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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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481.  重力ピエロ 《ネタバレ》 
原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。 雰囲気や仕上りは悪くはないので、評価は低くはない。しかし、「どこが良かったか」と問われると、なかなか答えが見当たらないという困った作品。家族の絆に対して感動できるものでもなく、不可思議なストーリーやサスペンスに関しては文句を付けるレベルではないが、回りくどさにやや疑問点も生じてしまう。 “たかだか・・・”という事柄がいかに関係者を苦しめるかが痛いほどに伝わってくるが、一歩間違えれば「改心しない犯罪者は殺してもよい」という極端な結論が導かれてもおかしくはない。どんなに苦しいことがあっても、笑って明るくしていればよいというメッセージは心に響くので、ありきたりでキレイごとのオチになるかもしれないが、“復讐”を果たすことなく、犯罪者にある程度のダメージを与える程度に済ませてもよかったかもしれない。復讐を果たすことである程度スッキリとするかもしれないが、別の苦しみにさいなまれることになるだろう。しっかりとしていないかもしれないが、兄なのだから、やはり弟を止めないといけない。兄だからこそ、弟を止めないといけないというべきだろうか。逆に、兄が犯罪を企てているとすれば、弟だからこそ、兄を止めるということもあるだろう。「グレープ」のやり取りのように一緒になって、笑って明るくすれば、弟の心の傷を癒してやることができるのではないか。“血”よりも家族の“絆”は濃いのであり、“最強の家族”というのはそういうことではないだろうか。 (統計学的なデータは分からないが)暴力的な性質は先天的にひょっとして遺伝するかもしれないが、犯罪に対して犯罪で仕返しをするというのはいかがなものか。自己の遺伝子を否定したいにも関わらず、自らそれを認めることにはならないか。せっかく産んで育ててくれた父母の恩に報いることにもならないだろう。どんなに苦しいことがあっても、“復讐”をしなくても最強の家族の“絆”はそれを乗り越えることができるはずだ。 もし、“復讐”を肯定ないし是認できるレベルにもっていきたいならば、もう少し深く兄弟の内面に切り込まないといけない。“法律”“倫理”といったものを超越できる作品レベルに達しないと、「殺人はやっぱりダメだよ」という意見が多くなっても仕方がないだろう。原作を読んでいないので、こういうことしか言えない。
[DVD(邦画)] 6点(2010-02-08 23:09:26)
482.  フィッシュストーリー 《ネタバレ》 
原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。 「フィッシュストーリー」という一曲が世界を救うという流れだが、ほとんど直球がなくて、大部分が変化球というところは逆に面白い仕組み。 『それ関係ないやん』という突っ込みを観客に入れさせることを当然に念頭に置かれて製作されているだろうが、狙い通り突っ込みを入れたくなる流れとなっている。 マジメに直球を待っていると、意外な変化球に戸惑わされることになるだろう。 この世の中では何が起きても不思議ではないということをユニークな視点から感じさせる作品となっている。 また、70年代はパンクロックに情熱を燃やす青年たちを描き、80年代はオカルトチックな昭和テイストを感じさせ、00年代はアクション作品を描き、10年代はSFテイストを交えながら、終末をまさに迎えようとする3人の男たちによる独特な世界を描かれており、年代ごとに演出のテイストを変えていることは評価したいところ。 ただ、どういう趣旨かは分からないが、多部未華子が出演している大部分のシーンにはどこか違和感を覚えさせる。 いい意味でのアンバランスなバランス感覚に優れている作品だが、この部分が悪い意味で失敗しているように思われる(別に彼女のことは好きでも嫌いでもない)。 「正義のみかた」というキーワードから、特撮やアクションヒーローのようなテイストに振りすぎてしまったか。 もともとリアリティのある作品ではないが、胡散臭さが倍増したというイメージ。 こういうテイストが好きな人もいるとは思うので、正解・不正解という単純な割り切りはできないが、個人的な感覚では少し合わなかったという印象。 また、「シージャック発生○分前」というテロップを出すことに対しても違和感がある。 そんな種明かしをすることによって、どういう効果を期待しているのだろうか。 こういうことは、むしろ突然やった方が観客にインパクトを与えられるのではないか。 逆鱗による居酒屋での“フィッシュストーリー”の種明かしも、彗星の爆発のあとのオーラスに持ってきた方がいいかなという印象。 “フィッシュストーリー=ほら話”というオチをもってくると、今までのこと全て現実なのか虚構なのか、観客に対して“混乱”させる効果を生じさせることができるだろう。
[DVD(邦画)] 6点(2010-02-07 20:37:03)
483.  オーシャンズ 《ネタバレ》 
興味を惹かれる映像や、迫力のある自然の驚異的な映像には確かに圧倒される。 我々が知っていると思っている“海”という存在の新たな一面を垣間見ることができる。 ただ、映画としては面白みに欠ける作品。ドキュメンタリーなので面白みに欠けるのは仕方ないとはいえるが、既存のドキュメンタリーの枠からは飛び出している訳ではなく全体的に単調な仕上がり。前半は新鮮さがあるため画面に集中できるが、後半に進むと慣れてきて飽きてくるところもある。 驚異的なシーンだけで構成して観客に驚きを与えるのではなくて、『食物連鎖』『自然と自然との共生』『自然の驚異』『人類の過ち』『南極と北極』といったテーマが見えるような仕組みで構成している。こういった作りには好感を持てたが、全体的に“サプライズ”感が乏しい。多くのシーンは脳裏には焼きついたが、「シャコが結構強い」ということがインパクトの残るデキでは物足りないのではないか。 また、「アース」ならば人類が登場してきてもおかしくはないが、「オーシャンズ」で人類が登場するのはやや違和感あり。 乱獲という問題はあったにせよ、広大な海洋において人類が影響を与えられるほど、人類の能力はそれほど高くないのではないか(衛星からの写真によって川による海洋への汚染の影響はあったが、どういった影響が実際にあるかは不明)。 多くの海洋生物は確かに滅んだかもしれないが、それは自然の摂理であって、果たして人類の責任といえるかは分からない。 人類の影響を描くにするのならば、もっともっとエゲツナイ映像も用いてもらわないと観客に訴えるチカラには欠ける。 網に掛かった魚たち、ヒレだけを切られて投げ捨てられるサメ(実際にはロボットサメ)、海に捨てられたショッピングカート程度では手ぬるいと言わざるを得ない。 本作を観た者に本気で“海”のことを考えてもらいたいという気迫がない。 そもそも何をして欲しいというメッセージがないので、観客は混乱しそうだ。 ストレートに『自然を大切にしましょう』ということを大きな声で発することは大事なことかもしれないが、“映画”ならではのスマートな伝え方というものがあるのではないか。 子ども達に対するメッセージなのでストレートに伝えたいのかもしれないが、やはりこの辺りはもう一工夫して欲しいところ。 もっとも海がダメになる前に、人類が先にダメになるだろう。
[映画館(吹替)] 6点(2010-01-24 01:02:27)
484.  脳内ニューヨーク 《ネタバレ》 
強引に点数を付けるとこの程度となるが、点数を付けにくい映画。 満点を付けてもいいかもと思うほど、ある種のレベルを超えている映画でもある。 ぶっちゃけると1割も理解はできなかったと思う。 何を描きたいのかについては、ボンヤリとしたイメージしか伝わらず、言葉で表現するのは難しい。 “死”“生”“人生”についての映画なのかな程度としか言いようがない。 “自分”というものは、存在しているようで存在していないものなのだろうか。 ただ、この不可思議さや難解さは、「フザケルナ」と頭にクルようなものではなくて、どこか心地よさを感じられるものだ。 描かれている事象はそれほど難解ではないので、まったく飽きることはなく、不可思議な世界に酔いしれることができる。 “緑の○○○”“燃えている家”など、あまり意味など深く考える必要はなく、何も考えずにアタマを映画に委ねた方がよさそうだ。 終盤でリアルな“現実”が明らかになり、種明かしでもあるのかと思っていたら、そういうこともなく、“混乱”させたままスパッと観客を突き放す辺りも常人とは思えない発想。 “現実”や“虚構”と考えること自体が凡人の発想なのかもしれない。 映画に描かれた世界は、全てが“現実”であり、全てが“虚構”でもあり、又はどちらともいえない第三の世界と捉えるのが、カウフマンの発想なのだろうか。 毒にも薬にもならない映画に見飽きている人にはおススメできる映画に仕上がっている。 それにしても映画監督はこういう難解な作品にチャレンジしたがるものなのだろうか。 初映画監督作品でこのような作品を作ってしまう、カウフマンはやはりとんでもない奇人だ。 次回作も楽しみだが、いきなりハードルを上げてしまうと飛び越せなくなってしまう。 カウフマンのことだから、またいい裏切りをしてくれそうだが。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-21 23:36:39)
485.  眼の壁 《ネタバレ》 
ラストの幕引き以外はかなり面白いシナリオ。 事件の闇が深すぎて、事件の顛末がどうなるのか気になって引き込まされた。 刑事とは異なり、素人の会社員と新聞記者というコンビも面白い。 さすがは清張の原作作品だけのことはある。 余計なことをせずにストーリーの流れに沿っているので、原作の良さが活きているのではないか。 シンプルな作風には工夫の余地もあるが、こういうスタイルもそれほど悪いものでもない。 ストーリーとしては、素人の会社員が数ヶ月に亘って事件に関わるというのはおかしな話なので、もうちょっと男と女の関係を深めてもよかったかもしれない。 上司の仇討ちのような形で始まったことではあるが、自分が惚れた女がいったいどういう女なのかを知りたいという方向性にもっと進めていくと、より面白い作品に仕上がったのではないだろうか。 そうすると、会社員の男の心境や人間像も明らかになり、女性の方もただの「キレイなだけの人」ではなくなり、どちらにも深みのあるキャラクターに膨らむ。 知りたいのは事件というよりも、女という方向に進めると、相乗効果が期待できそうだ。 事件を追えば女の素性が分かり、女の素性が分かれば事件の闇も分かってくる。 そもそも最初の事件もうやむやになってしまっているので、人間に焦点を当てた方がいいだろう。
[DVD(邦画)] 6点(2009-12-21 23:19:40)
486.  パブリック・エネミーズ 《ネタバレ》 
評価しようと思えば、いくらでも評価はできる作品には仕上がっている。 映像面においては、素晴らしいシーンや素晴らしいアングルなど、見所で溢れている。 例えば、森の中でデリンジャーが銃を乱射するシーンを映しながら、相手の動きまでをも同時に捉える場面などには唸らされる。また、個人的に気に入ったのは、“静”から一気に“動”へと展開していく演出だ。冒頭の脱獄シーン、銀行強盗シーン、アパートやクルマの中にいる捜査官を襲う各シーンなど、少なくとも4~5ヶ所はそういった演出を試みている。このような演出により、作り物らしくはないリアリティさは生まれている。ただ、マイケル・マンらしい臨場感のある演出は冴えているが、映画としては面白みに欠けるような気がする。 特に、人間ドラマが希薄のように感じられた。ジョン・デリンジャーという人物がはっきり言って見えてこない。人質に取った女性にコートを貸してやるところを含めて、もちろん断片的にはどのような人物かは分かるが、デリンジャーに共感したり、彼の生き様に感動したりはできにくい。ジョニー・デップの圧倒的な存在感により、彼の姿は確かにカッコよくは描かれているが、彼の内面を深く描けば、もっともっとデリンジャーは輝きを増したのではないか。本作のメインになると思われたデリンジャーと恋人のビリーの肝心な関係も深くは描かれていない。深まりそうになったところで、逮捕されてしまうので仕方がないところはあるものの、彼らの関係には物足りなさを覚える(ラブシーンは綺麗に撮られていたが)。 デリンジャーとFBI捜査官のパーヴィスの関係も何も伝わってくることはなく、パーヴィスの執念といったものは感じられない。出番の少なかったフーヴァーの方が存在感を発揮するようではダメだろう。緊迫感を伴って追われる者を描くためには、追う者の存在感が強くなければ、面白みがなくなる。 そして、デリンジャーとその仲間たちの関係もイマイチなので、初見では誰かが死んでも、訳の分からない奴が死んだとしか感じられない。FBIサイドとしても増強したメンバーを含めて、彼らの存在感が強くはないので、この部分においても面白さが感じにくい(見に行く映画を当てるというシーンなどはあるが)。 人間ドラマをメインにしたタイプの映画ではないということもできるが、ストーリー上の面白さを感じにくいタイプの映画になってしまった。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-13 22:32:18)(良:2票)
487.  カールじいさんの空飛ぶ家 《ネタバレ》 
3D字幕版を鑑賞。それなりに楽しむことはできる作品には仕上がっている。妻を亡くし孤独になって旅に出るという少々センチメンタルで感傷的なストーリーになると思っていたのに、いつのまにか“奇妙な鳥を巡る戦い”になってしまったのは物足りないが、子ども向き作品なのでこの辺りは諦めるしかない。ただ、それなりには楽しめたが、それだけで良かったかは疑問が残るところ。ピクサー作品は失敗が許されなくなってしまったためか、ディズニーに完全買収されて歯車が狂ったのか、近年の作品は心に響く作品でもなく、ドタバタ感だけが残るという印象が強い。他のピクサー作品ももちろんドタバタしているが、「メッセージ性」「ストーリー」「アクション・映像」が三位一体となっており非常にバランスが優れていた。しかし、本作は「アクション・映像」の比重が多く、ややバランスが悪いような気がする。小さなお子さまは喜ぶかもしれないが、これでは見終わった瞬間「面白かったね」だけで終わる作品となってしまう。ピクサー初の3D作品だから、「アクション・映像」の比重が多いのかと思ったものの、それほど3Dを活かした作品でもなかった気がする。「カールじいさんがアルバムを眺めるシーン」など、もちろん素晴らしいシーンもあるが、“夢の実現”“冒険への憧れ”“過去の思い出に囚われて生きる希望を見出せない”“孤独か友情か”といったメッセージ性が深く感じ取れないところがある。深く感じ取れないのは、マンツに思い出の詰まった家に火を付けられて、ケヴィンよりも家を守ろうとするシーンと、家を放り出してラッセルやケヴィンを助けようとシーンの対比が上手く働いていないといったところにもあるような気がする。「たかが家だ」というカールじいさんのセリフはカッコいいが、カールじいさんの心境の変化が分かるように、もっと分かりやすく演出した方がよかったのではないか。また、“滝に辿り着いて夢を実現したものの、孤独のままで何も変わらない”というシーンももっと感傷的に描いて欲しかったところ。過去の楽しい思い出ももちろん重要だが、我々は現在を生きているわけであり、現在の仲間たちと過ごす時間もまた重要で楽しいものというメッセージに繋げたい。ケヴィンとラッセルを助けたいというカールじいさんの“情熱”を肌で感じられるレベルまでに仕上げることができたら、もうちょっと高い評価をしたかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-05 23:06:48)
488.  天城越え(1983) 《ネタバレ》 
分かるようでイマイチ分からないところもある映画。 本作の少年にそれほど感情移入できなかったので、個人的には高くは評価しにくい。 田中裕子に惹かれるかどうかでも感想が異なりそうだ。 少年(印刷会社社長)の犯行であることは一目瞭然なので、なぜ彼が人間を殺さざるを得なかったのかという犯行の動機がポイントなるが、それが明瞭になっても、それほど深くは感じ入れなかった。 犯行の動機は、“男”としての性や優劣競争のようなものだろうか。 「俺はこんな奴に負けたわけじゃない」「オマエのせいで俺の・・・」という思いや憤りが爆発したのだろうか。 自分の母親も叔父さんに取られたようなことになっており、“男”として敗北感や“子ども”という無力感が既に根付いていたのかもしれない。 少年も若いなりに“男”が爆発したが、本作の監督も“男”として爆発し、田中裕子をそういった視点から上手く撮っている。 それにきちんと応えている田中裕子を褒めるべきかもしれないが。 ただ、天城のシーンはよく撮れているが、現代のシーンは評価できるものでもない(最後の意味不明なところもあるカットも興ざめ)。 コントメイクの老刑事とのやり取りも何かを感じ取れるものはない。 結局、ハナも無罪となったものの、病気で死んだというのもやや引っ掛かるところだ。 ハナが無罪となっては、彼が犯した“罪”の重さも変わってくる。 時効によって罪は消えるかもしれないが、罪の意識は消えることはないはず、ましてや他人(好きな女性ならばなおさら)に罪を押し付けるということはどれだけ心に深く刻まれるかということをもうちょっとアピールして欲しいところ。 そのためにも、無罪や病死というのはいかがなものか。 そもそも彼女が無罪となったら、少年にも嫌疑が掛かるものではないか。 彼女が罪を被れば、少年が罰せられなかった理由は分かる。 しかし、彼女の言動に何か引っ掛かるところがあり、引退した刑事が最後に犯人と向き合うという形にした方がよいかもしれない。 刑事自身も自分が犯した“罪”と向き合ってもよい。 彼も“男”として初めて向き合った殺人事件を解決したい、“男”として“女”になめられたくないという思いがあったのかもしれない。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-21 22:34:05)
489.  わるいやつら 《ネタバレ》 
原作未読、ドラマ未見。 さすがに松本清張原作作品だけのことはあり、見応えが十分だった。 終盤の豪華出演陣も驚かされるばかりだ。 当時としては最先端なのかもしれないが、今観るとかなり違和感のある映像も逆に新鮮でなかなか面白いと感じた。 また、主演の院長が軽薄でどうしようもなく雑魚っぽいところも個人的にはツボ。 現在の映画においては、こういうキャラが主演になることは少ないだろう。 男と女の様々な欲望が絡み合っているが、あまり計算しているように思えず、本能のおもむくままという状態もどこか生々しいところがある。 それぞれがスマートな知能の持ち主ではなく、間の抜けたところがあるため、より人間らしくみえる。 そして、男と女の“性格”が要所要所で上手く描かれているように思われる。 特に、個人的には“殺し方”に特徴が現れていたと感じられる。 男は首絞めやナイフといった暴力的かつ直接的な手段を選ぶものの、女は薬といった間接的ともいえる手段を選んでいる。 男は感情で行動し、女は冷めた目で行動するということだろうか。 現代の男女の在り方を考えると、逆のようにも感じるが、当時としてはそういうものだったのかもしれない。 いずれにせよ、男性よりも女性の方が、肝が据わっているのは事実だろう。 徹底的に利用する女と、徹底的に利用される男という構図も面白い。 もし、院長が婦長を女性のように徹底的に利用することができれば、恐らく身の破滅を防ぐことができただろう。 それができないのが男の性というものか。 院長もわるいやつだが、院長や下見沢を手玉に取る槙村の“わる”が映像上見えてこない点が面白いところでもあり、物足りないところでもある。 完全な“わる”を見せることもないが、もうちょっと彼女なりの“恐ろしさ”を醸し出してもよかったか。 自分の“弱さ”を見せたり、簡単には落ちないような“強さ”を見せたりと、様々な顔は見せているものの、“恐ろしさ”はストレートには感じられない。 刺殺されるという結果を踏まえると、彼女の“恐ろしさ”は相当なものなのだろうが。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-21 22:17:39)
490.  マルクス兄弟 オペラは踊る
ウディ・アレンが好きなので、マルクス兄弟については名前を前からよく知っていたが、鑑賞するのは、本作が初めてとなった。 ファーストインプレッションは、度肝を抜かれたところもあり、正直凄いとは思った。 しかし、確かに凄いとは思うが、はっきりいって自分の感性には合わなかった。 グルーチョはナンセンスさにはついていけず、ハーポにはちょっとヒイた。 「チャップリン」や「キートン」のこともよくは知らないので、偉そうなことはいえないが、彼らの笑いは単純でストレートだと思う。 マルクス兄弟にも、単純でストレートな部分はあるが、それほど分かりやすい笑いではないと思う。一言でいえば“シュール”な笑いではないか。 古臭さを感じるというよりも、斬新さが目に付いた。 笑いというものをやや超越しているところもある。 多くのコメディアンに影響を与えたことは明白であるが、影響を受けた者はマルクス兄弟の笑いをもっと単純化したものであり、常人が理解できるレベルに落としている。 マルクス兄弟の笑いの真髄は、誰にも真似はできないかもしれない。 テレビのような大衆的な笑いというよりも、地下の小劇場でやるような独自の笑いの世界がある。 初見では少々評価を低くしてしまったが、あまりに毒性が強くて、体が受け付けなかっただけかもしれない。 彼らの笑いは特殊であり、単純というわけではないので、現代の人々の中ですんなりと受け入れることができる人はそれほど多くないような気がする。 しかし、何度も見ていけば中毒症状を起こしそうな深さや怖さは感じられるものだ。 ハマれれば、どっぷりとハマれそうだ。 ストーリーについては全く関心がなかったが、意外としっかりしているのも驚きだ。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-21 22:06:02)
491.  ソウ6 《ネタバレ》 
デキは意外と悪くはなく、合格ラインは突破しているのではないか。驚くようなトリックはないものの、ゲーム自体はなかなか凝ったものとなっている。また、ホフマン刑事にカリスマ性がないことが欠点だったが、そういう欠点を長所に変えるところがこのシリーズの良さでもある(Ⅲでも使った手法)。直接殺人を犯すという暴挙に出た彼に後継者失格の烙印を押して、今後のシリーズ展開を膨らまそうという狙いもみられる。 気に入らないところは、保険会社の担当者を殺す必要があったのかというところだ。彼のゲームのプレイを見ている限りでは、それほど悪い奴ではない。自分だけが生き残ることや自分が痛みを感じないことを第一に考えているわけではない。計算や数字で判断するのではなくて、純粋に仲間を助けたい、家族や子どもがいるかどうか、というような点で判断している人間的な一面が垣間見られる。 彼がどういうプレイをするかを母子が判断するという“ゲーム”があるとすれば、彼のプレイは間違っているようには思えず、母子の“ゲーム”はミスではないか。彼を殺さないことによって、今後は更生して何人もの命が彼の保険によって救われる可能性も出てくる。 彼をたとえ殺すとしても、もうちょっとタメが必要だったと思われる。母親がいったんは殺そうと決意するもののやはり最後には殺せないと嘆いて、観客に対して安堵感を与えておきながら、最後の最後に息子がもう一撃食らわせるということが必要だったのではないか。“彼が助かった”と感じさせないと息子の一撃が活きてこない。 “ゲーム”の趣旨を考えると、殺すこと自体賛成できないうえに殺し方も面白みに欠けるので、この点がマイナス評価となる。一応、“生への実感”“生に対する感謝”が本作のテーマでもあるわけなので、なんでもかんでも殺せばよいという問題ではない。父親を見殺しにされたから“むかついたので殺します”では、復讐や暴力を是認する残酷なだけのものであり、映画としての“深み”もなくなってしまう。 彼を殺すか殺さないかというのも製作者に対する一つの“ゲーム”だったような気もする。化学薬品を使った面白い殺人方法を思いついたから、実現させてみようぜというノリではないか。ハロウィーンシーズンに楽しむサスペンスホラーなので仕方がないとはいえ、製作者自身が“ゲーム”に負けているような気がする。
[映画館(字幕)] 6点(2009-11-08 22:37:41)(良:2票)
492.  沈まぬ太陽 《ネタバレ》 
202分という上映時間の割には、長さを感じさせない映画に仕上がっており、この点に関しては大いに評価したいところだ。 原作は読んだことがないが、その膨大な原作を練りに練りこんで脚本化して、一人の男の半生を興味深く描き込むには相当な労力を要したことだろう。 飽きるということは全くなく、むしろもっともっと色々なことを深く描いて欲しかったというところが正直な感想。 ただ、つまらないという印象は全くないが、男の人生・生き様に関して、深く感銘を受けるというものもなかった。 実際の事故や人物をベースに描いているので、深くえぐり取ることができずに、ぼやかさざるを得なかったのかもしれないが、ストーリーを流すことを主眼に置きすぎて、ポイントが少々ズレてしまったところがある。 企業も政治も何もかも「どろどろ」としているが、その「どろどろ」が上手く活きていないような気もする。 上映時間だけは長いが、長ければそれだけ深く描けるということはないようだ。  観客に訴えたいポイントを“核”にしなければいけないが、その“核”が少々見えてこない。 『苦しみの果て、悲しみの果てのアフリカの地で恩地が何を見て、何を感じたのか』が自分には深いところが分からなかった。 恩地とココロを通わして、何か同じことを感じ取ったり、考えることができなかったのは自分が幼すぎるからだろうか。 「逃げずに立ち向かい戦い続けた男」「波から落ちないように戦い続けた男」「戦うことから逃げてしまった男」など、様々な男の生き様と、その男を支え続けた女の姿が描かれている。 自分自身の性格が「逃げずに戦う男」ではなくて、「戦うことから逃げてしまう男」なので、本作の“核”が感じ取れないのかもしれない。 兄が妹に対して、「生きている時代が違うから分からない」というセリフがあったと記憶しているが、まさにそういう感想だ。  ただ、人類が生まれた地であるアフリカという場所に立って、再び生れかわれる、再びスタートできるというような気持ちがあったのかもしれないというようなことは感じられた。 自分自身との苦しい戦い、悲しみの果てにも人間はやり直せるというようなメッセージをもっと本作から深く感じ取りたかったところだ。
[映画館(邦画)] 6点(2009-11-02 00:30:44)
493.  さまよう刃(2009) 《ネタバレ》 
原作未読。よく出来た映画であり、何かを考えさせられる映画でもある。ただ、“深い”部分まで描かれているかといえば、そういう作品でもない。表面的な部分をすくった程度であり、ココロに深く何かを刻まれたという想いはない。“傑作”というジャッジをするには至らず、“良作”というところではないか。 しかし、寺尾聰さんの演技は評価に値する。演技の上手さや下手さの判断がそれほどよく分からないが、寺尾聰さんの演技はリアルであり、ナチュラルである。実際に娘を殺されて、未来を奪われた人間としか映らなかった。そこには“答え”が分からずに、呆然として、さまようしか術がない男しかいなかった。 “復讐”ということは“答え”ではないかもしれない。しかし、被害者の遺族の感情とすれば、何らかの“答え”は必要なのだろう。“復讐”以外に答えを求めるとすれば、「立法」と「矯正行政」の範疇となる。せっかく裁判員制度も導入されたのであるから、もう少し刑罰の幅を広げてもいいかもしれない。複数名を殺害しないと死刑にならないというのはおかしな裁判判例であるし、殺害の意思がなければ殺人罪にも問えないこともある。過去の判例と照らし合わせて判決を下すのではなくて、裁判員制度ではもっと様々な事情を鑑みて判決を下されるべきではないか。「1人でも殺せば死刑になることがある」という判決を重ねないと、犯罪の抑止力が損なわれる恐れがある。 日本には「死刑」「無期懲役」という刑罰はあるが、「無期懲役」には仮釈放というおなしな制度もある。この際、「終身刑」という新たな刑罰を創設し、被害者遺族の感情に応える立法も必要な時期に来ているのかもしれない。また、刑務所にいったん入っても再犯するような事態を極力避けるような矯正行政の在り方や社会の仕組みも問われるべきだろう。罪を犯した者が刑務所に入ることによって、誰しもが納得できるようなシステムを構築することが、被害者の家族の感情の軽減や犯罪の抑止力といった効果が期待できる。 なかなか簡単には社会は変わらず、変えることもできないが、よりよい方向に変える社会作りに我々は貢献したいものだ。 現在の動きは、逆に「死刑制度」をなくそうという動きすらある。 被害者の想い、加害者の事情、人を裁くことはそれほど簡単なことではないが、犯した罪に応じて厳罰を処するということはあってしかるべきであろう。
[映画館(邦画)] 6点(2009-10-19 21:20:50)
494.  カイジ 人生逆転ゲーム 《ネタバレ》 
原作はかつて“沼”辺りまで見ていたような思い出がある。本作に描かれているゲームはかなり簡略化されているだけではなくて、ポイントが少々ズレているので、それぞれのゲームの面白みは薄れている。カラクリを知っているためか、それとも演出がマズいためなのか、ゲームに息を呑むような緊迫感があるわけではないので、評価を下げたいところだが、本作のメッセージがそれほど悪くはなかったので少々評価を上げたい。 脚本家の大森美香は、金を持っているから「勝ち組」とか、金を持っていないから「負け組」といったことで“人”を判断してよいのかということをメッセージとして伝えようとしていたのではないかと感じた。“金のため”に平気で仲間や他人を裏切って、それによって「勝ち組」ということになるのならば、「勝ち組」になんてならなくてよい。カイジが船井や利根川に勝てたのはイカサマというよりも、相手のイカサマや能力を逆用しただけだ。 カイジは友達の連帯保証人になっただけにも関わらず、限定ジャンケンの負けを被り(一人で十分なのに一緒に落ちるというのはいかがなものか。おっさんの負けを被ったあとにおっさんも地下に落ちてきたという流れの方がよい)、勝利した金を遠藤にかすめ取られ、それでもなお、おっさんと交わした“約束”を守ろうとしている。 カイジは誰も裏切ることはせずに、佐原や石田のおっさん、そして遠藤までをも最後まで信頼しているのである。現代にはあまり存在しないバカ正直なオトコだが、カイジは「勝ち組」でも「負け組」でもない何か新しい“階層”にいるような気がした。 一寸先は闇である不況時代においては、そういう人間こそ、真の「勝ち組」といえるのではないかというメッセージを受け取った。1年前は金を死ぬほどもっていても、1年後には破産するような時代である。「勝ち」でも「負け」でもない、人間としての当然の在り方を求められる時代ではないか。 あのシチュエーションで、遠藤が組織に歯向かってでも5千万円をカイジに貸すということは、原作的にはあり得ない流れだが、そういうカイジのバカ正直さ(自分のことを最後まで良い人と言う)、他人に対する信頼を、彼女なりに信じてみたくなったのではないか。 彼女もいわゆる「勝ち組」から脱して、違う“階層”に進みたかったのかもしれない。 最後は騙し討ちをしているが、“金利”という名目なので仕方はないだろう。
[映画館(邦画)] 6点(2009-10-19 00:06:08)
495.  ココ・アヴァン・シャネル 《ネタバレ》 
シャネルの生き様や彼女のファッションに関しては、ほとんど前知識なし。フランス語はよく分からないが、“アヴァン”は“前”という意味があるようであり、“シャネルになる前のココ”というタイトルになるようだ。自分はデザイナーとしてのシャネルに関心があったので、一人の女性としてのココ・シャネルにはそれほど関心がなく、大きな感銘を受けるほどのものはなかった。 あまり面白みはない作品ではあるが、オドレイ・トトゥの表情が非常に印象的に描かれている。冒頭から憂鬱そうな表情を浮かべている。「退屈だと老けてみえる」というようなセリフがあったと思うが、まさにその通りである。裕福なバルザンの家に転がり込んでも、浮かない表情はそのままだった。しかし、“ボーイ”カペルとの2日間の小旅行ではその表情が一変している。生気のない表情から生き生きした若々しい表情へと変化している。“ボーイ”カペルとの別れや死で再びその表情も曇ってしまうが、最後のコレクション時の表情もまた印象的なものとなっている。“ボーイ”カペルと過ごした際の幸せそうな表情とは異なるものの、新たな生きがいを見つけたようなこれまで見せたことのない不思議な表情を浮かべている。オドレイ・トトゥの表情を見ているだけで、色々なことが伝わってくるような気がした。表情だけで内面を描き出すという演技は評価したいところだ。 本作は「愛している」「愛していない」、「結婚する」「別れる」というような単純な二面で割り切れるようには描かれていないのも特徴。人間の感情などは複雑極まりないものだ。映画においてはその複雑性を描くことは本来難しいものだが、本作においてはそれがきちんと描かれているようには感じられた。女性監督だからか、繊細なあやふやさがいい効果として発揮されている。 また、実際はよく分からないが、本作の中のココ・シャネルは「結婚」や「家庭」について嫌悪するのとともに大きな憧れを抱いていたようにも思われる。 苦しむ母親の姿を見て育ったものの、冒頭の孤児院において父親を待っている姿を振るかえると、いっそうそう感じざるを得ない。 “ボーイ”カペルとの結婚を心から望んでいたと思われるうえに、彼が生きていれば、彼女の人生も大きく変わったかもしれないとも感じられた。 そういう屈折した想いが深く描かれていれば、観客はより感情移入しやすい映画になったのではないか。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-17 23:10:41)
496.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
個人的には狙ったわけではないが、「3時10分」から始まる回を鑑賞。 劇場の方は完全に狙っているだろう。 世間一般でも絶賛されている本作だが、なぜか上手くハマれなかった。 オリジナルを見ていなければ、もうちょっと高い評価をしたかもしれない。 予習用にオリジナルを見た直後に鑑賞したのが完全に裏目に出たようだ。 人間ドラマに焦点をあてて、西部劇らしからぬ西部劇だったオリジナルの良さに惚れこんだが、派手でありがちな西部劇に変化させてしまったことが引っ掛かってしまった。 オリジナルでは、冒頭の強奪の際に双方に多くの死傷者が出るほど派手な銃撃戦はない。 アパッチ族も出てこなければ、トンネル爆破もない。 護送中にベンが護送をしている者を殺すこともなければ、金目当ての住民から撃たれることもない。 派手さを“時代”が要求しているのかもしれないが、そういったことをしなくても良作ならば、観客は付いてくるのではないか。 派手な撃ち合いがあること自体に対して非難するつもりはないが、ベンという男に対して“感情移入”を妨げるような結果に繋がっているような気がする。 オリジナルでは意外と紳士だったベンは、このために極悪非道ぶりを露呈せざるを得なかった。 油断したといって仲間を殺したり、ブチ切れて次々に殺したり、訳の分からない奴に恨みを買われたり、助けに来た仲間を殺したりと、彼には“良心”がなく、はっきりいって好きにはなれないキャラクターだ。 ダンの“名誉”のために最後の列車には乗ったものの、馬を呼んで脱獄する気が満々というのもいかがなものか(これでは皆が無駄死になる)。 このような無法者の犯罪者と貧乏な牧場主では“友情”や“絆”は築かれないのではないかと思う。 オリジナルではベンはダンの姿に、成れなかった自分を投影していたが、ダンの“名誉”を守るほどの関係性がオリジナルほど深まっていないような気がした。 オリジナルではそれほど出番のない息子をクローズアップして、「自分に対する誇り」というテーマを重要視している。 そのテーマには惹かれるが、名誉ある“死”が心の中で上手く整理することができず、“感動”に繋げることができなかった。 自分自身に対する“満足”、自分に対して軽蔑の念を抱いていた息子や妻へ“自分の生き様を刻み付けた”という意味のある“死”ではあるが、ちょっとすっきりしないオチでもある。
[映画館(字幕)] 6点(2009-08-16 01:50:22)(良:2票)
497.  モンスターVSエイリアン 《ネタバレ》 
3-D版を鑑賞。やはり迫力や美しさは格別だ。大したことのない風景や描写でも、3-Dになっているだけで、感動的なものに仕上がっている。3-D版を鑑賞したので、やや高めに評価している部分があるかもしれない。 3-D版の難点は吹き替えが中心になることだが、本作のベッキーとバナナマン日村はどちらも悪くなかった。もともとベッキーのことをよく分かっていないためか、彼女の吹き替えには違和感が全くなく、自然かつ上手く吹き替えをしている。素人とは思えないほどだ。 日村については、彼がセリフを言うたびに、日村の顔が浮かんでくるが、彼が吹き替えたボブというゼリー状のキャラクターが日村の外見や中身と酷似しているので、悪くはない効果が生じている。 ストーリーについては、深みはほとんどないが、ノンストップアクションが繰り広げられており、全く飽きることがない。今まで観たこともない驚くような展開は見られず、逆に「スター・ウォーズ」などの他のSF作品をやや想起させるようなシーンも見られるが(パクリというよりもパロディといえる)、王道的なストーリーが展開されているので、時間分はきっちりと楽しめるようになっている。「チーム」や「友情」というテーマもきちんと描かれているので十分だろう。 また、本作の良さといえば、各キャラクターが個性的である点だ。 ヒロインのスーザンの表情はアニメ作品としては珍しく豊かであり、弱さとともに強さを兼ね備えた好感のもてるキャラクターになっている。彼女を助ける4体のモンスターも個性的な仕上がりとなっている。ユニークな存在のボブ、マッドサイエンティスト・コックローチ博士、見かけだけのミッシング・リンクどれも上手くバランスが取られている。出しゃばりすぎず、存在感が薄いわけでもない。 全く喋ることができない巨大なムシザウルスにさえ、個性や愛着を感じるほどだ。 リンクがムシザウルスをきちんと“仲間”であると認識して接しているから、観客もそのように感じるのだろう。 大統領や将軍といった完全なサブキャラでさえ、個性や愛着を感じられるので、キャラクター造形については成功しているといえるだろう。 将軍が「50年間、モンスターを見守ってきた」というセリフを言っていたので、「オマエ、いったい何歳だよ?」と突っ込みをいれたが、その突っ込みに対する返答がエンドクレジット中に用意されているのも面白い。
[映画館(吹替)] 6点(2009-07-12 14:35:59)(良:1票)
498.  ブッシュ 《ネタバレ》 
基本的にはオリバー・ストーン監督作品の「ニクソン」と製作スタイルは似ている。製作者の強い主張は込めずに、視点をややボヤかしながら事実を中心に描き出し、観た者に何かを感じ取ってもらいたいという意向が込められている。ユーモアと鋭さを交えながら、オリバー・ストーンらしい面白い作品には仕上がっているが、はっきり言って「ニクソン」に比べると物足りない点は評価できないところだ。自分の過去の作品を超えられないようでは、あえてチャレンジする必要もなかったのではないか。ややネタバレになるが、どちらも同じような存在に怯えるようなところもあり、ワンパターンともいえる。 また、ニクソンに比べて、ブッシュの方が人間的なのかもしれないが、面白みや魅力に欠けるのもマイナスだったかもしれない。描くべき題材としてはあまり適していないのだろうか。石油利権やイラン等の周辺国への影響は描かれているが、戦争を起こして英雄になりたいという野心や政府の陰謀が描かれるわけではなく、ただただ当時の情勢に従い、大量破壊兵器があると信じて、戦争を起こしただけであり、当時としてはベターという選択をしたに過ぎないことが描かれている。戦争を起こした後の長期的な展望が欠けおり、物事をあまりにも楽観的に考えていただけだ。ブッシュ自身は、自らのポリシーも強い信念もなく、周囲の意見に流されるまま、父親への反抗心やただ神のお告げという信心深さにより、色々な行動を起こしたに過ぎないのかもしれない。 さらに、全般的に亘り、終始表面的にしか描かれていないような気がして、“深み”が足りないと感じられたのもややマイナスか。 冒頭に触れたように、製作者の強い主張は込められてはいないと思われるものの、オリバー・ストーンが共和党支持なのか、民主党支持なのかは分からないが、結局のところ、ブッシュを人間的に描き、「ブッシュを許そうではないか」というような擁護するような意図が含まれていると感じられた。人間的なバカさ、人間的な優しさがあるものの、リーダーには不向きなだけだったということだろうか。そういう趣旨を込めたことも、もう一歩踏み込められなかった要因だろうか。 ただ、アメリカの政治に対してほとんど知識を持ち合わせなくても大半は理解できるほど、難解さがなく、平易に描かれている。ブッシュ映画や政治家映画の入門編と考えれば、評価できないわけではない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-28 11:35:22)
499.  消されたヘッドライン 《ネタバレ》 
リアリティのある仕上りであり、ラッセル・クロウの演技も見応えがあった。クロウ演じる新聞記者が真相に気付くまでは、もうちょっと高い評価をしようとしたが、予期せぬ“どんでん返し”があったため、評価を下げることとなった。観客が驚くオチを考えようとするあまりに墓穴を掘ったという貴重な例だろうか。 あまり頭が整理できていないので、間違っているかもしれないが、ネタを整理すると「議員が戦友と親友の“友情”を利用して、自分をスパイしていた民間軍事企業を逆に陥れようと画策した」というところか。「スパイ行為を行っていたものの民間軍事企業は殺しまでは手を染めていなかった」ということが真相だろうか。脚本的には上手くオチている気がするが、映像上では上手くオチている感じがしない。新聞記者がカラクリに気付いてから、殺し屋が最後の行動を起こすまでの一連の流れが拙速すぎるという印象をもつ。議員の奥さんの一言だけで全ての糸が解れるというのはあまりにも唐突だ。 殺し屋も最後に何をしたかったのか、なぜあの場所に居られたのかも不明。本作の“肝”になるところなので、もっと丁寧に描いて欲しかったところだ。異なるエンディングの1バージョンというような浮ついたものとなっている。 また、本作の「友情と真実」というテーマも上手く描き切れているとは思えない。“真実”の追求するためには友情を利用・犠牲にしてもいいのかという記者の“苦悩”がもっと必要ではないか。この部分が緩いため、逆に“友情”を利用していたのは議員の方だったというオチが効果的に機能していない。 さらに、レイチェル・マクアダムスの演技にも不満が残る。もともとはウェブ版の担当ということであり、冒頭は“軽め”の演技でも問題ないが、終始その“軽さ”が払拭されなかったという思いが強い。目の前で証人が死んでいるにも関わらず、あまり大きな変化が感じられなかった。最後の記事を“送信”できるほど、本物の“ジャーナリスト”に成長して欲しかったところだ。 悪くはない作品だが、“素材”を活かしきれておらず、最高の調理ができたとは思えないので、評価をやや下げたいところ。「大統領の陰謀」を参考にしているようなところもやや気になる。当初はブラッド・ピットが新聞記者を演じることとなっていたが、彼が降板した理由も少々理解できるものとなっている。出演してもあまりプラスにならない映画だ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-28 11:31:07)(良:1票)
500.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
大金が投じられたド派手なアクション作品なので、鑑賞時間分は楽しめるが、観てよかったと感じる部分は少ない。序盤は期待感があったものの、ありがちなストーリーに終始している。多くのSF作品からのアイディア流用も多く、オリジナル性が感じられない。不満な部分は以下の通り。 ①【中身のないストーリー】本作は基本的に中身がなさすぎる。コナーとカイルの出会いという意味はあるが、大して意味のあるものではなかった。本作がターミネーターの隠された歴史に何かが刻まれたとは思えない。タイムパラドックスという問題があるが、むしろ歴史が変わるようなことがあった方がストーリーは面白くなるのではないか。 ②【強力な敵の不在】T1000、TXという強力な敵がいるから、このシリーズは面白いのである。ターミネーター同士のガチンコバトルが本シリーズの見所であるが、本作には手に汗握るようなバトルが描かれていない。シュワの復活には心が躍ったが、盛り上がったのはあのシーンだけだ。せっかくマーカスという新キャラクターを盛り込んだにも関わらず、彼とT800のバトルに盛り上がりが欠いたのはもったいない。 ③【ラストの心臓エピソード】本作において「人間と機械の違い」について語られていたと思う。個人的には「人間には限りのある命がある」から、機械とは違うのではないかと考える。「心臓がもたない」から交換しましょうでは、機械の発想と変わりがない。このエピソードを盛り込んだ趣旨や意図が全く分からない。このエピソードのせいで、評価は下げざるを得ないだろう。これよりも、マーカスはコナーをかばってT800と相打ちになったり、T800のエネルギーを爆発させるためスカイネット本部に残って爆破させた方がよかっただろう。マーカスを機械としてではなく、より人間として描くこともできる。 ④【新シリーズへの期待感】本作を観て「続編が楽しみだ」と感じる者は多くないだろう。ヒットしなかったら、シリーズを打ち切れるように予防線を張ったとしか思えない中途半端なハッピーエンドで幕を閉じた。「おいおい、この後どうなるんだよ!」という衝撃的なエンディングを用意しないと、シリーズはもたないのではないか。スカイネットに主要人物が捕まるといった選択肢があるのに安易なエンディングで逃げたとしか思えない。 残念ながら、新シリーズは好ましくないスタートを切ってしまったようだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-06-07 20:13:13)(良:2票)
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