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さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 92
性別 男性
自己紹介 基本的に点数が甘めになりがち。
あまりジャンルに好き嫌いはありませんが、やはり娯楽映画が好きです。
密度の濃い映画が好みですね。

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21.  扉をたたく人 《ネタバレ》 
妻を亡くして以来無気力気味に過ごしてきた大学教授がひょんなことから出会ったジャンベ奏者の青年との交流によって変わり始める。ありがちな友情ものかと思われた物語は青年の理不尽な逮捕により別のテーマが浮き彫りになってくる。  9.11以降のアメリカの闇に焦点を当てながらも映画は深刻になりすぎない。もちろん当事者にとっては深刻な展開だがそうなりすぎないのは音楽の存在があるからだろう。偏屈そうな主人公の顔をほころばせたのは青年タレクに教えられたジャンベ。「練習してる?」と逮捕後面会の時に聞く彼が印象的だ。タレクの母親は「あなたたちが好きなものを教えて」と彼の妻に聞き思い出を辿る。そして「オペラ座の怪人」。人は状況に関わらず楽しみや生きがいが必要なのだ。「オペラ座の怪人」の興奮の後に訪れる非情な宣告。あまりのあっけなさにどうしようもない無力感に襲われる。ラスト、主人公は青年が逮捕された地下鉄のホームでジャンベを叩く。大きくなるその音は彼の怒りだろうか。悲しみだろうか。そして日常の轟音にそれはかき消されていく。秀逸なラストだ。この音が「聞こえるか!聞いているのか!」  リチャード・ジェンキンスの演技も素晴らしいがタレクの母親を演じたヒアム・アッバスの存在感も良い。二人の関係を恋愛に発展するかしないかという微妙な塩梅に落ち着けている感じも良く、抑え気味かつ丁寧な演出も好感。しかし、タレクたちの祖国がシリアというのは物語上のこととはいえなんとも言えない気持ちになる。移民というもはやアメリカだけの問題ではなくなったテーマにしても公開当時よりリアリティーを持ってきている作品ではないだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-06 00:39:45)
22.  アデル、ブルーは熱い色 《ネタバレ》 
この映画の原作がコミックだと知ったのは映画を観終わってからだった。コミックの主人公の名はクレモンティーヌ。映画ではタイトルにもなっているアデル。  なぜ主人公の名をタイトルにしたのかは映画を観ると察することができる。この映画が秀逸なところはアデルを演じるアデル・エグザルコプロスのいろいろな表情を自然に捉えているところだ。喜怒哀楽だけではない。恋人への視線に現れる期待や不安、近くにいるはずなのにふと感じる寂しさ、人物との距離感と彼らに向けられる様々な表情を極自然に捉えているように感じた。原作のクレモンティーヌではなく演じる女優と同じ名を主人公に与えたのはそういった演技を引き出すためだったのかも知れない。  レア・セドゥーとの激しい性描写が話題だが物語は普遍的なラブストーリーだ。一目惚れ、情熱的な恋、破局。それが運命的な恋だったとしても人生は続いていく。少女は大人の女性に変わりまた新たな恋に出会うのだろう。その過程を見事に切り取っている。きっと観る側の精神状態によってもいろいろな表情を見せる映画だと思う。もちろん多くの映画がそうだろうが特に本作はそう感じた。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-30 18:12:15)
23.  スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 
新三部作最終話。アナキン・スカイウォーカーが暗黒面に堕ちダース・ベイダーが誕生するまでを描くというのは新三部作の決定事項だがどう描かれたのか。  アナキンが暗黒面に堕ちるのは母親を守れなかったというトラウマがあり、今度はパドメをも死から守れないのではないかという不安や恐怖から来るのは分かる。そこをパルパティーンにつけ込まれたのも分かるのだがエピソード2でも思ったことだがやはりドラマの描き方が足りない気がした。アナキンの行動には説得力に欠けることが多く上記の決定事項のために無理矢理ドラマを動かしている感が否めない。アナキンに必要なのはパドメの愛でも暗黒面でもなく精神病院でのカウンセリングだ。そして結局ジェダイは最後の最後まで暗黒卿の存在に気づけず(あれだけ身近にいたというのに)、アナキンの報告を受けてやっとメイスが動く有様。新三部作の最初から最後までジェダイは暗黒卿の手の平で踊らされていたという無能ぶりも残念で、旧三部作のジェダイの神秘的なイメージを塗りつぶしていく。  さて、いろいろ文句を並べたがではエピソード3はダメなのかと言われるとそうは思わない。元々ルーカスの演出というのは良く言えばドライ悪く言えばあっさりしている感じなのだが終盤のアナキン対オビ・ワン、ヨーダ対ダース・シディアスという2つの闘いが交錯する演出は見事だ。スター・ウォーズの中でも屈指のドラマティックでエモーショナルな場面ではないだろうか。弟子との闘いを終えた後のオビ・ワンの嘆きは胸に来るものがある。こうして暗黒面に堕ちた者がジェダイへと帰還する物語が始まるのだ。  ダース・ベイダーが生まれるシーンも印象深いがジュクジュク火傷が完全に治ってから鎧やらヘルメットやらつけてあげてください。化膿しないか心配です。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-27 17:28:15)(笑:1票)
24.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲<特別篇> 《ネタバレ》 
有名なインペリアル・マーチはスター・ウォーズの定番の音楽だと思っていたが初出がこの二作目だと今さらながら気づいた。「帝国の逆襲」のタイトル通り今作は帝国の存在感が増し、そしてダース・ベイダーのヘルメットのツヤツヤも増している(1作目は意外とツヤツヤしていないシーンもある)。  氷の惑星ホスの素晴らしい特撮の戦闘シーンから始まりハンとレイアたちが繰り広げる冒険活劇、ルークの惑星ダゴバでのヨーダとの出会い、修行、黒幕である皇帝の登場、そしてベイダーとの対決。1作目以上にいろいろな出来事が起こりテンポも良くなっていて一気に世界観が広がっていく印象。物語もハンとレイアの恋愛模様、ヨーダによるフォースの教え、ベイダーから告げられる衝撃の事実と飽きさせず深みを増していく。それにしてもタイトル通りとはいえ終盤はベイダーにハンは冷凍され、ルークは右手を切り落とされ命からがら脱出とやられっぱなしなのだがそれでも面白く興味がつきない作りは唸らされる。もうひとりのスカイウォーカーなど謎も残され公開当時ファンの人は相当やきもきしたに違いない。ここまで続編ありきの続編という作品も珍しかったのではないだろうか。  見返すと今後のシリーズに欠かせない要素がぎっしりで今作がなければスター・ウォーズが今も続いていたかどうか想像できない。シリーズ最高傑作の声もうなずける。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-24 03:05:38)
25.  スター・ウォーズ<特別篇> 《ネタバレ》 
第1作がアメリカで公開されたのは自分が生まれた年だからリアルタイムで観ているはずもなく、子供の頃にテレビで何度も放送されていたが実は全編通して観たのは大学生になってからだった。つまりそこまで思い入れはない。  やはり今観ると映像やテンポに時代を感じる。が、やはりこの世界観を作り上げたことは称賛するしかない。ルーカスに影響を与えた作品はいくつもありそれらにインスパイアされたことは有名だが、彼が作り出したものはやはりそれまでになかったものだ。地球という概念がなく、ドロイドや獣人のような人々が当たり前のようにいる世界観。宙を浮く乗り物。そして、ジェダイ、フォース、ライトセイバー…。リアルタイムの熱狂を知らなくてもその当時の衝撃やその後の影響は完全とはいかなくても想像はできる。それがスター・ウォーズの凄さだろう。  作品自体は意外と行き当たりばったりの冒険活劇。お姫様を助けるため冒険に出るという言うなれば王道の作り。だから幅広い層に支持されたのだろうが、この作品が他のSF作品と違うのはやはりジェダイの存在。今作ではオビ・ワン・ケノービの存在が冒険活劇に神秘性をもたらしていて作品を締めている。そしてスター・ウォーズを知らなくてもこの悪役だけは聞いたことがあるであろうダース・ベイダー。やはり絵的にも強い存在感のある悪役は作品を盛り上げる。主役三人も皆若く生き生きとしているのがいい。その中でもやはりハン・ソロはハリソン・フォードのスター性もあって印象に残る。ジョン・ウィリアムズの全編に流れる映画史に残るであろう音楽も素晴らしい。  今ではCGを加えて再編集されたものが本編とされている感じなので特別篇の方にレビューを書かせてもらった。しかし、発売される度に修正が加わっていくので古いDVDも処分できないのは少々困りもの。全てのバージョンをまとめたブルーレイBOXを出して欲しいというファンは多いのではなかろうか。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-24 00:22:59)
26.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
5作続くシリーズだが毎回監督が違うせいか作品の毛色がいつも違うこの「ミッション:インポッシブル」シリーズ。だが4作目が好評だったためかどうかは知らないがキャストも方向性も前作に近い感じを受ける。トム・クルーズの体を張ったアクションはもうお約束だが3作目のようにシリアスになりすぎずユーモアもたっぷりで娯楽に徹した作りだ。  しかし、予告編やCMでも今作の売りとばかりに流れていたあの飛行機に張り付くアクションが冒頭に出たのには驚いた。もちろんこの後もアクションシーンは満載なのだが冒頭のようにド派手なものではない。今作のアクションはどちらかというとスマートな印象を受ける。スタイリッシュというよりスマートでキレがある。特にオペラでのアクションが気に入った。ドタバタになりそうなところをいい塩梅に緩急をつけ緊張感を切らせず、しかし最後に脱出するところはユーモアで締める。見事!その後に続く水中アクション、車からバイクへ続くハイスピードなカーチェイスも見応えがあり飽きさせない。そして、ラスト。このシリーズはいつもラストは黒幕と殴り合ってる印象があって今回もそうなるのかと思ったが良い意味で意表をつかれた。殴り合いで屈服させるより屈辱的な確保の方法だし、序盤に自分がやられたことのお返しにもなっていてやはり今作はスマートで粋だ。  ヒロインもミステリアスで良かったし(顔は好みじゃないかな)、サイモン・ペッグやジェレミー・レナーの続投、皆勤賞のヴィング・レイムスも嬉しいがやはりトム・クルーズが素敵だ。素でもかっこいいがアクションをこなしているトムはやはりメチャカッコいい。「3分間息を止めるのなんて余裕だよな」と言われた時の顔もお茶目で、いろんな表情のトムが観たかったら「ザ・エージェント」の次にこれを推すかも。最近は「もう映画賞なんか知らん」と言わんばかりに娯楽作を製作、出演しているが気がつけば50越え。いつまでも楽しませてくれる貴重な映画スターだ。
[映画館(字幕)] 8点(2015-08-16 22:21:07)
27.  インサイド・ヘッド 《ネタバレ》 
ここ数作は自分の好みの作品がなかったピクサーだが今作は久々に面白いと思えた。 人間の頭の中はあんな単純なシステムじゃないよなあと思いながらも作品に引き込まれていくことに気づく。ヨロコビ以外はネガティブな感情なんじゃないかと思ってしまうがどの感情も必要なもの。子供のときは思いのままに感情を開放していたがそれではいけないと気づいたのはいつだっただろうか。カナシミとの付き合い方を知ることが成長、大人になるということを感情たちの旅を通して少女の心とシンクロさせながら描く手腕はお見事。 ビンボンや思わず口ずさんでしまうCMのフレーズなど「ああ、あるある」と感じるのは子供より大人の方だろうか。いろいろな意味で子供もきっと楽しめる作品だろうけど大人の方がより楽しめる作品に感じた。多くのサブキャラも楽しい今作だが、まさか「理想のボーイフレンド」をああいう風に使うとは思わなかった。頭の中とはいえカオスだ。少女は「理想のボーイフレンド」を踏み台にして成長していくのだ! エンディングのいろいろな人の頭の中も面白い。ネコの頭の中は超適当。ああ、気まぐれなわけだ。  (字幕上映が無かったので吹替えで観たがヨロコビを演じた竹内結子が光っていた。竹内結子の吹替えというとテレビ放送の「タイタニック」しか覚えが無いがとても上手くて驚いた。 あと上映前のドリカムの歌の必要性がよくわからない。本編前に短編が入るのもお約束になってて、その上その前に予告編もある。散々待たされたと感じる人も多いだろうに。主題歌とか言ってるけど本編で使わないならただのイメージソングですな。)
[映画館(吹替)] 8点(2015-08-03 03:46:36)(良:1票)
28.  博士と彼女のセオリー 《ネタバレ》 
余命二年と宣告されたら?しかも筋力が徐々に弱り動けなくなる病気で、治療法は現在まで確立されていない。絶望しかない。だがそんな彼を受け止めてくれる存在がいた。彼の限りなくゼロに近くなった「時間」は彼女を得た瞬間また動き始める。  彼と彼女の「時間」をこの映画は丁寧に描いていく。そこに伝記映画にありがちなあざとさはなく誠実に描いている感じが好印象。エディ・レッドメインの観ているうちに演技とは思えなくなってくる演技が素晴らしい。徐々に現れる障害の症状を段階的に演じ分けていて圧巻だ。それを支えるフェリシティ・ジョーンズも凛とした雰囲気に芯の強さを感じさせる演技で美しい。これからが楽しみな二人だ。  二年と思われた二人の「時間」は想像を越えて長いものに。その長い年月の間に二人の想いも揺れ動き、関係も変遷していく。ラスト彼らの積み上げた「時間」が巻き戻っていく演出はあざといと思いながらも涙をこらえきれなかった。苦能と困難、輝かしい瞬間、花火の下でのキス、そして出会い。なにげないあの出会いが運命的なものだった。しかし、それは誰の人生においても同じだ。なにげない「時間」を誰もが生きている。そう思うと背筋がピンとなる。まっすぐに前を向いていれば、自分を見つめる瞳がそこにあるかもしれない。そう思わせる素晴らしい人間賛歌だった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-23 01:31:06)(良:1票)
29.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》 
アラン・チューリングという人物も知らないし作品の情報もあまり入れずに観たが面白かった。  エニグマの解読にここまでの苦労があったとは…、そして解読するためにチューリングが作り上げたあのマシン。まるでコンピュータだと思っていたらやっぱりそれの原型だったんですな。しかし、そのマシンに「クリストファー」と初恋の人の名前をつけるのは怪奇映画みたいな話。まあ「モンスター」と言われたのは作った本人だったが。  解読に成功してもそれでめでたしとはいかない。解読した情報の取捨選択、情よりも効率や効果を優先しなければならないところがつらい。MI6が二重スパイと知りながら泳がせていたことも驚いた。戦争とは情報戦なのだ。  しかしこの映画で印象的なのは孤独だった彼が同じ目的の仲間と出会い心を通わせても、結局孤独のまま死んでいったところだろうか。同性愛者にはあまりにも生きづらい時代。戦争という時代によって功労者にもなった彼が結局時代に殺されていく。なんともやるせない。  ベネディクト・カンバーバッチやキーラ・ナイトレイの演技も良いが、マーク・ストロングの渋い雰囲気も良い。エニグマ解読と平行して学生時代や戦後の話が何度も挟みこまれるが混乱もせず良い効果を出せていたと思う。娯楽映画としても伝記映画としても秀作な一本だ。  (それにしても公開館数の少なさはどうにかならなかったのだろうか。アカデミー賞効果で増えるかと期待したが、結局地方に住んでいる自分はいつもの3倍の時間がかかる映画館へ行くハメになった。近所の映画館がアカデミー賞受賞作を一本もやる予定がないことに絶望している昨今である。)
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-15 14:42:35)(良:1票)
30.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
イーストウッドの映画はいつも過剰な演出が無い。この映画もクリス・カイルという一人のアメリカ兵に起こったことを描いているだけ。ただこの人にずば抜けた狙撃の才能があって戦果を挙げたため表面的にはかなりドラマティックなものになっている。  最初に狙撃したのが少年そしてその母親というところにこの人に忍び寄るものを暗示しているように感じる。敵から恐れられ莫大な懸賞金まで懸けられ、ムスタファと呼ばれる元五輪選手の凄腕に狙われるというまるでフィクションのような物語。だがそんな彼にも戦争の闇が忍び寄る。四度の出征の中で確実に彼の心は蝕まれていく。妻は止めるが彼は聞かない。それは「羊たちを狼から守る番犬になれ」という父親の教えを守っているからだろうか。それともムスタファを殺せるのは自分だけだという自負があったのか。ムスタファを長距離スナイプでしとめ彼は帰還する。その後の子供と戯れていた犬に殴りかかるシーンは象徴的だ。子供を守るために殴りかかろうとした相手は「狼」ではない。  この映画はアメリカでは3億ドルを越えるというどこかのアメコミ映画のようなメガヒットを叩き出している。こういう題材では信じられないくらいの大成功。その反応には賛否もあるみたいだが英雄視する人、反戦映画だという人、アメリカ万歳映画だという人、いろいろな思いを持った人たちが映画館に押し寄せた結果なのだろう。  個人的には英雄を讃える作品というよりは戦争で傷ついた一人の兵士を描いた作品という印象を強く持った。PTSDの元兵士に射殺されるという最後も皮肉すぎる皮肉だ。  それにしても84歳が撮ったとは思えない作品。過剰な演出も無いが娯楽的に観られるようにもしてあって、イーストウッド作品に大きなはずれが無い(あくまで個人的な印象だが)のはそのバランス感覚によるところが大きいと感じた。
[映画館(字幕)] 8点(2015-02-22 16:54:16)(良:1票)
31.  ベイマックス 《ネタバレ》 
あまり情報を入れずに観た。オタク要素をかなり詰め込んでるのにここまで間口の広い作品に出来るのはさすがディズニーだ。舞台は架空の都市らしく日本要素がところどころに散りばめられているが、あまり必然性は感じられなかった。普通のアメリカの都市を舞台にしても違和感は無いだろう。  ベイマックスはマスコットとしてもキャラクターとしても良く出来ていてひとつ自分の家に欲しいくらい。映像もアクションも素晴らしく飛行シーンは爽快だ。発明品のデザインも洗練されていて仲間たちが使う装備も目に楽しい。  気になったのは主人公の仲間になる四人の描きこみが物足りないところか。良キャラになりそうなキャラばかりなのにもったいない。ラスト彼らはヒーローを続けているようだがその必要性があまり感じられないのはそういった描きこみが足りないせいだろうか。  まあそれらが気になっても感動させられてしまったわけだが、個人的には同じヒーローものなら「Mr.インクレディブル」の方が好み。 大人も子供も感動できる良質の娯楽作。冬休みに家族でどうぞ。 
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-31 05:06:09)
32.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
前作はそれなりに楽しんで観た口だが「フォースの覚醒」は多くの謎を投げっぱなしにした作品だった。まずレイは何者なのか。なぜ強大なフォースを持っているのか。そしてファーストオーダーの最高指導者スノークの正体は?ルーク・スカイウォーカーが身を隠しているのは何故か。その答えを用意されているのが今作だと思っていた。  前作を観た時にも予感があったのだがどんな理由があろうと暗黒面に落ちた弟子をほったらかして引き籠っているルークはちと卑怯ではないのか と。そして結局はその理由も自分の弱さから来ているものだったことが今作を観て分かってくると、なかなか重い腰を上げないルークに観客はイライラを募らせていくのではないだろうか。そしてたいした修行をしたようにも思えないレイの相変わらずの強大なフォース。彼女が何者なのかも結局はわからないまま。そして、スノークの死。え?死ぬの?で、いったい誰やねんこいつ。  たいした答えも用意されないまま進んでいくストーリー。しかしこの作り方は作り手たちの意思表明なのかも知れない。何者でもない者の物語。レイもフィンもポーも結局は何者でもないのかも知れないが物語の主人公になれるのだと。私たちもそうなれるのだと。「フォースはジェダイの為のものではない」という言葉も何者でもない少年のラストカットで今作が終わることもきっと無関係ではない。そして何者でもない者たちとスカイウォーカーの血筋との戦いになっていくことを予感させる構図は、新しい作り手とジョージ・ルーカスの構図にも見えてくると言ったら言い過ぎなのだろうか。  しかしこの作り方は危うさも感じられる。「帝国の逆襲」も主人公側が一方的に追いつめられる作品だったがダース・ベイダーがルークの父親だという衝撃の新事実もあって次回作の期待は膨らむ一方だったのではないだろうか。しかし「最後のジェダイ」を観終わった後残るのは新キャラクターばかりの心細い面々。ルークも消えてしまいレイアは(まさかのフォース発動で)生き残ったが役者本人が亡くなってしまっている為多くの出番は望めない。そしてまさかの敵方の大ボスの死。「フォースの覚醒」でハン・ソロという駒を消し今作でも多くの駒を消していったが、それに代わる新しい駒たちはどれほどの成長を得たのだろうか。正直それほどの実感はない。結局は自分が「フォースの覚醒」を観た後に感じた懸念は払拭されず次回作に期待を持てるのかと問われるとう~ん…である。  いろいろ書いたが観ている間は結構楽しめたのも事実だ。フィンとローズの結局は失敗に終わる冒険はあまり魅力を感じなかったが、終盤のレイとカイロ・レンの共闘やルークの最後の雄姿はやはり観どころだしグッとくる。ローラ・ダーン演じるホルドの特攻もシリーズでは見られなかったやり方だ。何と言っても惜しみなく予算を注ぎ込んだ映像の大洪水は一見の価値がある。  ルークは消えてしまったが消えていった者たちが主人公を導いてくれるのもスター・ウォーズの物語だ。スピンオフも絡めれば毎年スター・ウォーズが観られるというこの状況。コンテンツを消費していくだけなのか。それとも不滅のスター・ウォーズを作り続けられるのか。良い導きによってこのシリーズが多くのスター・ウォーズファンが満足できるものになることを願うばかりだ。
[映画館(字幕)] 7点(2017-12-17 22:51:07)
33.  映画 ビリギャル 《ネタバレ》 
実話ものらしいが映画からは真実味というものはあまり伝わってこない。担任の教師と塾講師が主人公のことで喫茶店で話をするシーン。塾講師が熱く語る傍らには塾の生徒二人が見守っているというあまりに出来過ぎたシチュエーション。家庭においては父の歪んだ愛情は息子にのみ注がれるという極端な環境。母の端から見れば異様に見えるくらいの娘を守ろうとする姿勢。本当にこんなことがあったのかと思わせるところが多く、おそらくいろんな脚色がされているんだろうなという思いで観ていた。  しかし、そういう極端さはこの映画においてはあまりマイナスになっていない。それはこの映画が愚直なまでに何かにのめり込む人たちの物語だからだ。愚直なまでに主人公を信じる母親と塾講師。息子をプロ野球選手に育てるべくその環境を何の迷いもなく用意する父親。そして、主人公のさやかは不良ぶっていて教師に反抗的な態度をとってはいるが、塾に来てからの彼女は素直そのものだ。反抗的な態度をとるのは挫折しそうになった一度だけ。あとは塾講師の言うことに耳を傾け一心不乱に勉強に打ち込む。 こういう作品にひねりの利いた展開やリアルさを追求することは逆に邪魔になるだろう。愚直の何が悪いんだと言わんばかりの真っすぐな展開が逆に気持ち良いくらいだ。塾仲間の野村周平との間に恋愛要素が微塵もないところが良い。  キャストは皆熱演しているが母親の“あーちゃん”を演じた吉田羊が素晴らしい。本当に家族に対しているかのような彼女の演技がこの映画に必要なリアルさを引き出している。受験の話と思わせているが実は家族の再生の話でもある今作においてとても重要な要素だと思う。有村架純はあまりギャルっぽく見えない感じだが素直さがにじみ出るような雰囲気が良い。へそ出しで出てきたときは素直にかわいいと思ってしまった。  ベタな展開は良いのだが終盤の手紙のやり取りは少々くどい。そこまで言葉にしてしまうのかと。テレビ的な作り方をしているとはいえやはり映画ならではの描き方もしてほしかったというのも正直な感想。
[インターネット(邦画)] 7点(2017-12-06 01:35:37)(良:1票)
34.  バーニング・オーシャン 《ネタバレ》 
いやあ、凄まじい。テレビで観てこう思うんだから劇場で観た人は震えあがっただろう。当時は事故の報道が連日されていたが環境面での話題の印象しかなく恥ずかしながら11人の死者が出ていたことも知らなかった。  どういう事故が起こるかコーラを使って説明されてもやっぱり専門家でもないしわからないところもあるのだが、不穏な雰囲気はビンビン伝わる。あれよあれよという間に取り返しのつかないことになっていく描写は見事だ。事故のことを知っているもんだから油まみれになっていく作業員に「早く逃げろ」と思わず言いたくなる。何とかしようとする作業員の行動も空しく起こるべくして起こる大惨事。その描写が本当に凄まじい。多くの大作でこういう映像は観慣れていると思っていたが爆発が起こる度に「うわあ」と声が出てしまう。「ローン・サバイバー」でもそうだったがこの監督は痛々しい描写が妙に上手い。カート・ラッセルが爆発で吹っ飛んでいく描写も凄まじいが足に刺さったガラス片を抜くところなど「あ~、痛い痛い…」と今回は映画を観ながらよく声が出た。家で観たから大いに声が出せましたよ!  事故が起こったけど手がつけられないし逃げるしかない!もうこれに尽きる。人間ドラマは希薄だがとってつけたようなドラマばかり見せられてもと思うしある意味潔いか。それにしても環境面で影響がある仕事でこういう杜撰な管理がされていてはたまらない。希望的観測が許されない仕事は石油採掘だけではない。いや、他人事ではないな。一人一人が自分の仕事はきっちりやらなきゃいけない、至極当然のことを思いましたよ。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-10-24 01:17:10)
35.  狼の死刑宣告 《ネタバレ》 
復讐モノというジャンルは映画の中でも盛り上がるジャンルだ。復讐というものがドラマティックになる要素だし、ケヴィン・ベーコン主演でジェームズ・ワン監督の復讐モノというのが興味を惹いた。  テイストはB級なのだがアクションはなかなか冴えている。ギャングとのチェイスシーンも緊張感があるし駐車場のアクションも「ワイルドスピード」の新作で見たようなアクションが。あ、同じ監督か。なるほどね。終盤の銃撃戦も父親の怒りがぶつけられていくような銃での破壊描写も痛々しくて良い。  「つりあわない」と父親がつぶやく。自分が復讐したことによって息子だけでなくさらに妻も失いもう一人の息子も重体。無能の警察に説教されようが戦争を起こしたのは自分ではない。理不尽に始めたのは奴らだ。だから「つりあわない」のだ。司法では完璧に裁きを下せないことは現実でもある。そういう怒りを抱えた人がいることを知っているからこのジャンルは人気があるのだろう。復讐を遂げる父に対してギャングのリーダーが「俺達と同じだぜ」と言い放つ。もちろんそこまで堕ちる覚悟がなければ復讐なんてできないのだが、姿を似せただけで同じと言われるのも理不尽な話だ。まったく「つりあわない」。  それにしても警察の対応がひどい。ギャングが襲ってくる可能性が高いというのにあの程度の人員配置。しかも彼らが殺されてから「あなたに対しての見張り」と言い放つ。配置された警官を殺したのはお前だ、まったく。さらに家族が犠牲になった主人公に対して説教を始めるとか鬼ですか。一番ひどいのはギャングなのだが本編で一番むかつくのは警察とかひどい話だ。まあ警察が無能で隙だらけだから主人公も復讐を遂げられるとは言える。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-12-18 01:41:02)(良:2票)
36.  草原の実験 《ネタバレ》 
冒頭のシーンから何かが起こる作品だと感じ取れる。それも良くないことが。映画が始まってしばらくして台詞のない映画だと気づいた。  台詞はないが可憐な少女がいる。美しい映像がある。父親との暮らしがあり、申し訳程度の恋模様もある。それだけで映画という形になる。それを面白いと思うかどうかがこういう映画は評価が分かれると思うが自分はそんなに退屈せずに観ることができた。穏やかな生活の中に次第に不穏な空気が流れだす。美しい自然の映像の中にそぐわないものが顔を出し始める。そしてラストに起こってはいけないことが起こる。  ラストのインパクトはためにためただけあって効果的。が、少々狙いすぎの感もある。一見してもいい映画ではないかと思うがあくまで一見の映画だとも思った。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2016-12-16 03:01:10)
37.  アメリカン・サイコ 《ネタバレ》 
当時は若手だった俳優たちが次々と現れる。今こうして観るとなかなか豪華だ。  もっと衝撃的な内容かと思ったが意外と笑えるシーンが多い。名刺バトルに始まり、音楽のうんちくを垂れながら3P撮影、全裸チェーンソー等々。特に名刺バトルは秀逸で名刺のデザインにいちいち敗北感を覚えるところが実に滑稽でいい。  現実味に欠けたシーンも多くどこからどこまでが現実なのか。主人公はところどころで自分が人を殺しているという主旨の発言をしているが誰も気にせず流している。薄っぺらい人間関係の中で生きていて中には名前を勘違いしている人間もいる。要するに彼らは無関心なのだ。主人公ももちろんそうで結局は自分のことしか考えていない。「サイコ」というのは主人公だけのことではなくこの世界に生きている人間のことだと作り手は言いたかったのだろうか。  ラストの締め方が少し弱い気もするが一見の価値はあるかと。クリスチャン・ベイルも熱演している。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-10-03 19:19:04)
38.  パフューム/ある人殺しの物語 《ネタバレ》 
公開時見に行こうか迷った作品だが結局観ないまま今まで来てしまった。ずば抜けた嗅覚の持ち主のかなり変な物語で興味がわく題材だ。  前レビューの方も言及されている通り人外のものと見た方がしっくりくる程の異様な主人公。彼の生い立ちから香水作りを始めるくらいまではテンポよく語られ面白い。中盤は少し中だるみを感じた。だが全体的にはきれいにまとまった作品だと思う。終盤は驚かせる展開だが大乱交が行われていても少しもやらしさを感じないのは監督の感覚なのだろうか。女性の裸は殺される娘たちを含めて多く出てくるがきれいではあっても官能的とは感じなかった。題材のわりに意外とまともに作られすぎている感もあり違う監督で観たかった気がしないでもない。  ベン・ウィショーのナイーブそうな顔。変態性、罪の意識の無さ、汚いなりをしていてもどこか浮世ばなれしている感覚はとても良かった。楽しめたがちょっと尺が長いとは思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-09-21 03:08:08)
39.  インシディアス 《ネタバレ》 
最近はホラーで突出した作品が少ない印象だったが「死霊館」で感心したので同監督の今作を期待して観た。  夫の写真が無いというところから異様な雰囲気。昼間でも霊が走り回ったりなかなか良い感じだ。ゾクッっとくるシーンも何箇所かあるしドラマも丁寧な方で好感が持てた。大筋はすでに指摘されてる方もおられるが、なるほど「ポルターガイスト」だ。霊能力者たちの協力を拒んだ後息子が描いた壁に貼られた絵を観て翻すシーンは怖くもあるが心の動きが台詞なしできちんと描かれていて良いシーンだと思う。終盤、霊と格闘し始めるところはちょっと笑ってしまうが、あのダークファンタジー的世界観はこの作品の毛色から外れてるとも思わないしすんなり受け入れてしまった。  展開が予想できない作品ではないし既視感もあるのだが作りが上手いので楽しめる。音で怖がらせるタイプの映画であることがちと気になるが…。まああのラストを見せられたら続編を観ない訳にはいかないな。全然関係ないがバーバラ・ハーシーで霊的な映画ということで「エンティティー 霊体」が頭に浮かんできた。もう地上波では放送できないだろうなあ。
[インターネット(字幕)] 7点(2016-08-22 02:44:03)(良:1票)
40.  ブラック・スキャンダル 《ネタバレ》 
ジョニー・デップが久々に好演している。この人はどんな役をやっても熱が入らないイメージだが今回はそれが良い方向に作用している印象。 何十人も殺したと噂される人物。いつ暴発するかわからないこの“ホワイティ”という人物が持つ緊張感が作品を引っ張る。  ギャングとFBI。同郷の人間がいるために生まれるお互いを利用しようという関係。その関係の中バルジャーもコノリーも栄えてきたが気づいた時には身動きが取れないような状態に。こういうジャンルの作品ではよくある展開であり結末だとも言えるが何かもう一つ物足りない。この監督の前作を観た時にも感じたことだ。役者や作品の雰囲気は悪くないのに何かもったいない。  とはいえこういう関係が長く続きその間に小悪党だったバルジャーがビンラディンに続く危険人物とされるような怪物になっていった事実には驚かされる。身内には優しそうな人物だがこの人と一緒に食事はしたくないなあ。
[映画館(字幕)] 7点(2016-02-15 20:49:03)
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