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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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41.  父の祈りを 《ネタバレ》 
英国の司法界史上最大の汚点とされるギルドフォード・パブ爆破事件と冤罪によって苦しめられた人々の姿を描いた作品。 刑務所と法廷劇が絡んだ作品といえばマーク・ロッコの「告発」もあるが、俺はこの作品の方が惹かれるものがあった。  爆破事故からはじまるこの物語は、1970年代の北アイルランドの騒動から幕を開ける。  定職にも付かず警察相手に挑発を繰り返す若者たち。 家族のために望んだ一時の天国、テロを疑われ一気に地獄へ。  IRA暫定派(アイルランド共和軍暫定派)は、イギリスにいまだ支配される北アイルランドを取り戻そうとテロを続ける。  標的な基本軍人だが、エスカレートするテロリズムは一般市民すら巻き込んでいく。  事件を何としても解決したい警察もまた、苛立ちや焦り、さらには事件を喰い止められない事によって世間の目が気になって気になってしょうがない。  焦りは冷静な判断を失わせ、狂気と化した警察は誤認逮捕が発覚しても隠蔽しようとする。 疑わしきは罰せよ・・・着せられた無実の罪。  世の中が腐れば、警察も腐る。その逆もしかりだ。  耳を引っ張るやつは凄い痛いんだよなあ。悲痛な表情が辛そうだ。 遂にはその家族にまで手をだし、マフィアのように「親を殺す」と脅迫までやってのける。 若者は「地獄に堕ちろ!」と哀しみと怒りをぶつけるが、届かない虚しさ。 やりもしない罪をでっちあげねばならない苦しみ、“妥協”が地獄から逃れる唯一の選択。だが、一度押された烙印は一生その人間を苦しめる。意思を貫くか、妥協するかは貴方しだいだ。  IRAのジョーの暴れ振りが凄まじい。火炎放射器まで作ってしまうのだから恐ろしい。そりゃ警察だってこんな奴いたらおかしくもなるわ。  彼らを救い出す騎兵隊は来なかったが、弁護士という名の救いの女神は彼らを見捨てなかった。 説得に次ぐ説得、迫る父の死期、父の息子や家族に対する祈り、「ゴッドファーザー」は父の死を暗示する、闘志が蘇る息子、法廷でまくしたてる迫力!  彼らはつい昨日の事のように過去を振り返るが、失われた時間と家族はけして戻ってこない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 11:32:28)
42.  天使にラブ・ソングを・・・ 《ネタバレ》 
暗く沈んだ世の中を、歌のパワーで明るくしていくミュージカル映画。 エネリギッシュに声を上げて歌うヒロイン、そんな様子を見ている内に、こっちも元気とやる気が湧いてくる。 ストーリーも歌に負けず劣らずリズミカルでテンポが良く、小気味良い心地さがある。 老若男女の複雑な悩みや葛藤、デリケートな問題と向き合い、それを歌にして発散していく。 ヒロインが一番複雑な事情持ちだが、そんな事は意も返さずに今日もヒロインは歌い続けていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-11 06:21:24)(良:1票)
43.  ジュラシック・パーク 《ネタバレ》 
「ジョーズ」など自然の恐怖を得意とするスピルバーグ。 化石を発掘していく過程のほのぼのとした空気、島という密室で繰り広げられる緊張感。 アニマトロニクスもウィリス・オブライエンの「ロスト・ワールド」やレイ・ハリーハウゼンの「恐竜グワンジ」等を彷彿とさせるダイナミックさ!  恐竜そのものは今見るとそんな怖くないのだが、子供の頃は何度もトラウマになったものだ。  次々とTレックスの餌食となる人々、雨の中遅いかかる恐竜、足跡だけで物語られる戦慄、ちぎれた足、ジープでTレックスから逃げる時の恐怖、厨房でヴェロキラプトルとおにごっこ、草食恐竜のスケールのデカさ、アロサウルスに襲い掛かるT-レックスの描写がドラマチックだこと。  時速20キロも出ない筈の恐竜がジリジリ迫りくるスリルよ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-05 18:51:09)
44.  ギルバート・グレイプ 《ネタバレ》 
ラッセ・ハルストレムの最高傑作は「HACHI 約束の犬」なのかも知れないが、やっぱりハルストレムはのどかな田舎で起こる騒動を描いた映画が一番落ち着く。「やかまし村のこどもたち」とか「ショコラ」「サイダーハウス・ルール」「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか。 冒頭に登場する長い道は、家族という“鎖”から解き放たれ、旅人が大地を歩みはじめる事を待っている。 知的障害の弟アーニー、夫の死のショックで肥満になってしまった母親、それの面倒を見なければならないギルバートたち兄妹。そのストレスを晴らそうと、不倫を受け入れるギルバート。 自分の母親を「鯨」呼ばわりする彼だが、本当は家族を守りたいと一生懸命。必死に自分を押し殺して生きようとしている。 そんな彼を解き放とうとする様々な出会いや事件。 アーニーの行動がギルバートの鬱憤を爆発させ、不動の母を大地に立たせ歩ませる。 妹の“中指”に車の“バック”で返事?するシーンは爆笑。危ねえなあもう。 首の無い状態で腰を振り続けるカマキリを想像してしまって泣いた。色んな意味でオスを「ごちそうさま」ですかそうですか。 男を喰らう母親もいれば、我が子のために死を選ぶ母親もいる。 グレイプを刺激するベッキー。 帽子を被った可憐な少女かと思えば、帽子を取ればボーイッシュで活発な女性に。 多くを語らないベッキーママも粋な事。 不倫に奔る母、 愛する子のために恥を捨てて行動する母、 娘を静かに見守る母・・・様々な母親がギルバートたちを囲む。 終始何処かコミカルだが、終盤はシリアス。 喧嘩と仲直り、別れの前の交わり、そして“火葬”・・・しがらみから解放されたギルバートたちは、愛する者と共に果てしなき大地へと旅立っていく。 メッチャ良い映画やんけ。 ダーレン・ケイツが幼い頃に体験した両親の離婚。家族が死ぬのと同じくらい彼女にはショックだったのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-21 21:22:01)(良:1票)
45.  獣兵衛忍風帖 《ネタバレ》 
山田風太郎の忍者もの、深作欣二の「柳生一族の陰謀」等を思わせる奇奇怪怪な伝奇アクション。 川尻善昭による妖気を帯びたかのような作画が凄まじい。  俺は「ヴァンパイアハンターD(1999年)」の雰囲気の方が好みだが、このエログロヴァイオレンスな美女と野獣と化物が殺し合うハイテンションかつ破天荒、破壊的なまでの傑作を紹介しないワケにはいかない。   獣兵衛こと牙神獣兵衛と鉄斎による岩を切り刻むような戦いに始まり、奇想天外人外な忍者軍団との激闘に次ぐ激闘! 特に竹林における強力若本との斬り合いは凄い!キン・フーの傑作武侠映画「侠女」を思い出すような苛烈さ! 豊満なおっぱいを撫で回す様子がここまでエロくないのはこのアニメくらい。アゴは気にするな!  偶然助けた毒とアゴのキツいくの一、陽炎と関わった事で彼女を狙う鬼門八人衆という恐ろしい変態集団と闘うハメになる主人公の獣兵衛。 彼もまた主君を“ある理由”で失ってしまったはぐれ忍び。 オマケに黒幕とも言える怪しい坊主に鬼門八人衆の野望を探ってくれと頼まれる始末。 このように巻き込まれ型の時代劇だが、徐々に主人公が何故はぐれ者になってしまったのかも解き明かされていく。  とにかく獣兵衛がかまいたち的な技(斬撃?)一つと気合で化物連中と戦っていく姿は応援したくなる。オマケに超人情家。こんなカッコイイ男に惚れないワケがない。  時代劇が好きという人、エログロ?むしろ大歓迎という人に超オススメ!
[DVD(邦画)] 9点(2014-11-17 21:57:41)
46.  ストレイト・ストーリー 《ネタバレ》 
デヴィッド・リンチは怖い映画が多いけど、こういうほのぼのとした映画も好きなんだよなあ。 村上龍、はまのゆかが組んだ絵本も良かった。 デヴィッド・リンチの真価は、「ツイン・ピークス」に代表されるように予算の限られた制作下で発揮される。 いかに低予算で人を愉しませられるか。リンチはその使い方と心の掴み方が上手い。 この映画は何せ芝刈り機でアイオワ州からウィスコンシン州まで行こうというのどかさだ。 隣通しとはいえ何10Kmも離れている。 これが実話なんだから凄い。 病気で倒れた兄を見舞いに芝刈り機だぜ?弟のアルヴィンじいさんも凄いけど、兄貴もスゲーよ。 冒頭の「ウ゛ッ」といって突き飛ばされたのはアルヴィン? アメリカの広大でのどかな農村風景。 道中で出会う様々な人々。 妊娠した若い女性やシカ事故で嘆く女性、機械に強いおっさんなどなど愉快な出会いばかり。 たまに酒で戦争の記憶を吐露するしんみりした場面も。 坂道を下る瞬間が怖いこと。 それまで兄貴が病で死なないかソッチの方が心配だけどな。 結構呑気だが、死んでも旅を終えようとするアルヴィンの男の意地を見せられる映画でもあるのよ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-16 18:35:09)(良:1票)
47.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
再見。 往年のサイレント映画やゴシックホラーの懐かしさもある、ティム・バートンなりの愛情が注がれた作品。  雪が降りしきるある夜、不気味な階段、鋏、得体の知れない機会が運動を繰り返す。 ビスケットのように型抜き、丘の上にそびえる古城、それを見つめる年老いた女性は、布団に入る孫娘に素敵な昔話を語り始める。  窓から過去へ、星のようにきらめく小さな町、それを見下ろす暗い城。 実にカラフルな色彩だこと、冴えないセールスマンの女性、包み隠す女性と解放的な女性たちとの対比。女性たちには解放的してくれるような男がいる。彼女にはまだそれがいない。  ふとミラーに映る新たな「商売相手」。虎穴に入らずんば虎児を得ず、仕事人としての性。 吸血鬼の城のように人々を寄せ付けないが、中に入ってみると可愛らしい庭園が拡がっていた。セールスマンから抵抗が薄らぐ。 こんな素敵な庭を作る人だ、きっと城の主も素敵な人なのだろう…ところが、城に入ってみると怪しげな機械が並び風穴のあいた天井のある空間。 セールスマンの心に渦巻く期待と不安、それを後押しするのは重そうに抱え込んだ商品を売るため。  物騒な手や服装とは裏腹に、何て悲しげな顔をする奴なのだろう、顔の傷とその表情が彼の過去を語る。 それを化粧品で優しく包み隠そうとする女心。そこには仕事人としてであり、母性をくすぐられてしまった一人の女性として、異性としてすでに惹かれていたのかも知れない。  瞬く間に町中に拡がる噂、指は串に、庭師に、美容院に。  押しかける女、女、女、男の群。飛び交う罵詈雑言と視線がシザーハンズの心に突き刺さる。 自分を変えてくれた恩人のために階段を駆け上る、それを引き裂く銃撃、瓦礫よりも重い人間からの一撃、抱きしめられないのなら、触れられないのなら、解り合えないのなら…。  唇だけが別れを惜しむように触れ合う。 冷たい鉄の塊は「手」として認識され、群衆を退かせる。  氷の彫刻が紡ぎだす雪、雪、雪の舞い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-16 18:31:23)
48.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 
「小説家を見つけたら」と共にガス・ヴァン・サントで一番好きな映画だ。 舞台は1970年代、大学の講義のシーンからはじまる。 数学の難問を朝飯前のように解いてしまうがウィル少年。オマケに「f●ck!」を連呼する命知らずの馬鹿でもあるバリバリのインテリ不良。 出会う人間にはデッドボール(暴言)ばかり投げているが、本当は打ち解ける事を恐れていた。親も含めて大人なんざクソッたれ、頼れるのは子供の頃からつるんできた不良グループだけ。 能力はあるが己の能力に少し酔っているというか、とにかく過去のトラウマを引きずり自分の殻から抜け出せずにいた。“超絶クソすばらしい完璧主義者”である彼は。 完璧だと思い込む人間ほど、その均衡が崩れようとする際は動揺するものだ。 物事を知りすぎて逆に自分の目で直接見る事を恐れていた。傷つける・傷つけられる事を誰よりも恐れ、面接すら“替え玉”。 一体過去にどれほどの苦痛を味わってきたのだろうか。 彼の才能に目を付けた教師たちは彼を更正させるべく“司法取引”で勉学を薦める。 しかしウィル少年の心の傷は予想以上に深く、彼を更正させようとする教師も心の傷を開いていく。 教師たちは知識ではなく経験や“癖”によって本だけでは得られない“本当に大切な何か”を語っていく。 「答えは自分で探すんだ」 「ああ言えばこう言う。なのに簡単な質問には答えられない。つまり“答え”を知らないんだ」 ウィルも痛いところを突かれてダンマリ。先生の“女房自慢”を何処か羨ましそうに聞くウィル。 ウィルは知り合った女性に性行為をせがんで“現実逃避”。それは同時に初めて芽生えた対抗意識でもあった。 ウィルは先生のような“良い大人”にもっと早く出会いたかっただろう。ウィルの心も次第に変化していく。 旅立ちの時…とにかく自分の殻を“ブッ壊したくて”しかたない。 不良グループの兄貴のセリフはトドメの一撃。 「他の奴が持っていないもんを無駄にするなんて俺は許せねえっ!」 ウィルは“宝くじ”を既に持っている。しかも努力しだいでどんな夢でも叶えられる大切な宝物を。 いや、不良たちが手に持っていたのはバットだったが、心の中には最高に“グッド”な何かを持っている奴らだった。 ウィルはようやく先生たちに本音を打ち明けられたのかも知れない。 最高のオンボロ車、最高の手紙、そして最高の“サノバビッチ”。良い映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-16 18:28:23)(良:1票)
49.  トゥルー・ロマンス 《ネタバレ》 
トニー・スコットとタランティーノが組んだ最狂のロードムービー「トゥルー・ロマンス」。 トニスコにとっても「クリムゾン・タイド」や「マイ・ボディーガード」に並ぶ最高傑作。 「地獄の逃避行」はモチロン「拳銃魔」だの「ボニー&クライド」だの「暗黒街の弾痕」だの色々なトチ「狂い咲きサンダーロード」(褒め言葉)がこの映画の源流だ。 今までの逃避行ロマンスは、みんな派手にくたばる道を爆走する事が魅力だった。 だが、この映画は違う道を走る事を選ぶ。  冒頭はただのバカップ(ry・・・が紡ぐ恋愛映画、しかし女の素性が判明するにつれて男の運命は狂いはじめる。 いや、男はそれと解ってあえて狂った道を突き進むのだ。何故ならその女に心底惚れてしまったから。  「ヒズ・ガール・フライデー」も顔負けなマシンガントークを、トニー・スコットが機関砲の如く飛ばしまくる。 売春ディスコ?での殺し合い、真っ白い“爆弾”を選び取る男、ビッチの痛快な逆襲、電話中にBOXセックスを聞かされる上に犯罪に巻き込まれる友人カワイソス、電話帳「F●ck you!」、傷口に油はキツい、クライマックスのファ●キングストーム! 警察、マフィア、クラレンスたちの三重奏。 それがセリフによって緊張感を異常なまでに上げる。 タランティーノのシナリオ、トニスコの手堅い演出。 しかしつくづく強運なバカップルだ。いや、最後まで諦めず粘った・・・その結果道を拓いたんだろうね。  売春宿における電灯で顔を照らしたりプラプラやるシーンが地味に好きだ。まるで警察が犯罪者を尋問するみたいに。 その警察が犯罪スレスレの捜査をやってのけるんだから怖いもんだ。 デニス・ホッパーのカッコ良さは異常。 「地獄の黙示録」や「スピード」の狂ったホッパーも好きだが、真面目な役を貫くのもカッコイイ。 ブラッド・ピットが後の「イングロリアス・バスターズ」で活躍するとはこの時誰もそう思わなかっただろうね。 サミュエル・L・ジャクソンが相変わらず良い仕事しかしません。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 02:16:19)
50.  紅夢 《ネタバレ》 
チャン・イーモウとホウ・シャオシェンが組んだ女性映画の傑作。 イーモウとしては「活きる」に並ぶ最高傑作だと思う。 少女が林の中を一人歩いてくるファースト・シーン、たどり着く先には巨大な提灯が赤々と、熟れた果物のように灯をともす。 貧しい生活と、その生活を愚痴る母親に嫌気がさし頌蓮は家を出て嫁いできた。 だが、嫁ぎ先はもっと息苦しい思いを強いられる場所でしかなかった。 春夏秋冬の一年ではなく、女達が真の幸せを得る“春”は永遠に来ないのかも知れない。 男には3人の夫人が既におり、彼女は4番目の女として迎えられた。 見かけこそ寵愛を注ぐという赤い提灯が掛けられているが、実際は4人目の女に注がれる愛情など少ない。頌蓮にとっても、顔が遠くからぼやけて映る程度の“記憶”しかない男なのだ。 劇中では何度となく響き渡る小羅が印象的。 第一夫人の大太太、第二夫人の卓雲は同情を寄せるが何処か影がある、第三夫人の梅珊は元舞台女優としてのプライドからか彼女に対抗意識を向ける。朝方響く彼女の歌声は、大旦那や他の夫人たちに対するアピール。召使の雁兒も大旦那に可愛がられる女の一人だ。人に見えない場所で頌蓮の洗濯物にツバを吐くほど敵意を見せ、夫人の一人になるべく彼女の部屋は赤い提灯だらけで禍々しく光る。邸宅の閉塞感や抑圧が、一層彼女の心を圧迫する。 形見の笛を探した先で見る頌蓮を“呪った”人形、 意外な人物の敵意を知るショック。彼女もまた女たちの潰し合いに嫌がおうにも巻き込まれていく。 梅珊もまた頌蓮に味方をする傍ら、卓雲を潰すために一時手を組んでいるだけに過ぎないのかも知れない。 とうとう頌蓮も“牙”を向いてしまう。 例え本心からじゃなかったとしても、心の何処かで「邪魔者は死んでしまえばいい」と思ってしまったのかも知れない。 召使の部屋から提灯を全部出させて焼き尽くすシーンは、抑圧されたものが弾けるようなシーンでもある。心を“破壊”するのだ。 人間の命のなんと儚い事か。 あんなに赤々と灯された火が竹筒の一吹きで消えてしまうように、人間の命も簡単に消えていく。 ロングショットで一人の人間の“灯”が消えていくのを見つめる場面。 新しくやってくる第五夫人はかつての“大太太”であり、“頌蓮”でもあるのだろう。 赤く燃えるような提灯は何を語るのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:30:45)
51.  天使の涙 《ネタバレ》 
ウォン・カーウァイの「花様年華」に並ぶ最高傑作の1本。 「恋する惑星」よりコッチの方が解り易いし、面白さはこの作品だろうね。 「恋する惑星」の続編というか、一部になる予定がそのまま独立した作品になったそうだ。 「恋する惑星」では一瞬だけだった銃撃が、今回は派手な銃撃戦も楽しめる。 しかし物騒な町だなオイ。 一人ずつエピソードを紹介し、交錯して行く話だが深入りはしない。 冒頭からして引き込まれるではないか。 男女の会話から回想、一つの家にまったく違う住人が住む。 女はベッドメイキングしてまで痕跡を残さない。女の手の震えが気になる。 そこに男が入ってくる。 どうやらここは男の家のようだ。 女は男に協力する傍ら情報を流し、男はその情報を頼りに標的たちを血祭りに上げる。 夜のトンネルを駆け抜けるシーンは早回しで撮られ独特の雰囲気を醸し出す。 二挺拳銃が一瞬で炸裂するシーンは強烈だ。 殺し屋に保険はない。 友人は悪い奴じゃないし、巻き込まないためにも過去は断ち切るしかない。 殺し屋がいない間に女は過ごす。 酒場の電子音と共に女の肉体が艶かしく揺れるシーンはエロい。脚! 咳き込むくらいなら密室で煙草を吸うな。 後半登場するモウの行動でイチイチ笑う。 金城武は俺を笑い殺す気か。 不法侵入して豚のマッサージから野菜の叩き売り&寝た人間の叩き起こし、無理矢理散髪に腹がくだるまでアイスを食わせるなど迷惑甚だしい。 愛すべき馬鹿。 アイスのくだりから父親のエピソードが出てくるのが面白い。 アイスに火を付けるのって美味いのか? 「恋する惑星」にも出て来たよく似た店とスチュワーデス(死語)の女が、続編というか前作とのリンクを物語る。 一方の殺し屋も取立てが命の取り合いに。 家を直接狙われない不思議。 スタイリッシュなマクドナルドのCM。 金髪女との出会いと別れ。 一方、“相棒”はフラれたショックか一人で喘ぐ。 黒のガーターがエロいっす。 モウは1回死なないくらいじゃないとアカンとちゃうか? ネタが多すぎてツッコミきれねえよ。 殺し屋とのギャップが酷すぎる(褒め言葉)。 怖ええよ金髪アレン。 モウが父親に“誕生日プレゼント”を送るシーンは微笑ましい。  「無断で人の店を開けてはいけないんだ」 当wwたwwりww前wwだwww あのモウがちゃんと働いている姿を見るだけでも思わず感動。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:50:07)
52.  ガメラ3 邪神<イリス>覚醒 《ネタバレ》 
未公開シーンは絶対見ろ-シリーズ最高傑作 日本が誇る「ゴジラ」に並ぶ最高の怪獣「ガメラ」。 ガキの頃のトラウマばっかりだが今見るとしょせん作り物。 だが、その作り込まれたメカニックや模型、破壊的なまでのストーリーは見応えしかない。 CGはチャちだが、月夜に舞うイリスの美しさ、ガメラとイリスの壮絶な死闘がそんなチャちさを感じさせない迫力! 仲間由紀恵もアボーンッ。 東宝はどんだけ東京と京都を火の海にすりゃ気が済むんだ! ちったあ自重しろよ(褒めてる)!!  だのにあれだけ重要な伏線を全部未公開シーンにぶっ込むたぁ、一体どういう神経してやがる。 幼少イリスはキモカワイイ。頭部の可愛さだけは異常。 熊涙目。触手プレイまでしちゃって覚醒。夕陽をバックに触手を拡げるシーンの禍々しき美しさ。イリスも勃(ry ギャオスの生々しさ、ガメラの容赦のなさ。 子供を守った“ように見える”だけなんだろうねえ。 いいかっ!「ゴジラ」の自衛隊が頭おかしいだけなんだよ(褒めてる)! この「ガメラ」だって航空自衛隊の回避能力はおかしい(賛辞)。 毎度生き残る大迫さんも色々おかしいです。  腹の次は腕を吹き飛ばすラストバトル。  ガメラ「俺たちの戦いはこれからだ!」  
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:27:05)(良:1票)
53.  エンジェル・アット・マイ・テーブル 《ネタバレ》 
「ピアノ・レッスン」が海のイメージからはじまるように、この作品もまた海のイメージを持つ。 だが、「エンジェル・アット・マイ・テーブル」の冒頭は緑の芝の中を貫く1本の道から始まる。 自然豊かな自然、動物達の声。 「ブライト・スター」ほどじゃないが猫も出てきます。 幼いとはいえ、彼女も立派な女の子。 瑞々しい心理描写には息を呑む。 列車は彼女の人生が旅そのものでもある事を示す。 ジャネットの少女時代から学生、大人の女性へと徐々に成長していく物語。 明るい子も入れば仏頂面の子供もいる。 ジャネットも成長すればするほどどんどん垢抜け、美しい女性へと成長していく。たまに幼少時の面影が出たり消えたり。 先生が教卓で話している時に一瞬映った“剣”は何を象徴しているのだろうか。 成長した少女達の青春、タンゴで踊り狂いたくなるほどエネルギーに満ちる姿。 穏やかな日々、突然の死、涙、初潮、過去との決別・・・。 再び画面に映る列車は、彼女を次の場所へと運んでいく。 初恋?とつまみ食い、不気味な森、ショックで自殺未遂を図る衝撃。 だからっていきなり精神病院はもっと悪化しそうだけどどうなの? いい加減な説明を鵜呑みにしてしまうのだから、相当ショックが大きかったのだろう。 虫歯を放っておいたら全滅、ベッドに拘束、200回目の電気イス、ロボトミー・・・よく無事に帰ってこれたなジャネット。延々と続くかのような苦しみと恐怖を、観客も体験する。 自分を救ったのが、思いを綴った小説だったとは。 余りに精神的に繊細で脆かった彼女も、様々な経験を経て自分を変えていく。良い意味で“わがまま”な彼女は、もう他人の言いなりにはならないし、誰も彼女の想いを止める事はできない。 奪われた8年間を返せと恨むでもなく、彼女は溢れんばかりに想いを込めた小説で自分の心に溜まったあらゆる物を吐き出すのだ。 久しぶりに外に出た彼女は、家族と再会し、やがて誰にも縛られる事の無い海のある開放的な町を目指す。 故郷にも海が拡がっていたが、もっと広い広い場所へだ。 美しき母のような海原は、ジャネットが恋に落ちやがて母親になる事を暗示しているかのようだ。 「ピアノ・レッスン」のエイダもまた一児の母だった。 再び故郷に戻る彼女。その表情には、もう精神病院に送られてしまうような心の弱さを感じない。 一人の強い女性としての彼女がそこにはいる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-11 15:38:26)
54.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
自身もユダヤ系アメリカ人であるスピルバーグは、約10年の構想を経てこの大作を撮りあげたという。 スピルバーグの映画で最も長く、最も見応えのある映画の一つだ。 ヤヌス・カミンスキーによる撮影は、カラーのパートにおいても“黒”のコントラストを失わない。 それは市川崑と宮川一夫の「おとうと」から続く“銀残し”にも精通する彼の実力が存分に発揮されているからだ。 冒頭と終盤を除いて白黒で撮られた映像。 まるでアラン・レネの「夜と霧」のようにドキュメンタリータッチでユダヤ人の悲劇を描く時もあれば、 バッハ(劇中の“モーツァルト”は間違い)の「イギリス組曲第二番のプレリュード」が虐殺と共に奏でられる胸糞の悪さと芸術的な興奮すら感じさせる“憎たらしい”場面もある。 バッハ好き発狂間違いなし。 序盤の「暗い日曜日」だって陰鬱さは無い。 朝セ●クス後のアーモン・ゲートのクソ野郎が事後処理とばかりに狙撃するシーンも最高に胸糞が悪い&悔しいけどそそられる。これほど美人のおっぱい見て素直に喜べない映画も無いよ。 居住区と元住居の対比、ありとあらゆる場所に隠す財産・人、それすら見つけ嬲り者にするナチスの黒い影。 不気味な鉄ヘルメットの行進は、虐殺を愉しむように、家畜を殺すように引き金を引くのだ。人を治すためでなく殺すために使う聴診器、閃光が語る虐殺・・・。 白黒の画面の中を駆け抜ける赤い服の少女。観客とシンドラーだけが、あの少女に気付く。 そんなドイツ兵も“ロシア戦線”は怖いらしい。冬将軍恐るべし。 列車のシーンは見る度に絶えず絶望感を拭えない。“手違い”でアウシュビッツに送られるシーンの恐怖といったら。 同胞の死体を火葬しなければならない苦しみは彼らにしか解らない。  蝋燭に火を灯す場面からはじまるこの映画は、次々とその灯火が消えていく。その灯火を拾い集め、最後まで絶やさなかったのがオスカー・シンドラーという男だった。 彼は安い賃金で働くユダヤ人を“労働力”として社員集めをし工場に迎え入れる。 飼い犬を可愛がるように接していたが、面倒見が良すぎるシンドラー社長はやがて同じ“仕事人”として、一人の人間として惚れ込んでしまう。自分の総てを犠牲にしてでも“仲間”たちを守りたいと思うようになる。仲間の名前は一時一句総て覚えている。 「私はドイツ人だ。それがどうした?」
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 20:18:24)(良:1票)
55.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
靴、靴、靴。それに足を入れて走って走って走って大地を“蹴る”。 それがこの映画だ。  冒頭から「靴」の映画である。 壊れた靴を直してもらい、途中寄った店で靴が入っているとも知らずに持っていかれてしまう袋。それは妹の靴だった。ここから物語は始まる。 「9歳はもう子供じゃない」という生活を送るアリは、ノートによる“筆談”を経て妹ザーラに自分の靴を貸すハメになる。 妹も走って走って走り、履き替えた靴でアリもまた走って走って走って学校に行く。 たった二足の靴を兄妹で仲良く大切に洗うシーンは微笑ましい。同級生の靴を物欲しそうに見つめる妹が可愛いすぎて和む。「同情するなら靴をくれ」的な。 川に流れてしまった靴を懸命に追いかけるシーンの健気さ。 アリもまた家の手伝いや妹の靴の件もあって好きなサッカーも出来ない、家は貧乏&家賃滞納で大ピンチ、その鬱憤を学校への全力疾走にぶつけて彼は毎日市街を駆け抜ける。その走りの成果が役立つなどとアリもつゆ知らず。女子は午前で男子は午後の授業? あのお茶のポッドが欲しくなる。  父親の自転車が坂道で止まらなくなったり、用水路の予想外の水流の速さと、この映画はとにかく動いて動いて動き続ける。  アリはどんな困難も「妹の靴、そして妹のため」を思えばと乗り越える。 一等よりも三等の価値、終盤のラストスパート! スローモーションが焦らすに焦らす演出が良い。手に汗握る。  どんな結果でも、妹の喜ぶ顔が見れないと思うと哀しい表情をするアリ。  だが、アリの父ちゃんは二人を笑顔にする“とびっきりのもの”を自転車に乗せて帰ってくる。 アリの傷ついた足を水の中で優しく舐め迎え入れる金魚たちは、アリたちに訪れる幸福を予感させる。  こんな面白い映画、よく90分以内に収まったもんだ。傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-09 19:21:25)(良:2票)
56.  セブン 《ネタバレ》 
この映画はある意味ハッピー・エンドなのかも知れない。 フリッツ・ラングの「ビッグ・ヒート」にも通じる部分がある「犠牲と心境の変化」。 フィンチャーは「ゾディアック」とか00年代の作品の方が好きだが、彼の最高傑作を1本選ぶならコレになるだろう。 市川崑と宮川一夫の「おとうと」の頃から銀残しという演出は使われてきた。 非常にコントラストの強い画面は、見る者に閉鎖的な息苦しさを与える。 この映画に描かれる下品さ、人間の汚れた部分を徹底的に見せる映像には嫌悪感を覚える者もいるだろう。 だが、人間の心理に向き合わせようとする物語・・・アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーの哲学を絡めた見事なシナリオには唸らざる負えない。 それに美しいシーンもある。 莫大な情報が眠る夜の図書館の静寂とかさ。 凶悪な犯罪や殺人が耐えない現代社会。 サマセットはそんな世の中に嫌気が差していた。定年を迎え辞めようという時に起きた「七つの大罪」になぞらえた連続殺人。 奴は何故殺人を繰り返すのか、それが徐々に浮き彫りになっていく。 殺人犯の説教なんてクソ喰らえだ。 大量かつ複雑な情報をコンパクトにまとめてしまうフィンチャーは正に職人だ。 サマセットとミルズは早く平和な家に帰りたがっていたが、殺人を止めるため、「安心して子供を産める世の中」にするために犯人と戦う覚悟を決める。 サマセットは、ミルズの妻とそのお腹の中にいる新しい命に触れる事で「人を信じてみたい」と希望を持ちはじめる。 最後の戦いの前にフル装備で身を固めていくシーンのワクワク感は何なのだろうか。 それを絶望の淵に叩き落すのだから油断できない。 結末は残酷なようにも思えるが、ミルズの表情に“憤怒”は無く、かといって“哀しみ”にも染まっていなかった。 勝ち負けではない。 「もうこれ以上犠牲者を出さないためにも・・・このクソ野郎は俺がブチ殺す」という冷静な戦士の表情だ。 車の中で贖罪を求めていた筈の彼が、警官として責務を負う覚悟を決めたのだ。例えどんな絶望が待っていようとも。 フィンチャーが“アレ”を見せなかったのも俺は気になる。 実は犯行にはおよんでいなくて、警官に嫉妬する自分と憤怒にかられた刑事を“精神的”に殺そうとしただけだった可能性もあるのではないだろうか。 俺はそういう結末があっても良いと思うんだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-05 22:04:33)
57.  シックス・センス 《ネタバレ》 
すげえ・・・666だ・・・マジかよorz 五感で感じられない幽霊。 霊を感じるのは「第六感」なのか。 主人公は子供を更生させる事を仕事にする男。 どんな不安や悩みも一身に受け止め、付きっきりで相談に乗ってくれる。 だが仕事熱心なあまり、妻をあまり構ってられない悩みも抱えている。 ある事件を境にそんな妻の夫への態度は冷たくなってしまう。しかしそれは・・・おっと。 そんな主人公はある日、不思議な少年に出会う。 彼は「霊が見える」という。 霊の見えない他の子供からはイジメられ、霊の見えない母親は、そんな息子に不安を抱く。 現実にいる体の病気が原因でイジメられたり、家族から冷たくされる子供もいるが、霊が見えるというだけで体は健康だ。 それだけに母親は辛い思いをしていた。 そんな時に主人公とその子は出会った。 最初疑っていた主人公も、親身に聴く内に徐々に霊の存在を意識はじめる・・・。 事件も無事に解決し、母親とも打ち解ける事ができた子供。 だが、主人公に訪れる「真実」とは・・・? 度肝を抜くラストが衝撃的すぎる。 だってあのブルース・ウィリスがだぜ? ダイ・ハードのマクレーン刑事がだぜ? まさかあんな事になるなんて・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-14 15:46:17)
58.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 インターナショナル・ヴァージョン 《ネタバレ》 
「攻殻機動隊」のレビューは既にしてあるので、今回は「インターナショナル・ヴァージョン」の感想。  日本版キャストで演る前に先にアメリカ・フランスで上映したやつを凱旋公開したver.だそうだ。  冒頭に漢字の“漫画”とアルファベットの“MANGA”をクロスして組み合わせたようなマークが出てくる。  オープニングの説明文も「IN THE NEAR FUTURE-...」とすべて英語で書かれている。 「インターナショナル・ヴァージョン」のキャストは日本版よりも若い印象を受ける(バトーが青年みたいな声になっとります)。 いや逆に言ってしまえば、日本のキャスト陣が良い意味でドスの効いたメンツで構成されているという事なのかも。 ともかく、どっちの素子さんも声に艶があってカッコイイですハイ。 でも日本語より英語の方が雰囲気があると思うのは気のせいだろうか? 絵のタッチも洋画みたいな感じですし。  たまに「fu●k off」とかガヤで聞こえんのは気のせいですねハイ(商店街での銃撃戦とか)。   人形遣いは国際的にも男の声なのね(「2.0」でも英語版はトム・ワイナー(Tom Wyner)です)。   「The Net is Vast and Infinite(まったくネットは広大だわ).」  
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-09-04 06:37:09)
59.  ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 《ネタバレ》 
子供の頃はちょっと怖かった(サリーがバラバラになりすぎて)けど、見直してみるとこんな素晴らしい映画だったのか~。   時期的には冬(クリスマス)や秋(ハロウィン)に見る心温まる話だけど、ヘンリー・セリック&ティム・バートンの不思議な世界観は夏のほてりきった体もひんやり癒してくれる。怖くて、楽しいミュージカル。   滑らかなストップ・モーションは「キングコング」のウィリス・オブライエンや「アルゴ探検隊の大冒険」のレイ・ハリーハウゼンの流れから進化し続けた技術を感じさせる。  バートンを笑う事は今までの歴史を笑うことに等しい。いや、そのユーモラスで素晴らしい映像世界は笑いながら拍手喝采を送るしかないっ!!   物語は「ハロウィンで人々を脅かす事」だけが生きがいであるハロウィン・タウンの住人たちの狂騒から始まる。   ハロウィン・タウンの王として君臨(といってもみんなが一番偉い人と勝手に祭り上げているだけなのだけれど)するジャック。   彼だけが“ハロウィン”だけにとらわれる事の虚しさを知り、何か変化を起こしたい、どうにかしたいと悩んでいた。   ふとした事で知る“クリスマス”という楽しさ、暖かさ。   ジャックはハロウィンタウンの人々を変えようとするが、誤解が誤解を生みどんどんおかしな方向へと話が進んでいく。  その様子が本当におかしいのなんのって。  ここの住人どんだけ発想物騒なんだよ。誰が生首を喜んで受け取るんだオイ。  あの赤い服は返り血じゃないってば(笑)  サンディ・クローズ(返り血サンタ)、サタン・クルス。  ジャックのアジで大爆笑。バートンのブラックユーモアがノリノリすぎて最高ですハイ。   しかし、狂騒の果てにジャックは自らが招いた過ちに絶望するが、失ったもののために彼は自分の使命を果たそうと奔走。   ウギー・ブギーとのやり取りはハラハラ、つうかサリーが身を挺しすぎて笑うに笑えなくなってきた。どんだけ四肢吹っ飛ぶのアンタ。死屍じゃなくて四肢累々。休んでいいよサリー。バラバラ系女子(ry   ラストの雪世界で二人が結ばれるシーンがとにかく美しい。  ジャックが孤独に昇った丘は、まるで二人の永遠の愛を祝福するように月明かりと雪で白く輝いているのだから。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 22:03:29)(笑:1票) (良:1票)
60.  恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 
「ビフォア・サンライズ」。 とても素敵な映画だ。これほど平和で、これほど人の心を揺さぶる恋愛映画は。  ゲーセンで不良がナンパしてきたり、ギター持った男が奇声をあげてきたり(「スクール・オブ・ロック」)とか、そういうハラハラする“イベント”はまったくないと言っていい。本当に一時の静かな出会いと別れなのさ。 音楽も冒頭と終盤までほとんど無い。  列車の中でふと出会った男女二人。最初は一人で暇な時間を潰すための会話だったが、やがて互いの心の傷を見せ合って溶け合う中となっていく。  列車にはじまり次々と移動して移動して移動して、喋って喋って喋りまくる。結んだ髪もあっと言う間にほどけるくらいに。 なのに不思議と飽きることなく、延々と聴いていたいような穏やかな時間が流れる。街からは出ないけど、移動しまくる様子はこの映画も立派なロードムービーなのだろう。  手相占いのばあさんとか、二人に絡んでくる人々の会話も面白い。  ゲーセンで体ごと動かしてゲームを愉しむ様子。確かに、解ってても体ごと動いちゃうよねーあーいうのって。  人気の無い公園での交わり。 夜が明け、昇るサンライズ(朝日)は別れの時間が迫っている知らせ。 彼女が三つ編みでラフな服装になっているのは事後を物語るのだろうか。  列車の前でハッとして「もう・・・お別れなのね」なんて表情をする場面はもらい泣きしそうになったよ。  続編の「ビフォア・サンセット」も素敵な映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 19:37:30)
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