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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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381.  ル・アーヴルの靴みがき 《ネタバレ》 
難民問題や密入国といった深刻なテーマを扱いながら、そこまでの重苦しい空気はありません。いやむしろ、年老いたバンドマンに一曲まるっと演奏させたり(笑)、アキ・カウリスマキ監督ならではの遊び心が随所に効いていて、思わずニヤリとさせられる場面も多い。世界には深刻な(人権)問題は山ほどあり、私は映画を通じてそれを伝えたいが、やはり映画は娯楽であり楽しくあるべきである。こういった監督の流儀、映画を撮る上での哲学が本作でもよく伝わってきます。登場人物たちは総じて、人生の成功者ではないが人間味のある描き方をされていて、それはとても好感が持てました。そして淡々と観ているうち、黒人の少年が不意に言い放った「あなたのことは一生忘れません」の言葉には強く心を打たれました。本作に込められた、弱い者同士みなで助け合って生きていこう、というメッセージに私も心から賛同します。
[DVD(字幕)] 8点(2018-11-13 22:03:45)
382.  インランド・エンパイア
当レビューサイトにデヴィッド・リンチというジャンルを追加いただきたい。
[DVD(字幕)] 5点(2018-10-14 17:58:50)
383.  楢山節考(1983) 《ネタバレ》 
映画ではタブーとされるような性描写が多い。薄々そういう事実があることを知ってはいるが、多くの監督たちが目をそらして描こうとしなかった部分、人間のおぞましさを監督は真っ向から描いています。動物や昆虫が捕食や交尾をする一方、(逆に言えばそれしかない)、人間はただ食や性だけで生きているわけではありません。打算的であり、そして否応なしに集団や秩序に縛られて生きているわけです。母を背負い山に登り、捨てて、村に帰り何事もなかったように食し、またいつもの生活が始まる。"業"という重き荷は背負い続けて、また生きていく。罪深くて、(罪深いことをわかっていて)、それでも生きていこうとするたくましさ、人間の筆力に圧倒されました。負の側面で塗り固められてはいるが、私はこの映画は"人間賛歌"と思います。
[DVD(邦画)] 8点(2018-10-14 17:52:06)
384.  遠くの空に消えた
一言で言うならば、とにかく節操がない。私のような映画の素人目に観ても、一体何がやりたいのかテーマが散漫であり、画的にはどこかで観たようないいとこどりばかり。家族の映画ならば是枝監督、ファンタジーならば中島監督、そして青春ノスタルジーならば大林監督を支持します。やはり我々の心に響くのは、何十年も一貫してゆるぎない監督たちの"哲学"であることを、改めて再確認した次第です。
[DVD(邦画)] 3点(2018-09-24 20:27:13)
385.  マダム・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》 
英会話学校で英語を学ぶといった映画でありながら、"語学を学ぶ"という事について何も語っていない。何しろ英会話のレッスンや上達していく過程を丹念に描く、といった場面は全くと言っていいほど見当たりません。もちろん本作の醍醐味は、一人の女性の自分探しであったり、コンプレックスを克服して夫を見返すといった展開こそ、楽しむべきところなのでしょうが。最後のスピーチは、いつの間にそんな英語ペラペラになったの?といった唐突感を感じてしまって、素直に感動できない自分がいました。努力する過程を描いてこそ、このスピーチがさらに活きてくるのではないでしょうか?
[DVD(字幕)] 5点(2018-09-21 15:46:11)
386.  散歩する侵略者 《ネタバレ》 
返り血を浴びた侵略者が、車が飛び交う道路のど真ん中を悠々と"散歩"する。次々と激突して横転する車を後に、女は一瞬冷たく微笑んだ・・。この強烈なオープニングにまずやられました。黒沢清監督の映画としては大胆なSFであり、同時に今回はコメディ色が濃いのも特徴。特に、賢いのか間抜けなのか、最後までつかめない長谷川博己の"宇宙人"キャラが秀逸で、桜井と天野少年の絡みは可笑しくて仕方がなかった。(監督の映画でこんなに笑ったのは記憶にありません) なぜか、「CURE」の役所広司と萩原聖人の全くかみ合わない会話を思い出しました。概念を吸い取られた人間の変わりようも笑いを以て描いているが、実はこれこそ最もたるホラーでしょう。突然ぐにゃっとなってしまって、姿はそのままだがもうすでに心は抜き取られてる・・。怖い怖い。真治が愛の概念を吸い取ろうとして、脳内変換オーバーフローによって失敗し、鳴海は(その時点では)無事だった。これは素直に、愛は計り知れない、という解釈をしたい。まあ、それほど深淵なその言葉の概念を、牧師さんはまるで安全標語のスローガンのように棒読みしたわけですが・・(笑) 夫婦、岸辺、不安げな空の色、戦慄の中にも懐かしさ漂う音楽。監督ご自身が強いこだわりのあるモチーフを踏襲しつつ、(同時にファンが期待しているもの、と言える) 見たことがない世界をまた魅せてくれた。毎回思うのですが、監督の思考回路は一体どうなっているのか。その頭の中にある、「映画」という概念を覗いてみたいところです。
[映画館(邦画)] 8点(2018-08-06 23:31:05)(良:1票)
387.  シェイプ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
ファンタジーであり極めてシンプルなラブストーリーであると思う。そして映画愛と呼ぶべきオブラートにくるんではいますが、根本的にはホラーと思いました。もちろん、聾者の女性とゲイと黒人とロシア人と(半魚人のような)異形の者が力を合わせて、一匹の怪物と戦う物語です。最後、二人が海中に漂うラストシーンはあまりにも美しくて、涙が出ました。 愛し合う二人しか存在しない世界。そこは、差別、偏見、俗物といった概念が存在すらしない、遠い遠いアダムとイヴの楽園を思い出す。だから見方によっては、腐敗したこの世界(地上)にサヨウナラ、といった物語でしたね。こういった普遍的な娯楽映画がアカデミー賞作品賞とは素直に喜ばしいこと。でも、昔みたいなクラシックな(男と女の)恋愛ドラマ、アカデミー賞でまた見たいです。
[映画館(字幕)] 7点(2018-03-17 01:13:06)
388.  彼らが本気で編むときは、 《ネタバレ》 
荻上監督らしからぬトランスジェンダーといった難しいテーマでしたが、、監督の個性ってどうしても作風に出ますね(笑) 内容のわりに、ほのぼのとした空気は本作でも健在でした。監督、そして主演二人ともに新境地に挑戦したことは、大いに評価したい。先般で既に言われていますが、LGBTのカップルと他人の子、この組み合わせはまさに近年の「チョコレートドーナツ」を思い出しました。その展開はかなり違いますが、やはり感じたのは人と違う生き方を選んだ人たちには、それなりの"覚悟"がある、ということです。そして彼らは自分たちの問題行動が差別や偏見を助長することを承知していて、本能的に我慢すること(耐えること)で自らを守っています。トモがママレモン?で相手を撃退した場面が印象的でしたが、彼ら二人であったらきっと耐えたでしょう。でも決して、その心中はおだやかではありません。108個のちょんぎった"あそこ"、送られてきた巨大なおっぱい。とても本作をよく象徴する小道具であり、心のうちを出さない彼らの叫びを代弁しているように思いました。怒り、悲しみ、失望、、その感情の全てを編んで、燃やして、心を浄化することにより、彼らは耐えていると思う。(何かが大きく変わるわけではありませんが、)たくさんの人に観てほしい映画ではありました。
[映画館(邦画)] 7点(2018-03-13 23:16:06)
389.  エル・スール 《ネタバレ》 
白と黒を基調とした人物の服装と風景によるコントラストが織りなす映像美は、光と影の芸術と言ってもいいだろう。天使のように無垢な少女エストレーリャが、アグスティンに寄り添い牧歌的な草原に佇む風景。彼女が純白のベールに身を包んだ聖体拝受の場面。彼女が窓越しに映るとき、窓の枠は絵画の額縁になり、彼女は窓に描かれた美しいモデルのように。息を吞むほどの美しい場面の数々に、きれいな映画に出会えた幸福感に包まれる。音楽が少なく物静かに話が進む中、「エン・エル・ムンド」が二回にわたって奏でる、音楽のコントラストも印象的だ。幸せの絶頂でも永遠の別れを予感させるそのときも、何一つ変わらず流れるその曲に、過ぎた時間と離れていく心の変化ばかりが虚しく際立つばかりだ。最後のレストランの場面、まるで会話が途切れるのを嫌うように語り続けるアグスティン。かつて幼い娘にとって謎であった父という存在。今はもう、父にとって娘という存在が"謎"なのかもしれない。アグスティンの熱っぽい視線に戸惑い、逃げるように店を出たエストレーリャの姿。気のせいだろうか、二人が見つめ合ったこの一瞬、私には二人が父と娘というよりは "男と女" に見えた。黙って逝った父の遺品に導かれるように、旅立ちを決意する少女。そして過去と決別するように、"南"へ。娘から、一人の女へ。在りし日の父への想いを胸に秘めて、彼女は大人への一歩を踏み出す。やがていつしか、父と娘の閉塞的な暮らしのなかにあった美しい風景は、その成長とともに記憶の中で色褪せていくのだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2018-03-09 23:37:45)
390.  ひそひそ星
不謹慎な言い方かもしれませんが、宇宙船の船内は前にTVのニュースで見た東日本大震災の仮設住宅を思い出しました。殺風景な住まい、孤独な日々、気の遠くなるような時間。そういう時こそ、宇宙を旅しているくらいの想像力をもって生きてください、といった監督なりのメッセージなのかもしれない。あの時にあなたが失った大切なもの、いつかあなたのもとに届きますように。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-03-05 23:30:46)
391.  スローなブギにしてくれ
車とバイクをモチーフにした物語でもあるので、「スローなブギにしてくれ」を "俺の恋の暴走にブレーキをかけてくれ" と脳内変換して楽しみたい(笑) ハードボイルド気取りの二人の男たちをもて遊ぶように、しなやかで自由気ままな浅野温子の姿はまるで猫のよう。彼女はまさに適役だったように思う。個人的にはもう一曲、中島みゆきさんの「なつかない猫」を思い出した。
[DVD(邦画)] 6点(2018-02-15 22:40:14)
392.  リトル・フォレスト 冬・春 《ネタバレ》 
夏・秋編がさっぱりでしたが、まとめてレンタルしたので一応鑑賞しました。やはり厳しいなあ(笑) とにかく、料理から心境まで全ていち子本人のナレーションで説明するテレビドラマ演出がいけない。彼女が何を思い考えているのか、頼むから少しは考えさせてくれ。特に残念なのが、東北の冬の厳しさがほとんど伝わらなかったこと。形式的に雪や雪原は映りますが、それはただ美しいだけで生活に紐づく厳しさを感じさせるものではなく、東北の冬の表面的な(観光案内的な)姿を見せられた感じ。最後、神楽舞を踊る場面はよかった。いち子が吹っ切れたような本当にいい表情をしている。しかし5年後とはいえ、突然の踊りにはやや唐突感も。彼女が神楽舞に関心がある描写を一度でもはさんでおけば、この場面がさらに活きたのに、とちょっともったいない気がした。
[DVD(邦画)] 4点(2018-02-13 22:50:42)
393.  リトル・フォレスト 夏・秋 《ネタバレ》 
これは厳しいなあ(笑) 橋本愛のプロモーションビデオじゃあるまいし、彼女のクローズアップがやたらと多すぎ。内容はまるでグルメ番組のように、とにかく料理、料理、料理で、ストーリーはおまけ程度でしかない。その料理もナレーションで全て説明してくれて、見せ方に映画らしい工夫がない。東北の四季折々の風景や食は改めて素晴らしいと思う。でもそれはあくまで風景や食の"素材"そのものがいいからで、決して映画の内容がよいのではないと思う。
[DVD(邦画)] 3点(2018-02-13 22:46:15)
394.  ストックホルムでワルツを 《ネタバレ》 
本作を鑑賞するまで、私にとってスウェーデンの音楽と言えば、ABBAやThe Cardigansでした。今回はJAZZという意外な一面を覗くことができて、一つ物知りになった気がします。歩いて帰ろう、イ・ニューヨーク、モニカのワルツ、、。JAZZの知識が浅い方でも(私がそう笑)、音楽が好きであるなら、それなりに楽しめる映画と思う。モニカ・ゼタールンドの人生。全編、ほとんど歌と恋と酒しかありません(笑) その美貌と才能と向こう見ずな生き方は、きっと多くの羨望と嫉妬だけを集めたことでしょう。最後は、愛と名声、欲しいもの全てを手に入れた彼女が空高く舞いあがる。それは人生の絶頂のようでいて、次はもう転落しかないことを示唆しています。でも成功だけを夢見た孤独なJAZZシンガー"モニカ・ゼタールンド"の物語にとって、相応しい終わり方のような気がした。浮いては沈む譜面の音階を追うように、多くの成功と挫折に満ちた彼女の人生でした。
[映画館(字幕)] 7点(2018-01-30 23:41:46)
395.  怒り 《ネタバレ》 
真犯人が社会の不条理によって生まれたモンスターならば、その生い立ちから丹念に描くべきでした。(群像劇という時間の制約上もあるのでしょうが) 彼の成長過程が一切描かれていないために、それは蓄積された怒りがとうとう大爆発した、というよりは短気をおこして突然ブチ切れたふうにしか映らない。ロケーションはよかったです。天国のように碧く美しい沖縄の風景は、どうして人間の狂気と相性がよいのだろうか。演出について。坂本龍一さんの音楽と役者の泣き演技が過剰演出でかなり苦手でした。これほどのキャストならば、抑えのきいた演技と音楽でじっくりと魅せてもいいのではないか。感情を題材にした映画だからこそ、もっと緻密に丁寧に描いてほしかった気がする。本作ではっきりと確信したが、この監督の演出はシリアスより、フラガールのような直球勝負の感動路線がだんぜん向いていると思う。
[映画館(邦画)] 5点(2018-01-04 23:34:34)
396.  アスファルト(2015) 《ネタバレ》 
たぶん、宇宙から人が降ってくることはまずないでしょう。そして辺境の地にあるマンションに暮らしていて、隣りの部屋に映画女優が越してくることもまずないでしょう。これは限りなく確率0%に近い、もしかしたら現実にありそうなお話。どこかファンタジー映画を観ているような、夢見心地な気分に浸れました。灰色にくすんだ映像や廃墟のようなマンション、それは人々の寂しさや空虚な心境をよく投影しています。それが終盤になるほどその風景の冷たさは、人や心の温かさを際立たせる引き立て役のように機能してきます。決して派手さはありませんが、これこそ映像のマジックでしょう。6人が織りなす3つのエピソードは、性別・年齢・人種を越えた何気ない友好のメッセージ。ハリウッド映画のそれとは違って、実に自然な配役なのでとても好感があります。一人で寂しい人。想像力のある人。そんな人たちにとって、きっと人生の宝物になる映画だと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-02 23:36:33)
397.  ほとりの朔子 《ネタバレ》 
2週間をおばさんの家で過ごした、朔子のひと夏の物語。これは表向きは陽気な話を装っているが、見た目ほど愉快な映画ではないと思う。一線を越えそうで越えない、男と女。青春と性の境界線。原発の立ち入り禁止区域の境界線。映画からは、理性と狂気の狭間でかろうじて踏みとどまっているような、ピリピリとした(異様な)空気を随所に感じる。夏らしい色鮮やかな彼女の姿は、ひと夏の間、水辺のほとりでオスを誘引して光る、メス蛍の求愛行動を思い出す。蛍の寿命は短くて、生きても2週間とか。一度越えたら二度と戻れない、生と死の境界線。そして2週間の短い夏が終わり、朔子は帰って逝きました、とさ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-28 23:28:51)
398.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
A・クリスティの原作は既読、過去の映画版は未鑑賞です。今回、結末を知りながら鑑賞したのは、多くの方たちと同様、稀にみる豪華出演者たちに惹かれたからです。その映画はまるで、豪華キャストによるお芝居(舞台劇)をスクリーンで観ているようでした。でも"列車内"からロケーションがほとんど動かない上に、乗客たちは素性を知られないよう"芝居"をしているので、設定上そうなって当然か(笑) とりわけ印象的だったクライマックスの場面、これは原作にはなかったように記憶しています。暗いトンネルの中から、光射す方を望む12人。見据えるその先に立つポワロは、罪人たちを暗い淵から更生に導く救世主のようにも見えます。これはまさに映画ならではの演出だったように思う。でもさ、せっかくその映画じゃない?暗い顔した人物たちばかりじゃなくて、オリエント急行の車窓から覗く美しい風景、豪華料理のフルコース、もっと観たかったなあ。(登場人物が多すぎるから仕方ないんでしょうけど)
[映画館(字幕)] 6点(2017-12-27 15:59:40)
399.  ノスタルジア 《ネタバレ》 
いつか夢に見た遠い日の懐かしい風景の断片を映像化すると、このようになると思う。そういった意味では、本作の表現はフェリーニの「8 1/2」に近いと感じた。もちろん両者は人種も生い立ちも趣向も異なるので、一見すると2作は全くのジャンル違いに見えるが、アプローチはよく似ていると思う。見る夢とそれを映像化する感性は人それぞれだから、どちらも第三者にとって難解な作品になって当然だろう。両者の共通的な特徴として、視聴者の理解・娯楽的嗜好を満たすよりは、どうやら監督自身がその映像表現に陶酔することを最優先しているということ。タルコフスキーは時に人間不信と感じるほどに登場人物の感情が見えにくく、もしかしたら映画の撮影においては、人間すら風景の一部として捉えているのかもしれない。(全体像として母への愛は"抽象的に"伝わってくるが) 確かに、詩的でありどこか郷愁を誘う映像美にはただただ圧倒される。しかし、場面場面の暗示的な問いかけに監督の意図する答えを見つけることができなかった私には、この評価が精一杯だ。個人の映像表現としてなら迷うことなく満点だが、これは映画なのだから。
[DVD(字幕)] 6点(2017-12-08 23:26:45)
400.  彼女がその名を知らない鳥たち 《ネタバレ》 
陣治と十和子の食事の場面、十和子のラブシーン、これだけで映画の半分くらいはありますか(笑) 食うこと、セックスすること。愛すること、愛されること。これは呆れるほどに、人間の(本能的な)欲求に正直な映画でした。十和子(女)の生き方は理解不能な反面、男たちの生き方はわかりやすい。いい男たちは散々セックスして、モテないヤツは食うだけ、尽くすだけ。原作ありきでしょうが、この描き方はとても短絡的だし、好きになれない。陣治は十和子を愛していた、というよりは愛すること自体に酔いしれていた感じ。だって本当の愛とは最後まで責任を果たすことだと思うから。だから私には、主要な登場人物の誰一人にも共感できなかった物語でした。体を張った蒼井優からは、主演女優(若さに頼らない真の演技派)としての生き残りをかけたような、悲壮感が感じられた。花とアリスやフラガールの彼女にも、いずれこんな役をやる日が来るとは。なお本作は阿部サダヲによって成立した映画と言ってもいいほど、彼だけは代わりが見当たらない。喜劇、悲劇、シリアス、何でもござれの個性派は、これからの邦画界でもきっと重宝されるはずです。
[映画館(邦画)] 4点(2017-11-23 17:46:21)
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