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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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461.  空飛ぶペンギン 《ネタバレ》 
 家族の絆が再生する様を描いた映画なんだけど、そのキッカケとなるのが「ペンギン」っていうのが珍しいですね。   主人公は離婚した身であり、今は別居中な子供達の気を引く為にペットのペンギンを飼う流れとなるのですが、そんな「子供達と上手くやる為の道具」に過ぎなかったはずのペンギンに対し、愛着を抱くようになる流れも、ちゃんと描かれている。  高級な家具に囲まれていた部屋を、ペンギン達の為に雪まみれにする流れは微笑ましいものがあったし、公園でペンギンや息子達と一緒にサッカーして盛り上がる場面なんかも良かったです。  邦題の通り「空飛ぶペンギン」という、ビジュアル的に派手な見せ場も用意されているし「餌の魚ではなく、主人公を選ぶペンギン達」という場面によって、息子達だけでなく、ペンギン達も主人公の家族になったんだと示して終わる辺りも、上手かったと思います。  そういった「ファミリー映画」「動物映画」としての魅力を感じさせる場面がしっかり用意されてあった点は、文句無しで素晴らしかったです。   ただ、この映画は色々と気になる点も多かったりして……  一概に傑作とは言えない出来であったのが、非常に残念ですね。  基本的には好きな作風の品なので、それらの点も「愛嬌の内」と捉えたいところなんですが、ちょっと気になる点が多過ぎて、許容量をオーバーしてしまった気がします。   まず、根本的な話になってしまうんですが、ペンギン達を可愛いとは思えなかったりしたんですよね。  アップになると顔も怖いし、鳴き声だって、耳に心地良い響きとは言えない。  おまけに糞をするシーンをギャグとして何度も描いたりするもんだから、これには正直ゲンナリです。  ペンギンが主軸となる映画において、その可愛さを殆ど感じられなかったっていうのは、致命的なマイナスポイントでした。   主人公の部屋から聞こえる鳴き声や足音に迷惑している隣人に、元嫁の現恋人である男性など、主人公にとって都合の悪い存在の影がやたら薄いし、悪人っぽく描かれている点なども、何だか偏っている気がして、観ていて居心地が悪くなりましたね。  白頭鷲はアメリカの象徴であり、主人公の父親のニックネームも白頭鷲であるとか「アメリカは勝負に勝った者を逮捕するような国じゃない」って台詞だとか、やたらアメリカって国を意識した作りなのも、どうもノリ切れない。  こういうファミリー映画兼動物映画にまで、そういう愛国心みたいものを持ち込んで欲しくないなって、つい思っちゃいました。   で、最後に、これは短所ではなく長所に分類される事だと思いますが……  実は本作において一番キュートに感じられたのが、子供達でもペンギン達でもなく、脇役である「パ行が好きな秘書」のピッピだったりもしたんですよね。  単純に女優さんのルックスも愛らしいし、パ行の言葉ばかり好んで用いるというギャグキャラなのに、秘書としては意外と有能っていうアンバランスさも、非常に魅力的だったと思います。  彼女にスポットを当てた続編なり外伝なりが存在するのであれば、是非観てみたいものです。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2019-03-22 21:54:44)(良:1票)
462.  BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012) 《ネタバレ》 
 凄腕のCIA捜査官である男二人が、一人の女性を奪い合うという御話。   こういった粗筋の場合、最終的には男側が二人とも振られてしまうか、明確な結論を出さぬまま女性にとっての両手の花的なエンドを迎えるパターンが多いように思えますが、本作は明確に片方を選んで終わる為、驚きましたね。  大体映画の三分の二くらいの段階で(これはFDRの方と結ばれるな)と観客に分からせる形になっており、この辺りの時間配分も良かったと思います。   それと、タックには元妻と息子がいるのに対し、FDRは完全に独り身って時点で後者の方が有利なんですが、本作に関しては「最初にローレンスとデートしたのはタックの方である」というアドバンテージを与えて、二人のスタートラインが互角になるよう、上手く調整してあるんですよね。  これによって二人の内、どちらがヒロインと結ばれるのか読めなくなっているし、結果的にFDRとローレンスが結ばれた後も「タックは元妻と復縁する」って形で、主役の三人誰もが幸せになる結末へと着地する事にも成功している。  この手の三角関係で明確に答えを出すと、どうしても一人あぶれ者が生まれて、可哀想になってしまうものですが……  本作に関しては、そんな感情を全く抱かずに観終わる事が出来たし、ここは上手かったんじゃないかと。   男側の二人がCIAである事を活かした会話のギャグや、アクション場面も適度に盛り込まれており、特に後者に関しては「流石マックG監督」と思わせるような仕上がりとなっているんだから、嬉しい限りでしたね。  タックの息子が、父親から教わった技で柔道の組み手に勝つ場面も爽快感があったし、個人的にはココが一番好きな場面です。   そんな具合に、良いところも色々ある映画なんだけど……  残念ながら、欠点もそれと同じくらい見つかっちゃうというんだから、困り物。   まず、ヒロインのローレンスに、どうしても魅力が感じられなかったんですよね。  それは演じているリース・ウィザースプーンが老けていて、美女とも言い難いとか、そんな外面的な理由じゃなくて、もっと深い内面的な理由で(嫌な女だなぁ……)と思ってしまったんだから、キツかったです。   決定的だったのが、FDRと初エッチを済ませた後の展開。  FDRの方は、それまでプレイボーイ気質であったにも拘らず「彼女が出来たから」と他の女の誘いを断っていたのに、ローレンスの方は悩みつつもタックとデートしたり、キスしたりしていたというんだから呆れちゃいます。  自分だって二股を掛けていたくせに、彼らが友達同士と知った途端に「騙された被害者」全開に振る舞うっていうのも酷い。  そこは三者共「ごめんなさい」するところだろうに、何で彼女だけが怒って男達が謝らなきゃいけないんだと、理不尽なものを感じちゃいました。   他にも、意味ありげな「バケツを頭に被って回る少年」は何か重要な役割を果たすのかなと思ったら、本当に単なる小ネタに過ぎなかったのが残念とか「バルカン超特急」(1938年)を「二流の作品」と断じる場面があったので、後でフォローが入るかなと思ったら貶したままで終わっちゃったとか、細かい不満点も色々多いんですよね。  自分は、この監督さんと主演の三人が好きなので、それらも含めて(まっ、良いか)とばかりに、一定の満足感は得られましたが……  そういった思い入れが無かったら、かなり厳しかったかも。   好きな顔触れが揃っているだけに、勿体無く思える一品でした。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2019-02-04 10:12:15)(良:2票)
463.  ホーム・アローン4<TVM> 《ネタバレ》 
 原点回帰を果たし、再びケビン少年が主人公となったシリーズ第四弾。   役者は変更されている為、ケビンとバズの背が縮んで幼くなっている事に違和感があったりもするんだけど、自分としては直ぐに慣れて、楽しむ事が出来ましたね。  他にも「TVMなので低予算が丸分かりな作り」とか「3とは対照的に罠が地味」とか、色々と欠点が目に付くんだけど、ちゃんと良い部分もあったと思います。   まず、自分が「ホーム・アローン」を好きな理由である二大要素「主人公の少年が親の監視から解放されて好き勝手やる」「偏屈な大人と仲良くなる」という場面を、しっかり用意してくれた辺りが嬉しい。  しかも「家出して別居中なパパの新しい家に転がり込んだ」「最初は敵役かと思われた人物と和解し、共闘する」って形で、過去作をそのままなぞるだけでなく、上手い具合に変化を付けてくれているんですよね。  この辺りは、上記二つの要素が希薄だった代わりに罠の仕掛けが凝っていた3とは、好対照な作り。  それでいて「音声認識システムで管理された家」「その家を自由に動き回る為に必要なハウスキー」など、3で登場した「ハイテク要素」という新機軸も柔軟に取り入れているんだから、過去作の良いとこ取りをしたなって思えました。   父の新しい恋人なナタリーは、悪い人じゃないんだけど、主人公一家とは壁があるって関係性なのも、リアルで良かったですね。  彼女を決定的な悪役にはせず「好きな映画は何度も観る」タイプなケビン父と「どんな映画でも一度観れば充分」なタイプのナタリーって描写によって、この二人は上手くいかないだろうなと、自然と観客に納得させる辺りも見事。   かなり早い段階で家の中に内通者がいると明かされる為(ケビンに優しいモリーが犯人で、如何にも怪しいプレスコットは潔白ってオチなんでしょう?)と、そこまでは簡単に読める作りになっているんだけど「実はモリーはマーヴの母親」「疑いが晴れたプレスコットと仲良くなって、共闘展開になる」って形で、程好いオマケ要素を付け足してくれているのも、良かったと思います。  ファミリー映画ならではの「予想は裏切らないけど、ちょっとした驚きも与えてくれる」バランスが心地良かったです。   ケビンのお気に入りだという「テディ」が登場する場面では(そんなの、1や2に出てきたっけ?)と戸惑ったけど、改めて観賞したら1の屋根裏部屋のベッドに、しっかり熊のぬいぐるみが置いてあったもんだから(ちゃんと過去作を研究しているんだなぁ……)と、感心させられたりもしましたね。  「スポーツカー」の喩え話で、大人もドキッとするような真理を語る辺りも、ケビンらしくて良い。  役者が変更しても受け入れる事が出来たのは、そういった細かい部分がしっかりしていたのが大きかった気がします。  「ママはハッピーエンドに弱いのよ」との言葉通り、離婚の危機にあった両親も和解して、家族揃ってのクリスマスというハッピーエンドを迎える辺りも、良い意味で予定調和的。   勿論、最初に語った通り、欠点も多いです。  特に、マーヴの妻と母親を登場させておきながら、その存在をあまり活かせていないのは、何とも勿体無い。  せめて「夫婦円満の秘訣をケビン父に語るマーヴ」とか「アンタは母親の器じゃないとナタリーに説教するモリー」とか、そういうシークエンスがあっても良かった気がしますね。  あるいは、ずっと一緒だった相棒のハリーと別れてしまったのを後悔しているマーヴが、両親の離婚危機に落ち込んでるケビンに同情しちゃうとか、そんなベタな展開でも良かったんじゃないかと。   ナタリーが決定的な悪人として描かれていないのは長所だと思いますが、それゆえに「妻と復縁する事を選ぶケビン父」という結末にて、ナタリーが可哀想に思えてしまった辺りも、痛し痒しな感じがしましたね。  脚本的には、ケビン達の存在を無視して「子供はいません」と言ってしまったナタリーに対するお仕置きのようなものなんでしょうが、ちょっと納得し難いです。  ショックを受けた彼女を嘲笑うようなテイストが感じられたのも、ハッピーエンドに影を落とす形になっており(それで良いのか?)と思えて、どうもスッキリしない。  ここの終わり方をもっと上手くやってくれていたら「1や2ほど目立たないけど、意外な良作」と、自信を持ってオススメ出来ていた気がします。   いずれにしても、シリーズのファンであれば、一応チェックしておいても損は無いかと。  外伝的要素が濃い3と5とは違って、2と同じ「ケビンを主人公にした続編」ではある訳だし、なるべくハードルを低くした上で観賞してもらいたいものです。
[DVD(吹替)] 5点(2019-01-09 01:28:19)
464.  そして誰もいなくなった(1945) 《ネタバレ》 
 原作者アガサ・クリスティ自ら手掛けた戯曲版に則り「最後に残った二人が結ばれて、島を去る」というハッピーエンドになっている本作品。   自分としては「全員が死亡するバッドエンド」な原作小説よりも、より好みな結末のはずなのですが……どうにも楽しみきれなかった気がします。  以下は、その理由について。   まず、原作の「そして誰もいなくなった」(1939年)は紛れも無い名作なのですが、実はセオドア・ロスコーによる「死の相続」(1935年)という先駆作があったりするんですよね。  ・外界と遮断された場所に集められた人々が、次々に殺されていく。 ・途中で死んだかと思われていた人物が、真犯人である。   という内容なのですが、実はそちらでも「主人公達は無事に生還し、カップル成立のハッピーエンド」を迎えていたりするんです。  つまり、原作小説の結末をハッピーエンドに改変した結果、元ネタの小説と同じような形になってしまった訳で、これには流石に(何だかなぁ……)と思っちゃいました。  「死の相続」と「そして誰もいなくなった」の最大の差異とは「容疑者全員が死んでしまうという衝撃」にあったのに、本作ではそれがオミットされているんですからね。  元ネタよりも一歩進んでみせた原作小説に対し、本作は更に一歩下がって元の位置に戻ってしまったかのようであり、非常に残念でした。   勿論、本作なりの良い点もあって、各所に散りばめられたユーモラスな場面なんかは、原作に無かったオリジナルの魅力だと思います。  「こんな話がある。二人の英国人が孤島で3年間暮らしたが、紹介者がいないため会話ができなかった」という小噺も好きだし、医者と判事とが「(医者なのに)薬を信じないのですか?」「(貴方は判事ですが)正義を信じます?」と語って、笑い合う場面なんかも好み。  室内にいる人物を鍵穴から覗き見するという、映画ならではの視覚的な面白さが盛り込まれている点も、良かったですね。  「探偵役かと思われた人物が、実は犯人」という意外性が、原作より強調されている辺りも、上手い演出だったかと。   総評としては「面白かったとは言えないけど、観ておいて良かったと思える一品」という感じに落ち着くでしょうか。  モノクロの世界観が心地良く、それだけでも「格調の高さ」「名作の香り」を感じさせてくれただけに、結末が期待外れであったのが、実に惜しいですね。  ハッピーエンドに失望しちゃったという、貴重な体験を味わえた一本として、記憶に残る事になりそうです。
[DVD(字幕)] 5点(2018-08-27 02:54:18)
465.  ファンボーイズ 《ネタバレ》 
 良くも悪くも、スター・ウォーズオタク目線の映画ですね。   劇中にて「ホバ・フェットの強さ」「ルークはレイア姫を好きだったか」について真剣に言い争っちゃう辺りなんて、実にそれっぽい。  元ネタを知っていればニヤリとするようなパロ台詞も盛り込まれてるし、何より「夢を追い続けるオタクではなく、現実的なサラリーマンの道を選んだ若者」を主人公に据えているのが上手かったと思います。  それによって、オタク気質ではない観客も物語に入り込み易くしているし、その一方で「俺はもう大人になったんだ」と達観するだけの主人公で終わらせず「かつて熱狂していた世界に、再び戻っていく」様を描いているから、オタク映画であるという大前提にも反していない。  自分は熱狂的なスター・ウォーズ好きという訳ではありませんが、大人になりきれないオタク人間である事は間違いないと思いますし、そんな立場から見ても「この主人公の設定は絶妙だな」と、大いに感心させられました。   とはいえ、そんな「オタク」の悪い部分も如実に表れているのがこの映画であり……ちょっと、観ていて辛かったですね。   「スタートレック」のファンを作中で貶したり、エピソードⅠにも文句を付けるような形で終わったりと、やたら攻撃的で排他的。  「ウィリアム・シャトナーを大物っぽく描いているからセーフ」「駄作と断定した訳じゃないからセーフ」という作り手側のフォローというか、最低限の配慮も感じられましたが、ちょっと受け入れ難いです。   そもそも、作り手から「エピソードⅣからⅥまでは好きだけど、エピソードⅠは嫌い」ってメッセージが窺えちゃうんだから、これって「スター・ウォーズ愛を描いた映画」としては致命的な欠点だと思うんですよね。  エピソードⅠのキャラであるジャー・ジャーやらダース・モールやらを「美人局の悪党」「意地の悪い警備員」に仮託させている辺りなんて、非常にやり切れない。  それに対し、ⅣからⅥまでのキャラはレイア姫やランドなどを「良い人達」「主人公の味方側」として出しているんだから、あからさま過ぎてゲンナリです。   主人公の父親に対するコンプレックスを、ダース・ベイダーの存在と重ね合わせておきながら、結局は対話する事無く終わった辺りも残念でしたね。  オタクらしく現実逃避して旅に出る様を描いておきながら、その現実と向き合って乗り越えなきゃいけないという辛い過程は省き、努力も無しに夢を叶えて漫画家になれたという結果だけ見せられても、カタルシスは得られません。  そんな欠点が明らかな作りであるだけに、劇中の「欠点も必要さ」という感動的な台詞も「スター・ウォーズ」を擁護する為の台詞ではなく「ファンボーイズ」に対する自己弁護のように聞こえちゃって、凄く格好悪かったです。  主人公が描いた漫画を「最悪」と酷評する読者に対し、主人公達が「お前はクソッタレだ」と徹底的に馬鹿にして溜飲を下げて終わるのも、これまた酷い。  他の映画やファンを馬鹿にするような作りであるくせに「俺達は他の作品を批判するが、俺達の作品を批判するのは許さない」と主張しているようにも思え、どうにも居心地が悪かったです。   そんなややこしいアレコレを考えず、純粋に青春映画として観れば綺麗に纏まっていたと思いますし、仲の良い友達連中で車に乗り込み、旅する楽しさなどは味わえただけに、非常に勿体無いですね。  ファルコンの模型を人質(?)に取る件や「右手をレイア姫と呼ぶ」件は笑っちゃったし、予想以上にスカイウォーカーランチの壁が低くて「侵入する為のフックって、別に要らなかったじゃん」とツッコまされる辺りも面白かったです。  何より、エピソードⅠ公開当日の「皆でワイワイ集まって、お祭り気分で騒ぐ」雰囲気は凄く心地良くて、そこの場面だけでも(観て良かったな……)と思えたくらい。  それだけに、余計なオチなどは付けず、あの楽しい盛り上がりのまま、亡き友に乾杯し、待ちに待った新作映画が上映される場面にて、ハッピーエンドを迎えて欲しかったところです。   作中にて「6デイズ/7ナイツ」(1998年)が失敗作じゃないかと揶揄されていましたが、自分としては、その「6デイズ/7ナイツ」に付けたのと同じ点数を、この映画に進呈したいと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2018-05-15 16:01:23)
466.  6デイズ/7ナイツ 《ネタバレ》 
 映画「ファンボーイズ」(2008年)にて本作が「失敗作」ではないかと揶揄するような場面があったのを思い出し「そんなに酷い出来だったかな?」と考えて、此度再観賞。   結論からいうと、確かに「傑作」とは言い難い内容でしたが、自分としては好きなタイプの映画でしたね。  お気楽な無人島ロマンス映画として、しっかり楽しめるように作ってあるし、娯楽作として一定の基準は満たしているんじゃないかな、と感じました。  「エボリューション」(2001年)や「ドラフト・デイ」(2014年)を手掛けたアイヴァン・ライトマン監督だし、元々この監督の作風が好みに合ってるんだと思います。   「この島から多分ずっと出られない」と言っていたはずの主人公が、その後「無線用の信号機のスイッチを切れば、修理班が島にやって来るはず」と言い出すのは一貫性に欠けるとか、敵役となる海賊が間抜け過ぎて(せめて服をロープ代わりにして手を縛るとかしろよ。そんなんじゃ逃げられて当然だろ)と呆れちゃうとか、脚本にはツッコミどころが多いけど、何となく笑って許せちゃう。  無人島の雄大な自然を捉えた上空からのカットとか、崖から飛び降りるシーンでのスローモーション演出だとか、そういう細かい部分がしっかりしているからこそ「脚本の粗を気にせず、何も考えずに観ている分には楽しい」って気分になれる訳で、そこは素直に凄いと思います。   五十歳を越えているだろう主人公と、若々しい金髪美女のロマンスって時点で、結構トンデモない内容のはずなのに、男側をハリソン・フォードが演じる事によって(まぁ、これなら有り得るかも……)と思わせてくれる辺りも嬉しいですね。  男にとって都合の良い、妄想を具現化したような映画だからこそ、最低限の説得力は欲しくなる訳ですし、その点でもこの映画は合格だったように思えます。   でも、上述の通り「傑作」とは言い難いのも確かであって……やっぱり欠点も多いんですよね、この映画。   そもそも「妻を親友に奪われた」って過去がある主人公なのに、最終的には「婚約済みであるヒロインを主人公が奪う」って展開になる訳だから、実は凄く後味が悪い話なんです。  「主人公とヒロインだけでなく、婚約者も浮気していた」「お互いに浮気していたから無罪」みたいな展開になるのも、ちょっと都合が良過ぎるかと。    アン・ヘッシュ演じるヒロインが「乳首の形が透けて見える恰好」だったり「胸の谷間が丸見えな恰好」だったりと、あまりにも扇情的なファッションな点も、観ていて気恥ずかしいものがありましたね。  好みの女優さんだし、サービスシーンがある事自体は喜ばしいのですが、あからさま過ぎて面食らうという形。  (どうせ胸をアピールするなら、もうちょっと控えめな形にしてくれた方が嬉しいなぁ……)なんて、つい思っちゃいました。   水場も簡単に見つかるし、壊れた飛行機も簡単に直せちゃうしで、漂流難易度が低過ぎるのも気になるし「タヒチに運ぶ貨物」がサバイバル生活にて役立つかなと思ったら、そうでもなかった辺りも残念。  特に後者に関しては「キャスト・アウェイ」(2000年)において「一見すると役に立たないような貨物を、何とか利用して生き延びてみせる」様が見事であった為に、どうしても比べたくなっちゃいます。  調味料以外にも明確に「貨物が無人島生活に役立った」と思える描写があれば「この映画はキャスト・アウェイの元ネタになっているのでは?」なんて推論も書けたでしょうし、実に惜しい。   最後はお約束通り「文明社会に帰って来た二人が、無事に結ばれる」ハッピーエンドだし、エンディング曲も好みだったしで、ある程度の満足感は得られるんですが「本当にそれで良いのか?」ってツッコみたくなる部分が多過ぎるんですよね。  良かった部分と、悪かった部分とで、差し引きゼロみたいな形になるんだから、つくづく勿体無い。   「恋愛の69%はレストランで終わる」「砂糖にくるんだ嘘」など、印象深い台詞もありましたし、好きか嫌いかと問われたら好きな映画になるんだけど、高得点を付けるのは憚れる……  もどかしい一品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2018-05-11 14:15:17)(良:2票)
467.  ミステリー・ツアー 《ネタバレ》 
 「こいつが犯人か?」→「違いました」という肩透かしな展開が多過ぎて、途中から犯人探しに対する興味が失せてしまうのが難点ですね。  終盤にて、得意気に「警官が犯人とは思わなかっただろう?」と言われても「こんなキャラ、いたっけ」と思っちゃうくらいだったし、ミステリーとして楽しめたとは言い難いです。   そんな本作は「犯人探し」「見立て殺人」といった謎解き要素だけでなく「閉ざされた島にて殺人鬼と対決する」というスラッシャー映画的な側面も備え持っており、こちらに関しては結構面白かったんじゃないかと思います。  それまでの如何にもな被り物を捨てて、普通の人間の姿になって犯人が襲い掛かってくる展開なんかは、ちょっと新鮮でしたね。  性的な快楽を与えるツボを押して、犯人が悶えている隙に「あと数分は感じてる」「早く逃げろ」という緊迫したやり取りを主人公達が交わす場面なんかも、あまりにも下らなくて、シュールで、面白い。  ボートと縄を使って犯人の胴を引き千切るという倒し方も、中々豪快で良かったんじゃないかと。   序盤の「バカンス」「パーティー」部分が、ちゃんと楽しそうに描かれているのも嬉しかったですね。  迷路でパックマンのBGMを流し、皆でゲームを再現して遊ぶ場面なんかもお気に入り。  ・実質的な主人公であるツボ押しの達人が、万能の存在過ぎて魅力に欠ける。 ・監督本人が情けない殺され役で出演しているのは、自虐的過ぎて興醒め。 ・「意外」な犯人ではなく「地味」な犯人を出して得意気にされても困る。   等々、不満を論ったらキリが無いんですが、演出や音楽などは結構ちゃんとしているし、観ていて不愉快になる、って程では無かったです。  ツッコミを入れながら楽しく観賞するのをオススメしたくなる、憎めない映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2018-04-18 23:01:52)
468.  大巨獣ガッパ 《ネタバレ》 
 ストーリー展開が「怪獣ゴルゴ」そのままな訳ですが、それを差し引いても「ガッパという怪獣だからこその魅力」をあまり感じられない内容だったのが寂しいですね。  熱線を吐いて戦車を爆発させる描写、翼から生じる風圧で瓦が剥がれていく描写なども、ゴジラとラドンの良いとこ取りを狙ったんでしょうけど、それが結果的に個性を削ぐ形になっていたと思います。   そんな中、忘れられないインパクトを与えてくれるのは主題歌の存在。  最初に聴いた時こそ(なんじゃこりゃ)とズッコけたけど、二度、三度と聴く内に(あれ……案外良い曲かも)と思えてくるんだから、全くもって不思議。  牧歌的で、如何にも昭和特撮ソングってノリなのが、映画の内容とも良く合っていた気がします。   現代の観点からすると特撮がチャチだとか、島の原住民がどう見ても肌を黒塗りしているだけの日本人だとか、欠点と呼べそうな部分は多々あるんですが、まぁ御愛嬌。  河童というより鳥みたいな外見だなぁと思ったら、本当に劇中で「鳥に近い生態を持っている」という研究結果が出るのは面白かったし、人間側に「仕事にかまけ、娘に素っ気ない父親」を配置し、家族の事だけを考えて行動する怪獣側と対比させているのも良かったです。  「女性は仕事を頑張るよりも、家庭に帰ろう」というメッセージが提示されているのも、当時の世相が窺えて興味深い。   ただ、ガッパが蛸を咥えているシーンに関しては、特典の解説によると「我が子に食べさせようと蛸を持参する親の優しさ」を表しているそうなのですが、ここはもう少し分かり易く、映画単体を観ただけでも伝わってくるように描いて欲しかったですね。  解説されないと(なんで蛸?)と戸惑っちゃうし、解説を踏まえた上で観れば良いシーンだと思えるだけに、実に勿体無い。   後は……クライマックスにて、親が子に飛び方を教える流れも感動的で良かったんですけど、空港のセットが簡素過ぎて、せっかくの感動が冷めちゃう辺りも「勿体無い」「惜しい」って思える部分。  城や都市部のセットは結構頑張っていたのに、よりにもよって最後の最後で一番力の入っていない空港のセットが舞台となっている訳で、なんかチグハグなんですよね。  背景の書き割り感も凄いし、地面には滑走路に見えるようマットを敷いているだけって丸分かりだしで、せっかくの感動的な音楽や、ガッパの涙が台無しになっている形。  これって「中盤のセットは稚拙だが、クライマックスでは流石に気合いが入っている」という形なら、大分印象が違っていたでしょうし、本当に(もっと上手くやればいいのに……)って、じれったくなっちゃいます。   本来は畑違いの日活が、当時のブームに乗って怪獣映画に手を出してみた一本、という事で、やはりその辺りの「手探り感」「ノウハウの無さ」は、如何ともしがたいものがあったのでしょうね。  そういった背景の諸々も含め、色々考えながら観る分には楽しめたけど、純粋に娯楽作品として考えると、ちょっと厳しいかも。   ともあれ、怪獣映画好きであるならば、押さえておいた方が良い一本だと思います。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-09 12:42:26)(良:1票)
469.  エアポート'04 《ネタバレ》 
 所謂キッズ映画に分類されそうな一本。   主人公のリッキーには空想癖がある為、物語の随所で挟まれる奇想天外な空想シーンが良いアクセントになっている……と言いたいところなのですが、正直それに関しては「物語の進行を遅めている」「テンポを悪くしている」という印象しか抱けず、残念でしたね。  可愛い子役が沢山出ていますし、空想シーンでは彼らに色んなコスプレをさせて、観客を視覚的に楽しませるという意図があったのだと思われますが、自分としてはノリ切れませんでした。   完全に子供向けな作風ゆえか、作中に感情移入出来るような大人キャラがいなかった事も難点。  例えば、主人公のパパにしたって殆ど活躍しないし、あんまり良い人とも思えない描かれ方だったりするんですよね。  我が子に意地悪する教師に対し「いじめるなら、他の子にしろ」と囁き掛けるシーンなんて(いや、他の子に矛先を向けちゃダメでしょう)とツッコんじゃうし、そんなパパさんなものだから、ラストシーンにて彼が息子を認め、褒めてくれても、観客としてはあんまり嬉しくないという形。  キッズ映画といえど、大人が見てもある程度の満足感が得られるような、受け皿的なキャラは必要だったんじゃないかな、と思います。   とはいえ「子供が主役の映画」「子供の夢を叶えてくれる映画」としては、きちんと作られており、その点は好印象。  僅か十歳の子供が飛行機を操縦し、乗客の命を救ってヒーローになる展開なんて、実に気持ち良かったですね。  友達連中にも「内気な親友」「可愛い女の子」「意地悪だけど、実は良い奴」とオイシイ顔触れが揃っており、主人公が彼らと共に奮闘する姿を見守るだけでも、微笑ましく、楽しい気分に浸れました。   ちょっぴり退屈で、毒にも薬にもならない映画かも知れませんが、夢はあったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2018-03-21 06:24:04)
470.  ミラーズ(2008) 《ネタバレ》 
 鏡の中の自分が勝手に動き出し、刃物で自らの喉を斬ってみせるオープニングが衝撃的。   その他にも「鏡に映るものは思ったより近くにあります」という注意文の使い方に「ドアノブや水さえも鏡になる為、家に閉じ籠っていても逃げ場は無い」と思い知らされる展開など、印象的な場面が幾つもあって、飽きさせない作りになっていましたね。  先日ドラマの「24」を全話視聴したばかりという事もあり、キーファー・サザーランド演じる主人公にも、自然と感情移入出来ました。    中盤、鏡の中の顔が歪んでいるのを見て驚く主人公の姿が、妙に滑稽で(怖がらせようとしているのか、笑わせようとしているのか分からない)と戸惑う一幕もありましたし、監督さんの趣味なのか日本製アニメのポスターがやたら目立つのは気になりましたが、まぁ、この辺りは「愛嬌」として、笑って受け流せる範疇でしたね。   それに対し、見過ごせない「難点」と呼べそうなのは……  ・「同僚を誤射で殺してしまった警官」という主人公の背景が、物語の本筋に絡んでこない事。 ・「主人公の妹」が序盤でアッサリ殺されてしまう事。   と、この辺りが挙げられるでしょうか。   前者に関しては、恐らく元ネタである「Mirror 鏡の中」を意識した設定なのでしょうが「鏡のせいで誤射してしまった」というあちらに比べると、あまり意味の無い設定であったように思えます。  で、後者に関しては……そもそも本作って「家族を守るべく奔走する主人公」という、王道な筋立てなんですよね。  だから観客としては「何とか家族を守り抜いてもらいたい」と主人公を応援しながら観賞する形になる訳だけど、本作においては「ずっと昔から一緒で、父親代わりになって育ててきた妹」という、妻や息子以上に結びつきが強いように思えるキャラクターが、真っ先に殺されちゃっているんです。  それゆえに、観賞中(このまま妻と息子達を守ったとしても、妹は既に死んでいるんだよなぁ……)という事が気になってしまうというか、完全なハッピーエンドにはならない事が分かっているので、今一つ没頭出来なかったように思えます。   でもって、案の定バッドエンドを迎えちゃう訳だけど、その見せ方も意地が悪いもんだから、ちょっと褒めにくいんですよね。  主人公も無事に助かった……と思わせておいて、実は鏡の中に囚われてしまったという、捻った形でのバッドエンドなんです。  一旦希望を与えておいてから落とすという形であり、何とも後味が悪い。   妹が殺されるシーン自体は、バスタブが血塗れになるインパクト満点な死に様で、中々良かったと思いますし、クライマックスにてガラスが一斉に砕けるシーンは爽快感があったしで、長所も色々あるんですけどね。  主人公が「鏡」という存在に囚われていき、周りに不気味がられる流れなども、上手く描けていたと思います。  せめて、ラストシーンにて「自分は鏡の中に閉じ込められてしまったが、何とか妻子は助ける事が出来た」という、主人公の満足感のようなものを描いてくれていたら、印象も違っていたかも。   なかなか自分好みの光景を映し出してはくれない、ちょっとズレを感じる一品でした。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2018-01-22 20:16:30)(良:2票)
471.  同居人/背中の微かな笑い声 《ネタバレ》 
 これ、元々はTV映画だったんですね。  確かに画面作りが安っぽいし、劇場で流す程のスケール感は無いかも知れませんが、個人的には中々楽しめました。   主人公である殺人鬼が「妊娠」の事実を聞かされてショックを受ける描写に「他人とは思えなくて」という台詞など「狙われた一家の婦人と、この主人公とは、実は母子である」という伏線が、キチンと張られているんですよね。  こういったタイプの映画だと、インパクト重視で唐突なドンデン返しオチを用意する事も多いだけに、本作には感心させられるものがありました。   幼児期に性的虐待を受けていたという過去に関しても(あぁ……冒頭に出てきた養父、如何にもそういう事やりそうな雰囲気だったなぁ)って思えて、妙に納得。  始まって五分程のエレベーターのシーンで「相手を陥れる為に、自分から壁に顔をぶつけて出血する主人公」を描き(コイツは危ない奴だ……)と、早めの段階で観客に分からせてくれるのも良かったです。   気になったのは、ドナルド・サザーランドの扱い。  エンドロールでも真っ先に表記されているし、実際自分も途中までは「被害者家族の中での主人公格」と認識していたんですけど、終わってみれば一家三人の中で、最も出番が少ないくらいだったのですよね。  しかも終盤に焼死して途中退場という形なのだから、何とも消化不良。  作中で一番の大物俳優であるだけに「撮影時間を確保出来ず、出番が少ない形になってしまった」「でも大物なので序盤に主役っぽく描き、エンドロールでも優遇して誤魔化しておいた」という大人の事情が窺えて、流石に興醒めしちゃいました。   後は、ラストに主人公が死んで直ぐに終わってしまう為、余韻もへったくれも無いのも困りものですね。  あそこは、もうちょっと時間を掛けて「殺人鬼とはいえ、色々と可哀想な奴だった……」と思わせるような、寂寥感のある描写が欲しかったところ。   そんな訳で、完成度が高いとは言い難いものがある本作。  でも、ウィリアム・マクナマラの端正な容姿、純真さと狂気とを内包させた眼差しは「異常殺人者の青年」としての魅力を、確かに感じさせてくれましたね。  彼の存在だけでも、一見の価値ありかと。
[ビデオ(吹替)] 5点(2017-11-29 04:04:20)
472.  世界侵略:ロサンゼルス決戦 《ネタバレ》 
 異星人による地球侵略というプロットを、シリアスな戦争映画として撮る。  その発想は面白いと思います。   ただ、あまりにも真面目な「戦争映画」過ぎるというか……この内容だと、相手が異星人である必然性が感じられないのですよね。  「生き残ったのは美人だからじゃありません。戦えます」 「ジョン・ウェインって誰です?」 「一つくらいは避けて走れ」   などの台詞はユーモアがあって好きなんですけど、この三つの台詞のシーン全部、戦う相手が異星人じゃなくとも成立しちゃう代物なんです。   本作において「敵が異星人である事」のメリットといえば「主人公側を正義として描き、敵側を単純な悪として片付ける事が出来る」「未知の生物の弱点を探るシーンを描ける」の二つが該当するんでしょうけど、これらを鑑みても「異星人」という設定が必要だったとは思えません。  特に前者に関しては深刻で、米国の戦争映画において「他国の人間をゾンビやエイリアンのように描き、米国人だけが正当な人間であるかのように描く」事って、実は珍しくもなかったりするんですよね。  自分はそういう描き方の戦争映画は苦手なもので、本作みたいに異星人という設定の方が抵抗は少ないですけど、そんな緩和作用程度のものを「メリット」として数えなければいけないのは、如何にも寂しい。  後者に関しても「捕虜にした異星人の全身をナイフで刺しまくり、消去法によって弱点の位置を特定する」というだけなので、知的興奮を誘う訳でもなく(別に無くても良かったよな……)って思えちゃうんです。    ベタではありますが「醜い怪物かと思われたが、実は自分達と同じような存在だと分かってショックを受ける主人公達」とか「地球人なら平気な物が異星人にとっては弱点になる」とか、そういう展開があるからこそ「異星人との戦争」という題材を選ぶ事に、意味があるんじゃないでしょうか。  主人公の二等軍曹が「戦死させた部下達の事を悔いている」という設定な訳だから「異星人には死者を甦らせる力があり、それを駆使して主人公に交渉してくる」なんて展開にする事だって、可能だったと思います。  とにかくもう、この「相手が異星人である必要が無い」という一点が気になってしまい、シンプルに楽しむ事が出来ず、残念でしたね。   死なせてしまった部下の名前と階級、認識票の番号を暗唱するシーンは中々良かったと思いますし、ラストシーンにて休息も取らず、次の戦いに向かう兵士達の姿は、素直に恰好良かったです。  そんな「普通の戦争映画」としての魅力は感じ取れただけに、歯痒くなってしまう一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-11-20 14:58:53)(良:1票)
473.  人類SOS! 《ネタバレ》 
「病院で目覚めたら、世界が破滅していた」 「自分以外の人々が盲目になっている世界」  という要素を抜き出すだけでも、後世に与えた影響の大きさが窺い知れる一本。  勿論、原作小説ありきの発想なのですが「人がいなくなり、乗り捨てられた車だけが残る街を彷徨う主人公」という視覚的なイメージなどは、映画という媒体だからこそ生み出せた代物だと思います。   こういった「元ネタ映画」というものは、それだけでも功績があるというか、高得点を付けたくなるものなのですが……正直、映画として面白かったかといえば微妙でしたね。  1960年代の映画という事もあってか、現代の目線だと「飛行機が墜落する場面」「トリフィドの毒を受けて顔が緑色になる場面」の特撮も稚拙だし、演出も全体的に緩慢なんです。  例えば、最初にトリフィドが動き出し、人を襲う場面なんかも、時間を掛け過ぎるせいで(もう植物が動くのは分かったよ……)(どうせこの人が襲われるんだろう? 早くしてくれ)って感じに、焦れてしまう。   主人公達が車に乗って、迫りくるトリフィドから逃げようとする場面もキツかったですね。  車輪が窪みに嵌って空回りし、ピンチのはずなのに、登場人物が妙に落ち着いているせいで、全然緊迫感が無い。  当時の観客なら、そんな演出の数々も自然と受け入れられたのかも知れませんが、自分としては戸惑いが大きかったです。   その一方で 「目の見えなくなった男が(恐らくは利用する為に)目が見える女の子を誘拐しようとする」 「元から目が見えなかった女性が、新たに盲目となった人に歩き方を教えてみせる」  といった感じに「もしも、世界中の人々が盲目になったら……」という思考実験の答えを示すようなシーンも数々盛り込まれており、こちらは中々興味深く、面白かったです。  (植物が相手なら燃やして倒すんだろうな……)という観客の期待に応えるように、クライマックスでは主人公が火炎放射器を持ち出し、トリフィドの大群を燃やしてみせる辺りも嬉しい。  トリフィドの弱点が「(地球に幾らでもある)海水」という意外性も、良かったと思います。   ……ただ、最後のナレーションにて「トリフィドの弱点が分かったお蔭で、人類は救われた」というオチが付くのは、ちょっと無理がある気がしましたね。  作中で文明が崩壊したのは「トリフィド」ではなく「失明」が原因なのだから、トリフィドの撃退法が判明したとしても、そこまで大きな意味は無いはずなんです。  どうしても「人類が救われるハッピーエンド」に仕上げたかったなら「トリフィドの撃退法」なんかより「失明を治す方法」を明らかにすべきだったんじゃないでしょうか。   そもそも本作は「病院で目覚め、女の子と一緒に文明崩壊後の世界を彷徨う主人公」以外にも「灯台で暮らしている夫婦」という別個の軸が用意されており、しかもそれら二つが交わる事無く映画が完結を迎えるという、トンデモない構成になっているのですよね。  これは明らかにマズいと思うし、自分のように(何時この二組が合流するんだろう?)と考えていた観客には、物凄い肩透かし感を与える形になっています。   聞くところによると「灯台関連のシーンは、試写会での不評を受けて無理矢理ハッピーエンドにする為に付け足したもの」らしいのですが、真相や如何に。   自分としては、追加された灯台絡みの話は全部カットして「主人公達が火炎放射器でトリフィドの猛攻を凌ぎ、何とか逃げ出すのに成功して、明日に希望を見出そうとする話」で纏めてくれた方が、好みだったように思えますね。  そうしていたら、胸を張って「古き良き映画」「これぞ隠れた傑作」と褒める事が出来た気がします。
[DVD(字幕)] 5点(2017-10-02 13:33:20)(良:1票)
474.  俺たちニュースキャスター 《ネタバレ》 
 冒頭にて「これは実際の出来事に基づいています」なんてテロップが表示されるものだから、意外と真面目な実録物かと身構えたけど、全然そんな事はありませんでしたね。  ごくごく軽い、お馬鹿なノリのコメディ映画でありました。   出演者がとにかく豪華であり、贔屓のベン・スティラーやジャック・ブラックもチョイ役で出てくるのが嬉しい。  中盤の乱闘シーンで彼らの役目は完了、御役御免かと思いきや、終盤にてティム・ロビンスやルーク・ウィルソンが再登場するという、二段仕掛けの構造になっているのも良かったです。   ストーリーに関しては 「結局、主人公がヒロインを危機から救って復縁するというだけなので、女性の社会進出による男性との対立なんてテーマは放り投げられている」 「ラストに主人公が復職するだけでなく、出世までする事に説得力が無い」  といった感じで、不満点も多いです。  でも、そんな細かい点をツッコむ方が野暮だと思わせる空気が、作中全体に漂っているんですよね。  これは映画としての強みだと思います。   ただ、肝心の「笑い」の部分が好みではなかったりしたので、そこは非常に残念。  香水の匂いを「使用済みのオムツ」に喩えるとか、主人公が勃起しているのをヒロインに指摘されたりとか、どうも下品さが目立って、笑えないという以上に鼻白むものがあったんです。  ルーク・ウィルソンが腕を斬り落とされる展開なんかも、そこだけ妙にスプラッターな笑いで浮いている気がして、天丼演出までされているのに、全然ピンと来ない。  「犬を橋から蹴り飛ばすシーンでは、途中で分かりやすくヌイグルミに変えられている」「クビになった主人公が、酒の代わりにミルクを飲み干している」などの件は結構好きなんですが、全体的にはイマイチに思えました。   ラストに関しても、ヒロインと結ばれるし、出世もするしで、ハッピーエンドなのは嬉しいんだけど、やっぱり前提として「ヒロインを本当に愛しているという主人公の想い」「仕事にかける主人公の情熱と努力」を描いてもらいたいんですよね。  本作は終盤にて「命の危機にあるヒロインよりも仕事を選ぼうかと悩む主人公」ってシーンがある時点で、恋愛物としては不適切だと思うし、クビになった後に復職の為の努力を全くしていなかった時点で「仕事に生きる男」として応援する事も出来なかったです。  自分でも無粋なツッコミだって分かっているけど、やはりそこは外して欲しくないというか、芯が定まっていないと枝葉の部分で笑う事は難しいんじゃないかと。   何も考えずに観れば、それなりに楽しいし、心地良い雰囲気を味わえるというだけでも、凄い事だと思います。  それでも、本作に対しては(もうちょっと丁寧に作って欲しいな……)と、つい思ってしまいました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-25 06:17:53)(良:1票)
475.  7つの贈り物 《ネタバレ》 
 所謂「いい話」であり、感動的に仕上げられた品だと思います。   ただ、映画として「面白かった」「楽しかった」とは言い難い内容でしたね。  理由としては、冒頭で「主人公は自殺する」と分かってしまう事。  そして、かなり早い段階(映画が始まって十五分ほど)で「いずれ死ぬ主人公は、自分が贈り物をする相手は誰にすべきかを審査している」という真相まで種明かししている事が挙げられそう。  「贈り物」=「臓器移植」である事も、審査対象となる人物の顔触れで分かるようになっているし、根本的に「謎解き」要素が据えられていないのですよね。  だから観客としては「この先どうなるんだ?」「彼は一体何が目的なんだ?」という興味を抱き続ける事が出来ない。   である以上、この映画のメインは「主人公による審査」となる訳ですが、それがどうにも単調で、正直退屈なんです。  なんせ悪人は序盤の医者くらいで、後は悉く「善人」「合格」なのだから、余りにも予定調和な展開。  死期が迫っているヒロインと恋仲になり「余命僅かな難病物」のテンプレをなぞる形になる辺りも、更に既視感を強めていた気がします。   唯一、それを崩すアクセントとして「臓器移植ではない、住居提供」のシークエンスがあるのですが、それも「家庭内暴力を受けている女性と、その子供達を救う」というお約束展開なせいか、まるで目新しさを感じないから困り物。  勿論、王道だからこその魅力は盛り込まれていましたし、自分としても、この中盤の「家を譲る」件が一番感動したのですけどね。  ただ、その結果「感動のピークは過ぎたのに、主人公とヒロインとのやり取りを一時間近くも見せられる」という事になってしまい、折角の感動も冷めてしまった形。   盲目の青年とウェイトレスの微笑ましい会話や(このままでは、彼女に愛情を抱かれてしまう)と察した主人公が、あえてヒロインを冷たく突き放す件など、好きな場面も幾つかあるのですけどね。  もう少し全体のバランスが違っていたら「いい話」ではなく「良い映画」と表現出来ていた気がします。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-13 19:22:47)(良:1票)
476.  DOOM ドゥーム 《ネタバレ》 
 王道の娯楽アクション映画ですね。   序盤に研究所の職員達が逃げ惑い、閉ざされるドアに挟まれて手首が千切れちゃうシーンなど、掴みも上々。  盲腸の手術痕によって、怪物が元人間だと気が付く件も良かったし、BFGを発見するシーンに関しては、原作未プレイな自分ですらテンション上がるものがありました。  「後ろにいるんだな?」って台詞も、お約束だけど面白かったです。  そして何といっても、クライマックスのFPS風演出が楽しい。  ゲームならではの臨場感を映画的手法として取り入れたという意味においても、非常に価値ある数分間だったんじゃないかな、と思います。   その一方で、ゲームとは違い「主人公が誰なのか分からない」という映画ならではの特徴を活かし「隊長役のザ・ロックではなく、カール・アーバンこそが真の主人公だった」というネタも盛り込んでいるのですが……  これに関しては、ちょっと微妙に思えてしまいましたね。   まず、種明かしを勿体ぶっているせいで衝撃が薄れている点が痛い。  唐突に豹変させるのではなく、段階を踏んで丁寧に「実は隊長は主役ではなく、悪役」と描写するのは誠実だと思いますが、ちょっとやり過ぎかと。  せめて、命令に従わない部下を殺した時点で種明かしをしていても良かった気がしますね。  その時点で観客としては「こいつがラスボスか」と分かっているのに、その後も隊長は味方側のままストーリーが進行し、最後になってようやく明確な敵となる形なので「そんなの、とっくに分かっていたよ」と白けてしまうんです。  今となっては悪役のザ・ロックって結構貴重だし、上手く描いてくれていたら、ラスボスとしての暴れっ振りを素直に楽しめたかも知れないなと思うと、非常に残念。   ストーリーの流れとしては「隊長に殺された同僚達の仇を討つ主人公」という形なのに、主人公と同僚が全然仲良く見えなかったというのも難点ですね。  唯一まともに交流し、絆が窺えたのはヒロイン格の双子の姉だけであり、彼女だけは死なずに共に生還する訳だから、敵を倒しても復讐のカタルシスなんて皆無なんです。  これは如何にも寂しいし、勿体無い。   そういう細かい部分を、もうちょっと何とかしてくれたら「傑作」と言えそうなポテンシャルは窺えただけに、惜しくなってしまう一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-12 21:31:10)
477.  カンガルー・ジャック 《ネタバレ》 
 監督の前作「コヨーテ・アグリー」は好きだったので、期待を込めて観賞。   序盤からカーチェイスを盛り込んだりと、観客を楽しませようとしている作りなのは分かるのですが、今一つノリ切れなかった気がしますね。  全体の雰囲気などは好みなのに、細部に引っ掛かる点が多かったです。   例えば「義父のサルは主人公達を殺すつもりだった」と序盤で分かる以上、終盤にて何らかのどんでん返しがあるだろうと思っていたのに、全然そんな事は無かったりするんだから、これは如何にも寂しい。  それでも、そこをサラッと流すなら気にならなかったかも知れないけど、如何にも衝撃の事実を明かすかのように「分かってねぇな、坊や」と悪役が種明かしする形なんですよね。  観客の目線からすると「そんなの、とっくに分かってるよ」と呆れちゃうし、その告白に対して驚いている主人公達には、距離を感じてしまう。  映画のクライマックスにて、こういう事をされちゃうのは、大いに興醒めです。   カンガルーやラクダなども登場するけど、彼らを可愛いとも面白いとも思えなかったのも、辛いところ。  激辛キャンディーを舐めて悶えるとか、おならネタとか、何ていうか扱い方が下品なんですよね。  だから「画面に動物が映っているだけでも癒される」って事も無いしで、ちょっとキツかったです。   長所としては、飛行機内でのやり取りや、絶景の滝で水浴びする場面など、きちんと「旅行映画」ならではの魅力を感じ取れる内容であった事。  そして、主人公チャーリーとルイスの友情が微笑ましく、気持ち良いハッピーエンドであった事が挙げられそうですね。   特に終盤、崖から落ちそうなルイスをチャーリーが助け、子供時代に命を助けられたという借りを返し、二人が対等の関係になる流れなんかは、凄く良かったです。  「これでチャラだ」  「お前と俺とは、負い目だけで結ばれていたんだ」  と会話を交わし、いつも迷惑を掛けてばかりな相棒から離れようとしたルイスを「それは違うよ。ずっと必要だった」「これまでの人生で、人に話せるような話は、どれもお前と一緒だ」と言って、チャーリーが引き止め、笑顔でハグし合う場面は、本作の白眉かと。   二人の友情を描いた部分だけでも、観て良かったなと思えた映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-10 19:59:37)
478.  バウンティー・ハンター(2010) 《ネタバレ》 
 愉快な雰囲気の映画でしたね。  追う者と追われる者、賞金稼ぎと賞金首が元夫婦であり、二人が追いかけっこを通して、徐々に復縁していくというストーリーラインも良かったと思います。   ただ、自分としては今一つ楽しめなくて……その理由は、主人公の性格。  野性味があって、毒舌で、所謂ツンデレ気質でと、女性目線なら魅力的なキャラクターに思えたかも知れませんが、単なる「嫌な奴」としか思えない場面も多く、感情移入するのが難しかったです。  演じているジェラルド・バトラーは嫌いじゃないし、なんだかんだで一途な男なんだろうなぁ、って事は伝わってくるんですが、あまり応援出来ないタイプ。  元妻の家に忍び込んで、トイレの便器に歯ブラシを落としたり、録画されていた番組を消したり、ベッドの上でスナック菓子を貪り枕で口元を拭うシーンなんかは、流石に呆れちゃいましたね。  しかも、そこをさも痛快な復讐劇みたいなタッチで描いているもんだから、どうにもノリ切れない。   監督さんは傑作映画「最後の恋のはじめ方」なども手掛けられているし、全体的な演出や音楽の使い方なんかは、結構好みだったんですけどね。  カジノのシーンにおける「最初は乗り気じゃなかったヒロインも、勝ち続けるにつれ段々ヒートアップしていく」という流れや「軍資金片手にエレベーターに乗り込んだ主人公が、次の瞬間には酒のグラス片手に出てきて、ボロ負けした事を示す」という表現なんかも、良かったと思います。  「主人公とヒロインは元夫婦である」という設定も活かされており、互いを知り尽くしている夫婦ならではの会話が劇中に散りばめられている点も、好感触。   で、そんな主人公カップルを囲む脇役陣はというと……ヒロインの母親は結構良い味出していたけど、精々それくらいで、他は微妙に思えちゃいましたね。  中でも、ヒロインに片想いしている男のエピソードなんかは、本筋に全然関係無いし、人違いで骨を折られたりして悲惨な目に遭うだけなので、全然笑えない。  主人公目線なら「俺の元妻に言い寄るから悪いんだ、ざまぁみろ」と思えたかも知れませんが、ちょっとキツかったです。   「結婚記念日を一緒に過ごす為、嫌味な警官を殴って主人公もヒロイン共々逮捕され、檻の中でキスをして終わり」というハッピーエンドに関しては、中々オシャレだし、綺麗に纏まっていたと思います。  終わり良ければ全て良し……という程ではありませんが、この結末のお蔭で、そんなに後味は悪くない。  まずまずの満足感を味わえた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-05 18:36:41)(良:2票)
479.  ノウイング 《ネタバレ》 
 「お前と」「パパは」「ずっと一緒」「何時までも」という手話は、絶対伏線だろうなと思っていたので、それが当たっていて嬉しかったですね。  永遠の別れとなるはずの場面にて「ずっと一緒」と父子が伝え合う姿には、グッと来るものがありました。   飛行機事故や電車事故の映像なども迫力があったし、ちゃんと「終末映画」としての娯楽的要素も満たしているんですよね。  とても宗教的な内容でありながら、さほど胡散臭さを感じさせなかったのは、作り手に「観客を退屈させない、楽しませる」という意識があったからこそだと思います。   「預言を知った主人公が惨事を警告したら、予告テロかと疑われる」という、この手の映画のお約束ネタを盛り込んでくれる辺りも嬉しい。  実はこれ、劇中でそれほど重要とは思えなくて「別にやらなくても話としては成立したよな」という部分だったりするんです。  でも「やっぱり、こういう映画なら、このネタはやっておかないと!」とばかりに実行してくれたんだから、観ているこちらとしては、ニヤリとさせられました。   不満点としては、上述の息子と別れるシーンでの「最後の手話」が良かっただけに、その後の「主人公が父母と妹と抱き合って迎える、地球消滅の瞬間」が、ちょっと蛇足に思えてしまった事でしょうか。  作中の描き方としても、主人公は明らかに父や妹よりも息子の存在を重視していた訳だから、如何にもオマケ的な付け足しというか「ついでに和解してみた」感があったんですよね。  そもそも父親との長年の確執についても「今となっては、理由も忘れた」と作中で言っているくらいなんだし、映画のラストに「父との和解」を用意するにしては、ちょっとフリが弱かったように思えます。  ヒロイン格かと思われた女性が、交通事故でアッサリ死んでしまうというのも、何だか拍子抜け。   新たな星でアダムとイムになった幼い二人を映し出して終わるのは、中々幻想的で良かったですし「世界の終わり」と「主人公の死」の中にも救いを見出そうとするような「前向きなバッドエンド」とも言うべき作風は、決して嫌いじゃないんですけどね。  丁寧に作られた、良質なSF宗教映画なんだろうな、とは思います。  でも、根本的に信仰心が薄い自分には、あんまり向いていなかったみたいです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-04 10:34:10)(良:2票)
480.  オープン・ウォーター 《ネタバレ》 
 この映画を最も楽しむ方法とは「実話ネタである、という情報を元に観賞する」→「実話なら最低でも一人は助かったはずだ、と思い込む」→「二人とも死ぬのかよ! とツッコむ」ではないでしょうか。   で、自分はといえば「実話ネタ」という以上に「サメ映画」との情報を元に観賞したせいか、受けた衝撃は弱かったように思えますね。  「サメ映画である以上、実話ネタでも間違いなく話を盛っている」との認識があったせいか、ラストシーンの妻の自殺(?)に関しても「あれ、二人とも死んじゃうのか」とアッサリした感想になっちゃいました。   別に実話云々が絡まなくても、劇中世界に没頭していれば衝撃的な結末だったのでしょうが……正直、あまり楽しめなかったがゆえに「バッドエンドでも後味が悪くない」という形になってしまった気がします。  「実話なら生存者の証言を元に作られているはずなのに、それを裏切られた」という不快感も無い代わりに、特にハラハラドキドキもしなかったという形。   一見して低予算映画であると分かる作りであり、映像や音楽などが洗練されていないのが、観ていて盛り上がれなかった一因かも知れませんね。  こういう映画って、ついつい「アイディアが素晴らしい」「大金をかけた映画より遥かに面白い」と褒めたくなるものですが、ちょっと厳しかったです。   前半部の「旅行」パートが、あんまり楽しそうに見えない辺りなんかも、非常に残念。  やっぱり、そういう部分で観客のテンションを高めておいてこそ、その後の海中に取り残される絶望的な展開に、落差が生じる訳ですからね。  なのに、それが一般人のホームビデオ撮影みたいなノリで全然盛り上がれなかったものだから、正直ガッカリです。  問題を抱えた夫婦なのだから、能天気に描く訳にはいかない……って訳でもなく、明るい音楽が流れ、俳優さん達も笑顔を見せているんだから、ちゃんと観客側にも「楽しさ」が伝わってくるように仕上げて欲しかったところ。  サメの模型の口元に頭を突っ込んで、おどけてみせたりする辺りは悪くないだけに、勿体無かったです。   良かった点としては、サメを前にしてナイフを落としてしまう絶望感とか、眠った隙に互いが離れ離れになってしまうも何とか合流出来た時の安堵感とか、持ち物の中に飴玉があると知った時の喜びとか、その辺りが挙げられそうですね。  五十分近くも「海中で孤立する主人公夫妻」というシーンで引っ張る為に、あの手この手のアイディアを出してくれており、観ていて退屈させなかったのだから、これは素直に凄いと思います。  序盤にて、主人公夫妻が「我が家に帰ってくる」事を前提に電話をかけたり、防犯の為に自宅の電気を点けたままにしておく描写を挟む辺りも、皮肉が効いているというか、非常に残酷な描写であり、印象深い。   ハッピーエンドではないし、観ている間楽しかった訳でもないけれど「こういう映画があったよ」という形で、語り易いし、記憶に残り易い一品であったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2017-08-16 02:26:01)
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