581. クラッシュ(2004)
良かった。人はぶつかりあう、それによって悲劇がおきたり、逆に救われたりもする。生きるとはすなわちそういうことで、人間の宿命とも言える。見せ方がとても上手く、引き込まれるが、それが目的化しない適度な範囲。見事な脚本です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-10 12:01:37) |
582. ヤコブへの手紙
《ネタバレ》 ヤコブへの手紙がぱたりと来なくなったのは神の意思だと思ったんだけど、郵便配達のおじさんが保管してる説も分からないではないし、それどころか手紙の多くはこの人が書いていたと見る人もいて驚いた。確かに矛盾は無い。神の意思か、自然の成り行きか…。この映画では説明が付かないことは起きないが、導かれているような気もする。人によって捉え方が変わる絶妙なあん梅。最終的にはヤコブがレイラを救った直後に天に召されることで、神の存在を感じる作りにはなっているけど、宗教等は関係なく心に響くものがある。いい映画だなぁ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-04 21:38:05) |
583. 瞳の奥の秘密
《ネタバレ》 光市母子殺害事件、死刑判決確定のニュースの数日後に観たから、自分の中では勝手にタイムリーな映画だった。一応「衝撃的な真実」といった宣伝文句もあったけど、「バン、バン、バン、バン」の時点で「あれ? おかしいな」と思ったから、「驚き」よりも「納得」が上回った感じ。そういう意味ではモラレスと考え方が近い。捜査自体はあまり面白いとは思わなかったけど、「自分を完全に変えようとしても、変えられない部分がある」みたいなパブロの言葉が伏線になっているわけだから意味はある。そして、モラレス宅からの帰り道、ベンハミンがそこに気付く流れが良い。本作に限らず、この手の演出はゾクゾクするから好きだ。不変の愛ねぇ… なかなか良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-03 12:00:36)(良:1票) |
584. 英国王のスピーチ
《ネタバレ》 吃音症のバーティと言語聴覚士ライオネルの友情物語。重くも軽くもなく、時にコミカルで見やすい。「昔の王は軍服姿で馬にまたがっていればよかった」というジョージ5世の言葉もあったように王の役目は時代とともに変わり、特にラジオの登場以降、国民に声を届けることも重要な役割となった。そこに吃音症の王、第二次世界大戦、という組み合わせが史実でありながらよく出来てるなーと思う。最後のスピーチは無事に終えられて一安心くらいの感じで、感動まではしなかったけど、全体としてはまずまず。スピーチの時点で13歳だったエリザベス2世はまさに歴史の生き証人…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-28 20:35:09) |
585. ブルーバレンタイン
《ネタバレ》 倦怠期を迎えた夫婦の物語で、現代パートだけならどちらにも感情移入なんてできやしないんだけど、二人の出会いから結婚までの日々を同時に見ていくことで、冷めた関係が悲しく映り、なんとか修復してほしいと願った。けっして美男美女ではない役者が起用されているのも監督の狙いだろう、どこにでもいるような夫婦を描きたかった。ただ一つだけ踏みとどまれなかった理由があるとすれば、二人の間に子供がなかったことかもしれない。悲しい話は得意じゃないけど、愛の始まりと終わりを描ききった点で価値を感じる作品。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-27 21:04:10) |
586. ウォール街
《ネタバレ》 当時の金融界をリアルに映し出し、その在り方に警鐘を鳴らす。「ウォール・ストリート」の予告編を先に見てしまったからゴードン・ゲッコーが逮捕されるのは知っていた訳だけど問題なく楽しめた。バドの逆襲は特に良い。DVDに入っていた監督、キャストのインタビューではバドの父親役はジャック・レモンかマーティン・シーンかで選べと言われたチャーリー・シーンが実の父マーティンを選んだこと。そのマーティンはやたらとセリフを変えたがり、オリヴァー・ストーン監督を困らせたこと。葉巻を届けるシーンの撮影は58テイク、2日間にも及んだこと。監督はダリル・ハンナの演技に不満を持っていたこと。倒れた父を見舞うシーンでは親子の実体験からほとんど演技をする必要がなかったことなど、いろいろ面白い話が聞ける。45分以上あったけど、結局全部見ちゃった。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-26 13:04:32) |
587. 老人と海(1999)
油絵が動いている! 短編は2時間ものとは土俵が違う気がして、採点は難しいけど、良いものを見せてもらった。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2012-02-25 14:31:41) |
588. 冬の小鳥
《ネタバレ》 予備知識無しで観たけど、なるほど自伝的作品ならば、あくまでジニが見た範囲が映像として出てきて、それ以外は説明さえないのも納得できる。だからこそジニの視点に立て、感情移入もできた。わずか9歳で大好きだったお父さんから捨てられた悲しみ。それを受け入れられないでいる日々。絶たれた望み。そして冬の小鳥となる…。ただ、不思議とこの時を境に変わったジニ。これを諦めと呼ぶのか、成長と呼ぶのか。初めての作り笑いにいろいろ考えさせられた。佳作。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-21 18:01:07) |
589. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
《ネタバレ》 今度はヨーロッパを主な舞台とし、ナチスを蹴散らす痛快なアクションが展開される。なんと言ってもショーン・コネリーとのコンビが最高で、前二作より笑える場面が多い。鳥の群れを利用して敵の飛行機を墜落させたとき、ヘンリー・ジョーンズ教授が本当に好きになった。若き日のインディアナが見られるのも嬉しい。このシリーズは安定してるな~。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-19 10:01:45) |
590. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
1作目「レイダース/失われたアーク」でこのシリーズがどういうものか分かったから今回はヘンテコなアジアにもツッコミは入れない。アドベンチャームービーとして娯楽性をとことん追及している。合成の技術などいくらか古さを感じさせる点もあるが、次々と押し寄せるピンチの連続に、時間を忘れて夢中になれる。楽しい映画だった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-19 10:01:42) |
591. 王将(1973)
《ネタバレ》 バンツマ主演のオリジナル版などは未見。実在した棋士、阪田三吉を勝新太郎が演じ、妻には中村玉緒がキャスティングされている。破天荒な夫と、それを支える妻。実際の二人を連想しなくもないが、玉緒さんに言わせれば全然違うらしい。ストーリーはアマチュアの大会でプロの関根七段と手合わせし、千日手で敗れた三吉が打倒関根で「ほんまの将棋指し」の道に進んでいくというもの。経済的に苦しい生活、三吉の目の病、小春の死など、苦難の連続で見応えがあるが、将棋が強くなっていく様子は分かりにくい。これがスポーツものならきついトレーニングの日々をBGMとともに見せたりするのだろうが、将棋ではそういったことは難しいのかもしれない。いつの間にか関根八段に追いついていた…って感じだから、そこは残念といえば残念。脇役では藤田まことが上手いのは知っていたけど、この映画での新たな発見といえば音無美紀子。父の将棋に対する姿勢を責める場面など、とても良かった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-17 19:33:43) |
592. 姉妹(1955)
《ネタバレ》 姉妹の絆を描いた映画。あれくらいの年頃でいつも一緒にいるような姉妹は珍しいと思われ、それだけに姉の結婚で離れていく二人を見ていると思いのほか切なくなった。正しい判断かは分からないが、同僚のリストラに心を痛め、娘を修学旅行に行かせなかったお父さんなど、当時の田舎に生きる人たちの考え方が興味深い。花嫁姿の野添ひとみはうっとりするほど美しかった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-15 18:03:39) |
593. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 自分の子供時代を思い出してみると、ダニエルくらいの年頃で「好き」って気持ちをあれだけストレートに堂々と言える奴、いたかな?と疑問に思う。まあ、ウジウジしてるよりはいいけど。その方がストレスもないし。トレーシー・ハイドも可愛く、ほほ笑ましい映画だったが、残念なのは二人を冷やかしてたクラスメイトがなぜ急に結婚式を開いてあげようとなったのかが、よく分からないことと、その後の追いかけっこ。例えば車を炎上させて、盛り上がれるかと言うと、今となってはちょっときつい。「これから弁償とか、いろいろ大変だぞ」と現実的に考えちゃうからかな。子供の頃に見てればまた違ったかもしれない。挿入歌は懐かしい気分にさせてくれる。良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-11 11:04:30) |
594. バックドラフト
消防士の映画だけあって火の迫力が凄い。特に化学工場の火災は映画史的に見ても屈指のクオリティなんじゃないかな? 思わず息をのんだ。ストーリーはカート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィンW主演の映画にロバート・デ・ニーロ、ウィリアム・ボールドウィンW主演の映画を付け足して一本にしたような感じがある。だからサスペンスパートを蛇足と捉える人がいてもおかしくはないと思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-08 17:35:45) |
595. ソーシャル・ネットワーク
フェイスブックは利用してないけど、大まかな仕組みは聞いたことがある。それが良かったのか、マーク・ザッカーバーグのひらめきは見ていて面白かった。エドゥアルドやアイデア元?との訴訟問題は、架空の話ならば物足りないかもしれないが、実話が基だから勉強にはなる。そして登場人物が実名なのはさらにありがたい。現実はだいぶ違うのに、嫌な奴にされてしまったショーン・パーカーは気の毒だけどね…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-06 19:31:45) |
596. はつ恋(2000)
《ネタバレ》 若き日の西村志津枝や藤木真一路、会田泰仁は出てこない。それどころか西村志津枝と藤木真一路がどのように出会い、どのような日々を過ごし、どのように別れたのかさえほとんど分からない。母の「はつ恋」ではなく、あくまで「今」を描いた映画だ。24年前、出せなかった手紙。そしてその後の人生のこと…。母として娘に伝えたかった勇気の大切さは、けっして後悔からくるものではない。その逆と言ってもいいだろう。「恋をしたらね、そのとき、そのときを大切に生きて、恐れずに前へ一歩踏み出して、(中略)あれがあるから今があるんだって、そんな大事な瞬間が必ず来るってことをね、話したかったの…」引用しちゃったけど、思いは聡夏に伝わったことだろう。そして北海道に向かった藤木もまた勇気を持って、今を大切に生き始めた。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-02-02 18:30:39) |
597. 祇園の姉妹(1936)
祇園に生きる対照的な姉妹の姿を、解説によると内務省から「けしからん」と言われたほどのリアリズムで描く。「女を描かせたら右に出る者なし」とかいう溝口監督だけあって、女の悲哀と強さが見事に表現されている。1936年を再現ではなく、本物で感じられる点においても価値があるかと。何より10代の山田五十鈴を見ることができて嬉しい。この頃から既に上手い女優だったのね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-27 18:00:27) |
598. きみに読む物語
《ネタバレ》 原作未読。王道のラブストーリーだが楽しめた。レイチェル・マクアダムスは「きみがぼくを見つけた日」(09年作)で初めて見て以来、ちょっと気になっていた女優さんだったし(順番おかしいけど)、1940年代アメリカの雰囲気も好きだ。不満といえば途中で完全にネタばらしされる事かな。安心して力が抜けた。7年越しの手紙についても、もっと有効に使える演出アイテムなはず。1通しか読む場面が出てこないなんて勿体無い。365通すべて同じことが書いてある訳じゃあるまいに…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-21 12:31:15) |
599. 瞼の母
ベタにはベタなりの良さがあって、特に時代劇においてはそのような定番を楽しむのも大事な気がした。俳優陣では中村錦之助はもちろん、泣いている忠太郎を見て心が揺れる木暮実千代の演技なんかも素晴らしいと思います。松方弘樹は若いな~。二十歳くらいか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-01-15 18:41:08) |
600. アイルトン・セナ ~音速の彼方へ
《ネタバレ》 F1には全然興味がなくて、セナについてもブラジル出身の偉大なレーサーで事故死した…くらいの知識しか無かったため、なかなか楽しめた。セナvsプロストのライバル関係が熱い。これは盛り上がるの当然だな。その後の時代はシューマッハが強すぎてつまらなかったみたいだから、セナ、プロストの時代をリアルタイムで見ていた世代が一番だね。FIAの会長がフランス人で、同じフランス人のプロストを優遇、セナは厳しい条件で戦わされたりもしたが、それでも勝つところがヒーローなんだろう。でもウィリアムズ移籍後は「タッチ」の和也が死ぬ回みたいな妙な空気になってて悲しかった。そしてセナ死亡の一報を伝えるメディアとして、日本の映像が長々使われたのはびっくり。フジテレビ三宅アナとか若い…。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-20 21:45:51) |