441. STAND BY ME ドラえもん
《ネタバレ》 ちゃんとこれ一作だけで『ドラえもん』として成立させられてない感じがします。従来の『ドラえもん』のイメージに頼っちゃってるでしょ?って。 『さよならドラえもん』をやるならば、そこまでののび太とドラえもんとのエピソードの積み重ねが必要な筈ですが、物語は主にのび太としずかちゃんのエピソードが中心になっていて、ドラえもんはサポートに回ってばかり。ひみつ道具による楽しい日々もダイジェスト状態でサラリと描かれる程度ですし。 なので、全体的に軽い、食い足らない感じの『ドラえもん』。 3Dは飛び出し方向に振ってあってトリッキーな3Dを楽しめますが、3DCGの技術はアメリカに比べたらまだまだ。それでもやっと「呼吸してる、かな?」くらいの表現には辿り着きましたか。アメリカのCGアニメをしっかと見てると判りますが、今はCGキャラ、普通に呼吸してますからね。モーションキャプチャー使ってれば呼吸も記録されるだろ、って? いや、今この『ドラえもん』も含めてモーションキャプチャー使ってるCGアニメ、あんまりないですよ。 でも、山崎貴監督らしい、最大公約数的『ドラえもん』でもあって、幅広い層にアピールできている作品でもあると思います。1つ1つのエピソードに過剰な重さを置いていないのも、あんまり子供にヘヴィなモノ見せたって仕方ないでしょ、っていう意識があるのでしょうし。 これまでのフィルモグラフィーを見てもこれと言って色の無い映画ばっかり撮ってる感じがしないでもないですが、『永遠のゼロ』と今作とで既に合わせて150億円を越える興行収入を上げている、今の時代の日本で最も観客を動員できる監督、その色の無さの中にこそ求められるモノがあるのではないでしょうかねぇ? 逆に言うと、他の監督には、観客から求められていない余計な色ってのがあるんじゃないのかなぁ。 で、唯一2Dアニメ版では全く感じなかった、この映画ならではの色。しずかちゃんがいいオンナ(笑) [映画館(邦画)] 6点(2014-09-15 23:01:48) |
442. 怪しい彼女(2014)
《ネタバレ》 「歌の持つ説得力」という点においてとても正しいなあ、って。 映画自体はベタな韓国映画です。よくある毎度の笑いと泣かせパターンな韓国映画。で、これはそれが上手い方に転んでるタイプ。 シム・ウンギョンはちっともあのイヤなババアに見えません。あのババアと全然イメージが繋がらないの。それは欠点かもしれないけれど、でも「若返ってジェネレーションギャップに苦しむキャラ」としては見事に成立していて。 『サニー 永遠の仲間たち』で見せたヤバいレベルのコメディ演技と美しい表情が更にパワーアップして本当に魅力的。 それに加えてあの歌ですよ。ぐっと惹き付けて彼女に心を寄せてゆくのに十分な歌の力。 物語はあくまでベタなので、後半の泣かせ展開に至る道なんかは王道過ぎ!って感じではありますが(何度もワザとスカすように見せながら結局そこに行くっていうややこしいテを使ってはおりますが)、遠い日の回想と現在とが同じ顔で直結する事でダイレクトに生み出されるドラマの感動的な事ったら。思わず泣かされますな。 老いの辛さ、切なさもあれば、そこに至るまでに重ねたかけがえのないものもあって、っていう、テーマも王道というかベタというか、ですが、シム・ウンギョンの存在によってキラッキラに輝くまばゆい映画となっていて韓国映画の良さを堪能できる一編でした。 [映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 22:40:36) |
443. フライト・ゲーム
《ネタバレ》 予告編や冒頭のシークエンスから何やらニオイがジョディ・フォスターの飛行機映画やデンゼル・ワシントンの飛行機映画を思い出しちゃってイヤな予感がしたのですが、中身はちゃんとリーアム兄さんのゴツゴツした映画で良かった(笑) 犯人は誰だ?ってミステリー部分は最後まで見ると「ん?」って首を傾げちゃう感じもありますが、クライマックスに至るまでのヒリヒリとしたサスペンスは上々。 主人公が真犯人扱いされてゆく展開も物語の足を引っ張ってテンポや気持ち良さを殺してしまうレベルまではいかずに良かった良かった。このゴニョゴニョした部分が大きくなればなるほど、イライラと気持ちよろしくないストレスが溜まる事になっちゃいますからねぇ。 乗客や乗員のリアクションも不快になる前にむしろ気持ちいい方向に持っていってくれますし。 画面内にメール文字を出すのは『子猫をお願い』や『電車男』を思い出して「ハリウッドは今更それやってるか(笑)」と思いましたけど、映画をテンポ良く運ぶには良いテですしね。 往年のエアポートシリーズを思わせる航空パニック映画の匂いも漂わせて堂々としていて、デカくて強いけど不器用なリーアム兄さんの正統な系譜に刻まれる娯楽作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 22:12:46) |
444. 舞妓はレディ
《ネタバレ》 年に1~2回、京都旅行にでかけて、老後は京都に住みたい(宝くじでも当たればね・・・)と思っている私にとって(両親とも代々目黒なバリバリの東京モンですけどね)、京都は憧れの世界。 その京都の伝統、文化、そこに生きる人を伝えている部分はとても良かったと思います。絵葉書的な定番の風景も出てきますが、舞妓の世界から見た京都の生活というのがとても興味深くて。 一方、今年は『アナと雪の女王』19回見たりとか宝塚ハマって8回見たりとか(今年あとプラス3回予定)、ミュージカルづいておりますが、この映画、ミュージカルってモノとしてはダメダメな感じなんですよね。 歌や踊りにちゃんと命が通ってないの。なんていうか、とってもハンパなモノを見せられてるなぁ、って感じで。普通に演技している部分はいいのに、なんでミュージカルシーンになると途端に画がダラけてるようなふざけてるような、いい加減なモノになっちゃうんでしょ? 歌で心に響いたのって大原櫻子(このコは『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でも聴かせてくれましたねぇ)のところだけ。主役のコも上手いけれども踊りや表情は全然な感じ。ベテラン俳優の皆様に至っては、見ていてキビシイとしか。 『Shall we ダンス?』(宝塚版も見させて頂きました)のダンス教室メンバーが揃って出演していて、ラストにはあの二人が復活したりもしていますが、そういう内輪ウケ的ノリが必ずしも良い方向に機能していたとは言い難い感じで。特に監督の奥さんのミュージカル部分、あそこは丸々要らなかったんじゃないかなぁ。その分、尺を削って欲しかった感じが。 京の伝統の大切さについて言及している映画が、ミュージカル映画とか歌謡映画とかの伝統を軽視しているように見えてしまうのは問題だなぁ。 [映画館(邦画)] 6点(2014-09-14 20:22:11) |
445. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
《ネタバレ》 予告編の印象から、もっとバカっぽい映画かと思ってたらとても熱く燃える映画でした。 まるで統一感のない魑魅魍魎状態のキャラ達が支離滅裂、ドタバタなところから銀河を守るって共通の目的でぐわーっとまとまってゆく、その熱さ。 アライグマとか木人間とか、ネタにしか思えないじゃないですか。だけどこれがちゃんと熱いの、感動させるの。 主人公にしても、冒頭の母に対する想いがちゃんとクライマックスからラストで回収されて、カセットテープに収録された全編を彩る懐メロの意味にも感動して。 VFXを駆使した燃えるシチュエーションの戦闘シーンもたっぷり、飽きさせるようなヘタな脇道もなく、混ざり物だらけのように見えながらとても純度の高い娯楽映画なのでした。 こういう、作ってる人間が「こういうのがやりたいんだ!」っていうのがハッキリ見えてくる映画はいいなあ。 【追記】4DX版見てきました。やっぱりドッグファイトとの馴染みは最高です。画面に合わせて前後左右にガンガン揺さぶられる状態は臨場感抜群で突入シーンでの盛り上がりがこれ以上無いってくらいな高揚感。一方で格闘シーンなんかは微妙かも。三人称視点のもの1つ1つに衝撃を与えてる状態ってワリと不自然。水や風はそこそこ、光や煙の演出は蛇足っぽく、シャボン玉は上手く画面に合って。でも、何と言っても「泣かせる揺らし」があるのがこの映画での4DXの最大の特徴かも。『スター・ツアーズ』にだって「泣かせる揺らし」ありませんものね。 [映画館(吹替)] 10点(2014-09-14 19:46:45)(良:1票) |
446. ルパン三世(2014)
《ネタバレ》 『ルパン三世』のイメージって言ったって、原作、テレビシリーズ、映画、テレビスペシャル、それぞれ作品ごとにかなり異なる訳で(つーか同じシリーズの中だって前期と後期、一部エピソードで全然違うとかあって)、ルパンはこうでなくちゃ!なんてのは結局それぞれの好みのルパンでしかないですよね。私だって世間的には評価の高い『カリオストロの城』の優しいお顔のベタベタとしたロリコンな正義の味方のルパンじゃ困っちゃうわけです。 で、主要キャストは良かったと思います。それって単なるコスプレだろ、みたいな状態ではなくて、それぞれにその人なりのキャラクター像を作り上げていた感じで。浅野忠信のたどたどしい喋り方は厳しかったですが。 問題は物語がちっとも面白くないって事と、アクションシーンがダメダメだって事。いや北村龍平からアクション取ったら何も残らないんじゃないの?って感じですが、細かく切りすぎでバカ臭くなってたり、アクションの起きている位置関係が不明だったり、繋ぎ方がおかしかったりで酷いです。 カーチェイスにしても単発のディティールばかりで繋いでる感じで全く流れになっておらず、それをカーチェイスシーンと呼べるのかどうかすら怪しいレベル。 で、物語は余計なキャラを絡ませ過ぎで。ルパン一味と銭形と悪役、それだけではダメなんですかねぇ。『スニーカーズ』みたいなグループものになっていて、そのオリジナルなキャラがつまんないです。 あと、黒木メイサの不二子は悪くないんですが、まるでお色気不足。これは彼女のせいでなくて、演出とかカメラとかコスチュームとかのせい。なんでそういうところにはフェティッシュなこだわりを見せられないんですかねぇ。 全編にアジアンテイストを盛り込んで国際色豊か、みたいな映画にしたかったようにも思えるのですが、なんか恥ずかしいノリになっちゃってるんですよね。結構ダサめ。 せっかくメインキャストの面々は頑張っているのですから、もっと彼らを中心にカッコよく見せてあげられなかったのかなぁ。残念。 [映画館(邦画)] 4点(2014-09-01 21:06:26) |
447. イントゥ・ザ・ストーム
《ネタバレ》 ディザスター映画ってのは悪い人、間違った判断をした人、利己的な人が罰を食らってこそなんですよね。その点でまずダメ。 あのバカ二人はさっさと消えて欲しいと思ってたら、ラストに「がくーん」って状態だし、卒業式を強行したり避難に反対した校長だって、あれ、普通は「ぎゃあああああ」とか悲鳴を残して消えていいハズですよ。どうも最近はセオリーを破っちゃう映画が多くていけねえ。 さて、竜巻映画ってのは怪獣映画と似ていて、登場人物がソレと延々対面し続ける事に無理があるんですよね。なので追いかける立場の人間を登場させる。このあたりは『ツイスター』と一緒。で、追いかける以上は危機に陥っても自業自得、サスペンスにも限界がある。『ゴジラ2014』同様、脚本にそこら辺のジレンマがよく表れてるなぁ、と苦笑。家族を取材連中に絡ませる事でドラマを多層的に描いてはおりますが、その家族パートはやっぱり無理矢理になっちゃってる感じで。 コレにしろ『ゴジラ2014』にしろ、VFXこそそれなりに立派だけどドラマ部分は『シャークトパス』だの『エアポート20〇〇』だの『アルマゲドン20〇〇』みたいなビデオスルー映画みたいな安っぽさですねえ。 で、そのVFXも予算のせいか、起承転結が無い画が多いのが残念なんですよね。「ジャンボ機が舞ってまーす」って画はクドく見せても、じゃあ、それがどう舞い上げられて、そしてどう落ちるか、なんてのはちょっと見せるの無理なのね、みたいな。 なんか予告編はジミな印象でしたが、本編見ても「ああ、やっぱりこの程度なのね」って感じの映画でした。 [映画館(字幕)] 5点(2014-08-31 20:05:01) |
448. LUCY ルーシー
《ネタバレ》 ツイッターのTLに並ぶ不評の嵐に「あー、ベッソンたらまたやっちゃったのねー」って思いつつ見に行きましたが、?あれ?面白いですよ?これ。 テレンス・マリックが3時間くらいかけて語りそうなネタを、ベッソンが優しく、判りやすく、アクション交えて90分足らずで伝えてます、みたいな映画。 冒頭、犯罪サスペンス映画にいきなり唐突に『アース』とか『ライフ いのちをつなぐ物語』とかのノリが入り込んできまーす、って状態は苦笑せざるを得えませんが。むしろそっちをやりたいんか?って。で、最後まで見ると結局はそっちがやりたかったようで。 ルーシーが復讐やら何やら、世俗に興味を無くしてしまった時点で映画としてはコワレます。犯罪サスペンス映画のプロットが進行している中で肝心の主人公がそのプロットとは全く別の方向を見ているという、もう映画と主人公との対話ができていない状態。 なんで脳がいっぱい使えると超能力者になっちゃうの?みたいなツッコミどころ満載な部分は、実は大して重要ではありません。人を越えたところから人を見つめる映画というところがポイントで。 宇宙の誕生から生命の誕生、営みを見つめて、そしてその時の流れの中に人間が存在する事の意味を捉えようという映画(モーガン・フリーマンが大体の要点は語っちゃってますが)。 出会って間もない男に騙されて犯罪の片棒を担がされちゃうような頭の悪そうなトロいお嬢さんが神様になるまでのお話。その、万物のシステムに触れてゆくスカヨハに神々しい魅力を感じられたので、私としてはいい映画。 [映画館(字幕)] 8点(2014-08-31 14:56:14) |
449. her 世界でひとつの彼女
《ネタバレ》 映画はあまり「OSが人格を持って恋愛感情に発展して」って現象自体にコダワリを見せている訳ではなくて。むしろ普通の恋愛の過程を描いているような感じ。 その「言葉」が紡いでゆく愛の物語は心地良いです。言葉が五感を形作ってゆく、擬似的な行為がやがて現実的な感覚へと昇華されてゆく、そこに描かれる流れは特異でありながらドラマチック。 ですが、題材的には『ラースと、その彼女』や『ルビー・スパークス』に類似しつつ、それらを越えてゆく感じはしないんですよね。人間個人に寄りそうよりも興味はむしろ現象としての恋愛にあるような感じ。「心」を「頭」で捉えてるような感じに思えてしまうのはスパイク・ジョーンズらしくて、私はちょっと苦手。 『マルコビッチの穴』にも通じる、人間を超越した存在となって旅立ってゆくっていうのは死の象徴のようでもあるし、でもスパイク・ジョーンズの願望の表れなのかな? アメリカのお子様向けテレビアニメ『フィニアスとファーブ』でもアリが進化して人類を超越して旅立つって話がありましたが、わりとSF的にはポピュラーなのかしら? [映画館(字幕)] 6点(2014-08-24 22:13:10)(良:1票) |
450. 宇宙兄弟#0
《ネタバレ》 原作未読、テレビシリーズは放映時間が変更になる前まで、実写映画版は見てます、という状態。 これ一作のみの映画として見ると色々とキツいかな。後にどんなドラマが待ち構えているか知っていてこそ楽しめる部分が多いように思います。 既知である過去部分の映像化という事で物語的な冒険はできません。キャラに思考や行動の大きな飛躍をさせる訳にもいきません。 ゆえに本筋上に存在しているような日々人のNASAでのドラマは予想の範囲の中に収まっている感じ。 一方、左遷という脇道を進む六太のドラマはキャラも活かされ六太の成長が描かれて楽しめました。 問題は作画。雑です。映画クオリティに達していません。 傾けたグラスの中の梅酒の梅が全くグラス内を移動しないというような細かい部分はともかくとして、ブライアンが月面を歩くシーンなどはとても重要なのですから、そこはちゃんと描いてくれないと。 月面を人が移動するのはどんな感じなのかは実際の映像でよく知っているわけですよね。その6分の1の重力の世界をブライアンがどう踏みしめたのか、どう歩んだのか、それを雑なぴょこぴょこしたアニメートで描いちゃうのってかなり残念。 地球での重力足らない感じのふわついたアニメート共々、その表現の差を求めるのは酷なんでしょうかねぇ。この題材ならばそこはとても重要になってくると思うのですが。 キャラや展開の説明不足、投げっぱなしになるエピソードの数々など、ファン向け映画といった風情で、知識あればこその感動はありますが、一見さんだとキツいですか。 個人的には雑な作画のアニメよりはむしろ実写版の小栗旬と岡田将生で見たかったかも。 [映画館(邦画)] 6点(2014-08-24 21:37:31)(良:1票) |
451. モンスター・ホテル
《ネタバレ》 メイヴィスが本当に可愛いのね。だからとーちゃんの気苦労もよーく判ります。 話の殆どはホテルの中だけで展開する、娘をホテルの外に出したくない、ずっと傍に置いておきたいヴァンパイアの話で、そこにはかつて妻を人間に殺された過去があり、モンスターという個性は世界から隔絶・秘匿された存在でなければならない、っていう背景があって。 作品には娘の自立心を尊重しなければならないという主張が存在していて。『アナと雪の女王』より先行して同じネタを扱ってますね。 でも、その肝心のメイヴィスが惚れてしまう人間の男がどうにもこうにもただのバカで、アレに惚れちゃうあたりのセンスに甚だ疑問を抱いてしまった訳で、メイヴィスって人格(ヴァンパイア格?)そのものの評価が下がってしまうレベルなんですが、これは後に英語版をブルーレイで見た時点で理解できたっていうか、英語版はそんなにバカじゃないです。日本語吹替版のオリラジ藤森、アイツがあの芸風そのまんまの喋りで吹き替えやがるから途轍もなくバカなわけで。 それと正直なところ、芸達者な山寺宏一の声も洋モノアニメで聴き過ぎて(『アラジン』のジーニーとか『シュレック』のドンキーとか『アイス・エイジ』のマニーとか)オリジナルな個性が消えてしまっています。 なので英語版ならば9点です。英語版はメイヴィスのキモチがきちんと見えてきますから。 現代の人間達が過去と違ってモンスターに対してとても好意的です、っていう設定は都合が良過ぎる感じがしますが、差別の無い世界への希望を描いていると解釈したいと思います。子供達に、その無限の可能性を指し示している映画なわけですから。 [映画館(吹替)] 7点(2014-08-14 23:05:28)(良:3票) |
452. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 まさしく「ゲーム感覚」ってヤツで、100人マリオなんかメじゃないってくらいにリトライしまくりな覚えゲー状態な映画で。 戦争モノって事でFPS、TPSっぽい感じですが、体得したスキルを記憶しつつゼロからのリピートっていうのはむしろ『デッドライジング』に近いのかしら?みたいな事を映画を楽しみつつ考えていると、突如として「ここから残機無し、コンティニュー無し、一発死でゲームオーバーな」ってルール変更状態になって、そりゃエラいこっちゃ!って。ゲーマーなら判るその絶望感。「おいおい無茶すんな」って画面のトム・クルーズにハラハラドキドキ。 それはサスペンスを生む有効な手立てであると同時に「当たり前だけど命って1つしかないんだよ」って事をハッキリキッチリと認識させているわけで。ゲーム感覚を導入する事で逆説的に命についての映画になっているんだ、って感心。 「軍の広報担当者が陰謀だか嫌がらせだかで無理矢理最前線に送られて、戦闘に全く慣れていないがゆえに~」なんてややこしい設定は、主演のトム・クルーズがいいトシをしたオッサンであるがゆえなわけで、本当は若手スターがただ「新兵」を演じればそれで済むのですが、そこはそれ、スター映画ですし、彼であるがゆえの安定感や親しみやすさ、ユーモアなんかが生まれているわけですから、まあ、仕方ないでしょう。っていうか逆に、あのトシでよくもまあ頑張っております。 そのシーンは実は一体何度目なの?みたいな仕掛けも面白く、大々的な戦闘シーンもあって、見応えのあるSF映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2014-08-14 22:33:17) |
453. るろうに剣心 京都大火編
《ネタバレ》 テレビ放送した前作の録画を見て臨みました。前作見てなかったし、原作も読んでないし。で、前作は「まー、そこそこ?」みたいな感じでしたが、今回は「もうちょっと上のそこそこかな」って。 前作よりも大幅にスケールアップ。大がかりなセットに沢山の登場人物、大量動員のモブシーン、そして痛快なアクションシーン。 ちょっとドラマ部分がタルいかな、って感じがしないでもないですが(前作からのんびりした時間が流れてます、って状態の剣心周辺のヌルさがなんか弛緩した感じで)、見せ場をいっぱい作って、パワフルにガンガンと押してゆく感じは心地良いです。剣心独特の軽やかな殺陣が痛快ですしね。 気になったのはもうちょっと被写体から引いて欲しくてあまり動かさないで欲しいカメラと、前作同様になんだかとっても不自然に聞こえる剣心の「ござる」言葉(元のセリフ自体が悪いのか、発音・発声が悪いのか・・・)、演技に力が入り過ぎちゃって何を言ってるのか全然判らない少年のお兄ちゃんの今際の際のセリフ、唐突な刀鍛冶の息子の心の声(何故にあそこだけ?)。 でも、そのスケールの大きさを実感させる娯楽エンターテインメントっぷりは夏休み映画に相応しい感じで、物量主義的ではあるけれど、邦画でのそういう攻めの姿勢は、それはそれでアリなんじゃない?って思います。邦画ってかなりの話題作であっても物量だのスケール感だのエンターテインメント性だのってところからはワリと逃げますもんね。 結局は物語の途中で終わってしまって次回に続く、って状態なので(ラストは引っ張り過ぎかな)、最後に不満を抱く感じではあるのですが、僅か1か月後には続編公開という事で、次を待つ時間もストレスよりは期待の方が勝る程度の長さ。 内容そのものよりも、娯楽映画を老若男女が集まった満席の劇場の熱気を感じながら見る愉しさを味わえました。それはそれで貴重。 [映画館(邦画)] 6点(2014-08-14 21:44:43)(良:1票) |
454. 複製された男
《ネタバレ》 ええ、なんの予備知識もないままSFかミステリーだと思って見ました。映画も半ばを過ぎたあたりでしょうか、これってもしかしてそういう映画じゃないんじゃね?って思い始めたのは。ハッキリしたのはかなり経ってでっかい蜘蛛が街中をゆっくりと移動するロングショットを見てからですが。 不条理劇なら不条理劇って最初からそう言ってよ、って思いつつ、それなりに考えてみました。 そもそも男は別の存在ではなくて1つの人格を表していて、で、ラストシーンから遡って考えてみると実は教授の方ではなくて役者の方が本体。同じ内容の講義やブルーベリーのあり方から見ても。蜘蛛が欲望の引き金となっていて、その蜘蛛が象徴するところは女性。女性に対する欲望、その自制心と好奇心との葛藤がやがて彼を深い闇へと誘ってゆくのです・・・みたいな風に理詰めで考えちゃうとあちこち矛盾する箇所が出てきたりして、まあ、つまりバカには判らん、って突き放されたようなモンで。 でもね、正直なところ「じゃあもう一度」って見直したい映画ではなくて。街の風景に不安を煽る音楽がグワーンゴワーンって流れてる、ってのを延々繰り返してるソレを見て楽しいか?って。エッチな映像がないこたぁないですが。90分の映画なのに体感時間3時間くらいの映画ですよ。 バカはバカなりに「つまんなかったー」「眠かったー」ってここに正直な感想を記しておこうと思います。 [映画館(字幕)] 4点(2014-08-12 21:26:44) |
455. トランスフォーマー/ロストエイジ
《ネタバレ》 毎度のマイケル・ベイです。とりあえず爆発。中学生レベルのお色気。カット数大量。だけど足らないカットも大量。映像も演技もシーンも話もちゃんと繋がってません。 「イマジナリーラインくらい守ってくれないと・・・次にくっついてるカットのクラッシュしちゃったソレはどこの誰さん?」みたいな事を気にしているうちに、物語自体が激しく方向転換しちゃって訳わからなくなっちゃう、っていう。テキサスからシカゴまではまだなんとなく繋がってた気もしますが、香港に飛ぶともう別の話みたいな状態になって。飛躍し過ぎ!って。 んでも、私にとってマイケル・ベイ、クリストファー・ノーラン、ローランド・エメリッヒはクドくて途中で飽きる3大監督なんですが、今回飽きなかったんですよね。マイケル・ベイ史上初? これまでのシリーズはどうもガチャガチャと鉄の塊がもつれてるだけ、みたいな印象ばかりだったのですが、今回はいつものマイケル・ベイ的ゴチャゴチャハチャメチャな世界の中にしっかと感じ取ったんですよね、怪獣映画を。半勃ち『ゴジラ2014』よりもずっと怪獣映画。 人々が生活する街の中に巨大な生物(機械生命体ですが)が現れ、破壊の限りを尽くす。あー、支離滅裂な映画の中に、アレに足らなかったカットがいっぱい含有されてるわー、って。そのイメージの洪水が気持ちいい感じ。 『パシフィック・リム』にしてもそうなんですが、結局巨大ロボットだの怪獣だのってのはシネフィルを喜ばすお上品なショットで飾り立てて気取ってたって仕方ないわけですよね。リアル小中学生と精神的小中学生をウハウハ喜ばしてナンボ。 受け手は永遠の中学生マイケル・ベイの稚気にいかにシンクロするか、っていうのが大切なわけで、ウザいシャイア・ラブーフが出てこなかったお陰か、作品の精神年齢が更に下がり気味だったお陰か、今回は私、シンクロ率高めでした。 いかに馬鹿になりきって見れるかがポイントな映画。もっともこの映画のストーリーを理解するのは馬鹿にならなくても至難の技ですが。シードって結局何だったのさ?(杜撰な扱いのマクガフィンざんすな) [映画館(字幕)] 7点(2014-08-09 15:45:32)(良:2票) |
456. GODZILLA ゴジラ(2014)
《ネタバレ》 ひと言で言うと「半勃ち映画」。ピッタリくる言葉がそれだったので失礼。 いつになったら面白くなるんだろ?って思いながら見てたら終わっちゃった。面白くなりそうな瞬間っていうのは何度も訪れたのですが、そのたびにブッツリ終わって次に移るって状態。 ブツ切れ感がハンパなくて、悉く「点」。物語の「線」が形成されてないんですよね。それじゃノレません。やっとゴジラが出てきた!と思っても、カメラはさっさとゴジラの前からどっか行っちゃうし。ゴジラ出てる間はゴジラ見せてよ。 その代りに見せられる話もドラマとして成立してなくて。妻を失った父ちゃんのこだわりが成就する瞬間がありましたか? 主人公の行動は「家族に会いたい」という点では一貫してましたが、いちいち怪獣騒ぎに巻き込まれ続け。「人間ドラマと怪獣とは水と油」ってレビューで何度か指摘していますが、無理に絡めようとするとこうなるという見本のような映画で、主人公が度々怪獣の目の前まで飛び出しちゃう無理矢理さ加減はエメリッヒ版を凌ぐ苦笑を生みます。 この映画の登場人物は総じて受動的。状況に追われて仕方なく動いてます。それはゴジラですら。怪獣出たから地球環境ヤバいし退治しないと、みたいな(むしろギャオス退治に出かけるガメラ)。 核の扱いもハンパで困ったもので。ゴジラを反核の象徴とする訳にはいかない事情からか、ゴジラを倒すための水爆実験だったとか、芹沢博士の被曝二世エピソードがただの設定だけで終わってたりとか、核も怪獣も脅威として成立していないんですよね。 日常の中に大きな脅威が紛れ込む事で非日常となる、それが怪獣映画の面白味なんじゃないかと思うのですが、その点、今作は薄味。主人公は怪獣よりも核ミサイルとの追っかけっこに忙しい有様ですし。 あれこれと他の映画を思い出すのはサービスとでも捉えればいいのかな? 金門橋の戦闘は『モンスターVSエイリアン』、音楽はむしろ『クローバーフィールド』、ゴジラ的には『2000ミレニアム』みたい。 元々ゴジラにはそんなに思い入れが無いので、ゴジラはこうでなくちゃ!みたいなのは無いんですが、今回のゴジラ「も」あまりカッコ良くはなかったなぁ。そのフォルムからゴジラと言うよりタッコング思い出しちゃった。 なんか微妙に体温低めな感じの映画、もっと熱い怪獣バトルでひいひい言わせて欲しかったわ。 [映画館(字幕)] 4点(2014-07-25 22:12:50)(良:1票) |
457. 思い出のマーニー
《ネタバレ》 前半は全くノレなくて困りました。『アリエッティ』同様、またギスギスしたキャラが楽し気な姿を見せる事もなく鬱々とした物語を展開させてゆくのかと。記号的な性格の悪いキャラを登場させるあたりも含めて、作品に根の暗さを落としてしまうのはこの監督の性格なんでしょうかね。 杏奈がリアクションの薄い、表情の無いキャラであるとは言え、何らかの魅力は与えておかないと(この場合、絵ですかね。もっと彼女が描いた絵に杏奈という人格を映すとか)。どうも掴みが上手くないように思います。 中盤になって杏奈とマーニーのコミュニケーションの形が見えてくると映画への興味も膨らんできますが、それにしても構成はかなり雑だと思います。 マーニーはシンプルに杏奈のイマジナリーフレンドだと思わせつつミステリアスな要素がそれ以外の何かも想起させますが、そのミステリアスを生むためにとにかくエピソードのお尻を曖昧に切りまくるので破綻寸前。 サイロから発熱までをクライマックスに仕立て損なっている感じで、その後、真相話に至る部分があまりに唐突に感じられます。 それを救うのは細やかな作画や美術や音楽。 ジブリお得意のこれ見よがし系の丁寧ですよ作画からもうちょっと進んで、動画から質感や感触を表現する細やかさ。 匂いを感じさせる景色。 そしてキーとなる『アルハンブラの思い出』のメロディ。 物語ではなく、映画を構成する映像や音が杏奈とマーニーの世界を美しく彩り、魅了されてゆく感じ。作品空間の存在を感じさせる表現力。 終わってみれば、杏奈の内的成長を表現するに相応しい世界を共有し、心に沁みる時間を体験できたと思いました。 [映画館(邦画)] 7点(2014-07-21 21:17:19)(良:1票) |
458. トランセンデンス(2014)
《ネタバレ》 古いわぁ。前世紀の遺物みたいな映画。 単純にコンピュータやネットは悪です!って言ってる訳ではないけれど、センス的にはそういうテクノロジーの脅威を扱った昔の映画から進化無し。「ネットなんか要は使う人の心次第なんですよー、愛なんですよー」って、いやもうこういう題材で十分語られてきたでしょ? これ、そこから少しはなんか進歩した? 既成の色んな映画の事を思い出しまくりなんですけど。 『さよならジュピター』を思わせる陳腐なテロリスト集団、アレの物語上の扱いが曖昧で、二人を追う仲間の意識も曖昧で、っていうかそもそも二人も曖昧で、まー脚本的には少しはぐらかしておきたかったんだろうなぁ、ってモノが見え隠れしていて、そのつまらん匙加減が映画そのものをつまらないものにしている感じで。 要は『フランケンシュタインの花嫁』やりたいだけなのね。今、この時代とか科学の進歩とかってもの自体に対して脚本は責任回避してて。SFである事から逃げてます。ファンタジーだから許してね、みたいな。だけどファンタジーってジャンルを免罪符にしちゃいけません。 AI、量子コンピュータ、ネット、ナノマシーンや細胞医療といった題材を扱いながら88年前のフリッツ・ラングの『メトロポリス』よりも退化してるんじゃないか、ってくらいの時代の負い方で、ワリと低めなところではぐらかされてしまうのがガッカリな感じでした。 [映画館(字幕)] 3点(2014-07-14 21:54:58) |
459. マレフィセント
《ネタバレ》 予告では『眠れる森の美女』の映像を使って売り込んでましたが、むしろあの映画の事は一切忘れた方がいいような内容で。まるで別物になっております。 っていうか、今年大ヒットした、一大ブームを巻き起こしたディズニーのアレと物語ほぼ一緒。あー、実写組とアニメ組とで内容カブっちゃったねー、みたいな。 マレフィセントの人間臭さ(妖精ですが)に焦点を当てた映画、ゆえに彼女の魅力はよく出ていると思います。そして、その分、物語は起伏に乏しく、カサがあまり無い感じで。中盤はひたすらオーロラ姫を陰から見守るマレフィセントのいじらしさ(ツンデレっぷり)が描かれるので「あら、マレ様ったら素直じゃないんだからぁ」ってトコロを楽しめる人ならば吉、でもそればっかりで物語はさして転がらないので物足りない人もいるんじゃないでしょうかねぇ。 最終的に最近のディズニー作品『魔法にかけられて』『プリンセスと魔法のキス』そして前記の例のアレと同じく定番の展開をワザと外す事で女性の自立を謳い上げているあたり、逆にちょっとパターン化されている感じもあります。 でも、ディズニーのこういう幻想的な感じ、伝統に裏打ちされた美しさ、そこに抗い難い魅力があるのは確かで、そこにアンジーが見事にハマっていて私にとってはもうそれだけでご馳走のような映画。『アリス・イン・ワンダーランド』や『オズ はじまりの戦い』よりも毒気が薄い分、嫌な臭味も感じませんし。 問題は、これまでなんとなく自社の過去作を揶揄してきた最近のディズニー、今回は具体的な作品をモロに否定に近い形で描いた事。天国のウォルトに怒られちゃわないかな? [映画館(字幕)] 7点(2014-07-12 14:52:55)(良:1票) |
460. 渇き。(2014)
《ネタバレ》 今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。 暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。 加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。 「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。 シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。 原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。 [映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票) |