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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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661.  フルメタル・ジャケット 《ネタバレ》 
「突撃」に並ぶキューブリックによる戦争映画の傑作。 初見には重い戦争映画、二度目は「博士の異常な愛情」に通じるブラック・ユーモア。ハートマン軍曹とのやり取りは面白いし、戦場の報道部にはスヌーピーだわPT&ミッキーマウスでマーチ(行進)だわ。 彼らにとって訓練から既に戦争が始まる。 海兵隊訓練所における狂気、戦場での狂気。 冒頭は軍隊に入る兵士達が頭を刈る“儀式”から始まる。みんな憂鬱そうな表情で自分の髪とさようなら。 そこからハートマン軍曹による愛ある?薫陶(罵詈雑言)。「親のファ●クでシーツに残ったシミが貴様ら」だなんて言われたらヘコむ。このシーンで爆笑できるようになった人は立派なキューブリックファンです。俺も2回目見た時は爆笑し通しだったわ。あそこまで言われたらもう笑うしかねえww 「マスターピース」を暴言に出来るのはハートマン軍曹だけだと思う。 微笑みデブ(アーニーパイル)も黙りこむ。ジョーカーだけが彼を本名のレナードで呼ぶ良心。ハートマン軍曹は厳しくも彼を見捨てなかったが、ソレが他の訓練兵に憎悪を抱かせレナードに向けられ、微笑みデブは徐々にキリング・マシーンへと変わっていく。 後半のヴェトナムの戦場。「プラトーン」は密林、この作品は市街戦。 上司が次々に死にまくり、異教徒を殺すように機銃を撃つ輸送ヘリのドア・ガンナー、死体にパーティー、見えざる敵と戦う市街戦という名のコンクリート・ジャングル。そんな地獄で戦う彼らにインタビューする報道者たちは何を思うのか。 クライマックスを飾る狙撃者との息詰まる攻防。狙撃者の視点から語られる孤独な戦い、ジョーカーたちも倒れた仲間のために敵の根城に突っ込み“お礼参り”。ビルの中には他に誰かいるかも知れない・・・その緊張が最後まで持続するから凄い。 闇夜のミッキーマウスマーチ。彼らにとっては終わりが迫る喜びの歌、だが原作小説では彼らの戦い、いや地獄はまだ続く。まったく戦争は地獄だぜ。 その後にローリング・ストーンズの「黒くぬれ(Paint It, Black)」を聞くともの凄く切なくなるんです。 昔のキューブリックだったら腰振りのマネだけじゃなく本当に狙撃兵に死姦をかますとかヤッてたかもね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:31:48)(笑:1票) (良:1票)
662.  ワイルド・アパッチ 《ネタバレ》 
「ワイルドバンチ」と「アパッチ」をクソ味噌にして混ぜたような紛らわしい邦題。  どうして素直に「ウルザナス・レイド」というタイトルを付けられなかったのか疑問である。   タイトルはともかく、内容はアパッチと騎兵隊の死闘を描いたアルドリッチらしい作品。  女っ気の無い、かといってマカロニ・ウェスタンほど凄惨でも無い(血だるまが出てくるくらいだ)、アルドリッチが描く男のドラマ。   実際に起きたウルザナの襲撃をリアルなタッチで描いた骨太な作風。  暴力に直面した時の人間の恐怖と憎悪が生々しい。  一見すると典型的なインディアン掃討物に映るかも知れないが、西部開拓時代の終わり、インディアンたちの反撃の終焉、騎兵隊の戦いの終結・・・様々な終わりの足音が聞こえてくる。  インディアンと白人の問題に深々と迫った内容でもあり、異なった立場の駆け引き、同じ人間として向き合おうとしたマッキントッシュの生き様が特徴的だ。   冒頭15分間の「嵐の前の静けさ」、  そこを過ぎてからの残虐さと残酷な殺し合い。  周囲が見えない小屋の中で聞くラッパの音が怖かった。  中盤の馬上での追撃、  終盤の谷間での銃撃戦など充実した内容。  特に危険と解っていて、あえて谷間に突き進んだ「賭け」の場面。  長年インディアンと戦ってきたマッキントッシュは引退した後の実りのない老後、壮絶に散るインディアンたちへの憧れに似た気持ち、とにかく死に場所を求めていたのかもな。   「ヴェラクルス」で初々しかったバート・ランカスターも今では老骨に鞭くれる老将として登場する。  ラストのランカスターが何とも言えない。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 10:12:20)
663.  リバティ・バランスを射った男 《ネタバレ》 
ジョン・フォードとジョン・ウェインが組んだ最後の西部劇にして最高傑作。  冒頭14分間の「現代」、そしておよそ1時間46分にかけて「過去」の出来事を紐解いてゆく形式、ジョン・フォードの豊かな人間ドラマ、白黒だからこそ出せる映像の美しさ。 「捜索者」や「駅馬車」が広大な大地を馬で駆け抜け続ける激しさならば、本作は回想形式で中盤の決闘に至る経緯をサスペンスフルに紐解く。  しかし、最初この冒頭のシーンを見た者は少し退屈に感じるかも知れない。 それを最初から最後の幕切れまで通して見ると、もう一度冒頭の語りを見たくなる。そしてもう一度冒頭に触れれば、そこに退屈さは無い。 あるのは過ぎ去りし日への追憶と寂しさ。一角の大物議員が何故名も無き男の葬儀に訪れたのか・・・。  駅馬車強盗とともに始まる回想、法律とともにやって来た男がもたらす時代の終焉と始まり、街中で銃を乱射する無法者、ユニークな選挙活動、投げ縄、射撃訓練と怒りの鉄拳、抜き打ちには拳で返答、暗殺、燃え盛る家、サボテンの花。 保安官でもガンマンでもない普通の人間が、無謀と解っていても恩人の仇を討つべく決闘の場に向かっていく姿、立場や人種を超えた一撃! 白黒ウェインの風格とカッコ良さ。レストランにおけるガンマンたちと対峙するウェインの頼もしさ! ただの優等生では終わらない強さを持つジェームズ・ステュアート、調理場の元気な娘ヴェラ・マイルズ。ウェイン、ステュアート、ヴェラの奇妙な三角関係も注目だ。 太ったビビリの保安官アンディ・ディヴァインは「駅馬車」でもウェインと共演。ユーモア溢れるキャラを演じていた。他にもジョン・キャラダインといったウェインの相棒的俳優も脇を固める。 リー・マーヴィンの強烈な悪役振りも良い。 無法者だが牧場主の手先として暴力を振るう鉄砲玉。元々老け顔のウェインと堂々と渡り合える老け振り。一体どんな修羅場潜って来たんだ・・・。酒場でブッ飛ばされるリー・ヴァン・クリーフの存在も面白い。  州に昇格しようと躍起になっている町での政権争い。 食堂での軽妙なやりとり、派手な選挙戦や事務所の襲撃事件、酒場近くの決闘と見所も多い。何といってもその決闘こそ本作最大の山場!黒のコントラストが最高。  かくしてストーリーは再び現代へと戻ってくる。  棺桶に咲いたサボテンの花。 死者の鎮魂を祈る花をドア越しに見つめる一人の男、その後ろにたたずむ背を向けた女性。  列車が駅に入る瞬間から始まり、その疾走によってすべてが終わる光景はフォードを敬愛したセルジオ・レオーネ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト(ウエスタン)」でも繰り返される。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 11:05:13)
664.  ウエスタン 《ネタバレ》 
再評価に到ったのは、二度目以降、いや見る度にどんどん魅せられる西部劇だという事に気付いたからだ。 冒頭の長く、長く、なっがああああああい回しで溜めに溜めて溜めて放つ一撃必殺の破壊力・・・! 他のレオーネ作品と比べると断トツに退屈で、ゆったりとした、そのバネが産み出す破壊力に魅せられる。 二回目以降は、退屈に感じない心地良さ、もしくわ退屈な空気を一気に張り詰めさせ、爆発させるような長回しに痺れている自分がいた。 ベルナルド・ベルトルッチの壮大なスケール感と“女”の匂い、 ダリオ・アルジェントの“血”の匂い、 トニーノ・デリ・コリの雄大さを感じさせるキャメラワーク、 そしてセルジオ・レオーネの破破壊力と“土”、“漢”の匂い。 「リオ・ブラボー」や「大砂塵」といった往年の西部劇に対するオマージュに溢れた原点回帰。 それに、西部開拓時代の無法者を現在的なギャングとして捉えた視点。 登場人物たちも善悪で片付けられる者ばかりでなく、時代の流れに翻弄されて荒れた複雑な人物も少なくない。 男だけでなく、クラウディア・カルディナーレ演じる未亡人ジル。 自立し気丈に生きる女の強さと弱さをレオーネは正面から描き出した。 マカロニウエスタンには無かった女っ気と母性。コレはカルディナーレの女性らしさ、そしてベルトルッチの原案も手伝って成し遂げた描写だと俺は思う。 「プロフェッショナル」もエロか(ry ドラマだけでなく、冒頭の銃撃をはじめ劇中のアクションは決まる度に痛快。 列車での工夫を凝らした銃撃戦、 クライマックスの一騎打ち、 クラウディア・カルディナーレが人の良いおじさんを誘惑している様にしか見えない絡みのシーン、 ラストの死に場所を求めてさ迷うそれぞれの顛末、やるせなさ、虚しさ。 ホークス、アルドリッチたちから受け継がれてきた破壊力、ジョン・フォードのドラマ性、アンソニー・マン等のリアリズム。 ジェイソン・ロバーズの人間臭さ、 チャールズ・ブロンソンの徐々に明かされる復讐劇、 悪役を貫いたヘンリー・フォンダも見事。 西部劇を飾ったヒーローが悪役として振舞う…しかし、その男も時代の流れに翻弄され荒れた一人の人間でしか無かった。 列車に始まり列車に終わる・・・ジョン・フォードの「リバティ・バランスを射った男」を思い出す締めくくりだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:55:29)(良:1票)
665.  続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 
本作「The Good, the Bad and the Ugly 」の主題は善玉、悪玉、卑劣漢。  え?  善玉?  そんな奴この映画にいねーよ。とてもセンスのあるジョークだわ。   「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」の名でも知られる本作。  エンニオ・モリコーネの最高の音楽、前半のスピーディーな展開は前作よりも好きだ。  最初10分、会話がほとんど無いのに見るものを惹きつける面白さ。  主人公ブロンディ(イーストウッド)が捕まる場面だって仲間通しのイザコザという感じで違和感はあまり無い。  前作で味方だったエンジェルが敵として立ちはだかるのも面白い。  相変わらず同じような格好のイーストウッドもまた。  トゥーコ(イーライ・ウォラック)が銃をバラしたり組んだりして試し撃ちをするシーンはマニアをくすぐる面白い場面。  南北戦争時代の銃器のこだわり振り。この時代考証は完璧だね。  とにかくイーライ・ウォラックの悪どいキャラクターが最高だった。  見た目は太めのオッサン、中身がガッチリ凄腕のガンマン。  悪党だと思ったら意外と人に優しかったりする。  最初は金が目的だったが、次第に情が芽生える場面は熱い。  そしてまた逃げられ「バカヤロ~!」素晴らしい腐れ縁。   ただ,中盤の長回しのシーンが長いこと長いこと。   トゥーコが駅馬車を発見しなかったら俺も寝るとこだった(「アラビアのロレンス」もそれで寝そうになった)。  でも、そこからのドラマ展開が面白い。  ブロンディは情報を知っているから殺されない、トゥーコは金が欲しいから殺せない。  二人が南軍や北軍に潜り込んでアレコレ騒ぎを起こす場面は面白かった。  脱線だけど良い脱線。  敵となったり味方となったりするデコボココンビなブロンディとトゥーコのやり取りは見ていて楽しい。   最高だったのが風呂場での銃撃。 「喋ってないで撃たなきゃ」。聞いてるか007の馬鹿な殺し屋ども(それが007の魅力です)。 ラストの決闘がこれまた長い長いなっげー。 モリコーネの音楽が最高すぎて笑ってしまったのは俺だけじゃ無いだろう?・・・多分。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:44:44)(良:1票)
666.  アウトロー(1976) 《ネタバレ》 
アメリカ建国200年記念の名にふさわしい堂々とした西部劇。  フォレスト・カーターの原作に、イーストウッドの西部劇に対する愛情と野心を詰め込んだ傑作。  「許されざる者」や「ペイルライダー」も良いが、やはり俺は二挺拳銃の唸りが熱い本作を推す。  強烈なファーストシーン、カスタマイズ銃やガトリングの唸りなどガンファイトに富んだ血のたぎる作り込み。  時代のうねりによって復讐者と化す「ジョージー・ウェールズ」の波乱の旅を描く。  アメリカの豊かな自然、  西部の厳しき大地、  大地に生きる人間の生活感溢れる力強さ、  染み渡る日本的情緒、  カッコいいオッサン・・・! 主人公は最初普通の開拓民で、家族を殺された事で復讐の旅を続ける無敵の唾吐きガンマンになっていく過程が面白い。おまえは何回ツバを吐くんだ(笑)また主人公も仲間に助けられながら窮地を脱する場面もかなりあった。仲間あって無敵が本作の魅力でしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:38:26)(良:1票)
667.  ペイルライダー 《ネタバレ》 
「シェーン」やイーストウッド主演の「荒野のストレンジャー」を融合させた王道西部劇。 金の採掘を続ける二つの村同士の対立が主軸。 金を掘るには鉱脈がある山場に住居を構える必要性、水の豊富な場所の確保が重要となる。 水の重要性がここにも描かれる。 人を殺せば州法で罰せられるが、村荒らしや家畜殺し、度重なるストレスや心臓発作による“自然死”は見逃されている。 西部に生きる者にとって家畜は家族同然。 見逃される罪にも限界が来る。 そこに現れた“ペイルライダー(死神)”の牧師。 助けてくれと願えば来るし、居ると思ったらいないし、居ないと思ったら居る。 幽霊みたいに神出鬼没な男だ。 ガンマンというよりは騎士道精神のような男。 「シェーン」では最初主人公は受け入れられないが、牧師は村の者を助けた事で歓迎される。 第一印象って大事だなと思い出す。 牧師が主人公というのも面白い(“捜索者”は牧師が警備隊の隊長やってたね)。 人を殺さないという理由も“犯せば州法で裁かれる”という理由付けが成されていて良い。 牧師が訪れた村は中々金が取れずに経済的に窮地に有り、夢も希望も諦めかけていた。 牧師がひたすら岩に槌を下ろす力強い姿を見て、村人も次第に心の強さと誇りを取り戻していく。 イーストウッドはこういうくどいくらいの人間ドラマが良い。  そこに殺しを合法として許された保安官が買収されてやってくる。 街を守るはずの者が金で動く・・・彼らも一人の人間でしかない。  この保安官が「許されざる者」になると、独裁者のように容赦なく恐怖政治を展開する。  牧師は村人を見捨てて逃げても良かった。 ただ、牧師は義侠心や博愛主義で戦ったのではない。 成り行きとはいえ助けた者への義理、世話になった恩、牧師自身のケジメのために戦った。 保安官たちはやってはいけない最大の過ちを犯した。 “無抵抗の人間を殺した”から?  違うね、“恩人を殺しやがった”から。それだけ。 その人間の死は村人の結束を強固にし、牧師は世話になった者たちのために戦う覚悟を決める。 後の「許されざる者」もそうだが、イーストウッド扮するガンマンはいつも他人のために引き金を引く。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:33:27)(良:1票)
668.  許されざる者(1992) 《ネタバレ》 
再見。 イーストウッドが到達したリアリズム、反西部劇、アンチ・ウエスタンの最高峰。  個人的には「アウトロー」の方が痛快で好きだが、この作品を最初見た時の戸惑いと衝撃、そして再見すればするほどその凄味に惹かれた作品でもある。  夕暮れで土を耕す孤影、一軒家と一本の木の影。この強烈な黒のコントラストが本作の恐怖と緊張をより盛り上げる。 雷鳴と土砂降り、情事を語る影の蠢き、ベッド上のギシアンを止める怒声、身を守るために水を浴びせる者、凶刃を振り回され傷つく者、凶行を止める背後の気配と撃鉄の音。 柱に縛り付けられた罪人を解放してしまう汚職、悪徳保安官の不気味な笑み。初っ端から恐怖と暴力が支配する世界を叩きつけられる。  生々しいを傷を癒し、苦笑いし、黙って耐えるしかない者たちが託す「依頼」。ただただ引き受けてくれる者が現れるのを待つことしか出来ない無力さ。  一方、農場で泥にまみれ豚を追い回すヨレヨレの農夫、回りを無邪気に走る幼い兄妹の微笑ましさ、それを鼻で笑う馬に乗り訪れる若きカウボーイ。彼は銃を手放した者を再び殺しの世界に引き戻すために現れる。  主人公のマニーは若い頃、女子供を問わずに手をかけた極悪非道のアウトローだった“らしい”。マニー本人はそう語りますが、劇中のマニーは年老いた父親でしかありません。妻に先立たれ、残った幼い子供たちを養うために精を出し、何十年も銃の代わりに家族の手を握りながら生活してきた。そんな男が再び銃を握るという。家族のために。 昔のカンを取り戻そうと射撃訓練、それを心配そうに見守る子供たち。リボルバーからショットガンに変える一連のアクションが後の布石として生きてくる。  髭を剃り、窓の向こう、木の根元に眠る者に別れを済ませ、馬に乗るのも一苦労の男が覚悟を決めて旅立っていく。  「アウトロー」における農夫がガンマンへと変わる物語が繰り返され、より突き詰められる。 イーストウッドにとってはシーゲルとレオーネに捧げた作品だそうだが、この映画には全ての西部劇に対する望郷とアンチテーゼのメッセージが入っている。 人一人を死に追いやってしまう集団心理の恐怖は「オックス・ボウ・インシデント(牛泥棒)」の流れも感じさせる。   大自然の中を旅する平和な一時。それが人間の支配する魔窟に入れば空気は一変する。   この映画の保安官が振るう正義は法の執行ではなく独裁者の暴力でしかない。 法を取り締まる者がみずから法を乱す。法を乱した犯罪者を見せしめにするために制裁を加えるのは当然ですが、いきすぎた制裁は単なる暴力となり、やがて失望へと変わる。  復讐者からの「依頼」でもある賞金首探しは、腐りきった法との戦いでもある。それを受け取ってしまった男たちに待ち受ける死、死、死。  この映画にはカッコいいカウボーイなんざ一人も出てこない。 気取った老体、銃から何十年も遠ざかっていた中年、本当は人を殺すことをためらう猟師、近眼の若造、狂った保安官…往年の西部劇に溢れていた夢と希望、活気とヒーローがこの映画にはいないのさ。彼等を彩る風景だけがその美しさを失わずにいるだけで。  人を撃てば撃つほど虚しさや罪悪感が重くのしかかり、ガンマンに憧れていた青年でさえ初めて人を撃った後に恐怖で震えてしまう。「命を奪う」ということの重さ。  「いくら古い時代に夢を追い求めても、現実はこうだ」と言わんばかりの雨粒と泥にまみれた世界。 人を殺した者は当然「自分が殺されても文句なし」という覚悟が必要だし、事情を知らない者が殺しの現場を見れば「人殺し」と罵られても仕方がない。  ただ、ラストの決戦まで“おのれ”を取り戻していくマニー。  彼が一発一発放つ弾丸は、今は亡きフロンティア精神への鎮魂か、イーストウッドなりのケジメか。密室にショットガンを突きつけながら乗り込み、“投げる”ことによって緊張が跳ね上がる瞬間!  たった1人の男を集団で嬲り者にするような連中だ。そんな奴らに、卑怯だの何だの言う権利も資格もあるものかっ!!  イーストウッドは、いつも他人のために怒る男だ。自分は殴られても殴り返さない。ただ、仲間や知人を傷つける奴は絶対許さねえ。名誉なんてクソ喰らえ、「殺る時は殺る」漢なわけよ。ガンマンではなく、一人の人間としてカッコイイ。イーストウッド主演の西部劇群を見た後だと余計に感慨深い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:29:38)(良:1票)
669.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
オープニングのヴァイオリンのストリング!バーナード・ハーマンの神BGM、ソウル・バスの演出。ヒッチコック映画のオープニングでも1、2を争うワクワクするOPだ。 ヒロインの心理描写も良かったぜ。 ハイウェイを走らせる車。闇、土砂降りの雨の中を難しい表情で走り続ける。頭の中で色んな男の野次や考えがグルグル聞こえる。これだけで不安になる。 ただ後半の展開は何だよ?気をてらったとかそんなレベルじゃねえぞ?あれだけヒロインの心理掘り下げといて何だよ?オマケにロングが可愛いジャネットをショートカットにした挙句途中下車…「何が巨匠だふざけんな」というのが俺が「サイコ」を初めて見た時の第1印象だ。 この作品を見直したのも他の作品で感動したのがキッカケだったし、そうじゃなかったら二度と再評価しようだなんて思わなかった。 まあもう1回見たらやっぱり面白かった。 でもさ、大体本作の主人公は誰だよ?現生盗んだヒロイン?それともホテルの異常な管理人か?後者が最初からメインだったら俺はこの映画に100点やるぜ。 むしろホテルの場面から始めてくれたらな~とずっと思っていた。 しかし今回はしばらく彼女のドラマが続いただろう?だから予想外の展開でビックリするのは確かだが、逆にそういう事をされる大いにガッカリしてしまうのだ俺は。 でも二重人格の異常者を演じたアンソニー・パーキンスの演技は素晴らしい。 普段は大人しい青年、だが心の中には「同居人」を匿っている。絵に隠してあった覗き穴、鳥の剥製の不気味さ、手にべったり付いた血、それに殺人の時のえぐさも凄いね。 一撃じゃなく、何回も裂くようにナイフを突き立てる。 有名なシャワーシーンだが、イマイチ迫力にかける。音楽でごまかしてんだろ。 ヒッチコックの演出かと思ったら、ソウル・バスの演出だった。それでも無残に見開いた瞳は怖い。 二度目の「ナイフ」は迫力があったぜ。ソウル・バスの演出はシャワーシーンよりも階段の場面を評価したい。 終盤のヒロインの夫や姉が殺人鬼の謎を探っていく時の緊迫感。 女の服をまとった「同居人」が怖いこと怖いこと。 ノーマンの肉体を支配したのは「同居人」だった。 愛情、嫉妬、憎悪、狂気・・・最後の笑みはノーマンか「同居人」か。 殺される側の恐怖、殺す側の狂気…沼底から引き上げられる車が印象的なラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:17:28)
670.  死の谷 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュが描く西部劇の傑作の一つ。  ウォルシュ監督の「ハイ・シェラ」を西部劇としてより洗練させてリメイクした。  現代的な様相、何処か虚無的な雰囲気、ファムファタール(悪女)の誕生・・・フィルム・ノワールとしても面白い西部劇だ。   ガンファイトは物足りないと感じる時もあるが、冒頭から脱獄、駅馬車の襲撃など要所要所でアクションが程よく入り人間ドラマもかなり面白いのでダレが無い。  ラストの警備隊の追撃や二人の最期はガンファイトとしても素晴らしい&壮絶なシーンを見せてくれた。   本編は白人とインディの哀しき運命を描くストーリーだが、この映画は「生」と「死」が強調されている。 白黒の画面だからこそそれを色濃く感じられる。  主人公は犯罪を犯した“罪人”であったが、一度牢獄から出て「カタギの人間」としてやり直そうとした。  旅を続ける傍ら様々な事件に巻き込まれ、インディアンの混血の娘に惹かれる。  二人は次第に強い絆で結ばれていく。  祝福する者は誰もいない教会での結婚式・・・社会からはみ出した者同士にしか解らない痛みと温もり。 しかし運命は主人公を元の犯罪者という逃れられない「死」へと追い込んでいく。  一度犯罪を犯せばその烙印を一生背負う。  一度人を殺せばもっと重い烙印を背負い続ける。  そんな事を言われているような胸に響く映画だった。   この映画は90分だが、「たった90分」と思うほど時間が早く感じられる。  もう30分この二人のやり取りが見たいくらい切なくなってしまう幕切れだった。  握った手・・・二人は一緒にあの場所へ行けたのだろうか・・・。 「暗黒街の弾痕」といい、「ボニー&クライド/俺たちに明日はない」といい、どうしてこんなにも切ない映画が多いのか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:10:01)(良:2票)
671.  ブリット 《ネタバレ》 
冒頭のバシッと決まったファーストシーン、 マックィーンと犯人の壮絶なカーチェイス、 ラストの銃撃。 正に名のとおり「ブリット」な映画。  それ以外は極普通の刑事ドラマという印象 ちょっと退屈に感じてしまうシーンも多かった。  それほどマックィーンのスタント抜きのアクションが凄すぎた。  中盤のカーアクションなんか凄いぜ。ウォルター・ヒルの演出もあって凄いのなんのって! 「めまい」や「恐怖の報酬」みたいにジリジリ迫る緊張も良いが、スピーディーな破壊力を見せ付けるカーチェイスはやっぱりカッコイイ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-29 18:32:15)
672.  壮烈第七騎兵隊 《ネタバレ》 
ラオール・ウォルシュ節爆発の傑作西部劇だった。   やっぱり「死の谷」とか「追跡」が好きな俺にとって、娯楽に全力疾走したウォルシュ映画はあんまり好きじゃない。   でもそんな事いったらジョン・フォードの「荒野の決闘」なんか、史実無視でよくもあれだけゆったりとした恋愛?ドラマにしちゃったもんだし(後の「タイタニック」はもっと酷い)、   あのグリフィスの「国民の創生」だって、ドラマの掘り下げとアクションは最高だったけど黒人差別の描写が一方的すぎて大いにマイナスだった。  リンカンを描くならリンカンが戦う理由となった黒人への多面的な描写も必要なのにな。  まあ歴史的考証は黒人描写以外100点に近いけどな。  それは「タイタニック」にも言える(かも)。   本作「壮烈第七騎兵隊」はタイトル通りのアクション重視の娯楽大作。  アクションは流石に目を見張るシーンが多い。  馬の躍動感が異常。   南北戦争の雄「カスター将軍」と第七騎兵隊の壮絶な散り様をダイナミックに描く。  カスター将軍の文字通り壮烈な人間模様、軍人としての調練と恋、組織汚職との孤独な戦い。   待ち受けるインディアンの大群、死を前にして覚悟を決めた男の雄姿・・・前半あれだけフザケきった悪ガキのエロール・フリンが一角の大将として成長した姿には心打たれる。  後の「独眼竜正宗」である。   甘い青春に富んだ単純なストーリーが、軍人となった男の孤独なドラマに変わっていく様・・・やっぱウォルシュ映画は良いなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:52:02)
673.  ブルジョワジーの秘かな愉しみ 《ネタバレ》 
コメディ版「皆殺しの天使」。   パーティーに招かれる人々。彼らはひたすら「食事をするため」にいつまでも歩き続ける。  ただ「食う」というために諦めず延々と歩いて歩いて歩き続けるのである。それが面白い。 何処までも馬鹿馬鹿しいやり取りも楽しい。時折出てくる血まみれの人間すらギャグに見えてくる。   招いておいて性交初めてとんずら、 銃を隠し持つ変態紳士(ボディチェックは確実におっぱいも触る)、 鳴り響く謎の爆音、 とりあえず射殺、 とりあえず皆殺し、 そして夢オチのオンパレード・・・本当にやりたい放題だ(褒め言葉)
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:47:01)
674.  皆殺しの天使 《ネタバレ》 
「皆殺しの天使」・・・いやー聞いただけで「それ何てヴァイオレンスアクション?」と想像してしまうねー。  ま実質タイトル詐欺です。  中身があるんだか無いんだかよく解らない、何を考えているのか、いや何も考えていないかも知れないブニュエルらしい映画。  音、悪夢、手、そしてセクハラ・・・ブニュエルと言えばこの内3つは確実に映画の何処かに入れてくる(セクハラはほぼ100%)。   ストーリーはパーティーに招かれた様々な富豪たちを密室に閉じ込めてしまうというもの。  密室というか、パーティーに招いておいて給仕が大量に辞めたり、何故か居座り続ける富豪たち。  何処までも変な作品だ。  解ったから早く出ろよ・・・。   ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」って本があるな。  あれは逃げ場のない孤島で人々が殺し合うが、こっちは別に鉄格子で閉じ込められるとかそんな話じゃない。  出ようと思えばいつでも出られた。  だが「どうしてここに居続けるのか解らない」という映画だ。  「じゃあ出ればいいじゃん」と言っても誰も出て行かない。  そう、出るのは簡単だ。  だが誰も出ようとしない。  死体遺棄がバレるから?  それとも下らない意地の張り合い(サウナの我慢大会みたいな)?  まるでボンドを追い詰めておいていつでも殺せるのに、何故か引き金を引けない悪党みたいな連中ばっかり。  かといってボンドみたいに秘密兵器で「テレッテレー♪」してくれる人間も出てこない。  延々と屋敷に篭って我慢大会だ。  屋敷の外で見守る連中も何故か誰も入ろうとしない。  なにこの暗黙のルール。  外から入ったら時限爆弾でも爆発すんのか?どうなんだよ?さっぱり解らん。  水が欲しい?  じゃあ壁を崩して水道から飲もう!  腹が減った?  それなら山羊を食いつくそう!  死体が出た?  悪夢にうなされる?  バカッぷるが乳繰り合ってる?   い い か ら 外 に 出 ろ (怒)  いい加減にしろよてめえら!  何の我慢大会だよ!?  つうかいつになったら「皆殺し」が始まんだー!!(期待するところがおかしい)  てっきり食べた食事に毒があって一人だけ生き残る・・・ソイツが“天使”だった!・・・的なオチを期待した俺が間違いだった ・・・だが何故か飽きない。 解ったから早く出ろよ・・・
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:45:36)(良:1票)
675.  女は女である 《ネタバレ》 
「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」は悪い意味で“頭がおかしい(褒めてる)”と思ったが、「女は女である」と「はなればなれに」は良い意味でイカれてる。 俺は好きだぜこういうの。 ゴダールのすっとんきょうな演出(いや思いつきの寄せ集め)も、ギャグとして昇華されていると思う。 ゴダールが苦手って奴も、この作品と「はなればなれに」を見てから判断しても遅くないだろう。   「ゴダールって怖いイメージが・・・」なんて思っている皆さんは是非とも。   ストーリーは至極単純。シンプルイズベスト。解りやすさこそ娯楽だ。  子供が欲しいと願う彼女と、中々子供を作りたがらない男の男女関係をコミカルに描く小気味良い内容。  ミュージカルコメディのような楽しい話だ。  ネオンのようなオープニング、  過去の映画に捧げるオマージュの数々、  機関銃のような痴話喧嘩の応酬、何でもあり。   BGMが爆音で鳴り響くので「音響はトチ狂ってんのか!?」と最初思ったが、音楽に合わせてアクションをかますシーンは「ああコレがやりたかったのね」と上手いなと関心。  ほうきで野球の場面とか、夫婦喧嘩の乱痴気具合など斬新な趣向に溢れている。  特にキスシーンの「バーン!」は笑っちゃったよ。  でも音が大きすぎてセリフが聞こえねえ(笑)  何処まで狙ってやってんだかわかりゃしない。   けどセリフいらずのシーンは本当に良い。  登場人物の服のカラーイメージはモチロン、  アパートの日除けの場面、  1日中抱き合ってんのかと想像してしまうアベック、  カメラ目線な通行人、  トンカチで動くシャワー、  目玉焼きの滞空時間、  “本”による会話・・・ゴダールってこんなに粋な奴だったのか。   女性のヌードも良い意味で「装飾」として花を添える。  異質と言えるほど毒気が無い。   何だかんだ言って男女が仲良くハッピーエンドを迎える最後も心地よかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:42:57)
676.  忘れられた人々 《ネタバレ》 
ルイス・ブニュエル最高傑作の一つ。 ブニュエルといえば何を考えているのかわからない変な映画(それが面白いのだけど)が多いが、本作は明確な社会的テーマを生々しく捉えた作品だ。 リズムやストーリーの密度は確かに凄いし面白い。たった1時間15分とは思えないほど話が詰まっている。 ブニュエル映画特有の音、悪夢、女への欲情もそろい踏み。 この「忘れられた人々」はメキシコの歴史から「忘れられた」名も無き人々の生き様を描いていく暗いストーリーだそうだ。 生活のために必死に金を稼ぐ少年、それをことあるごとに邪魔する不良グループ。 特にそこのガキ大将のハイボ。 盲目の楽士や足のない紳士から金を巻き上げ、さらには少女や子持ちの母親にまで手を出そうと(劇中ではちょっかいを出す程度)する筋金入りのクズだ。 余りにクズすぎるので妙な愛着すら出てきてしまう恐るべきクズ野郎である。「時計じかけのオレンジ」よりも愛すべきド畜生と言える(きっと褒めてる)。 ハイボの妨害に負けるものかと孤独な戦いを続ける少年。 カメラに向って卵を投げつけるほど苛立ちはつのる。 1対1のケンカに挑む少年、落ちたナイフでハイボを敗走させた。それにしても引き際を知るいじめっ子だ。 障害者への差別、躊躇なく動物を殺すシーンなど倫理に訴えかけるような生々しい描写、ラストの後味の悪さも手伝って賛否が分かれる作品だろう。 それでも見て損はしない、ブニュエルの傑作として歴史に残る作品だと俺は思う。他人は忘れても、観客は一生忘れない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:40:49)(良:1票)
677.  つばさ 《ネタバレ》 
ウィリアム・A・ウェルマンの傑作。  第一次世界大戦を舞台にしたストーリー。  物語は二人の男の友情と青春から始まる。  幼なじみと楽しく過ごすジャック、家族と過ごすデイヴィッド、ジャックに想いを募らせるメアリー、デイヴィッドに惹かれるシルヴィア。  メアリの想いもそっちのけでシルヴィアにのぼせるジャック。同じくシルヴィアに惹かれるデイヴィッド。  登場人物の掘り下げが実に丁寧で良い。  訓練、基地での一時の平穏、コメディタッチのやりとり、そこに突然訪れる仲間の死。  酒場で酒に酔うジャックだが、酒に溺れるよりも戦闘機に乗っている時の方がよっぽど戦争に酔っている。  それでも敵の大型機をコンビプレーで撃墜するジャックとデイヴィッドの友情が頼もしい。その友情の強さが後の悲劇へと繋がる・・・。  「ジャックはもう軍人なのね・・・」死にかけてまでジャックを追ってきたメアリーだが、戦いで疲れた彼の顔と「ペンダントの女性」を見て一時は身を引いていく。  一人の“弾丸”が死ねば次の“弾丸”が送られる。戦闘機乗りは「戦闘機そのもの」となって空を引き裂く弾丸と化す。  偵察任務、ドッグファイト、爆撃・・・兵士は英雄となる。多くの人間を殺傷して・・・。  ついさっきまで会話して人間が、次の瞬間には死んでいる。それが戦場だ。  メアリー(クララ・ボウ)のシーンだけどう見てもギャグです本当に。ウェイブ姿のクララ可愛いよクララ。  一瞬だけ登場するゲーリー・クーパーが忘れられない。1カットだけなのに。この頃から哀愁が尋常じゃないんだけど。  何この美味しすぎるエキストラ(チョコレートだけに)。  リアルな戦闘描写、ド迫力の空中戦、偶然が重なっておきる悲劇・・・空中戦の空間描写の凄さは「スターウォーズ」でも及ばない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:38:47)
678.  怒りの日(1943) 《ネタバレ》 
「奇跡」と並ぶドライヤーの最高傑作。  「魔女狩り」をめぐって揺れた時代。女は男に愛を求めるが、その禁断の愛は男を虜にする。   女の魔性の美・・・心は拒絶しても肉体は彼女を求めようとする・・・人間の本能が。  ドライヤーの宗教描写は「宗教なんざクソ喰らえ」ってところが好きだ。 劇中の二人も禁じられた愛に染まっていく・・・。   ドライヤーの描く女性像もフルスロットル。   本当こういうの上手えなドライヤーは・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:30:03)
679.  奇跡(1955) 《ネタバレ》 
「奇跡(御言葉)」の題でも知られる作品。 俺個人は宗教を否定する「怒りの日」の方が好きだが、この作品が「裁かるゝジャンヌ(裁かるるジャンヌ )」に並ぶドライヤーの最高傑作である事は確かなのだろう。 「裁かるゝジャンヌ」は神格化されたジャンヌ=ダルクを一人の人間として描き抜いたが、この映画に起こる奇跡は神の仕業か、あるいわ人の言葉が起こした奇跡なのか。それは見る者に委ねられ、その瞬間を貴方はワクワクしながら待てるのか、あるいわ苦痛を伴いながらも待てるのか。少なくとも、劇中の人間たちの神に対する信仰は何処か薄い。  丘を登り神のお告げか何かを待つもの、それを諦めてくれる事を待つもの、家族の帰りを待つもの、希望と焦りを抱えながら医者を待つもの、荷物を運ぶためにその時を待つ漆黒の馬車、椅子に座って最後の別れあるいわ奇跡を待つものたち。時計の針も誰かが再び動かしてくれる事を待っている。  のどかな農村風景、動物の鳴き声でいつものように起きる人々。青年が窓を開けると、小高い丘に階段で登っていく男の後ろ姿。 青年たちは丘を登った男の後を追い、それを窓から見守る家族。風でなびく丘、そこから見下ろすように何かを語り始める男。男は部屋の中でも火の灯された蝋燭を持ち、同じような語りを続ける。それを優しくそっと消し、家族にコーヒーを振る舞う。どうやらこの光景は家族にとって日常風景になってきているらしい。 彼はこの後も何度も何度も同じような語りを繰り返す。その積み重ねが奇跡へと繋がる。 蝋燭は室内を照らすため、死者を弔うため。  凶事を知らせる馬車の疾走。  哀しみが満ちた空間、馬の嘶きが時間の経過を伝える。薄いカーテンが窓から注ぎ込む強い光を和らげる。 重く結ばれた指がある“言葉”によって開かれる瞬間・・・!少女の唇も微笑を浮かべ、重く沈んでいた眼に光が蘇る。  冒頭でも神か人間の奇跡かは観客に委ねられると書いた。 ただ、俺個人は人間が起こした奇跡だと信じたい。たとえ本当に神様がいたとしても、その言葉を伝えられるのは人間だけなんだから。時計の針を動かし生命を与えられるのは・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:27:34)(良:1票)
680.  テキサスの五人の仲間 《ネタバレ》 
「スティング」も面白かったけど、度肝を抜いたという意味ではこっちの方が好きだ。 西部劇としては珍しいギャンブルが主題の隠れた傑作。  人間ドラマだけでストーリーを盛り立てたその見事な脚本。  「泥棒貴族」の原案や「ハスラー」の脚本家シドニー・キャロルの見事な筋書き。  カードのテクニックよりも、ポーカーフェイスといったドラマで魅せる映画だ。   ファーストシーン。  ジョン・フォードの「駅馬車」を彷彿とさせるスピード感と集う賭博師たち。   ポーカーをやるためだけに仕事も生活も投げ出してやってくる賭博馬鹿の五人。   その一大ポーカーを観るために集まるギャラリー。  ギャラリーにとっても大イベント。   キャストもヘンリー・フォンダやジェイソン・ロバーズ、チャールス・ビックフォード、ジョアン・ウッドワードといった豪華な顔ぶれ。  とにかく登場人物がどれも魅力的。   ラストの超どんでん返しは「騙された!」の一言。  もう一回騙されたくなる面白さがあるね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:20:47)
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