画の醍醐味ではないだろうか。 「数学ですべてを支配してやる」というまるで世界征服を目指すマッドサイエンティストのような自信と傲慢。 そんなナッシュは学生時代の初っ端から挫折を味わう。 だが彼には“心の友”とも言うべき友人が常にアドバイスをくれた。 己の才能に溺れ掛け、不安定な精神。机を窓から投げだしたかったのはナッシュ本人だった筈だ。 また、大声で喋るのが嫌いな彼は、大声で喋りたい時に喋るアリシアに惹かれていく。彼が惹かれるのは、常に自分とは違う人間ばかりだ。それだけ違う生き方が出来る他人に憧れたんだろうね。 ロン・ハワードの伝記映画は、アクション映画のような活劇で常に満ちている。 「数学者の人生」という一見恐ろしく地味な題材ですら、冷戦下における情報戦の中に投げ込むのだ。持ち前の頭脳と閃き、知識で闘い続けるコードブレイカーとして。 ソ連(ロシア)の計画を察知するための暗号解読の依頼。 まるでSFサスペンスのように展開されるスリリングな駆け引きが面白い。 彼を護ったり不安にしたりするエージェント。本当に車に乗って銃をブッ放したり派手なチェイスをしたかったのは、ナッシュ本人の筈だ。 「自分との戦い」で彼は何を得られたのだろうか。ノーベル賞?数学者の権威? いや、本当の自分と向き合って話し合える友人や家族だったのではないだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-10 19:21:56)(良:1票)
325.  それでも夜は明ける 《ネタバレ》 
スティーブ・ロドニー・マクインの現時点での最高作。 今まで黒人差別との戦いを描いた作品は数多くあったが、マクインのこの傑作は新しい歴史を刻んだと思う。 画面を覆う黒いコントラストの“闇”が、暗黒の歴史と向き合うソロモンの物語に一層の深みを与える。 麦の穂を狩る黒き人々、それを監視する白き人々。物語は奴隷農場?と思わしき場面から始まるかと思いきや、話は過去に戻ったり現代に戻ったりと行き来して全貌を明かしていく。 奴隷として農場を転々とする12年間・・・それでも「奴隷のプラット」ではなく「ヴァイオリン弾きのソロモン」として彼は戦い続けた。。  ところで、なんで間に本名の“ロドニー(Rodney ”を入れるかって? 俳優のスティーブ・マックィーン(Steve McQueen)とスペルがまったく一緒だからだよっ!! まぎらわしいんだよ、監督本人が何もしなくても配給会社が気を利かせろよ・・・と言いたくなる。 いちいち「黒い方のマックィーン」だの 「監督の方のマックィーン」だの 「マックィーン(監督)」だの面倒くせえんじゃボケえっ!!! どっちか知らない人は「あれ?こんなガングロだったっけ」とか 「こんな野球少年みたいな人だったっけ」と著しい混乱をきたすワケよ。 いやきたせよ人間として!(何の話だ) じゃあ“R”付ければマックィーンでも良いだろって? そうもいかないんだ。 何せスティーヴン・R・マックィーン(Steven R. McQueen)って人がいるからさ。 俳優マックィーンの孫にねぇ! 何で“ん(N)”が付くだけなんだよっ!せめて「スティーブ・マックィーン3世」とかもっと工夫できるだろうっ!俳優名を決める時点で考えてくれよ頼むから! オマケになんだ“R”って!? “R”なんなんだよ!? 単語を続けろよ! イニシャルだけとかナメてんのかテメえはっ!? ロベルト(Roberto)か? それともロバート(Robert)か? 父親はチャド・スティーブン・マックィーン(Chadwick Steven McQueen)なのに・・・何で孫の方はスティーブンが先なんだよ・・・。 というワケで、俺はスティーブ・ロドニー・マクインとしてこのロンドンはウエスト・エンド出身のイギリス人を応援していこうと思う(バイク大好きな方のマックィーンはアメリカのインディアナ州ビーチグローブ出身です)。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-10 19:12:24)
326.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 《ネタバレ》 
壮大な鬼ごっこ映画「Catch me if you can(できるもんなら捕まえてみろ)」。 「007」が英国諜報員と犯罪組織の鬼ごっこ映画だった事を思うと、「インディ・ジョーンズ」シリーズも鬼が捕まえては逃げたりの繰り返しがあった。 今回は「インディ」みたいな「お約束」なんてない、実在したフランク・W・アバグネイル・Jrの事件を映像化したのだから。 「007」がシリアスとギャグの融合体だったように、この映画もレオナルド・ディカプリオがノリノリなコメディ映画だ。 オープニングのアニメーションから既に追いかけっこが始まり、クイズ番組のゲスト紹介みたいな映像が流れる。 航空副操縦士の“アバグネイル、”小児科医の“アバグネイル”、弁護士の“アバグネイル”・・・。様々な職に成りすまし、警察まで騙くらかして莫大な金を稼いでいく。父親譲りのアドリブやハッタリ・ジョークを駆使してどんな困難も掻い潜る。クリームがバターになるまで粘りに粘る。 総ては何もかも失った父のため、そして母のために・・・。最初は家族が元に戻りささやかな幸せを手に入れられればそれで良かったのだろう。 だが、知ってしまった金の味、女の味、愛情・・・家出少年の旅と犯行はどんどんエスカレートしていく。 「007」並のたらし&絶倫(ry サングラス付き眼鏡ってなんか良いよね。 親想いの手紙が仇になる瞬間、芽生えた愛情で女を置いていきたくないという葛藤・・・気が付けば、総てを失った自分がいた。 だが、ここで終わらないのがアバグネイルだ。 親を一目見ようとトイレから脱走してしまう凄さ。 騙す側から暴く側に変わっていく姿。 そこには良き友人を手に入れ精気が蘇った男はいても、総てを失い絶望に暮れる男の姿はもうなかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 23:47:42)(良:1票)
327.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/完全版 《ネタバレ》 
「ウエスタン」、「夕陽のギャングたち」から続く「ワンス・アポン・ア・タイム」三部作の終局。 個人的には「続・夕陽のガンマン」がレオーネの最高傑作だと思っているが、俺の一番好きなレオーネの映画はコレ。 ドラマ、アクション、緊張、緩急、密度、そして漢と女たち。その集大成とも言える傑作だ。 「ゴッドファーザー」が殺しの依頼から始まるのに対し、この映画はいきなり“滅び”のシーンから始まる。 人気の無い暗い部屋、女が一人部屋に入ってくる。女が明かりを付けると、ベッドには人の形を象った弾痕の跡が。その瞬間、男の写真立てを割る拳銃を持った男たち。男たちが写真の男の行方を尋ね・・・というファースト・シーン。 冒頭からショッキングな場面が続く。一連の殺し合いが終わると、映画は過去へ遡り、そして“現代”と行き来をはじめる。 クローズ・アップのくどさに辟易するが、そんな事は壊れた壁の隙間から過去に飛ぶシーンの素晴らしさが忘れさせてくれる。 現在のシーンは昔を尋ねる場面だけで退屈なものになるのかと思っていると、あの壁穴から一気に過去へのジャンプしたもんだから驚きだ。 もう退屈と感じるシーンは微塵も無い。美しさと強烈さを秘めた映像が見る者の心を最後まで掴んで離さない。 ヌードルスたちがギャングに成長するまでの青春の日々が一番好きなんだよなあ。 大人になりかけの子供と言いますか。 レオーネ特有の長回しも皆無に近いのが逆に好印象。 ヌードルスたちが成長して殺しの限りを尽くすシーンも好きだ。密告、裏切、下剋上。 綿の機械?工場での追走劇はカール・テオドア・ドライヤーの「吸血鬼(ヴァンパイア)」を何故か思い出した。吸血鬼は工場のおがくずの中で息絶える。 車上で“暴走”するヌードルスの愛。あえて合成の車外映像が、ヌードルスの愛がデボラの心ではなく肉欲、“偽”の愛情である事を暗示する。 何いかにも哀しげな音楽で誤魔化そうとしてんだよ。無言の「別れ」が終わりを物語る。 それとも、ヌードルスはデボラを巻き込まないためにあえて彼女の心が離れるような事をしたのだろうか。 禁酒法の終わりはヌードルスたちの友情の終わりも告げる。 コーヒーカップをかき回すシーンの異様な緊迫、一世一代の“大博打”、明かされる真実、ゴミ清掃車という名の霊柩車。ラストのヌードルスの哀しき笑みは忘れられない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 21:51:30)(良:1票)
328.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
自身もユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグは、約10年の構想を経てこの大作を撮りあげたという。 スピルバーグの映画で最も長く、最も見応えのある映画の一つだ。 ヤヌス・カミンスキーによる撮影は、カラーのパートにおいても“黒”のコントラストを失わない。 それは市川崑と宮川一夫の「おとうと」から続く“銀残し”にも精通する彼の実力が存分に発揮されているからだ。 冒頭と終盤を除いて白黒で撮られた映像。 まるでアラン・レネの「夜と霧」のようにドキュメンタリータッチでユダヤ人の悲劇を描く時もあれば、 バッハ(劇中の“モーツァルト”は間違い)の「イギリス組曲第二番のプレリュード」が虐殺と共に奏でられる胸糞の悪さと芸術的な興奮すら感じさせる“憎たらしい”場面もある。 バッハ好き発狂間違いなし。 序盤の「暗い日曜日」だって陰鬱さは無い。 朝セ●クス後のアーモン・ゲートのクソ野郎が事後処理とばかりに狙撃するシーンも最高に胸糞が悪い&悔しいけどそそられる。これほど美人のおっぱい見て素直に喜べない映画も無いよ。 居住区と元住居の対比、ありとあらゆる場所に隠す財産・人、それすら見つけ嬲り者にするナチスの黒い影。 不気味な鉄ヘルメットの行進は、虐殺を愉しむように、家畜を殺すように引き金を引くのだ。人を治すためでなく殺すために使う聴診器、閃光が語る虐殺・・・。 白黒の画面の中を駆け抜ける赤い服の少女。観客とシンドラーだけが、あの少女に気付く。 そんなドイツ兵も“ロシア戦線”は怖いらしい。冬将軍恐るべし。 列車のシーンは見る度に絶えず絶望感を拭えない。“手違い”でアウシュビッツに送られるシーンの恐怖といったら。 同胞の死体を火葬しなければならない苦しみは彼らにしか解らない。  蝋燭に火を灯す場面からはじまるこの映画は、次々とその灯火が消えていく。その灯火を拾い集め、最後まで絶やさなかったのがオスカー・シンドラーという男だった。 彼は安い賃金で働くユダヤ人を“労働力”として社員集めをし工場に迎え入れる。 飼い犬を可愛がるように接していたが、面倒見が良すぎるシンドラー社長はやがて同じ“仕事人”として、一人の人間として惚れ込んでしまう。自分の総てを犠牲にしてでも“仲間”たちを守りたいと思うようになる。仲間の名前は一時一句総て覚えている。 「私はドイツ人だ。それがどうした?」
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 20:18:24)(良:1票)
329.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
靴、靴、靴。それに足を入れて走って走って走って大地を“蹴る”。 それがこの映画だ。  冒頭から「靴」の映画である。 壊れた靴を直してもらい、途中寄った店で靴が入っているとも知らずに持っていかれてしまう袋。それは妹の靴だった。ここから物語は始まる。 「9歳はもう子供じゃない」という生活を送るアリは、ノートによる“筆談”を経て妹ザーラに自分の靴を貸すハメになる。 妹も走って走って走り、履き替えた靴でアリもまた走って走って走って学校に行く。 たった二足の靴を兄妹で仲良く大切に洗うシーンは微笑ましい。同級生の靴を物欲しそうに見つめる妹が可愛いすぎて和む。「同情するなら靴をくれ」的な。 川に流れてしまった靴を懸命に追いかけるシーンの健気さ。 アリもまた家の手伝いや妹の靴の件もあって好きなサッカーも出来ない、家は貧乏&家賃滞納で大ピンチ、その鬱憤を学校への全力疾走にぶつけて彼は毎日市街を駆け抜ける。その走りの成果が役立つなどとアリもつゆ知らず。女子は午前で男子は午後の授業? あのお茶のポッドが欲しくなる。  父親の自転車が坂道で止まらなくなったり、用水路の予想外の水流の速さと、この映画はとにかく動いて動いて動き続ける。  アリはどんな困難も「妹の靴、そして妹のため」を思えばと乗り越える。 一等よりも三等の価値、終盤のラストスパート! スローモーションが焦らすに焦らす演出が良い。手に汗握る。  どんな結果でも、妹の喜ぶ顔が見れないと思うと哀しい表情をするアリ。  だが、アリの父ちゃんは二人を笑顔にする“とびっきりのもの”を自転車に乗せて帰ってくる。 アリの傷ついた足を水の中で優しく舐め迎え入れる金魚たちは、アリたちに訪れる幸福を予感させる。  こんな面白い映画、よく90分以内に収まったもんだ。傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 19:21:25)(良:2票)
330.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
この作品が「トイストーリー」の最高だという事に文句は無い。俺としても3D・ピクサーを含めての最高傑作の1つだと思う。 だってよお・・・どのシーンを見ても泣きそうになるってのに、最後のアンディのセリフでいっつも泣いてしまうんだ。  西部劇を髣髴とさせるファースト・シーン、御馴染みの面々が縦横無尽に画面を駆け巡る疾走感!奥の奥、画面を破壊し空間の底から飛び出してくるようなダイナミックさ。フルCGという次元の壁が無い世界を無限に突き進むような興奮。 ウッディたちに襲い掛かるおもちゃは「12モンキーズ」のマーク? ビデオを通して語られるアンディの、今までの「トイストーリー」。 おもちゃたちの間では生物のように動き回る彼ら、人間の前では動いてはならないという暗黙のルール、宿命・・・彼等はその宿命から逃れるか、宿命に身をゆだねるのか。成長して“卒業”を迎えるアンディの姿。モリーの成長、犬のバスターもすっかり歳を取った。 モリーがおもちゃの動く姿を目撃した場面があった。「3」では彼女がキーパーソンになって人とおもちゃが話し合う時が来る・・・そんな事を思っていた時期もあった。結局一線を越える事が出来なかった・・・いやしない事を彼らが選んだ結果でもあるんだろうねえ。そうなっていたら、きっとアンディは卒業できなかったんじゃないだろうか。だから、おもちゃたちも最後まで己の宿命に生きる事を選んだのだと思う。  もうあの頃と同じ子供じゃいられない。彼らおもちゃにとっても卒業するかしないかの分かれ道。他の仲間達は既に多く旅立っていた。数の減った軍曹たちの姿が寂しい。ボー・ピープや羊、バギーたちの姿も見たかったなあ・・・。でも陶器のボーが幼稚園児たちに蹂躙される様を見ずに済んだのはせめてもの救い。きっと元気にやっているよな・・・きっと。  おもちゃたちが傷つかないようにクッションを引いたり、こっそり屋根裏に持って行こうとするなど最後までアンディはおもちゃたちの事を気にかけていた。そんなアンディと幼稚園の子供達の扱いの差は天国と地獄、ウッディは最初の「トイストーリー」で似たような地獄を目の当たりにしている。ウッディはその時の恐怖も覚えているから余計に怖い。  別れ行く仲間、最後の試練といわんばかりに襲い掛かる冒険・地獄の連続、レディポテトの眼が起こす“奇跡”、憎めないロッツォたちの過去、トトロやまめしば?もゲスト出演、スリリングな脱出と帰還、トイレの鏡の汚れGJ、仲間のために命懸けで何度でも戻って来る者の姿はなんでこんなにもカッコ良いのだろうか。 バズもブッ壊れたりスペイン語で踊り狂おうが最後の最後でキメてくれるナイスガイだ。バズにとっては宇宙の戦士として生きる方がもしかしたら幸せだったのかも知れない。ただ、呪われた宿命(設定)ではけして得られない掛け替えの無い仲間を多く手に入れたと思う。  溶鉱炉の絶望的な状況、死を覚悟してみんなが手を繋ぐ瞬間!解っていても、解っていてもハラハラしてしまう。その時のウッディたちの顔が凄い悲しくてさあ・・・。 リトル・グリーン・メン、おまえらこそ本当の“神様”だぜ。ロッツォの末路は救いがある方。   ラストでアンディがボニーに大切な宝物であり友人でもあるウッディたちを譲るシーンなんてもう・・・「僕のおもちゃだよ。レックス、バズ、ウッディ。  レックスは強いんだ。コイツがいれば安心だよ。 バズは立派だよ。強い意志を持った宇宙の英雄さ。うわああアンディイイイィィィッ
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 18:42:23)(良:1票)
331.  スター・トレック(2009) 《ネタバレ》 
「LOST」といったドラマや映画でも「ミッション:イン・ポッシブル ゴーストプロトコル」など数々の傑作に関わってきたJ・J・エイブラムスによる“新しい”「スタートレック」の傑作。  この映画は、「スタートレック」をまったく知らない方が存分に楽しめる映画だ。初見は絶対に旧を見るな。見たらギャップが酷すぎて色んな意味で言葉を失うと思われるので(誇張と思うなら是非とも旧をコンプリートしてからどうぞどうぞ)。  今までのシリーズよりも派手で、アクションも、余計なエロすも満載だ。  カーク船長の若き日を描いた作品だが・・・ぶっちゃけカークは船長時代からキチガイだ(褒め言葉)。  冒頭からスピルバーグの「激突!」張りに警察とカーチェイスをブチかます馬鹿馬鹿しさからはじまり(あれで死んでたら完全にギャグ映画)、 バーの乱闘で鼻血ブーになるわ、 いきなり艦長になるわで前半の無茶苦茶さはどういう事だ。 いいからバイクから降りろ!!  その分、後半の締りは実に良い。バリバリのDQNだったカークが経験を積んで徐々に一人の指揮官、人間として成長していく王道。  そしてスポック(レナード・ニモイ)からスポック(ザカリー・クイント)へのバトンタッチ!  スポックが謎の発情期(浮気)&気狂いピエロ状態とかそんな事はどうだっていいんだ。 いいだろ別に。 みんな「ボイジャー」のトゥボックみたいにゃいかねえんだよっ!(何の話だ)  旧ファンは「スポックこんな奴ちゃう」みたいな声も聞くが、アンタらもう一度よく見てみろよ? 「ジェネレーションズ」や「ミスタースポックを探せ」のスポックの方が狂っているだろうがっ!(「カーンの逆襲」の涙を返せバカヤロウ)。   それとどうでもいい話だが、エイブラムスの「スターウォーズ」が凄い愉しみなんだ。 是非ともジョージ・ルーカスを超えるような作品にして欲しい。 この新たな「スタートレック」や俺が特に好きな「スーパー8」からは、そんな予感を感じずにはいられない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 00:03:10)
332.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
前作2作が“立て続け”にグダグダだったのに対し、今作の汚名返上振りは最高だった。  「希望」の前の「絶望」のカタルシスの描き方が秀逸。 CGの完成度も格段に質感を感じられる凄味が増した(トリロジー版の質感に勝るとも劣らない)し、ストーリーの繋がり方が良い。  アナキンが闇に堕ちていく決定打。 ファーストシーンにおける師弟の絆が憎悪に変わる瞬間の恐ろしさ。 前2作の空振り具合といつものアホ丸出しのイチャイチャ振りが、より一層アナキンが闇に堕ちていく様を際立たせる。やってくれるぜルーカス。  アナキンの絶望、 オビ=ワンの憤り、 そしてジェダイの滅亡・・・。 「新たなる希望」のための絶望としては最高の出来。 最後の最後でその「希望」を見せる演出も素晴らしかった。 前2作を見直してしまいそうになるくらいね。  唯一残念といえば、もう少しダースベイダーの声が聞きたかったかなー。  スターウォーズはやっぱり吹き替えか字幕無しの原語で聞くに限る。 戸田奈津子の「ボランティア軍」や「掃除が大変だ」には反吐が出るね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-08 20:15:31)
333.  スクール・オブ・ロック 《ネタバレ》 
最高に愉快な音楽映画です。  劇中で演奏するミュージシャンは大人から子供まで全部モノホン(本物)。 極めつけはデューイを演じるジャック・ブラックの狂気地味たハイテンション! 次から次へと機関銃のように飛び交うセリフの応酬!  ライブで盛り上がる夜のバー、ロックで最高にハイになる音楽馬鹿の彼だが、彼は受け止めて貰えるほど愛されて(認められて)いなかった。  自分の音楽に酔っていた“現実”を思い知らされるデューイ、それでもロックへの情熱は燃え尽きない。  デューイは親友のネッドを騙してまで仕事を引き受ける。 だが待っていた職場は正に彼の運命、天職、音楽の才能に溢れた子供達との出会い。  子供達の才能を親と教師たちは無視していた。 しかし、誰よりも仲間を求めていたデューイは子供達の才能を見逃さない。  デューイにとっては利害の一致、子供達にとっては自分を認めてくれる恩人への恩返しだ。  しかしいくら何でも「夢は諦めろ」を先生がいうなよ。当っているかも知れないけど!  それでも褒めて伸ばす、付きっ切りで教えるのは上手い。デューイもまた様々な子供達と出会う事で少しずつ成長していく。モチロン狂気に満ちた野望を抱えて。 「ロックは頭を試されるんだ」 QUEEN&レッドツェッペリン「左様」  「ダイエットは?」 「食うのが好きだからしない」 デブの鑑かコイツは。  やがては教師も掌握して磐石・・・かと思いきやそう都合よくいかないのが世の中です。  それでもデューイの魂は生徒に届いていた! 彼を経歴ではなく“魂”で教師として認める子供達の心意気! デューイも腹をくくる。デューイの情熱に親友の魂も蘇る・・・! でもあの半ズボンは無いわー(褒めてる)。  ダイブにはじまりダイブに終わる。 メタいセリフが飛び交うエンディングも最高だったぜ。  DVDの特典でツェッペリンにライブで許可を貰おうとするシーンが面白い。  電話を取らせないために火まで付けるとかどんだけだよ。  「“The”で始まる映画はコケるんだ」 遊星からの物体X(The Thing)「!?」  ジャック・ブラックがオーソン・ウェルズみたいになっててワロタ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-08 17:52:42)(良:2票)
334.  コロッサル・ユース 《ネタバレ》 
これは、本当にデジタルで撮られた映画なのだろうか。 まるで昔のカメラで撮ったかのような奥行きと映像美が拡がっているではないあ。 そう、今の時代には失われてしまったロスト・テクノロジーとでも言うべきか。   「ペドロ・コスタ」は、絶望に沈むある街で生きる人々を描くのだ。  消えゆく孤独な魂、消えていく土地の哀しみを・・・。  かつてロバート・フラハティは「極北のナヌーク」を撮った。 イヌイットと生活を共にし、彼らの生きた姿をフィルムに残した。  日本の小川紳介もまた。  ペドロ・コスタは、この時代にその域まで己の精神を研ぎ澄ました作家と言えよう。  作品は一見すると楽しみづらいかも知れないが、ドキュメンタリーとしても、一つの娯楽としても是非とも見て貰いたい作品だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:32:28)
335.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
後に南北戦争を描いたスピルバーグの「リンカーン」を予告していたかのような作品。 武器が尽き、どんどん追い詰められる様子は南北戦争の南軍の様。アメリカ人の視点で日本人の生き様、死に様をありありと刻んでいく。 そこには狂信的な異常はなく、ただありのままが描かれているに過ぎない。 実際にあった激戦をアメリカと日本の二つの視点から描いていくが…「硫黄島からの手紙」の方はアメリカ軍相手に予想以上に持ちこたえた戦略だとか、硫黄島を守備していた日本兵よりも多い敵を倒したとか、数字的な物はこの映画からは感じられない。  そこに描かれるのは赴任した栗林中将が、いかに戦いまでの準備をし、いかに生活し、いかに戦い、いかに死んでいったか。 特に穴を掘って立て篭もり、島全体を天然の要塞とする戦法。そしてそこを守った他の日本兵たちがいかに暮らし、いかに戦い、いかに死んでいったか。そこに重点が置かれているようだ。 目に映る凄惨な死闘、そして兵士の語りによる人間ドラマ。 発掘される手紙の数々、死を覚悟した男たちが何を残して散っていったのか。 バロン西のカッコ良さは異常。 「万歳!」の渇いた声が耳に残る映画でもあった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:21:26)
336.  父親たちの星条旗 《ネタバレ》 
「硫黄島からの手紙」が戦場中心に描いたのに対し、この映画は主人公が硫黄島での激戦と星条旗を掲げた者たちの戦後を描いていく。俺はコッチの戦後に焦点を当てたドラマの方が好きかな。 星条旗の裏にある真実と現実。 表向きの希望、その理想の裏でプロパガンダとして消えていった男たち。戦争に国も人も関係ない。 それぞれにしか解らない苦しみを抱えてみな生き、死んでいく。 英雄になったから何なのだろうと。そんな虚しさがこの映画から伝わってくる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:18:15)
337.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
前半は「鉄腕ジム」や「ロッキー」みたいなサクセスストーリーだが、終盤は今までの総てを破壊されるような、そんな哀しき決断が待ち構えている。 フランキーもエディも最初マギーの依頼を断るが、先に彼女に声をかけたのはフランキーが育てるボクサーのウィリーだった。 ウィリーが去ったのは自分の夢のためでもあるし、マギーをフランキーに育てさせようとしたのかもな。 しかし30代は男でも諦めるレベルだ。 フランキーは夢破れた者を余りに“見すぎた”。 エディの事があってやや過保護にもなっていた。だが、フランキーは勝負に出る。 ウィリーが出て行って吹っ切れたのか、あるいわ焦りでか。 フランキーは冷静な姿勢でマギーにボクシングを叩き込んでいく。 焦らず、氷を削るように確実に。二人は限界まで挑み続ける。 フランキーのアドバイスもあって勝って勝って勝ちまくる。苦戦はほとんどなく本当に「鉄腕ジム」を見ているような気分だった。 しかし、本物のボクサーと殴りあった彼女のファイトはリアリティがあり見応え充分。 強すぎて試合にならない、八百長ではなく「金払ってやるから試合しやがれ馬鹿野郎」料を払って戦う日々が続く。だからって挑発しすぎだフランキー。 それにしたってマギーの母親がクソBBAすぎる。 「いい男を見つけてまともにお暮らし」 「でも負けたんだろ? 残っているものを守らなきゃ」 言ってる事は正しい。でもうぜえええっ 傷ついた娘を見て一応は優しい言葉をかける両親。「娘を酷い目に遭わせて」とさぞかしフランキーを恨んだ事だろう。 フランキーもエディに当り散らすなど人のせいにしてしまいたいくらい自分を責める。 ラストは賛否があると思うが、俺はハッキリとマギーが「やって」と言ったのを覚えている。 体は動かなくとも心はまだ一人の人間、ボクサーだった。彼女は最後まで立派なファイターだったよ。 フランキーは、マギーの“遺言”を受け取り去っていく。 「カッコーの巣の上で」を思い出すようなラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:15:19)
338.  イップ・マン 葉問 《ネタバレ》 
「序章」も好きだけど特に「葉門」が一番好きだ。前作を見なくても存分に楽しめるぜ。   異種格闘技! 武術vs現代格闘技!! 鉄も砕く拳vs鉄以上に鍛え上げられた肉体!!! 中国4000年vsアメリカ200年!!!! 200年といってもヨーロッパ、アジア、アフリカといった様々な国のハイブリットだ。コイツは手強いぜ。 特にボクシングは中国武術同様に「大地を蹴る」スポーツ。タフネスとスピードなら負けない。 悪態ついて挑発するのは最早常識、それが火に油を注ぐこともまた常識ですねハイ。  異国に蹂躙され続けてきた中国だが、太古から受け継がれてきた武術を犯す事は何人にも出来なかった。  戦争も終わり、平穏を得てもまだまだ貧乏との戦いは続く。 最初のこの何処かほのぼのとした感じが好きだ。 道場や工場時代の同志が真っ先に駆けつけそうだけど、そんな甘くは無いか。  拳を通じて弟子や仲間が増えていく感じが良い。 脳撃たれようとも魂までは死なず。“蘇る”シーンには不覚にも涙が。  道場同士の争い再び、 包丁の峰打ち、 不安定なテーブルの上での激しい舞闘、 髪もフサフサ&リア充で幸せ者のカム、 そして動けるデブことサモハン・キンポーが老練な武術家として命を燃やすシーンには震える!  意地の張り合い、誇りを汚す奴は死んでも許さねえ。 蹴るな=ハンデですねハイ。 何度殴られダウンさせられようとも立ち上がる葉問。仲間のため、新しい命と共に待つ家族のために。鋼の肉体を打ち破る鉄の意思、鋼の精神。 「これはホン師匠の分!」とばかりに憤怒と哀しみ混じる撃拳、撃拳、撃拳連打!!  話の解るアメリカ軍は全アメリカ人の誇りです。  ラストにブルース・リー少年を出す憎い演出が良い。  欲を言えばキン・フーの映画みたいに女性武術家が大暴れするシーンも見たかったけど(「序章」で工場の女性従業員が戦ってはいたが)、それ以外は大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:59:28)(良:1票)
339.  イップ・マン 序章 《ネタバレ》 
キン・フー、ジャッキー・チェンと数々のカンフー映画の傑作群に武術指導をしてきたサモハン・キンポー。  ウィルソン・イップやドニー・イェンたちと組んだこの「イップ・マン」は、カンフー映画の最高傑作として長く語られ続ける事だろう。ブルース・リーも師事した伝説の拳法家・葉問(イップ・マン)の名と共に。  原点にして頂点、それが葉問だ。  戦争や権力者の圧力に屈しない武術を綿々と受け継いできた中国。 カンフー映画の肉が裂ける、骨が砕ける音、汗の匂いも同時に。  木人形を使った鍛錬から始まるファースト・シーン。 美味そうに飯を食べる葉問は、無用な争いは避ける男だ。 手合わせで技は教えても、殺してしまっては教えるものも教えられないし成長もできない。  だが、いざとなればリボルバーからシリンダーだけ外す事も、道場破りにきた野党をホウキでブチのめす事も朝飯前。 ホウキ買おうかな・・・。 頼まれれば武術指導も快く引き受ける。 「良い拳法は老若男女を問わない」 どんな敵でも怖くなんざねえ、仲間に手を出すやつぁ許さねえ、怖いのは嫁さんだけだ! 奥さん「物を壊さないで!(意訳:あとは勝手にしやがれ)」  殴り合いから斬り合いまでやるカム・サンチャウが良いキャラすぎて微笑ましい。殺しはやらないこだわりも憎めない悪党だ。 どちらにも付かず第三勢力として度々葉問たちに絡むのが面白い。  どんなに家が無くなろうが、食に困ろうとも、鍛錬を続ける拳と魂が腐る事はない。それが葉問。 戦争の無力感に苛まれようとも、彼は耐えて耐えて耐え、殴って殴って殴りまくる。  誇りを捨ててまで家族のため拳を振るうリュウ師匠もカッコイイ。彼も魂までは腐っちゃいない。  プライドまで捨てた武術家を侮辱する事は許さない。葉問の撃拳連打が十人の空手家をブッ倒すシーンはスゲエぜ。 どんな傷を負おうとも、その志は人々の中に生き続ける。  斉藤閣下も太っ腹です!形はどうあれ正々堂々と立ち会った閣下は偉い。  だが三浦のクソ野郎と階段で顔面砕かれた男はザマあかんかん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:58:24)
340.  シンデレラマン 《ネタバレ》 
実在したヘビー級ボクサー、ジェームス・J・ブラドックがどん底から再び蘇る姿を描いた伝記映画。  ロン・ハワードはどうしてこう伝記映画が面白いのだろうか。  題名とは対照的にシンデレラどころか落ちぶれた中年サラリーマンみたいな内容。 全盛期の華々しい試合場面から始まるファースト・シーン。 1920年代末期の狂騒的な空気、その後30年代の大恐慌の暗い空気。  一度の敗北で折れた魂、大恐慌の厳しい波が彼を窮地へと追い込む。 怪我に悩まされ選手生命もギリギリ、ライセンスを剥奪された事は幸か不幸か。  必死に金を稼ごうと仕事を探す日々。中には拳銃で「仕事をよこせ!」と行動するような人間も出てくる。 彼は仕事を求めて走る。ボロボロの肉体に鞭を打つが、仕事仲間や家族の存在が彼の心と身体を少しずつ回復していく。 酒にも煙草にも逃げなかった彼は立派だよ。 そもそもそんな金すら無いしね。  家族のためなら“負け戦”でも戦ってやらあ。たった1回のチャンスでも喰らい付く根性、ハングリーハート。 労働で“鍛え直した”ボディは伊達じゃない。 トレーナーも財産を削って彼を支え続けてくれた。  闘志は、蘇る・・・!  復活したブラドッグはオーナーの金儲けのための飼い犬(ブルドック)ではなくなった。 一人のファイターとしてどんな強敵にもブチ当たり、ブチのめす。 アバラが折れようとも闘志は二度と折れない。  殴られても歯を喰いしばって耐え、反撃に出るブラドックの姿には燃えるぜえ。ファイトシーンのこの熱さ!  ブラドッグの姿に会長の心にも変化が現れる。  実在のマックス・ベアは奥さんを罵るどころか殺してしまったボクサー(映画では何故かもう一人殺害)への贖罪の気持ちで溢れ、試合後に相手の健闘を讃える真面目なボクサーだったそうだ。  本編はDQN熊vs不良オヤジのクライマックス。  未公開シーンも必見です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:57:22)
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