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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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41.  秋のソナタ 《ネタバレ》 
鑑賞にこんなに体力を使ったのは初めて。 この作品に限らず、“夜中の会話”って、絶対に何かあるから怖い。 ベルイマンの映画はまだ片手で数えられるくらいしか観てませんが、この人はじわじわと少しずつ滲み出るように恐怖感を与えることに特異な才能を持っているに違いありません。 寝ている最中に顔を触られる悪夢に叫びを上げ、落ち着きを取り戻したところで「ママの事好き?」と尋ねる母親。それに対し「愛してるわ」と答える娘。 何気ない会話ですが、少し離れて座る娘が取ったこの距離感に、ただならぬ不穏な空気を感じました。その後の展開は観た人ならお分かりでしょうし、そこいらのホラー映画よりも100倍は怖いあのシーンを振り返るだけで背筋が凍る思いが呼び起される気がするのです。 ラスト、母親に向けて再度手紙を綴る娘に対し、別の男に寄り添い安堵の表情を浮かべる母親。二人の縮まらない距離。 娘が歩く墓地の後ろに広がる湖の黒さが印象的。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-20 23:34:46)
42.  処女の泉 《ネタバレ》 
火に息を吹きかけて天窓を開けるオープニング。 火が強まり陽が差し込むことで画面の中がふわっと明るくなる。 オープニングをこの微妙な光加減で描いてみせたところに、画面作りに対する繊細さがうかがい知れ、そして一つの物語がここから始まるのだという象徴的なこのファーストショットに、自分の中に存在する何かが呼び起されたような気持になりました。 教会への道中、山羊使いの男たちに呼び止められ、食事を分け与えてから自身に危機が迫っている事に感づくまでの、じわりじわりと恐怖が少しずつ滲み出てくるような描写が実に良いです。完璧。 更に、少女を身ぐるみ剥いだその3人組がやって来たのがその子の家となれば、そこに生まれるサスペンス感たるや、もはや尋常ではない。 いつ、どのタイミングで少女の服が出てくるのかを想像すると、食卓を囲む何気ないシーンが緊迫感を帯び、ただならぬ雰囲気で満ち溢れてきます。 夜中に目を覚ました少女の母親が彼らの所に行ってみると、男は少女の服を差し出し高く買い取れと言う。この時の母親の不気味なまでの静けさはどうだろう。怒りに震えることすらもない異常なまでの静けさに身の毛が弥立つ思いがしました。 そして、父が身を清めるシーンのおぞましさ。その対極的ともいえる一本の木の詩的なショットを挟むセンスといい、もはや全てのショットが皆強烈なインパクトを放ち、目を釘付けにされてしまいます。 最後、少女の亡骸を起こした所から水が湧き出でる。 泉の出現という奇跡で終わりを迎えるこの物語は、神話とか聖書の中の一節を描いたようなとても不思議な映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-19 01:10:48)(良:1票)
43.  拳銃の町 《ネタバレ》 
本作の監督エドウィン・L・マリンという人はお初でしたが、メガホンをとった作品が少ないのか日本で公開された作品が少ないだけなのかは分かりませんが、いろいろと周到さが感じられる作品という印象でしたので、この人の作品をもっと観てみたいと思いました。 ストーリーは少々混み入ったところがあり複雑な話ではあるものの、トントン拍子で進んでいくような軽快さも兼ね備えた内容でしょう。 複雑なのは、牧場の利権問題に関する話が特にそうで、登場人物が多かった上に人間関係が把握できないまま手紙を読むシーンが出てきてしまったりして、最後の方は雰囲気で流れを読み取る感じになってしまいましたが、なかなかよく練られた形跡を感じ取ることができたと思います。その一方で、KC牧場へ急げ!みたいな感じで慌ただしく馬を走らすシーンや、牧場に着いた時にタイミングよく相続の話をしていたり、唐突にポーカーを始めたりといったテンポの良さというか荒削りな一面も感じられました。 また、画面作りの方もこれまたしっかりと計算されたところが見受けられたのですが、料理をサーブする時の指、ガラスや鏡を使った演出、馬車が勢いよく走り始めた時に手を窓枠に添える動き、馬車がUターンをする時の砂塵が舞うショットなど、どれも微妙なものばかりですが、ポーカーのシーンで階段を降りてくるジョン・ウェインの姿を目で追う鉄火娘の弟の表情と、ラストで目だけでキスシーンに誘うジョン・ウェインの演技が特に印象深く、目線に至るまでもしっかりと演技指導をしたエドウィン・L・マリンという監督には敬意を表したいと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2013-05-06 13:18:57)
44.  イヴの総て 《ネタバレ》 
舞台演劇をテーマにした物語であるにもかかわらず実際に舞台で演じるシーンが出てきたのは皆無で、実際の舞台のシーンと言えば幕が下りるシーンを袖から撮った数ショットのみという、何とも特異な映画という気がします。 新旧の女優をはじめ、彼女らを取り巻く人々の舞台裏での人間関係に的を絞って描いており、主演2女優は勿論のこと脇を固める助演陣の演技もオスカーに多数ノミネートされるだけのことはあってやはり素晴らしく、非常に目を見張るものがありました。 自分の好みの観点で言うと、あまり脚本に頼った感のある映画は好きになれないことが多く、更に高飛車な女が皮肉タップリに罵る映画もそれだけで無条件に嫌いになってしまうのですが、これほどの力作となると話は別。 マーゴの台詞ですが、よくもまぁあれほどのイヤミを考えつくなぁと感心させられる程の台本ですし、Eveとevilを掛けて貶したりするのも面白いです。イヴに関しても化粧室でカレンを呼び出しての会話なども、イヴの言葉遣いが徐々に変わっていく様(お座りになって→座ったらどうなの)は非常にスリルに満ちたワンシーンで、この辺りからの彼女の本心の出し方などは必見と言えるでしょう。 2点ほどケチをつけさせていただくと、マーゴが実際に演じるシーンがなかった事もありイヴがマーゴを師と仰ぐ理由や背景のようなものが見えてこなかったのと、ガソリンを抜いてマーゴを本番に間に合わなくさせたのが「私は自分の行いを恥じた」という台詞のみであった事が若干説明不足のような気がしてしまいました。 とは言っても、やはり映画の前後半でイヴの印象に驚くほどのギャップが出るように感じさせるシナリオは非常に卓越しており、オープニングのストップモーションの時に感じられた可憐で謙虚なイメージが再度動き出してからのシーンではそれが見事に消えてなくなった代わりに狡猾な悪女のイメージが新たに出てきたのは、女の怖さに他なりません。 「All About Eve」はシンプルでありながらも深みも感じさせ、まさにベストなタイトルですし、邦題も下手にいじらないで大正解。 最後に出てきた女も、彼女の説明する「掃除係がドアを開けたままだったから入った」という説明は到底信じるに足らず。恐らく策を巡らして忍び込んだのでしょう。「一流になりたいのなら彼女にノウハウを聞け」という台詞にドレスを自身に合わせ陶酔する姿でのエンディング。上手い!
[映画館(字幕)] 8点(2012-12-28 23:56:38)(良:1票)
45.  チャップリンの掃除夫 《ネタバレ》 
道に落ちているごみを拾いながら仕事に向かうチャップリン。 作業着に着替えて、さぁ仕事・・・っとと、ちょっと待てぃ!何で金庫の中に着替えが入っとんのじゃ?しかも、扉のレバーもクルクル回りすぎだし。 前半の掃除のシーンはいつものドタバタコメディーで、チャップリンに長いものを持たせたらそれだけでもう危険なニオイが漂ってきます。 とまぁ、そんな事はどうでもよく、この映画の肝心要のストーリーは初期の作品では非常に珍しい極上のメロドラマ。 人違いから生まれる淡く切ないストーリーは、後の「街の灯」にも劣らないほどの隠れた名作と言えるでしょう。 片思いのエドナに捨てられてしまった花をごみ箱から拾い大切に抱き抱える姿や、もう一人のチャーリーが締めているネクタイを寂しそうに見つめる眼差しなどは、ドタバタや格闘シーンが大半の中で一段と輝いていたシーンです。 夢に出てきた出来事も、上手くハッピーエンドになったところで現実に戻ったりと、作品自体にペーソス感がよく出ていて「街の灯」の源流をこの映画で見た気がして、とても嬉しかったです。★通算400レビュー★
[映画館(字幕)] 8点(2012-11-04 15:53:03)
46.  クリスチナ女王 《ネタバレ》 
観終わってからグレタ・ガルボのプロフィールを見て初めて、彼女がスウェーデン出身だと知ったのですが、これはまさにガルボ入魂の一作と言えるのではないでしょうか。 序盤の、彼女の政治信念を語り国民の幸福を願うシークエンスが実に格好良く、この時点でこの映画は最後まで絶対面白いと確信。 一番の見どころは、クリスティナ女王演じるガルボの演技に尽きると思うのですが、酒場での堂々とした立ち振る舞いや、朝の読書の後その辺に積もっていた雪でゴシゴシと顔を洗うスギちゃんばりのワイルドさを見せたと思いきや、スペイン大使に同じ部屋に泊まらせてくれと言われた辺りからのおどおどした雰囲気、寝る前にお互いに服を脱ぎ彼女が上着を脱いで弱々しく佇む姿を見せる一連の変貌ぶりが素晴らしい。 極めつけは翌朝、部屋の中のあらゆる物に触れ愛し合った記憶を留めんとするこなしの端麗さ! 酒場でのアントニオ「南国でないと愛は生まれない」など、何処ぞと言わんばかりのラブシーンでしょう。 更には、宮殿に来た男の方が再会に驚くという“逆ローマの休日”をやっているのも楽しい。 また、彼女の表情のクローズアップをラストを含め要所要所で用いるなど、メリハリのあるカメラワークも効果的。 ラストは悲しい結末になってしまいましたが、亡くなる前に聞いていた目指すべき場所へ船首を向けるクリスティナ。もはや女王ではなくなってしまいましたが、その直前の王冠を外す姿も、船頭に立って一点を見つめる眼差しも非常に印象深く、最初から最後までグレタ・ガルボに魅了され存在感に圧倒されっぱなしの100分間でした。
[映画館(字幕)] 8点(2012-07-29 17:25:13)
47.  キートンの恋愛三代記 《ネタバレ》 
オープニングが面白かったのは現代編。「時は現代。speed,need,and greedの時代。」と洒落た説明のすぐ後、キートンが乗った車が溝にハマって大クラッシュ!彼女の家に着くと、どちらの男が娘の婿に相応しいかは預金の額で決めるという。恋敵の出した通帳がFirst National Bankだったのに対しキートンはLast National Bankと、数字を出さず尚且つ笑いも取るというこちらもまたお洒落な表現だなぁと、ここはキートンのアイディアに一本取られました。ちなみに、男が強かった石器時代とは異なり、妻の権限が大きくなっているのもポイント。 3つの時代それぞれに面白いシーンが沢山出てきましたが、やはり何と言ってもローマ時代のあの大掛かりなセットと、その中で行われるベン・ハーばりの馬車レースが自分の中ではこの映画一番のハイライトです。 この他にも、落とし穴に落とされたキートンがライオンと出会うシーンがありますが、今までのキートンの映画では本物の動物しか出てこなかっただけに、ネイルケアをしてもらった後に握手をしたり、キートンが上に引っ張り上げられる時には手を振って挨拶をしていたりして、一瞬自分の目を疑ってしまいました。
[映画館(字幕)] 8点(2012-03-18 01:49:25)
48.  たそがれの女心 《ネタバレ》 
先にレビューなされた方々も書かれていますが、踊るような流れるようなカメラワークに目を奪われます。 何と言っても、オープニングに出てきた挨拶代わりの流麗な長回しの連続! クローゼットの装飾品をたどる手先を追い、イヤリングを着けるダニエル・ダリューの表情を経て部屋を出るまでの一連の動作をワンショットで捉え、続けざまに教会で祈りを捧げるシーン、そして宝石店に入り螺旋を登るマダムをクレーンの垂直移動で追うしなやかで華麗なこなしは、マダムを取り巻く世界をより洗練に彩っているように思えます。 また、ベッドルームでの会話のシーンが特に好きなのですが、別々の部屋のそれぞれのベッドからお互いに相手の姿が見えるようなユニークな配置になっているのはもとより、蝋燭の火を一つずつ消していって最後にマダムの表情が暗みの中にフワッと浮かんで出てくる繊細な照明テクニックは、これはもう、お見事と言うしかありません(実際には、あのようにはなりませんからね)。 ストーリーをトータルで考えると、贅を尽くしてお金を浪費し宝飾品に目が眩んで自分を見失った有閑マダムを、夫の知性や寛大さを対照させることによって皮肉タップリに描いたような印象で、原題が示すように特定の人物を選んで描いたものではなくどこにでもいるようなごく普通の御婦人を描いたのですよという風に捉えさせていただきましたが、劇中ではルイーズと呼ばれていたりして、実際にはちゃんと名前が割り当てられていたのが少々解釈に迷うところです。 国境を越え様々な人の手を伝いながら方々を彷徨うイヤリングでしたが、最後はやはり大事にしてくれる持ち主を選んだということでしょう。
[映画館(字幕)] 8点(2012-01-14 15:51:30)
49.  E.T. 《ネタバレ》 
自分は、ハリウッドの娯楽映画は基本的にあまり観ないようにしているのですが、それは何故かと言うと、余りにも非現実的なストーリーだったり、映画後半のクライマックスなんかの“ここが一番の見せ場ですよ~”と言わんばかりの派手なアクションや、ただの一組の男女の恋愛なのにハッピーエンドを迎えると周りの人が拍手までしてしまうような大袈裟な演出など、オーバーでわざとらしい映画を見せるハリウッドのスタンスに辟易してしまう事が何度もあったわけですが、この映画は不思議とそのような気持ちは湧いてこなかったです。 宇宙人なんて、映画の中では地球の生活に順応しているように描かれていますが、実際は敵対心剥き出しで人間に攻撃してくるかもしれないし、食べ物だって人間が食べるようなものは食べられないかもしれないし、もし食べたとしたらその辺にウ●コを撒き散らす事だってあるかもしれない。要するに、そういったマイナス要素を全て排除して、感動を与えられるように上手い具合に筋道立てて作った、言わばファンタジー映画のド真ん中的な映画でしょう。 エリオットがE.T.と一緒に空を飛ぶシーンは、満月を背景にして飛ぶワンショットのわざとらしさに多少の嫌悪感を抱くことはあったにせよ、音楽の素晴らしさも相俟ってそれを打ち消すほどの見事なシーンだったと思います。 そして、最後の方でパトカーに追われているシーンでも、一度空を飛ぶシーンを見ていたことである程度の予測は出来ていてニ回目に感動なんか出来るのかと不安になりましたが、一度目のシーンを更に上回る感動を覚えた自分にもまた驚いてしまいました。 想像を超える感動というのはまさにこの事で、観る側に悟られていながらもそれを超える驚きを演出するというのは、バーーン!といきなり驚かせることよりも何倍も難しいはずです。 ハリウッド嫌いの自分でも、スピルバーグだけはやはり一目置かざるを得ないと改めて感じさせられた一本。
[映画館(字幕)] 8点(2011-10-08 12:51:19)
50.  アッシャー家の末裔 《ネタバレ》 
この映画、もう何から何まで凄い。 自分が観たサイレントの中でダントツの怖さです。 まず、アッシャー家の当主ロデリックと妻マデリンの妖しさは何とも言えない。特に、ロデリックの方は、映し方によっては至って普通の紳士のようにも見えるのだけど、独特のカメラワーク故のものなのか、ストーリー上の背景がそう見せるからなのかわからないですが、目つきがヤバかったり頬がこけていたりというような“いかにも”という風貌ではなく、内側から滲み出てくるような不穏な雰囲気があり、取り憑かれたような感じになりました。 序盤で、馬車に乗っている付き添いの人がアッシャー邸を指差すワンショットからインパクト絶大で、更に、ロングで捉えた館の恐怖感たるや、本作か「サイコ」かと言える程の様相です。 また、至るところに空や水辺や木々など、自然を撮ったショットがふんだんに使われており、雲の動き、水のざわめく感じ、枝の揺れ方などでただならぬ雰囲気を表現していたり、妻の棺桶を馬車に載せて墓まで運ぶシーンのカメラの揺らし方なんかも抜群で、どのショットを切り取っても凡百の映画とは一線を画す印象です。 妻の絵が完成に近づくにつれて本物の方から生気が失われていくというのもストレートで良い感じに恐怖感が出ているし、岩の間から白い布が見え隠れするのも冗談みたいに怖い。最後に館が燃えてしまうのも古典的なラストで良い。 レア物なので、機会があるかはわかりませんが、是非また観てみたいです。
[映画館(吹替)] 8点(2011-09-13 23:54:51)(良:2票)
51.  キートンのセブン・チャンス 《ネタバレ》 
相変わらず大勢の追っ手からひたすら逃げまくっているキートン。逃走中はいつもいろんな危機が彼を襲うのだけど、本当によくここまでそのアイディアが出てくるものだなぁと感心させられてしまいます。 前半での結婚相手を探すシークエンスは、あのように手当たり次第に求婚し片っ端から振られてゆく姿は本当ならば笑えるシーンなのでしょうけども、自分も30代で未だ独身の身でありますので、素直に笑えないところでもありました。 最初の方で、メアリーがキートンに向けて書いた手紙が「他の人と結婚すればいいわ」と書いておきながらその後で「今日は1日家にいます」と、心がまだ離れていないのを遠回しに伝えようとするのが洒落ていて良かったですね。 それよりも、凄いのはやはり後半の怒涛の逃げ回るシーンでしょう。キートンがぶら下がっているクレーンを追いかけてきた女が操縦し、死んでしまったと思われていたところにキートンが彼女らの目の前にノコノコと現れたところで笑ってしまったのですが、このちょっと前で、これは自分だけかもしれませんが、キートンを死なせてしまって悲しんでいたときの女の台詞「You've killed him.」の日本語字幕が「やだ、死んじゃったわ」と軽い感じの表現だったのも面白かったです。 序盤で出てきた犬が最後に再び登場して、仕上げのオチをバッチリと可愛らしく決めてくれていたのもGood!
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 23:36:01)
52.  イタリア麦の帽子 《ネタバレ》 
非常に珍しく入手するのが困難な「イタリア麦の帽子」を巡るアイディアが凄く面白い。 このストーリーは、手に入れるのが難しいものなら何でも、そのアイディア一発で映画が作れてしまいそうなだけに、このアイディアをパクった作品が後世に作られてもおかしくなさそうですが、リメイクも含めて意外と存在しないそうですので、これは今からでも遅くはない、是非ともリメイク作品を作って欲しいところです。 麦の帽子以外でも、手袋やブーツを生かしたコメディアスなサブプロットも上手い具合に効いていたり、他にも傘・ネクタイ・補聴器・置時計など使われた小物は沢山あって、いろいろな場面で楽しさが感じられる作品だと思います。 我々日本人にはわかりにくいですけど、帽子というのは当時のフランス人にとって非常に大事なアイテムなんだなというのが良く分かる映画です。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-31 01:38:39)
53.  サンライズ 《ネタバレ》 
幸せだった夫婦が一人の女によって壊されてゆくという、なかなかシンプルなストーリーなのですが、このような普遍的とも言える定番作品は自分にとってかなりツボです。 自分が映画で楽しみを見出すのは、ベタなストーリーを映像のテクニックや演出、ストーリー構成や人物設定、シチュエーションなどによって如何に上手く見せているかというところに尽きるわけで、変に捻ったストーリーよりもこの映画で見られるような登場人物の心理を丹念に描く形でストーリーが進んでいくものの方が面白く感じられます。 この映画は、前半の教会から出たところまではもう素晴らしいと言うしかなく、特に街に出てきたときに、夫が妻に許しを請うところと妻が少しずつ警戒心を解いていく一連のシークエンスは、もう完璧と言ってしまえるほどの見事な描写です。道のど真ん中で交通渋滞なんかお構いなしに熱いキスを交わしているシーンの後の二人が並んで歩くショットでハッピーエンドだったら素敵だなぁと思っていたのですが、その後にやや長めの息抜きがあって、この落差はちょっと勿体無かったなぁと感じました。 後半の大波にさらわれるシーンも大迫力で、こちらもまた筆舌に尽くし難いほどの名シーンなのですが、その後に妻が助かるシーンを挿入してしまったことで、妻が生きていたことの喜びが半減してしまったような気がしましたが、二人が再会した時の幸せそうな表情が良かったですし、ラストの美しい“サンライズ”ショットも、紆余曲折あった夫婦が再出発するという意味も含んでいるようで、とても感動的なエンディングでした。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-28 23:46:36)
54.  東京物語 《ネタバレ》 
普段、洋画しか観ない自分が何故この映画を観たかというと、マイページの「好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧」で1位にランキングされていたからなのですが、結論から言ってしまうと、想像以上に面白かった。 映画全体を考えると、さすがに老夫婦を中心に描いているだけあって、なかなかゆったりとしたテンポで物語が進んでいくのですが、ただ単にそれだけで終わる映画ではなく、終始に渡ってローアングルで尚且つ固定されたカメラでどっしりと構えて撮られているのがストーリーを落ち着きのあるものにし、映画全体に安定感をもたらしているのだと思います。 映画の途中で熱海のシーンがあり、そこで海を眺めていて立ち上がろうとした時に立ちくらみがするシーンがあるのですが、防波堤の上というちょっと危ない場所に立っているにもかかわらず、それでも防波堤から足を踏み外したりということは絶対に起こり得ないだろうと安心して見ていられるのは、やはり前述した安定感ゆえのものだと思います。 最後、原節子が号泣するシーンは、義理の父からの「お前さんにゃ本当~に幸せになってもらいたいんだよ」という台詞に感極まってしまうわけですが、義理の母が自分のアパートに1人で来た時に言われたのと全く同じ台詞だったのが、亡くなった義理の母の記憶を呼び起こさせ、そして二人揃って同じ気持ちで自分の事を大切に思っていてくれているんだなという思いが改めて伝わってきて泣いてしまったのだと思います。 蛇足ですが、屋内の撮影で空間の奥行きを感じさせる人物配置での撮影や、会話時の人物を喋り始まった1秒後くらいに顔を正面に向けさせて撮る特徴的な構図、観光バスの車内撮影など、興味を引かれる映像がいろいろあって面白かったです。 バスに乗って東京見物をしている時、みんなで同じタイミングで顔を動かしたり、振動に合わせて皆揃って揺れる様はいとをかし、といったところでしょうか。(久々の邦画なので、ちょっと和風な表現をしてみました笑)
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-04-09 00:41:54)
55.  大いなる西部 《ネタバレ》 
グレゴリー・ペック扮するジェームス・マッケイの何ものにも動じない強い信念や懐の深さと、西部の広大な大地とが実に上手く噛み合っているようで、観ていて非常に気持ちが良い映画です。 だだっ広い平原の真ん中を走る馬車を多角的に捉えたオープニングを始め、ほとんどの場面で遠景のショットが出てきていて、物語が語られるあらゆる場面で舞台である西部の雄大さを感じることができます。 そして超ド定番ですが、西部劇と言えば馬車の追いかけっこ。ペックとリードが乗る馬車がヘネシー一味に追われるシーンを横からの移動撮影で捉える疾走感。ヘネシー一味の馬が画面左奥にスゥ~っと入ってきた時のあの何ともいえないスリルは西部劇ならではの気持ち良さでしょう。 また、同様のテクニックが後半でも用いられており、テリル少佐が単独でヘネシーの村に乗り込むシーンで、谷を越える時に手前に大きく映った少佐の背後から駆けつけてきた馬が次々と映し出されるシーンがあるのですが、ここでもまた先ほどと同様の高揚感を感じることができ、本作では特にこの二つのシーンが良かったと思いました。 他にも、荒馬と格闘するシークエンスでの馬を手なずけた瞬間の馬の足元を映したショットは、もはや芸術の域に達している程ですし、最後の方で二人が相撃ちするシーンの俯瞰ショットなんかを見ると、二人の倒れている姿や介抱する人を映して両家の成り行きに迫るよりも、こちらの方がより争うことの無意味さや虚しさが出ているような感じがして、これが正しい撮り方なんだなと、凄く納得しながら見ていたような気がします。 ところでヘネシー家のオヤジですが、最初の方でパーティー会場に乗り込んで来た時の態度を見るに、明らかに悪役の様を見せていましたが、後半になると一転、息子のだらしなさも手伝って、とても男気溢れる芯の通った人物だったというのが面白かったです。映像の華麗さもさることながら、前半と後半で真逆の印象を植え付けるウイリアム・ワイラーの手腕に脱帽しっ放しの一作でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-24 23:14:26)
56.  天罰 《ネタバレ》 
これは恐ろしくも悲しい映画。 それと同時に、サイレントならではの表現を堪能できる面白い映画です。 あくまで個人的な意見ですが、サイレントはトーキー以上に映像から伝わってくるものが多く、また、ワンショットごとの映像のインパクトも後世の映画と比べるとやはり大きいのではないかと思います。 特に、ロン・チェイニーが出てくる映画になると絶対に書かなくてはいけないのが、何と言ってもまず、あの凄みのある表情。まさに、この映画の通りサタンの化身であるかのような風貌はインパクト絶大です。そんな男がピアノを弾いたりするもんだから、かえって凄みが増すし、「死の歌」なんてピアノの旋律だけで彼女が殺されてしまうんじゃないかとまで思ってしまうほどで、ここは本当に恐怖に満ちたワンシーンです。 他にもピアノを弾くシーンが2回ほど出てきますが、音が聞こえてこないだけに想像力がいつも以上に働いてしまい、サイレント特有の余計に怖さが伝わってくるような錯覚を覚えます。 また、暖炉のギミックや小窓から覗くために懸垂をしながら上に昇っていくシーンも目を引いてこれまた面白いし、その時にカメラもそれを追って上方向に移動していったのが室内撮影では珍しいなと思い、ここはちょっと不思議な感覚があります。 ところで、Penaltyとは、また何という皮肉だろう。 街を支配しようと考えたのは脚を失ったことと因果がある為で、彼に非があるとは当然言える訳もない。脳を手術したことで善人になり、過去を悔い改める気持ちが芽生えてきたということか?などと考える以外に答えが出てきません。 新たな人生の一歩を踏み出した矢先の悲劇。撃たれた理由もわからずに死んでいってしまい、今までにないくらい胸が痛む思いがしました。
[映画館(字幕)] 8点(2011-01-08 14:19:40)(良:1票)
57.  カニバイシュ 《ネタバレ》 
この映画ほど「寝ないでよかった~」と思った映画はないです(笑)。 映画の前半と後半でこんなにも調子が変わってしまった映画を他に私は知りません。しかし、全く別の映画になってしまったかのようなこの展開がもう最高! 前半では子爵の苦悩やマルガリータの一途な想いをオペラ調で語り合うシーンが多少しつこい程に繰り返されるので睡魔が襲ってくることもあったのですが、もし前半だけで寝てしまったとしたら、最後の方で出てくるマルガリータの父親と兄弟の変貌ぶりや池の周りで繰り広げられるアレは、もう訳がわからなくなっていたことでしょう。 何て恐ろしくおぞましい映画なんだろうという気持ちと、何て×××な映画なんだろうという気持ち(観た人ならわかりますよね?)という、一つの映画の中で複数の感情を体感できる凄く貴重な映画とも言えます。 私は、劇場でこの映画を観るという大変ありがたい経験をさせていただいたのですが、この映画こそが劇場で多くの観客と共に観るべき映画だと思います。 壮大なスケールで描かれる一大スペクタクル叙事詩のような映画でこのようなことがよく言われますが、大勢の観客と一緒になって後半のアレを体感するのはこの上なく幸せなことです。自宅のDVDでこの映画を鑑賞すると、後半に差し掛かった辺りのあの微妙な感覚、「この映画ってもしかして×××な映画なの???」という疑念を抱きながらの鑑賞になってしまいそうですが、劇場ですと周りの人がしっかりとリアクション取ってくれますからね。 ラスト10分で「ああこの映画はやっぱり×××なんだ」という体験を皆さんも是非味わって下さい。
[映画館(字幕)] 8点(2010-09-19 23:12:51)
58.  海底王キートン 《ネタバレ》 
チャップリンの映画になくてキートンの映画にあるものと言えば、主演女優とのドタバタの連係プレーですが、この映画でも女優キャサリン・マクガイアとの共演により非常に完成度の高いコメディ作品に仕上がっていると思います。 いつもの事ながら、共演している女優がウッカリ者でおっちょこちょいで、キートンの足を引っ張ってばかりというお決まりの役柄なのですが、いつものようにこれがまた面白い。 ギャグの一つ一つも面白かったと思うのですが、それにも劣らず、序盤での二人の追いかけっこしているシーンとか、その少し前のお互いの存在を察知するくだりなんかは、ちょっとしたメロドラマなんかに出てきそうな演出で、コメディ以外の要素でも楽しめるポイントがあったと思います。 火のついた煙草で女は他に人がいることに気づき(煙草で連想されるのは男)、人を呼ぶ声で男はその存在を知る。何とお洒落なすれ違いだろう。 映画の後半は水中撮影を行ったり、人食い人種(何で見ただけでわかるんだ??)役の大勢のエキストラを使ったりと大変な労力を注いでいるところをみると、キートンの映画製作に対する情熱が伝わってくるような印象です。 最後、海の中に沈んでいってしまうのかと思いきや、潜水艦の上に乗っかって再び上がってくるというお決まりのパターンはこの映画がオリジナルだったりするのかも。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-17 02:03:38)
59.  キートンの探偵学入門 《ネタバレ》 
コメディ映画でバナナの皮といえばこれはもう100%、ただの一つの例外もなく滑って転ぶ人がいて、今までに数多くの足を滑らす人を見てきましたが、あそこまで大胆に宙を舞う人もキートンくらいなもんです。ベタ過ぎるくらいベタなギャグですが、そのクオリティが非常に高い(笑)! また、現実から夢の世界へ入り込んで、その中で物語が繰り広げられるという映画もまた、今までにいくつも観てきましたが、夢の中で話が進んでいる事を忘れてしまったのは今回が初めてです。つまり、それほど面白かった。 一番好きなのが、キートンがシャーロック・ジュニアに扮するシークエンスで、ビリヤードのシーンにはハラハラドキドキさせられます。結局、ビリヤード台の上の13番は仕掛けのないただの13番で、拍子抜けさせられたと思った瞬間に斧がズバッと落ちてきたりする絶妙の間が最高。 後半のほうで、バイクに乗せてもらって逃げるシーンが出てきましたが、運転手を振り落としてそれに気づかず暴走してしまうのってよく考えたら凄くスリル満点のシーンの筈なのに、キートンがやると何故か安心して見れちゃうから凄い不思議。彼自身の芸のクオリティが上がれば上がるほどつまらなく見えてしまって、ちょっと可哀想ですよ。 他にも、行商のおばさんにかくまってもらったり、映画館のスクリーンの中に入って行ってしまったりと、思わず目を見張ってしまうシーンは他にもいろいろあって、全編通じて楽しめる作品だと思います。 あと、サイレント映画全盛期の映画館の雰囲気も見ることが出来たりと、結構貴重な映画ですね。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-10 23:19:24)(良:3票)
60.  オーソン・ウェルズINストレンジャー 《ネタバレ》 
この映画が面白いのは、サスペンスの基本に忠実なところでしょうか。 追われる側は追う側の作戦を知らない状況で追われ、また、追う側は追われる側の打った手を知らない状況で追うという流れでストーリーが進行していくのですが、観ている側はその先々で起こりうる状況を前もって予測出来てしまうため、劇中の登場人物よりも先に危機を察してスリルを味わうことが出来てしまうわけで、この当たり前のような演出がとてもよく出来ていて非常に見応えがあります。 この映画の場合ですと、ウィルソンが殺人が起こることを予測しそれを阻止しようとするところとか、キンドラーが梯子の上の方で横の棒を鋸で切るところなどですが、“当たり前の演出”であったとしても難しいのは、やはりテクニックやセンスが絡んでくるから。 例えば、スプラッター系でよくあるような画面上に突然バーーーン!!と現れて驚かすのは簡単だけど、観る者がその先に起こりうる出来事を前もって予測できる状況で恐怖心を煽るのは、これは作家によって上手く出来る人とそうでない人とがいると思います。 また、映画の終盤で、死んだと思っていた妻が生きていたときの夫婦間の会話もゾクゾクしますし、最後の時計台のシーンは、オブジェの持っている剣に刺されて塔から落ちてしまうという、ちょっと古臭い演出ながらも非常に切迫感溢れる感じがあって、ここの迫力はお見事でした。 映画の中で終始聞こえてくる時計の鐘の音が観終わってからもずっと耳に残るほど印象的。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-14 02:36:57)
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