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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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441.  アンノウン(2011) 《ネタバレ》 
某有名人気シリーズの設定に酷似していることは気になるが、個人的には意外と楽しめたという印象。どうしても比較してしまうが、このような設定においては基本的にはどれも似通ってしまうので、それほど気にしない方がよいだろう。 特許があるわけではないので、仕方がないと思うしかない(パクリでは不味いが)。 しかし、粗もかなり目立つ作品でもある。 あんなおっさんをターゲットにするくらいならば、あんな面倒くさいことをせずに「普通に道端で襲えよ!」と思う(殺人を事故にみせかけるのがプロの仕事だろう)が、そのようなことを言い出したら映画などは作れない。 製作者は一生懸命にどんでん返しをしようと考えた“努力”と取るしかない。 それにしては、プロの暗殺集団は意外と間抜けな集団と最後になってしまった。 自分の使命を忘れる者もいれば、捨てゼリフを吐きながらも爆弾を解除できない者もいて、おまけに一人の素人の女性にほぼ全滅させられるという有り様。 仲間のおっさんがビビるほどの凄みを感じさせなかったことは残念。 銃による死者がいなかったことは製作者の意図だろうか。 その辺りは一応工夫しているのかもしれない。 残念といえば、善と悪との葛藤のようなものがないことも挙げられる。 生まれ変わったら、悪と戦うヒーローに簡単になってしまうのは単純すぎる。 確かに、訳の分からない輩に襲われたら戦わざるを得ないが、自分の使命やアイデンティティーに対して苦悩させた方がよいのではないか。 悩める主人公をヒロインやターゲットの子どもなどが影響させて、完全に生まれ変わらせるということが醍醐味であろう。 もともとは仲間なのだから、殺そうとするのではなくて懐柔させるようなアメとムチを使い分けてもよかった。 あまり難しいドラマを構築するよりも、真相やアクションを楽しむ映画なので、単純でよいともいえる。 しかし、ラストにおいても妻との再会がなかったことも残念だ。 意外な方法による退場の仕方も面白いといえば面白いが、最後はちゃんと妻と思っていた女性と向かい合わせた方がより面白い。 自分が愛したと錯覚した女性を選ぶのか、それとも自分を救ってくれた女性を選ぶのかというチョイスが最も必要なことではないか。 きちんと過去と決別させるためにもこれは必要な儀式だと思う。 情に訴えかける妻と思っていた女性に策略に乗らないようなシーンは必要であろう。
[映画館(字幕)] 6点(2011-05-09 22:20:22)(良:2票)
442.  戦場にかける橋 《ネタバレ》 
正直言って、初見では本作の良さがよく分からなかった。 この映画が言わんとしていることを上手く感じ取ることができずに混乱したが、そのような“難しさ”が本作の良さかもしれない。 戦争というものは、単純に割り切ることができず、不条理なものということか。 捕虜であっても、軍人としての“誇り”を失わずに規律に則って自己の職務を全うするということは感動的でもある。 捕虜であっても奴隷ではない、我々は規則を守る文明人である、人間として何かを成し遂げたい、という主張が大佐からなされており、その主張は立派であり、心を打った。 『敗北しても勝つことは出来る』というイギリス人の“誇り”が、日本軍の斎藤をも変えたと捉えることができる展開だ。 欧米風の騎士道と東洋風の武士道の“融和”のような感触も得られる。 綿密な計画を立てて能率的なイギリス人と、「お茶!」の伝言を繰り返す非効率の日本人、失敗したら切腹しようとする精神論的な日本人の対比も見事である。 しかし、最後の展開によって何もかもが崩壊してしまったような気がする。 誰と戦っているのか、何のために戦っているのか、そもそも戦いとは何か、戦争とは何か、その様なことが何もかも分からなくなるようなラストだった。 もし、大佐がイギリス軍の作戦の意図を感じ取り、自らが精魂込めて築いた橋を自らの意志で大義のために破壊したのならば、最高の軍人として理想化されるような映画的な展開になるのだが、そのような展開にしなかったことが本作の良さかもしれない。 本作は映画らしくなく、観客に“混乱”を巻き起こすラストではないか。 自らが築いた橋を壊そうとするイギリス人に反抗するイギリス人大佐の姿、誰もが死に何もかもが破壊された姿をみて、医師同様に「狂っている」とつぶやきたくなるようなラストだった。 確かに、戦争というものは、美しい友情が築かれるものでもなく、感動的な秘話や美談が語られるものでもなく、そういう狂ったものなのかもしれない。 自分にはそこまで深いものを感じ取ることができなかったが、この不条理感は心に残り続けるだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-23 21:48:11)
443.  勇気ある追跡 《ネタバレ》 
「トゥルー・グリット」のオリジナル作品。 ストーリーに関してはそれなりに面白く、目的の異なる三者のアンバランスさも本作に良い効果を与えているが、それほど深みを感じられない作品ともいえる。 ラストの4対1の決闘には“熱い”ものを感じるが、全体的にあっさりとし過ぎているような気がする。 原題のタイトルにあるような「本当の勇気・気骨さ」のようなものを感じ取れればよかった。 死ぬ直前でも仲間を救おうとする姿が「本当の勇気・気骨さ」というものだろうか。 西部劇をあまり見たことはないが、“深み”などというものを求めずに、こういうものと割り切って楽しんだ方がいいのか。 ジョン・ウェインをよくは知らないが、やはり存在感の高さは十分感じられ、彼の雄姿を堪能すればよいのかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-23 21:35:39)
444.  エンジェル ウォーズ 《ネタバレ》 
嫌いなテイストではなかったが、「300」「ウォッチメン」の方が好きなので、評価としてはこの程度となる。 鑑賞する前は、5人の美少女が協力してキーアイテムを強奪しながら脱獄するようなストーリーが描かれるのではないかと思っていた。 実際の脱獄を描いても面白くはないので、空想的に見立てられていると思ったが、現実の世界と空想の世界があまりリンクされていなかったのが意外。 もちろんそれなりにリンクはされているのだが、結局彼女はいったい何と戦っていたのだろうという感想も出てくる。 仲間を助けることが出来れば、彼女にとってはそのようなことはどうでもいいことなのだが。 世界観については、ザック・スナイダー監督らしさが炸裂しており、彼のファンならばより楽しむことはできるだろう。 むしろ過去の原作が存在するような作品よりも、伸び伸びと自分らしさを発揮できていたような気がする。 そのため、一般向きというわけではなくなり、好き嫌いが分かれそうだ。 個人的に嫌いな作品ではないが、キャスティングがそれほど好みではなかったことが難点。 5人の美少女という設定かどうかは分からないが、肝心の5人が自分の好みとはやや異なるので、ハマるような感じではなかった。 微妙にアダルト過ぎたかもしれない。 また、5つ目のキーアイテムの謎が本作の“キー”となってもいいとは思うが、その“キー”を盛り立てるようにはなっていない気がする。 姉を助けようとするロケットの行動、仲間を救おうとする余りに取ったブロンディの行動を鑑みると、自ずと答えが導かれるようにはなっているが、“5つ目のキーは何か”ということをもっとアピールしてもよい。 ラストの頃にはすっかりと忘れかけていた(そういう演出だろうが)。 ストーリーを追う必要はないが、カメラワークを追う必要はある映画。 意外と凝った動きをしており、カメラの動きを追うのは楽しいが、しょせんCGなので深い関心はしにくい。 こういう映画こそ3Dの方がよかったような気がする。 3Dならば本作の印象ももっと変わったかもしれない。 冒頭にセリフなしでガンガン進めるような展開はユニークなので、空想世界だけではなくて、ミュージカル要素なども取り込みながら、全体的にもうちょっと自由自在に遊びまわってもよかったかもしれない。 パターン化されてしまっている。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-23 11:54:42)
445.  ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 《ネタバレ》 
原作は当然未読。 原作に面白みがあるので、ストーリーの進行を追っていけば、前作同様にそれほど飽きることはない。 しかし、基本的にはストーリーを追っかけているだけの映画であり、映画としての質はそれほど高いとは思えない。 例えば、組織に編集部が脅迫されていたと思うが、切迫された“恐怖”というものが感じられず、追い込まれた感があまりない(怖いのは直接攻撃のヒットマンだけであり、心理的な恐怖が欲しいところ)。 また、組織についての“不気味さ”なども感じ取れない。あの程度では、ただの犯罪グループを摘発したくらいしか思えない。 とてつもない巨大な組織を相手にしているという“怖さ”がないと面白みが半減するだろう。 法廷パートにおいても、『これで勝てるのか?』というドキドキ感を生むほどの緊張感や焦燥感がない。 隠し玉がDVDくらいなのでもっと焦りが欲しく、勝負の鍵となるギリギリに掴んだ精神科医のパソコンの逆転劇を効果的に演出して欲しいところ。 しかし、ハリウッド映画のような洗練された感はないが、小細工せずにストレートに製作された映画というものも懐かしいようでありそれほど悪くはない。 ラストもハリウッド映画ならば、部屋に入れたり、キスしたりといった小細工をしそうだが、「また今度…」「きっとだぞ」と言って別れる辺りのあっさりした感じも悪くはなかった。 結局、二人の関係はメールや言葉を交わさない視線のやり取りのみであり、精神的な部分・心の中での絆は深いと思わせるものではあるが、直接的なやり取りが少なかった。 直接的なやり取りが出来ないということは、リスベットが幼い頃に受けた心の傷というものがかなり根深いということなのかもしれない。 ほとんど笑わないリスベットが笑顔を見せたのが、父親が死んだ時などの数回というのも印象的なものとなっている。 彼女は確かに勝利をしたのかもしれないが、本当の意味で勝つことは難しいのかもしれないと感じさせる。 背中のドラゴンタトゥーのように、心に刻まれた傷は消えないのか。 ただ、ミカエルだけではなくて、保険会社のかつての上司、親身になってくれた医者、疫病神、ボクサーなど、彼女を支えてくれた人たちの存在も彼女の心に刻まれただろう。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-16 13:21:24)
446.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
オリジナルは最近鑑賞したが、本作の方がやや好みだった。ストーリーは基本的にオリジナルと同じようなものとなっている。コグバーンとラビーフの対立がやや強めとなっており、少女のわがまま度がやや抑えられており、ラストの展開がやや異なる程度となっている。どちらもそれなりに面白いものの、どちらも感情に訴えてくるものが少ないような気がする。本作から“トゥルー・グリット”があまり感じられなかった。もちろん三者に気骨や勇気があることは疑いようがないが、特別な何かを感じさせるものが足りないのではないか。 オリジナルに忠実に描きたかったのかもしれないが、もうちょっと大胆に改良してもよかったのではないか。もっと壮絶な追跡劇にしてもよかっただろう。もっと悲惨なものにしてもよかっただろう。1969年に描けたものを今更40年経過した後に同じように描いても仕方がない。映画は止まっているのではなくて進歩しているのではないのか。 少女の成長ストーリーとしてもやや不満。自分一人の力があれば、大人も簡単に動かせることもでき、復讐も簡単にできるという傲慢でわがままで自分勝手な考えを持っていた少女が、この旅を通して協調性や自分が思うままに物事は進まない現実を学んで欲しいところだ。法律や経済や理想を振りかざす少女に対して、それらを超越した世界を体験させてもよかった。本当の勇気とは何なのか、何も考えずに進むことが勇気なのか、将来を考えて後退することが勇気なのか、ということを我々に問うてもよかっただろう。オリジナルとは異なる追加されたストーリーでは、彼女は片腕を失い、独身のままで生涯を過し、性格もあまり変わっていないようだった。コグバーンに対するリスペクトの感情を変わらずに抱いていたようだったが、果たしてそれだけで良かったのだろうか。彼女の人生は果たして幸せだったのか。 オリジナルとは異なり、『復讐には意味がない』ということを現代のテーマとして伝えても意味があるのではないかと思う。コーエン兄弟は、ラストにあえて付け足をすることで、復讐しても意味がないということを伝えたかったかもしれないが、やや分かりにくいだろう。もっと分かりやすい悲劇的なラストでもよかったかもしれないが、製作総指揮のスピルバーグが許さなかったか。普通の西部劇ならば、コーエン兄弟がわざわざ監督をする必要があったのかは疑問なところ。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-12 23:28:17)(良:2票)
447.  アンチクライスト 《ネタバレ》 
きちんと内容を理解できていないのかもしれないが、それほど衝撃的な作品とは思わなかったということが正直な感想。 本作に描かれている内容を言葉では上手く表しにくいが、人間(特に女性)の“本質”のようなものを感じ取れればよいのではないかと思う。 三匹の乞食、森に対する恐怖、靴を逆に履かせる行為、ドングリや手についていた変な虫などは理解しようと思えばできるかもしれないが、放って置いても構わないと思う。 そのようなことよりも自分が感じたことは、性と暴力が人間の“本質”ということだ。 自分の赤ちゃんが危ないことに気付いたのにセックスを優先したということか。 そうなると、激しく後悔する理由や自傷行為などの理由が分かり、本能と理性が絡み合ったカオス的な作品となっている。 ただ、人間の“本質”をきちんと描いてくれれば分かりやすい作品になったかと思うが、サタンや虐殺などに触れられるとやや分かりにくくなってしまう。 分かりやすい作品を作っているわけではないので仕方はないが、全体的にまとまり感がないという印象。 好きな作品というわけではなかったが、トリアー監督作品は悲劇的な内容にも関わらず、逆に変な心地よさも感じられる。 心地よさという表現が合っていないかもしれないが、不思議と居心地の悪さはそれほど感じられない。 映像美や音楽の効果ということもあるだろうが、それだけでもないだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2011-04-02 22:15:46)(良:1票)
448.  ツーリスト 《ネタバレ》 
オリジナルのフランス映画「アントニー・ジマー」は未見。デキの良くない駄作という事前情報を得ていたので、思いっきりハードルを下げて、「どんな駄作を見られるのか」という楽しみすら期待していた。ハードルを下げ切っており、恐ろしく古臭いセンス、間抜けな警察、間抜けな組織についても笑えるような状態だったためか、意外と普通の仕上りとなっており、逆の意味で期待を裏切られた。もっとトンでもない映画を見られるかと思ったが、よくあるような普通の古典的な作品だった。バレバレのネタを追認するだけの作業に過ぎず、アンジェリーナ・ジョリーが相変わらず美しいということ(痩せ過ぎでちょっと怖いようなところもあるが)以外には、ほとんど心に残らない作品となっており、もちろん素晴らしいと評価することはできない。 本作の決定的な問題はラストのオチだろう。全てを観客に明かすという愚行を犯している。ハリウッド大作映画を任されて、若いドイツ人監督は観客のレベルを低く設定したのだろうか。本当のプロならば、幾通りの解釈ができるような余地でも残しておいて欲しかったところだ。ハリウッド映画なので曖昧にするのが嫌だとしても、考えられ得るケースにおいて一番最悪なチョイスをしたという印象。フランクが実はただのツーリスト案、全てフランクとエリーズの共謀案よりも酷いチョイス。観客には正体を明かしてもよいが、エリーズには正体を明かす必要はないのではないか。個人的には、ある時に彼女の本当の素性を知り、恋愛と任務の板ばさみから彼女を開放するために、彼女には秘密に一芝居を打つこととして、迫り来る組織を自分の手を汚すことなく片付ける、彼女から共犯者という汚名を晴らす、警察の捜査を打ち切らせる、彼女から本当に愛される、犯罪とは無関係の彼女との新たな生活を手に入れる、という一挙両得の計略を用いたというような解釈ができればよかった。新たな顔、新たな人生を手に入れて、男性は完全に女性を騙したと確信しているが、女性はその嘘を知りながらも黙っているといった解釈がさらに出来るような男女の奥の深い関係や、愛する男がいるのに別の男に惹かれる、愛する男がいる女を惚れさせようとする男女の駆け引きのようなものを描ければよかっただろう。 「大金を掛けてその程度にしか整形できなかったのか」という皮肉的なセリフも面白味はあるが、ラブストーリーとしてはこれでは浅すぎた。
[映画館(字幕)] 6点(2011-03-08 23:35:16)(良:1票)
449.  ウォール・ストリート 《ネタバレ》 
ストーリーはかなり甘いように思えるが、これはこれで嫌いではない。ゲッコーも変わるように、オリヴァー・ストーン監督も変わってしまったのだろう。諸手を挙げて歓迎したいようなチェンジとは思えないが、年齢を重ねれば、このチェンジも仕方はないか。このご時勢に、不毛なマネーゲームを強烈に繰り広げても観客は滅入るだけかもしれない。目先の利益を追うのではなくて、“家族の繋がり・家系の繋がり”や“次世代型環境テクノロジー”という将来を見据えたテーマを掲げている。 甘いと感じられる点は以下のようなものか。 ゲッコーとジェイコブとの関係、ゲッコーの心変わりとゲッコーと娘ウィニーの仲直り、ジェイコブとウィニーの仲直り、ブレトンに対する追い込み方など。前作は様々な要素が描かれており、それらをきちんと消化していたが、本作は様々なことを盛り込みすぎて、やや消化不良になったように思える。 ジェイコブは前作のバドとは異なり、野心家ではなく“良い人”キャラクターであり、深みには欠ける。金の魔力や重力に負けるような弱さのある男でもなく、ただのお人よしがゲッコーにいいように騙されただけ。得意技も『風説の流布』だけであり、あれが何度も通用してしまうのは芸がない。ただ、ゲッコーにもブレトンにも格が劣るようなイメージだが、彼のお人よしの良心がゲッコーを変えたとも捉えることはできる。もっともウィニーが好きになる人なので、野心溢れる普通の証券マンではおかしいだろう。前作のようなゲッコーとバドとの関係を同じように描いても、ストーン監督は意味はないと考えたのかもしれない。 前作では「金のためには母親までをも売り飛ばす」と罵られたゲッコーだったが、金のためにリアルに娘を裏切る辺りはゲッコーらしさがよく出ている。握手を求めても怪訝そうにされたり、娘からは「あなたの名前に昔のような価値はないわ」と言われる状況から、業界を仕切る口笛じじいに頼られるまで、見事なまでのカムバックを果たしている。ただ、カムバックを果たしてもどこか満たされない想い、崩壊してしまった家族や失ってしまった息子を、娘夫婦や孫というカタチで再建できるという想いが彼を変えたのだろう。何度も失望させられた父親や、自分に嘘を付いたジェイコブをあっけなく許すウィニーの心情は理解しにくいが、娘から母親になるというチェンジが彼女を変えたと解釈できなくもない。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-28 00:18:52)(良:1票)
450.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
イーストウッド監督作品を観ていると、たまに何が言いたいのかよく感じ取れないことがある。「チェンジリング」「グラン・トリノ」といった分かりやすい作品が続いていたので、もはや問題はないと思っていたが、今回は正直言ってよく感じ取れなかった。悪い作品ではないと思うが、良い作品とも思えない。再見すると徐々に彼が言いたい事が伝わってくるので、本作も何度か観れば分かるようになるとは思うが、全体的にぼんやりとしすぎたというか、重みに欠けたような印象。イーストウッドは、派手な演出を好まないだろうし、ドラマティックな展開を盛り上げることもないだろう。これが彼の持ち味だと思うので、感じ取れる人が分かればよいかもしれない。 ①事故死した双子の兄を忘れられない弟、②死者の声を聞くことができる孤独な労働者、③臨死体験をしたことが忘れられないニュースキャスターという三者が本作のメインキャストとなっている。普通の映画ならば、きちんと“死”に向き合い、前向きに生きようとすることを決意する①の姿勢が描かれると思われる。もちろん、本作もそのようなものが描かれているが、あまり心に響いてこなかった。子役が感情を爆発させるわけではなく、子役が無口過ぎたか。彼が苦しみや悲しみを吐露し、兄ときちんとお別れすれば、単純に泣ける映画になっただろうが、イーストウッドはもちろんそのようなことはしなかった。 死者と会話をすることができるが、現実社会では上手く生きることができない労働者がようやく分かり合えるパートナーを見つけることができるということも本作の大事なポイントとなっているが、②と③の出会いが唐突すぎるような印象を受ける。もしディケンズが好きでなかったら、もしあの朗読者のことを好きでなかったら、もし少年を助けなかったら、もし手紙を書かなかったら、という運命の糸のようなものが絡まっている面白さはあるものの、この辺りもイーストウッドらしく淡々とした仕上りとなっている彼らの出会いにより、何かキセキのようなことが起きるというドラマティックな展開ではない気がする。もっとも各キャラクターが抱える悩みというものが、現在の自分とはかけ離れているので、上手く感じ取ることができないのだろう。また、自分が精神的に若すぎて、イーストウッド作品を理解できるレベルに達していないので、もうちょっと後にもう一回観た方がいいのかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-21 23:58:13)
451.  ウッドストックがやってくる! 《ネタバレ》 
1969年という“時代”の雰囲気をなんとか再現しようと頑張っていることは評価したいところ。 あの頃のアメリカの“自由さ”というものが伝わってくる。 現代においては、何事においても便利な世界にはなったが、何か大切なものを失ってしまったような気がしてならない。 自由を謳歌する精神や、熱狂するようなクレイジーさや、人と人との繋がりというものが失われてしまったのではないか。 法律や規律を守ることはもちろん大事なことだが、悪い意味で行儀良くなってしまったのかもしれない。 主人公の父親もラストで語っていたが、生きているのか死んでいるのか分からないような状態が、現代のような気がする。 ドラッグやフリーセックスが正解とも言えないが、生きているという実感が現代に欠けているような気がしてならない。 映画としては、興味深いイベントが描かれているため、集中して鑑賞できるが、手放しで絶賛するほどの面白さはないと思われる。 多数のユニークなキャラクターが登場しているが、どのキャラクターも活かし切れていないという印象であり、中途半端に映る。 登場してきて会話して終わりか、登場してきて騒いで終わりのパターン。 サブキャラクターは登場するだけでよく、核となる主人公の成長ストーリーと捉えることもできるが、それも曖昧な仕上りとなっている。 ウッドストックフェスティバルを経験することにより、人間的に成長して、地元や親元を離れて旅に出るという流れが、心に訴えてくるほどのデキではなかった。 母親との関係や、ユダヤ人やゲイについても踏み込めていないか。 イベントの描き方としても、祭りの後に残る疲労感やゴミの山というものはきちんと描かれているが、イベントの苦労や障害も簡単に描かれており、バタバタしている間に、なんとなくイベントが始まり、なんとなくイベントが終わったという印象も残る。 実際にその通りだったのかもしれない、また主題から離れているのであえてカットしているのかもしれないが、この点についても物足りない。 また、当時の映像を使えなかったのか、使いたくなかったのか分からないが、肝心のミュージックシーンもないというのもやや拍子抜けか。 1曲くらいはきちんと聴きたかったところだ。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-14 23:20:18)
452.  アンストッパブル 《ネタバレ》 
緊張感・緊迫感に溢れたスリリングな仕上りとなっており、だいたいの顛末を知っている自分でもかなり楽しむことはできた。 実際の事故を基にしたストーリーであるため、このような映画の製作は難しいものだ。 思いっきり脚色すると、関係者や専門家から文句を付けられてしまう。 娘の誕生日、妻との不仲、コネ入社といった飾り程度の最低限の設定はあるが、だいたいのことは無視して、暴走する列車を“メイン”に仕立てた戦略はある程度の成功といえるだろう。 このような脚本があってないような映画は、監督の技量が問われるものであり、映像の技術屋・トニー・スコットだからこそ、この映画は成立できたようなものだ。 映画開始10秒ほどでぐにゃぐにゃとした画面にトニー・スコットの映画が始まったと感じさせており、彼の世界に飛び込むことができる。 また、列車に乗っているデンゼルの顔を撮るショットを中心として、画面が左から右へと急速に流れていることが繰り返されており、それが列車の動きと合っている。 カメラの動きが象徴的となっている作品であり、トニー・スコットの技術と映画の中で描かれる出来事と上手くマッチしているように感じられた。 面白い映画だとは思うが、ラストのオチがややショボ過ぎやしないかと個人的には感じられた。 クルマから飛び移って停められるぐらいならば、それほど苦労は要らないように思える。 列車を後部に連結させてスピードがかなり落ち切ったところで、飛び乗るのならば、少しは分かる話ではあるが、再び時速100キロ近くまでスピードが上がったような描写もあったと思う。 実話をベースにしているので、メチャクチャなミラクルを描くことを避けたのかもしれないが、もうちょっとドラマティックな展開の方がより楽しめたように思える。 ただ、確かに「あのシンプルさがかえって良い」というようにも感じられるので、難しいところではあるが、もう一工夫欲しかったところ。 オチをシンプルにするのならば、二人の鉄道屋をもうちょっと“熱め”に描いてもよかったかもしれない。 利益主義の上層部や司令室の混乱を描くと問題が生じそうなので、その辺りには触れずに、彼らの熱い魂をもっと感じたかった。 一方(人間ドラマ)を描けば、他方(列車の凶暴化)が疎かになるので、二兎を追うことなく、確実に一兎(列車の凶暴化)を追ったということだろうか。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-11 23:30:46)
453.  舞妓Haaaan!!! 《ネタバレ》 
「どうせくだらないんだろう」と全く期待はしていなかったが、くだらなさを超越しており、意外と面白かったという印象。クドカンの妄想が自由自在に暴れまくり、サダヲがその自由さの流れに上手く乗り切っている。 二人の自由さが相乗効果を生んだといえる作品だ。 サダヲ以外では、これほど面白い作品にはならなかっただろう。 もちろん、完璧な仕上りではないが、それほど完璧に作り込む必要もないだろう。 ちょっと恥ずかしくなるような“明らかに外している”ミュージカルシーンもその自由さを象徴しているといえる。 プラスという評価はしにくいところだが、このような無謀な冒険も評価したいところ。 再登場しようとするダンサー陣に対して、「もういいよ」と帰すところも効果的に上手く利用している。 ただ、相変わらずというほどクドカン作品を鑑賞しているわけではないが、相変わらず、ラストの展開やオチの付け方が性急というか粗いというかなんというか・・・。 途中まで異常なハイテンションでふっとばすところまでは面白いが、オチをそれほど用意していないのだろうか、訳の分からないもの(踊り)でゴマカすしかない。 また、ラストでオチを付けるために強引に方向転換を図らなくてはいけないが、その流れや処理がそれほど上手くはできていない。 しかし、観客に「なんやそれ?」と思わせたいという製作者の趣旨や狙いも感じられるので、面倒くさいのでゴマカすというよりも、計算されたゴマカしと言えるかもしれない。 それほどウマさは感じないが、本作に限っては、あの処理でも仕方がないところはあるかもしれない。 感動的なオチや驚くようなオチを付けなくてはいけない作品ではないので、このオチの付け方にケチを付けるのは野暮というところか。 クドカン流の粋な“遊び”というのはこういうことをいうのかもしれない。 気になったのは、駒子の顔のバッテンの件。 駒子は舞妓を辞めたくて、顔にバッテンを付けた様な気がしたが、舞妓を辞めるというよりも、逆に舞妓以外では生きられないようになった気がする。 重要なエピソードの割には、あまりしっくりとは来るデキには仕上がっていない。 内藤と駒子の関係、駒子と鬼塚の関係を物語る上では、活きてくるネタというわけではない。 内藤と駒子の関係を強化して、駒子と鬼塚の関係が最終的には深まらないような仕上りになるようなネタにして欲しかったところ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-28 23:37:26)
454.  砂の器 《ネタバレ》 
鑑賞後に「なぜ和賀は殺人を犯さなくてはいけなかったのか」が腑に落ちなかった。しかし、よくよく考えてみると、和賀の気持ちを推し量ることは相当に難しいのではないかという結論に至った。 過去に対して抗う男の人生の苦闘・苦悩というものは当人ではないと分からないものだ。 劇中でもセリフがあったが、過去を知る男の存在を消したいといった単純な理由ではないだろう。 他人に成りすます、父親に会いたくてもどうしても会えない、そういった長年の苦闘・苦悩の蓄積のようなものがああいう形で爆発してしまったのではないか。 また、和賀の過去を知る男だからこそ、苦闘・苦悩をぶつけることができたのかもしれない。 さらに、父子を会わせようとする事は確かに親切心かもしれないが、当人たちにとっては願っても願ってもどうしてもできないことだったのかもしれない。 それを三木が強制しようとしたために、このような悲劇に繋がったのだろうか。 父親が自分の息子の姿を見ても「こんな人知らない」と答えたことからも、父子の気持ちを知っているのはやはり父子だけだと感じた。 自分が腑に落ちないと感じるのは当然といえるかもしれない。 ただ、これほど重い想いを抱えているとしたら、加藤剛の演技はやや軽い気がする。 全体的に重厚感のある作品には仕上がっているが、多少軽さが目立つような気もする。 あまり重苦しいと商業的に影響が出るのかもしれないが、もう少し重苦しくしてもよかったかもしれない。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-28 23:28:58)
455.  スミス都へ行く 《ネタバレ》 
熱い映画なのかもしれないが、その“熱さ”が現代から見るとやや理想的過ぎるところがある。途中までは「今の政治家に見せたい」と思っていたが、日本の政治家に見せても政治が変わるような効果はないだろう。逆に、気に入らない法案は徹底的に妨害して潰すというような間違った方向に進みかねないので、日本の政治のためには見せない方がよいかもしれない。個人的には、民主主義の理想、言論の自由、政治による正義などはもはや存在しないと諦めているので、本作のような“理想”とのギャップを感じて、楽しめないところがあった。 政治について語ることは非常に難しいが、現代の政治は利害が絡み合っており、それほど単純でもなく、簡単に物事を変えることはできない。政治は腐敗しているというよりも、何かをしようとすると必ずそれに反対する者がいるので、前には進みにくい世の中になっているのが現実だ。 また、アメリカのように個人で活動できる政治スタイルもあるが、日本のような政党政治では個人の政治家の出番が非常に少なく、郵政民営化の際のように自身の考えに反していても党の方針に従わざるを得ないところがあるので、スミスのような政治家は誕生しにくいところもある。党に反すれば、党からの処分を受けて、政治生命を絶たれてしまうだけだ。 さらに、一部の法律を除き、実際に法律を起案しているのは官僚であり、政治家ではない。立法府は官僚が作った法律を認めるかどうかという機関でしかないので、政治家は主役になりにくい状況となっている。政治家自身も法律を提出することはできるが、サンダースの説明のように基本的には議会では相手にされない。 本作においては、テイラーという有力者の個人的利益(土地売買)に繋げるために法律が提出されているが、基本的に政治家は自身の選挙区の利益になる活動をするものであるのであり、ダム建設が選出州の利益に合致し必要不可欠なものであるならば、ペインの活動もそれほど違和感のある行為でもない。違法な妨害をすることは問題だが、巧みな弁舌で相手を黙らせるのは政治家の仕事だ。 このような現実を踏まえると、本作のような熱い理想を受け入れにくいところがある。スミスの行動よりも、むしろ議長が民主主義や中立性を重んじていることが非常に印象的ではあった。ルールに則った反則的な行為に対しても、きちんと向き合う姿勢というものは忘れてはいけないかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2010-12-28 23:24:52)
456.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
テイストはそれほど嫌いではなかった。 女性向け作品と思われるだけに、さすがに大ハマりというテイストではないが、落ち着いた穏やかな時間を堪能できた。 ストーリーはほとんど存在せず、何かに傷ついた人々が、ただコーヒーを飲んだり、おにぎりを食べたりする程度のものである。 その程度でも、それほど飽きることないということは、女優陣の自然体な演技力、監督の技量が高いということだろう。 フィンランドという国が持つ魅力もあるが、ナチュラルな空気感は見事だ。 本作においてはそれほどリアリティを気にする必要はないのではないかと思う。 「どうやって生活しているのか」「就労ビザはあるのか」「日々の余った食材を捨てているのか」などのつまらないことを気にすると面白みを減るので、あまり考えない方がよい。 汚いところも、きついところも、言い争いも全く描かず、「自分らしくしていれば、そのうち上手くいく」という妄想や理想に近いところがあるが、“映画”というものは現実逃避の手段でもある。 厳しく忙しく、常に何かに追われる日常生活を一瞬でも忘れることができる手段として、本作には存在価値がある。 「やりたくないことはやらない」、そのような理想が通じる世の中が良いのか悪いのかは分からないが、こういう作品もたまにはいいものだ。
[DVD(邦画)] 6点(2010-12-28 23:18:32)
457.  ザ・ロード(2009) 《ネタバレ》 
文明崩壊後に、親子が二人で南を目指して彷徨うだけの映画。 悪人から逃れるために隠れて、食べ物や物資を探し求めるだけで目立ったストーリーがないだけに、好き嫌いが分かれそうな作品に仕上がっている。 素晴らしい作品とは思うが、正直言って自分の好みの作品ではなかった。 ただ、本作に描かれているメッセージは深い。 生き残るために他人を襲い、あるいは人間ですら食べるということが当たり前の世界の中で、善という“心の火”を灯し続け、その精神を息子に叩き込もうとする父親の姿が心を打つ。 文明が崩壊して秩序が崩壊して混乱した世界になっても、人々が“心の火”を灯すことで秩序が回復できるのではないかと、かすかな“希望”が感じさせる。 唯一の“希望”が自分達を撃つための銃弾という設定も泣かせる。 平和だった日常生活が随所に回想として挿入されているが、何でもないようなことが実は幸せだったと思わせる。 ラスト間際の父親の幸せそうな夢を見たときに、「悪夢を見る者は生きる希望を失っていないから」という言葉を思い出して、彼の死期を悟ることができるようになっている。 本作中においては、文明が崩壊した理由も明らかもされず、最後に楽園に辿り着くわけでもない。 そういった映画らしい展開を無視する辺りも本作の個性ともいえる。 むしろ、そういったお約束を描かない方が本作にはプラスといえるだろう。 “心の火”を灯した親の子ども達が出会うことが、自分には希望と感じられた。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-28 23:16:56)(良:1票)
458.  シュレック フォーエバー 《ネタバレ》 
3D字幕版を鑑賞。 ラストなので、たまには吹替え版を見てみようかとも思ったが、やっぱり最後まで全部字幕版で統一することとした。 キレがあるアメリカ声優の方が自分には馴染んでいる。 比較はできないが、喋っている人の顔が頭に浮かばない方がいいかもしれない。 それほど高い評価にはしていないが、最終作としては悪くはない締め方をしたように感じられた。 何かを失って、初めて気付く大切な存在。 愛する人、相手をするのは大変な愛する子ども達、賑やかで騒々しい友達。 彼らと接することにより、何かを失うのかもしれないが、かけがえのない何かを得るということだろうか。 それは平凡でつまらないことなのかもしれないが、大人になるということはこういうことなのかもしれない。 周囲に対して壁を作り、人々から怖れられる“怪物”だったシュレックが、いつの間にか人々から愛される“家族のような存在”になっていったというのも、よくよく考えると面白い。 救われたのはフィオナではなくて、シュレックの方だったという言葉は観た者の心に刻まれるのではないか。 今回のリアルな世界にはアドベンチャーも何もなかったが、潔く清々しい幕切れとなった。 ドンキーももう一つの世界で家族を持てることを非常に喜んでいたのも印象に残っている。 また、シュレック、フィオナ、ドンキー、長靴ネコという個性的な各キャラクターが長年のシリーズを通して、一種のファミリーとして形成されたことも、このようなテーマを語ることができた要因といえるだろう。 爆笑できるようなシーンはあまりないが、随所に挿入されるミュージックのチョイスも悪くはなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-27 22:50:28)(良:1票)
459.  [リミット] 《ネタバレ》 
「これは凄い」と唸らされるほど秀逸なアイディアに満ち溢れた作品ではないが、このシチュエーションだけで90分をもたせているのはやはり評価したいところ。 イラク、携帯電話、棺桶というキーワードだけで映画をきちんと製作している。 携帯での会話だけであり、映像こそないが、アメリカ政府、彼を雇っている企業、テロリスト、彼の家族や友人などの様子を色々と想像できるということも楽しいと感じさせる。 ただ、狭い空間のみの90分間だけでは、やや飽きてくるのも事実。 なんとか飽きさせないために、ヘビや指切りなどのアイディアを盛り込んでいるが、そのようなことよりも別のアイディアももうちょっと欲しかったところ。 個人的には、アメリカ政府及び利益優先主義の企業への強烈な皮肉が込められている点が非常に面白いと感じられた。 犯人に直接殺されるのではなくて、アメリカ政府の空爆の結果という点が非常に面白い。 犯人に対して身代金を払わずに見殺しにしたアメリカ政府に、間接的にも直接的にも殺されている。 電話でも散々たらい回しにされた挙句に、最終的には人違い、過去に救ったと語った者ですら救えていなかったということがアメリカ政府への皮肉以外の何物でもない。 空爆で殺したのではないかと思われた犯人ですら実は殺していない。 テロリストが彼の家族を脅迫することに違和感があったが、アメリカ人はイラクのことを全然分からないのに、テロリストはアメリカのことを知っているという解釈もできそうだ。 また、何らかの仕掛けが本作で語られていたかもしれないが、会社があの携帯に電話を掛けてくるところが良いアイディアだと思った。 個人的な解釈(思い込み)ではあるが、アメリカ政府、CIA、FBIがクローン電話などの理由により、電話番号を特定できなかったのに、企業が利益を優先するだけのためにあらゆる手段を使ってあの携帯電話番号を入手したとすれば、強烈な皮肉になっている。 彼を助けるために奔走するのではなくて、企業には一切の責任がないということを確認するだけのものであれば、皮肉以外の何物でもないだろう。 エンディングの明るい調子の音楽ももちろんバッドエンディングに対する皮肉ではないだろうか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-25 23:32:43)
460.  クロッシング(2009) 《ネタバレ》 
撮影方法に関しては凝っているようであり、それを注視していれば楽しめるかもしれない。 高架線を走る鉄道を映しながら、徐々に視点が下へと下がっていくシーンを観るだけでも面白い。 長回しや鏡といったアイテムを利用したり、静から動への移行など、緊張感・緊迫感が高まるようになっている。 アントワン・フークアらしい本格志向のリアルな作品には仕上がっていると思われる。 主演の3人の演技も素晴らしく、フークアのイメージ通りのリアルな演技を繰り広げている。 イーサン・ホークのかなり切羽詰った演技、リチャード・ギアのかなり情けない演技、ドン・チードルのかなり苛立っている演技、それぞれの演技は観客に対して訴えてくるものがあるだろう。 しかし、本作が言わんとしていることに関しては、自分には難しすぎたのかもしれない。 ストーリー自体には難解さは存在しないが、結局のところ何を言いたいのかがよく分からなかった。 家族を守るため、人生を取り返すために必死になった男たちは悲惨な末路を辿り、人生に絶望し諦めた男は何も望みどおりにならないというような“人生の無常”を説いたようなものかもしれないが、初見ではピンとは来ない流れ。 人生が思い通りにならない男たちがもがいて、あがいて、苦しんでも、人生は変わらないということだろうか。 「チャイナタウン」のような仕上りをアントワン・フークアは求めたのだろうか。 「犯人は誰か」「事件の顛末は何か」「出会うはずのない3人が出会うときに何かが起きる」といったような単純なハリウッド映画とは異なる仕上りとはいえ、もう少しだけ心に訴えてくる分かりやすいものが欲しかったところ。 冒頭の会話に「より善か、より悪か」「間違えた方法で正しいことをする」といったヒントが隠されていたが、これらのキーワード通りに進んだようにも思えない。 「トレーニングデイ」や「ティアーズ・オブ・ザ・サン」を見る限りでは、アントワン・フークアらしい結末ともいえるが、上手く“オチ”ていない気がした。 リチャード・ギアが呆然としながら歩んでいくラストは悪くはないが、あのシーンの意味を深く噛み締められる者は少ないのではないか。 “傑作”になり得る素材ではあるが、微妙に何かが噛み合わなかったか。 ただ、高い仕上がりになっているので、再見すれば評価は変わるかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-24 23:36:15)
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