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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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481.  ジョーズ 恐怖の12日間 《ネタバレ》 
 「JAWS/ジョーズ」の元ネタになったという、実際に起きた事件を映画化した一品。   監督は傑作映画「ヒドゥン」を手掛けたジャック・ショルダーという事もあり、期待を込めて観賞したのですが……ちょっと微妙な出来栄えでした。  大きな欠点は見つからないし「古き良きアメリカ」を感じさせる1916年当時の雰囲気も心地良かったしで、決して嫌いな映画ではないのですけどね。  ビーチで監視員をやっている主人公も好青年であり、仲の良かった少年や親友の仇討ちに燃える姿を、素直に応援出来たように思えます。   じゃあ、どこが微妙なのかといえば、まず「主人公達の三角関係」が原因として挙げられそうですね。  主人公と、その親友の男性との友情描写は中々良かったと思うのですが、とにかくヒロインの出番が少なくて、彼女の魅力が伝わって来ない。  しかも、数少ない登場シーンでは「主人公の親友との結婚を控えているのに、未だに主人公に未練たらたら」という描写だったりするものだから、正直言って、彼女に好感を抱くのは難しいです。  ラストにて、婚約者が死んだばかりなのに主人公に乗りかえるかのように寄り添って終わりというのも、少々幻滅。   あとは、肝心のサメの造形がイマイチなのも困り物。  前半部分は、それを上手く誤魔化して撮っていたのですが、後半にて全長が明らかになると、如何にも迫力不足。  観ているこっちは(なぁんだ、精々3メートルくらいか。意外と小さいサメだったんだな……)と思っているのに、劇中の人物は「あんなデカい奴なんて!」と驚いているもんだから、チグハグに感じてしまいました。  実話ネタなのだし、冷静に考えれば十分大きいって事は分かるんですが、この辺りは他のサメ映画を色々観過ぎているがゆえの「映画の嘘」に慣れてしまった弊害なのでしょうね。  恐らく、監督さんとしてはそれら諸々を承知の上で「前半はサメの大きさが分からないように、誤魔化して撮る」という手法を選択されたのでしょうが、それが結果的に、終盤にて全長が明かされた際の落胆に繋がってしまった気がします。  もうちょっと早い段階でサメの全長を明らかにし「小さいけど、充分に人を食い殺す力がある」と思わせる演出にしていたら良かったんじゃないかと思うんですが……まぁ、これは欲張りというものでしょうか。   そんな本作の白眉としては、サメに手足を食い千切られた後の、事後描写とも言うべき恐ろしさや悍ましさが挙げられそうですね。  主人公の同僚であるダニーを海中から引き上げたら、両足が失われていたと分かる件なんて、特にショッキング。  変な話、サメの特撮は稚拙だったのに、人間の特殊メイクは結構レベル高いなぁ、なんて感心してしまったくらいです。   現代ではなく、百年近く前のアメリカが舞台のサメ映画というだけでも目新しいし、真面目に作られているのは伝わってくるので、後味も悪くない。  良い映画だった……というのは言い過ぎかも知れませんが、まずまずの満足感は得られた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-08-06 22:09:38)(良:1票)
482.  トリプルヘッド・ジョーズ<OV> 《ネタバレ》 
 前作と同様、冒頭から出し惜しみせず鮫の姿を見せてくれるサービス精神がありがたい。   ただ、作風としてはかなり違う方向性というか、緊迫感と悲壮感を重視した作りになっていた気がしますね。  スローモーション演出や音楽に、自己犠牲展開が多い点などからしても、あたかも観客を感動させようとしているかのよう。  それが完全に失敗していたという訳では無いのですが……正直「三つ首の鮫が人を襲いまくる」という馬鹿々々しい設定とは、食い合わせが悪かったように思います。  もっと真面目な、普通の巨大鮫が出てくる映画でやった方が自然だったんじゃないかな、と。   海上にある研究施設という設定。  そして、救世主の如く颯爽と現れ、鮫を殺すのに成功したかと思われたダニー・トレホが、アッサリ食い殺されるシーンなどは「ディープ・ブルー」(1999年)を彷彿とさせてくれるし、所謂「馬鹿映画」としての愛嬌も有るには有るんですが、上述の通り「真面目さ」の比重が大きいので、ちょっと歪なんですよね。  下品な物言いになりますが、水着姿の巨乳お姉さん達が全然画面に映らない辺りも、前作に比べると如何にも寂しい。   「大量の餌を与えれば、首同士で共食いを始めるはず」という作戦にも無理があったと思いますし、それがアッサリ成功しちゃうオチに関しては、唖然茫然。  男女二人が何とか生き残るハッピーエンドという意味では前作と同じなのですが、本作では(倒し方に無理があるんじゃないかなぁ)と思えてしまい、素直に彼らの生還を喜べなかったです。   鮫の首を斬り落とすと、そこから新たな首が三つも生えてくるという設定やビジュアルなんかは、中々グロテスクで良かったと思いますし「沈みゆく観光船の中で、人々が襲われていくシーン」なんかは、手に汗握るものがあったのですけどね。  自分の場合「前作と同じ、明るくお馬鹿な鮫映画」を予想していたから、それが外れちゃった形だし「わりと真面目な鮫映画」を期待して観た人がいたとしても、終盤の強引な展開には落胆しちゃいそうだしで、どっちつかずな映画という印象が強いです。   観ていて退屈もしなかったし、ある程度の満足感は得られたのですが……  ちょっと期待していた内容とは違った一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-19 12:11:16)(良:1票)
483.  ブルーサヴェージ<TVM> 《ネタバレ》 
 如何にも低予算といった感じで、サメの出番自体は少ない本作品。   でも、最初と最後とに見せ場を用意している為、枠組みはキッチリしているように感じましたね。  カーチェイスにも力が入っていて、もしや監督さんはそちらをメインに撮りたかったのでは? と思えたくらい。   「ジョーズ」や「ターミネーター」などのパロディ演出が盛り込まれているのも、見所の一つ。  バレないように剽窃している感じではなく、ちゃんと分かり易く「皆も元ネタ分かるよね?」と訴えるような形に仕上げているから、何だか憎めないんですよね。  車で刑務所に突っ込む前に、わざわざサングラスを掛けてくれる辺りなんて「そこまでやるか!」とツッコみつつも、面白かったです。   難点としては、映画の大部分を占める人間ドラマのパートが少々テンプレ過ぎて、退屈に感じる事が挙げられるでしょうか。  「私はもう、子供じゃないわ」という台詞が象徴するような、お約束の父娘の対立。  亡き妻の事を忘れられない主人公と、そんな彼を癒してあげるヒロイン。  裏切って敵方に付いたかと思われたが、最後の最後で改心して味方になってくれる親友。  どれも王道の魅力を備えてはいるのですが、ちょっと既視感が強くて、ノリ切れなかった気がします。   巨大なサメの歯を拾い、そこから体長を推測して戦慄する描写など「サメ映画のお約束」が盛り込まれている分には、気にならないんですけどね。  その他の部分まで「サメ映画以外のジャンル作品でのお約束」で一杯だったりすると(こういうのが観たかった訳じゃないんだよなぁ……)と思ってしまうみたい。  サメ関連の部分は王道に仕上げ、その他の部分は独自色を出す、くらいのバランスが、自分は好みなのかも知れません。   肝心のサメが登場するシーンに関しては、中々迫力があり、良かったと思います。  もう本当に笑っちゃうくらいに巨大で、人間なんて簡単に丸呑み出来ちゃうサイズであるという設定を、きちっと活かした演出にしていましたね。  ヘリに食いつこうとしたサメを、空中で爆殺する終わり方も痛快でした。   全体を通して考えると微妙な部分も多いのですが、終盤に盛り上げてくれた為、観賞後の印象は悪くない、という感じですね。  こういうサメ映画は、夏になると無性に観たくなりますし、そんな期待に、しっかり応えてくれた一本だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-16 21:48:37)
484.  12ラウンド 《ネタバレ》 
 良くも悪くも古風でオーソドックスな作りの為 (これが八十年代の作品だったら「スピード」の元ネタとして評価されたんだろうなぁ……)  なんて、つい考えてしまいましたね。  バスにエレベーターにヘリコプターと、様々な舞台装置を駆使して楽しませてくれるし、基本的には好みな作風のはずなのですが、この「既視感」は如何ともし難いものがありました。   主演にレスリングのスター選手であるジョン・シナを迎えており、身体を張ったアクションを見せてくれるのも嬉しいんだけど、基本的には「高所からの飛び降り」「飛び移り」という形であり、対人戦の要素が薄いというのも、何だか寂しい。  (こういうの好きだよ。好きなんだけど……もうちょっと、ココをこうして欲しかったなぁ)っていう、そんな歯痒さがあるんですよね。   この手の作品ではお約束の「実は目的は復讐ではなく金だった」オチに関しても(結局金だったのかよ!)と、落胆する気持ちが大きかったです。  一応、犯人としては「愛する女の仇を取りたいという想いは本物。でも、それはそれとして金も欲しい」という考えだった可能性もあるんですが、どっちにしても恰好悪いって話ですからね。  殆ど全編に亘って、主人公と犯人との戦いを描いた話である訳だから、もう少し犯人側にも魅力を感じさせてもらいたかったところ。   監督はレニー・ハーリンという大物ですし、演出には安定感があって、決して退屈はしなかったのですけどね。  序盤にてラブラブだった主人公とヒロインが、一年後には喧嘩しがちになっており、それがラストにて再び強く結ばれるというストーリーラインも、娯楽映画の王道を踏襲していたと思います。   それでも、あと一歩、自分が「好き」だと言える領域まで踏み込んできてくれなかった……そんな、もどかしくなる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-07-06 19:21:45)(良:1票)
485.  ゾンビスクール! 《ネタバレ》 
 子供が大人を殺しまくる映画といえば「ザ・チャイルド」などの先例があります。  でも、子供がゾンビになるというパターンは初見の為、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ましたね。   中盤以降は、お約束の籠城展開になる訳だけど、その場所が小学校というだけで、もう面白い。  「携帯電話の持ち込みは禁止」という校則+「ゾンビによる電話線の切断」という展開によって、入念に外部との連絡を遮断し、何とか脱出に成功したと思ったら、実は学校の外も地獄と化していた……というオチも、お約束だけど良かったと思います。   そんなベタな展開の一方で「主人公とヒロインが結ばれない」「序盤に腕を引っ掻かれたので、絶対に主人公もゾンビ化すると思っていたら、大丈夫だった」などのセオリー外しも、意図的に行っているのですよね。  主演のイライジャ・ウッドが「ホビット」と言われて意味深な反応をしたり、車にされた落書きの「しゃぶれ」というワードが伏線で、その犯人である子供を「しゃぶれ」と言ってから轢き殺すシーンがあったりと、脚本も色々と凝っています。  子供ゾンビが死体で遊ぶ残酷描写、そして彼らをピッチングマシンやカンフーを駆使して薙ぎ倒す大人達の描写なども、それぞれ「観客が見たいもの」を分かっているというか、サービス精神が感じられて、嫌いじゃないです。   ……っと、ここまで書いて気付いてしまったのですが、どうも本作って、ちょっと素直に褒め切れないような、微妙に感じる部分が多かったのも確かなんですね。  基本的にはゾンビ映画というだけで好みだし「主人公達は教師」「舞台は小学校」「ゾンビとなるのは子供達」というキーワードだけで(これは絶対に面白いはず!)と期待し過ぎたのかも知れませんが、それを差し引いても、観賞後の満足度は高くなかったです。   理由の一つとしては、根本的に敵が弱い事が挙げられそう。  序盤こそ(引っ掻かれるだけで感染するタイプか、こりゃあ子供ゾンビといえども油断出来ないな……)と緊張感も味わえたのですが、結局「大人は感染しない」という事実が中盤にて明らかになり、それ以降は死亡者すら出なくなりますからね。  これは流石に落差が激し過ぎるというか、何だか敵が勝手に弱体化したようにも感じられ、ノリ切れなかったです。  なんせ本当にゾンビ達が「凶暴な子供」というだけなので、一対一では「武装した大人」が圧倒的有利なんですよね。  じゃあ数の暴力で攻められるんだろうなと思ったら、一対多数でも結構余裕だったりして、全く危機感が無い。   その「敵が弱い」「主人公側が負けそうにない」という画面作りなせいで、ヒロインの彼氏による自己犠牲シーンでも(無理して残って戦わず、一緒に逃げれば良かったのでは?)と思えてしまうし、その後に「皆の為に犠牲になったアイツが、実は生きていた」展開をやられても、全然興奮しなかったです。  作り手側としては「実は生きていた」展開に説得力を持たせる為、敵に囲まれた状況から脱出しても不自然ではないような設定したのかも知れませんが(そりゃあ、あのくらいの強さの相手なら死なずに済んでも不思議じゃないよな……)と思えてしまったし、本末転倒ですよね。   最後に火を点けてゾンビ達を燃やすクライマックスに関しても、劇中人物はグラサンで格好付けて決めているのに、観ているこっちはといえば、完全に白けモード。  (貴重な液体燃料を使わなくても、そのまま逃げれば良いじゃん……しかも、ついさっき車がガス欠になるって展開やった後にコレかよ)なんて、意地悪な考えが浮かんできたくらいです。   一番不満だったのは、主人公グループに付き従う二人の子供達。  本当にもう「子供は全員悪役ってのも気分が悪いので、一応味方側にも付けておきましたよ。しかも男女の黒人と白人でバランスが良いですよ」くらいの存在価値しか見出せなくて、終盤に至っては台詞すら皆無で、実に勿体無かったです。  黒人少年の方なんかは、授業の際に主人公の書いた小説を読み上げるシーンがあったんだから、その後に「先生の書いた御話、面白かったよ。続きが読みたい」くらい言わせても良かったじゃないか、と思えましたね。  そうすれば「主人公にとっての、初めての読者」という関係性が生まれ、両者に絆が育まれるし、彼が糖尿病で倒れた際に、危険を承知で主人公がキャンディー菓子を調達しに行くシーンも、更に劇的になったんじゃないかと。   何て言うか、個々のパーツは決して悪くないんだけど、それらを乱雑に繋いでしまった……という印象ですね。  もうちょっと丁寧に作ってくれていたら「好きな映画」と断言出来そうだっただけに、勿体無い映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2017-06-09 12:23:23)(良:2票)
486.  猫の恩返し 《ネタバレ》 
「猫舌のお前さんには向くまい」「お前こそ鳥目だろ」  という鳥と猫とのやり取りが印象深い。   作品全体の印象としては、丸く綺麗な小石、といった感じですね。  尖って良い部分も無く、悪い部分も無いという。   児童向け作品らしく、伏線とその回収も分かり易くて ・幼少時に出会っていた猫との再会。 ・「何処かで見たような……」という台詞。 ・遅刻していた主人公が成長したのを表す為に、早起きするようになる。  等々、微笑ましい気持ちで各シーンを見守る事が出来ました。   猫好きな観客の欲求に応えてくれるように、作中の猫達は魅力的に描かれていたと思いますし、その時点で、ある程度は満足。  じゃあ不満点は何だろうと考えてみると、終盤の盛り上がりに欠ける事が挙げられそうですね。  もう少しこう……画面を見ているだけで楽しくなっちゃうような、動きのある活劇要素が欲しかった気がします。  折角バロンと王様との一騎打ちがあったのに、あっさりと前者が勝って終わりというのでは、如何にも寂しい。   それと「恰好良いから」という子供っぽい理由で好きだった男性に興味を無くす事を、前向きに描いているはずなのに「主人公がバロンを好きになった理由」が「恰好良いから」としか思えない辺りも気になります。  見た目に囚われず、内面の恰好良さが分かるようになったという意味なのかも知れませんが、バロンというキャラは見た目の時点で恰好良く描かれている訳だし、何だか中途半端な印象が残りました。   エンディング曲については、凄く良かったですね。  「猫の国から現実世界に戻ってきた主人公が、いつでも傍にバロンがいてくれると思いながら日々を生きていく」という感じで、歌詞も作品に合っていたかと。  正直、退屈に感じた時間も長かった映画なのですが、この曲が流れ出すラストシーンだけでも「観て良かったな……」と思えました。
[DVD(邦画)] 5点(2017-05-15 10:44:12)(良:1票)
487.  テイキング・ライブス 《ネタバレ》 
 これは困った一品。   イーサン・ホーク演じるコスタの存在意義が「好青年と見せかけて実は犯人」という以外には思い付かないようなキャラクターの為、観ていて早々に犯人に気付いてしまうのですよね。  キーファー・サザーランドという大物を起用し、彼が犯人かと勘違いさせるべくミスリードを行っているのは分かるのですが「それで騙そうとするのは、ちょっと無理があるよ」という感じ。   最後の「実は妊娠していなかった」オチに関しても、事前に医者に告知されるシーンなどがなく、いきなり主人公のお腹が膨らんでいる展開なので、その瞬間からもう「本当に妊娠しているの?」と疑ってしまうんです。  だから、その後に真相が明かされても「あぁ、やっぱり」と嘆息するしかない訳で……本当に困っちゃいます。   そんな具合に、どうにも脚本が肌に合わなかったのですが、それでも何だかんだ退屈せず観られたのは、役者さんの力が大きいのでしょうね。  アンジェリーナ・ジョリーは前半の「出来る女」っぷりと、中盤以降の騙された「弱い女」っぷりの演じ分けが見事でしたし、彼女とイーサン・ホークの演技合戦を眺めているだけでも、何だか得した気分。  演出に関しても「相手を突き飛ばして車に跳ねさせる場面」や「エレベーターの中で犯人が母親の首を捥ぎ取る場面」などは中々ショッキングであり、良かったと思います。   低予算な映画が脚本によって救われて、傑作に仕上がる事がありますが、本作の場合は逆に、脚本の不備を役者さんの力によって補ってみせたというパターンではないかな……と感じられました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-19 02:05:42)(良:1票)
488.  パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 
 ミラ・ジョヴォヴィッチの悪役は珍しいけど、結構良い感じだなぁ……と思っていたら、最後の最後で裏切りというか、彼女も被害者であったかのような展開になるのが残念。  元々彼女ってキツい顔立ちの美人さんですし、今回は徹底して悪女という路線を貫いても良かったんじゃないかと思えました。   同監督作の「ピッチブラック」が「悪人だと思ったら実は善人だった主人公」の話であるのに比べると、今作は「善人だと思ったら実は悪人だった主人公カップル」の話となっており、どうしても後味は悪かったですね。  途中から登場するカップル二組に主人公交代しているし、そちら目線で見ればハッピーエンドなのでしょうが、今一つその目線の変換がスムーズに行われておらず、彼らに感情移入する前に映画が終わってしまったという形です。   法螺噺っぽく口にした「頭蓋骨をチタニウムで埋められた」という一言が伏線となっている点には感心させられたし、練り込まれた脚本なのは分かるのですが、何というか「気持ちの良い裏切り方じゃなかった」という感じですね。  この手の「主視点の人物こそが犯人である」ネタって、よっぽど上手くやってくれないと褒める気になれないし、本作においては「自分達が犯人のはずなのに、何故か他のカップルに怯える主人公達」の描写が頻繁に出てくるので、ちょっとアンフェアな印象が強いです。   結婚式の映像で二人の顔が映らなかったり、脚本家のはずなのに映画の話になると歯切れが悪くなったりする時点で、観客としても「この主人公カップルは怪しい」と勘付くから、それほど意外性がある結末でもないし、その一方で「じゃあ、結局なんで他のカップル達に怯えていたの?」という疑問が残ったまま。  答えとしては「自分達が犯人だとバレるのを恐れていた」「別に犯人とか関係無く危ない奴らだと思っていたので怯えていた」「完全に被害者カップルになり切って演技を楽しんでいた」などが用意されているのでしょうけど、作中で明確にコレと示される訳でもないので、宙ぶらりんな印象なのですよね。  オチをバレないようにする為の紛らわしい演出が多過ぎて、そういうのは「上手い」っていうより「姑息」なんじゃないかと思ってしまいました。   物語の舞台となるハワイの景観は素晴らしく、観ているだけでリゾート気分を味わえる辺りは、好印象。  それと、普通なら真っ先に容疑者リストから外してしまうような怪しい男を演じていたのが、今やすっかり大物となったクリス・ヘムズワースというのも、上手い配役でしたね。  当時は単なる脇役に過ぎなかったのでしょうが、現代の目線からすると「怪し過ぎるけど、彼が演じているなら意外と犯人って事も有り得るかも……」と思える為、目眩ましとして非常に効果的であった気がします。   上述の通り、オチには納得出来ませんでしたが、程好い緊張感が味わえたし、なんだかんだで楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-04-18 23:02:08)(良:1票)
489.  エヴェレスト 神々の山嶺 《ネタバレ》 
 原作小説が大好きなので、期待を込めて観賞。   絶対に二時間で纏めるのは無理だろうと思っていただけに、ちゃんと物語を完結させている事に感心半分(やっぱりダイジェスト感は否めないなぁ……)と落胆半分、といった感じでしたね。   結構な尺が必要となるであろう「マロリーのカメラ争奪戦」の件を思い切って省略したのは正解だと思うし「鬼スラへの挑戦」「岸との別離」「グランドジョラスからの生還」と、羽生丈二というキャラクターを語る上では外せない場面を映像化してくれた事は、素直に嬉しかったです。  それでも、どうしても「あれも見たかった」「これも見たかった」というモヤモヤが残ってしまうのだから、全く以て困り物。  折角モノローグを多用して小説の文章そのまま再現する演出をやっているのだから「きしよう」や「地球を踏んだ」などの言葉も、心の声として聞かせて欲しかったなと、ついつい思ってしまいました。   主演の岡田准一と阿部寛は熱演されており、特に後者の存在感はお見事でしたね。  凍死した羽生の「死体」をここまで迫力込めて演じられる人は、ちょっと他にはいないかもと感じるくらい。  ライバルである長谷の扱いが軽い事も含め、どうしても原作に比べると羽生に関する描写は薄くなってしまっていたのですが、それでも「これは間違いなく羽生丈二だ」と思えたのは、役者さんの力が大きかった気がします。   中でも、遭難しかけた深町を羽生が助けるシーンは凄く良くて、ここが本作の白眉であるように感じました。  ちょっと原作に比べるとエキセントリック過ぎるというか「羽生の魂を継ぐ者」として、野性味溢れて描写されていた深町であっただけに「もういい、もうやめてくれ……」と弱々しく呟き、自分を見捨てるよう訴えかける姿が、一際胸に迫るものがあったのですよね。  その後に「最初から羽生は最も困難なルートを登るつもりだった」と明かされる展開についても、良かったと思います。  正直、原作と異なる部分に関しては不満も多かったりしたのですが、ここの流れは原作よりも好み。   最後も深町の生還というハッピーエンドで〆てくれる為、後味も悪くなかったですね。  久々に本棚から「神々の山嶺」を取り出して、蜂蜜を溶かした紅茶片手に、ゆっくりと読み耽りたくなりました。
[DVD(邦画)] 5点(2017-04-11 18:14:38)(良:1票)
490.  犯人に告ぐ 《ネタバレ》 
 とても真面目に作られた、硬派な一品だと思います。   ただ、こういった品は「堅苦しくて退屈」という印象に繋がってしまう危険性も孕んでいる訳で……  残念ながら、本作はそれに該当してしまった気がしますね。  メディアを使って犯人を挑発、対話というテーマは非常にエンタメ性が高く、コメディタッチな作風と相性が良さそうなのに、あえてシリアスに徹したのが本作の特徴であり、魅力にもなっているのでしょうが、自分には合わなかったみたいです。   楽しめなかった理由としては、主人公に感情移入出来なかった点も挙げられそう。  彼は同僚との手柄の奪い合いの為に捜査に最善を尽くさず、結果的に幼い子供の死を招いてしまう。  そこの件で、観ているこちらとしては決定的に幻滅してしまい、最後まで挽回する事が出来なかったんですよね。   序盤で妻と息子の死が連想される展開だったのに「結局二人とも生きていました」というオチが付くのは、恐らく「誘拐によって子供が死んだのに、自分の息子は生きている」という主人公の罪悪感を描く為、そして終盤に息子が誘拐されてしまう展開に繋げる為なのでしょうが、その辺りがどうもスムーズに感じられない作りなのも残念。  これに関しては、いくら終盤に盛り上げる為の伏線とはいえ、序盤で(えっ、結局生きていたの?)と拍子抜けしてしまうデメリットの方が大きかったように思えました。  犯人の捕まるキッカケが「偶然手紙を落としてしまった」「服の色に関する勘違い」というのも、ちょっとネタとしては弱いかなと。   ラストに主人公が目を見開いて終わる演出に関しても  1:真犯人が別に存在する事に気付いた。まだ事件は終わっていない。 2:結局、罪滅ぼしする事は叶わなかった為、未だに昔の誘拐事件のトラウマに囚われている。 3:全てが終わった事に安堵したがゆえの死。   といった具合に、色々解釈の余地があるのですが、どれだったとしてもバッドエンド色が強く、好みとは言い難いですね。   翻って、良かった点はと言えば……やはり、主演の豊川悦司の魅力に尽きるのではないでしょうか。  その話し振り、立ち居振る舞いには流石の存在感があったし、カリスマ的な犯人役なんかも似合いそうな、ミステリアスな魅力を備え持っている。  それだけに、そんな彼があえて刑事役を演じるというのが、絶妙な配役であったように思えます。   過去の罪を清算する為とはいえ、自分を刺した誘拐犯を庇って逃がそうとする辺りなんかは(警官として、それはマズいんじゃない?)と感じ、賛同するのは難しかったのですが、彼が演じる事により、その選択にもそれなりの説得力が生まれていた気がするんですよね。  本作のクライマックスである「震えて眠れ」のシーンの迫力と恰好良さも、豊川悦司だからこそ醸し出せたんじゃないかな、と感じました。
[DVD(邦画)] 5点(2017-04-06 12:33:05)(良:1票)
491.  スパイダーウィックの謎 《ネタバレ》 
 子供が活躍する映画は好きなはずですが、今一つノリ切れませんでした。  ファンタジーでありながらスケールが小さくて「籠城物」の要素がある辺りも良かったとは思うのですが、どうも心に響いてこない。   単純に演出やら何やらが好みに合わなかっただけかも知れませんが、こういう「好きな映画のはずなのに何故か楽しめなかった」パターンって、非常にモヤモヤしますね。  基本的には「好き」に分類される為、欠点を論うような真似をすれば罪悪感が生まれるし、かといって積極的に褒めるのも気が咎めるという、何ともコメントに困る状況。  とはいえ「理由は良く分からないけど微妙だった」で済ますのも不誠実でしょうから、以下は自分なりに感じた長所と短所を。   冒頭で姉がフェンシングをやっている事や、窓に塩が付いている事が実に分かり易い伏線となっており、それらがキチンと回収される点など、脚本はしっかりしていたと思います。  鳥好きのホグスクィールが「美味しいところを頂いていく」オチも良かったですね。  昆虫のアップや粘液の描写なども一応ありましたが、嫌悪感を抱くような描き方でなかった辺りも、嬉しいポイント。   で、気になる点としては……両親の離婚問題についてが挙げられるでしょうか。  最終的に主人公の少年は「母親と一緒に暮らす」という結論を下し、そこは中々感動的に仕上がっていたけれど、これって「父親が他に女を作っていた」と知った上での選択なので、作中の事件に密接に関係していないのですよね。  別に世界の危機を救うような体験をしていなかったとしても、そりゃあ母親の方を選ぶのが当然だよなという感じで、ちょっとエピソード間の繋がりが弱かったんじゃないかと。  ここで(今回の事件を通じて母子の絆が深まったのだ。だからこそ主人公は父親ではなく母親の方を選んだ)と感じさせるものがあれば、作品全体の印象も変わっていた気がします。   正直、退屈に感じた時間の方が長かったりもしたのですが「花の中から妖精のスプライトが飛び立つシーン」や「魔物が見えるようになるリングを手にし、フェンシングの剣で戦う女の子のシーン」など、印象的な場面も幾つかありましたね。  その為、それなりに(観て良かったな……)と思えた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-29 05:17:12)(良:1票)
492.  エグジット・スピード 《ネタバレ》 
 とにかく序盤の展開が早い早い。  登場人物の説明を手早く済ませ、バイカー集団との対決に至るまでをスピーディーに描き、痛快に突っ走ってくれます。  これは隠れた傑作ではないかとの期待が一気に膨らんで……その後、同じくらいの速度で萎んでしまった気がしますね。   如何せん、籠城戦に移行してからの展開が、非常にかったるいのです。  元々演出が冴えているとか、画作りにセンスがあるとか、そういう訳ではなく、ひたすら早く物語を展開させて、観客に余計な事を考えさせる暇を与えないからこそ、序盤は退屈せずに観賞出来たと思うのですよね。  その唯一にして最大の利点である「速度」が失われた後は、どうにもパッとしない。  終盤、じゃがいもバズーカが登場する辺りからは持ち直した感がありましたが、それでも中弛みの印象は拭い切れなかったように思えます。   敵となるバイカー集団が「悪魔の追跡」を連想させたり、じゃがいもバズーカ大活躍の件は「トレマーズ3」を連想させたりと、この監督さんとは映画の好みが合いそうだなぁ……と感じる場面もあっただけに、全面的に楽しめなかったのが残念でしたね。  言葉が通じないスペイン人のオジサンに、アーチェリーが得意なオタク気質の女性など、主人公以外にも個性的な面子が揃っているし、そんな中では地味な印象だった「子供想いのママさん」が、何としても生き延びて我が子と再会する為、止むを得ず人殺しを行う場面なども、良かったと思います。  最後は、お約束のハッピーエンドで〆てくれる辺りも、安心感がありましたね。   人物設定やストーリーなどは好みなのですが、個々の場面が今一つ洗練されておらず、退屈さを覚える時間も長かった為、胸を張って傑作とは言えない事がもどかしくなる……そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-20 05:57:39)
493.  DEATH GAME デスゲーム(2006) 《ネタバレ》 
 あるゲームをプレイ中に、自分の操作キャラが死亡すると、現実世界で自分も同じように死亡してしまう……という設定、非常に好みですね。  こういった馬鹿々々しいような思い付きを、そのまま形にしてみせた映画って、どうも憎めないです。   登場人物達は所謂ゲームオタク揃いなのですが、美男美女が演じている為か、あまり内向的な感じがせず、画面が華やかだった辺りも良い。  しかも、主人公の周りにはゲーム好きの友人が沢山いて、職場の上司までゲーム好きで仲良くやっているというのだから、何とも羨ましい話です。  そんな友人が次々に死んでしまう展開な訳ですが「主人公」「ヒロイン」「男友達」と、メインの三人は生き残る事が出来たし、ハッピーエンド色が強めでしたね。  その後に問題のゲームが市場に出回ってしまうオチも付く訳ですが、一種の予定調和という感じで、後味が悪くなったりはしませんでした。   怖がらせる為の演出も「車のバックミラーを調節したら、そこに謎の女が映り込んでおり、そのまま車内で襲われる」といった感じで、ベタゆえの安心感があります。  ゲームの世界で扉を開ければ、現実世界で開かない扉を開けられるようになるという形で、主人公側が「ゲームと現実のリンク」を逆手に取ってみせる辺りも、面白かったですね。  こういう「不条理で非現実的なルール」を強いられるタイプの作品で、そのルールを主人公達が活用し、普通なら出来ない事をやってみせる描写というのは珍しい為、大いに感心させられました。   そんな具合に、好きな部分が多かった映画なのですが……  終盤にて脚本が破綻しているというか、面倒になって細かい部分は投げ捨てたかのような作りになっている辺りが、非常に残念。  GAME OVERになったはずの男友達のスウィンクが生きていたり、ヒロインのアビゲイルが唐突に花占いを始めたりと「?」と思わされる場面が多かったのですよね。  自分が伏線を見落としていただけかも知れませんが、ちょっと納得出来なかったです。   それから、折角主人公達は助かった訳だから、その余韻というか「生還した喜び」あるいは「ゲームをクリア出来たけど、失った友達は帰って来ないという喪失感」のようなものを描くシーンがあれば、更に良かったんじゃないかと思います。  もっと丁寧に作っていたら、若々しい感性のホラー映画として傑作になっていた可能性を感じさせるだけに、惜しい一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 16:37:27)
494.  29歳からの恋とセックス 《ネタバレ》 
 劇中にて色んな男性と主人公が関係を持ち「結局、誰とくっ付くの?」と思わされるのですが、結論としては「誰ともくっ付かず、自分探しする事を選ぶ」というエンディングだった為、拍子抜けしちゃう人もいそうですね。  自分としては元々「誰と誰がくっ付くか」で引っ張るようなラブコメは好みではないという事もあってか、このエンディングは悪くなかったと思います。   他にも「私ふしだらな女だけど、悪人じゃない」との台詞が印象的で、本当に主人公のキャラクターを的確に表しているなぁ……と感心させられたりもしましたね。  正直、それほど性格が良い女性とは思えなくて、酔った勢いとはいえ万引き紛いの事もしちゃうし、男に対して他の男の悪口も言っちゃうしで、傍迷惑な存在なんだけど、妙に憎めない。  誰かのせいで自分が不幸になったんだと責任転嫁せず「私のせい」と認め、そこから前に進んでいくシーンなんかも、気持ち良かったです。   「誰かを愛するには、まず自分の愛し方を学べ」という名言を踏まえた上での「他人を愛せない内は、自分の事なんか愛せない」という台詞も良かったですね。  振り返って考えてみると、全体の内の一時間ほどは退屈だったりもしたのですが……  結末は中々秀逸な「終わり良ければ全て良し」タイプの映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 02:48:39)
495.  ディセント2 《ネタバレ》 
 前作ラストの答え合わせ。  思わせぶりなシーンは「主人公が洞窟から脱出する前に見た、束の間の幻」だった訳ですね。  まぁ、元々インパクト重視のバッドエンドというだけで、そこに深い意味なんて無かったように思えるので、単なる夢オチの一種だったという事なのでしょう。   さてさて、そんな訳で前作と地続きな続編となる本作なのですが、ご丁寧に「主人公グループが未知の地底人と遭遇するまで」の件を、たっぷり時間掛けて描いている事に吃驚です。  これって、1を未見で2から観たという人に対する配慮なのだろうけど、連続視聴した自分としては「いや、地底人がいるとか、そんなのとっくに知ってるって」と、少々ノリ切れないものがありましたね。   そんな具合に序盤は既視感が強いシーンが続き、正直退屈。  でも「前作で死んだと思われていたジュノが、実は生きていた」というサプライズが飛び出す中盤からは、ようやくギアが入った感じで、面白く観賞出来ました。  考えてみれば、確かに前作でも彼女の死亡シーンは明確に描かれていませんでしたからね。  観客を裏切らない程好い衝撃といった感じがして、好印象。  前作を生き延びた主人公のサラと、彼女が再会し、対立しそうになるも最終的には共闘してみせる展開なんかも、ベタだけど良かったと思います。  お約束の「自己犠牲」を意図的に否定してみせた前作を踏まえた上で、本作ではあえてお約束の「自己犠牲」を主人公が行ってみせる構造になっているのも面白い。  途中まで退屈だったがゆえの反動もあるかも知れませんが、この後半部分に関しては、本当に良かったと思います。   その一方で、ラストが前作と同じ「助かったと思いきや結局は助かっていない」というバッドエンドであった事には、心底ガッカリ。  何もそこまで重ね合わせなくても……と、つい思っちゃいましたね。  もし3が出たら、今作の黒人女性も実は助かっており、サラに代わって彼女が再び洞窟に入って、そこで生き延びていたサラと再会して……という無限ループ的な展開になったりするんでしょうか。  そこまでやってくれたら天晴な気もするけど、どっちかっていうと(変に凝ってバッドエンドにするより、そのまま脱出に成功してハッピーエンドで良かったのに)という気持ちの方が強かったです。   そんな本作は「洞窟に入るメンバーが女性だけではなく、男性もいる」という点が前作との大きな違いとなっている訳ですが、結局は「男なんて不要」とばかりに、バッサリ切り捨てる脚本になっているのも凄かったですね。  「何があっても、君を見捨てない」なんて恰好良い事を言っていた男性キャラクターも、その二分後には崖から墜落して瀕死となり、そのまま何の活躍もせず退場するのだから、恐れ入ります。  その後に文字通りの意味で「足手まといな男を斬り捨てる」展開も存在しているのだから、徹底しているなぁと呆れる思い。  もしかしたら、一種の女性賛歌の映画なのかも知れませんね。   1と2の合計で、約194分。  色んなシーンを拝ませてもらいましたが、結局は「怪物なんかより女の方が怖い」という結論に至るという……そんな二作品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-09 10:16:00)
496.  ディセント 《ネタバレ》 
 地底人という怪物なんかよりも、人間の方が怖い。  そして人間の中でも「女」は特に怖い……と感じさせる映画でしたね。   前半は洞窟からの脱出劇かと思いきや、中盤から地底人が登場して「モンスター映画だったのかよ!」とツッコませてくれる辺りは中々楽しかったし、終盤にて「友人を犠牲にして自分だけでも助かろうとする主人公」を描いているのも衝撃的。  後者に関しては、普通なら嫌悪感しか抱かないはずなのに、何となく納得出来るように仕上げられているんですよね。  その友人が主人公の夫と不倫していたからとか、誤解も重なった上での選択であるとか、そういった「理由付け」以上に「他者を犠牲にしてでも生き残ろうとするエゴイズム」を肯定的に描いており、そこに説得力が生まれているように思えました。  とにかくもう、犠牲にする友人を見下ろす主人公の目線が怖くて、強くて、ちょっと恰好良く見えたりもしたんだから、お見事です。  この手のホラー映画なら、友人側が率先して自己犠牲を選ぶのがお約束であるだけに、それを逆手に取った展開が、非常に新鮮だったと思います。   一方で、オープニングの事故がラストの夢オチに繋げる為にしか機能しておらず、劇中ではむしろ「夫と友人が不倫していた」事に重点が置かれている辺りなんかは、チグハグに思えましたね。  だから最後に娘の幻を見たとしても、何か「取って付けた」感がある。  それと、夢から覚めて起き上がった際に、気絶する前は周囲に散らばっていたはずの白骨が無くなっているなど、ミスなのか演出なのか良く分からない部分があるのも気になりました。  演出だとすれば「地底人も、その地底人の犠牲者である白骨も存在しない。洞窟で起こった惨劇は主人公達の妄想による代物」あるいは、娘の姿が消えた事も含めて「ようやく主人公が死から解放されたという事を示す為に、あえて白骨は映さなかった。血まみれなのも出産直後の赤子を連想させて、生まれ変わった事を示す為」なんて可能性もありそうなんですが……そのわりには地底人の声を被せてくるし、主人公は娘の亡霊に囚われたままみたいな表情だしで、どうも納得し難い。  「ただ単に、脱出したと思ったら、実は夢オチで未だ洞窟の中にいたというバッドエンドをやりたかっただけじゃないかなー」と思えちゃいましたね。  最後には「洞窟探検に旅立つ前の、皆が笑顔で映った写真」で〆る辺りも合わせ、後味の悪さ重視の結末であった気がします。   ……なんて具合に、色々と解釈が出来そうな「投げっぱなしオチ」だった訳ですが、その答え合わせが続編にて行われていましたね。  本作を観賞後「結局あれって何だったの?」と気になって仕方ない人には、オススメです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-09 10:11:19)(良:2票)
497.  地獄の変異 《ネタバレ》 
 某探検隊風の予告編とは異なり、コメディ要素は皆無で、至って真面目に作られた一品ですね。   洞窟内の映像も美しく、しっかり作り込まれているのが伝わってきます。  ……ただ、どうも真面目過ぎるというか、強くダメ出しする部分も無いけど、大きく褒める部分も見つからない。  退屈はしなかったけれど、面白いとも感じなかったという、何とも微妙な印象を受けてしまいました。   楽しめなかった理由を分析してみるに、まず全編に亘って舞台が洞窟内に絞り込まれており、洞窟外のシーンが僅かしか存在しないので、息苦しい構成になっている事。  そして「主人公の兄が怪物に変異して敵対するのかと思いきや、最後まで味方のままで終わる」事が大きかったのではないでしょうか。  この辺りは「徹底して洞窟探検に拘った、潔い映画」「観客の予想を裏切る脚本」と褒める事も出来そうなんですけど、自分としてはマイナス点に感じられましたね。  前者に関しては、やはりずっと洞窟内のままだと画面が代わり映えしなくて単調になってしまうし、後者に関しては「頼れる兄との対比で情けない弟だった主人公が、最後まで情けないまま成長せずに終わる」という落胆に繋がってしまった気がします。   終盤の怪物達との戦闘、そして兄が完全に怪物になってしまう前に自己犠牲で相打ちとなる事を選ぶ展開などは良かったと思うのですが、実はヒロインも地底生物に寄生されており「怪物が地上に解き放たれてしまった」という後味の悪いオチが付く辺りも、ちょっと微妙。  ここの部分、ヒロインが寄生されていると分かった時の音楽や演出などが「えっ、何? まだ終わっていなくて続くの?」と思わせる感じだったもので、その後すぐ音楽が止んで完結を迎えるのが、何かチグハグだったのですよね。  それなら「実は彼女も寄生されていた」という衝撃と共に映画を終わらせる……具体的に言うと「ヒロインが立ち去る場面」で、そのまま終わらせて「主人公がヒロインを追いかけようとするけど見つからなくて途方にくれる場面」の数十秒はカットした方が、余韻が残って良かったんじゃないかな、と思えました。   それにしても「カタコンベ」といい「ディセント」といい、地下を舞台としたホラー映画って後味が悪いというか(うわぁ……)と感じさせる終わり方が多いですね。  これって偶々なのか、それとも「やっぱり地下系ホラーは、こういう終わり方じゃないとな!」という拘りのようなものが存在しているのか、気になるところです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-08 11:15:26)(良:3票)
498.  悪魔を憐れむ歌 《ネタバレ》 
 「真実の行方」や「オーロラの彼方へ」の監督さんが、こんな映画を撮ったのか?  と考えれば戸惑うけれど「ブラックサイト」と同じ監督と考えれば納得してしまうという、そんな内容の一品ですね。   悪趣味、バッドエンド、騙しの演出など、自分の苦手な要素が一杯詰まっているのに、それでも面白く観賞出来てしまったのだから困り物。  それだけ作り手の力量が確かなのだろうな、と思えるし「狡い」と不快感を覚える一方で「観客に対してフェアであろうという最低限の配慮はある」と認めざるをえない感じです。   例えば「猫からの目線で悪魔が主人公を見つめているカット」が中盤に存在している以上「猫に憑依したお蔭で悪魔は助かりました」というラストについても「そんなのありかよ!」とはツッコめないんですよね。  でもって「死にそうになった時の話だって、最初に言ったはずだ」と言われてしまえば「まぁ、確かにそうだけどさぁ……」と渋々認めざるをえないという。  「真実の行方」もバッドエンドだし「オーロラの彼方へ」もラストはサプライズがあったけど、その二作ほどは面白く感じなかったせいか「狡いよなぁ」とボヤきたくなっちゃいますね、本作の場合は。   中盤にて、歌を効果的に用いて「次から次に、色んな人達に憑依する悪魔の恐ろしさ」を描く件は、凄く不気味で良かったし、主人公の相棒と上司、どちらに悪魔が憑りついているのかと疑心暗鬼に追い込まれる終盤のやり取りも良かったしで、褒めるべき点は幾らでもあるのですが、如何せん結末が酷いと思うので、どうにも評価が難しい。  主人公に残された唯一の希望として、甥っ子が生き延びているのに、ご丁寧に悪魔に「あの甥っ子も殺してやる」とまで言わせているし……うん、やっぱり悪趣味です。   もしかしたら、悪魔を自らに憑依させて相打ちになるラストでは、有名過ぎる「エクソシスト」を連想するので、そこにもう一捻り加える必要性を感じたのかも知れませんね。  とはいえ、そもそも基本的なストーリーラインが「ペンタグラム」そのままな訳だから、あんまり気にしないで相打ちエンドでも良かったんじゃないかなぁ、と思えるのですが、どうなんでしょう。   世の中には勧善懲悪の物語が溢れているのだし、偶には悪が勝っても良いのかも知れませんが、自分としては受け入れ難い映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-22 03:40:25)
499.  サハラ 死の砂漠を脱出せよ 《ネタバレ》 
 観賞中  (何か、シリーズ物の中の一本って感じだなぁ……)  と感じていたのですが、原作小説は人気シリーズであり、これはその中の一作を映画化した代物だったのですね。大いに納得。   上記のように感じた理由としては「主人公と相棒のキャラクターが魅力的である」という良い点もあるのですが「観客が主人公達の事を知っているのは当然とばかりに説明が少なく、感情移入させる前に物語を進行している」という悪い点もあったりして、それが残念でしたね。  勿論、原作を読んでさえいれば解決する問題なのでしょうが、未読の身としてはキツかったです。   冒険映画として押さえるべき点は押さえてあり、夕暮れの砂漠をラクダで横断するシーンなんかは見惚れてしまう美しさがありましたし、ボートで河を移動するシーンなんかも楽し気で良かったのですが、どうも物足りない。  それは例えば「中盤の銃撃戦が妙にダレていて長い」とか「音楽の使い方もセンスは悪くないと思うんだけど、ちょっと派手過ぎる」とかいった、些細な違和感でしかないのですが、こういうタイプの映画って「観客に違和感を抱かせずに、気ままに楽しませてくれる」のが大事だと思うのですね。  その為、観ていて退屈したという訳では無いのですが「面白かった」とも言い難いのが、正直なところ。   もう一つ、大事な部分としては、砂漠を舞台にしているにも拘らず「主人公達が渇きに苦しみ、水を求めるような場面が存在しない」という点も気になります。  水質汚染というテーマを扱っている以上、手近な水をグビグビ飲んでいては不自然という配慮ゆえかも知れませんが、これは如何にも寂しい。   終盤にて遭難しかけた主人公達が、壊れた飛行機をヨットのように改造して移動手段とする場面などは痛快でしたし、良い所も色々と見つけられただけに、何だか勿体無いですね。  細かい部分を、もっと練り込んでくれたら傑作に化けたんじゃないかという、そんな可能性を感じさせる映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-21 23:55:24)(良:2票)
500.  13ゴースト(2001) 《ネタバレ》 
 終わってみれば、主人公一家の四人は全員生存しているのだから「安心して観賞出来るファミリー映画」とも言えそうな本作。   ただ、自分としては冒頭から登場する霊能者のデニスに感情移入していた為、彼が死亡する展開だったのが残念でしたね。  その後に幽霊として助言してくれるし、主人公を庇っての自己犠牲である以上「オイシイ役どころ」とも言えそうなのですが、その辺りの流れも少々唐突。  「こうすれば、ずっと嫌いだった自分を好きになれる」との事なので、動機は理解出来るのですが (せっかく魅力的なキャラクターだったのに、こんな風に殺すのは勿体無いなぁ……)  と、感動するよりも惜しむ気持ちが強かったです。  主人公一家には幼い男の子もいるし、年頃の女の子もいるし、彼らと交流を持たせるなり何なりして、自己犠牲の動機に「この家族を好きになったので、守ってあげたい」という要素を濃くしてくれていたら、もっと好みだったかもしれません。   翻って、主人公一家はといえば、良くも悪くも王道、無難な造形ですね。  強烈に心惹かれるものはありませんでしたが、ちゃんと善人揃いなので「生き残って欲しい」と素直に応援出来る感じ。  物語としては子供達に「人質」以外の役どころが殆ど与えられていない事、黒人家政婦が場を和ませるアクセント止まりな事は不満に感じましたが、あくまでも主人公である父親中心のストーリーなのだから、致し方無いところでしょうか。  母親の霊が、残された家族に「愛してる」と告げてから消えるラストに関しても、綺麗に纏まっていて良かったと思います。   「前後」に両断される弁護士の殺され方など、この手の映画に必要な残酷なギミックが、きちんと描かれていた辺りも好感触でしたね。  何というか「残酷さ」のバランスが程好い感じで、うわぁ……とドン引きしてしまう程でもないし、全くドキドキしない訳でもないという、巧みなバランス。  掛けると幽霊が見えるようになる眼鏡など、魅惑的なアイテムが登場して、ワクワクさせてくれる辺りも良かったです。   「後半の展開が好みから外れている」という点を差し引いても、それなりの満足感を得る事が出来た、安定度の高い一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-02-14 16:41:08)(良:1票)
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