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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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441.  ストライキ 《ネタバレ》 
ソ連の血みどろの粛清を克明に描く「ストライキ」。 国の革命がもたらした何千何万という流血。 国の政策の犠牲になるのは、いつも下を支える民衆だ。 その一部始終がこの映画に詰まっている。  工場で重労働を課せられる労働者の苦しみ、その波は民衆に波及し、やがて工場は停止する。  我武者羅に働いてきた男たちは、いままでないがしろにしていた家庭の大切さを思い出す。  ある者は家で過ごし、ある者は演説をして民衆を刺激する。  それに手を焼く国の重役たち。 ストライキの鎮圧は軍隊に任せ、自分たちは高みの見物だ。 のんきに酒を酌み交わし、下の気持ちなんざほとんど省みない。  そこに酒を運ぶ召使い。 彼もまた民衆の一部だ。 苦々しい笑みで現状を嘲笑う。 そして人がいなくなれば、彼らは残ったご馳走を食べ尽くす。 ここまで人の上下の差を描いていく。  働き手がいなくなった工場を、一匹の猫が通り過ぎていく。 その生々しさが凄い。  動かなくなった工場はその働き手の首すら締めていく。 働かなくなり金が底をつき、家のシーツや古着を売り金に変える事にも限界が来る。 工場を動かさなければ、働き手も食い詰めるのだ。 政府はそれを待てば良いのだから。  労働者たちは、家族を食わせるために再び工場へと戻っていく。  だが、突然の不幸が襲う。 浮浪者たちがストライキに同調し、何と工場を焼いてしまったのだ。 何という皮肉。  ストライキの面々が反乱したのだと、軍隊は人々に銃を向ける。  男、女、老人、赤子まで、尽く殺していく。  後には大量の死体と血の川だけが残る・・・。  その強烈極まりない映像!
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-07 14:22:13)
442.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
ティム・バートンの「バットマン」も面白かったが、ノーランのこの傑作はさらに進化を遂げた傑作だ。 この映画の良いところは、とにかく単純明快である事。物語はシンプルであればあるほど面白い。 正義を自称するバットマンは必ずしも光にはならず、かといって悪の限りを尽くすジョーカーが必ずしも闇にはならない。ぶっちゃけ闇vs闇、または光である筈の警察まで闇の部分を見せる光と闇のカオス。 ファーストシーンのピエロのマスクを被った強盗団。“ジョーカー”という見えない存在に操られ金を奪い、人を殺し、遂には仲間内で金を奪い合う様子はスタンリー・キューブリックの「現金に体を張れ」を思い出す。 本作最大のボスキャラでもある“ジョーカー”の登場の仕方が実に粋だったぜ。 法廷に銃を容易に持ち込ませる=既に裏切り者が混じっている。まるでマフィア映画だ。 自らを“SCARFACE(疵男)”と名乗るジョーカー。ジョーカーの公開殺人にはビビッた。 ジャック・ニコルソンも凄かったが、ヒース・レジャーの全身全霊を賭けた演技は絶賛するしかない。 それにしたってゴードン局長が主人公すぎる。 ウェインとアルフレドの会話が気になる。「共犯?僕は君が黒幕だと言うつもりだよ」 あの秘書め、ヒッチコックみたいな格好しやがって(アルフレッド・ヒッチコック)…「ライジング」は本当にアルフレドが黒幕なんじゃあないかと思っている。だってコイツ何処にいたわけ? ジョーカーの尋問シーンは、有利に進めていた筈のバットマン側を絶望に叩き落す強烈な場面。尋問しているのか、それとも尋問されているのか。迫られる選択。 つうか捕まえた奴は胃の中まで精密検査しとけよjk・・・。 引き起こされる悲劇、だが物語はココで終わらない。クライマックスの二段構え。 またも迫られる選択、囚人がイケメンすぎる。 うーむ、何だか最終的な“敵”はジョーカーではなく“焚き付けられ犯罪に奔ってしまう人間総て”だったのかも知れん。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-07 14:22:01)
443.  処女の泉 《ネタバレ》 
エグい。ベルイマン作品で一番エグい部類に入る作品だ。 中盤の“例のアレ”は「沈黙」並にエグい。神にいくら祈っても何もしちゃくれねーよ。神がこの世で一番頼りにならない!!神を心の支えにして生きる事が人間の強みであり弱みだろう。 マックス・フォン・シドウが“標的”を前にナイフを突き立て、まるで死刑執行人のようにイスに座り待つ。この場面がスゲー怖いのよ。シドウがナイフで“死刑執行”していく場面は黒澤明の「羅生門」で見た独特の殺陣や戦闘を思い出す。 ラストの少女から湧き出る泉は何を物語んだろうね。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-07 14:21:02)
444.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
これぞ、役者がそこにいるだけで絵になる魂が躍るような映画だ。  加藤泰の、そして俳優としての伊丹十三の「偽大学生」「家族ゲーム」「草迷宮」に並ぶ最高傑作。  戦後の闇市における日本人と朝鮮人の対立を正面から描いた極太の作品。  左頬に刻まれた疵。安藤昇の存在感は黙っていても映える。 一方の伊丹も言葉という極太の“刃”を持って社会に切り込もうとしている。  静と動の鮮やかな対比、そして「何故みんなは黙っていられるだ。誰も動かんなら、俺がやってやらあっ」とタブーにズカズカ踏み込む勇気と危うさ。  それは映画を愛するが故に「誰も撮らんなら、俺が撮ってやらあ」と数々の傑作や問題作を残して謎の死を遂げた十三の未来を暗示するようでゾッとしてしまう。  劇中では戦場の辛い記憶や戦後の混乱、愛する女のための行動などが彼を死に急がせる。 クライマックスにおける怒涛の展開も彼の生き様を物語るようだ。  父親の伊丹万作も、その友人の山中貞雄も志半ばで早逝してしまった。 天は何故素晴らしい人間から命を奪っていくのだろう。 これが神の仕業とでもいうなら、神なんてクソ喰らえだ。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-06 18:48:04)
445.  不良少年(1961) 《ネタバレ》 
戦後の動静を一人の少年から見つめた、青春映画の珠玉の一篇。  海外でも寺山修司と共同監督した「初恋・地獄篇」で知られる羽仁進。   出演者は全員素人で、ドキュメンタリーの形を成したフィクション。 フィクションとはいえ、一人の少年が“不良”として少年院に入れられ出所するまでの時間は今この場で起きているようなリアリティに溢れる。  リアリティがあるが、少年への感情の移入は無い。 あくまでドキュメンタリーとして淡々に少年を追うのだ。 けれども、時間が経るにつれて優しく精気を取り戻していく少年の顔。恐喝や“可愛がり”、人々との触れ合いをを通じて変わる者、変わらずに再び犯罪の世界の行ってしまうもの。 少年院は彼らの通過点でしかない。  この物語は、そんな通過点で心が変化していく人間を丁寧に描いた作品のようだ。
[映画館(邦画)] 9点(2015-01-06 18:47:36)
446.  劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス 《ネタバレ》 
ポケモンの死が明確に描かれた作品の一つ。 同時に男女のキスが明確に描写された作品でもある。アレは“どっち”だったのかな。 サトシにとっても初恋?だったんじゃないかな。ポケモンの兄妹も人間の姉妹も、お転婆で悪い事もするけど家族思い。カスミはラティアスとラティオスの二人を見て姉たちを思いだしただろうか。悪役が憎めないのはミュウツーの人間への憎悪とはまた違う感じ。ミュウツーも愛ゆえに人を憎んでしまったからねえ。コッチも妹や姉のために戦ったところがあったし。「エンティ」に出て来たひとりっ子とは大違い。  ヴェネチアを意識した水の都における水上レースはハラハラドキドキで面白い。
[地上波(邦画)] 9点(2015-01-06 18:38:00)
447.  劇場版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ミュウと波導の勇者ルカリオ 《ネタバレ》 
映画にミュウが再登場する珍しい展開。 過去から人物やポケモンが出てくるのは「セレビィ」やちょっと違うけど「ジラーチ(100年周期)」以来。 伝説クラスのポケモンが3匹も出てくる展開は「ルギア」を思い出す。  ルカリオが段々心を開いてサトシと打ち解けていく過程は中々。 アーロンの真意が明かされる展開も王道ながら良い。はじまりの樹での冒険、波導まで宿していたサトシはもう完璧タイプ:ワイルドのポケモンです。  キッド・サマーズはクールでカッコイイ。
[地上波(邦画)] 9点(2015-01-06 18:36:39)
448.  DEATH NOTE デスノート the Last name 《ネタバレ》 
ま、アレですよ。  原作の終わり方に納得できなかった俺は、断然コッチ派。 いやね、二部も捨て難いと思うのよ。ハル・リドナーのお●ぱいとかおっ●いとかおっぱ(ry  原作のシャワー中に銃つき付けられても余裕なハルが素敵やないですか)何の話だ)。  中坊の頃は良かった・・・この映画のおかげで漫画もアニメも見た感じ。  ちょっとボサボサ頭のキラがカッコイイと思ったし、 Lの冷静沈着な性格だけど甘党というギャップも好きだった。 「天国に一番近い男」で“龍崎”になっていたワタリさんとかとにかく色々。  原作に佐波さんが出なくてちょっぴり残念だったりするんだぜ。  まさか「ガメラ」の監督とは知らなかったよ。通りで面白いワケだ。  何より、Lがキラを騙す展開がカッコイイ。  どうせ差別化するならおもいっきり、しかも面白くしてくれて良かったと思う。  総一郎とLの“最後”の会話は何度見ても切ない。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-06 18:35:01)
449.  ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 
今となっては「オール・ユー・ニード・イズ・キル」がダグ・リーマンの最高傑作だと思うし、「ボーン」シリーズも「アルティメイタム」が頂点だがこの作品もかなり好き。  スリルとサスペンスに満ちた久々のスパイ・アクション映画。  子供の頃はモチロンこの映画を見たのだが、再見するまで内容をまったく覚えていなかった。 取り敢えず男が記憶失って暴れて逃げてリコールして・・・それ「トータル・リコール」じゃねえか。  そして再見してみた。 スゲー面白かった。 つうかこんな面白い映画を忘却していた俺の記憶力ふざけんじゃねえよ!  記憶=アイデンティティー(存在意義)を求めてひたすら彷徨うジェイソン・ボーン。  記憶は失っても体は「戦い」を覚えている。「体の記憶」と闘争本能が結びついていく様子が面白い。  次から次に謎と伏線がバラまかれる展開。 多彩な戦闘やド迫力のカーチェイスよりもそっちの方が気になってしまう。でも「スプレマシー」はカーチェイスの方が凄かったと思う。  謎を残したまま終わるラストも良かった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:30:50)
450.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
「アルティメイタム」ほどじゃないが、この作品もカーチェイスとかが凄い。「アイデンティティー」に比べるとカメラの揺れ具合が増して酔いそう。俺はこういう演出が大嫌いなのだが、何故だが「ボーン」シリーズだと許してしまえる不思議。 しかし感想は「アルティメイタム」と比べるとテキトーな殴り書きになる私です。  ノンストップ・スパイ・アクション「ボーン」シリーズ。 「俺の友達だが知らないか?不幸に見舞われてな」これからオメーが不幸にすんだろーが。 「選択の余地はあるわ」→水没 ヒロインの「例のアレ」は最早お約束。 ボーンは結局死神なのか? 過去との決別、思い出は写真一枚の中に・・・捨てきれぬ愛情がボーンの強みであり弱み。  「彼を拘束しろ!」→瞬殺→首になりたくなかったら頑張んなさい。 ボーン速すぎバロス。 手ブレも慣れてくると「ブレでごまかしてんじゃねえよ!」→「CG無しの迫力パネー」となる(筈) ナイフvs冊子! 冊子は導火線でもあるんだぜ?アクションもカーチェイスもやっぱり凄い。 もう怖いもの無し。余裕で顔見せ。 パメラ「ぐぬぬ」 次は笑顔でピースとかしそうな勢いだ。  ボーンも必死だ。 ニッキー&パメラ「マリーって誰だよ!!?」  「おまえに安住の地は無い!」 だったらテメエらの安住の地も無くしてやらあ!逃げるが勝ちじゃあああっ! 殺し屋がポリ公? ボーン「同じような髪型しやがって・・・被る」 事故は起こる。恐ロシア。  ボーン「君は疲れている」  物語は「アルティメイタム」に続く・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-06 18:26:37)
451.  カメレオンマン 《ネタバレ》 
この作品は、ウディ・アレンが苦手という方、ウディ・アレンが好きだという全ての人に見て貰いたい傑作だ。 偽のドキュメンタリーという語り口から変な映画である。 白黒、1928年のパレードから映画は始まる。1920年代末期の当時を劇中に再現してみせ、ありとあらゆる職業を経て、カメレオンのように“紛れ込んで”しまうウディ・アレンの凄さ。 フィルムでは、あたかも劇中のアレンが実際に生きていたかのように人々が研究対象にし、新聞に載り、遂にはチャールズ・チャップリンやキャロル・ロンバート、マリオン・デイヴィス、ジェームズ・キャグニーにまで“会い”、当時の政治家と混ざり、スピーチまでしてしまうのだ。 何とヒトラーの横で熱いキスまで交わしてしまうアレン。 馬が“いななく”イオンはどうなってんだろう。 よく当時のカメラがあったもんだ。サイレントの早回しやトーキーの滑らかな映像の中を動き続ける。壁を登るシーンは苦労しただろうね。 劇中のアレンは“他人と同化してしまう”男であり、自分のアイデンティティーを求めて笑い、悩み抜く。様々な職業を試すアレンだが、中々自分自身を見出す事はできない。 人間は自分を貫く事よりも、他人と同じ行動を取る事に充足感を得ようとする。 良く言えば分相応、悪く言えば自我が無い。 仲間外れにされた時の恐怖、孤立した時の恐怖・・・人間は一人になる事を怖がる生き物でもある。先祖たちが孤立せず集団で助け合い自然と闘ってきたように、人間の潜在意識もまた仲間を求める。しかし、助け合う事と服従は違う。 服従して自分の言いたい事も言えない、やりたい事もやれないで何が人生だ!そんなつまらない人生なんて何も面白くないよと、この映画は笑いと共に教えてくれる。 医者のミア・フォローという心の支えを得て、同じ失敗を繰り返しながら、その果てに思いがけない“発見”をする。 「人間おかしくなれば何でもできる。大事なのは周りに合わせることでもなく、自分の欠点を無理に責めることでもなく、常に自分自身を主張することでもなく、欠点を含めた自分自身を受け入れること。そしてできれば自分を助けてくれる大切な人がそばにいてくれれば、こんな幸せなことはないだろう。笑った後に心がきれいになっている」
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:23:18)(良:1票)
452.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
岡本喜八の最高傑作を1つ挙げるとすれば何か。それは意見が別れると思うが、日本人として最高傑作を挙げるならやはりこの作品になるだろう。 映画は日本列島を映した地球儀、鳴り響く爆撃音と共に始まる。20分に及ぶ“プロローグ”が。ドキュメンタリー映画のような映像がしばらく続くが、短いショットと殴りつけるように放たれるセリフは一切の退屈を許してくれない。 空襲で焼かれる都市、焼け焦げた遺体の惨たらしさ。それを何度も見せられ“くどい”と感じる者もいるだろう。だが、実際にあの日を生きてきた日本人は、ああやって何度も地獄を見せられ“慣れてしまう”現実が存在していた。どんなに嫌でも、眼を背けられないような現実に耐えるしかなかった。 20分に及ぶプロローグが終わり、そこからが本番。 戦争を終わらせようと人々が動き始め、歯車が回り、映画としての面白さも動き出す。彼らが流す涙の中には、本当に懺悔している者もいるだろうし、敗北した事への悔しさ、これから日本が辿る未来を絶望視して泣いている者、様々な人間がいただろう。 「日本の国民を生かすも殺すも」ってやり取りが強烈だぜ。 本土決戦だの特攻だの頭のおかしいトチ狂った言葉を並び立て、一体コイツらは何人同じ日本人を“見殺し”にしているのか。まだ殺し足りないのか貴様ら。 この瞬間にも、母親が丹精込めて作ったであろう握り飯を美味そうに食べ、守る者のために出撃していく漢たちがいる。死を覚悟して。ああ、早く、早く降伏してくれ・・・そう思ってしまう。 様々な人々の主義主張やイデオロギーのぶつけあい、口舌の刃による斬り合い。 それが本当に刃を抜き放ち、銃を突き付けて殺し合うまでに発展してしまう。実際にこんな事があったのだから恐ろしい。 自転車をこいで行き来するシーンの何と狂気地味た事か。本当に何を言っているのか解らないわめき振り。 斬られた首はイスに隠されても、事件そのものは隠蔽しきれない。 官邸に一人残っていた女性の胆力に恐れ入る。或る意味、今回唯一クレジットのある女優・新珠美千代が一番強烈だったかも。 複数の玉音版による撹乱、放送室で軍人を睨みつける放送員の加山雄三、そして力尽き、自らに“ケジメ”を付ける軍人、軍人、軍人たちの散り様。 男たちは走った。走って、走って、走り尽くした。でも一体誰がために?何のために?そんな虚しさが、画面を包み込む。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-05 18:23:10)
453.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
一番最初の「仁義なき戦い」は音楽の使い方がギャグとしか思えなかったが、2作目、3作目以降は音楽の使い方も死に様も漢たちの血生臭いドラマもどれをとっても切れ味しかなかった。 特に本作はシリーズの駆け引きと虚しさを噛み締められる一篇だ。群像劇としての面白さもより磨きが掛かる。  最初のダイジェストで前がどんなかおさらい、世界の代理戦争は、当然日本のヤクザ社会でも例外ではない。 今回の菅原文太の兄貴が味わう虚しさは、シリーズ随一。 小林旭の知性派というかインテリ的なキャラも喰えない野郎だ。 この世界、暴力だけじゃ食っていけないからねえ。 白昼堂々暗殺を仕掛けるヤクザの鉄砲弾ども、 相変わらず憎めない山村のおやっさん、 木刀から日本刀までブンブンうなる、 ビール瓶でも渇入れて~、 ちょっと可愛そうになってくるレスラーのおっさーん、 成り行きでヤクザになっちゃった倉元と母ちゃんのタバコの件が忘れられへん、 自重する気皆無な山守、 発炎筒もいきなりの強襲もビックリする時はビックリする人間臭いヤクザたち、 文太の兄貴だけ闘る気満々で空回り、 利用される女達の哀しみ、 停電の会合場面は妙に心に残る 、血で血を争うぐちゃぐちゃの殺し合い・・・。   クライマックスは何度見ても強烈だ。 文字通り粉微塵になってまで“殺され”続ける残酷さ。殺し屋たちも、時と場所は選べない。 砕け散った一片を、文太の兄貴が握り締め、打ち震えるシーン・・・!  原爆ドームが、戦後も広島を中心に繰り広げられる殺し合いを無言で嘆くかのように、物語を締めくくる。
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-05 18:18:08)
454.  赤い河 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」がガンファイトなら、「赤い河」は人間ドラマの傑作。  牛、牛、牛。 見渡す限りの牛の大河。  西部劇というよりは、西部開拓時代に生きた人間たちの生き様を色濃く描ききった歴史ドラマ。 カウボーイは何故銃を持って戦ったのか?それは牧場を武装した他者から守るため。  アメリカに渡った開拓者たちは、そこに元々居住していたインディアンを押し流すように町や農場を作った。  生き残ったインディアンたちは当然報復してくる。  こちらも武装しなければ殺される・・・家族を守るため、新大陸で生き残るためカウボーイは誕生した。  開拓者たちは「侵略者」である前に「移住者」でしかなかった。  ヨーロッパで絶望し、夢と希望を抱いて命懸けでアメリカに渡ってきた。  弱肉強食の大自然・・・殺るか殺られるかの厳しき世界に。    8分目におけるコマンチの夜襲、牛の大群を追い立てるカウボーイたちの迫力、思わぬ仲間割れなど見所も豊富。  後半の山場であるコマンチに包囲された馬車隊の救出劇!   ダメなオッサンすぎて逆にカッコいいジョン・ウェイン、後半の主人公モンゴメリー・クリフトの男気、ウェインとは「リオ・ブラボー」でも名コンビだったウォルター・ブレナン爺さん、ジョアン・ミレーがエロイ等々登場人物も魅力的。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:15:46)(良:2票)
455.  イップ・マン 序章 《ネタバレ》 
キン・フー、ジャッキー・チェンと数々のカンフー映画の傑作群に武術指導をしてきたサモハン・キンポー。  ウィルソン・イップやドニー・イェンたちと組んだこの「イップ・マン」は、カンフー映画の最高傑作として長く語られ続ける事だろう。ブルース・リーも師事した伝説の拳法家・葉問(イップ・マン)の名と共に。  原点にして頂点、それが葉問だ。  戦争や権力者の圧力に屈しない武術を綿々と受け継いできた中国。 カンフー映画の肉が裂ける、骨が砕ける音、汗の匂いも同時に。  木人形を使った鍛錬から始まるファースト・シーン。 美味そうに飯を食べる葉問は、無用な争いは避ける男だ。 手合わせで技は教えても、殺してしまっては教えるものも教えられないし成長もできない。  だが、いざとなればリボルバーからシリンダーだけ外す事も、道場破りにきた野党をホウキでブチのめす事も朝飯前。 ホウキ買おうかな・・・。 頼まれれば武術指導も快く引き受ける。 「良い拳法は老若男女を問わない」 どんな敵でも怖くなんざねえ、仲間に手を出すやつぁ許さねえ、怖いのは嫁さんだけだ! 奥さん「物を壊さないで!(意訳:あとは勝手にしやがれ)」  殴り合いから斬り合いまでやるカム・サンチャウが良いキャラすぎて微笑ましい。殺しはやらないこだわりも憎めない悪党だ。 どちらにも付かず第三勢力として度々葉問たちに絡むのが面白い。  どんなに家が無くなろうが、食に困ろうとも、鍛錬を続ける拳と魂が腐る事はない。それが葉問。 戦争の無力感に苛まれようとも、彼は耐えて耐えて耐え、殴って殴って殴りまくる。  誇りを捨ててまで家族のため拳を振るうリュウ師匠もカッコイイ。彼も魂までは腐っちゃいない。  プライドまで捨てた武術家を侮辱する事は許さない。葉問の撃拳連打が十人の空手家をブッ倒すシーンはスゲエぜ。 どんな傷を負おうとも、その志は人々の中に生き続ける。  斉藤閣下も太っ腹です!形はどうあれ正々堂々と立ち会った閣下は偉い。  だが三浦のクソ野郎と階段で顔面砕かれた男はザマあかんかん。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:15:36)
456.  火の馬 《ネタバレ》 
短編「ピロスマニのアラベスク」といった作品が強烈な印象を残すパラジャーノフだが、パラジャーノフの最高傑作を1つあげるとなるとやはりこの作品になるだろう。 「ざくろの色」に比べるとややインパクトに欠けるかも知れないが、この作品は二人の男女の悲しき運命の果てを強烈なビジュアルで綴る映画だ。 劇中で度々画面をよぎる火の馬は、流される血のように紅く燃えている。 冒頭の雪が降り積もった森で、少女のようにあどけない男の子の顔が映される。 その幼い子供の父親に、無残にも倒木が襲い掛かる。木が上から倒れてくるカットが強烈。 死者の魂を高らかに送り出す奏者たちの音楽。死者を奉る場で新たな死者が出てしまう悲劇。 ウクライナのカルパチア山地、二つの氏族は何世代にも渡り争いが耐えなかった。子供たちも今は良き友人であったり愛し合っているが、大人になればやがて殺しあうような日がくるかも知れないのだ。葬式での悲劇は、そうやって何度も繰り返されてきた悲劇の一つに過ぎない。 女の裸体を徹底的に見せない拘りも良い。裸で戯れる少年と少女。 シャツを着たら次の瞬間には青年に成長しているイワンコ。マリチカもまた、立派な大人の女性へと姿を変えていた。 雨の中濡れる二人。しかし民謡がうるせえ。ポンとお腹に触る婆さんの心意気。 まるで狩人たちが女の命を狙うように迫るシーン 崖の上での悲劇。マリチカは断崖の子羊を救おうとして・・・。 揺れながら迫るカメラが、サスペンスを異常に盛り上げる。 木の間から女の表情を追うカメラがヤケにサスペンスフルだ。 終始異様なテンションが、亡き女性を忘れられない男の狂気を物語る。 新たな女性と首にかける梯子は、まるで首枷のよう。 女を忘れられない男は、いつも何処か余所余所しい。前の女に比べたら、他の女はみんな羊みたいなものか。そんなもん誰だって他の男に逃げたくもなるわ。 祈る新妻の姿は、裸で他の男を誘っている風にしか見えない。 窓から覗く子供たちの笑みが不気味に見える。 イワンコは、父親と同じ運命を歩んでしまう。 グルグルと人々の顔を映し狂騒を演出。葬式は盛大にかつ楽しく送られる。死体の前で次のカップルが愛し合い始めるんだもの。 葬式に始まり葬式に終わる。 さまよう魂は、真っ赤な木々の向こうで愛しき人と再会するのであった。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:14:49)
457.  山椒大夫 《ネタバレ》 
「雨月物語」よりも遥かに進化した溝口最高傑作の一つ。 本作は平安末期。 平安時代にキッチリした活字が合わないのは別として、生活を追われたある貴族一家の波乱に満ちた人生を描く。 主人公たちは今まで貴族という安全に浸かった生活を送ってきた。当然世の中に投げ出されれば、一人では生きていけないほど世間知らずでもある。そんな人々が狼や野盗、“偽り”の情けに騙されても文句が言えない過酷な世の中に放り出される。 主人公の兄妹。人買いの大主の山椒大夫(どんな美人の“太夫”かと思ったらオッサンの方の“大夫”かよ、チッ)にこき使われ、今までした事もない野良仕事に明け暮れ倒れそうになる日々。 そこに声をかけた男。 「辛かろうに負けるんじゃないぞ」 声をかけるくらいなら二人が成人するまで見守ってくれても良かろうに。ひやかしもいいところだ。為にならない情けは世の中いくらでもある。いや、俺がひねくれているだけなんだろうな。世の中、声すらかけてくれない奴が多すぎるもの。 妹はそんな男の言葉を支えに懸命に生きるが、兄は山椒大夫のやり方に染まり、山椒大夫がやった行いを同じ様に平気で行えるほど心が荒んでしまった。 国が乱れ、人買いや姥捨てが平気で跋扈する荒んだ世の中は、人の心も荒らす。 年月が経った兄の顔を見てみろよ。その面を、菩薩のような妹が少しずつ浄化していく。 妹は本当に健気で強い女だ。最後まで母親や父親の事を諦めなかったし、グレた兄の事も見捨てなかった。 それがあんな・・・溝口貴様あああっ(それと「山椒大夫」の原作者)! 兄は妹のためにも、何より家族のために一人で生き抜こうと抗う。荒んだ世の中が同時に彼の心も強くした。 そして父親は息子から離れても違う形で息子を助けてくれた。 兄は学を身に付け、官職になっていく。そして山椒大夫への逆襲。政治の攻防。 悪人は一掃されるが、主人公の運命には絶えず残酷な答えが待つ。 解放されて自由に歓喜する人々、ただ一人満たされない兄。それでも一縷の光が見える限り生き続けた。 終盤のあの池の畔に立ち尽くす、悲しみに満ちた場面。 それに全てが流されてしまった浜辺の村。あの黙々と海藻を整理する男が、それを物語っているのだ。 息子はまだいいさ。これからがある。だがもう一人は、“あの人”は最後の最後で救われたのだろうか
[DVD(邦画)] 9点(2015-01-05 18:12:55)
458.  映画に愛をこめて/アメリカの夜 《ネタバレ》 
この映画は映画の製作現場を主題にした作品で、監督が映画造りで悩むというのはフェリーニの「8 1/2」に共通している。 しかし、フェリーニほどカオスで意味不明で変態地味て(大絶賛)はいない。 どこまでも無邪気で、純粋に映画に熱を注ぐトリュフォーの愛情に溢れている。 ティム・バートンの「エド・ウッド」のように映画について悩み、笑い、こだわり続けた男が送る心暖かいコメディ映画だ。  冒頭、地下鉄が人々が地上へと出、一人の男が歩いてくる。しばらくすると、そこに「カットッ!」と声がかかり画面の空気は一変する。 最初は何の映画かと思いきや、なんとなんと映画を撮る過程を追った映画だという事が明かされる。  トリュフォーは自ら役者として映画に出る事はよくあるが、監督そのものに扮するのは今回が初めて。 真剣な顔で声をかけ、苛立ち、俳優たちと楽しく語らいあう。 俳優達も真剣に葛藤する者もいれば、肉体関係に発展したり鬱病になったり浮気したりヒステリーになったり色んな意味で事故が多発してと波乱に次ぐ波乱。 トリュフォーの助手をする女性スタッフまで若い燕とナニをしだ(ry 監督は益々うなされて眠れず、やっと寝れたと思えば幼い頃「市民ケーン」のポスターを宝物のように取って行く姿を第三者の視点から見たり(トリュフォー自信の記憶なら、視点はポスターだけが映る筈)。 そういや「大人は判ってくれない」でも映画のポスター盗んでたな・・・。 撮影をしようとしたら妊娠が発覚して体系が変わっているみたいな話はビックリ。トリュフォーの場合本当に妊娠させそ(ry 車が崖に落ちるシークエンスは妙なこだわりを感じる。  この映画に刻まれた文句も素晴らしい。 “リリアン&ドロシー・ギッシュに捧ぐ”だそうだ。  劇中のジャクリーン・ビセットは、言葉を捧げられた女性たち以上に可憐に、悩ましく振舞う。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-05 18:12:23)
459.  大酔侠
キン・フーは大好きな監督だ。 メチャクチャ面白いし飛び抜けてる(俳優のブッ飛び具合が)。  「大酔侠」はそんなキン・フーの最初の傑作だと思うし、俺が一番好きな作品だ。 後年の「迎春閣之風波」や「忠烈図」「侠女」に比べるとまだまだ完成されていない部分も多いが、それでも個性豊かで魅力的な登場人物、ユーモア&ヴァイオレンス、迫力満点の大立ち回りと既にキン・フー映画の醍醐味が詰め込まれているぜ。 まあ、俺が一番好きだと言う理由はやはり“女剣士”の一言に限るね。 冒頭のド派手なスタートダッシュから一転、雷鳴と共に登場する旅の剣士。“最初”の主人公だ。 この後「取って置き」のキャラクターが出てくるが、ソイツのやり取りはもう最高。 寡黙で男勝り、気丈に振舞うもピンチの時は女らしい一面も覗かせる・・・強い女性は万国共通で美しい。 一見すると普通の顔立ちなんだが、女の一面を覗かせる時、そして戦っている時の彼女はカッコイイし美しい。 傷を負った時は不覚にもドキッとしてしまった(キン・フーなのに)。 キン・フー映画の女って愛嬌より度胸・華より青龍刀・色気皆無(褒め言葉)の女傑キャラしかいないのかと思っていたが、そういう意味でも彼女は大変貴重なキャラだ。  ペイペイに魅せられた野郎共は「侠女」も必見だ。あの作品の彼女はとにかく素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:58:25)(良:2票)
460.  死刑執行人もまた死す 《ネタバレ》 
ラングは人によっては「ドイツ時代よりも冴えがない」という人もいると思うが、俺はアメリカに来てからの方がより面白くなった監督だと思う。 1930年代~40年代はドイツ時代の「M」や「怪人マブゼ」から連なるラングの黄金時代だ。アメリカ時代は「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ」や「スカーレット・ストリート」「激怒」が最高だと思うが、この作品もラングが生きてきたドイツへの望郷とナチスへの反抗が詰め込まれた傑作。 劇中で命を燃やすレジスタンスたちはラングの分身。 麗しき女性たちにはドイツ時代に長年コンビを組んだ愛しきテア・フォン・ハルボウの面影でも刻まれているのだろう。  サスペンス映画としては2時間オーバーと長尺だが、ダレも飽きも感じさせない密度。 銃撃戦はほとんど無いが、徹底した骨太のドラマとスリリングなやり取りの数々で次から次へと楽しませてくれる。  また、レジスタンスを処刑するゲシュタポ側も一歩間違えれば問答無用で殺される・・・その辺の怖さ。  何より本作が求めるものは「屈しない」という事だ。 戦争に屈してたまるか、独裁に屈してたまるか、俺たちは自由に生きるんだ、自由のために闘うんだ、自由のために死ぬんだ。負けてたまるか!!  処刑台に連行される男たちは、実に清々しい顔つきで散っていく。「あの世で会おうぜ!!」  Not The End.
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-04 07:57:51)
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