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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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541.  グランド・マスター 《ネタバレ》 
 二重の魅力を秘めた作品だと思います。  武侠物としても、恋愛物としても楽しめる側面を備えている。   でも、自分の場合は上記の要素どちらに比重を置いて観賞して良いのか分からず、今一つ集中する事が出来ませんでしたね。  「ウォン・カーウァイ監督? なら格闘シーンはオマケ扱いで、恋愛模様がメインなんだろなぁ……」 「おぉっ、思った以上にアクションのクオリティ高い! 甘く見てた自分が馬鹿だった!」 「これ完全に武侠映画だなぁ、やっぱ映画に先入観を持つのは禁物だわ」 「あれ? このラスボス(と思われた人物)あっさり負けちゃったけど、どう話の決着付けるの?」 「……って、結局は恋愛映画かよ!」   と、こんな感じで混乱してしまった次第。  途中から終盤にかけては、トニー・レオン演じる葉問よりも、チャン・ツィイー演じる宮若梅の方が主軸に据えられているように感じましたね。  それでいて最初と最後をキチッと葉問で〆るのは生真面目な作りでしたが、それゆえに葉問が全然目立たない場面の長さも際立ってしまい、少々軸がブレているようにも思えました。   冒頭の雨中の格闘シーンを筆頭として、アクションは格好良く描かれていましたし、監督の得意分野とも言うべき恋愛描写の部分も良かったです。  不器用な自分としては、さながら左右から腕を引っ張られているかのような居心地の悪さを覚えてしまいましたが、器用な人であれば、その両方をしっかり楽しんで、満足出来そう。  そんな器用さを備えた人が羨ましくなる、ちょっと手の届きそうにない位置に咲いている花のような映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-05-06 05:21:05)
542.  フラッシュバック(2008) 《ネタバレ》 
 同名の邦題映画が、四つも登録されている事に吃驚。   自分が観賞したのはダニエル・クレイグ主演の青春映画でしたが、丁寧に作られた品であると感じました。  何といっても、登場人物達がデヴィッド・ボウイのファンであるというだけでも好感を抱いてしまいますね。  全編に亘ってノスタルジーをくすぐる匂いが漂っており、こういったタイプの映画としては、安心させられるものがあります。   基本的なストーリーラインとしては「ニュー・シネマ・パラダイス」との共通点が幾つか窺えました。  俳優として成功したは良いものの、今はもう落ち目と見られている主人公が、親しかった友人の死を知らされて帰郷し、そこで若き日の出来事を回想する事になる……といった形。   つまり、この亡き友との絆、友情こそが映画の骨幹となるだろうと予想していたのですが、中盤から彼の存在がどんどん薄くなってしまい、困惑させられましたね。  結局は主人公とヒロインの恋愛、そして人妻との不倫が中心であったように思えます。  それでも、メロドラマとして面白ければ構わないと頭を切り変えようとしたのですが、どうも上手くいきませんでした。   理由としては、まずヒロインとの仲が、それほど濃密には思えなかった事。  自分と同じ曲を好きな女の子、というだけでも主人公が恋心を抱く気持ちは良く分かります。  一緒にレコードを聴きながら口パクし、ブライアン・フェリーとバックコーラスとになりきっている場面などは、本当に楽しそうで良い場面でした。  ただ、そこから更に深い仲になろうとした矢先に、主人公は人妻の誘惑に負けて彼女との約束をすっぽかしてしまう訳で、観ているこちらとしては「そんなの別れる事になるのが当たり前じゃないか」と気持ちが冷え切ってしまったのです。  そこから復縁する展開になる訳でもなく、更に主人公は不倫をし続けて、遂には不倫相手の娘さんの事故死を招く結果となってしまいます。  ここまできたら、流石に主人公に感情移入する気持ちなどゼロです。   何といっても、子供の死に対して悲しみや罪悪感を抱く描写が決定的に不足していたと思いますし、不倫相手の人妻にしたって、死を聞かされて言い放つ言葉が「亭主に責められる……」って、子供を可哀想に思うのが先じゃないの? 自分の保身を真っ先に考えちゃうの? と大いに興醒め。  若い男との情事を楽しみたい母親から家を追い出され、一人遊びの最中に事故死してしまった幼い女の子が、本当に哀れでしたね。  海岸に流れ着いた機雷による爆死などという、非現実的な出来事だったので、実感が湧かなかったのかも知れませんが、もっと主人公達の「子供の死」に対する苦悩も描いて欲しかったな、と思います。   この後、親友に慰められる事となり、そして冒頭に繋がるのだろう……と思っていたら、それすらも無し。  終盤、実は不倫相手だった彼女も、自分が家を飛び出した後に不遇の死を遂げていたと知って、主人公がショックを受ける展開となる訳ですが、ここまで冒頭の「親友の死」を軽く扱うのであれば、初めから彼女の死を知らされて帰郷する形の方が良かったのではないでしょうか。   結局、ヒロインは残された親友と結婚しており、幸せな家庭を築いていた事も明らかになるのですが、帰郷した主人公と、夫を亡くした彼女が再びくっ付く、なんてエンディングにならなかった事には、ホッと一安心。  故郷を後にして、元の生活に戻っていく主人公の姿に「If There Is Something」の歌詞と、それを一緒に聴いた在りし日の二人の姿が重なり合う演出は、心に響くものがありました。   全体的に「好きな映画である」とは言い難いけれど「好きな場面」は幾つも見つける事が出来る。  そんな作品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-25 16:12:06)
543.  素敵な人生の終り方 《ネタバレ》 
 設定からすると、如何にも感動物といった趣きの映画なのに、その内容はコメディという意外性が面白かったですね。  涙を誘うようなシーンもあるにはあるのですが、それよりも笑いの比重が大きかったように思えます。   自分としては、冒頭の悪戯電話を楽しんでいる主人公達に対して今一つ感情移入が出来ず、どこか冷めた目で画面を眺める事になってしまったのが残念。  そして、そんな悪戯電話の件以上に呆気に取られたのが、終盤におけるヒロインの台詞。 「(彼と不倫したのは)病気を使って同情させるからよ」  って、おいおいそこまで言うか、と衝撃的でしたね。  主人公が一途な愛情を抱いている存在なのだから、きっと優しい女性なのだろうな……という思い込みを、木っ端微塵に粉砕された形。   とはいえ、元々家庭がありながら不貞を働いていたカップルなのだし、そのくらいの落としどころが丁度良かったのかも知れませんね。  主人公も彼女も聖人君子ではなく、むしろ駄目な人間なのだというのが、何となく可笑しかったです。  道徳的には正しくなかったとしても、憎めない愛嬌のようなものを感じさせてくれました。   この映画は全編に亘ってそういった肩透かし感が強く「病気で余命僅かな主人公」「元妻との恋の再燃」というテーマを扱っておきながら「主人公の病気はアッサリ治るので、感動的な死など迎えない」「元妻とヨリを戻す事もなく、再び別れる事になる」という、王道の展開を踏まえた上での真逆な結末を迎えているんですよね。  結局、主人公は病気の告知を受けて自分の一生を見つめ直す前の段階と、何も変わっていないように見える。  ただ一つの大きな違いは、心を通わせられる友達が一人出来ただけ……という、静かな変化を描いた結末は、とても好みでした。   アダム・サンドラーと対になる、もう一人の主人公を演じたセス・ローゲンの存在も良かったですね。  彼の目線からすれば「一度は歩みかけたコメディアンとしての成功の道を閉ざされた後に、再び立ち上がって歩み始める」という、大いに青春を感じさせるエンディングにもなっています。   色々と意外な展開で驚きましたが、偶にはこんな風に「王道」「お約束」を逆手に取った作品も悪くない……と、そんな風に感じさせる一品でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-23 16:54:56)(良:1票)
544.  親愛なるきみへ 《ネタバレ》 
 アクションではなく恋愛物のチャニング・テイタム主演映画は、これが初体験です。  こういった設定の映画では、どうしても主人公がナヨナヨしくて軍人には見えないというパターンが多くなってしまいそうなのですが、本作に関しては心配無用。  見るからに筋肉質で厳つい彼だけど、繊細な心情も丁寧に表現する演技を見せてくれて、違和感なく楽しむ事が出来ました。   さぁ、これからどんなストーリーが展開されるのだろうと期待が膨らむ序盤。  そして、中盤以降は……正直、王道過ぎるというか、何処かで観た事があるような展開に収まってしまったように思えて、残念でした。  遠距離恋愛をテーマとして扱っている以上、それは外せないのかもしれませんが「男が留守にしている間に寂しさに耐えかねて他の男と結ばれてしまう女」なんてものを、まさか終盤で堂々と見せられる事になるとは予想がつかず。  自閉症の父との絆、そして別れに関しても真面目に描かれていたとは思うのですが、それだけに優等生過ぎて面白みに欠けるように感じてしまいました。   一方、冒頭のシーンにて(あぁ、これは死ぬ間際の主人公が過去を回想するという形式なのか)と安易に考えていたところで、それを裏切ってくれる形となったのは気持ち良かったですね。  死の床にある父に向って、主人公が読み上げる手紙。  その文中にある「俺はコインだ」との言葉に象徴されるように、ストーリーの主軸は「コイン」と「父と子の絆」であって、恋愛要素はオマケに過ぎなかったのではないかな、とも思えてきます。  両方の要素を備えているからこそ魅力的なのかも知れませんが、自分の好みとしては、家族を主題にした映画か、恋愛映画なのか、どちらかに絞って描いて欲しかったところ。   色々と気になる点も多かったのですが、最後は主人公の男女が再会してハッピーエンドで〆てくれた辺りなんかは、何だかんだで嬉しかったです。  回り道はしたけれど、収まるべきところに収まったという形で、安心感がありました。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-20 21:44:02)
545.  ルームメイト2 《ネタバレ》 
 続編というよりはリメイクに近い印象を受けました。   1で印象的だった「髪型を同じにしてルームメイトとの同一化を図ろうとする女性」というシークエンスなども、ほぼそのまま再現されていますね。  ただ、長い黒髪を短い茶髪に変えた前作に比べると、今回は髪色を変えた程度の変化に思えて、インパクトは弱かったように感じられます。  「良い子」だと思っていたルームメイトが、卑猥な店で働いているのを見かけて衝撃を受けるシーンなども、今作の女優さんに関しては失礼ながら「そういう店で働いていても驚かないタイプ」という印象を受けたので、意外性という点では不利かと。   序盤は前作とは違う展開だっただけに、新しいストーリーを見せてくれるかと期待していたところだったので、中盤以降は「結局、同じ話になるのかよ!」という落胆を感じてしまった……というのが、正直なところですね。  2から先に観ていれば印象も変わったかも知れませんが、この辺は後発の作品の辛いところ。   結末に関しても大体同じなのですが、彼氏が生き残っているのでハッピーエンド色が強まっている一方、ヒロインは死んだルームメイトに憑りつかれているような描写もあり、一概に後味が良いとは言い切れないものがありました。  相手を殺して一緒に死ぬ事が愛情表現であった彼女に対し、ヒロインは殺すだけで自分も死んであげる事は出来なかったという形で「彼女の愛には応えられない」という事を示した点に関しては、中々味わい深くて好みです。   最後にヒロインが見せた笑顔は、過去を吹っ切ろうという決意の表れにも、殺したルームメイトと同化するのを受け入れたようにも思えましたね。  それまでは予定調和な展開ばかりだった中で、初めて「この後どうなるの?」と身を乗り出した途端に、スタッフロールが始まってしまうというオチ。  何とも残酷な映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-17 19:38:32)
546.  デッドロック(2002) 《ネタバレ》 
 監督はウォルター・ヒル、主演はウェズリー・スナイプス、おまけにピーター・フォークまで出演しているという布陣ゆえに、大いに期待を抱いて観賞した一本。   まず、正規の世界王者、ヴィング・レイムス演じるアイスマン側の尺が、予想以上に長い事に驚きました。  この映画のクライマックスは「表世界の王者VS裏世界の王者」という両者の対決なのですから、片方だけにバランスを偏らせなかった構成は正解なのかも知れませんが、戸惑いの方が大きかったというのが正直なところです。  理由としては、アイスマンに「もう一人の主役」と呼ぶに相応しい魅力を感じられなかった事が大きいですね。  レイプ容疑も冤罪とは思えないし、性格も「良い奴」とは程遠く、長時間にわたって彼にスポットを当てられると混乱してしまいます。  傲慢な悪役としては、中々に憎たらしくて味があると思いますし、ラストの刑務所帰りの姿には改心したような雰囲気も漂っていたので、決して嫌いなキャラクターではないのですが、作中での扱いに疑問が残りました。   そして、囚人側の王者、スナイプス演じるモンロー。  こちらは流石に存在感を放っており、飄々とした姿が魅力的ではあるのですが、今一つ「何故強いのか」の描写が足りていなかったように思えます。  刑務所という環境にあっても、物凄く厳しいトレーニングを積んでおり、食生活にも細心の注意を払っている……という事が大して伝わって来なくて、独房で黙々と模型作りに耽っていた姿ばかり印象に残ってしまう形。  ピーター・フォーク演じるボクシング通の老人メンディが、トレーナーとしてモンローの強さを支えているのだろうかと予想していたのですが、それも肩透かしでした。  余計な描写を挟まず「スナイプスだから強いんだ、文句あるか」と突き放してみせるのも、それはそれで痛快ではあるのですが、それならばボクシングシーンで完全にファンタジーな強さを見せ付けるくらい思い切った方が良かったのではないかと。  全体を通してリアルな雰囲気が漂っている作品であっただけに、逆に「リアルじゃない」部分が目立ってしまう形になっているように感じられました。   それでも、ラストシーンにて 「世間の連中はアイスマンが世界最強の王者だと思っているが、本当の王者は刑務所にいるモンローなのだ」  という秘密を、囚人達が誇らしげに共有しているという顛末は好み。   続編が二本も作られているとの事ですが、それも納得してしまうような、粗削りな魅力を秘めた作品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-08 04:35:10)
547.  シノーラ 《ネタバレ》 
 古き良き映画として、その雰囲気を楽しむ事が出来る映画だと思います。   シリアスなストーリーのはずなのですが、主人公が壺を振り子のように動かして敵の頭にぶつけるシーンの演出など、妙に笑いを刺激する部分などもあったりするのが面白かったですね。  もしかしたら作り手は大真面目で、笑わせるつもりなど皆無なのかも知れないけど、壺が砕け散る音がやたらと大きかったりして、妙にお気に入りの一場面。   上述のように、主人公が雇い主側を裏切って戦いが始まるシークエンスは中々にテンションが高まるものがあるのですが、そこに辿り着くまで一時間ほど掛かってしまうのが難点でしょうか。  また、ストーリーに関しても「裏切りに至るまでの主人公の心情の変化」が伝わってこない為、最後まで感情移入する事が出来なかったのも残念。  雇い主は最初から悪役として描かれていたし、美女の存在だけでも裏切りの理由には充分、という解釈も出来るのですが、もう少し決定的なイベントなどがあった方が良かったかな、と思えます。  撃たれた敵の倒れ方が、ややオーバーアクト気味な辺りも、シリアスとギャグとの境界線を曖昧にしているように感じられました。   以上の如く、全体を通して考えると気になる点も多い品なのですが、それでも主人公を演じるイーストウッドの存在感は抜群。  汽車で屋内に突入し、そのまま銃撃戦を行ってみせる姿などは、素直に格好良いと思えましたね。
[DVD(吹替)] 5点(2016-04-07 07:54:55)
548.  タキシード(2002) 《ネタバレ》 
 映画の利点の一つとして「本当は凄くない人を、凄いように見せられる」という事が挙げられると思います。  それが本作の場合は、全くの逆というか……  「本当に凄いアクション俳優」の代名詞的存在であるジャッキーに「本当は凄くないのに、タキシードのお陰で超人になる主人公」を演じさせてる訳だから、トンデモない映画ですよね。  本末転倒というか「これならジャッキー主演でなくとも良いのでは?」と思える形になっており、褒めるのが難しいです。   そもそも「主人公は凡人であり、特殊なタキシードのお陰で超人になれた」っていう設定、ジャッキーとは相性が悪いと思うんですよね。  公開当時の米国人ならいざ知らず、日本に住んでる自分としては「ジャッキーが凄い奴」である事は分かり切ってる訳で、本作にて「ジャッキーは凄くないよ、凄いのは着てるタキシードなんだよ」ってストーリーを展開されても、全く説得力を感じない。  作り手側も流石にマズイと思ったのか「タキシードを着ると強くなる」ってだけでなく「声帯を変える事も出来る」「銃を組み立てるような精密動作も出来る」といった性能も付け足されてるんだけど、それが成功したとは言い難いかと。   こういう設定の映画である以上、観客には「このタキシードを着てみたい」って思わせる必要があるはずなんですが、本作に対しては全然そんな気持ちになれませんでしたからね。  色んなジャッキー映画を観て「ジャッキー・チェンになりたい」と思った事が何度もある身としては、これは如何にも寂しい。  もっと「タキシードを着て超人になる事の利点」「強くなる事の爽快感」「色んな事が出来るようになる快感」を、しっかり描くべきだったと思います。   一応、所々でジャッキーがアクションを披露してくれてるので、退屈まではしなかった事。  「九割は服でモテる(胸を指差して)あとの一割は、この中」「僕はファンを無視する有名人が嫌いだ」などの台詞は、中々オシャレで好みだった事。  最後はタキシードを着た者同士の対決になる事や、タキシードの特性(煙草を咥えられたら、自然に火を点けてしまう)を利用して勝つ脚本などは、王道の魅力があった事などを考えると「つまんない映画」「嫌いな映画」って程ではないんですが……  誉め言葉よりも、文句の方がスラスラ書けちゃう映画なのは確かだったりするので、困っちゃいますね。   最後の大袈裟な告白が失敗に終わるとか、ツンデレっぽいヒロインと結ばれるオチになるとか、その辺も「良かった箇所」と呼べそうではあるんだけど……  それらに対しても「告白の為とはいえ、自転車に乗ってた人が殴られたりして可哀想なので笑えない」「最終的に結ばれるのであれば、彼女の出番を増やしてヒロインとしての魅力を描いておくべきだった」なんて具合に、次々と不満やら文句やらが浮かんできちゃうんです。  この映画を褒めたい自分と、文句を言いたい自分とが戦った結果、後者が判定勝ちしちゃった感じ。   残念ながら、自分には合わない「タキシード」だったみたいです。
[DVD(吹替)] 4点(2023-09-11 23:17:16)(良:1票)
549.  ハンニバル(2001) 《ネタバレ》 
 「レクターはクラリスを犯したいのか殺したいのか食べたいのか」「恐らく三つ全部でしょう」というやり取りが印象的。  答えとしては「犯したい」「殺したくない」「一緒に誰かを食べたい」が正解だったと思うんですが……  何か、その辺りについて真面目に考察する気になれないから、困っちゃいます。   だって本作のレクターってば、控えめに表現しても「クラリスに恋するストーカー」でしかないし、真剣に考えるのが馬鹿らしくなっちゃうんですよね。  原作と違ってレクターの妹について語られていないから「失った妹の面影をクラリスに求めてる」とか、そういう尤もらしい言い訳も出来ないし、本当に良い歳こいた爺様が若い女に執着してるってだけなんです。  しかも回転木馬でクラリスの髪に触れる仕草とか、まるで幼女に悪戯するロリコンみたいだったし……  これは同族嫌悪かも知れませんが、観ていてキツかったのは確かです。   原作ではクラリスと、ドラマ版ではウィルと結ばれたレクターが、本作では孤独な結末を迎えるのが興味深いとか、色々と分析して感想書く事も出来そうなんだけど……  どうも本作のレクターについては、悪口ばかりになっちゃいそうなので、自制しておこうと思います。   で、主人公以外の事について語ろうとしたんですが……これがまた、主人公以外には特に語る事も無いんですよね、この映画。  唯一、本作から登場したメイスン・ヴァージャーという人物は、中々インパクトがあって良かったと思うんだけど、何か彼についても「レクターをヒーローとして描く為に、無理矢理レクターより酷い悪役を出した」って印象が強かったりして、褒め難いんです。  原作だとメイスンには妹が存在し、その事が「レクターにもメイスンにも妹がいる」という形で、両者の因縁を強めていたと思うんですけど、そういう要素も排除されちゃってますからね。  ただ、そんなメイスンの最期に関しては「レクターに誘導された付き人が、主人であるメイスンを突き落とす」という形になっており、これは他者を操るレクターらしい殺し方で、原作より良かった気がします。   その他、印象に残った場面としては……「クレンドラーを調理する場面がグロかった」とか「手錠を掛けられた後、クラリスではなく自分の腕を切断するレクターには驚かされた」とか、精々それくらいかな?  後は、クラリスをお姫様抱っこするレクターに、二人のキスというロマンティックな場面も用意されているので「レクターとクラリスのカップルが好き」という人からすると、満足度の高い映画かも知れません。   何か、気が付けば結局レクターの事ばかり語っちゃいましたが……  まぁ、仕方無いですよね。  なんせタイトルが「ハンニバル」なんですから。   でも、自分としては同じ「ハンニバル」なら、ドラマ版の方が好みです。
[DVD(吹替)] 4点(2023-05-10 02:52:01)(良:2票)
550.  アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲 《ネタバレ》 
 前作の主人公カップルの娘が主人公という、正統派な続編。   とはいえ、方向性としては明後日の方に向かってるというか……  「無理やり作ってみました」感が凄かったですね。   まず、前作の女性大統領が「実は人類の絶滅を目論んだ恐竜人である」という設定になってるんだけど、そんな伏線なんて一切無かったはずなんです。  でもって「前作で死んだはずの元月面総統は、実は生きてた」「しかも彼は、ヒトラーの弟だった」「異星人であり、人類の創始者でもあった」なんていう真相が次々に明かされるんだから、ここまで来ると驚くより先に、呆れちゃいます。  (スケールを大きくすれば面白くなるってもんじゃないよ……)と、笑いながらではなく、真顔でツッコんじゃいましたね。   この「笑いながら」と「真顔で」の差が大きいというか、荒唐無稽な馬鹿映画でも「笑いながらツッコんで楽しめる」のであれば、全然問題無いと思うんです。  事実、前作に関してはギリギリで「笑いながら」ツッコめる範疇に収まってたし、楽しい映画と言える出来栄えでしたからね。  それが続編にて「真顔で」のラインに踏み込んでしまったという形であり、実に残念。   そもそも本作は「満を持してヒトラーが登場する」という内容であり、前作にて「ヒトラーが出てこないのが惜しい」という評価を下した自分にとっては、凄く褒め易い映画のはずなんです。  にも拘わらず、その低いハードルを越えてくれなかったというか……飛び越えずに、蹴倒してみせたような内容だったんだから、困っちゃいます。   だって本作のヒトラーときたら、単なる宇宙人を「実はヒトラーです。ヒトラーは宇宙人だったのです」って設定にしただけであり、ヒトラーである必然性なんて皆無ですからね。  ユダヤ人を特別嫌ってるって訳でもなく、ゲルマン民族の優位性を信じてる訳でもなく、人類全てを憎んで滅ぼそうとしてる異星人であり、ただ見た目がチョビ髭のオジさんというだけ。  唯一ヒトラーっぽいのが「絵を描くのが上手い」というワンシーンのみであり、これならヒトラーじゃなくチャップリンでも成立したじゃないかと、投げ槍にツッコむ他無かったです。   「核戦争で地球を汚染し、人類を滅亡寸前まで追いやった張本人」という、どう考えても一番憎むべき存在な女性大統領が、中盤で雑に退場しちゃうのも肩透かしだし……  ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模した画面作りにして、キリストに相当する位置にヒトラーを置くとか、そういうシニカルな描写も、何かズレてる感じでしたね。  そりゃあ敬虔なキリスト教徒ならショッキングに思えたかも知れないけど、そうでない自分には全然ピンと来なかったし、歴史上の偉人や権力者などが「実は人間じゃなく恐竜人」って言われても(……だから何?)としか思えない。  Facebookの創始者であるザッカーバーグも恐竜人って事にされ「人類のオツムを空っぽにした功労者」であると皮肉気に描かれてるんだけど、Facebookが理由で馬鹿になるというなら、この映画を観る方が余程知能に悪影響なのではと、意地悪く考えちゃったくらいです。   一応、良かった点も挙げておくなら……  「ジョブズ教」に関してはラスボスを倒す伏線にもなってるし、ちゃんと意義のある設定だなと思えた事。  「頭は弱いけど、気の良い力持ち」っていうマルコムは、中々魅力的なキャラだった事。  それと、前作のヒロインであるレナーテが、聖杯の力を得てスーパーガールみたいに超人化し、恐竜を素手で倒しちゃう馬鹿々々しさは好きとか、そのくらいになりそうですね。   最後は「月にナチスが移住していたように、火星にはソ連が移住済み」ってオチになってましたし、続編も作る気満々なのが窺えるんですが……  2023年現在「アイアン・スカイ:ジ・アーク」の製作は難航中で、続編を拝める可能性は、かなり低いみたいです。  それを踏まえて考えると、本作に関しては「一本の映画として完成している」というだけでも、御の字なのかも知れません。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2023-04-26 00:43:55)
551.  メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス<OV> 《ネタバレ》 
 良くあるサメ映画の一つなんですが、何故かシリーズ化して第四弾まで続いてるんですよね、これ。  続編で戦う相手は「巨大ワニ」「メカゴジラならぬメカ・シャーク」「進撃の巨人そっくりな巨大ロボ」とバラエティに富んでおり、シリーズ化した理由は「色んな相手と戦わせる事が出来て、話を作り易いから」だと推測出来るんですが……  肝心の第一弾である本作が、とてもシリーズ化出来るほどのクオリティに思えないんだから、困っちゃいます。   そもそも巨大ダコって海外では人気が高いけど、日本人の自分からすると、どうもピンと来ないんですよね。  「タコ」=「食材」ってイメージが強いし、いくら巨大化されてもワニやヘビなどに比べると「怪獣」って感じがしないから、本作の対戦カードに関しても(サメとタコが戦ったら、タコが食べられて終わりでしょ)と思えて、盛り上がれないんです。  実際は相打ちに終わった為、予想が外れた形ではあるんですが……  何か、それに対しても特段の驚きは無かったし、最後までテンションが上がる事無く、映画が終わっちゃいました。   一応、良かった所も述べておくなら、巨大ザメと巨大ダコの出番は適度に確保されており、期待外れって感じはしなかった事。  この手のモンスター映画では、危険な怪物を殺そうとする主人公達に対し、お偉いさんが「殺さずに捕まえる事」を要求して足を引っ張るのがお約束なんだけど、本作は主人公達が「生け捕り」を主張する側だった為、中々新鮮な感覚を味わえた事。  主人公カップルが性交渉を行った後「フェロモンで二大怪獣を誘き寄せる」って作戦を思い付く形なので、お約束でしかないはずの濡れ場にも、ちゃんと意味があった事。  そして、海中からメガ・シャークがジャンプし、ジャンボ旅客機に噛み付いて墜落させちゃう場面は馬鹿々々しくて良かったとか、そのくらいになりそうですね。   特に最後の件に関しては、続編の「メガ・シャークvsグレート・タイタン」(2015年)では宇宙まで飛んで、人工衛星を破壊する場面もあったりするので、事前に本作を観ておくと、より楽しめると思います。  (今度は宇宙かよ!)とツッコみたくなる事、請け合いです。
[DVD(吹替)] 4点(2023-03-16 02:42:16)(良:2票)
552.  就職戦線異状なし 《ネタバレ》 
 ナレーションも相まって、学校の授業で見せられる教材ビデオみたいでしたね。   実際に「面接の作法」なども作中で語られているし、そういう意味では「為になる映画」と言えるかも。  バブル期は就職し易くて良かったという以上に「残業を嫌がる事」「有給めいっぱい取る事」が悪徳のように語られてるのも印象的であり、そういった具合に「今との違い」を感じられる内容なのは、史料的価値があるように思えます。   ただ、面白い映画とは言えそうになくて……  根本的に「なんだかんだで就職は上手くいきました」「ヒロインとも結ばれました」ってだけの粗筋でしかないので、どうも盛り上がりに欠けるんですよね。  こういう場合、せめて登場人物が魅力的であれば(彼らが頑張る姿を眺めてるだけでも楽しい)って気持ちに浸れるんですが、本作はそうじゃない。  織田裕二が好きな自分ですら(傍迷惑な奴だなぁ)と思えちゃう主人公だったし、かなりキツかったです。   酔って喧嘩した相手が就職の面接官だったとか、そういう王道な魅力はあるし「自分探しならぬ職場探しを通して若者達の絆が深まる青春物語」って雰囲気自体は、決して悪くなかったんですけどね。  ただ、そんな美味しいキャラである面接官の雨宮に関しても、終盤で主人公にネクタイを貸す場面とか(何で急に良い奴になったの?)って戸惑っちゃうんです。  友人である北町との別れも同じ調子であり、感動的な場面として描いてるけど、それまでに北町との友情を感じさせる描写が希薄だから、心に響かない。  なんていうか「こういう感動的な場面をやろう」っていう意思は伝わるし、その場面だけ観れば、それなりに決まってるんだけど……  「その場面に至るまでの過程」が描けてないから感動出来ないってパターンが多いんですよね、この映画。  金子修介監督の品は好きな映画が多いのですが、本作を撮った当時は未熟だったのかな、と思ってしまいます。   最後はスポーツメーカーに勤める結末だったけど、それならいっそ高校野球の監督を目指す結末の方が良かったのでは?  と思えちゃう辺りとか、細かい不満点も多いですね。  いつもタクシーが捕まらない主人公が、十数台ものタクシーを一度に止められるようになるとか、いきなり飛んできた謎のボールを投げ返すとか、漫画的な場面が続出して終わるのも、何か無理してるというか「主人公の不運さや、野球のトラウマに対して無理やり決着を付けた」って感じであり、ハッピーエンドなのに褒めるのが難しいです。   上述の通り、主演俳優は大好きな織田裕二だし、エンディングに流れる「どんなときも。」は名曲だしで、色々と「好きになれる」要素は揃っていただけに、惜しい出来栄えですね。  この後、金子監督と織田裕二が再びタッグを組んだ「卒業旅行 ニホンから来ました」(1993年)は自分好みの傑作だった訳だし、何かもう一つでも違う方向に転んでいれば、本作も好きになれたかも知れません。
[ビデオ(邦画)] 4点(2022-11-01 17:41:31)
553.  トラックス<TVM>(1998) 《ネタバレ》 
 こういった代物の場合「○○のリメイクとして考えると微妙だけど、映画単品として考えれば面白い」ってパターンもある訳ですが……  残念ながら、映画単品として評価しても微妙な出来栄えでしたね。   全体的なクオリティは五十歩百歩なのに「地獄のデビル・トラック」(1986年)にあった「馬鹿々々しさ」「愛嬌」が失われてるというのが、何より残念。  爆発シーンも控えめになってるし、今回の籠城場所には拳銃が一つあるだけなので「人間と機械が戦ってる」感じも薄いしで、どうもテンションが上がらない。  陰鬱な作風と併せて考えるに「地獄のデビル・トラック」はアクション映画だったが、本作はホラー映画であると解釈する事も出来そうなんだけど、それにしては「一応拳銃も出てくる」「終盤には爆発シーンもある」って形なので、何か中途半端なんですよね。  元ネタとは違う魅力を出そうとしたのであれば、変に媚びるというか、元ネタにあった要素を少しだけ再現するような真似はせず、もっと「陰鬱なSFホラー映画」という方向性に振り切った作りにすべきだったと思います。   機械からのモールス信号を解読した訳でもないのに「やっと分かったぞ」「奴らが欲しいのは燃料なんだよ」って言い出す場面も不自然だったし、脚本も褒めるのが難しいんですよね。  元ネタにあった馬鹿々々しさが薄れてる分だけ「脚本の整合性」という意味ではアップしてるだろうと思ってたのに、全然そんな事は無かったというか……  全体的に「長所は失われ、欠点はそのまま」って形に思えちゃって、非常に残念でした。   それでも、あえて良かった箇所を探すとしたら……  ロズウェル事件と絡めて、一応は「機械が暴走した理由」に説得力を与えようとしてる所。  「有害なガス」という要素で、危険度を高めてる所。  あと「防護服が勝手に動いて、殺人鬼のように襲ってくる場面」は中々感心させられたとか、そのくらいになっちゃいそう。   最後も「助けに来てくれたヘリは無人だった」=「主人公達は決して助かった訳ではない」と感じさせるバッドエンドで後味悪いし、どうも好みじゃないです。   ……とはいえ、能天気なハッピーエンドだった「地獄のデビル・トラック」とは真逆のオチなので、こちらの方が好きという方もいそうですよね。  「トラックス」の方が先に作られており、後から「地獄のデビル・トラック」が作られていたとしたら「真面目なSFホラー映画が、馬鹿映画にされてしまった」って印象になってたかも知れないですし。   やはり、こういうリメイク物は評価が難しいし、どうしても厳しい目で見ちゃうから不利だなって思わされた一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2022-02-02 11:57:38)(良:1票)
554.  クロコダイル 《ネタバレ》 
 冒頭、ワニに襲われる場面の血が如何にも嘘っぽくて(大丈夫かな?)と思ったんですが……  結論から言うと、大丈夫じゃなかったです。   こういうモンスターパニック物が好きな自分から観ても、とても退屈な仕上がりとなっており、褒めるのが難しい品でしたね。  というより、冒頭で襲われるシーンを挟んだのって「ワニが出てくるまでは時間かかるけど、最初に襲われる場面やって盛り上げておいたから、我慢して観てね」的な意味合いだと思うんですけど、これだと逆効果というか……  どんなに我慢して観ても、その後に待ってるのは「あの嘘っぽい血が流れる場面」って分かっちゃう訳で、最初からテンション低いまま、希望を抱けないままで映画を観る形になるんですよね。  これなら冒頭で襲撃シーンを見せたりせず、途中までは(ワニが出てきたら面白くなるはず)って希望を抱かせてくれる作りの方が、ずっとマシだったんじゃないかと。    サーファーのヴォックとジョン船長、どちらが主人公なのか分かり難い構成になってるのも気になるし(ダブル主人公って訳でもなく、場面によって適当に主人公が変わるだけっていう印象です)ワニとの一騎打ちに挑んだジョン船長は呆気なく死んじゃって、驚くというよりガッカリしちゃうしで、登場人物にも魅力を感じられないんですよね。  「獲物を追って飛び降り、尖った岩に刺さって死亡」とか、ワニの退場の仕方も間抜け過ぎるもんだから、最後まで盛り上がる事無く終わっちゃいました。   それでも、何とか良かった箇所を探すとしたら……  「サメを求めて撮影にやってきたら、ワニに襲われた」って展開は中々捻りが効いており、気が利いてるなって思えた事。  大まかな流れは「アナコンダ」シリーズを参考にしているようで、王道の魅力もそれなりに味わえた事とか、そのくらいになりそうですね。   あと、途中でヌードを披露した金髪美女さんがペタンコな胸をしていて(あれ、もしかして男の子?)かと思ったんですが、特に説明も無かったし、結局あれは貧乳の女性だったって事で良いんでしょうか。  あそこまでペタンコな胸の人は珍しいと思うし、妙に印象に残ってます。  でも、あのくらい貧乳だと巨乳に負けないくらい不思議な魅力あったなぁとか、そんな事が一番気になっちゃうような……まぁ、そういう映画でした。
[DVD(吹替)] 4点(2021-12-17 00:01:06)
555.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
 所謂「巻き込まれ」系かと思いきや、実は主人公が黒幕だったというオチの映画。   出演者が吃驚するくらい豪華だし、伏線も丁寧に張ってあるし、画作りも上手いしで、普通なら好みの品のはずなんですが……  本作に関しては、どうも肌が合わなくて、観ていて辛かったですね。   復讐計画が偶然に頼り過ぎとか、種明かしの件が長過ぎてダレるとか、色々と欠点が目に付いちゃったし……  中でも「主人公達に魅力を感じない」「復讐に正当性を感じない」ってのが、この手の映画としては致命的だったと思います。   そもそも主人公の父マックスが殺されたのだって「闇賭博に手を出して大敗した」って背景がある以上、自業自得感が強くて、復讐の動機として弱いんですよね。  でもって、復讐の方法がまた酷いというか、無関係のフィッシャーを殺してるもんだから、全然スッキリしないんです。  殺した後、まるで主人公達は悪くないという言い訳のように「十四歳の少女に暴行して、八年間更生施設に入ってた」「君は死んだ方が役に立つ」「死んでも惜しむ者のいないクズだ」なんて台詞が挟まれる訳だけど、それで納得出来る訳ないというか……  (無関係の人間殺してるアンタらの方が、よっぽどクズだよ)って思えちゃって、復讐者としての主人公に、全く魅力を感じなかったです。   大体、フィッシャーを殺す必然性も無くて、誘拐監禁しておくだけでも計画としては成立したと思うんですよね。  「それは面倒だし、殺す方が簡単で確実だ」という考えの主人公であるのなら、やっぱり最低な奴だとしか思えない訳で、困っちゃいます。   ポール・マクギガン監督は、自分の大好きなドラマ「SHERLOCK」の主要スタッフでもあるし、腕は確かな人だと思うんですけどね。  正直、映画に関してはパッとしないというか、観た後ガッカリしちゃう品の方が多い気がします。   それでも、あえて良かった点を探すなら……  ヒロインが可愛かったとか「ジェームズ・ボンドといえば、この俳優」と語り合う場面はロマンティックだったとか、そのくらいになるかな?    何よりも、主演のジョシュ・ハートネットが大好きであるだけに、こんな主人公を演じさせた事が、恨めしく思えちゃいます。  自分とは、相性の悪い映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2020-06-18 11:47:13)(良:1票)
556.  巨大怪獣ザルコー 《ネタバレ》 
 変に勿体ぶったりせず、始まって早々に怪獣が登場するのが良いですね。   これはスピーディーな展開で楽しませてくれる「隠れた傑作」じゃないかと、期待も膨らんだのですが……  残念ながら、その後の展開は非常にノンビリしたものであり、本当に「冒頭で怪獣を出しただけ」だったりしたもんだから、ズッコケちゃいました。   そもそも本作って、劇中に「モスラ」の小美人のようなキャラが出てきたり、はたまたドクター・ストレンジラブっぽいキャラまで出てきたりと、如何にもな「オタク映画」って感じなんですよね。  恐らくは監督さんも「怪獣映画は、怪獣が出てくるまで長いのが嫌だ」って考えを、常々持っていたような人なんじゃないでしょうか。  だからこそ「勿体ぶらずに怪獣を冒頭で出す」っていう定石破りをやってくれたんでしょうけど……正直、この映画で評価出来るのって、そこくらいでした。   基本的なストーリーは「闘技場」(1944年)の系譜であり、王道の魅力はあるので、決定的に話作りがダメって訳じゃないんですが……やはり、もっと「本作独自の魅力」のようなものを感じさせて欲しかったです。  唯一「ザルコーは地球上のどんな武器でも倒せない」という前置きは中々面白くて、その倒し方に期待してたのに、それに対する答えも「謎の隕石が盾であり、ザルコーの光線を盾で反射すれば勝てる」ってのは、ちょっと拍子抜け。  実際に倒す場面も、人と怪獣の合成っぷりが丸分かりなクオリティだし (なんでザルコーは足元の人間を踏み潰さずに、わざわざ光線出すの?)  って疑問も湧いてきちゃうしで、全然スッキリしなかったです。   他にも「主人公に背中見せたせいで銃を奪われる警官が間抜け過ぎる」とか「エイリアンの存在を信じてるジョージが仲間になる流れは、もっと伏線を張って丁寧にやって欲しかった」とか、色々と不満点が多い映画なんですよね。  そもそも、主人公達のパートと怪獣のパートが全然繋がってなくて、主人公達がアチコチ移動してる合間に、まるでノルマをこなすかのように怪獣がミニチュア破壊する場面が挟まれるって構成なのが、根本的にダメだったと思います。  例えば、せっかく「ザルコーは主人公を狙ってる」という設定がある訳だから、主人公がテレビ局を立ち去った直後にザルコーがテレビ局を襲う流れにするだけでも「巨大な怪獣に狙われている恐怖」「追われつつも、何とか巨大な敵を倒す方法を模索する主人公」って形で緊迫感が出たと思うし、作り込みが甘かった気がしますね。   軍隊と怪獣の戦いをラジオの中継で済ませたりとか、非常に低予算な作りなので、あんまりツッコミ入れるのも野暮なんでしょうけど……  それでも本作に対しては「もっと頑張って欲しかった」って気持ちが強いです。   自分も怪獣映画好きで、映画オタクだからこそ、観ていて共感しちゃうし、その分もどかしさも湧いてくるような……  そんなタイプの映画でありました。
[DVD(吹替)] 4点(2020-06-03 23:12:28)
557.  サバイバル・ソルジャー 《ネタバレ》 
 虎に襲われる場面にて(これはもしや、ヴァン・ダムは序盤で退場して出て来なくなるパターンなのでは?)と危惧しちゃいましたが、そんな事は無くて一安心。  鮮やかな蹴りを披露してボスキャラを倒してくれるサービスシーンもありましたし「ヴァン・ダムは主演じゃないけど、彼のファンも満足出来るように作ってあるよ」という制作側の配慮が感じられましたね。   でも、映画自体は色々と粗が目立つというか……正直、観ていて退屈する時間の方が長かったです。  大人版「蠅の王」といった趣のストーリーなのですが「登場人物を子供から大人に置き換えたからこその魅力」のような物が全く感じられず、本当に舞台設定やプロットを拝借しただけって形なのが、如何にも寂しい。  「地獄の黙示録」や「コマンドー」をパロった場面でも、どうもテンションが上がらなくて「独自の魅力を打ち出せないから、他の作品の真似をしてみただけ」とすら思えたくらいです。   敢えて言うなら「会社では冴えない主人公が、無人島で活躍して同僚を見返してみせる」というカタルシスが本作独自の魅力なのかも知れませんが、その辺りも上手くやれてなかった気がするんですよね。  「日頃はダメ人間扱いされている主人公だけど、実は凄い奴だった」とは思えなくて、敵役になる同僚のフィルが無能で酷い奴だから、相対的にマシに見えるだけって感じなんです。  こういう「ダメ人間にとって都合の良い妄想映画」的なストーリーは自分も好きなんだけど、それだけに上手くやって欲しいというか……  (ダメ人間の自分から見ても、これは都合が良過ぎて嘘っぽいよ)と思えてしまったんだから、かなり辛かったです。  これなら「実は凄い奴だった」パターンじゃなくて「不器用ながらも無人島で頑張って成長し、周りに認められるようになる主人公」ってパターンの方が、もっと感情移入出来た気がしますね。   あと、これは我ながら贔屓目が過ぎると思うんですが、道化役を演じるヴァン・ダムが「恰好良い」「頼もしい」ってオーラを隠し切れていなかった事も、映画としてはマイナスポイントかも。  そんなヴァン・ダムを差し置いて、スター性に乏しいルックスの主人公が「恰好良くて、頼もしい存在」として描かれているもんだから、余計に説得力が薄れるし、胡散臭いキャラクターに思えちゃったんですよね。  本作はヴァン・ダムの出演が売りの映画なんでしょうけど、どちらかというと彼がいない方が完成度は高まったんじゃないかな、って気がしました。   ラストにて、フィルの偶像に火を放って救援の狼煙を上げる件は中々良かったし、詐欺師として逮捕される間際「刑務所宛てに手紙を書いて、面会にも来て欲しい」と主人公に頼みつつ敬礼して別れるヴァン・ダムはやっぱり良い味出していたしで、好きな場面も色々あるんですけどね。  「ヴァン・ダム出演映画は、一通りチェックしておきたい」という熱心なヴァン・ダム好きなら、ある程度は満足出来るかも知れませんが……  自分としてはオススメし難い、物足りない映画でした。
[DVD(吹替)] 4点(2019-05-02 23:03:51)
558.  ホーム・アローン3 《ネタバレ》 
「悪い大人と、家に仕掛けた罠で迎え撃つ子供との攻防戦」を楽しみたいのであれば、本作がシリーズ中で最も適しているかも知れませんね。   主人公の少年が科学好き、機械好きという事もあって、仕掛けも非常に凝っている。  敵側も銃を持った殺す気満々の連中なので、彼らを可哀想と思ったりする事もなく、純粋に少年側を応援出来た気がします。   ……ただ、自分が1と2を好きだった理由はそんな攻防戦にあるのではなく「一人ぼっちになった子供が、親を気にせず好き勝手にやって楽しんでみせる」「偏屈な大人と心温まる交流をして、幸せな結末に導いてみせる」部分にあったもので、その二つが希薄な本作に関しては、どうしても楽しめず仕舞いでした。  一応、後者に関しては「意地悪なご近所のヘスさんを救出して、感謝される」という形で描かれているのですが、主人公が一方的に彼女を助けて、それで仲良くなって終わりってだけなので、如何にも寂しい。  空港にて、袋を間違えて持ってきたのはヘスさん当人なのに「どこかの馬鹿に袋を間違えられてね」と発言するシーンがあるなど、ヘスさんに対しては「嫌な人」という印象しか抱けず、最後までその印象を払拭出来なかったのも痛かったです。  やはりこの辺に関しては「怖い大人、嫌な大人かと思ったけど、実は良い人だった」という、ギャップの魅力を感じさせるような場面が欲しかったですね。   他にも「主人公の少年が登場するまで十分近く掛かるので、感情移入し難い」「悪党にトドメを刺すのがペットのオウムという形なのは、カタルシスに欠ける」など、細かい不満点ばかり目についてしまうのも、全くもって困りもの。  主演のアレックス坊やに関しても、カルキンとはまた違った可愛らしさがあって良かっただけに「意地悪な兄と姉がいる」「悲鳴を挙げる仕草が似ている」など、前作までの主人公と同じ属性を盛り込んでいる形なのが、残念に思えちゃうんですよね。  これなら、もっと「機械が好き」って属性を強調して、前作までとは全く違った主人公像にしても良かったんじゃないかな、って気がします。    あえて言うなら「敵が銃を持っており、過去作よりも遥かに危険な存在」「美女のアリスもいるので、視覚的に楽しい」って部分が本作独自の長所と言えそうなんですけど、前者に関しては「銃を持ってるなら、さっさと撃てばいいのに」と思えちゃうし、後者に関しても「別に敵は全員男でも問題無い展開だったな」と思えちゃうしで、イマイチ褒めきれないんですよね。  せっかく敵役に女性がいるなら、それを活かし「彼女が母性に目覚め、寝返る事になる」とか「主人公の父や兄に色仕掛けして、篭絡しようとする」とか、もっとやりようがあったんじゃないかと。   「泥棒を目撃したのに、周りの大人が信じてくれない」→「見事に泥棒を退治し、周りに認められる」って流れは、起承転結がしっかりしていて良かったですし「アレックス・プルイットの科学実験」のシーンなど、ところどころ好きな部分も見つかっただけに、勿体無かったですね。  「観て損した」「失望した」って程に酷い訳じゃないけど、自分としては物足りない一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2019-01-09 01:17:38)
559.  免許がない! 《ネタバレ》 
 「あの舘ひろしが、実は運転免許を持っていない」という、出オチのようなアイディアだけで撮られたとしか思えない映画。   こういうネタである以上、やはりクライマックスでは主人公が実際の事件か何かに遭遇し、映画的なカーチェイスを繰り広げるのでは……と期待してしまうのですが、そこを外してくる惚けっぷりが、如何にも森田脚本らしく思えましたね。  全体的にユル~い空気が漂っており、退屈さも感じる一方で、何処か心地良さもあるという、不思議な作風。    作中で飛び出す駄洒落「クリープ現象。ミルクじゃないよ」も、最初はツマンなかったはずなのに、二度言われると少しクスッとしたりするんですよね。  映画全体もこんなノリであり、観賞中は(面白くないなぁ……あっ、でもここの場面は、ちょっと良いな)という反応を繰り返す事になりました。   大前提として、主演が舘ひろしでなければ成立しない話なのですが、序盤に変装して教習所に通う姿が、本当に「冴えない中年のおじさん」にしか見えない事には、驚きましたね。  それが正体を現すと、ちゃんと恰好良くなって、映画スターのオーラをビンビンに感じさせる立ち居振る舞いになるのだから、やっぱり凄い人なんだなぁ……と、感嘆。  ちょっぴり気障で、嫌味っぽいところもあるんだけど、フッと渋い笑みを浮かべるだけで色気と愛嬌が漂うもんだから、憎めないんですよね。  作中で観衆にキャーキャー言われているのも当然だなと、自然に納得出来ちゃいます。    踏切の前では窓を開けて音を確認するようにと教官に注意され「一般車で、そんな事やってるの見た事ねぇ」と反発するも「教習所では、そうすんだよ」と諭される件も皮肉が効いていて面白かったし、ミスを犯した後、教官に減点されちゃう嫌ぁ~な雰囲気なんかも、上手く表現されていたように思えますね。  特に、仲の悪かった教官が妻と復縁出来るようにと、主人公が手伝ってあげる場面なんかは、本作でも一番のお気に入り。   ……でも、その後の展開にて「純粋に合格した訳ではなく、借りを返す為に教官がハンコを押してあげた」と思える形になっているのは、それこそ大幅減点です。  そりゃあ教官だって感謝はするだろうけど、仕事に私情を挟んだような描き方をしているのは、ちょっと違うんじゃないかと。   あれだけ真面目に努力する主人公を描いておいたくせに、最終的には「映画スタッフが色々と助力して、反則まがいの方法で免許を取らせた」というのも、何とも納得し難い結末。  そこはやはり、実力で合格出来たんだと、スッキリ納得させて欲しかったところです。   中盤にて、やたらとお色気シーンが多くてウンザリさせられた事も含め、どうにも「好きな映画」とは言えそうにない本作。  とはいえ、憎み切れない愛嬌も備えているし「ここの場面は、結構好き」と言えるような部分も幾つかはあった為、何だかんだで観ておいて良かったと思えるような……そんな一品でありました。
[DVD(邦画)] 4点(2017-08-23 07:05:20)(良:1票)
560.  ジョーズ3 《ネタバレ》 
 サメの造形については、前二作よりも明らかにレベルアップしています。   それに伴い、ストーリーの方も進化している……と言いたいところなのですが、ちょっと厳しかったですね。  主人公はブロディ署長の長男マイクであり、可愛い恋人もいたりして、前二作を観賞済みの身としては「立派な大人になったねぇ」と、ほのぼのさせられるのですが、正直マイクである必然性は薄かったように思えます。  父親からサメ退治のコツを教わっているとか、前作で負ったトラウマを今回乗り越える事になるとか、そういう要素が無いんですよね。  弟のショーンも登場するのですが、兄弟らしく絡んだのなんて最初の二十分程であり、以降は全く出番無しというのだから「何の為に出てきたの?」と呆れちゃいます。   水中にある遊園地がサメに襲撃され、客達が園内に閉じ込められてしまうというプロットは、決して悪くなかったと思うんですけどね。  いざ観てみると、どうもバランスが悪いというか、展開がチグハグに思えて「う~む」と首を傾げてしまう感じ。   例えば、中盤にてシー・ワールドに客が訪れるシーンでの、楽し気な雰囲気なんかは良かったと思うんです。  でも、事前にサメとの対決(=生け捕り)が描かれた後なので、その落差で今一つ楽しめないし、どうせ再びサメに襲われるのは分かっているんだから、どうしても「中弛み」に感じられてしまう。  ベタな考えかも知れませんが、こういった「楽しい遊園地」という日常的なシーンは、やはり序盤で描いておくべきだったのではないでしょうか。  そして、中盤にサメの襲来によって日常が崩壊し、後はクライマックスまで一直線……という作りにした方が、良かったのではないかと。   それと、これは恐らくサメの模型を素早く動かす事が出来なかったという技術上の問題なのでしょうが、とにかく襲撃シーンのテンポが悪いんです。  水中のガラス越しにサメが体当たりを行い、中の人々が悲鳴を上げるという、本作最大の見せ場においても「サメの動きが遅いので、仕方なくスローモーション演出にしました」という感じがして、観ていて興醒め。  その後、五分程でサメを爆殺して終わりを迎えるというのも、こちらは逆に早過ぎるというか、アッサリ倒し過ぎに思えちゃいましたね。  緩急のある演出と褒める事も出来そうですが、自分としては戸惑いが大きかったです。   そんな本作で癒しとなるのは、イルカのサンディとシンディの存在。  ただ単に可愛らしいというだけでなく、サメに体当たりして主人公達を助けたりと、しっかり活躍してくれるのが良かったですね。  主人公とヒロインは生き残るも、イルカ達は死んでしまったかと思われたところで、水中から飛び跳ね、元気な姿を見せてくれて、ハッピーエンドに華を添える形になっているのも嬉しい。  本作のMVPには、このイルカ達を選びたいところです。
[DVD(字幕)] 4点(2017-08-03 20:28:02)(良:1票)
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