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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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601.  怪盗グルーの月泥棒 《ネタバレ》 
3D字幕版を鑑賞。 子ども達は可愛く、ミニオンというキャラクターも非常にユニークに描かれている。 主人公のグルーとライバルのベクターも個性的に描けており、ファミリー層や女性には受けが良さそうな作品に仕上がっている。 ただ、自分はキャラがユニークで可愛いだけでは物足りず、映画としては満足することはできなかった。 ミニオンが色々と遊んでいるシーンは微笑ましいが、さすがにそれだけで喜べる年齢でもない。 アイテムの争奪戦や特殊な兵器などが登場するが、ワクワクするような感覚になれない点は残念。 周囲と壁を作っている孤独のグルーと自分自身を重ね合わせることができるにも関わらず、この映画を見ても“何か”を感じ取ることはできなかった。 一応感動させるようなストーリーになっているが、ありがちな展開が繰り広げられており、グルーと子ども達の関係もそれほど煮詰まっているような感じはせず、感動するほどでもない。 子ども達との関係だけではなくて、月泥棒(それに至る経緯を含めて)やライバルとのバトル、母親との関係など、全体的にやや浅い仕上りとなっている。 そのバランスの良い浅さがアメリカでは受けたのかもしれないが、自分には普通の3Dアニメとしか感じなかった。 目玉ともいえるジェットコースターのシーンはさすがに体験したことのないような素晴らしい疾走感を堪能できるが、それだけでは評価はしにくい。 字幕版絶対信者ではなくて、吹替え版でも別に問題なかったが、自分が鑑賞した回がたまたま字幕版だった。 鶴瓶師匠の方のデキは分からないが、スティーヴ・カレルのノリがかなり良かったので、字幕版の方が正解かもしれない。 3Dでの字幕に関しては、特に問題はなかった。
[映画館(字幕)] 5点(2010-11-03 12:33:50)
602.  エクスペンダブルズ 《ネタバレ》 
スタローンに関しては“不屈”のスターというような好意的なイメージをもっているが、それほど深い思い入れはないというところ。「ランボー」の最新作に関しては純粋に面白い作品と感じたが、本作に関してはあまりハマれなかった。描かれていることについては、それほど多くの差異はないとは思うのだが、何が違うのだろうか。 本作は“過去のスター”を揃えることが目的のようになってしまったためか、全体的なバランス感覚を失しているような気がする。年齢を感じさせない彼らが活躍する姿や、スタローン、ウィリス、シュワが同じフレームに収まるのを見られたことは嬉しいが、集めただけで活かしきれていないのはもったいない。また、他の出演者を優先させるためか、それとも均等に活躍の場を与えるためか、スタローン自体も一歩退いているので、輝いている演者がイマイチ見当たらない(輝くような撮り方ができていないということもある)。この辺りが「ランボー」シリーズとは異なるところだろうか。スタローンが先頭切って、もっと派手に暴れて欲しかった。リアリティなど誰も気にしないのだから、誰も手を付けられない“超人集団”でもよかったと思う。序盤の船舶のシーンや、中盤の飛行機による乱射などのムチャなシーンも見られたが、肝心の終盤がイマイチでは盛り上がらない。終盤がイマイチというよりも、単調な作りなので飽きるといった方がよいかもしれない。 基本的に、チームがバラバラな点に関しても、面白ければそれでもよいが、「特攻野郎Aチーム」のような絶妙なまとまりも無ければ、「ナイト&デイ」のようなスター×スターという構図ではなくて、ただの足し算的な描き方(足せてもいないか)では面白くない。 テーマ的には、敵を殺すことはできても、女を救うことができなくては“男”とはいえないということだろうか。 ミッキー・ロークの訳の分からない涙ながらのエピソードや、ステイサムの女を巡るエピソードを含めると、だいたいそのようなイメージを持つ。 ただ、逃げられるのにみすみす捕まった相手では同情しようもなく、「男の美学」「男の哲学」のような心に訴えるものではなかった。 スタローンの脚本であり、全体的にツメがやや甘すぎたか。ツメが甘いというよりも、振り返るとストーリーがよく分からない。本作についてはストーリーはどうでもよいのだが、釈然としない流れでは肝心のアクションにも乗れない。
[映画館(字幕)] 5点(2010-10-18 23:31:47)(良:1票)
603.  エアベンダー 《ネタバレ》 
3Dを見ると体調が悪くなることがあるので、2D版を鑑賞。 極めてオーソドックスなファンタジーアクションとなっており、極端に面白いわけでもなければ、極端につまらないわけでもないという印象。 全体的に感動も驚きもなく、淡々とストーリーの流れを追うだけの作業となった。 三振かホームランかという作品ではなく、ファアボールでも何でもいいから、出塁するための作品といえる。面白くも何ともない作品ではあるが、続編込みの作品なので、初っ端からつまずくわけにはいかないという狙いがあるのだろう。「ライラの冒険」のように一作目がコケたら、シリーズ全体が飛ぶ怖れもあるので、安全策を取らざるを得なかったのではないか。 鑑賞中は、かなり中途半端な終わり方をするという恐れを感じていたので、ある程度の形まで進んでくれたことにはホッとした。 本作の問題点としては、主人公のアンを筆頭に各キャラクターに魅力が足りない点だろうか。子どもに高い演技力を求めるのは酷かもしれないが、頭の↓が光る以外は喜怒哀楽が感じられない。ましてやカッコ良さというものをまるで感じられない。カッコ良さを求めるのは難しいが、子どもらしい強さと弱さ・脆さの同居のようなキャラクターに仕上げて欲しいところ。一度は逃げ出したのだから弱くてもよい、そこからいかに強くなるかが見たいのだ。本作のみでは主人公の成長ストーリーとしては何一つ描けていない。あまり主人公の内面に対する描写を増やすと飽きられて、ファミリー層に対する受けが悪くなりそうなので、仕方がないところはあるが、精霊やドラゴンのお告げのようなものだけで簡単に解決されても困る。 全体的に細かい設定がよく分からないところはあったが、王女の髪の色がなぜ白色なのかの説明同様に、そのようなことを知ったところで意味はないだろう。各キャラクターの行動理由や、彼らはいったい何のために戦っているのかもよく分からないところはあったが、王女と仲間の兄貴が突然恋に落ちるのと同様に、そのようなことに大して意味はないだろう。 シャマランは内容的にマジメに取り組むことを避けて、良い意味でかなり手を抜いて作ったことが本作のテイストにはある程度マッチしたように感じられる。「おとぎ話なのだから、目くじらを立てて批評する必要はないでしょう」という声が聞こえてくるような軽めの仕上りになってもこのストーリーでは仕方がないだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2010-07-26 21:05:11)
604.  アイアンマン2 《ネタバレ》 
中弛みを感じてしまい、正直言ってあまり楽しむことができなかった。「スパイダーマン3」同様にキャラクターの増加や、ストーリーの詰め込みすぎによって、バランスを失しており、全体的に流れが悪い。色々なものを適当に繋ぎ合わしたという印象。大金が掛かったアクション作品なのでそれなりに楽しめるものの、1本の映画の作りとしては、デキはそれほど高くはないと思う。アメコミ原作のアクション作品なのだから、もっと単純で、もっと爽快感があり、もっとド派手の仕上がりでもよいのではないか。 「1」のラストでのフューリーの登場は驚いたが、今回は「アベンジャーズ」のネタが多すぎてややウンザリ。これでは「アベンジャーズ」の前日譚や予告編のような仕上がりだ。次回へのお楽しみを醸し出す程度でよいと思う。 ストーリーとしては、ヒーローモノに付き物の“苦悩”を描くことは必要かもしれないが、“病気”というテーマは受け止めるのはなかなかやっかいだ。もっとヒーローらしい“苦悩”の方が観客は受け止めやすいように思える。もし“病気”を扱うのならば、もっとシリアスに描いてもよかったかもしれない。自暴自棄になっているのは分かるが、ピンチに深く陥っていると感じさせない作りとなっている。『どうせ訳の分からない治療法を見つけて直すのだろう』という展開はこの手の作品では仕方がないと承知しているが、“新たな元素”など『訳が分からない』を通り越している。 さらに“父親との関係”なども放り込んでおり、一つ一つのことを満足させていない。 ミッキー・ロークはさすがの存在感や迫力を醸し出していたが、キャラクターとしてはただ出てきただけの存在。サム・ロックウェルも煩わしいザコキャラを忠実に演じていたが、こちらも出てきただけの存在。グウィネスもチードルもジャクソンもヨハンソンも同じような印象だ。 「1」は起承転結の“起”という役割を担ったが、「2」はシリーズとしての意味をあまりなさないような気がする。ペッパーとの恋愛関係や、ローズ中佐との友情関係にもう少し絞り込んだ方が引き締まったのではないか。タッグを組むローズ中佐との関係が、今回は特に重要ではないか。訳が分からないうちにスーツを着て戦い始めて、何故かスーツを持っていかれたという印象しか残らなかった。
[映画館(字幕)] 5点(2010-06-19 11:27:31)
605.  狼男(1941) 《ネタバレ》 
短い映画であり物足りなさを覚えるので、一本の作品としてはそれほど高い評価はできないが、押さえているところは押さえられている作品。 狼男としての苦悩、狼男になってしまう怖れ、大切なものを傷つけてしまうのではないかという不安など、2010年のリメイク版に比べて、意外ときちんと描かれていたと思われる。 あっさりとはしているが、ラストの落としどころはキレイにきまっている。 父親に対して、銀のステッキを持っていくように頼むシーンは父親に対する思いや決意の深さのようなものも感じられるようになっている。 しかしながら、ホラー、アクション、サスペンス的な要素などはほぼ皆無なので、面白みはそれほど感じられない。 全く怖くもない毛むくじゃらの狼メイクは仕方がないが、もうちょっと怖がらせるような仕掛けが欲しいところ。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-03 12:22:45)
606.  シャッター アイランド 《ネタバレ》 
鑑賞前に一切の情報をシャットダウンして臨んだが、本作の設定を踏まえると、ある程度イメージは固めていた。多くの人が同じようなイメージを抱いていたとは思うが、本作はそのイメージを超えることはなく、自分のイメージが当たっているかを確認する作業でしかなかった。いい緊張感と集中力を保てたので、飽きることはないものの、謎解きや秘密や深いオチを期待させ過ぎて大きく風呂敷を広げすぎてしまったようだ。配給サイドとしては当然の宣伝手法であり、その手法により、興行収入的にはアタリそうだが、評価の面では期待感が強すぎてハズレとならざるを得ない。 しかし、謎解きがメインではないにしても、物足りなさを覚える作品でもある。スコセッシが本作に何を込めようとしたのかが十分伝わってこなかった。ディカプリオが演じた男の生き様のようなものが見えてこない。苦しい過去の記憶を消して、精神を病まざるを得なかった男の悲しさのようなものが伝わってこないので、ゴーストとして生きるよりも善人として死にたいというセリフも活きていないような気がする。「マルホランド・ドライブ」のような深みのある仕上がりになれば、評価も恐らく高まっただろう。  “現実”と“妄想”とのリンクが甘すぎる気がする。亡き妻の亡霊や子どもの姿を悪夢や幻覚というカタチでストレートな手法で描くのではなくて、もっと凝った手法をヒネって欲しかった。また、基本的に放置プレイの病院サイドのやり方も甘すぎた。ディカプリオに“失踪捜査”を行わせることにより、ディカプリオの頭の中に隠された“現実”が浮かび上がるような“誘導”が構築されていない。これでは“治療”とは呼べないだろう。 本作で良かったのは、美しい映像だけだ。亡き妻を抱き締める際に、火と水と血が混ざり合った不可思議な映像や、孤島の建造物の凝った作りには見所があったが、それ以外で評価したい部分はあまりなかった気がする。 謎解きをメインにするのであれば、ただの精神を病んだ男のストーリーではなくて、病院の“秘密”を探ろうとする精神が真っ当な刑事に対して、精神を病んだ男という記憶を産み付けるために関係者がグルになって一芝居をうったという解釈ができる余地でも残してもよかった気もする。人間を精神崩壊に追い込み、自分の記憶の曖昧さ、自分が誰であるかという確信を揺るがすようなオチもアリではないか。
[映画館(字幕)] 5点(2010-04-12 22:18:28)(良:1票)
607.  Sweet Rain 死神の精度 《ネタバレ》 
原作は未読。伊坂作品のいかなる作品の1ページも読んだことはない。 原作未読のためか、終始ズレを感じてしまった。 47年近い時間のズレを製作者は懸命に表現しようとしたのかもしれないが、それが上手くマッチしてないという印象。 難しいところだが、時間のズレなどは思い切って無視して演出してもよかったのではないか。 詰まらないことに監督はコダワリを持ったようであり、観客からするともっと他の事をきちんとして欲しいと言いたくなる。 また、ステレオタイプ型の表現が多く、それが違和感を与えているばかりか、全体的に表面の部分をすくったようにしか思えないために深みを感じられない。 さらに“死”を問い切れていないように思えたので、高く評価することはしにくい。 死神の立ち位置も曖昧のような気がした。 死神よりも、ある意味で藤木さんの方が達観しているのには違和感を覚える。 ラストでは成長しているようには感じられるものの、死神としての成長を描くということも重要なことではないか。 死神は全てのことは知っているが、人間の感情を理解していないということといった設定を付加するとよかったかもしれない。 そういう意図は込められていたようだったが、雨が止まないのは、死神としての途中の状態であり、人間の感情を理解して初めて一人前の死神になれるというようなことでもよかったか。 一人の女性を描くのならば、『なぜあの時に殺さなかったのか』ということをもう少し問うてもよかっただろう。 生き続けることによって、不幸で苦しい思いをしたことは間違いないが、生き続けることによって、素晴らしい経験もできたということを藤木さんに伝えてもよい。 映画内では、藤木さんの方で自己解決してしまっており、死神をただの使い走りにしているのはちょっと違うのではないかという印象。
[DVD(邦画)] 5点(2010-02-05 23:31:21)
608.  サロゲート 《ネタバレ》 
素材は悪くないが、煮込み具合が足りず、全体的に中途半端な仕上り。ディズニー映画らしく変にマジメっぽく説教臭いところは個人的には嫌いではないが、アクションとしてもサスペンスとしてもSFとしても物足りない。科学技術の発達に伴う人間性の喪失、夫婦の絆の回復を描いたヒューマンドラマ的テイストが盛り込まれており、それがいい意味での裏切りとはなっているが、上手くハマっていないところがもったいない。土台よりもメッセージの方が大きすぎて、バランスを欠いている。 サスペンスがメインの作品ではないにせよ、伝道師の正体、殺人事件の真相、両黒幕の存在などの見せ方に工夫がないのではないか。ただ、ストレートに“事実”を伝えるだけというのはあまりにも無策。例えば、伝道師が殺された際に、伝道師の正体をあの場面においてわざわざ見せる必要があっただろうか。伝道師が殺されたと観客にミスリードさせておいて、博士の家に着いた際に再登場させてネタ晴らししてもよいはずだ。刑事の相棒の女性についても乗っ取られたことをあからさまに見せるよりも、終盤まで観客に違和感を与えておいて、ラストにネタ晴らしすることで観客に驚きを与えることもできたはずだ。事件の真相についても違和感が残る仕上り。特殊かつ貴重な銃を殺し屋に渡しておいて、依頼主がその殺し屋をきちんとフォローしないという展開が許されていいのか。 また、「サロゲートシステム=悪」という単純な図式についても違和感があるところ。 “痛み”を感じないように殻に閉じこもっているところに問題があるが、生身の体になれば心の痛みに対して向き合えるかというのは分からず、擬似体だからこそお互いの気持ちに素直になれるということもあるはずだ。ネットやメールの方が素直に自分をさらけ出せるということがあるだろう。 よくよく考えると、「サロゲートシステム」の恩恵を一番受けていたのは、ブルース・ウィリスが演じた男だったのではないかとも思える。本気で妻と息子の死について向き合いたければ、初めから扉を蹴破って妻と話せばよいはずだ。妻が「サロゲートシステム」に閉じこもったことによって、ブルースは子どもの死や傷ついた妻と向き合うことから逃げることができていた。現実と向き合っていそうで、現実から目を背けていたのはブルース本人だったという気がしてならない。だからこそ、ラストの決断に繋がったのだろうが。
[映画館(字幕)] 5点(2010-01-28 23:29:30)(良:2票)
609.  2012(2009) 《ネタバレ》 
ステーキを食べようと思ったら、ステーキじゃなくてコンニャクだったというような映画。エメリッヒに期待するほうが間違いなのかもしれないが、物足りなさを覚える。壮絶な映像も見慣れてしまっているのか、期待していたほどではなかった。 ただのパニック・ディザスタームービーを作るのではなくて、人類が滅亡する際にいったいどういう光景ややり取りが見られるのかというリアルさがあるヒューマンドラマを製作したいというような狙いが見られるが、上手く成功したとは思えない。 ヒューマンドラマを作りたいのならば、きちっと“核”を設定しないといけない。本作ならば、“主人公たちが本当の家族になる”ということだろうか。離れて暮らす息子たちと本当の“絆”を築けた際には評価される感動作になることができた。父親のことをあまり好きではない息子がなんとなく父親と打ち解けて、なんとなく父親を助けようとしたのでは“感動”は生まれないのである。父親に対して激しく反発する中で、父親の良さや父親からの愛情を再認識して、嫌っていたはずの父親を最後は自分の命を捨てようとしてまでも助けようとするところまで彼らの絆が成長しないと面白くない。本来ならば、家族や息子を助けるために主人公が死ぬということが感動的な落としどころだが、そういうオチに持っていくことが難しくなるほど、本作は煮詰まっていない。本作では多くのキャラクターが死んだが、はっきり言って効果的かつ感動的に描けたものがほとんどなかったような気がする(評価できるのはロシアのオヤジくらいか)。誰かのために何かをして“死ぬ”という人間の美しさが伝わってこない。 また、何かしらの“悪”というスパイスが必要ではないか。人間の敵は自然ではなくて人間という落としどころにもなる。金持ちのロシアのオヤジと科学者の上司のような男の二人が“悪”の候補者になり得たが、どちらも存在感を発揮したとは思えない。人間というものは生き残るためには、誰かを犠牲してもいとわないという考え方もあるので、人間の浅ましさをも描いた方がよい。その方が、人間の美しさも引き立つだろう。いずれにせよ、困難にぶち当たった際に一致協力して立ち向かおうという人間の姿を描く濃密なヒューマンドラマか、自分だけが助かりたいという人間の醜さが招く悲劇か、何かしらのものを描かないと本作のような中途半端な作品になってしまう。
[映画館(字幕)] 5点(2009-11-21 22:49:19)(良:1票)
610.  ココ・シャネル(2008) 《ネタバレ》 
「アヴァン」と併せてみると、シャネルの人生・生き様がより理解できる。本作はココ・シャネルの歴史を描き、「アヴァン」はシャネルとして成功するまでの内面が描かれている。「アヴァン」が“陰のシャネル”とすれば、本作は“陽のシャネル”といえるかもしれない。数多くの苦労や失敗は描かれているものの、基本的にはいずれも好意的に解釈されており、美化されているように思われた。内容面については同じことを描いているが、同じ人間を描いたとは思えないほど、この2作の内容は異なっているようにも感じられる。 しかし、波乱に満ちた一人の人生を2時間程度で描き切ることはできないのも事実。どちらもが本当のシャネルでもあり、どちらもが本当のシャネルではないのかもしれない。「アヴァン」はそれほど面白いとは思わなかったが、個人的には「アヴァン」の方が好みだったようだ。映画としての質は「アヴァン」の方が数段優れている(もっとも本作はテレビ用として製作されたようなので比べようもないが)。「アヴァン」を観なければ、本作をもうちょっと高く評価したかもしれない。 ただ、ココ・シャネルという生き方を理解しやすいのは文句なく本作の方だ。ココ・シャネルという人間を全く知らない人にはこちらを薦めて、ココ・シャネルの生き様をよく分かっている人には「アヴァン」を薦めたい。 ココ・シャネルという人物の歴史を知るには、本作の方が適しているが、その描き方はどこか表層的だ。バルザンやカペルとの愛情、親友やマルコムが演じた男との友情といった人間関係に深みがない。カペルとの関係は「アヴァン」よりも時間が割かれており、よりよく理解できるが、「結婚する」「別れる」といった二面でしか捉えられていないので、やはり「アヴァン」の方が深いといえる。突然、復縁を申し出る辺りも“映画の流れ”の上でスムーズとは思えない。事実通りに継ぎ接ぎをしていっているようなので、その辺りに歪みが生じている部分があるようにも思える。 マクレーンは文句のない迫力・存在感を発揮している。カペルとともに作り上げた“シャネル”というブランド及び服飾に対する情熱、自分自身に対する自信が感じられる。しかし、若き日のシャネルを演じた女優はオドレイほど深みのある演技をみせることはできていない。オドレイやマクレーンと比較さえしなければ、文句のない演技なのだが、相手が悪すぎたようだ。
[映画館(字幕)] 5点(2009-10-24 22:04:36)
611.  ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT 《ネタバレ》 
最新作が公開される関係で、期待値ゼロでやむを得ず鑑賞。 どんなに酷い作品が待っているのかと思ったら、意外と普通に見られるレベルといえるかもしれない(もっとも高い評価はできないが)。 クルマについては詳しくないので、アクションの凄さのレベルがよく分からないが、ボケッと眺めていればそれなりに飽きずに楽しむことができた。 ラストのレースも意外ときちんと仕上がっているのではないか。 ヘンテコな日本・東京が描かれるのは、突っ込む方が野暮といえるかもしれない。 カーアクション作品や犯罪モノなので、必ずしもリアルな東京を描かれる必要はない。 むしろ、「ウワバキ」などの謎のやり取りや「学ラン姿のアメリカ人」を楽しむことができるので、ヘンテコさが一つの売りともいえるのではないか。 リアルで精緻な東京が描かれたら、それはそれで面白みが減ると思われる。 ストーリーは「トップガン」や「ベストキッド」の流れを汲むような“基本”に忠実となっている。 『友情や恋愛を絡ませながら、友人の死や挫折を経験して、それを乗り越えてライバルを倒す』という王道路線が描かれている。 しかし、友情、恋愛、挫折の乗り越え方もいずれも中途半端という印象。 メインがカーアクションとはいえ、もうちょっと工夫しないと良作にはなりようもない。 “GAIJIN”も有名なので単語だけ使ってみましたというレベル。 あまりこれに関わりすぎると、メインが疎(おろそ)かになるので、バランスが難しいが、やはり何か物足りない仕上りだ。 外人としての孤独や疎外感を描きながら、“クルマ”を通しての外人と日本人との交流・融合といった視点を付加してみると、もっと評価できる作品に仕上がったように思われる。 これでは、あえて東京を舞台にする必要があったのかいうほどのレベルだ。 鑑賞前は北川景子がそれなりに重い役柄を演じているとずっと思っていたが、まさかここまで空気だったとは思わなかった。 これも収穫といえば収穫だろうか。
[DVD(字幕)] 5点(2009-10-11 00:48:45)(良:2票)
612.  サブウェイ123 激突 《ネタバレ》 
オリジナル未見。 トニー・スコットに関しては、スタイリッシュかつなかなか凝った独特な映像を用いるので好みの監督なのだが、ときたまハズレの作品があるというイメージ。 今回はハズレではないだろうという期待があったが、どうやらハズレだったようだ。 極端につまらない作品ではないが、意外と捻りがなく盛り上がらない作品に仕上がっており、サプライズ感はほぼゼロに等しい。 予測どおりにストーリーが進み、予定どおりにストーリーが終わっている。 “地下鉄”という珍しくユニークな設定の割には“動き”がほとんどなく、地上で人質を取っている場合とさほど大差がなかったのもやや拍子抜け。 “地下鉄”という設定の良さを活かしきれていないように思われる。 “地下鉄”のプロとハイジャック犯との地下鉄を舞台にした頭脳戦が繰り広げられるという類の作品ではなかった。 本作は派手なアクションでもなく、濃厚なサスペンスでもなく、『かつて絶頂を経験した男が何らかの事情でどん底を味わうものの、再び這い上がって、男としての生き様・散り際をみせる』というテーマが本作の根底にあるように思われる。 これらのことはライダーもガーバーにも共通している。しかし、価値観は異なるものの、同じベクトルが向いているはずの二人の“出会い”が上手く表現されていないようだ。どん底を経験したガーバーだからこそライダーの気持ちは分かるはずだ。ライダーの気持ちを察してのガーバーの最後の行動という“エンディング”に向けての盛り上げ方がかなり足りないように思う。ベクトルが同じ方向なのか、それとも相対するものなのか、“家族”や“宗教的な要素”も交えながらまとめて欲しかったところだ。 また、“どん底を味わった”という想いを抱えているのは彼らだけではないはずだ。 不倫疑惑の市長、この事件で名前をあげたいはずのイタリア系の警察官、ガーバーの後釜の管理職、もしかしたら人質の中にもそういう者がいたかもしれない。 このような複雑に絡みあうはずの人間模様がカットされているのはもったいない。 ライダーとガーバー以外はほとんど“空気”と同じというのは良作とは言えないのではないか。 たとえ単純な事件であっても、それぞれの思惑を抱える登場人物が掻き乱すことによって、ダイナミックとなり、豊かで複雑なものとなっていくはずだ。
[映画館(字幕)] 5点(2009-09-23 22:43:04)
613.  カムイ外伝 《ネタバレ》 
原作未読。一度も見たことがない。 邦画作品らしく、マイルドな作品に仕上がっており、極端につまらない作品ではない。 CG丸出しの作品ではあるが、細部には多少こだわっているようにも思われた。 しかし、毒にも薬にもならない普通のアクション作品でしかなかった。 何を描きたかったのか、“本質的”な部分が見えてこない。本作の冒頭及びラストに明確なテーマが示されていたはずだ。確か「抜け忍であるカムイの夢」や「猜疑心・己との戦い」といったことが語られていたと思う。しかし、本作をいくら見ても、これらのことが上手く描かれているとは思えない。 原作を見たことがないので分からないが、カムイの夢とは追われることがなく、争いのない世界で幸せな家庭を築くことではないだろうか。本作の流れを踏まえると、猟師となることもできたはずであり、自分を好いてくれる娘と家庭を築くこともできたはずだ。そういったカムイの夢や希望のようなものが見えてこない。ノドから手を出るほど欲していた夢が目の前にあるのに、カムイからは苦悩や葛藤も何も伝わってこない。 そういったものを欲しないのならば、いったい何のために抜け忍になったのかが分からない。 そして、最も大事なことは「猜疑心・己との戦い」ではないか。サヤカが見た恐ろしい夢のようなものは、本来ならばカムイが見るべきではないだろうか。忍者に追われるということだけではなくて、半兵衛を売った男のように、いつ村人に囲まれてもおかしくないという“恐れ”のようなものが常に付きまとっているはずではないか。そういった“恐れ”や、自分が売られるというような“猜疑心”のようなものをフドウに利用されて、村人全員をカムイが殺してしまうというような展開になってもよかったと思う。 愛した女でさえ、猜疑心ゆえに殺してしまう。どんなに強い者でも、自分にはなかなか勝つことはできないということをクドカン辺りならば、描くことはできたのではないか。 そして最後には、誤りを犯して傷ついても、苦しんでも、どんなことがあっても、人は何かを求めて彷徨い、生き続けなくてはいけないということを描いて欲しかったところだ。“忍者モノ”という現代とは何ら関係のない作品でも、現代に通じるようなものを描いてこそ、優れた作品といえるだろう。
[映画館(邦画)] 5点(2009-09-20 23:57:57)(良:1票)
614.  アマルフィ 女神の報酬 《ネタバレ》 
事件の成り行きを見守ることができるので極端につまらない映画ではない。しかし、面白いとは思えないというのが率直な感想。風呂敷を大きく広げた割には、全体的にこじんまりとしてしまったか。 織田裕二は嫌いな役者ではなくて、むしろ応援している方だ。しかし、好意的に見ても、完全に“黒田”というキャラクターをモノにしているようには思えず、やや中途半端な印象を受けた。彼からは“個性”が見えてこず、“魅力”を感じられなかった。天海に対するいたわりのようなものは、テレビを付けない、間仕切りをする等の行為から読み取ることはできるが、苦悩も悲しみも焦りも苛立ちもなく、感情が伝わってこない。オーバーアクトをしたくないのは分かるが、もうちょっとキャラクターを作った方がよかったのではないか。似たようなキャラクターになるのを避けても、結局つまらない男を演じては仕方がない。本作では、もっと冷酷で“嫌な男”を演じてもよかったか。“任務”を遂行するためには、手段を問わず、汚い手を使ってでもこなすダークヒーロー的なキャラクターでも面白かったと思う。イタリア警察に反旗を翻すようなシーンがあったが、あの程度では弱い。 西谷監督については「容疑者Xの献身」しか知らない。「容疑者Xの献身」では監督としての“個性”がないと評価したが、本作は個性を出しているものの、悪い部分しか顔を出さなかった。全体的にメリハリがなく、のっぺりとしており、やはり好きにはなれない監督だ。本人は“面白い”と思って色々とやっているつもりだろうが、“計算”や“効果”を考えているとは思えないものばかりだ。“誘拐事件”という緊張感のある事件を扱っている割には、肝心の緊迫感も何もない。 “真相”についてもそれほど驚くべきオチというわけでもなく、どこかで見たようなことのあるネタだなと思う程度。当然、テロリストにならざるを得なかった“悲哀”というものも感じられなかった。そもそも、犯人が日本人、対象者が日本人、追い詰めるのも日本人というものを何故イタリアで撮る必要があったのかもよく分からなくなってしまった。予算の無駄遣いをできるのは外交官だけではなかったようだ。テレビ局というところも、どうやら無尽蔵に予算があるようだ。
[映画館(邦画)] 5点(2009-08-09 22:49:00)(良:2票)
615.  トランスフォーマー 《ネタバレ》 
元ネタに関しては知識なし。さすがはマイケル・ベイという映画に仕上がっている。派手さは超一流であり、期待感を煽っておきながら、中身はまるで大したことがない。変型シーンやバトルシーンは多少の見応えがあるが、基本的にはスピードでごまかされているような気もする。マイケル・ベイの映画だから中身は気にしなくてよいが、よく分からない展開が目立つ。きちんと説明されていると思うが、「ダムを捨てて市街地に向かう理由」や「サムがビルの屋上へ行って、ヘリコプターにキューブを持ち込む理由」がまるで分からなかった。「キミはもう立派な兵士だ」という一言で片付けてしまうところが、“さすが”といえるかもしれない(むしろ、このような展開がないと逆に面白さが半減するかもしれないが)。 その他の問題点としては以下のとおりか。 ①『オートボットの個性が中途半端』味方が5体もいるのに、存在感があったのが2体のみというのが寂しい限り。敵も何体かあったのだから、それぞれに見せ場を用意すべきではないか。ジャズが死んでも悲しみも何もないという状態に陥っている。ロボットがぶっ壊れたと思わせるのではなく、観客を泣かせるほどまで描いて欲しい。 ②『バトルが分かりにくく、盛り上がりに欠ける』何と何が戦っているのすら分かりにくい。リアルさを出したかったと思うが、もっと単純でいいのではないか。“良さ”を活かしきれておらず、味気がなく、爽快感がない。ラストのバトルももっとボロボロになるまで追い込まれないと面白みに欠ける。 ③『登場人物が中途半端かつ無駄に多すぎる』音声の分析官と友達ハッカーは、モールス信号などで存在感を示したとはいえ、敵側の弱点を発見するわけでもないので、存在自体をカットできる。タトゥーロも味方でも敵でもない中途半端なキャラクター。敵側に付くか、あるいはキューブのパワーを狙う第三者として、ストーリーをかき回す役柄を担うべきであった。存在感のある演技力をみせていたが、効果的な使い方ができていない。ジョン・ボイトとアメリカ軍の大尉もイマイチだが、そこまで求めるのは酷というものか。肝心の主役のラブーフについては、感情が伝わってこないので、あまり評価はできない。怒り、悲しみ、苛立ち、苦しみ、使命感などをもっと演技で観客に伝えるべきだろう。ミーガン・フォックスの方が、まだ怒りや苛立ちといった感情が伝わってくる演技をしていた。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-05 22:54:13)(良:1票)
616.  ある公爵夫人の生涯 《ネタバレ》 
つまらない作品ではない。「ジョージアナ=ダイアナ妃」とダブらせれば、面白みも増し、基本的には飽きることはなかった。ただ、飽きることのないのは、ストーリーがお昼のメロドラマ級に波乱万丈に満ちているからであり、映画としてのレベルは決して高くない。感情が全く揺り動かされることがなかったという点が最大の欠点となっている。それぞれのキャラクターに対して“深み”を感じさせないので、基本的には誰にも感情移入できず、ただストーリーを追うだけの展開になる。 自分が男だからかもしれないが、ジョージアナに対して、時代や背景を考えると大胆な行動力は感じられるが、愛のない満たされない人生から逃げ出したかっただけなのではないか。チャールズを本気で愛していたのかどうかは分からない。 むしろ、男の自分にはジョージアナよりも公爵の立場がより身近に感じられた。彼も彼なりの愛し方でジョージアナを接していたのだろうと思われる。幼いころから誇り高い貴族として育てられて、世継ぎを産むことが自分に課せられた唯一の使命というプレッシャー下において、一人の男性と一人の女性という関係を築けるはずがない。ストレートに愛情表現することができない男に対して、ジョージアナは理想の愛を求めすぎたような気がする。誇り高い公爵が歩み寄れるはずがないので、ジョージアナがもっと努力をすべきではないのか。友人を屋敷に招きいれたのはジョージアナであり、予期できる当然の帰結に対して非が無いとは言い切れない。 公爵は、ジョージアナが愛人の子どもを身籠ったとしても産まさせるほどの度量の広さを感じる。チカラを使って、連れ戻すこともせず、別れさせることもせず、“子ども達の手紙”を使って、自分の“役割”を再認識させて、自らの意思で戻させ、自らの意思で別れさせるという方法を用いている。ある程度の権力を行使しているが、やり方は実にスマートだ。 最後のパーティーでも、チャールズを会場に呼ぶことを許し、公衆の面前で会話させるというのも彼の度量の広さだろう。歩み寄らない彼女に対して、最後の最後には自分から歩み寄ろうとしている。そういう彼の気持ちを知ったのか、自分の死後にはきちんと公爵と友人との関係を認めているようだ。結局は全てキレイに収まってしまい、見所がさらになくなってしまった。見所はアカデミー賞受賞の衣装とノミネートの美術だけになってしまったようだ。
[映画館(字幕)] 5点(2009-06-06 12:49:59)
617.  ミリオンズ 《ネタバレ》 
ダニー・ボイル監督らしいユニークであり、ファンタジックであり、独特な世界観は見事である。 また、全体的に子ども目線で上手く描かれているように思われる。 しかし、自分に宗教的な素養が足りないことも問題かもしれないが、物足りなさを覚える作品となっている。 教訓的な要素も、感動的な要素もあまり感じられなかった。 序盤こそ、面白みを感じていたが、中盤に差し掛かり失速していった気がする。 起承転結のうち、“転”が上手く描けていないのではないかと思われる。 お金の存在を知った父親と女性、犯人の登場、ユーロ騒動が上手く機能しているとは思えず、結論に対してスムーズにオチていないのではないか。 ユーロ騒動が描かれているが、彼らが欲を出しすぎて、時期を失して、ポンド紙幣が全て紙切れ同然となったというオチもなく、あまり意味をなさない(ユーロ騒動があったから大金が手に入ったわけだが)。 また、本作のテーマの一つである“母親が聖人になれたか”というオチに導くとすれば、ダミアンの起こした行動がもう少し周囲の人間を変えていくようなミラクルが欲しかったところだ。 ダミアンが正しい使い道を模索して、失敗を繰り返しながら、本当の使い道を探し出したり、周囲の者が大切なものに気づくという流れにもっていけなかっただろうか。 お金を燃やして終わり、井戸を掘り当てて終わりというオチは、キレいではあるが、どことなく疑問や中途半端さを感じた。
[DVD(字幕)] 5点(2009-05-10 21:40:20)
618.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
「あまりエキサイトできなかった」というのが正直な感想。 なまじ三国志をかじっていると「こんなもの三国志じゃない」という気持ちが強くなり、冷静に楽しむことができなかった。我々が見聞きした「三国志」とは異なる、誰も知らない新たな「三国志」を作りたいというのがジョン・ウーの狙いかもしれない。 そのチャレンジ・スピリットは評価したいが、オリジナルを超えられなければ、それはただの改悪ということになってしまう。 一番の問題は、孔明の存在があまりにも軽すぎるのではないか。 孫尚、小喬よりもインパクトが欠けるというのは、いかがなものかと思う。 平安な未来への戦いにおいて、男ばかりではなく女も戦ったということを描きたいという気持ちは分かるが、あまりにもバランスを失している気がする。 “間者”や“茶”というアイディアが逆に良すぎるので、もっと比重を軽くしてもよい。また「赤壁の戦い」において語る必要のある「連環の計」「苦肉の策」「拝風台」も無視あるいは適当な処理でごまかしているのも問題だ。 これらを描かずに、孫尚と蹴球の選手との交友を描いたり、疫病の万延を描く必要があったのだろうか。 孫尚と蹴球の選手との交友を描くことによって、敵も味方も分かり合えるということを描きたいのかもしれないが、上手くオチているとは思えず、ただのお人好しを利用したようにしか思えない。描くとするのならば、戦場での再開においてもう一工夫あってもよかった。 疫病の万延に関しては「これはきっと孔明のワナに違いない」「終盤には曹操の虚を突くだろう」という期待通りだったが、「呉軍が曹操軍の逆襲に遭い絶体絶命になる」→「窮地に陥った際に、背後から劉備軍が登場する」→「ピンチから形勢逆転する」→「疫病による仲違いは実は計略だったと観客に明かす」というのが普通の“流れ”ではないか。“計略”というものは、敵だけではなく味方を欺くことが必要だが、観客をも上手く欺く必要がある。それにもかかわらず、途中から手の内を明かしているようでは全く欺きになっていない。この流れだけ見ても、ジョン・ウーの演出にはやや疑問が残る。肝心のバトルについてもそれほど見応えを感じられなかった。 ジョン・ウーのバトルに対するビジョンが見えてこなく、それぞれのキャラクターがそれぞれの仕事をきっちりと果たしたといえない。
[映画館(字幕)] 5点(2009-04-12 01:32:24)
619.  チェ 28歳の革命 《ネタバレ》 
ゲバラについては詳しくは知らないが、ドキュメンタリーを見たことがあるので、「名前」を知っているというレベルではない。ある程度の全体像を掴んでいたので、それなりには楽しむことはできた。上映前の説明と本作の映像だけでは足りないので、“知識”で流れやキャラクターや時代背景などを補えないと少々苦しいか。 それにしても、ソダーバーグ監督の相変わらず訳の分からない演出が微妙だ(他の作品よりはマシなレベルか)。一貫としたストーリーはなく、イメージやエピソードをぶつ切り状態にしている。ドキュメンタリー風なタッチをメインにして、観客にも一人の兵士として参加してもらおうとしているのだろうか。 そういう趣旨は分かるが、“狙い”はやや空回りして、むしろ“逆効果”のような気もする。全体的にボヤボヤしすぎてしまい、全体像が掴みづらくなってしまう。 後編を見ないとなんとも言えないが、単に山中を行進して、市街戦を繰り広げて、国連で演説したり、インタビューを受けたりしているとしか描かれていない。 素直に撮りたくないというのは分かるが、“褒めること”も“貶すこと”もしにくい映画に仕上がっている。 確かに、ゲバラをヒーローに描くことはできないのだろう。 アメリカ人には敵国ともいえるキューバの革命を賞賛することもできない。 こういう場合には、ありのままの“事実”のみを描かざるを得ない。 一方のサイドに感情を込めて肩入れすることはできないので、ニュートラルのまま突っ走らざるを得ないのは分かる。 そうすると、彼の「革命」に対する想いが見えてこなくなってしまう。 『革命とは“愛”だ』という言葉はカッコいいが、その“愛”を感じさせるものが欲しいところだ。 戦うことだけではなく、食料を調達することも、仲間の怪我を治療することも“革命”というセリフがあった。 読み書きを教えることも当然“革命”なのだろう。 規律を厳しくしたり、仲間を処刑することも、兵士に革命を放棄させることも彼にとっては“革命”だ。 本作に描かれていることは、彼にとっての“革命”の総てなのかもしれないが、“革命に対するパッション”というギアをもう一段、深く入れて欲しかったところだ。 後編を見たところで、「ゲバラの生き様」「ゲバラがなぜ賞賛されるべき人物なのか」「革命とは何か」を感じることはできないだろう。 こういう部分は本で勉強するしかないようだ。
[映画館(字幕)] 5点(2009-01-24 23:45:07)(良:1票)
620.  宮廷画家ゴヤは見た 《ネタバレ》 
ゴヤの画家としての生涯を描く映画ではないとはもちろん思っていたが、ゴヤの眼を通してみるスペインの狂乱や異端審問がメインとは思わなかった。 思いも寄らない内容の映画だったが、傍観者・ゴヤの目や絵を通してみる当時のヨーロッパの狂気が上手く演出されており、インパクトの強い映画に仕上がっている。 ただ、ハマれる人はハマれそうだが、自分にはどこかピンとこなかったというのが正直な感想。 時代背景やゴヤなどの知識を持ち合わせていなかったからだろうか。自分にはレベルが高い映画だったかもしれない。 原題は「Goya's Ghosts」、直訳すれば「ゴヤの幽霊たち」になる。 本作における「幽霊」とは、顔が描かれていない絵の際に触れていたと思う。 本作でゴヤのモデルになったロレンソとイネスは歴史上の存在ではなく、架空の存在のようなので、これを指していることになりそうだ。 しかし、彼らの関係を通して、何をフォアマンは伝えたかったのかが自分にはぴったりとはハマらなかった。 彼らの間に“愛”などというものはもちろん存在しないだろう。 ロレンソはイネスのことを忘れており、その後も病院送りにしている。 イネスにとってもロレンソを愛しているというよりも、彼の存在と自分の子どもを拠り所にして15年間精神をかろうじて保っていたというところだろう。 最後にイネスとロレンソが手を繋いだのは、“愛”というよりも“家族”という想いを込めたためと思われる。 彼らの関係はそれほど重要ではないのかもしれない。 二人の関係よりも、ロレンソが最後に改宗しなかった辺りがポイントとなりそうだ。 異端審問をして、さらにその審問を異端視して、またその異端視を異端されるというエンドレスの抗争が描かれている。 今日にも通じる“宗教”という考え方の違う対立による根深さは永遠に消え去ることのないということを描こうとしているようだ。 これを解決する術はなく、紛争はいつまでも永遠に続くのかというフォアマンの憂いを感じられる。 狂った世界において、ロレンソ自身が処刑される際に窓辺にいる自分の娘と赤ん坊の姿を見て、何かを悟ったようなところが印象的であった。 一番人間らしい心を持っていたのは精神を病んでしまったイネスということなのかもしれない。 ゴヤの作品も理解するのは一筋縄にはいかないが、フォアマン作品も一筋縄ではいかないような独特の仕上りとなっている。
[映画館(字幕)] 5点(2008-10-21 23:09:59)
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