41. グラン・トリノ
《ネタバレ》 うぅ。。。ハリーだったら蜂の巣にされても立ち上がり、鬼神のごとく悪党共を殲滅したのに・・・ウォルトは2度と起き上がる事はなかった、優しい表情のままで・・・ 切なさと清々しさをスクリーン一杯に湛えた名作です。ストーリー自体は極めてシンプルですが、近年のイーストウッド監督作が描いてきた戦中・戦前の「家族愛」「人種の壁」を、病める現代アメリカを舞台に、強烈に更に重く訴えかけてきています。 家族にも持てなかった絆を、人種を超えて手に入れられた喜びとその裏腹にある危うさ。すべての価値基準がモノと金になった殺伐としたアメリカ社会において、人間同士の心の交流の可能性を求めて止まない監督の姿が見えます。 超大国となった代償に失ったモノ。ビッグスリー凋落の今、輝けるアメリカイズムを引き継げる者は、名車グラン・トリノを操る移民の少年なのか・・・と。 現代日本にも通じる警鐘です。 [映画館(字幕)] 10点(2009-05-15 02:25:41)(良:1票) |
42. チェンジリング(2008)
ララのイメージが強烈すぎて、アンジェリーナをアクション女優と決め付けておりました。撤回します。お見事でした! [映画館(字幕)] 7点(2009-05-15 01:32:46) |
43. レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
《ネタバレ》 短くも激しく海の藻屑と消えた恋は、永遠の輝きを保った。二人で時を掛け育て上げた愛は、「平安」と引き換えに、その輝きを失った。 『タイタニック』から12年後の2大俳優の成長ぶりを、二つの作品の恋愛の形と比較しながら観賞させてもらいました。 単行本にした方が売れそうな、人間の深層心理を描く純文芸作品です。「何年寄り添っても超えられない男女の壁」こんな重いテーマですから、普通なら退屈な映像になりがちですが、二人の高いレベルの演技がそれを払拭しています。最期の朝食のシーンの緊張感などは、並の俳優では決して醸し出せないでしょう。 そして、ラストのキャシーおばさんの言葉~おぉ怖っ!要するに「どんだけ永くつきあっても、女は何を考えているかわからん」のです、こちら側からすればですが・・・ [映画館(字幕)] 7点(2009-02-15 23:07:15) |
44. ベンジャミン・バトン/数奇な人生
《ネタバレ》 男は永遠に子供であり、女は永遠に母である。 [映画館(字幕)] 8点(2009-02-11 02:12:45) |
45. ウォーリー
《ネタバレ》 ピクサー映画はなんとなく敬遠しており、まともに観たのは今回が初めてでしたが・・・ 絵作りの巧さに感激しました。特に前半部のウォーリーとイヴの二人?芝居は、チャップリンの無声映画を彷彿させる。ロボットの微妙な感情?表現と美術館級のCGの美しさ。そのシチュエーションごとに切り替わる挿入音楽との調和。まさに「プロの仕事」! 後半からは「2001年宇宙の旅」をパロってのドタバタ劇になるのだが、キューブリックより遥かに理解しやすい素直な構成に好感度。 退化と進化を繰り返す人類と、進歩の過程で“人間らしさ”を醸成してしまったロボット。創造主が自ら作り出した機械から「人類のアイデンティティ」を啓示される大いなる皮肉を、さらりと描いています。映画好きの大人ほど十分楽しめる秀作です! [映画館(字幕)] 9点(2009-02-11 01:51:00)(良:1票) |
46. エグザイル/絆
《ネタバレ》 脚本なしである。監督の頭の中の物語があるだけで、すべては現場スタッフの直感によってここまでの映画が完成するとは!日本人が作れば、三流Vシネマになるだろうに・・香港映画恐るべし。 全編に流れる緊張感は、手持ちカメラの多様と共に、俳優陣の鬼気迫る演技に拠る処が大きい。極めて少ない台詞が、無言の表情の演技を更に際立たせる。テーマは「友と約束」。昔のヤクザ映画にありがちな主題が、かえってノスタルジーを揺り起こす。直球勝負の漢(おとこ)の為の漢(おとこ)の映画。最期の銃撃戦のシーンを私は一生忘れないだろう。 [映画館(字幕)] 10点(2009-02-01 02:33:55) |
47. ハッピーフライト(2008)
《ネタバレ》 ありそうでなかなか出会えない全員が主人公の映画。 一歩誤れば、PTAが泣いて喜ぶ小学校の学芸会に陥る作品を、航空専門的な要素を存分に織り込みながら、登場人物全員の個性を短時間の中で際立たせています。航空現場の綿密な下調べをベースにキャスティングの妙。シーンごとを計算してくされたような時間配分で、俳優陣の熱演を封じ込めています。「12人の怒れる~」「キサラギ」などの密室映画なら、全員主役も可能ですが、このタイプは天然記念物的に珍しいと思います。監督の非凡さを覗えると共に次回作への期待も膨らみます。 果たして、田辺君はハドソン河に不時着できるであろうか? [映画館(邦画)] 7点(2009-02-01 02:04:26) |
48. 007/慰めの報酬
《ネタバレ》 前作「カジノ・ロワイヤル」は007の誕生を、愛と裏切りとIT捜査と肉体アクションをごちゃまぜにして「チン」と描いたレンジケーキミックスのような秀作だった。その5分後からの続編である今作は、愛を失ったボンドが復讐に燃える殺人マシンとなり、水陸空の大活劇を演じるのであるが・・・なにかもの足りない。 そう、愛憎が足らない。今回のボンドガールに向ける007の愛は、娘を守る父親の愛情である。彼女もそれを受け入れ、そこに裏切りなどは存在しない。ゆえに観客は安心して見ていられる。ハラハラしないアクション映画なんて・・・ 世界の観光地ガイド的な絵つくりもアクションシーンも悪役に見えない悪役も、「ネバーランド」監督のこだわりが感じられ、好感がもてるのだが、肝心の“濡場”が少ないと魅力半減。 そうです、ごめんなさい!個人的には今回のボンドガールの方がタイプだったので、彼女のベッドシーンを観たかっただけなんです・・・ [映画館(字幕)] 5点(2009-02-01 01:34:31) |
49. K-20 怪人二十面相・伝
《ネタバレ》 「貧しさと人情」を前面に出しすぎて、「3丁目の夕日」的受狙いが少々鼻につきますが、娯楽作品として十分高いレベルにあると思います。 明智・小林少年コンビを地に墜とすシナリオは、江戸川乱歩原作に対する心地よい裏切りです。ビルの大跳躍や荒唐無稽な秘密兵器も、日本CG技術の進歩を窺わせる自然な仕上がり。新20面相誕生の落ちに大喝采です。 おしむらくは、時代設定にマッチした音楽の挿入と俳優陣のフレッシュな演技。 大会社の製作となると、大コケできない為か、最近の邦画はいつも定番もしくは売れ線の俳優しか起用しない。映画の始まる前から、演技が想像できてしまう。 『ダークナイト』のジョーカーのような掘り出し物の演技には到底出会えない。 キャスティングにも心地よい裏切りとチャレンジを期待~邦画全体に対してですが。 [映画館(邦画)] 6点(2009-02-01 00:56:47) |
50. 20世紀少年 -第2章- 最後の希望
第3章~最後への希望 も失くなった・・・ [映画館(邦画)] 3点(2009-02-01 00:14:02) |
51. ブーリン家の姉妹
《ネタバレ》 観賞後に真っ先に本屋に駆け込み、イギリス王朝関連の新書を買い漁っていました。 美しきポートマン嬢(アン王女)の最期を観て「歴史的事実はどうなんじゃ~」という単純な想いからですが・・・ 世界史の勉強では一行で終わる「アン王女の悲劇」が、実は後の大英帝国の幕開けとなるエリザベス一世統治時代に繋がる歴史の皮肉。 今作は、歴史では語られないアンの妹にも光を与えており、歴史ドラマというより姉妹の愛憎劇です。旬の2女優が看板な為か、男性陣の描き方が中途半端。特に、名君でありながら下半身だけは節操のないヘンリー八世だけでも、もっと精細に描写したなら、作品としての重厚感が出たと思うのだが。 作品としては、不満な処も多いが、チューダー朝時代への歴史的興味を起こさせただけでも、ポートマン・ヨハンセンの熱演に感謝! [映画館(字幕)] 6点(2008-11-18 01:15:42)(良:1票) |
52. 僕らのミライへ逆回転
《ネタバレ》 「エターナル・サンシャイン」で極力CGを排した映像美を見せた監督が、今度は、映画界の先人達への畏敬と愛情を、ジャック・ブラックの怪演を得て、画面いっぱいに表現しています。 いまどき、VHSしか置かないレンタルビデオ店と陳腐な名作リメイクの設定は、まさしく「手作り」映画への憧れと現在のCG大作の氾濫に対する警鐘か? 「映画っていうのは、自分のカメラで、描きたいように一生懸命考えて、ドーンと撮らなければダメよ!」みたいなノリが爽快です。確かに特撮とCGは別物です。シガニー・ウィーバーの出演は「ゴースト・バスターズ」や「エイリアン」の絵作りを思い起こさせる仕掛けと思うのは勘ぐり過ぎでしょうか? まさかミア・ファローの老けぶりは特撮ではないですよね^^ [映画館(字幕)] 7点(2008-11-18 00:43:44) |
53. レッドクリフ Part I
《ネタバレ》 こんな中途半端な出来で、PART3までストーリーも観客も引っ張り切れるかしらん。 今作を、壮大な三国志の映像化として期待すると失望が更に深まる。各登場人物達の薄っぺらな描写からすると、どうやら赤壁の戦いをクライマックスにした「周瑜」の半生記として観るべきなのか?緊迫感のない戦闘シーンと併せて、人物にも殺陣にも胸躍る場面が少なすぎる。 孫賢時代からの周瑜の一生に焦点を絞れば、それなりの大河ドラマにはなったかも。更に戦闘シーンは、香港映画得意のワイヤーアクションとCGを駆使した(関羽の一太刀で100人の首が飛ぶとか・・・)非日常的な映像か、とことんリアリティにこだわった黒澤的な殺陣にして欲しかった。 香港を捨てたがハリウッド人になりきれない中国人監督の壮大な失敗作に終わらぬ事を祈るばかりだ。 あなたは、低予算で、悪の視点からも観れるギャング映画を作るほうが、光り輝いている。 [映画館(字幕)] 3点(2008-11-13 02:32:19) |
54. 私がクマにキレた理由
なんと素晴らしいセンスの邦題! 廻りをほとんど女性客に囲まれた中年サラリーマンは「俺はテディベア・フェチでもなければ、ヨハンセン・マニアでもない。純粋な映画ファンなのだ!」と心の中で叫ぶのでした・・・ [映画館(字幕)] 5点(2008-11-04 02:07:26) |
55. 宮廷画家ゴヤは見た
《ネタバレ》 ゴヤの絶筆と云われる「ボルドーのミルク売り娘」という絵が大好きです。(エンドロール最後の自画像の1枚前に映し出されています)激動のスペイン内戦時代に「黒い絵」や皮肉を秘めた宮廷画を描き続けた彼が、ようやく到達できた心安らかな境地に描いた清楚な1枚です。この映画は、イネスとロレンソ神父の悲劇を、ゴヤの目を通して冷徹に、当時のスペインの世相と併せて描ききった秀作です。ヨーロッパ美術・歴史に興味がないと、面白みは半減しますが、ポートマンの美しさだけでも観る価値あり!です。 [映画館(字幕)] 7点(2008-11-03 01:30:49) |
56. おくりびと
《ネタバレ》 広末の「私の夫は納棺師です。」の言葉に鳥肌。 日本人独自の死生観と夫婦愛を、静謐な雪国の風景を背景に、優しく美しく描いた佳作です。 [映画館(邦画)] 7点(2008-11-03 01:06:34)(良:3票) |
57. 闇の子供たち
《ネタバレ》 ドキュメンタリーと見紛うばかりのリアリティ~タイの映画祭での上映中止は当然でしょう。グローバル社会においては「人間の命に値段はあるか?」の答えが、決して「NO」でない事を!本能として「生存する事のみ」が目的の人間が多数存在する事を!我々先進国の人間が普通に生活しているだけで、最貧国の人々から搾取している事を!この映画は観る者に叩き付けてきます。梁石日氏のメッセージを明確に映像化したスタッフの手腕は見事。ここのレビューも少ないが、もっと多くの人に観て欲しい映画です。但し、エンドロールでの挿入歌だけはいただけない。元々サザンは好きだけど、この映画のラストに桑田の歌ではぶち壊しである。立派な映画は商業主義に流されず、貫いてほしいぞ! [映画館(邦画)] 8点(2008-11-03 00:58:47)(良:1票) |
58. ICHI
《ネタバレ》 ふともも露な「上戸彩あずみ」の健康美も良かったが、今作のボロを纏ったネクラな「綾瀬ICHI」の色気も楽しめました。但し、あくまでもキャラとしての見方で、映画としては、原作やオリジナルを期待していると痛い目に遭いますが。個人的には、できれば、TVでシリーズ化して、女優の成長と共に昇華していく作品にして欲しい・・・気がします。 [映画館(邦画)] 5点(2008-11-03 00:07:09) |
59. パコと魔法の絵本
《ネタバレ》 ディズニーもティム・バートンもびっくり! “下妻~嫌われ松子”と連なる中島監督の世界観が、「ジャパニーズ・ブラック・ファンタジー」としてひとつの到達点を極めた作品だと思います。鮮やかな原色が織りなす色彩絵巻(ニナミカイズムと私は呼ぶが~蜷川実花)と奇天烈なファッションの数々。実写&CGの奇妙なアナログ的融合。まず日本国内でしか通用しないであろうギャグの乱発。一歩誤れば、単なるグロ映画で終わる処を、小川洋子の「博士の愛した数式」を彷彿させる題材を下地に、名優達による迷演技が「パコの清楚・処女性・永遠性」を際立たせ、涙を誘います。クールジャパン・カルチャーの第一人者として、中島監督が世界に羽ばたくであろう次回作に夢が広がります。しばらく、ザリガニ魔人のオドロしいCGとパコの扁平な爪が頭から離れませんわ・・・ [映画館(邦画)] 10点(2008-11-02 23:49:23) |
60. イントゥ・ザ・ワイルド
《ネタバレ》 各紙絶賛らしいが、評価は分かれそうですね。あまりに多くの人がこの映画に心酔するようでは、世界は終わりです。人類みなニートです。 私は共感を得る処は、あまりありませんでしたが、映像と音楽には心を洗わされました。台詞だけ消して、部屋で流せば、最高のヒーリングビデオかも。 [映画館(字幕)] 4点(2008-09-14 01:53:24) |